JP3572343B2 - 自動車部品用ポリプロピレン組成物 - Google Patents

自動車部品用ポリプロピレン組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インパネ等の自動車内装部品及びバンパーやサイドモール等の自動車外装部品に好適なポリプロピレンに関し、特に自動車内装及び外装部品に求められる各種強度のバランスに優れ、流動性が高く、線膨張係数も小さく、良外観で加熱時の寸法変化が少ないため、従来より薄肉にすることができ、自動車の軽量化に寄与する自動車部品用ポリプロピレン組成物及びそれを利用した自動車部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車内外装部品の素材として、軽量であることや、加工のしやすさによるデザインの自由度からポリプロピレン組成物が多く用いられている。しかし最近、軽量化を目的としてより薄肉で外観が良好な内外装部品を制作可能とするため、より高剛性、高流動で耐衝撃性が高く、かつ成形収縮率及び塗装焼き付け時の寸法変化が小さいポリプロピレン組成物が求められている。
剛性と成形性に優れた自動車外装部品用ポリプロピレン組成物としては、特開平5−98123号公報にはプロピレン−エチレンブロック共重合体のメルトフローレート(MFR)を大きくした組成物が、特開平5−98125号公報には多段重合プロピレン−エチレンブロツク共重合体の性状を特定のものとし、タルクを配合した組成物が、特開平9−227735号公報にはプロピレン系重合体、スチレン系ブロック共重合体、無機充填材及び核剤を配合してなる組成物が開示されている。
剛性と成形性に優れた自動車用内装ポリプロピレン組成物としては、特開平7−53828号公報にはプロピレンーエチレンプロック共重合体の性状を特定のものとし、特定の性状のスチレン系ブロック共重合体又は特定の性状のエチレン−αオレフィン共重合体と特定の性状のタルクを配合した組成物が、特開平8−104792号公報にはプロピレンーエチレンブロック共重合体の性状を特定のものとし、特定の性状のポリブタジエン系共重合体の水添物とタルクを配合した組成物が、特開平8−20684号公報には、特定の流動性を有するプロピレン−エチレン共重合体に、特定の性状の水添プロツク共重合体及び特定の性状のタルクを配合した組成物が、特開平10−306181号公報には、プロピレン−エチレンブロック共重合体の性状を特定のものとし、特定の性状の熱可塑性エラストマーと特定の性状のタルクを配合した組成物が、特開平11−29688号公報にはプロピレン−エチレンブロック共重合体の性状を特定のものとし、特定の性状のエチレンーオクテン共重合体、特定の性状のエチレンーブテン共重合体、特定の性状のスチレン系ブロック共重合体又はオレフィン系ブロック共重合体およびタルクを配合した組成物が開示されている。
また、剛性と成形性に優れ自動車用内装及び外装のいずれにも使用できるポリプロピレン組成物としては、特公平7−25986号公報にプロピレンーエチレンブロック共重合体の性状を特定のものとし、特定の性状のスチレン系共重合体とタルクを配合した組成物が開示されている。
【0003】
しかしながら、特開平5−98123号公報の組成物ではプロピレン−エチレンブロック共重合体のMFRを大きくしたことにより金型に十分充填された自動車外装部品を作製できるが、耐衝撃性が大きく低下してしまう。特開平5−98125号公報の組成物では、従来より薄肉な自動車外装部品を作製すると剛性や機械的強度が不足するでけでなく、流動性も不足するため大型の薄肉な自動車外装部品を成形すると、金型に充分充填されないショートショットの成形品しか製造することができない。特開平9−227735号公報の組成物では、金型に充分充填された成形品を製作可能であるが、剛性、耐衝撃性、成形収縮率及び塗装焼き付け時の寸法変化のバランスが充分ではなかった。
また、特開平7−53828号公報、特開平8−104792号公報、特開平8−20684号公報、特開平10−306181号公報、特開平11−29688号公報及び特公平7−25986号公報の組成物では、従来より薄肉な自動車用内装部品を作成するとウエルド外観の悪い成形品しかできない上に、剛性や機械的強度が不足し、流動性も不足するため大型の薄肉な自動車用内装部品を成形すると、金型に充分充填されないショートショットの成形品面の平滑性の劣る成形品しか製造することができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、成形性に優れ、高剛性で耐衝撃性、延性等の機械的強度、耐熱変形性、脆化温度のバランスが優れ、ウエルド及びフローマーク外観に優れ、塗装焼き付け時の寸法変化が小さく、線膨張係数も小さく、従来よりも薄肉な自動車内外装部品が成形可能である自動車部品用ポリプロピレン組成物及びそれを利用した自動車部品を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の自動車部品用ポリプロピレン組成物は、
1)(A)極限粘度(135℃デカリン中)[η]が0.6〜0.95dl/g、立体規則性指標が98.8%以上で、25℃でp−キシレンに不溶かつ沸騰n−ヘプタンに不溶な成分が85〜96重量%
(B)極限粘度(135℃デカリン中)[η]が5〜11dl/gで、エチレンから導かれる単位を15〜37重量%含有し、25℃でp−キシレンに可溶な成分4〜15重量%
(C)ポリエチレン成分量が15重量%以下、メルトインデックス(230℃、2.16kgf)が110〜200g/10minであるプロピレンーエチレンブロック共重合体を組成物全体中55〜60重量%
(2)(D)スチレン重合部と、エチレン−1−ブテン共重合部及び/又はエチレン−プロピレン共重合部とからなり、該スチレン重合部の含有量が10〜25重量%で、メルトフローレート(230℃、2.16kgf)が1〜10g/10minであるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体及び/又はスチレン−エチレン−1−ブテン−スチレンブロック共重合体と
(E)密度が0.85〜0.87g/cm3、メルトインデックス(230℃、2.16kgf)が0.5〜5g/10minであるオレフィン系エラストマーとからなり、
(D)成分の重量xと(E)成分の重量yが
0.05<x/(x+y)<0.3の関係を満たすゴムを組成物全体中20〜25重量%、
(3)レーザー回折法で測定した平均粒径が3〜6μmで、SiO2の含有量が58〜63重量%、MgOの含有量が30〜33重量%、広角X線回析像において散乱角(2θ)=32±1度の範囲にあるピークの強度が(2θ)=8〜10度の範囲にあるピークの強度の10%未満であるタルクを組成物全体中8〜23重量%配合した組成物で
(4)メルトインデックス(230℃、2.16kgf)が30g/10min以上である。
【0006】
前記(E)オレフィン系エラストマーは、エチレン−1−ブテンゴム(EBM)又はエチレン−1−オクテンゴム(EOM)であることが好ましい。
前記(D)成分の重量xと(E)成分の重量yが
0.15<x/(x+y)<0.25の関係を満たすことが好ましい。
また、本発明の自動車部品は上記ポリプロピレン組成物を成形してなるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の自動車部品用ポリプロピレン組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体
(1)成分のプロピレンーエチレンブロック共重合体は、以下の成分を有する必要があるが、その製造方法は限定しない。例えば、1段目で分子量の異なる2種類以上のプロピレンを重合してホモポリプロピレンを製造し、2段目でエチレン量及び分子量の異なる2種類以上エチレンを用いてエチレンープロピレン共重合体を重合する多段重合プロセスで製造する。また、別々に製造したポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体を通常の溶融混練又は溶液混合などの方法で配合することにより製造しても良い。
【0008】
(A)25℃でp−キシレンに不溶かつ沸騰n−ヘプタンに不溶な成分
(ア)25℃でp−キシレンに不溶かつ沸騰n−ヘプタンに不溶な成分の製造
25℃でp−キシレンに不溶かつ沸騰n−ヘプタンに不溶な成分は、以下の方法により得た。
(i)プロピレンーエチレンブロック共重合体の試料を5±0.05g精量して1000ミリリットルナス型フラスコに入れ、さらにBHT(酸化防止剤)1±0.05gを添加した後、回転子およびp−キシレン700±10ミリリットルを投入する。(ii)次いでナス型フラスコに冷却器を取り付け、回転子を作動させながら、140±5℃のオイルバスでフラスコを120±30分間加熱して、試料をp−キシレンに溶解させる。次に、このフラスコの内容物を1000ミリリットルビーカに注いだ後、ビーカ内の溶液をスターラーで攪拌しながら、室温(25℃)になるまで放冷(8時間以上)後、析出物を金網でろ取する。得られた析出物を、再度上記(i)及び(ii)の方法に準じてp−キシレンに溶解した後、3000ミリリットルビーカに収容されたメタノール2000±100ミリリットル中に熱いまま移し、2 時間以上スターラーで攪拌後、一晩室温(25℃)にて放置する。次に、析出物を金網でろ取した後、5時間以上風乾後、真空乾燥器にて100±5℃で240〜270分間乾燥して、p−キシレン不溶成分を得る。
得られたp−キシレン不溶部1gをソックスレー抽出器を用いて沸騰n−ヘプタンで6時間抽出し、5時間以上風乾後、真空乾燥器にて60℃±5℃で240〜270分間乾燥して、p−キシレンに不溶かつ沸騰n−ヘプタンに不溶なプロピレン−エチレンブロック共重合体を得る。
【0009】
(イ)極限粘度[η]の測定
試料をデカリンに溶解して135℃で測定した。
【0010】
(ウ)立体規則性指標の測定
立体規則性指標は、沸騰n−ヘプタン不溶成分の13C−NMR測定を行い、メチル領域のmmmm(化学シフト 21.86ppm),mmmr(21.62ppm),mmrr(21.07ppm),mmrm+rrmr(20.88ppm),rrrr(20.36ppm),mrrm(19.95ppm)由来の吸収ピークの高さPmmmm,Pmmmr,Pmmrr,Pmmrm+rrmr ,Prrrr及びPmrrmを用いて以下の式により計算した。
立体規則性指標(%)=Pmmmm×100/(Pmmmm+Pmmmr+Pmmrr+Pmmrm+rrmr +Prrrr+Pmrrm
mmmm,Pmmmr,Pmmrr,Pmmrm+rrmr ,Prrrr,Pmrrmは対応する各ピークのベースラインからの高さにより決定した。mmmr由来のピークはmmmm由来のピークのテーリング上にのるため、常法に従いmmmrのベースラインからの高さからmmmmのテーリングの寄与を差し引き、Pmmmrを決定した。
【0011】
なお、沸騰n−ヘプタン不溶成分の13C−NMR測定は以下の条件で行った。
Figure 0003572343
【0012】
上記(A)成分において、極限粘度[η] は0.6〜0.95dl/gであり、好ましくは0.7〜0.9dl/gである。0.6dl/g未満であると成形品の耐衝撃性が不足し、0.95dl/gを越えると流動性が不足し、薄肉の自動車部品を成形できない。立体規則性指標は98.8%以上であることが好ましく、さらに好ましくは99.0%以上である。98.8%未満であると成形品の剛性が不足する。25℃でp−キシレンに不溶かつ沸騰n−ヘプタンに不溶な成分は85〜96重量%であり、好ましくは88〜93重量%である。85重量%未満であると剛性が不足し、96重量%を越えると伸びが低下すると共にフローマーク外観が悪くなる。
【0013】
(B)25℃でp−キシレンに可溶な成分
(ア)25℃でp−キシレンに可溶な成分の製造
25℃でp−キシレンに可溶な成分量(W)は、以下の方法により得た。
プロピレンーエチレンブロック共重合体の試料を5±0.05g精量して1000ミリリットルナス型フラスコに入れ、さらにBHT(酸化防止剤)1±0.05gを添加レた後、回転子およびp−キシレン700±10ミリリットルを投入する。次いでナス型フラスコに冷却器を取り付け、回転子を作動させながら、140±5℃のオイルバスでフラスコを120±30分間加熱して、試料をp−キシレンに溶解させる。次に、このフラスコの内容物を1000ミリリットルビーカに注いだ後、ビーカ内の溶液をスターラーで攪拌しながら、室温(25℃)になるまで放冷(8時間以上)後、析出物を金網でろ取する。ろ液をさらにろ紙でろ過した後、ろ液を3000ミリリットルビーカに収容されたメタノール2000ミリリットル中に注ぎ、スターラーで攪拌しながら2 時間以上放置する。次に、析出物を金網でろ取した後、5時間以上風乾後、真空乾燥器にて100±5℃で240〜270分間乾燥して、p−キシレンに可溶成分を回収する。試料中のp−キシレンに可溶な成分の含有量Wgは、試料重量をAg、回収した可溶成分をCgとすると、W(重量%)=100×C/Aで算出される。
【0014】
(イ)p−キシレンに可溶成分中のエチレン単位量の測定
p−キシレンに可溶成分中のエチレン単位量は、13C−NMR測定法を用いて以下のようにして測定した。
p−キシレンに可溶成分を13C−NMR測定法により評価し、Tδδ,Tβδ,Sγδ,Sδδ,Tββ,Sβδ,Sββ炭素に帰属されるピークの面積強度I(Tδδ),I(Tβδ),I(Sγδ),I(Sδδ),I(Tββ),I(Sβδ),I(Sββ)を得る。これらの面積強度を用いてEEE,EPE,PPE,PEE,PEPtriad連鎖分布の分率fEEE ,fEPE ,fPPE ,fPPP ,fPEE ,fPEP を以下の式で計算する。
EEE =〔I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4〕/T
EPE =I(Tδδ)/T
PPE =I(Tβδ)/T
PPP =I(Tββ)/T
PEE =I(Sβδ)/T
PEP =I(Sββ)/T
ただし、T=I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4+I(Tδδ)+I(Tβδ)+I(Tββ)+I(Sβδ)+I(Sββ)である。
エチレン単位含有量(モル%)は、上記式より得られる分率を用いて、次式により計算する。
エチレン単位含有量(モル%)=100{fEEE +2(fPEE +fEPE )/3+(fPEP +fPPE )/3}
最後にエチレン単位含有量(重量%)を次式により計算する。エチレン単位含有量(モル%)をEt(モル%)とすると、
エチレン単位含有量(重量%)=〔28Et(モル%)/{28Et(モル%)+42(100−Et(モル%))}〕×100
なお、13C−NMR測定は、(A)成分の際の測定条件と同じである。
【0015】
(ウ)極限粘度[η]の測定
(A)成分同様に、試料をデカリンに溶解して135℃で測定した。
上記(B)成分において、極限粘度[η] は5〜11dl/gであり、好ましくは5.5〜10dl/gである。5dl/g未満であると成形品のフローマークが目立ち外観が悪く、11dl/gを越えると流動性が不足し、薄肉の自動車部品を成形できない。エチレン単位量は15〜37重量%であり、好ましくは19〜33重量%である。15重量%未満であると成形品の剛性が不足し、37重量%を越えると成形品の引張り破断伸び率が不足する。25℃でp−キシレンに可溶な成分は4〜15重量%であり、好ましくは5〜10重量%である。4重量%未満であると伸びが低下すると共にフローマーク外観が悪くなり、15重量%を越えると剛性が低下する。
【0016】
(C)ポリエチレン成分量
(ア)ポリエチレン成分量の測定
プロピレン−エチレンブロック共重合体中のポリエチレン成分量は、(A)成分の(ア)の方法で得られるp−キシレン不溶部分のエチレン量(測定方法は(B)成分のエチレン単位量測定法と同じ)Etinsol と、(B)成分の(ア)の方法で得られるp−キシレン可溶部分の量Fsol を用い、以下の式で計算される。
ポリエチレン成分量(重量%)=100×[{(100−Fsol )/100}×Etinsol ]/[{(100−Fsol )/100}×Etinsol +Fsol
【0017】
上記(C)成分において、プロピレン−エチレンブロック共重合体中のポリエチレン成分量は15重量%以下であり、好ましくは13重量%以下である。15重量%を越えると、成形品の引張り破断伸び率が不足する。
また、上記(1)成分のプロピレン−エチレンブロック共重合体のメルトインデックス(MI)は110〜200g/10minであり、好ましくは130〜180g/10minである。110g/10min未満であると流動性が不足し、200g/10minを超えると耐衝撃性が不足する。さらに、本ポリプロピレン組成物全体を100重量%とした場合、上記(1)成分のプロピレンーエチレンブロック共重合体が55重量%未満だと剛性が不足し、60重量%を越えると低温での耐衝撃性が不足する。
【0018】
(2)ゴム成分
(D)スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)又はスチレン−エチレン−1−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、及び(E)オレフィン系エラストマー
(ア)SEPSのスチレン重合部の含有量の測定
SEPSのH−NMRスペクトルを測定した結果、図1に示したスペクトルが得られる。このスペクトルのA領域(TMS(テトラメトキシシラン)換算の化学シフト6.2〜7.3ppm)、B領域(5.0〜5.2ppm)及びC領域(0.6〜2.4ppm)に存在する吸収ピークの面積強度をそれぞれI,I及びIとし、SEPSのスチレン量Stw(SEPS)(重量%)を以下の式で求めた。
Stw(SEPS)(重量%)=104×(I/5)/[104×(I/5)+68×I+70×{I−3×(I/5)−7×I}/10]
【0019】
なお、SEPSのH−NMRスペクトルは以下の条件で測定した。
溶媒 :重水素化クロロホルム
濃度 :20mg/0.5ml
溶解温度 :室温
測定装置 :日本電子社製 JNM−LA500NMR装置
パルス幅 :11μs/45°
パルス線り返し時間:9s
測定温度 :室温
積算回数 :256回
【0020】
(イ)SEBSのスチレン重合部の含有量の測定
SEBSのH−NMRスペクトルを測定した結果、図2に示したスペクトルが得られる。このスペクトルのA領域(TMS換算の化学シフト6.0〜7.4ppm)、B領域(5.18〜5.6ppm)、C領域(4.8〜5.18ppm)、D領域(0.97〜2.3ppm)及びE領域(0.5〜0.97ppm)に存在する吸収ピークの面積強度をそれぞれI,I,I,I及びIとし、SEBSのスチレン量Stw(SEBS)(重量%)を以下の式で求めた。
Stw(SEBS)(重量%)=104×(I/5)/[104×(I/5)+54×{(I−I/2)/2+I/2}+56×{I−3×(I/5)−3(I/2)−4(I−I/2)/2−5×(I/3)}/8]
なお、SEBSのH−NMRスペクトルはSEPSと同じ条件で測定した。
【0021】
(ウ)メルトフローレート(MFR)の測定
JIS K7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定する。
【0022】
上記(D)成分において、SEPS及び/又はSEBSのスチレン重合部の含有量は、10〜25重量%であり、好ましくは13〜20重量%である。25重量%を越えると、硬化して相溶化剤として十分機能しないため、耐衝撃性が不充分で、10重量%未満では、接着強度が不足し耐衝撃性が不充分である。SEPS及び/又はSEBSのMFRは1〜10g/10minであり、好ましくは2〜6g/10minである。1g/10min未満であると流動性が不足し、10g/10minを越えると成形品の耐衝撃性が不足する。
【0023】
(エ)オレフィン系エラストマーの密度の測定
オレフィン系エラストマーの密度は密度勾配管を用いて測定した. 密度勾配管は、高分子の固体構造IIの(共立出版)p308〜311の記述に従い、軽液としてエタノールを、重液として水を用いて測定した。
(オ)メルトインデックス(MI)の測定
JIS K7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定する。
【0024】
上記(E)成分のオレフィン系エラストマーの密度は0.85〜0.87g/cmであり、好ましくは0.855〜0.867g/cmである。0.85g/cm未満であると硬度が不足し、0.87g/cmを越えると、焼き付け塗装時の寸法変化(加熱時寸法変化)が大きくなり成形品として使用できない。オレフィン系エラストマーのMIは0.5〜5g/10minであり、好ましくは1〜5g/10minである。0.5g/10min未満であると流動性が不足し、5g/10minを越えると耐衝撃性が不足する。
【0025】
上記(D)成分の重量xと(E)成分の重量yとした際のx/(x+y)の値は、0.05〜0.3であり、好ましくは0.15〜0.25である。0.3以上であると焼き付け塗装時の寸法変化(加熱時寸法変化)が大きくなり無塗装(素地)部分と塗装(加熱後)部分の寸法差が顕著になるため、自動車にくみつけける際に組み付け位置が合わないなどの不具合が生ずる。0.05以下であると、成形品の耐衝撃性が低下する。
【0026】
また、本ポリプロピレン組成物全体を100重量%とした場合、上記(2)成分のゴムは、20重量%未満だと低温での耐衝撃性が不足し、25重量%を越えると剛性が不足する。
【0027】
(3)タルク
(ア)タルクの平均粒径の測定
タルクの平均粒径は、「粒子計測技術(粉体工学学会編、日刊工業新聞社、平成6年11月1日発行) 」の測定原理に基づき、レーザ光回折散乱方式の粒度分布計を用いて測定した。
測定機器としては、島津製作所製SALD−2000 を用いた。なお、測定する際、タルクの屈折率は1.60−1.10iとした。
(イ)タルクの組成の測定
タルク内に含有するSiOはJIS G1312に記載の二酸化ケイ素重量法に従い求めた。またタルク内に含有するMgOの量は、以下の方法で求めた。まず、硝酸5cc、フッ酸20cc及び硫酸100ccに水10ccを加えた溶液にタルクを溶解し、その溶液を白金皿上で蒸発乾固させる。その後、塩酸に溶解し得られた溶液をICP発光分析法により分析してCaの量を求める。このICP測定の際に用いた溶液を、0.05mol/lのEDTAで滴定しMg+Caの量を求め、この値から前記Caの量を差し引いてMgの量を求め、タルク内のMgOの量を決定した。
(ウ)タルクの広角X線散乱測定
タルクの広角X線散乱測定は、理学電子製RU−200回転対陰極型発生装置にて行った。タルクの2θ=8〜10度の範囲にあるピークの強度(I(8−10))及び散乱角2θ=(32±1)度の範囲にあるピークの強度(I(32±1))は、各ピークで最大値をとる角度における散乱のべ一スラインからの高さを評価することにより求めた。
散乱角2θ=(32±1)度の範囲にあるピークの強度の2θ=8〜10度にあるピークの強度に対する強度比Rは以下の式で算出した。
R=100×I(32±1)/I(8−10)
【0028】
上記(3)成分のタルクの平均粒径は3〜6μmであり、好ましくは3〜5μmである。3μm未満であると、凝集しやすくなり、混練時に微分散しにくくなる。6μmを越えると剛性及び耐衝撃性が不足する。
また、タルク内に含有されるSiOの含有量が58〜63重量%、MgOの含有量が30〜33重量%の範囲外の場合、又は広角X線回析像における散乱角2θ=(32±1)度の範囲にあるピークの強度の2θ=8〜10度にあるピークの強度に対する強度比Rが10%を超えた場合、剛性が不足する。
さらに、本ポリプロピレン組成物全体を100重量%とした場合、23重量%を越えると成形品の耐衝撃性が不足し、18重量%未満だと剛性が不足する。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
(触媒の調製)
(i) マグネシウム化合物の調製
内容積6リットルの攪拌機付きのガラス製反応器を窒素ガスで充分に置換し、エタノール(和光製薬社製、試薬特級) 約2400g、ヨウ素(和光製薬社製、試薬特級)16g及び平均粒径350μmの顆粒状金属マグネシウム160gを仕込み、攪拌しながら還流条件下で系内から水素ガスの発生がなくなるまで、加熱下で反応させ、固体状反応生成物を得た。この固体状生成物を含む反応液を減圧下で乾燥させることにより、マグネシウム化合物(固体生成物) を得た。
【0030】
(ii)固体触媒成分の調製
窒素ガスで充分に置換した内容積500ミリリットルのガラス製三口フラスコに、上記(1)で得られたマグネシウム化合物16g、精製ヘプタン80ミリリットル、四塩化ケイ素2.4ミリリットル及びフタル酸ジエチル2.3ミリリットルを仕込んだ。系内を90℃に保ち、攪拌しながら四塩化チタン77ミリリットルを投入し、110℃で2時間反応させた後、さらに四塩化チタン122ミリリットルを加え、110℃で2時間反応させ、次いで精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒成分を得た。
【0031】
(iii) 予備重合
5リットルのガラス製攪拌機及び温度計付き三口フラスコを用いて、モレキュラーシーブ(4A)及び窒素バブリングにより、脱水されたヘプタンを窒素気流下で4 リットル投入した後、常温(25℃)にて、まずトリエチルアルミニウム(TEA)26.8ミリモル、次にジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)2.5ミリモル、さらに固体触媒成分をTi原子当たり5.3ミリモル(14.9g−固体触媒) を攪拌しながら添加した。次に攪拌しながら常温にてプロピレンを連続投入し、固体触媒当たり0.3倍量のプロピレンが生成するように実施、これを予備重合触媒として以下の重合に使用した。
【0032】
(ポリプロピレン組成物の合成)
合成例1(PP−1)
▲1▼プロピレン重合
よく窒素置換し、乾燥した10リットルの耐圧オートクレーブにモレキュラーシーブでよく脱水されたn−ヘプタン6リットルを窒素気流中で仕込んだ。次いでTEA7.5ミリモル及びDCPDMS0.5ミリモルを加えた後、80℃にて窒素をプロピレンで置換後、水素3.6kg/cmを精密ゲージにて導入し、さらにプロピレンを8.0kg/cmGになるまで攪拌しながら導入した。上記(iii) で得られた予備重合触媒をTi原子換算で0.05ミリモル仕込んだ後、8.0kg/cmGになるようにプロピレンを連続的に導入するとともに、重合温度を80℃に保持して120分反応を行った。
【0033】
▲2▼プロピレン−エチレン共重合
系内脱圧後にオートクレーブ内をプロピレンで置換し、水素を0.015kg/cmG導入した。エチレン/プロピレンを流量比0.1/1.0で連続的に導入し、圧力5.0kg/cmG、57℃で20分間重合を行った。系内を再び脱圧して少量サンプリングした後、オートクレーブ内をプロピレンで置換した。次に、水素は入れずにエチレン/プロピレンを流量比0.3/1.0で連続的に導入し、圧力5.0kg/cmG、57℃で25分間重合を行った。
大気圧まで脱圧し、n−ヘプタンを含む重合パウダーをステンレス鋼製の400メッシュの金網を用いて57℃で分離、さらに57℃のヘプタン4リットルを用いて30分間攪拌洗浄後、再び400メッシュの金網でパウダーを分離し、乾燥させてプロピレン−エチレン共重合体2300gを得た。前記サンプリングしたポリマーについても同様にしてろ過した。
【0034】
合成例2(PP−2)
▲1▼プロピレン重合
よく窒素置換し、乾燥した10リットルの耐圧オートクレーブにモレキュラーシーブでよく脱水されたn−ヘプタン6リットルを窒素気流中で仕込んだ。次いでTEA7.5ミリモル及びDCPDMS0.5ミリモルを加えた後、80℃にて窒素をプロピレンで置換後、水素4.0kg/cmGを精密ゲージにて導入し、さらにプロピレンを8.0kg/cmGになるまで攪拌しながら導入した。
上記(iii) で得られた予備重合触媒をTi原子換算で0.05ミリモル仕込んだ後、8.0kg/cmGになるようにプロピレンを連続的に導入するとともに、重合温度を80℃に保持して120分間1段目の反応を行った。次に、オートクレーブ内をプロピレンで置換した後、水素を0.2kg/cmG導入し、80℃に保持しながら4.0kg/cmGまで昇圧して30分間2段目の重合を行った。このプロピレン重合における1段目と2段目の反応重量比を積算流量計の値をもちいて算出したところ、2段目の反応量は全反応量の8%であった。
【0035】
▲2▼プロピレン−エチレン共重合
系内脱圧後にホモプロピレン重合体を少量サンプリングした後、オートクレーブ内をプロピレンで置換し、水素を0.01kg/cmG導入した。エチレン/プロピレンを流量比0.35/1.0で連続的に導入し、圧力5.0kg/cmG、57℃で20分間重合を行った。
大気圧まで脱圧し、n−ヘプタンを含む重合パウダーをステンレス鋼製の400メッシュの金網を用いて57℃で分離、さらに57℃のヘプタン4リットルを用いて30分間攪拌洗浄後、再び400メッシュの金網でパウダーを分離し、乾燥させてプロピレン−エチレン共重合体2150gを得た。
【0036】
合成例3(PP−3)
▲1▼プロピレン重合
合成例1において、系内に導入する水素の量を3.2kg/cmとした以外は同様にして、反応を行った。
▲2▼プロピレン−エチレン共重合
合成例2において、系内に導入する水素の量を0.01kg/cmとし、エチレン/プロピレンの流量比を0.3/1.0とし、25分間重合を行った以外は同様にして、プロピレン−エチレン共重合体2200gを得た。
【0037】
合成例4(PP−4)
▲1▼プロピレン重合
合成例1において、系内に導入する水素の量を3.2kg/cmGとした以外は同様にして、反応を行った。
▲2▼プロピレン−エチレン共重合
合成例2において、系内に導入する水素の量を0.01kg/cmGとし、エチレン/プロピレンの流量比を1.0/1.0とし、20分間重合を行った以外は同様にして、プロピレン−エチレン共重合体2150gを得た。
【0038】
合成例5(PP−5)
▲1▼プロピレン重合
合成例1において、系内に導入する水素の量を2.5kg/cmGとした以外は同様にして、プロピレン重合を行った。
▲2▼プロピレン−エチレン共重合
合成例2において、系内に導入する水素の量を0.15kg/cmGとし、エチレン/プロピレンの流量比を0.3/1.0とし、25分間重合を行った以外は同様にして、プロピレン−エチレン共重合体2430gを得た。
【0039】
合成例6(PP−6)
▲1▼プロピレン重合
合成例1において、DCPDMSに代えてシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMDMS)を使用し、系内に導入する水素の量を2.3kg/cmGとした以外は同様にして、プロピレン重合を行った。
▲2▼プロピレン−エチレン共重合
合成例2において、系内に導入する水素の量を0.01kg/cmGとし、エチレン/プロピレンの流量比を0.3/1.0とし、20分間重合を行った以外は同様にして、プロピレン−エチレン共重合体2350gを得た。
【0040】
上記合成例1〜6の▲1▼及び▲2▼における反応条件を表1に示す。また、得られたプロピレン−エチレン共重合体における、25℃でp−キシレンに不溶かつ沸騰n−ヘプタンに不溶な成分、25℃でp−キシレンに可溶な成分、及びポリエチレン含有量を上述した方法により測定した結果を表2に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0003572343
【0042】
【表2】
Figure 0003572343
【0043】
実施例1〜9及び比較例1〜11
表3及び4に示す配合組成で、自動車部品用ポリプロピレン組成物を製造し、各組成物から得られる成形品の物性、フローマーク及び加熱時の寸法変化を評価し同表に示す。
【0044】
1.自動車部品用ポリプロピレン組成物の配合原料
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体
上記合成例1〜6で製造したPP−1〜6のプロピレン−エチレンブロック共重合体。
(2)ゴム
(D)成分として以下に示すスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)及びスチレン−エチレン−1−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)。
SEPS:スチレン量18重量%,MFR=4.7g/10min
SEBS:スチレン量18重量%,MFR=4.0g/10min
Figure 0003572343
(3)タルク
タルク1:平均粒径=4μm、SiO=59.6重量%、MgO=31.3重量%、R=3.6%
タルク2:平均粒径=4μm、SiO=54.7重量%、MgO=32.4重量%、R=12.6%
【0045】
2.原料の混練方法
ポリエチレン−エチレンブロック共重合体、ゴム及びタルクからなる混合物に所定のフェノール系酸化防止剤を添加した後、異方向二軸混練機(神戸製綱社製:2FCM)を用いて、設定温度200℃、スクリュー回転数900回転にて機械的に混線後、押出し機にてストランドを形成した後、ペレタイザーにて造粒し、複合材料を作成した。その後充分な乾燥を行い成形用原料のペレットとした。
【0046】
3.物性の測定
上記2.で得られたペレットを、射出成形機により、射出温度210℃、射出圧力600kg/cmで成形し、物性測定用試験片を製造した。この試験片を用い曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度、引張り破断伸び率及び脆化温度を測定した。
(1)曲げ弾性率の測定
ASTM D790に準拠して測定した。
(2)アイゾット衝撃強度の測定
ASTM D256に準拠し、厚さ3.2mmの試験片23℃ノッチつきで測定した。
(3)引張り破断伸び率
ASTM D638に準拠して測定した。
(4)脆化温度
ASTM D746に準拠して測定した。
【0047】
4.フローマークの評価及び加熱時寸法変化の測定
上記2.で得られたペレットを、射出成形機により、射出温度240℃で、長さ420mm×幅100mm×厚さ2mmの試験片を得た。この試験片を用いフローマークの評価及び加熱時寸法変化を測定した。
(1)フローマークの評価
上記試験片に発生するフローマークの目立ち具合を、以下の基準で目視により評価した。
×:フローマークが目立ち問題となるレベル
△:フローマークがあるが問題とならないレベル
○:フローマークがほとんど目立たず良好なレベル
【0048】
(2)加熱時寸法変化の測定
まず、上記試験片を室温にて1週間放置して寸法を安定化させた後、所定部位の寸法L(mm)及び対応する部位の金型の設計寸法Lを測定し、以下の式で算出した値を成形収縮率とする。
成形収縮率=1000×(L−L)/L
次に、成形収縮率を測定した試験片を塗装焼付け条件に従って加熱した。すなわち、120℃に設定された加熱炉に試験片を入れ、炉内温度が120℃に達してから40分後に取り出し、室温にて一週間放置して寸法を安定化させた後、所定部位の寸法L’(mm)を測定し、以下の式で算出した値を加熱収縮率とする。
加熱収縮率=1000×(L−L’)/L
算出した成形収縮率と加熱収縮率との差を加熱時寸法変化とした。
加熱時寸法変化=加熱収縮率−成形収縮率
【0049】
【表3】
Figure 0003572343
【0050】
【表4】
Figure 0003572343
【0051】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の自動車部品用ポリプロピレン組成物で成形した自動車部品は、成形性が良く、曲げ弾性率や引張り破断伸び率に優れ高剛性で、耐衝撃性が高いなど機械的強度に優れながら、脆化温度とのバランスが優れるだけでなく、フローマークが発生せず良外観であり、さらには塗装焼き付け時の寸法変化が小さく、線膨張係数も小さい。このため、従来よりも薄肉な自動車部品が成形可能であり、この組成物を成形してなる自動車部品を用いることにより、自動車をより軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】スチレン−エチレン−1−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)のH−NMRスペクトルを示す図である。

Claims (4)

  1. (1)(A)極限粘度(135℃デカリン中)[η]が0.6〜0.95dl/g、立体規則性指標が98.8%以上で、25℃でp−キシレンに不溶かつ沸騰n−ヘプタンに不溶な成分が85〜96重量%
    (B)極限粘度(135℃デカリン中)[η]が5〜11dl/gで、エチレンから導かれる単位を15〜37重量%含有し、25℃でp−キシレンに可溶な成分4〜15重量%
    (C)ポリエチレン成分量が15重量%以下、メルトインデックス(230℃、2.16kgf)が110〜200g/10minであるプロピレンーエチレンブロック共重合体を組成物全体中55〜60重量%
    (2)(D)スチレン重合部と、エチレン−1−ブテン共重合部及び/又はエチレン−プロピレン共重合部とからなり、該スチレン重合部の含有量が10〜25重量%で、メルトフローレート(230℃、2.16kgf)が1〜10g/10minであるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体及び/又はスチレン−エチレン−1−ブテン−スチレンブロック共重合体と
    (E)密度が0.85〜0.87g/cm3、メルトインデックス(230℃、2.16kgf)が0.5〜5g/10minであるオレフィン系エラストマーとからなり、
    (D)成分の重量xと(E)成分の重量yが
    0.05<x/(x+y)<0.3の関係を満たすゴムを組成物全体中20〜25重量%、
    (3)レーザー回折法で測定した平均粒径が3〜6μmで、SiO2の含有量が58〜63重量%、MgOの含有量が30〜33重量%、広角X線回析像において散乱角(2θ)=32±1度の範囲にあるピークの強度が(2θ)=8〜10度の範囲にあるピークの強度の10%未満であるタルクを組成物全体中8〜23重量%配合した組成物で
    (4)メルトインデックス(230℃、2.16kgf)が30g/10min以上であることを特徴とする自動車部品用ポリプロピレン組成物。
  2. 前記(E)オレフィン系エラストマーが、エチレン−1−ブテンゴム又はエチレン−1−オクテンゴムであることを特徴とする請求項1に記載の自動車部品用ポリプロピレン組成物。
  3. 前記(D)成分の重量xと(E)成分の重量yが
    0.15<x/(x+y)<0.25の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車部品用ポリプロピレン組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン組成物を成形してなる自動車部品。
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