JP3571901B2 - 画像形成方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体である感光体の表面を帯電し、その帯電面に可視光や、ライン走査レーザ光によって、画像情報の書込をして画像形成を実行するものであり、感光体の表面電位を測定する電位測定手段を有する電子写真式の画像形成方法および装置に関する。より詳しくは、電位測定手段を用いて感光体表面の電位分布を測定し、該電位分布により各工程の制御を行い、温湿度変化等の環境変動に対しても良好な画質を極めて長期にわたって安定して供給する電子写真式の画像形成方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在の電子写真式の画像形成装置は、複写機だけでなく、近年需要の伸びの著しいコンピュータ等の出力手段であるコンピュータ、ワードプロセッサの出力手段としてのプリンタを加え、広く利用されている。その使用環境も多岐にわたり、たとえば環境変動による出力画像の濃度の変動を防止する手段など、様々な画像を安定化する手段がとられている。特に、こうしたプリンタは、従来のオフィスユースのみならず、パーソナルユースが増大したため、低コスト、メンテナンスフリーといった経済性が重視される。
【0003】
電子写真方式における出力画像は、電子写真各工程、すなわち書き込み情報の鮮鋭さ、感光体表面に形成される静電潜像の鮮鋭さ、感光体表面に形成される着色微粒子(以下、トナーという)像の鮮鋭さ、転写紙に転写された後のトナー像の鮮鋭さ、トナー定着後の像の鮮鋭さによって画質が大きく左右される。このため、より高画質な画像を得るためには、各工程の鮮鋭さを向上させる必要がある。
【0004】
図53は、周知の電子写真装置の概略図である。現在、該静電潜像を制御する方法として、内部に電位センサを有し、マクロな範囲で行った感光体表面の電位の測定結果から、帯電工程や露光工程を制御する装置や方法がある。
【0005】
この電子写真装置の構造について説明する。601は電位センサであり、602は支持体である。603は、感光体ドラムである。この感光体ドラム603は、導電性基板604と、電位変化を伴う表面605とからなる。この感光体603の表面605は、帯電器606により帯電され、画像信号付与手段607からの照射光により静電潜像が形成される。この感光体603の表面605の電位分布は電位センサ601により測定される。そして、現像器608により現像され、転写帯電器610aにおいて転写紙給紙系609からレジストローラ614を介して搬送された転写紙にトナーを転写する。転写後の転写紙は、分離帯電器610bにより分離され転写紙搬送系611を通って定着装置615に至り、定着されて機外に排出される。一方、転写後の感光体603の表面605に残留したトナーは、クリーニングユニット612のクリーニングブレード616によってかき落とされた後、残留する静電潜像は除電光源613によって消去され、これにより1工程が終了する。
【0006】
ここで、上記電子写真装置等において、電位センサを用いた感光体表面の電位の測定について説明する。まず、画像信号の露光を照射しない状態で帯電工程を制御し、暗状態の感光体表面の電位Vdarkを規定値に設定する。これにより、その時点での基準の帯電条件、すなわち印加電流値又は印加電圧値が決定する。次に、1点ないしは複数の光量で画像信号の露光を照射し、各々の状態での感光体表面電位を測定する。
【0007】
これにより得られた露光光量と感光体表面電位との相関から、露光時の感光体表面電位V1が規定値になるように、その時点での基準光量を決定する。この電位測定および制御は、電子写真装置の立ち上げ時、その他必要に応じて行われる。この方式により、Vdark、V1が一定に保たれ、画像濃度の変動がない、安定した画像を得られる。
【0008】
一方、上記のプリンタ等においても、文字だけでなく写真等を出力する機会が急増しており、電子写真の安定化に加え、微小ドットや細線の再現性向上等といった、さらなる高画質化に対する要求が高まっている。
【0009】
このような高画質化のために、感光体表面の微小範囲での静電潜像を制御する必要があり、そのためには微細な静電潜像の形状について知ることが極めて重要である。
【0010】
しかし、感光体表面に形成された静電潜像の鮮鋭さの善し悪しを判断することは、静電潜像であり直接観察できないこと、暗所で且つきわめて短時間しか持続しないため観察手段が極めて限られる。このことから、従来においては、
1.なんらかの方法で潜像を可視化する手法
2.静電潜像を電子写真工程中に電位測定手段を用いて定量化する手法
といった手法が用いられる。
【0011】
前者の手法1の例として、例えば、可視化手段としてトナーを用いて現像し、その画像を評価し、現像前の静電潜像を推測する方法等は、一般によく行われている。しかし、この方法では、現像工程後の画像を測定、分析する機構が必要になる。或いは、電子写真装置の利用者が画像評価を行う場合など、個々のばらつきが大きくなるなど、装置のコスト増加や良好な再現性の観点から適切ではない。また、評価用に転写材(コピー紙)、トナー等を必要とし、環境の点からも好ましくない。
【0012】
後者の手法2の例として、感光体表面上の電位変化を電気的に評価する方法について、いくつか報告されている。例えば、特開平5−508708号に、検知電極を用いて表面電位の均一性を測定する方法が記載されている。この方法は、電位センサを測定表面の近傍に配置し、それらを相対的に移動させることによって、電位センサに測定表面の電位に変化による誘導電流を発生させ、これを解析することにより、表面電位の均一性を測定する方法である。電位センサは、エッジを有しており、測定表面の電位変化を検知電極のエッジで検出することを特徴としている。
【0013】
また、電子写真学会誌第30巻第2号(1991)、同第4号に開示されているものがある。この例では、バイアス印加による放電防止、放竜開始電圧の高いガス(SF6)による放電防止手段を用い、電位センサを測定表面の近傍30μm程度まで近接配置し、それらを相対的に移動させることによって、電位センサに測定表面の電位変化による誘導電流を発生させ、これを解析することにより、潜像電位のエッジ部の勾配変化を測定する方法である。電位センサは、数十μm以下にするとともに、測定ギャップも数十μm以下にして検出することを特徴としている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
現在の電子写真、特にデジタル電子写真において、その解像度は600dpiから1200dpiが主力となり、これにより形成した潜像電位(以下、「デジタル潜像電位」と称する)、特に微小ドットや細線の再現性などの高画質化を、環境変動などに対しても極めて安定して確保し、明瞭な画像を安定して得ることが必要である。
【0015】
上述の公知例のように、高画質な画像を得るためには、スポット径数十μm以下のレーザー露光、LEDアレイ等により形成したデジタル潜像電位の形状、特にデジタル静電潜像の非露光部と露光部の境界における電位変化の傾き(以下、「潜像の鋭さ」と称する)、および非露光部と露光部の電位差、即ち潜像の電気的深さ(以下、「潜像の深さ」と称する)を制御すること、また潜像の深さや鋭さに応じた画像形成手段の制御を行うことが必要である。
【0016】
そのため、同様に潜像電位分布検出方法も、微小範囲におけるデジタル潜像電位の分布を高分解能で検出する必要があり、その制御構成が複雑化する。
【0017】
また、例えば高湿度環境下での使用時に画像がぼやけた感じになる「(高湿)画像流れ」に関しても、OPC等の比較的柔らかい感光体では、感光体を摺擦研磨して、一方、a−Si系の高硬度な感光体では感光体を所定の温度に調節する機構を設けて対応する場合があるが、それぞれ長寿命化や小型化が困難であるなどの課題もあり、高精度に潜像を検出、制御する必要があり、電位制御にかかる時間が長くなり、非効率である。
【0018】
また、上述のようなマクロなコントラストを制御する方式では、微視的には、潜像深さや潜像鋭さが、環境その他の要因により変動する場合がある。例えば上記のような「高湿画像流れ」の他、露光量が過大な場合には潜像が広がることにより微細ドット再現性が確保できなかったり、画像がぼやけた状態になる「画像流れ」という現象が起きる場合がある。
【0019】
また、数十μmの輻で変化するデジタル潜像電位を制御するためには、検出手段の分解能も数十μm以下まで向上させることが必要である。分解能は、電位センサの検出部分の面積を小さくすることによって、ある程度は改善することができる。しかし、検出部分の面積を小さくするにつれて、検出信号の出力も小さくなってしまい、S/N比の低下を招いてしまう。
【0020】
また、検出信号の出力を大きくするためには、センサーとドラムの間隔を数十μmまで近接させる必要、及びセンサとドラムの相対速度を高める必要があるが、従来のエッジ部を有するセンサ形状では、放電が発生してしまったり、測定電位分布が歪んでしまったりして困難である。また、その放電の回避のために放電開始電圧の高いガス(SF )による放電防止手段を講ずることは装置が複雑化してしまうばかりか、センサ、感光体ドラムの相対速度を高めてゆくとガスのもれが帯電工程に悪影響を及ぼすといった弊害がある。
【0021】
こうした状況からデジタル化が進展する現在、表面電位変化を、数十μmオーダーの高分解能で測定を行うために、S/N比を確保しながら、分解能を上げる技術の確立が有効である。該測定法は小型簡易が好ましく、該測定結果により制御を行い、高画質な画像を安定して得られる電子写真装置、方法が切望されている。特に、レーザープリンタのように、実際に常用されている小型電子写真装置において、サービス間隔を拡大し得るシステムとしてきわめて有効である。
【0022】
そこで、本発明の目的は、感光体表面における静電潜像の電位分布を高精度に測定し、長期にわたって安定して高画質な画像を得ることが可能な画像形成方法および装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、感光体上に形成された潜像の電位分布の変化を電位センサにより測定し、該測定の結果に基づいて、画像の形成に係る電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する画像形成方法であって、前記感光体の表面の電位分布の変化によって、前記電位センサの検出部に誘導電流を発生させる工程と、該発生した誘導電流を検出して解析を行う工程とを具え、前記電位センサとして、測定する電位分布の変化幅に相当する長さよりも小さな幅に形成され、棒状の導電体からなる検出部を有するセンサを用い、前記電位センサの検出部をその長手方向が前記感光体の表面の法線方向と平行となるように配置した状態で、当該電位センサの検出部に誘導電流を発生させ、該発生した誘導電流を検出して積分解析することにより電位分布の変化を測定し、該測定結果に基づいて、電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御することによって、画像形成方法を提供する。
【0024】
ここで、前記棒状の電位センサの検出部を、径がl〜l00μm、前記感光体の表面の法線方向の長さが0.5〜10mmとすることができる。
【0025】
前記電位センサは、電気的にシールドされた部分を有することができる。
【0026】
前記電位センサは、前記感光体の表面に近接する側の前記検出部の径が減少して形成することができる。
【0032】
本発明は、感光体上に形成された潜像の電位分布の変化を電位センサにより測定し、該測定の結果に基づいて、画像の形成に係る電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する画像形成方法であって、前記感光体の表面の電位分布の変化によって、前記電位センサの検出部に誘導電流を発生させる工程と、該発生した誘導電流を検出して解析を行う工程とを具え、前記電位センサとして、測定する電位分布の変化幅に相当する長さよりも小さな幅に形成され、エッジを持たない検出端面が形成された検出部を有するセンサを用い、前記電位センサの検出端面を前記感光体の表面と対向配置した状態で、当該電位センサの検出部に誘導電流を発生させ、該発生した誘導電流を検出して積分解析することにより電位分布の変化を測定し、該測定結果に基づいて、電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御することによって、画像形成方法を提供する。
【0033】
ここで、前記電位センサの検出部は、厚さが1〜100μmの導電性ワイヤーからなり、長さが0.2〜10mmであり、当該検出部をその長手方向が前記感光体の表面の法線方向と平行となるように配置することができる。
【0034】
前記電位センサの検出部は、直線性および前記感光体の表面の法線方向との平行性を、前記ワイヤーの径の300%以内とすることができる。
【0035】
本発明は、感光体上に形成された潜像の電位分布の変化を測定し、該測定の結果に基づいて、画像の形成に係る電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する画像形成装置であって、測定する電位分布の変化幅に相当する長さよりも小さな幅に形成され、棒状の導電体からなる検出部を有する電位センサと、前記電位センサの検出部をその長手方向が前記感光体の表面の法線方向と平行となるように配置した状態で、前記感光体の表面の電位分布の変化により、当該電位センサの検出部に誘導電流を発生させる手段と、該発生した誘導電流を検出して積分解析することにより、前記感光体の表面の電位分布の変化を測定する手段と、該測定結果に基づいて、電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する手段と
を具えたことによって、画像形成装置を構成する。
【0036】
ここで、前記棒状の電位センサの検出部は、径がl〜l00μm、前記感光体の表面の法線方向の長さが0.5〜10mmとすることができる。
【0037】
前記電位センサは、電気的にシールドされた部分を有することができる。
【0038】
前記電位センサは、前記感光体の表面に近接する側の前記検出部の径を減少して形成することができる。
【0044】
本発明は、感光体上に形成された潜像の電位分布の変化を測定し、該測定の結果に基づいて、画像の形成に係る電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する画像形成装置であって、測定する電位分布の変化幅に相当する長さよりも小さな幅に形成され、エッジを持たない検出端面が形成された検出部を有する電位センサと、前記電位センサの検出端面を前記感光体の表面と対向配置した状態で、当該電位センサの検出部に誘導電流を発生させる手段と、該発生した誘導電流を検出して積分解析することにより、前記感光体の表面の電位分布の変化を測定する手段と、該測定結果に基づいて、電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する手段とを具えることによって、画像形成装置を構成する。
【0045】
ここで、前記電位センサの検出部は、厚さが1〜100μmの導電性ワイヤーからなり、長さが0.2〜10mmであり、当該検出部をその長手方向が前記感光体の表面の法線方向と平行となるように配置することができる。
【0046】
前記電位センサの検出部は、直線性および前記感光体の表面の法線方向との平行性を、前記ワイヤーの径の300%以内とすることができる。
【0047】
また、上記構成に、以下の構成要件を付加することができる。
【0048】
前記電位センサの前記検出部の幅は、デジタル潜像の電位変化の幅よりも小さくすることができる。
【0049】
前記誘導電流の積分解析は、当該誘導電流の値を電位の傾きとし、当該誘導電流の時間積分値を電位の深さとして解析することができる。
【0050】
前記電位センサと前記感光体との相対移動速度は、10〜l0000mm/secとすることができる。
【0051】
前記電位センサと前記感光体との相対移動中において、前記電位センサと前記感光体の表面との距離を一定間隔に保持する機構を有することができる。
【0052】
前記電位センサの前記検出部と前記感光体の表面との間隔は、10〜300μmとすることができる。
【0053】
前記電位センサの検出部は、タングステンの材質から構成することができる。
【0054】
前記電位センサを複数個配置することができる。
【0055】
前記電位分布の変化の測定結果により、少なくとも感光体の表面電位、および/または、現像手段のうちの1つ以上を制御する手段を有することができる。
【0056】
前記感光体の表面電位の制御を行う手段は、前記感光体を帯電させる帯電手段、および/または、前記感光体の表面に画像信号に対応したビームを照射する画像信号付与手段とすることができる。
【0057】
前記現像手段への制御は、現像バイアス、および/または、当該現像手段と前記感光体の表面との間の距離の制御とすることができる。
【0058】
前記感光体の表面の電位密度は、40〜400(nC/cm )とすることができる。
【0059】
前記感光体は、少なくとも非晶質珪素を主原料とするアモルファスシリコン系の感光体とすることができる。
【0060】
前記感光体は、少なくとも有機半導体(OPC)から構成することができる。
【0061】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0062】
まず、本発明の概略構成について説明する。
【0063】
本発明は、少なくとも、感光体と、感光体を帯電させる帯電工程と、潜像を形成するための露光工程と、潜像を顕像化する現像工程と、電位センサとを有する電子写真装置において、感光体上に形成された潜像の電位分布の変化を電位センサにより測定し、その測定の結果に基づいて、画像の形成に係る電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御するものである。係る発明を達成するための手法として、本例では、以下の3つの実施形態を挙げる。
【0064】
第1の実施の形態(以下、第1の手法という)として、前記感光体の表面の電位分布の変化によって、前記電位センサの検出部に誘導電流を発生させる工程と、該発生した誘導電流を検出して解析を行う工程とを具え、前記電位センサとして、測定する電位分布の変化の幅よりも小さな幅に形成され、棒状の導電体からなる検出部を有するセンサを用い、前記電位センサの検出部をその長手方向が前記感光体の表面の法線方向と平行となるように配置した状態で、当該電位センサの検出部に誘導電流を発生させ、該発生した誘導電流を検出して積分解析することにより電位分布の変化を測定し、該測定結果に基づいて、電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する。
【0065】
第2の実施の形態(以下、第2の手法という)として、前記感光体の表面の電位分布の変化によって、前記電位センサの検出部に誘導電流を発生させる工程と、該発生した誘導電流を検出して解析を行う工程とを具え、前記電位センサとして、測定する電位分布の変化の幅よりも小さな幅に形成され、板状の導電体からなる検出部を有するセンサを用い、前記電位センサの検出部に誘導電流を発生させ、該発生した誘導電流を検出して積分解析することにより電位分布の変化を測定し、該測定結果に基づいて、電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する。
【0066】
第3の実施の形態(以下、第3の手法という)として、前記感光体の表面の電位分布の変化によって、前記電位センサの検出部に誘導電流を発生させる工程と、該発生した誘導電流を検出して解析を行う工程とを具え、前記電位センサとして、測定する電位分布の変化の幅よりも小さな幅に形成され、エッジを持たない検出端面が形成された検出部を有するセンサを用い、前記電位センサの検出端面を前記感光体の表面と対向配置した状態で、当該電位センサの検出部に誘導電流を発生させ、該発生した誘導電流を検出して積分解析することにより電位分布の変化を測定し、該測定結果に基づいて、電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する。
【0067】
また、上記各手法における各種形状の電位センサは、従来の平板の導電体を用いた電位センサに比べ、2〜3倍程度良い分解能を得ることができる。また、本発明の電位センサは、検知電極の幅を小さくしても信号強度をある程度保持することができ、S/N比の良い信号を得ることができる。
【0068】
また、該電位分布の測定結果に応じて、感光体表面の電位、および/又は、上記各種工程の一つ乃至は複数を制御する機構を設ける。これにより、デジタル静電潜像の電位の分布や、現像手段等を最適な状態に高精度に保持できる。
【0069】
この結果、トナー像の鮮明さなど、画像形成の各工程が向上し、高画質な画像を安定して得ることができる。
【0070】
また、電子写真装置内の各種制御手段としては、上記内容に限らず、感光体上のデジタル潜像の電位を制御し得る手段、および/又は、デジタル静電潜像の電位をトナー像化する際の再現性を向上し得る手段であればよい。
【0071】
また、上記第1の手法において、棒状である該検出部分の感光体側を細くした、いわゆる針のように作成することによって、Z軸すなわち感光体の長軸方向の電位分布の影響も減少させ、より狭い範囲の電位分布の変化を、安定して高精度に検出できる。
【0072】
また、上記第2の手法において、板状である検出部を蒸着により作成することにより、電位分布の変化を安定して高精度に検出できる。
【0073】
以下、本発明の構成および作用を、更に詳しく説明する。
【0074】
(プロセス概要)
まず、本発明に係る複写機における画像形成プロセスを、図1〜図3に基づいて説明する。図1は前記第1の手法に係り、図2は前記第2の手法に係り、図3は前記第3の手法に係る。これらの図1〜図3における違いは、電位センサ101の構成が異なっている点である(電位センサ101の詳細な説明は後述する)。
【0075】
例えば図1において、電位測定手段としての少なくとも一つの電位センサ101と、これを支える支持体102と、矢印X方向に回転する感光体103とを有している。感光体103は、導電性基板104と、電位変化を伴う表面105とからなる。感光体103の周辺には、帯電手段である帯電器106、画像信号付与手段としての静電潜像形成部107、現像器108、転写紙供給系109、転写帯電器110a、分離帯電器110b、転写紙搬送系111、クリーナユニット112、除電光源113等が配設されている。なお、その他の基本的な構成は、前述した図53と同様である。
【0076】
以下、さらに具体例を挙げて画像形成プロセスの一例を説明する。
【0077】
感光体103は、不図示の電圧印加手段から、帯電器106により均一に帯配され、これに静電潜像形成部107の主光源から発したレーザー等の可干渉光が不図示のレンズユニット、ミラーを経由して導かれ、感光体103上に投影され、静電潜像が形成される。この潜像に現像器104から所定の極性のトナーが供給されてトナー像となる。
【0078】
一方、転写紙供給系109を通って、レジストローラ114によって先端タイミングを調整され、感光体方向に供給される転写材Pは適宜な電圧を印加した転写帯電器110aと感光体103との間隔において背面から、トナーとは反対極性の電界を与えられ、これによって感光体表面のトナー像は転写材Pに転移する。
【0079】
高圧AC電圧を印加した分離帯電器110bや、不図示の分離爪等の分離手段により、転写材は転写紙搬送系111を通って定着装置1115に至り、トナー像は定着されて装置外に排出される。感光体103上に残留するトナーは、クリーナユニット112のクリーニングブレード116によってかき落とされ、残留する静電潜像は除電光源113によって消去される。
【0080】
(電位測定手段)
次に、電位測定手段の構成を、図4〜図9に基づいて説明する。
【0081】
図4は、第1の手法である図1の電位センサ101を拡大した図である。図4に示すように、本発明の電位センサ101は、感光体103の表面105に垂直、かつ、電位センサ101と表面105との相対移動方向に平行となる面における電位センサ101の検出部が、棒状導電体であることを特徴としている。
【0082】
図5は、図4を紙面の右または左方向から見た本発明による装置の概略を表す。電位センサ101と表面105との間に相対移動が生じたとき、電位の変化量をdV、相対移動速度をdx/dtとすると、電位センサ101には、dV/dt=(dV/dx)(dx/dt)に比例する誘導電流が発生する。本発明において、電位センサ101を固定とした場合、相対移動速度は感光体103の面速度(以下、プロセススピードと称する)とすることができる。
【0083】
この方式で検出した誘導電流は、表面電位の傾きに関する情報を含んでいる。これを、積分解析することにより、表面電位分布を測定することが可能となった。解析時に用いる積分定数は、あらかじめ分布のわかっている表面を測定したときに、その分布を再現するように決定した。ただし、本発明における解析法では、電位センサ101の検出部分の幅は、測定する電位変化の幅よりも小さいことが必要である。
【0084】
上記のように、電位センサ101は棒状導電体を用いて作成することができる。該電位センサ101の材質は、金、銅、鉄、アルミニウムなど導電性のものならよいが、制作容易性や、コストの点からタングステンが適している。
【0085】
棒状にすることで、平板形状の場合と比較して、S/N比のよい信号を得ることができる。この場合、用いる導電体の最大太さ(以下、導電体径と称する)は、検出分解能を大きく左右する。基本的に細い方が望ましいが、あまり細くすると制作が困難になったり、信号強度が低下するため、該導電体径には下限がある。該導電体径は、1〜100μmの範囲内であることが望ましい。
【0086】
また、構成が棒状と単純であるため、比較的容易に、機械的に位置を調整することができる。すなわちメンテナンスが容易になる。上記範囲内において、該導電体棒の感光体側を細く加工することにより、感光体のZ軸、すなわち長軸方向の配位分布の影響を受けにくく、より微小な範囲の電位分布を検出できる。また、長軸方向で潜像形成のパターンを振る場合に有効である。
【0087】
また、電位センサ101の信号検出部分の、相対移動方向を横切る方向における長さ、即ち、感光体103の長軸方向の長さは、検出する信号の強度を左右する。あまり短いと、検出能力が低下したり、検出部分の制作が困難になる。逆にあまり長くすると、検出部である棒状導竜体の直線性やY軸への平行性が低下し、分解能の低下につながりやすい。このため、棒状導電体の長さは、0.5〜10mmの範囲内であることが望ましい。
【0088】
この場合、図1、図4、図5に示すように、検出部分は測定する表面に対し平行、かつ、相対移動方向に対し垂直になるように配置される。検出の分解能は、電位センサ103の検出部の直線性、および平行性に対する依存性が強く、検知電極の直線性、及び測定表面に平行かつ相対移動方向への歪みは、導電体径の300%以内であることが好ましい。
【0089】
また、高いS/N比を得るために、該検出部の感光体103に近接する部分以外をシールドする等、一部を電気的にシールドすることで高い効果を得られた。
【0090】
次に、図6は、第2の手法である図2の電位センサ101を拡大した図である。図6に示すように、本発明の電位センサ101は、表面105に垂直かつ電位センサ101と表面105との相対移動方向に平行となる面における電位センサ101の検出部が、板状導電体てあることを特徴としている。
【0091】
図7は、図6を紙面の右または左方向から見た本発明による装置の概略を表す模式図である。電位センサ101と表面105との間に相対移動が生じたとき、電位の変化量をdV、相対移動速度をdx/dtとすると、電位センサ101には、dV/dt=(dV/dx)・(dx/dt)に比例する誘導電流が発生する。
【0092】
この第2の手法においても、前記第1の手法と同様に、電位センサ101の検出部において誘導電流を検出し、積分解析することにより、表面電位分布を測定することが可能となった。本発明における解析法では、電位センサ101の検出部分の幅は、測定する電位変化の幅よりも小さいことが必要である。このようにして、電位センサ101は板状導電体を用いて作成することができる。
【0093】
電位センサ101の材質は、金、銅、鉄、アルミニウムなど導電性のものならよいが、制作容易性、やコストの点からタングステンが適している。
【0094】
このように板状にして、感光体103の表面105の法線方向に配置することによって、感光体103の表面105に平行に配置された従来の平板型のセンサと比較して測定点の周囲の電位分布による影響を受け難く、平板形状の場合と比較して、S/N比の良い信号を得ることができる。
【0095】
また、他の部材による検出部から解析部までの信号伝達経路の設置を簡略化できる。このため、該部材自体、或いはその接合部による抵抗等の影響を低減でき、S/N比の良い信号を得ることができる。この場合、用いる導電体の厚さは、検出分解能を大きく左右する。基本的には薄い方が望ましいが、あまり薄くすると信号強度が低下するため、導電体板厚には下限がある。導電体板厚は、1〜100μmの範囲内であることが望ましい。
【0096】
電位センサ101は、図2、図6、図7に示すように、検出部は測定する表面105に対し平行、かつ、相対移動方向に対し垂直になるように配置される。検出の分解能は、電位センサ101の検出部の直線性、及び平行性に対する依存性が強く、検知電極の直線性、及び測定表面に平行かつ相対移動方向に垂直方向(図6において、紙面に垂直方向)との平行性は、導電体板厚の300%以内であることが好ましい。
【0097】
このような検出部を有する電位センサ101は、部品点数が少なく、平行性の確保や低コスト化にも有利である。
【0098】
さらに、本発明である板状の検出部を、蒸着により作成することにより、導電体板厚、長さを均一にし、安定して高精度な検出部を得ることができた。また、制作上、上記のZ軸方向の設定が容易であり、長いセンサや、複数のセンサを作成することができる。また、高いS/N比を得るために、検出部の感光体103の表面105に面している部分以外を電気的にシールドすることも有効である。
【0099】
次に、図8は、第3の手法である図3の電位センサ101を拡大した図である。図8に示すように、本発明の電位センサ101は、表面105に垂直かつ電位センサ101と表面105との相対移動方向に平行となる面における電位センサ101の検出部の断面が、エッジを持たない形状であることを特徴としている。
【0100】
図9は、図8を紙面の右または左方向から見た本発明による装置の概略を表す模式図である。電位センサ101と表面105との間に相対移動が生じたとき、電位の変化量をdV、相対移動速度をdx/dtとすると、電位センサ101には、dV/dt=(dV/dx)・(dx/dt)に比例する誘導電流が発生する。
【0101】
この第3の手法においても、前記第1の手法と同様に、電位センサ101の検出部において誘導電流を検出し、積分解析することにより、表面電位分布を測定することが可能となった。本発明における解析法では、電位センサ101の検出部の幅は、測定する電位変化の幅よりも小さいことが必要である。
【0102】
電位センサ101は、導電性ワイヤー用いて作成することができる。このワイヤーの材質は、金、銅、鉄、アルミニウムなど導電性のものならよいが、制作容易性、やコストの点からタングステンが適している。
【0103】
電位センサ101は、感光体103の表面105に対向する断面がエッジを持たない形状であるため、電位分布を有する表面との放電を防止し、また電位分布のひずみを生じずに表面に近接することができ、該電位分布を高精度に測定することができる。この場合、用いるワイヤーの径は、検出分解能を大きく左右する。基本的にワイヤー径は、小さい方が望ましいが、小さくすると共に信号強度が低下するため、ワイヤー径には下限がある。ワイヤー径は、Φ1〜100μmの範囲内であることが望ましい。
【0104】
また、電位センサ101の信号検出部の、相対移動方向を横切る方向における長さ、即ち、感光体103の軸方向の長さは、検出する信号の強度を左右する。長くすると、信号強度は増大するが、ワイヤーの直線性や平行性が低下しやすく、分解能の低下につながりやすい。このため、ワイヤーの長さは0.2〜10mmの範囲内であることが望ましい。該ワイヤーは、図3、図8、図9に示すように、検出部は測定する表面105に対し平行、かつ、相対移動方向に対し垂直になるように配置される。検出の分解能は、電位センサ101の検出部の直線性、及び平行性に対する依存性が強く、検知電極の直線性、及び測定の表面105に平行かつ相対移動方向に垂直方向(図8において、紙面に垂直方向)との平行性は、300%以内であることが好ましい。以上が、第1〜第3の手法における電位センサ101の検出部の基本的構成である。
【0105】
そして、本発明における検出信号、即ち、誘導電流は、前述のように相対移動速度に比例している。相対移動速度を速くすることによって、信号強度が増大し、S/N比の良い信号を得ることができる。しかしながら、速すぎると、接続している回路要素等に起因する時定数の影響により、かえってS/N比が悪くなる場合が生じる。このため、相対移動速度は、10〜10000mm/secの範囲内であることが好ましい。
【0106】
また、電位センサ101と感光体103との距離は、測定毎に、必要に応じて変化させてもよい。ただし、相対移動中に電位センサ101と測定の表面105との間の間隔が変化することは、あまり好ましくない。このため、本発明では、電位センサ101と測定の表面105との間隔を所定の値に保つ手段が設けられている。これは、種々様々な手段によって達成することができる。例えば、コロやスペーサーを用いて、メカ的に一定間隔を保つ機構を設けたり、レーザー隙間センサや渦電流変位センサを用いて、間隔をモニタし、常に一定間隔を保つようにモータ等で制御を行う方法などが挙げられる。更に、間隔の設定値は測定精度に、影響を与える。表面105の電位分布を測定するためには、間隔は小さい方が望ましい。しかし、あまり間隔を小さくしすぎると、電位センサ101と感光体103の表面105との間で電界が乱れてしまう場合が生じる。このため、電位センサ101と測定物である感光体103の表面105との間隔は、10〜300μmの範囲内であることが好ましい。
【0107】
この形状の電位センサ101は、従来の平板の導電体を検知電極に用いた電位センサ101に比べ、2〜3倍程度良い分解能が得られる。また、本発明による電位センサ101は、検知電極の太さを小さくしても、信号強度をある程度保つことができ、S/N比の非常に良い信号を得ることができる。
【0108】
上述の測定法では、1つの電位センサ101からの信号では、相対移動方向の1次元の電位分布を得ることができる。
【0109】
本発明では、更に、複数の電位センサ101を配備することにより、測定する表面105の2次元の電位分布を測定することが可能である。これら複数の電極は、相対移動方向を横切る方向、即ち、図1〜図9に示す装置において、感光体103の長軸方向、即ち相対移動方向に直角に並べて配備することができる。
【0110】
これまでに示した装置構成においては、電位センサ101と表面105との相対移動は、感光体103の回転により生じている。即ち、電位センサ101を固定とし、感光体103の表面105が可動である。しかしながら、電位センサ101は必ずしも固定である必要はなく、感光体103に対して可動となる構成においても適用することが可能である。例えば、電位センサ101を感光体103の回転方向に対して所定の速度で移動又は振動させ、信号強度を増大させることもできる。その際、相対移動速度dx/dtは電位センサ101の移動速度も加味する必要がある。
【0111】
(制御)
上述したような電位測定手段を用いて、高画質な画像を得るために、本発明では、感光体103のデジタル潜像電位の形状、特にデジタル静電潜像の潜像の鋭さ、および潜像の深さを制御する。また逆に、潜像の深さ、鋭さに応じた画像形成工程の制御を行う。本発明者らは、鋭意検討の結果、上記の電位測定手段によって検出したデジタル潜像の電位分布、画像形成の各工程の、一方或いは両方を制御し、高画質な画像を得られる電子写真装置、および方法を見出した。
【0112】
(画像形成の制御)
潜像の深さおよび鋭さに応じた画像形成工程の制御により、トナー現像の形成を最適な状態に保持することができ、これにより高画質な画像を得ることができる。例えば、下記のようにデジタル潜像の電位分布に応じて現像工程を制御することができる。
【0113】
1.現像バイアスを変化させる制御。
【0114】
***均一な画質、ダウンタイム短縮、メンテ間隔アップ***
図10は、現像手段である現像器108の概略構成を示す。現像器108は磁性体401を内蔵し、トナーを感光体103の表面近傍に運ぶ現像スリープ402と、該トナーがシリンダーへコートされる量を規制する手段としてのドクターブレード403と、現像スリーブ402に現像バイアスを印加する不図示の電圧印加手段と、該トナーを蓄えておくトナー溜め404とからなる。現像時には、現像スリーブ402に現像バイアス(ac+dc)が印加される。トナーの挙動は、該トナーの構成により異なり、大きく2種類に分別できる。
【0115】
「1成分系」
トナーは、現像バイアスの特にac成分と現像シリンダー内の磁性体401の磁力の相関により、現像スリーブ402と感光体103との間を高速でジャンプしながら往復している。トナーの極性と、現像バイアスの特にdc成分と、感光体103の表面105の電位の相関により、トナーが感光体103の表面105に現像される。
【0116】
「2成分系」
トナーは、現像スリーブから連鎖しながら感光体103の表面105側に伸び、いわゆる磁気ブラシ状に接触している。該トナーは、現像バイアスの特にdc成分と現像シリンダーの磁力との相関により、感光体103の表面105に現像される。これらの現像工程において、デジタル静電潜像に応じて、現像手段の制御を行うことによって、高画質なトナー像を得ることができる。
【0117】
具体的には、潜像の深さに応じて現像バイアスを制御することなどが挙げられる。
【0118】
図11は、デジタル静電潜像と現像バイアスとの相関を模式的に示したものである。一般に、デジタル静電潜像の暗電位Vdarkと露光部電位VIとの中間近傍に、現像バイアスのdc成分が設定されている。
【0119】
本発明では、何らかの都合によりVdark、VIの一方乃至は両方が変化した場合、該電位に応じて現像バイアスdc成分を変化させることによって、適正なトナー現像を得ることができる。VIが増加し、潜像の深さが浅くなった場合には、現像バイアスdc成分を増加方向に変化させる。逆に、Vdarkが低下した場合には、現像バイアスを低下させる。この方式により潜像の深さが変化した場合においても、均一な画質を得ることができる。
【0120】
また、Vdark、VIを再設定する必要がなく、制御が短時間で済む。このため、使用時にリアルタイムで制御可能であり、制御の待ち時間を解消乃至は大輻に減少できる。さらに、帯電手段の能力低下によるVdark低下、露光手段の能力低下によるVI増大といった場合でも制御できる。その結果、サービスメンテナンス間隔を長期化することができる。なお、これらの記載は現像バイアスac成分の制御を行うことを妨げるものではない。
【0121】
2.現像〜感光体間の距離(SDギャップ)を変化させる制御。
【0122】
***SDギャップ制御してかぶり減少***
また、デジタル潜像電位の鋭さに応じてSDギャップを制御することにより、不要な部位までトナー現像が生じる、いわゆる「かぶり」を抑制することができる。
【0123】
本発明の測定方法により検出されるVdark領域とVI領域の境界が不明瞭、すなわち、潜像の鋭さが小さい場合、SDギャップを制御することにより、トナーが現像される領域を変化させ「かぶり」のない画像を得ることができる。
【0124】
本発明では、デジタル静電潜像の電位分布を検出し、その鋭さが小さい場合にはSDギャップを小さくすることにより、境界部の現像を抑制する、或いは逆にSDギャップを大きくして境界部の現像を助長することができる。
【0125】
特に、2成分トナーの系ではこの効果が大きい。これは、現像スリーブと感光体103との間であまり大きく位置変化をしない系では、SDギャップの増加すなわちスリーブと先端部のトナーの距離の増加に伴い、該先端部のトナーに対する該スリーブの磁力の効果が減少することによるものと思われる。
【0126】
なお、トナーのジャンプ移動や連鎖接触の点、或いは装置内のトナー飛散防止などの点から、SDギャップがあまり大きいのは好ましくない。また近すぎると、トナーや現像スリーブなどの現像手段と感光体103との間で放電が発生し潜像に影響を及ぼす、或いはトナーの運動が妨げられ感光体103や現像手段等を損傷する場合がある。このため、SDギャップは、100〜400μmの範囲内であることが好ましい。
【0127】
さらに、上記相関と、現像手段側の現像バイアス値、トナーの重量、電荷密度等とから、より適した範囲にSDギャップを制御することも有効である。SDギャップを制御する手段は、電位センサ101と感光体103との距離を保持する手段に準じるなど多くの方法がある。
【0128】
(潜像電位分布の制御)
上記の例とは逆に、デジタル静電潜像を制御することができる。
【0129】
潜像の深さおよび鋭さは、感光体103により、画像形成工程により制御でき、これにより、高画質化やウェイト時間の短縮が可能になる。
【0130】
3.Vdark、VIを変化させる。
【0131】
***最適な潜像を形成する範囲で使用する***
デジタル潜像の深さは、一定値以上を有していることが好ましい。また、微小な格子等の明瞭な画像を得るためには、露光部と非露光部の境界部の電位が明確に分離していること、即ち潜像の鋭さが高いことが好ましい。一方、最適なデジタル静電潜像を得られる電位の範囲は、感光体や、その使用条件によっても異なる。潜像深さと潜像鋭さとを総合的に最適な状態で設定することにより、画像信号をより良く再現する、鮮鋭なデジタル潜像を得ることができる。
【0132】
具体的には、静電潜像の電位分布から、帯電手段、かつ/又は、画像信号付与手段を制御する。静電潜像を制御する方式であり、Vdark、VIの絶対値は必ずしも一定ではない。
【0133】
***電位制御時間の短縮***
また、上述のように、従来は帯電手段を制御してVdark、その後画像信号付与手段を制御しながらVIの順に設定を行っていた。この電位制御の間はウェイト状態となり、実際の使用は制限されるため、特にネットワーク上のプリンタ等、連続して使用される場合など電位制御時間の短縮が重要になっている。
【0134】
本発明における電位測定手段では、デジタル静電潜像としてVdark、VIを同時に測定できるため、帯電手段、画像信号付与手段を同時に制御できる。その結果、電位制御に要する時間を短縮できる。
【0135】
4.感光体の電気量を規定する
***電気容量が40(nC/cm )乃至400(nC/cm )の感光体103を使用する***
本発明の電位測定手段では、上述の測定原理から、潜像部の電荷量の差が大きい方が好ましい。そのため感光体103の電気容量は大きい方が好ましい。しかしあまり大きすぎると、印加電圧や印加電流などの帯電条件或いは露光強度等の画像信号付与の条件の調整量を増加させる必要がでるなど、電子写真装置が複雑になったり、大型化する場合がある。そのため、感光体103としては、潜像でVdarkとVIの電気量差が40(nC/cm )乃至400(nC/cm )の範囲内で使用できるものが好ましい。
【0136】
好適な感光体103の形態として、非晶質珪素を主原料とする感光体=アモルファスシリコン系感光体(以下、a−Si感光体と称する)および有機半導体からなる感光体(OPC)がある。
【0137】
a−Si系感光体は、比較的電気容量が大きいため、電位差当たりの電気量差が大きくなる。そのため、VdarkとVIともに低い領域での使用が可能である。
【0138】
一方、OPCでは、逆に電気量差が小さくなる。このような感光体103では電気量差を増やすためにVdarkを大きく設定し、VIとの電位差を大きくなるように使用すればよい。感光体103により、適した電位設定を選択することにより、鮮鋭なデジタル潜像を得ることができる。
【0139】
(a−Si系感光体)
本発明に係るa−Si系感光体は、周知の、導電性支持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料から成る光導電層を有する感光層とから構成される感光体でも構わないが、必要に応じて特性を向上させたものを用いる。
【0140】
本発明の、特性を向上させたa−Si系感光体は、光導電層は10〜30原子%の水素を含み、光吸収スペクトルの指数関数裾(アーバックテイル)の特性エネルギーが50〜60meVであって、かつ局在状態密度が1×1014〜1×1016cm−3であることを特徴としている。
【0141】
上記したような構成をとるように設計された画像形成装置用感光体は、帯電能の温度依存性を初め、極めて優れた電気的、光学的、光導電的特性、画像品質、耐久性および使用環境特性を示す。
【0142】
以下、図面に従って本発明の光導電部材について詳細に説明する。
【0143】
図12〜図17は、本発明の画像形成装置用感光体の層構成を説明するための模式的構成図である。図12に示す画像形成装置用感光体700は、感光体用としての支持体701の上に、感光層702が設けられている。該感光層702は、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層703で構成されている。図13は、本発明の画像形成装置用感光体の他の層構成を説明するための模式的構成図である。
【0144】
図13に示す画像形成装置用感光体700は、感光体用としての支持体701の上に、感光層702が設けられている。該感光層702はa−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層703と、アモルファスシリコン系表面層704とから構成されている。
【0145】
図14は、本発明の画像形成装置用感光体の他の層構成を説明するための模式的構成図である。図14の画像形成装置用の感光体700は、感光体用としての支持体701の上に、感光層702が設けられている。該感光層702は、a−Si:H,Xからなり、光導電性を有する光導電層703と、アモルファスシリコン系表面層704と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層705とから構成されている。
【0146】
図15および図16は、本発明の画像形成装置用感光体のさらに他の層構成を説明するための模式的構成図である。図15、図16に示す画像形成装置用の感光体700は、感光体用としての支持体701の上に、感光層702が設けられている。該感光層702は、光導電層703を構成するa−Si:H,Xからなる電荷発生層707ならびに電荷輪送層708と、アモルファスシリコン系表面層704とから構成されている。
【0147】
(支持体)
支持体701としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。
【0148】
また、支持体701の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状又は板状無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置用感光体700を形成し得るように適宜決定するが、支持体701は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上とされる。
【0149】
特に、レーザー光などの可干渉性光を用いて像記録を行う場合には、可視画像において現われる、いわゆる干渉縞模様による画像不良をより効果適に解消するために、光生成キャリアの減少が実質的にない範囲で支持体701の表面に凹凸を設けてもよい。支持体701の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−168156号公報、特開昭60−178457号公報、特開昭60−225854号公報、特開昭61−231561号公報等に記載された公知の方法により作成される。
【0150】
また、レーザー光等の可干渉光を用いた場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消するさらに別の方法として、感光層702内、或いは感光層702の下側に光吸収層等の干渉防止層或いは領域を設けてもよい。
【0151】
また、支持体710の表面に微細なキズをつけることにより、感光体表面の微細粗さを制御することもできる。キズの作成は、研磨材を使用してもよいし、化学反応によるエッチングやプラズマ中のいわゆるドライエッチング、スパッタリング法等を用いてもよい。この際、キズの深さ、大きさは、光生成キャリアの減少が実質的にない範囲であればよい。
【0152】
(光導電層)
本発明において、その目的を効果的に達成するために、支持体701上、必要に応じて下引き層(不図示)上に形成され、感光層702の一部を構成する光導電層703は、真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定されて作成される。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することがてきる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される画像形成装置用感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、所望の特性を有する画像形成装置用感光体を製造するに当たっての条件の制御が比較的容易であることから、グロー放電法、特に、RF帯、μW帯又はVHF帯の電源周波数を用いた高周波グロー放電法が好適である。
【0153】
グロー放電法によって光導電層703を形成するには、基本的には周知のごとくシリコン原子(SDを供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/およびハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部が減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置されてある所定の支持体701上にa−Si:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0154】
また、シリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるために、光導電層703中に水素原子または/およびハロゲン原子が含有されることが必要であるが、水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量はシリコン原子と水素原子または/およびハロゲン原子の和に対して10〜30原子%、より好ましくは15〜25原子%とされるのが望ましい。
【0155】
そして、形成される光導電層703中に水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるように図り、本発明の目的を達成する膜特性を得るために、これらのガスに更にH2および/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望旦混合して層形成することが必要である。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0156】
また、本発明において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得るハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。
【0157】
本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F )、BrF、CIF、CIF 、BrF 、BrF 、IF 、IF 等のハロゲン間化合物を挙げることができる。
【0158】
ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF 、Si 等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0159】
光導電層703中に含有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体701の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0160】
本発明においては、光導電層703には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層703中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0161】
前記伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表IIIb族に属する原子(以後、第IIIb族原子と略記する)またはn型伝導特性を与える周期律表Vb族に属する原子(以後、第Vb族原子と略記する)を用いることができる。
【0162】
第IIIb族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb×ピスマス(BD等があり、特にP、Asが好適である。
【0163】
光導電層703に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは1×10−2〜1×10 原子ppm、より好ましくは5×10−2〜5×10 原子ppm、最適には1×10−1〜1×10 原子ppmとされるのが望ましい。
【0164】
伝導性を制御する原子、たとえば、第IIIb族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、光導電層103を形成するための他のガスとともに導入してやればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。
【0165】
そのような第IIIb族原子導入用の原料物質として、具体的には、硼素原子導入用としては、B 、B10、B 、B11、B10、B12、B14等の水素化硼素、BF 、BC1 、BBr 等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl 、GaCl 、Ga(CH 、InCl 、TlCl 等も挙げることができる。
【0166】
第Vb族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH 、P 等の水素化燐、PH I、PF 、PF 、PCl 、PCI 、PBr 、PBr 、PI 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、AsH 、AsF 、AsCI 、AsBr 、AsF 、SbH 、SbF 、SbF 、SbCl 、SbCI 、BiH 、BiCl 、BiBr 等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることができる。
【0167】
また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じて、H および/またはHeにより希釈して使用してもよい。
【0168】
さらに、本発明においては、光導電層703に炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子を含有させることも有効である。炭素原子および/または酸素原子/およびまたは窒素原子の含有量はシリコン原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子の和に対して、好ましくは1×10−5〜10原子%、より好ましくは1×10−4〜8原子%、最適には1×10−3〜5原子%が望ましい。炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良いし、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0169】
本発明において、光導電層703の層厚は、所望の電子写真特性が得られることおよび使用状態における電気容量が前述の範囲に収まることや、経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは20〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最適には25〜40μmとされるのが望ましい。さらに、支持体701の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃、最適には250〜310℃とするのが望ましい。
【0170】
光導電層を形成するための支持体温度、ガス圧等の条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0171】
(表面層)
本発明においては、上述のようにして支持体701上に形成された光導電層703の上に、更にアモルファスシリコン系の表面層704を形成することが好ましい。この表面層704は自由表面706を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。表面層704は、アモルファスシリコン系の材科であればいれずの材質でも可能であるが、例えば、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン(以下、a−SiC:H,Xと表記する)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下、a−SiO:H,Xと表記する)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiN=H,X」と表記する)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン(以下、a−SiCON:H,Xと表記する)等の材料が好適に用いられる。
【0172】
該表面層704は、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法など周知の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される画像形成装置用感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、感光体の生産性から光導電層と同等の堆積法によることが好ましい。
【0173】
例えば、グロー放電法によってa−SiC:H,Xよりなる表面層704を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得る、Si供給用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/およびハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原科ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電層703を形成した支持体701上に、a−SiC:H,Xからなる層を形成すればよい。表面層をa−SiCを主成分として構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対して、30%から90%の範囲が好ましい。
【0174】
また、表面層内の水素含有量を30原子%以上70%以下に制御することで、電気的特性面および高速連続使用性において飛躍的な向上を図り、表面層の高い硬度を確保できる。表面層中の水素含有量は、H ガスの流量、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0175】
表面層704中に含有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体701の温度、水素原子または/およびハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有されてもよいし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があってもよい。
【0176】
さらに本発明においては、表面層704には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層704中に万偏なく均一に分布した状態で含有されてもよいし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0177】
前記の伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、「第IIIb族原子」または「第Vb族原子」を用いることができる。
【0178】
また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0179】
本発明における表面層704の層厚としては、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいものである。層厚が0.01μmよりも薄いと、感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3μmを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下がみられる。
【0180】
その他に、表面層として炭素を主体として、内部かつ/又は最表面にフッ素との結合を有する非晶質炭素膜(以下、a−C:H:Fと表記する)を使用してもよい。
【0181】
a−C:H:Fは撥水性に優れ、低摩擦であり、環境対策ヒーターを除去した状態においても高湿環境下での画像のボケを防止する効果がある。また、トナー粒子等による機械的な摩擦による感光体の損傷を低減乃至は防止できる。
【0182】
表面層704がa−C:H:Fから成る場合の例を示す。原料ガスとしては炭化水素を用い、高周波によりグロー放電分解して作成される。表面保護層としては透明度が高い方が感度の低下が少なく好都合であるので、必要に応じて水素や、ヘリウム、アルゴン等のガスが適宜混合される。また、基板温度は、室温から350℃までで適宜に温度調整される。
【0183】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH 、C 、C 、C10等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、炭素供給効率の良さ等の点でCH 、C が好ましいものとして挙げられる。また、これらの炭素供給用の原料ガスを必要に応じて、H 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0184】
高周波電力については、できるだけ高い方が炭化水素の分解が充分に進むため好ましいが、異常放電が発生してしまい、電子写真感光体の特性を劣化させるので、異常放電が発生しない程度の電力に抑える必要がある。具体的には、炭化水素の原料ガスに対して10W/cc以上が好ましく、適宜調整される。
【0185】
放電空間の圧力については、100mmTorr以下、より好ましくは50mTorr以下、更に好適には10Torr以下、圧力の下限は放電が安定して立つ領域であればよい。
【0186】
フッ素原子が膜中に結合した領域を作成するためには、a−Cからなる表面保護層を作成した後にフッ素を含有したガスを導入し、適宜な高周波電力でプラズマを発生させて表面保護層のエッチング処理を行うことによって表面保護層の膜中にフッ素原子を含有させる。また、電力は、10Wから5000Wまで、各々のエッチング速度に鑑み、適宜決定される。また、同様に処理空間の圧力も1mTorrから数Torrの範囲で適宜決定される。
【0187】
本発明の効果を得るために用いられるフッ素系のガスとしては、CF 、CHF 、C 、CIF 、CHCIF 、F 、C 、C10等のフッ素含有ガスを用いればよい。エッチングする膜厚に関しては、最小20Å以上あれば本発明の効果は得られる。100Å以上エッチングすると、再現性、均一性が向上し、更に好ましい。エッチングする膜厚は20Å〜100Å以上あれば、どれだけエッチングしても本発明の効果は得られるので任意に決めて良いが、制御の容易性と工業的な生産性からいえば1000Å〜5000Å以下程度が好ましいと考えられる。
【0188】
本発明の目的を達成し得る特性を有する表面層704を形成するには、支持体701の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要がある。表面層を形成するための支持体温度、ガス圧等の条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0189】
さらに本発明においては、光導電層と表面層との間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表面層より減らしたブロッキング層(下部表面層)を設けることも帯電能等の特性を更に向上させるためには有効である。また、表面層704と光導電層703との間に炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子の含有量が光導電層703に向かって減少するように変化する領域を設けてもよい。これにより表面層と光導電層の密着性を向上させ、界面での光の反射による干渉の影響をより少なくすることができる。
【0190】
(電荷注入阻止層)
本発明の画像形成装置用感光体においては、導電性支持体と光導電層との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層を設けるのがいっそう効果的である。すなわち、電荷注入阻止層は、感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に比べ比較的多く含有させる。
【0191】
該層に含有される伝導性を制御する原子は、該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。分布濃度が不均一な場合には、支持体側に多く分布するように含有させるのが好適である。いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0192】
電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、「第III族原子」または「第V族原子」を用いることができる。
【0193】
本発明において、電荷注入阻止層の層厚は所望の電子写真特性が得られること、および経済的効果等の点から、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望ましい。
【0194】
本発明においては、電荷注入阻止層を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する表面層を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて各層作成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0195】
また、本発明の画像形成装置用感光体においては、支持体701と光導電層703あるいは電荷注入阻止層105との間の密着性の一層の向上を図る目的で、例えば、Si 、SiO 、SiO、あるいはシリコン原子を母体とし、水素原子および/またはハロゲン原子と、炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子とを含む非晶質材料等で構成される密着層を設けても良い。更に、前述のごとく、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層を設けても良い。
【0196】
上記の各層は、例えば図18に示される様な周知の装置および膜形成方法にて製造される。図18は、電源周波数としてRF帯を用いた高周波プラズマCVD法(以後、RF−PCVDと略記する)による画像形成装置用感光体の製造装置の一例を示す構成図である。この装置は大別すると、堆積装置3100、原料ガスの供給装置3200、反応容器3111内を減圧にするための排気装置(不図示)から構成されている。堆積装置3100中の反応容器3111内には円筒状支持体3112、支持体加熱用ヒーター3113、原料ガス導入管3114が設置され、更に高周波マッチングボックス3115が接続されている。
【0197】
原料ガス供給装置3200は、SiH 、GeH 、H 、CH 、B 、PH 等の原料ガスのボンベ3221〜3226とバルブ3231〜3236、3241〜3246、3251〜3256およびマスフローコントローラー3211〜3216から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ3260を介して反応容器3111内のガス導入管3114に接統されている。
【0198】
次に、電源にVHF帯の周波数を用いた高周波プラズマCVD(以後、VHF−PCVDと略記する)法によって形成される画像形成装置用感光体の製造装置は、例えば図18に示した製造装置におけるRF−PCVD法による堆積装置3100を図19に示す堆積装置4100に交換して原料ガス供給装置3200と接続することにより、得ることができる。
【0199】
この装置は大別すると、真空気密化構造を成した減圧にし得る反応容器4111、原料ガスの供給装置3200、および反応容器内を減圧にするための排気装置(不図示)から構成されている。反応容器4111内には円筒状支持体4112、支持体加熱用ヒーター4113、原料ガス導入管4114、電極が設置され、電極には更に高周波マッチングボックス4120が接続されている。また、反応容器4111内は排気管4121を通じて不図示の拡散ポンプに接続されている。
【0200】
原料ガス供給装置3200は、SiH 、GeH 、H 、CH 、B 、PH 等の原料ガスのボンベ3221〜3226とバルブ3231〜3236、3241〜3246、3251〜3256)およびマスフローコントローラー3211〜3216から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ3260を介して反応容器4111内のガス導入管4115に接続されている。また、円筒状支持体4112によって取り囲まれた空間4114が放電空間を形成している。
【0201】
〔有機光導電体(OPC)〕
本発明に用いた好適な感光体の一形態であるOPC感光体について以下に述べる。図12〜図17は、本発明の画像形成装置用感光体の層構成を説明するための模式的構成図である。
【0202】
図17は、画像形成装置用OPC感光体の一例を示す。OPC感光体700は、感光体用としての支持体701上に、感光層702が設けられている。該感光層702は電荷発生層707、電荷輪送層708からなり、必要に応じて、保護層ないし表面層704′および支持体701と電荷発生層707の間に中間層を設けて構成されている。
【0203】
本発明に用いられるOPC感光体、すなわち表面層、光導竜層、必要に応じて設けられる中問層等において、特にその表面層は、従来のものでもよいが、耐久性を向上させるためにポリエチレンテレフタレート(PTFB、以下「テフロン」と称する)を混入或いはコートしてもよい。
【0204】
本発明の電子写真感光体の表面層、光導電層、電荷輪送層および電荷発生層の形成に用いる樹脂の1例を説明する。
【0205】
ポリエステルとは酸成分とアルコール成分との結合ポリマーであり、ジカルボン酸とグリコールとの縮合あるいはヒドロキシ安息香酸のヒドロキシ基とカルボキシ基とを有する化合物の縮合によって得られる重合体である。
【0206】
酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を用いることができる。
【0207】
グリコール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメチロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を使用することができる。
【0208】
なお、前記ポリエステル樹脂が実質的に線状である範囲でペンタエリスリトール、ロリメチロールプロパン、ピロメリット酸およびこれらのエステル形成誘導体等の多官能化合物を共重合させてもよい。
【0209】
本発明に用いるポリエステル樹脂としては、高融点ポリエステル樹脂を用いる。
【0210】
高融点ポリエステル樹脂としては、オルソクロロフェノール中36℃で測定した極限粘度が0.4dl/g以上、好ましくは0.5dl/g以上、更に好ましくは0.65dl/g以上のものが用いられる。
【0211】
好ましい高融点ポリエステル樹脂としては、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂が挙げられる。ポリアルキレンテレフタレート系樹脂は酸成分として、テレフタール酸、グリコール成分として、アルキレングリコールから主としてなるものである。
【0212】
その具体例としては、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分とから主としてなるポリエチレンテレフタレート(PBT)、テレフタル酸成分と1、4−テトラメチレングリコール(1、4−ブチレングリコール)成分とから主としてなるポリブチレンテレフタレート(PBT)、テレフタル酸成分とシクロヘキサンジメチロール成分とから主としてなるポリシクロヘキシルジメチレンテレフタレート(PCT)等を挙げることができる。
【0213】
他の好ましい高分子量ポリエステル樹脂としては、ポリアルキレンナフタレート系樹脂を例示できる。ポリアルキレンナフタレート系樹脂は酸成分としてナフタレンジカルボン酸成分とグリコール成分としてアルキレングリコール成分とから主としてなるものであって、その具体例としては、ナフタレンジカルボン酸成分とエチレングリコール成分とから主としてなるポリエチレンナフタレート(PBN)等を挙げることができる。
【0214】
高融点ポリエステル樹脂としては、その融点が好ましくは160℃以上、特に好ましくは200℃以上のものである。
【0215】
ポリエステル樹脂の他に、アクリル樹脂を使用しても良い。又、バインダとしては2官能アクリル、6官能アクリル、ホスファゼン等が使用される。
【0216】
これらの樹脂は、比較的結晶性が高く、硬化樹脂ポリマー鎖と高融点ポリマー鎖との相互の絡み合いが均一かつ密になって、高耐久性の表面層を形成できるものと考えられる。低融点ポリエステル樹脂等の場合には、結晶性が低いので、硬化樹脂ポリマー鎖との絡み合いの程度が大きいところと小さいところが生じ、耐久性が劣るものと考えられる。
【0217】
表面層には、テフロン樹脂を分散させたものを用いた。
【0218】
使用条件により、適宜に選択された分散量を用い、帯電性や感度特性を制御することが好ましい。
【0219】
また、該感光体の表面は、テフロン樹脂をコートさせたものでもよい。
【0220】
これら各々の制御時に、感光体上の顕像を有効に転写材に転写し、該転写材を分離するために転写手段、かつ/又は分離手段の制御を加えてもよい。
【0221】
以上述べてきた、課題を解決するための手段および作用を単独、又は組合せで使うことにより、優れた効果を引き出すことが可能である。
【0222】
また、予期せぬ付加的な効果として、
1.ゴースト等の、光メモリーが低減した。これは、潜像を最適な状態で使用することによって、光メモリー源となるような過剰な光キャリアの生成或いは残留が減少したことによるものと思われる。
【0223】
2.黒ポチ白ぬけ等の画像欠陥が、消滅乃至は減少した。黒点の周りに、白くぬけた状態になる、いわゆる黒ポチ白ぬけが減少した。コントラストを制御することや、現像条件を調整することの単独、乃至は相乗効果によるものと思われる。
【0224】
(実験例、および、実施例)
以下、本発明を、実験例および実施例に基づいて具体的に説明する。
【0225】
なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、本実験における検出分解能は、スポット径42μmのレーザーを用い、1ラインのレーザー露光により形成したデジタル潜像を測定したとき、選られた信号の半値幅として評価を行った。
【0226】
(実験例1)
図1に示す電位分布測定装置を用い、電位センサ101に用いる導体棒径と検出分解能との関係について実験を行った結果を図20に示す。測定条件は、表1の通りである。
【0227】
【表1】
Figure 0003571901
【0228】
図20から明らかなように、導体棒径と検出分解能の間には強い関連性があり、特に、50μmを超える径の導体棒を用いた場合には、デジタルの潜像を分離して測定するのが困難であった。また、1μmまでの細さがあれば、十分S/Nのよい信号を得ることができた。また、より良くは、Φ50μmであった。
【0229】
また、図2に示す電位分布測定装置を用い、電位センサ101に用いる導体棒径と検出分解能との関係について実験を行った結果を図21に示す。測定条件は、表2の通りである。
【0230】
【表2】
Figure 0003571901
【0231】
図20から明らかなように、導体板の厚さと検出分解能との間には強い関連性があり、特に、50μmを超える厚さの導体板を用いた場合には、デジタルの潜像を分離して測定するのが困難であった。また、1μmまでの細さがあれば、十分S/Nのよい信号を得ることができた。
【0232】
また、図3に示す電位分布測定装置を用い、電位センサ101に用いるワイヤー径と検出分解能との関係について実験を行った結果を図20に示す。測定条件は、表3の通りである。
【0233】
【表3】
Figure 0003571901
【0234】
図20から明らかなように、ワイヤー径と検出分解能との間には強い関連性があり、特に、100μmを超える径のワイヤーを用いた場合には、デジタルの潜像を分離して測定するのが困難であった。また、1μmまでの細さがあれば、十分S/Nのよい信号を得ることができた。
【0235】
(実験例2)
図1に示す電位分布測定装置を用い、電位センサ101に用いる導体棒の長さと信号強度、および、検出分解能の関係について実験を行った。その結果を図21、および、図22にそれぞれ示す。測定条件は、表4の通りである。
【0236】
【表4】
Figure 0003571901
【0237】
図21、および、図22から明らかなように、導体棒の長さと信号強度、および、検出分解能との間には関連性が見られる。導体棒の長さが長くなるとともに、検出分解能は低下している。しかし、検出分解能の絶対値については、導体棒の長さよりも、導体棒の径の依存性が強い。導体棒の長さが長くなると、本来その導体棒が持ちうる分解能まで到達できなくなると考えられる。図21では、導体棒の長さが10mmのとき、長さ1mmのときに比べ、2倍近く悪い結果になっている。このことから、10mmより長い導体棒は、あまり好ましくないことがわかる。また、長さが短くなるとともに、信号強度が小さくなってしまい、0.5mmより短くなると、検出するのが困難であった。
【0238】
また、図2に示す電位分布測定装置を用い、電位センサ101に用いる導体板の長さと信号強度、および、検出分解能の関係について実験を行った。その結果を図23、および、図24にそれぞれ示す。測定条件は、表5の通りである。
【0239】
【表5】
Figure 0003571901
【0240】
図23、および、図24から明らかなように、導体板の長さと信号強度、および、検出分解能との間には、関連性が見られる。導体板の長さが長くなるとともに、検出分解能は低下している。しかし、検出分解能の絶対値については、導体板の長さよりも、導体板の径の依存性が強い。導体板の長さが長くなると、本来その導体板が持ちうる分解能まで到達できなくなると考えられる。図23では、導体板の長さが10mmのとき、長さ1mmのときに比べ、2倍近く悪い結果になっている。このことから、10mmより長い導体板は、あまり好ましくないことがわかる。また、長さが短くなるとともに、信号強度が小さくなってしまい、0.5mmより短くなると、検出するのが困難であった。
【0241】
また、図3に示す電位分布測定装置を用い、電位センサ101に用いるワイヤーの長さと信号強度、および、検出分解能の関係について実験を行った。その結果を図25、および、図26にそれぞれ示す。測定条件は、表6の通りである。
【0242】
【表6】
Figure 0003571901
【0243】
図25、および、図26から明らかなように、ワイヤーの長さと信号強度、および、検出分解能との間には、関連性が見られる。ワイヤーの長さが長くなるとともに、検出分解能は低下している。しかし、検出分解能の絶対値については、ワイヤーの長さよりも、ワイヤーの径の依存性が強い。
【0244】
ワイヤーの長さが長くなると、本来そのワイヤーが持ちうる分解能まで到達できなくなると考えられる。図25では、ワイヤーの長さが10mmのとき、長さ1mmのときに比べ、2倍近く悪い結果になっている。このことから、10mmより長いワイヤーは、あまり好ましくないことがわかる。また、長さが短くなるとともに、信号強度が小さくなってしまい、0.5mmより短くなると、検出するのが困難であった。
【0245】
(実験例3)
図1に示す電位分布測定装置を用い、相対移動速度と信号強度、および、測定した波形の歪みの関係について実験を行った結果を図27に示す。測定条件は、表7に示す通りである。
【0246】
【表7】
Figure 0003571901
【0247】
図27から明らかなように、相対移動速度が10(mm/sec)より遅くなると、信号強度が弱く、十分S/Nのよい波形を得ることができなかった。また、相対移動速度が100000(mm/sec)より速くなると、測定系に起因する時定数の影響で、検出波形に歪みが生じるようになり、表面上の電位分布を正しく測定できなくなった。
【0248】
また、図2に示す電位分布測定装置を用い、相対移動速度と信号強度、および、測定した波形の歪みの関係について実験を行った結果を図28に示す。測定条件は、表8に示す通りである。
【0249】
【表8】
Figure 0003571901
【0250】
図28から明らかなように、相対移動速度が10(mm/sec)より遅くなると、信号強度が弱く、十分S/Nのよい波形を得ることができなかった。また、相対移動速度が100000(mm/sec)より速くなると、測定系に起因する時定数の影響で、検出波形に歪みが生じるようになり、表面上の電位分布を正しく測定できなくなった。
【0251】
また、図3、図8、図9に示す電位分布測定装置を用い、相対移動速度と信号強度、および、測定した波形の歪みの関係について実験を行った結果を図29に示す。測定条件は、表9に示す通りである。
【0252】
【表9】
Figure 0003571901
【0253】
図29から明らかなように、相対移動速度が10(mm/sec)より遅くなると、信号強度が弱く、十分S/Nのよい波形を得ることができなかった。また、相対移動速度が100000(mm/sec)より速くなると、測定系に起因する時定数の影響で、検出波形に歪みが生じるようになり、表面上の電位分布を正しく測定できなくなった。
【0254】
(実験例4)
図1に示す電位分布測定装置を用い、測定間隔と検出分解能の関係について実験を行った結果を図30に示す。測定条件は、表4に示す通りである。
【0255】
【表10】
Figure 0003571901
【0256】
また、図2に示す電位分布測定装置を用い、測定間隔と検出分解能の関係について実験を行った結果を図31に示す。測定条件は、表11に示す通りである。
【0257】
【表11】
Figure 0003571901
【0258】
また、図3に示す電位分布測定装置を用い、測定間隔と検出分解能の関係について実験を行った結果を図32に示す。測定条件は、表12に示す通りである。
【0259】
【表12】
Figure 0003571901
【0260】
図30〜図32を見ると、測定間隔が大きくなるとともに、検出分解能が低下しているように見える。しかし、これは実際の電位が空問的な広がりを持っているためであり、測定系の問題ではない。表面近傍の電位分布を正しく評価するためには、測定間隔は200μm以下、より好ましくは100μm以下であることが理想である。
【0261】
電位分布の空間的な広がりの評価を行う場合においては、測定間隔は任意に設定できる。また、測定間隔を10(μm)より小さくすると、表面電位と電位センサ101との間で放電が起こり、検出波形が著しく乱れ、表面電位分布を測定することができなかった。
【0262】
(実験例5)
図3に示す電位分布測定装置を用い、電位センサ101の検出部の直線性、および、平行性と検出分解の関係について実験を行なった。図33は、この実験のために特別に製作した電位センサ101の、図9に示す方向からみた検出部の拡大図である。図34に示すように、意図的に検出部が曲がった形状となるように電位センサ101を製作し、直線性を図34に示すように定義した。また、図34は、平行性の定義を示す模式図である。相対移動方向xは紙面に垂直方向で、yは表面に垂直方向、zはXおよびYに垂直方向を表わしている。実験条件、および、実験結果を、表13および図35にそれぞれ示す。
【0263】
【表13】
Figure 0003571901
【0264】
図35から明らかなように、ワイヤーの直線性、および、平行性と分解能との間には関連性があり、直線性、および平行性が悪くなると、検出分解能が低下した。しかし、検出分解能の絶対値については、ワイヤーの直線性や平行性よりも、ワイヤー径の依存性が強い。直線性や平行性が悪くなると、本来そのワイヤーが持ちうる分解能まで到達できなくなると考えられる。図35では、ワイヤーの直線性、および、平行性が300%を超えると、150%のときの検出分解能に比べ、2倍近く悪い結果になっている。このことから、ワイヤーの直線性、および、平行性は300%を超えると、好ましくないことがわかる。
【0265】
(実施例1)
図1に示す電位分布測定装置を用い、検出部の形状が、図36〜図38に示す形状の電位センサ101を製作し、表面電位分布の測定を行った。表14にその結果を示す。
【0266】
【表14】
Figure 0003571901
【0267】
この表14に示すように、図36〜図38に示した3種類の形状では、検出分解能に大差は見られず、いずれもデジタル潜像を測定するのに十分な分解能を得ることができた。
【0268】
また、図2に示す電位分布測定装置を用い、検出部の形状が、図39〜図41に示す形状の電位センサ101を製作し、表面電位分布の測定を行った。表15にその結果を示す。
【0269】
【表15】
Figure 0003571901
【0270】
この表15に示すように、図39〜図41に示した3種類の形状では、検出分解能に大差は見られず、いずれもデジタル潜像を測定するのに十分な分解能を得ることができた。
【0271】
また、図3に示す電位分布測定装置を用い、検出部の形状が、図42〜図44に示す形状の電位センサ101を製作し、表面電位分布の測定を行った。表16にその結果を示す。
【0272】
【表16】
Figure 0003571901
【0273】
この表16に示すように、図42〜図44に示した3種類の形状では、検出分解能に大差は見られず、いずれもデジタル潜像を測定するのに十分な分解能を得ることができた。
【0274】
これに対して、ワイヤー径が1〜100μmではなく、ワイヤー長さが0.2〜10mmではなく、ワイヤーの直線性、および、平行性が300%以内ではない電位センサ101を製作した場合には、デジタル潜像を測定するために十分な検出分解能、または、S/Nを得ることができなかった。
【0275】
(実施例2)
図1〜図3に示す電位分布測定装置の電位センサ101を用い、平板型感光体、および、ベルト型感光体の表面電位分布測定を行った。表17〜表19にその結果を示す。
【0276】
【表17】
Figure 0003571901
【0277】
【表18】
Figure 0003571901
【0278】
【表19】
Figure 0003571901
【0279】
これら表17〜表19に示すように、本発明の表面電位測定装置において、ドラム型の感光体だけでなく、平板型感光体、および、ベルト型感光体においても、デジタル潜像を測定するのに十分な分解能を得ることができた。
【0280】
(実施例3)
図1〜図3に示す電位分布測定装置は、感光体103の回転により電位センサ101と表面との相対移動が生じている。この装置を改良し、電位センサ101を感光体103の軸方向に移動させて、感光体103の軸方向の表面電位の分布形状の測定を行った。その結果を表20〜表22に示す。
【0281】
【表20】
Figure 0003571901
【0282】
【表21】
Figure 0003571901
【0283】
【表22】
Figure 0003571901
【0284】
これら表20〜表22に示すように、電位センサ101が移動することによって、相対速度が生じる構成においても、デジタル潜像を測定するのに十分な分解能および強度を得ることができた。この結果より、本発明の表面電位測定法は、電位センサ101と表面との相対速度が、感光体103の回転による構成、すなわち、表面が電位センサ101に対して可動になる構成だけでなく、電位センサ101を表面に対して可動となる構成においても適用することが可能であることがわかる。
【0285】
以下、これらのセンサを用いた電子写真装置の制御についての具体的な例を示す。
【0286】
(実施例4)
図3に示す電位分布測定装置を製作し、測定する表面に垂直かつ相対移動方向に平行となる面における電位センサ101の検出部の断面形状、すなわち、図9に示す方向から見た電位センサ101の検出部の形状が、図45〜図48に示す形状の電位センサ101を製作し、表面電位分布の測定を行なった。表23にその結果を示す。
【0287】
【表23】
Figure 0003571901
【0288】
この表23に示すように、図45〜図48に示した3種類の形状では、検出分解能に大差は見られず、いずれもデジタル潜像を測定するのに十分な分解能を得ることができた。
【0289】
これに対して、図48に示すように、エッジを有する角型のセンサでは、表面と対向する面とエッジ部でその面と交わる面とで、それぞれ信号を拾ってしまい、デジタル潜像を測定するために十分な、分解能、および、S/Nを得ることができなかった。
【0290】
(実施例5)
図18に示すRF−PCVD装置を用い、直径108mmのブラスト加工を施したアルミニウムシリンダ(支持体)上に、表24に示す作成条件でa−Siを母体とする、電荷注入阻止層/光導電層/表面層からなる感光体を作成した。
【0291】
【表24】
Figure 0003571901
【0292】
【表25】
Figure 0003571901
【0293】
作成した感光体を図1に示すような構成に改造した画像形成装置(キヤノン製NP6060を本発明の電位センサ101のテスト用に改造)にセットした。なお、画像形成装置は、レーザーによる潜像書き込みができるように改造を行っている。
【0294】
電位センサ101は、実施例1〜2で使用したものを用いた。使用したセンサ形状を表25に示す。このセンサを用い、画像形成の制御を行った。制御方法を表26に示す。
【0295】
表26の制御方法においては、2項目の制御が重なる場合は、同時に制御していることを意味する。
【0296】
【表26】
Figure 0003571901
【0297】
*Vdark制御 (有り):Vdark電位のみを目標値に設定するシーケンスを帯電部への印加電圧/電流によって行う。
【0298】
(無し):一定の印加電圧/電流を帯電部材に印加し、Vdark電位を決定し、それ以上の制御は行なわない。
【0299】
Vdark電位値は、本発明の電位センサによりモニタし、その値によってVdcを場合によっては制御する。
【0300】
*Vl制御 (有り):チャージアップした帯電部材に、レーザーによって電位変化を生じさせ、その電位変化を本発明の電位センサにより検出した誘導電流を積分解析し一定の電位変化量になるように、レーザー出力を制御する。
【0301】
(無し):チャージアップした帯電部材に、一定のレーザーによって電位変化を生じさせ、その電位変化を本発明の電位センサにより検出した誘導電流を積分解析し、その値を場合により、Vdark制御、Vdc制御にフィードバックさせる。
【0302】
*Vdc制御 (有り):現像バイアスのDC成分をVl/Vdarkの値によって制御する。
【0303】
(無し):現像バイアスのDC成分は一定値とする。
【0304】
そして、表26に示した画像形成制御ABCの全てにおいて、レーザーのドットを忠実に再現した、高品位なデジタル画像を得ることができた。
【0305】
さらに、この電子写真装置を、表27に示す環境でA4紙で10万枚の耐刷試験を行った。画像形成の制御は表27に示す通りである。これら表27に示す制御は、100枚毎に自動制御で行った。
【0306】
耐刷試験中の潜像評価は、画像により行い、レーザー潜像の再現性(ドット再現性)、画像濃度の変化を調べた。耐刷試験の結果は、いずれの環境においても良好であり、10万枚の耐刷試験中において、デジタル画像の品質(ドット再現/画像濃度)が低下することはなかった。また、制御時間は、表26に示す、A/Bいずれの場合においても、周知の電位制御(VdarkとVlを周知の電位センサにより個別に制御)に比べ、約50%以下の時間で行え、電位制御時間の短縮の効果が確認できた。なお、Vlのlは、Lの小文字である。
【0307】
【表27】
Figure 0003571901
【0308】
さらに、表25に示した形状以外の実施例1〜2に示したセンサ形状においてもまた、同様な結果を得た。
【0309】
(実施例6)
外形108mm×長さ358mmのアルミニウムシリンダーを基体とし、これにアルコキシメチル化ナイロンの5%メタノール溶液を浸漬法で塗布して、膜厚1μmの下引き層(中間層)を設けた。次に、チタニルフタロシアニン顔科を10部(重量部、以下同様)、ポリビニルブチラール8部、およびシクロヘキサノン50部を直径1mmのガラスビーズ100部を用いたサンドミル装置で20時間混合分散した。この分散液にメチルエチルケント70〜120(適宜)部を加えて下引き層上に塗布し、100℃で5分間乾燥して0.2μmの電荷発生層を形成させた。次に、この電荷発生層の上に、スチリル化合物10部とビスフェノールZ型ポリカーボネート10部をモノクロべンゼン65部に溶解した。この溶液をディッピング法によって基体上に塗布し、120℃で60分間の熱風乾燥させて、20μm厚の電荷輪送層を形成した。さらに、この輪送層上に約1μmの表面層を設け、表面保護層とした。
【0310】
以上のように作成したOPC感光体を、図1に示すような構成に改造した画像形成装置(キヤノン製NP6060を本発明の電位センサ101のテスト用に改造)にセットした。なお、画像形成装置は、レーザーによる潜像書き込みができるように改造を行っている。電位センサ101は、実施例1〜2、6に示すものを用いた。この電位センサ101を用い、画像形成の制御を行った。制御方法は、実施例5と同じである(表26)。実施例6と同様の評価を行ったところ、良好な結果を得られた。
【0311】
次に、実施例5と同様の耐刷試験を行った。制御および環境/評価内容は、実施例5と同様である。試験枚数は2万枚とした。
【0312】
耐刷試験中の潜像評価は画像により行い、レーザー潜像の再現性(ドット再現性)、画像濃度の変化を調べた。耐刷拭験の結果は、いずれの環境においても良好であり、1万枚の耐刷試験中において、デジタル画像の品質(ドット再現/画像濃度)が低下することはなかった。また、制御時間は、表26に示す、A/Bいずれの場合においても、周知の電位制御(VdarkとVlを周知の電位センサ101により個別に制御)に比べ、約50%以下の時間で行え、電位制御時間の短縮の効果が確認できた。
【0313】
また、図49は、600dpiの走査線密度のレーザ露光により作成した1画素の潜像測定結果である。図50は、図49の積分解析後の波形であり、電位形状を示す。また、図51は、600dpiの走査線密度のレーザ露光により作成した1ドット1スペースの潜像の測定結果である。図52は、図51の積分解析後の波形であり、電位形状を示す。
【0314】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明によれば、電子写真装置、特にデジタル電子写真装置において、感光体表面の静電潜像を歪めることなく高精度に測定し、その測定結果から電子写真方法のうちの一つ以上の手段を制御するようにしたので、高湿流れ等の環境変化による表面電位の変動を抑制することができ、これにより、きわめて長期に安定して、高画質な画像を得ることができる。
【0315】
また、本発明によれば、上記測定法により、画像信号付与に関する有無の双方を実質的に同等に評価できるので、電位制御にかかる時間の短縮化を図ることができる。
【0316】
さらに、本発明によれば、測定結果からの上記手段の制御と合わせて、リアルタイムでの潜像、トナー像の最適化を図ることが可能となり、省エネルギー的にも効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態である画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態である画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態である電位センサの構成を示す正面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態である電位センサの構成を示す側面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態である電位センサの構成を示す正面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態である電位センサの構成を示す側面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態である電位センサの構成を示す正面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態である電位センサの構成を示す側面図である。
【図10】現像装置の全体構成を示す断面図である。
【図11】デジタル静電潜像と現像バイアスの相関を模式的に示す説明図である。
【図12】本発明の画像形成装置用感光体の層構成を模式的に示す構成図である。
【図13】本発明の画像形成装置用感光体の層構成を模式的に示す構成図である。
【図14】本発明の画像形成装置用感光体の層構成を模式的に示す構成図である。
【図15】本発明の画像形成装置用感光体の層構成を模式的に示す構成図である。
【図16】本発明の画像形成装置用感光体の層構成を模式的に示す構成図である。
【図17】本発明の画像形成装置用感光体の層構成を模式的に示す構成図である。
【図18】RF−PCVDによる感光体の製造装置の一例を示す構成図である。
【図19】VHF−PCVDによる感光体の堆積装置の一例を示す構成図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態である電位形状測定装置用の電位センサに用いるワイヤーの太さと検出分解能との関係を示す図である。
【図21】本発明の第1の実施の形態である電位形状測定装置用電位センサに用いる導体棒の長さと検出分解能との関係を示す図である。
【図22】本発明の第1の実施の形態である電位形状測定装置用電位センサに用いる導体棒の長さと信号強度の関係を示す図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態である電位形状測定装置用電位センサに用いる導体板の長さと検出分解能との関係を示す図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態である電位形状測定装置用電位センサに用いる導体板の長さと信号強度の関係を示す図である。
【図25】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定装置用電位センサに用いる導電性ワイヤーの長さと検出分解能との関係を示す図である。
【図26】本発明の第2の実施の形態である電位形状測定装置用電位センサに用いる導電性ワイヤーの長さと信号強度の関係を示す図である。
【図27】本発明の第1の実施の形態である電位形状測定における、測定表面と電位センサとの相対移動速度と、信号強度、および、検出波形の歪みの関係を示す図である。
【図28】本発明の第2の実施の形態である電位形状測定における、測定表面と電位センサとの相対移動速度と、信号強度、および、検出波形の歪みの関係を示す図である。
【図29】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定における、測定表面と電位センサとの相対移動速度と、信号強度、および、検出波形の歪みの関係を示す図である。
【図30】本発明の第1の実施の形態である電位形状測定における、測定間隔と検出波形の歪みとの関係を示す図である。
【図31】本発明の第2の実施の形態である電位形状測定における、測定間隔と検出波形の歪みとの関係を示す図である。
【図32】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定における、測定間隔と検出波形の歪みとの関係を示す図である。
【図33】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定装置における導電性ワイヤーの直線性の定義を説明する図である。
【図34】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定装置における導電性ワイヤーの平行性の定義を説明する図である。
【図35】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定装置における導電性ワイヤーの直線性および平行性と検出分解能の関係を示す図である。
【図36】本発明の第1の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサの構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図37】本発明の第1の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサの構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図38】本発明の第1の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサの構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図39】本発明の第2の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサの構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図40】本発明の第2の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサの構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図41】本発明の第2の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサの構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図42】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサの構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図43】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサの構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図44】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサの構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図45】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサのエッジ構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図46】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサのエッジ構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図47】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサのエッジ構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図48】本発明の第3の実施の形態である電位形状測定装置における電位センサのエッジ構造の一例を模式的に示す構成図である。
【図49】600dpiの走査線密度のレーザー露光により作成した1画素の潜像測定結果を示す波形図である。
【図50】図51の積分解析後の電位形状を示す波形図である。
【図51】600dpiの走査線密度のレーザー露光により作成した1ドット1スペースの潜像の測定結果を示す波形図である。
【図52】図53の積分解析後の電位形状を示す波形図である。
【図53】従来の画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【符号の説明】
101 電位センサ
l03 感光体
l05 感光体表面
l07 画像信号付与手段

Claims (40)

  1. 感光体上に形成された潜像の電位分布の変化を電位センサにより測定し、該測定の結果に基づいて、画像の形成に係る電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する画像形成方法であって、
    前記感光体の表面の電位分布の変化によって、前記電位センサの検出部に誘導電流を発生させる工程と、
    該発生した誘導電流を検出して解析を行う工程とを具え、
    前記電位センサとして、測定する電位分布の変化幅に相当する長さよりも小さな幅に形成され、棒状の導電体からなる検出部を有するセンサを用い、
    前記電位センサの検出部をその長手方向が前記感光体の表面の法線方向と平行となるように配置した状態で、当該電位センサの検出部に誘導電流を発生させ、
    該発生した誘導電流を検出して積分解析することにより電位分布の変化を測定し、
    該測定結果に基づいて、電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御することを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記棒状の電位センサの検出部は、径がl〜l00μm、前記感光体の表面の法線方向の長さが0.5〜10mmであることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
  3. 前記電位センサは、電気的にシールドされた部分を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成方法。
  4. 前記電位センサは、前記感光体の表面に近接する側の前記検出部の径が減少して形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 感光体上に形成された潜像の電位分布の変化を電位センサにより測定し、該測定の結果に基づいて、画像の形成に係る電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する画像形成方法であって、
    前記感光体の表面の電位分布の変化によって、前記電位センサの検出部に誘導電流を発生させる工程と、
    該発生した誘導電流を検出して解析を行う工程とを具え、
    前記電位センサとして、測定する電位分布の変化幅に相当する長さよりも小さな幅に形成され、エッジを持たない検出端面が形成された検出部を有するセンサを用い、
    前記電位センサの検出端面を前記感光体の表面と対向配置した状態で、当該電位センサの検出部に誘導電流を発生させ、
    該発生した誘導電流を検出して積分解析することにより電位分布の変化を測定し、
    該測定結果に基づいて、電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御することを特徴とする画像形成方法。
  6. 前記電位センサの検出部は、厚さが1〜100μmの導電性ワイヤーからなり、長さが0.2〜10mmであり、当該検出部をその長手方向が前記感光体の表面の法線方向と平行となるように配置したことを特徴とする請求項5記載の画像形成方法。
  7. 前記電位センサの検出部は、直線性および前記感光体の表面の法線方向との平行性が、前記ワイヤーの径の300%以内であることを特徴とする請求項6記載の画像形成方法。
  8. 前記電位センサの前記検出部の幅は、デジタル潜像の電位変化の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成方法。
  9. 前記誘導電流の積分解析は、当該誘導電流の値を電位の傾きとし、当該誘導電流の時間積分値を電位の深さとして解析することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成方法。
  10. 前記電位センサと前記感光体との相対移動速度は、10〜l0000mm/secであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成方法。
  11. 前記電位センサと前記感光体との相対移動中において、前記電位センサと前記感光体の表面との距離を一定間隔に保持する機構を有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. 前記電位センサの前記検出部と前記感光体の表面との間隔は、10〜300μmであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成方法。
  13. 前記電位センサの検出部は、タングステンの材質からなることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の画像形成方法。
  14. 前記電位センサを複数個配置したことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の画像形成方法。
  15. 前記電位分布の変化の測定結果により、少なくとも感光体の表面電位、および/または、現像手段のうちの1つ以上を制御する手段を有することを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の画像形成方法。
  16. 前記感光体の表面電位の制御を行う手段は、前記感光体を帯電させる帯電手段、および/または、前記感光体の表面に画像信号に対応したビームを照射する画像信号付与手段であることを特徴とする請求項15記載の画像形成方法。
  17. 前記現像手段への制御は、現像バイアス、および/または、当該現像手段と前記感光体の表面との間の距離の制御であることを特徴とする請求項15記載の画像形成方法。
  18. 前記感光体の表面の電位密度は、40〜400(nC/cm)であることを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載の画像形成方法。
  19. 前記感光体は、少なくとも非晶質珪素を主原料とするアモルファスシリコン系の感光体であることを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の画像形成方法。
  20. 前記感光体は、少なくとも有機半導体(OPC)からなることを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の画像形成方法。
  21. 感光体上に形成された潜像の電位分布の変化を測定し、該測定の結果に基づいて、画像の形成に係る電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する画像形成装置であって、
    測定する電位分布の変化幅に相当する長さよりも小さな幅に形成され、棒状の導電体からなる検出部を有する電位センサと、
    前記電位センサの検出部をその長手方向が前記感光体の表面の法線方向と平行となるように配置した状態で、前記感光体の表面の電位分布の変化により、当該電位センサの検出部に誘導電流を発生させる手段と、
    該発生した誘導電流を検出して積分解析することにより、前記感光体の表面の電位分布の変化を測定する手段と、
    該測定結果に基づいて、電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する手段と
    を具えたことを特徴とする画像形成装置。
  22. 前記棒状の電位センサの検出部は、径がl〜l00μm、前記感光体の表面の法線方向の長さが0.5〜10mmであることを特徴とする請求項21記載の画像形成装置。
  23. 前記電位センサは、電気的にシールドされた部分を有することを特徴とする請求項21又は22記載の画像形成装置。
  24. 前記電位センサは、前記感光体の表面に近接する側の前記検出部の径が減少して形成されていることを特徴とする請求項21ないし23のいずれかに記載の画像形成装置。
  25. 感光体上に形成された潜像の電位分布の変化を測定し、該測定の結果に基づいて、画像の形成に係る電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する画像形成装置であって、
    測定する電位分布の変化幅に相当する長さよりも小さな幅に形成され、エッジを持たない検出端面が形成された検出部を有する電位センサと、
    前記電位センサの検出端面を前記感光体の表面と対向配置した状態で、当該電位センサの検出部に誘導電流を発生させる手段と、
    該発生した誘導電流を検出して積分解析することにより、前記感光体の表面の電位分布の変化を測定する手段と、
    該測定結果に基づいて、電子写真プロセスの少なくとも一つ以上を制御する手段と
    を具えたことを特徴とする画像形成装置。
  26. 前記電位センサの検出部は、厚さが1〜100μmの導電性ワイヤーからなり、長さが0.2〜10mmであり、当該検出部をその長手方向が前記感光体の表面の法線方向と平行となるように配置したことを特徴とする請求項25記載の画像形成装置。
  27. 前記電位センサの検出部は、直線性および前記感光体の表面の法線方向との平行性が、前記ワイヤーの径の300%以内であることを特徴とする請求項26記載の画像形成装置。
  28. 前記電位センサの前記検出部の幅は、デジタル潜像の電位変化の幅よりも小さいことを特徴とする請求項21ないし27のいずれかに記載の画像形成装置。
  29. 前記誘導電流の積分解析は、当該誘導電流の値を電位の傾きとし、当該誘導電流の時間積分値を電位の深さとして解析することを特徴とする請求項21ないし28のいずれかに記載の画像形成装置。
  30. 前記電位センサと前記感光体との相対移動速度は、10〜l0000mm/secであることを特徴とする請求項21ないし29のいずれかに記載の画像形成装置。
  31. 前記電位センサと前記感光体との相対移動中において、前記電位センサと前記感光体の表面との距離を一定間隔に保持する機構を有することを特徴とする請求項21ないし30のいずれかに記載の画像形成装置。
  32. 前記電位センサの前記検出部と前記感光体の表面との間隔は、10〜300μmであることを特徴とする請求項21ないし31のいずれかに記載の画像形成装置。
  33. 前記電位センサの検出部は、タングステンの材質からなることを特徴とする請求項21ないし32のいずれかに記載の画像形成装置。
  34. 前記電位センサを複数個配置したことを特徴とする請求項21ないし33のいずれかに記載の画像形成装置。
  35. 前記電位分布の変化の測定結果により、少なくとも感光体の表面電位、および/または、現像手段のうちの1つ以上を制御する手段を有することを特徴とする請求項21ないし34のいずれかに記載の画像形成装置。
  36. 前記感光体の表面電位の制御を行う手段は、前記感光体を帯電させる帯電手段、および/または、前記感光体の表面に画像信号に対応したビームを照射する画像信号付与手段であることを特徴とする請求項35記載の画像形成装置。
  37. 前記現像手段への制御は、現像バイアス、および/または、当該現像手段と前記感光体の表面との間の距離の制御であることを特徴とする請求項35記載の画像形成装置。
  38. 前記感光体の表面の電位密度は、40〜400(nC/cm)であることを特徴とする請求項21ないし37のいずれかに記載の画像形成装置。
  39. 前記感光体は、少なくとも非晶質珪素を主原料とするアモルファスシリコン系の感光体であることを特徴とする請求項21ないし38のいずれかに記載の画像形成装置。
  40. 前記感光体は、少なくとも有機半導体(OPC)からなることを特徴とする請求項21ないし39のいずれかに記載の画像形成装置。
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