JP3854707B2 - 電子写真方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光体表面の静電潜像の測定方法を基礎として、これを利用する電子写真方法および電子写真装置の技術に関するものである。より詳細には、感光体表面の静電潜像の電位形状を高精度に測定する技術により、現像剤の帯電量を制御すること等により高品位な画像を形成可能とする技術である。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方法及びこれを利用した電子写真装置としては、例えば複写機やファクシミリ装置、近年需要の伸びの著しいコンピュータ等の出力手段であるプリンター等として広く一般に利用されている。
【0003】
また、近年では形成される画像は文字だけでなく、写真や絵等の高品位な画像品質が要求されるものを出力する機会が急増しており、電子写真装置の高画質化に対する要求が高まっている。
【0004】
電子写真方式における出力画像は、電子写真装置の各工程それぞれのプロセスファクターやプロセスクォリティ、すなわち書き込み情報の鮮鋭さ、感光体表面に形成される静電潜像の鮮鋭さ、感光体表面に形成される着色微粒子(以下トナー)像の鮮鋭さ、転写紙に転写された後のトナー像の鮮鋭さ、トナー定着後の像の鮮鋭さによって画質が大きく左右される。このため、より高画質な画像を得るためには、各工程のプロセスクォリティを向上させる必要がある。
【0005】
しかし、感光体表面上の静電潜像の鮮鋭さの善し悪しを判断することは、静電潜像であり直接観察できないこと、暗所で且つきわめて短時間しか持続しないため観察手段が極めて限られることから、従来より、
(1)なんらかの方法で潜像を可視化する、
(2)静電潜像を電子写真工程中に電位測定手段を用いて定量化する、
等の手段が用いられる。
【0006】
前者の例として例えば、可視化手段としてトナーを用いて現像し、その画像を評価し、現像前の静電潜像を推測する方法等は、一般によく行われている。しかし、この方法では、現像工程のばらつきの影響を受けてしまい、再現性の良好な静電潜像を評価する手段としては、適切ではない。また、用いるトナーの粒径が測定精度に制約を加えるため、まずトナー、現像機などの周辺装置を準備してからでないと潜像の評価ができなかった。
【0007】
後者の例として感光体表面上の電位変化を電気的に評価する方法について、いくつか報告されている。例えば、特表平5-508708に、検知電極を用いて表面電位の均一性を測定する方法が記載されている。
【0008】
この方法は、電位センサーを披測定表面の近傍に配置し、それらを相対的に移動させることによって、電位センサーに披測定表面の電位に変化による誘導電流を発生させ、これを解析することにより、表面電位の均一性を測定する方法である。電位センサーは、エッジを有しており、披測定表面の電位変化を検知電極のエッジで検出することを特徴としている。
【0009】
この方法が本発明と決定的に異なる点は、披測定表面の相対移動方向に対して、電位センサーが複数のエッジを有し、披測定表面の電位変化を検知電極のエッジで検出することを特徴としている点である。さらにこの件において評価しうる量は2 次元的な電位形状であり、電位方向の情報に関しては全く開示されていないばかりか、原理的に測定し得ないものである。
【0010】
また、電子写真学会誌 第30巻 第2号(1991)、同第4号に、バイアス印加による放電防止,放電開始電圧の高いガス(SF6)による放電防止手段を用い電位センサーを披測定表面の近傍30μm程度まで近接配置し、それらを相対的に移動させることによって、電位センサーに披測定表面の電位の変化による誘導電流を発生させ、これを解析することにより、潜像電位のエッジ部の勾配変化を測定する方法である。電位センサーは、数十μm以下にするとともに、測定ギャップも数十μm以下にして検出することを特徴としている。
【0011】
本発明は上記方法と異なり、構成において放電防止をおこなっているので、放電開始電圧の高いガス(SF6)による放電防止手段などを使用していない。従って、相対移動速度を大きくしても何ら問題ないばかりか、むしろ披測定表面の電位の変化による誘導電流を解析しているため、相対移動速度を大きくした際に特に有効な方法である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
近年デジタル複写機の解像度は600dpi から1200dpi が主力となってきており、これらデジタル複写機におけるレーザー露光スポット径は40μmから20μmとなり、これにより形成した潜像電位(以下デジタル潜像電位と呼ぶ)を上記従来測定法で測定する場合、検出分解能が不十分となってしまい、デジタル潜像電位の形状を精度良く測定をすることは不可能であった。
【0013】
数十μmの幅で変化するデジタル潜像電位を測定するためには、検出の分解能を数十μm以下まで向上させることが必要である。分解能は、電位センサーの検出部分の面積を小さくすることによって有る程度は、改善することが出来る。しかし、検出部分の面積を小さくするにつれて、検出信号の出力も小さくなってしまい、S/Nの低下を招いてしまう。
【0014】
検出信号の出力を大きくするためにはセンサーとドラムの間隔を数十μmまで近接させる必要およびセンサーとドラムの相対速度を高める必要があるが、従来のエッジ部を有するセンサー形状では、放電が発生してしまい困難である。また、その回避のために放電開始電圧の高いガス(SF6)による放電防止手段を講ずることは装置が複雑化してしまうばかりか、センサー、ドラムの相対速度を高めてゆくとガスのもれが帯電工程に悪影響を及ぼすといった弊害がある。
【0015】
測定法は小型簡易が好ましく、特にレーザープリンターのように実際に使用されている小型電子写真装置において測定できることが、測定システムとしてきわめて有効である。
【0016】
こうした状況からデジタル化が進展する現在、表面電位変化を、数十μmオーダーの高分解能で測定を行うために、S/N比を確保しながら、分解能を上げる技術の確立が切望されている。
【0017】
特にデジタル電子写真の高画質化においては、画像形成の基本となるドットを高密度で形成することが必要であるが、静電潜像を細くする際には、露光源であるところのたとえばレーザーの応答性がよくなくてはならない。
【0018】
すなわち高密度でドット形成する際、画像情報に応じた電気信号のon-offに十分なスピードで露光源がon-offできる追従性が必要であるにもかかわらず、実際の露光源は、短時間(あるいは高周波数帯)でのon-offに対しては追従できなくなり、その領域においてはonとoff の発光強度差が減少して、コントラストを維持できなくなる。
【0019】
一方、感光体の応答性、すなわち露光源のon-offに応じた電位の追従性が必要であり露光源のドット形状を電位に忠実に再現する感光体特性が要求される。
【0020】
ところが、露光源の応答性を測定するには測定器として使用する光センサー(いわゆる光電変換素子)の応答性がネックになり、感光体の応答性に至っては、電位で測定する方法しかないのにもかかわらず、従来の電位測定では、ドット単位の測定は不可能であり、前述の通り、画像を出してみる以外方法がない、という状況にあった。
【0021】
一方、現像方式は、モノクロ・カラー等、そのニーズによって1 成分現像・2 成分ブラシ現像の様々な方式が考案若しくは採用されており、一般に画像再現特性は1 成分現像より2 成分ブラシ現像の方が優れているとされているが、各方式にはそれぞれの特徴がある。
【0022】
主な現像方式について、その特徴を挙げると、以下の様になる。
(a)BMT方式・FEED方式(1 成分・絶縁性・磁性・接触)
特にFEED方式は2 成分ブラシ現像とほぼ同等の画像特性。
(b)タッチダウン方式 (1 成分・絶縁性・非磁性・接触)
接触現像によるカブリが問題。
(c)ジャンピング方式 (1 成分・絶縁性・磁性・非接触)
非接触のため、カブリ・傷の問題が少ない。
(d)プロジェクション方式 (1 成分・絶縁性・非磁性・非接触)
非接触のため、カブリ・傷の問題が少なく、非磁性のため、カラー化可能。
(e)マグネダイナミック方式 (1 成分・導電性・磁性・接触)
潜像電界による誘導帯電、ブラシ現像。正、負いずれの潜像でも現像できるが、転写が困難。
(f)IMB方式 (2 成分・絶縁性・非磁性・接触)
絶縁性キャリアのため、現像後に逆極性電荷が蓄積される。ベタ部の再現性は良くないが、細線の再現性は良い。
(g)CMB方式 (2 成分・絶縁性・非磁性・接触)
導電性キャリアのため、現像後に逆極性電荷が蓄積されない。ベタ部の再現性は良いが、低濃度の細線の再現性が劣る。
【0023】
また、カブリについてここで簡単に説明する。カブリは、電界によるもの・鏡影力によるもの・付着力によるものが考えられる。
(A)電界によるもの
主に摩擦帯電方式に現れる現象であり、感光体上の本来現像されない電位部に対して、現像剤が帯電分布を有するが為に、現像され得る電界を有する現像剤が存在する『地カブリ』と、逆極性帯電現像剤による『反転カブリ』がある。
(B)鏡影力によるもの
主に、摩擦帯電方式に現れる現象であり、感光体上に接触・飛翔した現像剤が有する電荷量と感光体の比誘電率から決定される鏡影力により、感光体の電位に無関係に感光体上に付着してしまうカブリ。
(C)付着力によるもの
感光体上に接触・飛翔した現像剤がファンデルワールス力により、感光体の電位に無関係に感光体上に付着してしまうカブリ。
【0024】
一般に、非接触方式は交流バイアスを印加しているため、カブリに対しては軽減できる方向であるが、高い帯電量を有する現像剤を使用している従来の系においてはカブリが発生するケースがあった。
【0025】
また、アモルファスシリコン感光体は、一般にSe・OPC等、他の感光体と比較して比誘電率が大きい事、高画質に向けた現像剤の小径化は、鏡影力によるカブリに対しては不利な方向である。
【0026】
鏡影力を小さくする手段としては、アモルファスシリコン系感光体の比誘電率を下げる方向があり、具体的にはC等を含んだ多元系があるが、例えば、SiC系の場合、その配合比率に応じて比誘電率を変化させることは可能であるが、同時に物性値、電気的特性、光学的特性、機械的強度も変化し、従来からあるアモルファスシリコン系感光体の電子写真特性を維持したままで、すべてを比誘電率の低いものに置き換えることは困難である。
【0027】
さらに、画像形成にあたっての一端を担う現像剤の特性について述べる。
十分な画像濃度を得るためには、現像剤の帯電量は、高い方が好ましいが、高すぎると現像剤自体の寿命を短くしてしまうばかりでなく、現像されるべきではない領域まで現像剤が現像してしまう、カブリといった現象を生じるため好ましくない。
【0028】
しかし、実際には、潜像形状を定量的に測定する手段がなかったため、現像剤の帯電量を余裕を持った領域まで高めて設計する場合がおおく、上記弊害がネックになっていた。
【0029】
現像剤の帯電量は、下げすぎると現像剤が飛散するといった傾向があるが、濃度が確保できる範囲であれば、現像剤の帯電量は低い方が好ましいといった状況にあるので、濃度が確保できる範囲の広い、すなわち潜像形状が電位方向に深いものと、帯電量を下げた現像剤を使用する系で電子写真が成立することが切望されている。
【0030】
また、ここで重要なのは、単に潜像形状が電位方向に深いものが良いわけではないことにある。潜像形状を電位方向に深くするためには電位コントラストを大きくすれば良いが、その際には潜像幅も広くなってしまうため、高密度ドットで画像形成する際の1 ドットの大きさが大きくなってしまい、解像力を低下させてしまう。従って、潜像幅を維持した状態で潜像深さが深い潜像形状が必要になる。
【0031】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、感光体表面に形成された静電潜像の電位分布、例えばデジタル潜像の1ドットの電位形状を、精度良く測定を行うことを可能とすること、また、静電潜像の状態に応じて各電子写真工程を制御することで、高品位な画像を形成することの可能な電子写真方法及び電子写真装置を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
(1)感光体と、
前記感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電された感光体表面に静電潜像を形成するためのスポット露光を行うレーザー露光手段と、
感光体表面の静電潜像の測定方法により該静電潜像の電位状態を求める電位測定手段と、
前記静電潜像を現像剤により可視像化する現像手段と、
前記現像手段により現像された画像を像担持体へと転写させる転写手段と、
を利用して、画像を形成する電子写真方法であって、
前記測定方法は、静電潜像が形成された感光体表面に対し近接して相対移動を行い、該感光体表面の静電潜像の電位変化により発生する誘導電流を検出する電位センサにより、感光体表面に形成された静電潜像を測定する測定方法であって、
前記電位センサは、前記感光体表面との相対移動方向の幅が、静電潜像を形成するためのレーザーのスポット径よりも小さく、かつ前記感光体表面に垂直であり相対移動方向に平行となる断面形状をエッジを持たない形状とした検出部を有し、
前記電位センサにより検出した誘導電流を積分解析することにより、感光体表面の静電潜像の電位変化の形状を求めることを特徴とする感光体表面の静電潜像の測定方法であり、
前記電位測定手段の前記電位センサの検出部と前記感光体表面との間隔が10μmであるとき、1画素分の静電潜像の電位分布が、1/e 2 半値幅で50μm以下、深さ100v以上であり、
前記現像手段における現像剤の帯電量が5から10μC/gと設定されることを特徴とする。
【0036】
(5)前記電位センサの検出部は、直径が1から500μmであり長さが0.2から10mmの導電性ワイヤ部材を備え、
前記感光体表面との相対移動方向をX方向、前記感光体表面から垂直に離れる方向をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とした場合に、
前記Z方向に平行に前記電位センサの検出部を配置することを特徴とする。
【0039】
(8)前記感光体表面と電位センサの検出部との間隔は、10から300μmであることを特徴とする。
【0040】
(9)前記電位センサの検出部の材質が、タングステンであることを特徴とする。
弧がアールにより接続されると共に、いずれかの円弧が前記感光体表面と対向することを特徴とする請求項1の感光体表面の静電潜像の測定方法。
【0041】
(10)前記電位センサの感光体表面との相対移動方向をX方向、前記感光体表面から垂直に離れる方向をY方向、X方向及びY方向に垂直な方向をZ方向とした場合に、
複数の前記電位センサを、それぞれの検出部を前記Z方向にずらした位置に配置させ、それぞれの電位センサにより検出した感光体表面の静電潜像の所定断面の電位状態を前記Z方向に重ねることにより、静電潜像の電位状態を3次元的に求めることを特徴とする。
【0043】
(12)前記電位測定手段により求められた静電潜像の電位状態に応じて制御される現像剤の帯電量は、現像手段に感光体と平行となるように備えられた現像スリーブの回転数を変更することにより制御されることを特徴とする。
【0044】
(13)前記電位測定手段により求められた静電潜像の電位状態に応じて制御される現像剤の帯電量は、現像手段に感光体と平行となるように備えられた現像スリーブと、該現像スリーブに付着した現像剤の厚みを規制する規制部材との間の間隔を変更することにより制御されることを特徴とする。
【0052】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明を説明するための実施の形態に欠かすことのできない表面電位測定の方法、及び、装置の概略を表す模式図を示す。101 は、複写機等の電子写真に用いられる感光体ドラムの断面で、静電潜像が形成されて電位変化を伴う表面102 を有している。本実施の形態の装置は、少なくとも一つの電位センサ103 と、これを支える支持体104 を備えている。
【0053】
図2は図1の点線で囲まれたD1部を拡大した図であり、この図により詳しく示されるように、本実施の形態の電位センサ103 は、該表面に垂直且つ電位センサと表面との相対移動方向に平行となる面における電位センサ103 の検出部分の断面が、エッジを持たない形状であることを特徴としいる。
【0054】
図3は、図2を図の右または左方向から見た本実施の形態による装置の概略を表す模式図である。図2、及び、図3に示すように、電位センサ103 の検出部分は、導線105 により回路要素106 に接続されている。
【0055】
電位センサ103 と表面102 との間に相対移動が生じたとき、電位の変化量をdV、相対移動速度をdx/dt とすると電位センサ103 には、dV/dt=(dV/dx)・(dx/xt) に比例する誘導電流が発生する。
【0056】
本実施の形態では、相対移動速度は、任意に設定出来るため、検出した誘導電流には、表面電位の傾きに関する情報を含んでいる。これを、積分解析することにより、表面電位分布を測定することが可能となる。解析時に用いる積分定数は、あらかじめ分布のわかっている表面を測定したときに、その分布を再現するように決定した。
【0057】
図33、図34に実際に測定を行った結果を示す。図33は、600dpiの走査線密度のレーザー露光装置により形成した1 画素(必要に応じてドットと呼ぶ)のデジタル潜像の測定結果、図34は、600dpiの走査線密度のレーザー露光装置により形成した1 ドット1 スペースのデジタル潜像の測定結果である。
【0058】
図33(a)、図34(a)は検出波形、図33(b),図34(b)が積分解析後の波形で、電位形状を表している。この図から明らかなように、デジタル潜像を極めて高精度で測定することに成功した。
【0059】
本実施の形態における解析法では、電位センサ103 の検出部先端の表面102 との間の相対移動方向における幅は、測定する電位変化の幅よりも小さいことが必要である。電位センサ103 は、導電性ワイヤー用いて作成することが出来る。この場合、用いるワイヤーの径は、検出分解能を大きく左右する。基本的にワイヤー径は、小さい方が望ましいが、小さくすると共に信号強度が低下するため、ワイヤー径には下限がある。ワイヤー径はΦ1 〜500 μm、好ましくはΦ1 〜100 μmであることが望ましい。
【0060】
また、電位センサ103 の検出部先端の、相対移動方向を横切る方向における長さ、即ち、感光体ドラムの軸方向の長さは、検出する信号の強度を左右する。長くすると、信号強度は増大するが、ワイヤーの直線性や平行性が低下しやすく、分解能の低下につながりやすい。
【0061】
このため、ワイヤーの長さは、0.2 〜10mmの範囲内であることが望ましい。この場合、図1〜図3に示すように、検出部分は測定する表面に対し平行、且つ、相対移動方向に対し直交するように配置される。
【0062】
検出の分解能は、電位センサ103 の検出部分の直線性、及び、平行性に対する依存性が強く、検知電極の直線性、及び、測定表面に平行且つ相対移動方向に直交方向(図2において、紙面に垂直方向)との平行性は、300 %以内であることが好ましい。
【0063】
本実施の形態における検出信号、即ち、誘導電流は、前述のように相対移動速度に比例している。相対移動速度を速くすることで、信号強度が増大し、S/N の良い信号を得ること出来る。しかしながら、速くしすぎると、接続している回路要素等に起因する時定数の影響によりかえってS/N が悪くなる場合が生じる。このため、相対移動速度は、10〜10000mm/sec の範囲内であることが好ましい。
【0064】
また、相対移動中に電位センサ103 と被測定表面との間の間隔が変化することは、あまり好ましくない。このため、本実施の形態では、電位センサ103 と被測定表面の間隔を一定に保つ手段が設けられている。
【0065】
これは、種々の様々な手段によって達成することが出来る。例えば、コロやスペーサーを用いて、メカ的に一定間隔を保つ機構を設けたり、レーザー隙間センサや渦電流変位センサを用いて、間隔をモニターし、常に一定間隔を保つようにモーター等で制御を行う方法などが挙げられる。
【0066】
更に、間隔の設定値は測定精度に、影響を与える。表面の電位分布を測定するためには、間隔は小さい方が望ましい。しかし、あまり間隔を小さくしすぎると、電位センサ103 と表面の間に放電が起こり、電界が乱れてしまう場合が生じる。このため、電位センサ103 と被測定表面との間隔は、10〜300 μmの範囲内であることが好ましい。
【0067】
上述の測定法では、1 つの電位センサ103 からの信号では、相対移動方向における一次元の電位分布を得ることができる。本実施の形態では、更に、複数の電位センサ103 を配備することにより測定する表面の2 次元の電位分布を測定することが可能である。
【0068】
これら複数の電極は、相対移動方向を横切る方向、即ち、図1〜図3に示す装置において、感光体ドラムの軸方向、即ち、図にほぼ垂直方向に並べて配備される。各電位センサ103 の並べかたは、一列に並べたり、また、感光体ドラムの周方向に重なりかつ軸方向に所定寸法ずつずらして並べることで、静電潜像の感光体ドラムの軸方向の所定位置における電位分布が得られる。
【0069】
そして、各電位センサにより測定された電位分布を重ねるように合成することにより、3次元的な電位分布を得ることができる。
【0070】
尚、電位センサの感光体ドラムの軸方向のずらし量は、例えば10μm程度に設定することも可能である。また、それぞれの電位センサは、感光体ドラムの表面からの距離が等しくなるように設定することで、各電位センサの出力補正を容易に行えるようにすることも良い。
【0071】
感光体の材料として、アモルファスシリコン系感光体は表面硬度が高く、可視光領域のみならず、半導体レーザー(770 nm〜800 nm)等の長波長光にも高い感度を有し、しかも繰返し使用よる劣化も殆ど認められない等、ハロゲンランプを光源とする高速複写機や前記半導体レーザーを用いたデジタル複写機・LBP(レーザービームプリンター)などの電子写真装置用感光体として評価されて使用されている。
【0072】
こうしたa−Si感光体を用いた電子写真装置ならびに画像形成プロセスは概略以下のとおりである。
【0073】
図18はa−Si感光体を用いた従来の電子写真装置の画像形成プロセスを示す概略図であって、X方向に回転する紙面に垂直方向の回転円筒状のアモルファスシリコン感光体1801の周辺には該感光体に近接して主帯電器1802、画像形成光線1803、現像器1804、転写紙給送系1810、転写・分離帯電器1812、クリーニング装置1805、主除電光源1806、搬送系1813などが配設してある。
【0074】
感光体1801は主帯電器1802によって一様に帯電され、これに原稿の情報を有した画像形成光線1803を照射する事によって、感光体1801上に静電潜像が形成される。該潜像は現像器1804からトナーが供給されて可視像、すなわち、トナー像となる。
【0075】
一方、転写材Pは転写紙通路1811、レジストローラ1809よりなる転写紙供給系1810を通って、感光体1801方向へと供給され、転写帯電器1812と感光体1801との間隙において、背面からトナーとは反対極性の電界を与えられ、これによって、感光体表面のトナー像は転写材Pに転移する。
【0076】
分離された転写材Pは、転写紙給送系1813を通って定着装置(図示せず)に至って装置外に排出される。
尚、転写部位において転写に寄与せず感光体表面に残る残留トナーは、クリーナー1805に至りクリーニングブレード1807によってクリーニングされ、クリーニングにより更新された感光体1801は、更に主除電光源1806から除電光を与えられて再び次の画像形成プロセスに供せられる。
【0077】
電子写真方法及び装置において、感光体における感光層を形成する光導電材料としては、高感度で、SN比〔光電流(Ip )/暗電流(Id )〕が高く、照射する電磁波のスペクトル特性に適合した吸収スペクトルを有すること、光応答性が早く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体に対して無害であること、等の特性が要求される。特に、事務機としてオフィスで使用される画像形成装置内に組み込まれる画像形成装置用感光体の場合には、上記の使用時における無公害性は重要な点である。この様な点に優れた性質を示す光導電材料に水素化アモルファスシリコン(以下、「a−Si:H」と表記する)があり、例えば、特公昭60−35059 号公報には画像形成装置用感光体としての応用が記載されている。
【0078】
a−Si:Hを用いた画像形成装置用感光体は、一般的には、導電性支持体を50℃〜400 ℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を形成する。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして実用に付されている。
【0079】
また、特開昭54−83746 号公報においては、導電性支持体と、ハロゲン原子を構成要素として含むa−Si(以下、「a−Si:X」と表記する)光導電層からなる画像形成装置用感光体が提案されている。当該公報においては、a−Siにハロゲン原子を1 乃至40原子%含有させることにより、耐熱性が高く、画像形成装置用感光体の光導電層として良好な電気的、光学的特性を得ることができるとしている。
【0080】
また、特開昭57−11556 号公報には、a−Si堆積膜で構成された光導電層を有する光導電部材の、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、光学的、光導電的特性及び耐湿性等の使用環境特性、さらには経時的安定性について改善を図るため、シリコン原子を母体としたアモルファス材料で構成された光導電層上に、シリコン原子及び炭素原子を含む非光導電性のアモルファス材料で構成された表面層を設ける技術が記載されている。
【0081】
更に、特開昭60−67951 号公報には、アモルファスシリコン、炭素、酸素及び弗素を含有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層する感光体についての技術が記載され、 特開昭62−168161号公報には、表面層として、シリコン原子と炭素原子と41〜70原子%の水素原子を構成要素として含む非晶質材料を用いる技術が記載されている。
【0082】
更に、特開昭60−67951 号公報には、アモルファスシリコン、炭素、酸素及び弗素を含有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層する感光体についての技術が記載され、 特開昭62−168161号公報には、表面層として、シリコン原子と炭素原子と41〜70原子%の水素原子を構成要素として含む非晶質材料を用いる技術が記載されている。
【0083】
さらに、特開昭57−158650号公報には、水素を10〜40原子% 含有し、赤外吸収スペクトルの2100cm-1と2000cm-1の吸収ピークの吸収係数比が0.2 〜1.7 であるa−Si:Hを光導電層に用いることにより高感度で高抵抗な画像形成装置用感光体が得られることが記載されている。
【0084】
一方、特開昭60−95551 号公報には、アモルファスシリコン感光体の画像品質向上のために、感光体表面近傍の温度を30乃至40℃に維持して帯電、露光、現像および転写といった画像形成行程を行うことにより、感光体表面での水分の吸着による表面抵抗の低下とそれに伴って発生する画像流れを防止する技術が開示されている。
【0085】
これらの技術により、画像形成装置用感光体の電気的、光学的、光導電的特性及び使用環境特性が向上し、それに伴って画像品質も向上してきた。
図15は、本実施の形態の画像形成装置用感光体の層構成を説明するための模式的構成図である。
【0086】
図15(a)に示す画像形成装置用感光体1100は、感光体用としての支持体1101の上に、感光層1102が設けられている。該感光層1102はa−Si:H、Xからなり光導電性を有する光導電層1103で構成されている。
【0087】
図15(b)は、本実施の形態の画像形成装置用感光体の他の層構成を説明するための模式的構成図である。図15(b)に示す画像形成装置用感光体1100は、感光体用としての支持体1101の上に、感光層102 が設けられている。該感光層1102はa−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層1103と、アモルファスシリコン系表面層1104とから構成されている。
【0088】
図15(c)は、本実施の形態の画像形成装置用感光体の他の層構成を説明するための模式的構成図である。図15(c)に示す画像形成装置用感光体1100は、感光体用としての支持体1101の上に、感光層1102が設けられている。該感光層1102はa−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層1103と、アモルファスシリコン系表面層1104と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層1105とから構成されている。
【0089】
図15(d)は、本実施の形態の画像形成装置用感光体のさらに他の層構成を説明するための模式的構成図である。図15(d)に示す画像形成装置用感光体1100は、感光体用としての支持体1101の上に、感光層1102が設けられている。該感光層1102は光導電層1103を構成するa−Si:H,Xからなる電荷発生層1106ならびに電荷輸送層1107と、アモルファスシリコン系表面層1104とから構成されている。
【0090】
(支持体)
本実施の形態において使用される支持体としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。
【0091】
本実施の形態に於いて使用される支持体1101の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置用感光体1100を形成し得るように適宜決定するが、画像形成装置用感光体1101としての可撓性が要求される場合には、支持体1101としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体1101は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上とされる。
【0092】
特にレーザー光などの可干渉性光を用いて像記録を行う場合には、可視画像において現われる、いわゆる干渉縞模様による画像不良をより効果適に解消するために、帯電キャリアの減少が実質的にない範囲で支持体1101の表面に凹凸を設けてもよい。支持体1101の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−168156号公報、同60−178457号公報、同60−225854号公報等に記載された公知の方法により作成される。
【0093】
また、レーザー光などの可干渉光を用いた場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する別の方法として、帯電キャリアの減少が実質的にない範囲で支持体1101の表面に複数の球状痕跡窪みによる凹凸形状を設けてもよい。即ち、支持体1101の表面が画像形成装置用感光体1100に要求される解像力よりも微少な凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球状痕跡窪みによるものである。支持体1101の表面に設けられる複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭61−231561号公報に記載された公知の方法により作成される。
【0094】
又、レーザー光等の可干渉光を用いた場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消するさらに別の方法として、感光層1102内、或いは該層1102の下側に光吸収層等の干渉防止層或いは領域を設けても良い。
【0095】
(光導電層)
本実施の形態に於いて、その目的を効果的に達成するために支持体1101上、必要に応じて下引き層( 不図示) 上に形成され、感光層1102の一部を構成する光導電層1103は真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定されて作成される。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される画像形成装置用感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、所望の特性を有する画像形成装置用感光体を製造するに当たっての条件の制御が比較的容易であることからしてグロー放電法、特にRF帯またはVHF帯の電源周波数を用いた高周波グロー放電法が好適である。
【0096】
グロー放電法によって光導電層1103を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部が減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置されてある所定の支持体1101上にa−Si:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0097】
また、本実施の形態において光導電層1103中に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠であるからである。よって水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量はシリコン原子と水素原子または/及びハロゲン原子の和に対して10〜30原子%、より好ましくは15〜25原子%とされるのが望ましい。
【0098】
本実施の形態において使用されるSi供給用ガスとなり得る物質としては、SiH4 、Si2 H6 、Si3 H8 、Si4 H10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4 、Si2 H6 が好ましいものとして挙げられる。
【0099】
そして、形成される光導電層1103中に水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるように図り、本実施の形態の目的を達成する膜特性を得るために、これらのガスに更にH2 および/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することが必要である。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0100】
また本実施の形態において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本実施の形態に於て好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F2 )、BrF、ClF、ClF3 、BrF3 、BrF5 、IF3 、IF7 等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF4 、Si2 F6 等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0101】
光導電層1103中に含有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体1101の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0102】
本実施の形態においては、光導電層1103には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層1103中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0103】
前記伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表3b族に属する原子(以後「第3b族原子」と略記する)またはn型伝導特性を与える周期律表5b族に属する原子(以後「第5b族原子」と略記する)を用いることができる。
【0104】
第3b族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。第5b族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適である。
【0105】
光導電層1103に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは1 ×10-2〜1 ×104 原子ppm、より好ましくは5 ×10-2〜5 ×103 原子ppm、最適には1 ×10-1〜1 ×103 原子ppmとされるのが望ましい。
【0106】
伝導性を制御する原子、たとえば、第3b族原子あるいは第5b族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第3b族原子導入用の原料物質あるいは第5b族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、光導電層1103を形成するための他のガスとともに導入してやればよい。第3b族原子導入用の原料物質あるいは第5b族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。
【0107】
そのような第3b族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用としては、B2 H6 、B4 H10、B5 9 、B5 H11、B6 H10、B6 H12、B6 H14等の水素化硼素、BF3 、BCl3 、BBr3 等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3 、GaCl3 、Ga(CH3 )3 、InCl3 、TlCl3 等も挙げることができる。
【0108】
第5b族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3 、P2 H4 等の水素化燐、PH4 I、PF3 、PF5 、PCl3 、PCl5 、PBr3 、PBr5 、PI3 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、AsH3 、AsF3 、AsCl3 、AsBr3 、AsF5 、SbH3 、SbF3 、SbF5 、SbCl3 、SbCl5 、BiH3 、BiCl3 、BiBr3 等も第3b族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることができる。
【0109】
また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2 および/またはHeにより希釈して使用してもよい。
【0110】
さらに本実施の形態においては、光導電層1103に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子を含有させることも有効である。炭素原子及び/または酸素原子/及びまたは窒素原子の含有量はシリコン原子、炭素原子、酸素原子及び窒素原子の和に対して好ましくは1 ×10-5〜1010原子%、より好ましくは1 ×10-4〜108 原子%、最適には1 ×10-3〜105 原子%が望ましい。炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良いし、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0111】
本実施の形態において、光導電層1103の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは20〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最適には25〜40μmとされるのが望ましい。
【0112】
本実施の形態の目的を達成し、所望の膜特性を有する光導電層1103を形成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体温度を適宜設定することが必要である。
【0113】
希釈ガスとして使用するH2 および/またはHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用ガスに対しH2 および/またはHeを、通常の場合3 〜20倍、好ましくは4 〜15倍、最適には5 〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0114】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1 ×10-4〜1010Torr、好ましくは5 ×10-4〜105 Torr、最適には1 ×10-3〜101 Torrとするのが好ましい。
【0115】
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対する放電電力を、通常の場合2 〜7 倍、好ましくは2.5 〜6 倍、最適には3 〜5 倍の範囲に設定することが望ましい。
【0116】
さらに、支持体1101の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは200 〜350 ℃、より好ましくは230 〜330 ℃、最適には250 〜310 ℃とするのが望ましい。
【0117】
本実施の形態においては、光導電層を形成するための支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0118】
(表面層)
本実施の形態においては、上述のようにして支持体1101上に形成された光導電層1103の上に、更にアモルファスシリコン系の表面層1104を形成することが好ましい。この表面層1104は自由表面1106を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本実施の形態の目的を達成するために設けられる。
【0119】
又、本実施の形態においては、感光層1102を構成する光導電層1103と表面層1104とを形成する非晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成要素を有しているので、積層界面において化学的な安定性の確保が十分成されている。
【0120】
表面層1104は、アモルファスシリコン系の材料であればいれずの材質でも可能であるが、例えば、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiC:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiO:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiN:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiCON:H,X」と表記する)等の材料が好適に用いられる。
【0121】
本実施の形態に於いて、その目的を効果的に達成するために、表面層1104は真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定されて作成される。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される画像形成装置用感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、感光体の生産性から光導電層と同等の堆積法によることが好ましい。
【0122】
例えば、グロー放電法によってa−SiC:H,Xよりなる表面層1104を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電層1103を形成した支持体1101上にa−SiC:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0123】
本実施の形態に於いて用いる表面層の材質としてはシリコンを含有するアモルファス材料ならば何れでも良いが、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくとも1 つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特にa−SiCを主成分としたものが好ましい。
【0124】
表面層をa−SiCを主成分として構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対して30%から90%の範囲が好ましい。
【0125】
また、本実施の形態において表面層1104中に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。また、弗素原子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1 〜10原子%、最適には0.6 〜4 原子%とされるのが望ましい。
【0126】
これらの水素及び/または弗素含有量の範囲内で形成される感光体は、実際面に於いて従来にない格段に優れたものとして充分適用させ得るものである。すなわち、表面層内に存在する欠陥(主にシリコン原子や炭素原子のダングリングボンド)は画像形成装置用感光体としての特性に悪影響を及ぼすことが知られている。例えば自由表面から光導電層への電荷の注入による帯電特性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構造が変化することによる帯電特性の変動、更にコロナ帯電時や光照射時に光導電層により表面層に電荷が注入され、前記表面層内の欠陥に電荷がトラップされることにより繰り返し使用時の残像現象の発生等がこの悪影響として挙げられる。
【0127】
しかしながら表面層内の水素含有量を30原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減少し、その結果、従来に比べて電気的特性面及び高速連続使用性において飛躍的な向上を図ることができる。
【0128】
一方、前記表面層中の水素含有量が71原子%以上になると表面層の硬度が低下するために、繰り返し使用に耐えられなくなる。従って、表面層中の水素含有量を前記の範囲内に制御することが格段に優れた所望の電子写真特性を得る上で非常に重要な因子の1 つである。表面層中の水素含有量は、H2 ガスの流量、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0129】
また、表面層中の弗素含有量を0.01原子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の発生をより効果的に達成することが可能となる。さらに、表面層中の弗素原子の働きとして、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子の結合の切断を効果的に防止することができる。
【0130】
一方、表面層中の弗素含有量が15原子%を超えると表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の発生の効果およびシリコン原子と炭素原子の結合の切断を防止する効果がほとんど認められなくなる。さらに、過剰の弗素原子が表面層中のキャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画像メモリーが顕著に認められてくる。従って、表面層中の弗素含有量を前記範囲内に制御することが所望の電子写真特性を得る上で重要な因子の一つである。表面層中の弗素含有量は、水素含有量と同様にH2 ガスの流量、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0131】
本実施の形態の表面層の形成において使用されるシリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、SiH4 、Si2 6 、Si3 H8 、Si4 H10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4 、Si2 H6 が好ましいものとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原料ガスを必要に応じてH2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0132】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH4 、C2 H6 、C3 H8 、C4 H10等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でCH4 、C2 H6 が好ましいものとして挙げられる。また、これらのC供給用の原料ガスを必要に応じてH2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0133】
窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質としては、NH3 、NO、N2 O、NO2 、H2 O、O2 、CO、CO2 N2 等のガス状態の、またはガス化し得る化合物が有効に使用されるものとして挙げられる。また、これらの窒素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0134】
また、形成される表面層1104中に導入される水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるように図るために、これらのガスに更に水素ガスまたは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0135】
ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本実施の形態に於て好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F2 )、BrF、ClF、ClF3 、BrF3 、BrF5 、IF3 、IF7 等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF4 、Si2 F6 等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0136】
表面層1104中に含有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体1101の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0137】
炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有されても良いし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0138】
さらに本実施の形態においては、表面層1104には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層1104中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0139】
前記の伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第3b族原子またはn型伝導特性を与える周期律表第5b族原子を用いることができる。
【0140】
第3b族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。第5b族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適である。
【0141】
表面層104 に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは1 ×10-3〜1 ×103 原子ppm、より好ましくは1 ×10-2〜5 ×102 原子ppm、最適には1 ×10-1〜1 ×102 原子ppmとされるのが望ましい。伝導性を制御する原子、たとえば、第3b族原子あるいは第5b族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第3b族原子導入用の原料物質あるいは第5b族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、表面層104 を形成するための他のガスとともに導入してやればよい。第3b族原子導入用の原料物質あるいは第5b族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。
【0142】
そのような第3b族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用としては、B2 H6 、B4 H10、B5 H9 、B5 H11、B6 H10、B6 H12、B6 H14等の水素化硼素、BF3 、BCl3 、BBr3 等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3 、GaCl3 、Ga(CH3 )3 、InCl3 、TlCl3 等も挙げることができる。
【0143】
第5b族原子導入用の原料物質として、有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3 、P2 H4 等の水素化燐、PH4 I、PF3 、PF5 、PCl3 、PCl5 、PBr3 、PBr5 、PI3 等のハロゲン化燐が挙げられる。
【0144】
この他、AsH3 、AsF3 、AsCl3 、AsBr3 、AsF5 、SbH3 、SbF3 、SbF5 、SbCl3 、SbCl5 、BiH3 、BiCl3 、BiBr3 等も第5b族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることができる。
【0145】
また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0146】
本実施の形態に於ける表面層104 の層厚としては、通常0.01〜3 μm、好適には0.05〜2 μm、最適には0.1 〜1 μmとされるのが望ましい。層厚が0.01μmよりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3 μmを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下がみられる。
【0147】
本実施の形態による表面層1104は、その要求される特性が所望通りに与えられるように注意深く形成される。即ち、Si、C及び/またはN及び/またはO、H及び/またはXを構成要素とする物質はその形成条件によって構造的には結晶からアモルファスまでの形態を取り、電気物性的には導電性から半導体性、絶縁性までの間の性質を、又、光導電的性質から非光導電的性質までの間の性質を各々示すので、本実施の形態においては、目的に応じた所望の特性を有する化合物が形成される様に、所望に従ってその形成条件の選択が厳密になされる。
【0148】
例えば、表面層1104を耐圧性の向上を主な目的として設けるには、使用環境に於いて電気絶縁性的挙動の顕著な非単結晶材料として作成される。
【0149】
又、連続繰り返し使用特性や使用環境特性の向上を主たる目的として表面層1104が設けられる場合には、上記の電気絶縁性の度合はある程度緩和され、照射される光に対して有る程度の感度を有する非単結晶材料として形成される。
【0150】
更に、本実施の形態に掛る帯電機構においては、表面層の低抵抗による画像流れを防止し、或いは残留電位等の影響を防止する為に、一方では帯電効率を良好にする為に、層作成に際して、その抵抗値を適宜に制御する事が好ましい。
【0151】
本実施の形態の目的を達成し得る特性を有する表面層1104を形成するには、支持体1101の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要がある。
【0152】
支持体1101の温度(Ts)は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは200 〜350 ℃、より好ましくは230 〜330 ℃、最適には250 〜300 ℃とするのが望ましい。
【0153】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは1 ×10-4〜1010Torr、より好ましくは5 ×10-4〜105 Torr、最適には1 ×10-3〜101 Torrとするのが好ましい。
【0154】
本実施の形態においては、表面層を形成するための支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0155】
さらに本実施の形態に於いては、光導電層と表面層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表面層より減らしたブロッキング層(下部表面層)を設けることも帯電能等の特性を更に向上させるためには有効である。
【0156】
また表面層1104と光導電層1103との間に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子の含有量が光導電層1103に向かって減少するように変化する領域を設けても良い。これにより表面層と光導電層の密着性を向上させ、界面での光の反射による干渉の影響をより少なくすることができる。
【0157】
(電荷注入阻止層)
本実施の形態の画像形成装置用感光体においては、導電性支持体と光導電層との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層を設けるのがいっそう効果的である。すなわち、電荷注入阻止層は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に比べ比較的多く含有させる。
【0158】
該層に含有される伝導性を制御する原子は、該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。分布濃度が不均一な場合には、支持体側に多く分布するように含有させるのが好適である。
【0159】
しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化をはかる点からも必要である。
【0160】
電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第
族原子またはn型伝導特性を与える周期律表第 族原子を用いることができる。
【0161】
第3族原子としては、具体的には、B(ほう素),Al(アルミニウム),Ga(ガリウム),In(インジウム),Ta(タリウム)等があり、特にB,Al,Gaが好適である。第5族原子としては、具体的にはP(リン),As(砒素),Sb(アンチモン),Bi(ビスマス)等があり、特にP,Asが好適である。
【0162】
本実施の形態において電荷注入阻止層中に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、本実施の形態の目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜決定されるが、好ましくは10〜1 ×104 原子ppm、より好適には50〜5 ×103 原子ppm、最適には1 ×102 〜1 ×103 原子ppmとされるのが望ましい。
【0163】
さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、窒素原子及び酸素原子の少なくとも一種を含有させることによって、該電荷注入阻止層に直接接触して設けられる他の層との間の密着性の向上をよりいっそう図ることができる。
【0164】
該層に含有される炭素原子または窒素原子または酸素原子は該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0165】
本実施の形態における電荷注入阻止層の全層領域に含有される炭素原子及び/または窒素原子および/または酸素原子の含有量は、本実施の形態の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、一種の場合はその量として、二種以上の場合はその総和として、好ましくは1 ×10-3〜50原子%、より好適には5 ×10-3〜30原子%、最適には1 ×10-2〜10原子%とされるのが望ましい。
【0166】
また、本実施の形態における電荷注入阻止層に含有される水素原子および/またはハロゲン原子は層内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。電荷注入阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるいは水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には1 〜50原子%、より好適には5 〜40原子%、最適には10〜30原子%とするのが望ましい。
【0167】
本実施の形態において、電荷注入阻止層の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは0.1 〜5 μm、より好ましくは0.3 〜4 μm、最適には0.5 〜3 μmとされるのが望ましい。
【0168】
本実施の形態において電荷注入阻止層を形成するには、前述の光導電層を形成する方法と同様の真空堆積法が採用される。
【0169】
本実施の形態の目的を達成し得る特性を有する電荷注入阻止層105 を形成するには、光導電層1103と同様に、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体1101の温度を適宜設定することが必要である。
【0170】
希釈ガスであるH2 および/またはHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用ガスに対しH2 および/またはHeを、通常の場合1 〜20倍、好ましくは3 〜15倍、最適には5 〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0171】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1 ×10-4〜10Torr、好ましくは5 ×10-4〜5 Torr、最適には1 ×10-3〜1 Torrとするのが好ましい。
【0172】
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対する放電電力を、通常の場合1 〜7 倍、好ましくは2 〜6 倍、最適には3 〜5 倍の範囲に設定することが望ましい。
【0173】
さらに、支持体1101の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは200 〜350 ℃、より好ましくは230 〜330 ℃、最適には250 〜300 ℃とするのが望ましい。
【0174】
本実施の形態においては、電荷注入阻止層を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する表面層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて各層作成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0175】
このほかに、本実施の形態の画像形成装置用感光体においては、感光層1102の前記支持体1101側に、少なくともアルミニウム原子、シリコン原子、水素原子または/及びハロゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態で含有する層領域を有することが望ましい。
【0176】
また、本実施の形態の画像形成装置用感光体に於いては、支持体1101と光導電層1103あるいは電荷注入阻止層105 との間の密着性の一層の向上を図る目的で、例えば、Si3 N4 、SiO2 、SiO、あるいはシリコン原子を母体とし、水素原子及び/またはハロゲン原子と、炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子とを含む非晶質材料等で構成される密着層を設けても良い。更に、前述のごとく、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層を設けても良い。
【0177】
次に、感光層を形成するための装置および膜形成方法について詳述する。
【0178】
図16は電源周波数としてRF帯を用いた高周波プラズマCVD法(以後「RF−PCVD」と略記する)による画像形成装置用感光体の製造装置の一例を示す模式的な構成図である。図16に示す製造装置の構成は以下の通りである。
【0179】
この装置は大別すると、堆積装置(2100)、原料ガスの供給装置(2200)、反応容器(2111)内を減圧にするための排気装置(図示せず)から構成されている。堆積装置(2100)中の反応容器(2111)内には円筒状支持体(2112)、支持体加熱用ヒーター(2113)、原料ガス導入管(2114)が設置され、更に高周波マッチングボックス(2115)が接続されている。
【0180】
原料ガス供給装置(2200)は、SiH4 、GeH4 、H2 、CH4 、B2 H6 、PH3 等の原料ガスのボンベ(2221〜2226)とバルブ(2231〜2236,2241 〜2246,2251 〜2256)およびマスフローコントローラー(2211〜2216)から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ(2260)を介して反応容器(2111)内のガス導入管(2114)に接続されている。
【0181】
この装置を用いた堆積膜の形成は例えば以下のように行なうことができる。
【0182】
まず、反応容器(2111)内に円筒状支持体(2112)を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器(2111)内を排気する。続いて、支持体加熱用ヒーター(2113)により円筒状支持体(2112)の温度を200 ℃乃至350 の所定の温度に制御する。
【0183】
堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(2111)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(2231〜2237)、反応容器のリークバルブ(2117)が閉じられていることを確認し、叉、流入バルブ(2241〜2246)、流出バルブ(2251〜2256)、補助バルブ(2260)が開かれていることを確認して、まずメインバルブ(2118)を開いて反応容器(2111)およびガス配管内(2116)を排気する。
【0184】
次に真空計(2119)の読みが約5 ×10-6Torrになった時点で補助バルブ(2260)、流出バルブ(2251〜2256)を閉じる。
【0185】
その後、ガスボンベ(2221〜2226)より各ガスをバルブ(2231〜2236)を開いて導入し、圧力調整器(2261〜2266)により各ガス圧を2 Kg/cm2 に調整する。次に、流入バルブ(2241〜2246)を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラー(2211〜2216)内に導入する。
【0186】
以上のようにして成膜の準備が完了した後以下の手順で各層の形成を行う。
【0187】
円筒状支持体(2112)が所定の温度になったところで流出バルブ(2251〜2256)のうちの必要なものおよび補助バルブ(2260)を徐々に開き、ガスボンベ(2221〜2226)から所定のガスをガス導入管(2114)を介して反応容器(2111)内に導入する。次にマスフローコントローラー(2211〜2216)によって各原料ガスが所定の流量になるように調整する。
【0188】
その際、反応容器(2111)内の圧力が1 Torr以下の所定の圧力になるように真空計(2119)を見ながらメインバルブ(2118)の開口を調整する。内圧が安定したところで、周波数13.56 MHzのRF電源(不図示)を所望の電力に設定して、高周波マッチングボックス(2115)を通じて反応容器(2111)内にRF電力を導入し、グロー放電を生起させる。
【0189】
この放電エネルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解され、円筒状支持体(2112)上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成されるところとなる。所望の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0190】
同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の感光層が形成される。
【0191】
それぞれの層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うまでもなく、また、それぞれのガスが反応容器(2111)内、流出バルブ(2251〜2256)から反応容器(2111)に至る配管内に残留することを避けるために、流出バルブ(2251〜2256)を閉じ、補助バルブ(2260)を開き、さらにメインバルブ(2118)を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0192】
また、膜形成の均一化を図るために、層形成を行なっている間は、支持体(2112)を駆動装置(不図示)によって所定の速度で回転させることも有効である。さらに、上述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うまでもない。
【0193】
次に、電源にVHF帯の周波数を用いた高周波プラズマCVD(以後「VHF−PCVD」と略記する)法によって形成される画像形成装置用感光体の製造方法について説明する。
【0194】
図16に示した製造装置におけるRF−PCVD法による堆積装置(2100)を図17に示す堆積装置(3100)に交換して原料ガス供給装置(2200)と接続することにより、VHF−PCVD法による以下の構成の画像形成装置用感光体製造装置を得ることができる。
【0195】
この装置は大別すると、真空気密化構造を成した減圧にし得る反応容器(3111)、原料ガスの供給装置(2200)、および反応容器内を減圧にするための排気装置(不図示)から構成されている。反応容器(3111)内には円筒状支持体(3112)、支持体加熱用ヒーター(3113)、原料ガス導入管(3114)、電極が設置され、電極には更に高周波マッチングボックス(3120)が接続されている。また、反応容器(3111)内は排気管(3121)を通じて不図示の拡散ポンプに接続されている。
【0196】
原料ガス供給装置(2200)は、SiH4 、GeH4 、H2 、CH4 、B2 H6 、PH3 等の原料ガスのボンベ(2221〜2226)とバルブ(2231〜2236,2241 〜2246,2251 〜2256)およびマスフローコントローラー(2211〜2216)から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ(2260)を介して反応容器(3111)内のガス導入管(3114)に接続されている。また、円筒状支持体(3115)によって取り囲まれた空間(3130)が放電空間を形成している。
【0197】
VHF−PCVD法によるこの装置での堆積膜の形成は、以下のように行なうことができる。
【0198】
まず、反応容器(3111)内に円筒状支持体(3115)を設置し、駆動装置(3120)によって支持体(3115)を回転し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器(3111)内を排気管(3121)を介して排気し、反応容器(3111)内の圧力を1 ×10-7Torr 以下に調整する。続いて、支持体加熱用ヒーター(3116)により円筒状支持体(3115)の温度を200 ℃乃至350 ℃の所定の温度に加熱保持する。
【0199】
堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(3111)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(2231 〜2236) 、反応容器のリークバルブ( 不図示) が閉じられていることを確認し、叉、流入バルブ(2241 〜2246) 、流出バルブ(2251 〜2256) 、補助バルブ(2260)が開かれていることを確認して、まずメインバルブ( 不図示) を開いて反応容器(3111)およびガス配管(3122)内を排気する。
【0200】
次に真空計( 不図示) の読みが約5 ×10-6Torrになった時点で補助バルブ(2260)、流出バルブ(2251 〜2256) を閉じる。
【0201】
その後、ガスボンベ(2221 〜2226) より各ガスをバルブ(2231 〜2236) を開いて導入し、圧力調整器(2261 〜2266) より各ガス圧を2 Kg/cm2 に調整する。次に、流入バルブ(2241 〜2246) を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラー(2211 〜2216) 内に導入する。
【0202】
以上のようにして成膜の準備が完了した後、以下のようにして円筒状支持体(3115)上に各層の形成を行う。
【0203】
円筒状支持体(3115)が所定の温度になったところで流出バルブ(2251 〜2256) のうちの必要なものおよび補助バルブ(2260)を徐々に開き、ガスボンベ(2221 〜2226) から所定のガスをガス導入管(3117)を介して反応容器(3111)内の放電空間(3130)に導入する。次にマスフローコントローラー(2211 〜2216) によって各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、放電空間(3130)内の圧力が1 Torr以下の所定の圧力になるように真空計( 不図示) を見ながらメインバルブ( 不図示) の開口を調整する。
【0204】
圧力が安定したところで、周波数500 MHzのVHF電源(不図示)を所望の電力に設定して、マッチングボックス(3120)を通じて放電空間(3130)にVHF電力を導入し、グロー放電を生起させる。かくして支持体(3115)により取り囲まれた放電空間(3130)において、導入された原料ガスは、放電エネルギーにより励起されて解離し、円筒状支持体(3115)上に所定の堆積膜が形成される。この時、層形成の均一化を図るため支持体回転用モーター(3120)によって、所望の回転速度で回転させる。
【0205】
所望の膜厚の形成が行われた後、VHF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0206】
同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の感光層が形成される。
【0207】
それぞれの層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うまでもなく、また、それぞれのガスが反応容器(3111)内、流出バルブ(2251 〜2256) から反応容器(3111)に至る配管内に残留することを避けるために、流出バルブ(2251 〜2256) を閉じ、補助バルブ(2260)を開き、さらにメインバルブ( 不図示) を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0208】
上述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うまでもない。
【0209】
いずれの方法においても、堆積膜形成時の支持体温度は、特に200 ℃以上350 ℃以下、好ましくは230 ℃以上330 ℃以下、より好ましくは250 ℃以上300 ℃以下が好ましい。
【0210】
支持体の加熱方法は、真空仕様である発熱体であればよく、より具体的にはシース状ヒーターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用することができる。
【0211】
それ以外にも、反応容器以外に加熱専用の容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で支持体を搬送する等の方法が用いられる。
【0212】
また、特にVHF−PCVD法において、放電空間の圧力として、好ましくは1 mTorr以上500 mTorr以下、より好ましくは3 mTorr以上300 mTorr以下、最も好ましくは5 mTorr以上100 mTorr以下に設定することが望ましい。
【0213】
VHF−PCVD法において放電空間に設けられる電極の大きさ及び形状は、放電を乱さないならばいずれのものでも良いが、実用上は直径1 mm以上10cm以下の円筒状が好ましい。この時、電極の長さも、支持体に電界が均一にかかる長さであれば任意に設定できる。
【0214】
電極の材質としては、表面が導電性となるものならばいずれのものでも良く、例えば、ステンレス, Al, Cr, Mo, Au, In, Nb, Te, V, Ti, Pt, Pb, Fe等の金属、これらの合金または表面を導電処理したガラス、セラミック、プラスチック等が通常使用される。
【0215】
以上述べてきた手段及び作用を単独、組み合わせで用いる事により、優れた効果を引き出す事が可能である。
【0216】
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、電位形状を測定することを可能にし、電位センサーの検出部分と感光体表面との距離が10μであるとき、1 画素分の電位形状が、1/e2半値幅で50μ以下、深さ100v以上であり、現像剤の帯電量が5~10μC /gであることであることにより、十分な濃度を確保しつつ、カブリがなく、高密度ドットで形成される画像情報を忠実に再現する高画質な電子写真装置を得ることが可能となり、また、測定された電位形状に応じて、現像工程における現像剤の帯電量を制御することにより、十分な濃度を確保しつつ、カブリがなく、高密度ドットで形成される画像情報を忠実に再現する高画質で、トータル性能に優れた電子写真方法および電子写真装置を提供することが可能になるといった結論に至った。
【0217】
次に現像剤の帯電量の制御方法について述べる。
まず、代表的な現像手段である磁性1 成分現像について簡単に説明する。
【0218】
図19において、現像スリーブ1901の略右半周面は現像剤(以下、必要に応じてトナーと称す)容器1902内のトナー溜りに常時接触していて、その現像スリー部面近傍のトナーが現像スリーブ面の磁性トナー層が規制部材としてのドクターブレード1904の位置を通過する過程で各部略均一厚さの薄層磁性トナーT1として整層化される。
【0219】
磁性トナーの帯電は主として現像スリーブ1901の回転に伴うスリーブ面とその近傍のトナー溜りの磁性トナーとの摩擦接触によりなされ、現像スリーブ1901上の上記磁性トナー薄層面は現像スリーブの回転に伴い潜像保持体1905側へ回転し、潜像保持体1905と現像スリーブ1901の最接近部である現像領域部A を通過する。
【0220】
この通過過程で現像スリーブ1901面側の磁性トナー薄層の磁性トナーが潜像保持体1905と現像スリーブ1901間に印加した、直流と交流を重畳した電界により飛翔し、現像領域部A の潜像保持体1905面と現像スリーブ1901面との間(間隙α)を往復運動する。最終的には現像スリーブ1901側の磁性トナーが潜像保持体1905面の表面の電位パターンに応じて選択的に移行付着してトナー像T2が順次形成される。
【0221】
現像領域部A を通過して、磁性トナーが選択的に消費された現像スリーブ面はホッパ1902のトナー溜りへ再回転することにより磁性トナーの再供給を受け、現像領域部A へ現像スリーブ1901の磁性トナー薄層T1面が移送され、繰り返し現像工程が行われる。
【0222】
ドクターブレード1904は、スリーブと一定の間隙をおいて配置される金属ブレード、磁性ブレードが用いられる。
【0223】
トナー薄層化規制部材としてドクターブレードの代りに、金属、樹脂、セラミックなどを用いた剛体ローラーやスリーブを用いてもよく、内部に磁気発生手段を入れてもよい。
また、磁性1 成分現像法、非磁性1 成分現像法においては、ドクターブレードとしてスリーブ表面に弾性力で当接する弾性ブレードが用いられる。トナー薄層化規制部材としてドクターブレードの代りに弾性体ローラーを用いてもよい。
【0224】
弾性ブレード、弾性ローラーとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBR の如きゴム弾性体、ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体、ステンレス、鋼の如き金属弾性体が使用できる。また、それらの複合体であっても使用できる。好ましくはゴム弾性体が良い。
【0225】
また、弾性ブレード、弾性ローラーの材質は、トナー担持体上のトナーの帯電に大きく関与する。そのため、弾性体中に、有機物、無機物を添加してもよく、溶融混合させてもよいし、分散させてもよい。たとえば、金属酸化物、金属粉、セラミックス、炭素同素体、ウィスカー、無機繊維、染料、顔料、界面活性剤などがある。
【0226】
更に、ゴム、合成樹脂、金属弾性体に、トナーの帯電性をコントロールする目的で、樹脂、ゴム、金属酸化物、金属などの物質をスリーブ当接部分にあたるように付けたものを用いてもよい。弾性体、トナー担持体に耐久性が要求される場合には、金属弾性体に樹脂、ゴムをスリーブ当接部にあたるように貼り合わせるものが好ましい。
【0227】
トナーが負帯電性である場合には、ウレタンゴム、ウレタン樹脂、ポリアミド、ナイロンや正極性に帯電しやすいものが好ましい。トナーが正帯電性である場合には、ウレタンゴム、ウレタン樹脂、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂(例えばテフロン樹脂)、ポリイミド樹脂や負極性に帯電しやすいものが好ましい。
【0228】
スリーブ当接部分が樹脂、ゴム等の成型体の場合は、トナーの帯電性を調整するためにその中に、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化錫、ジルコニア、酸化亜鉛等の金属酸化物、カーボンブラック、一般にトナーに用いられる荷電制御剤等を含有させることも好ましい。
【0229】
弾性ブレードの上辺部側である基部は現像剤容器側に固定保持され、下辺部側をブレードの弾性にこうして現像スリーブの順方向あるいは逆方向にたわめ状態にしてブレード内面側(逆方向の場合には外面側)をスリーブ表面に適度の弾性押圧をもって当接させる。
【0230】
画像形成装置の例を図20に示す。この様な装置によると、環境の変動に対しても安定して薄い緻密なトナー層が得られる。その理由は必ずしも明確ではないが、通常用いられる金属製のブレードをスリーブからある間隙を隔てて取り付けた装置と比較してトナー粒子が弾性ブレードによってスリーブ表面と強制的に摩擦されるため、トナーの環境変化による挙動の変化に関係なく常に同じ状態で帯電が行われるためと推測される。
【0231】
その一方で、帯電が過剰になり易く、スリーブ、ブレード上のトナーが融着しやすいが、流動性に優れ摩擦帯電性が安定しているトナーを用いることで、解決できる。
【0232】
磁性1 成分現像法の場合、ブレードとスリーブとの当接方法は、スリーブ母線方向の線圧として、、0.1kg/m 以上、好ましくは、0.3 〜25kg/m、更に好ましくは、0.51〜2kg/m が有効である。当接圧力が0.1kg/m より小さい場合、トナーの均一塗布が困難となり、トナーの帯電量分布がブロードになりカブリや飛散の原因となる。また、当接圧力が25kg/mを超えると現像剤に大きな圧力がかかり、現像剤が劣化するため、現像剤の凝集が発生するなど好ましくない。また、現像剤担持体を駆動させるために大きなトルクを要するため好ましくない。
潜像保持体とトナー担持体との間隙αは、例えば、50〜500 μm に設定され、ドクターブレードとして、磁性ブレードを用いる場合には、磁性ブレードとトナー担持体との間隙は、50〜400 μm に設定されることが好ましい。
【0233】
トナー担持体上の磁性トナー層の層厚は、潜像保持体とトナー担持体との間隙αよりも薄い事がもっとも好ましいが、場合により磁性トナー層を構成する磁性トナーの多数の穂のうち、一部は潜像保持体に接する程度の磁性トナー層の層厚を規制してもよい。
【0234】
また、スリーブは潜像保持体に対し、100 〜200%の周速で回転される。交番バイアス電圧は、ピークトゥピークで0.1kV 上、好ましくは、0.2 〜3.0kV 、更に好ましくは0.3 〜2.0kV で用いるのが良い。交番バイアス周波数は、1.0 〜5.0kHz好ましくは1.0 〜3.0kHz、更に好ましくは1.5 〜3.0kHzで用いられる。交番バイアス波形は、矩形波、サイン波、のこぎり波、三角波等の波形が適用できる。また、正、逆の電圧、時間の異なる非対称交流バイアスも利用できる。また、直流バイアスを重畳するのも好ましい。
【0235】
スリーブは、金属、セラミックスなどの材質のものが用いられるが、アルミニウム、SUS などが、トナーへの帯電性から好ましい。スリーブは引き抜き或いは切削したままでも用いられることができるが、トナーの搬送性、摩擦帯電付与性を制御するため、研磨したり周方向或いは長手方向に荒しを入れたり、ブラスト処理を施したり、コーティングなどが行われる。
【0236】
また、現像スリーブとしてはスリーブ表面に導電性微粒子を含有する被覆層が形成されているものも好ましい。導電性微粒子としてはカーボン微粒子、またカーボン微粒子と結晶性グラファイト、または結晶性グラファイトが好ましい。
【0237】
結晶性グラファイトは、大別すると天然黒鉛と人造黒鉛に分けられる。人造黒鉛は、ピッチコークスをタールピッチ等により固めて1200度位で一度熟成してから黒鉛化炉にいれ、2300度くらいの高温で処理することにより、炭素の結晶が成長して黒鉛に変化する。天然黒鉛は長い間天然の地熱と地下の高圧によって完全に黒鉛化したものが地中より産出するものである。
【0238】
これらの黒鉛は、種々の優れた性質を有していることから工業的に広い用途を持っている。黒鉛は暗灰色ないし黒色の光沢のある非常に柔らかい滑性のある結晶鉱物で、鉛筆等に利用されその他耐熱性、科学的安定性があるため潤滑剤、耐火性材料、電気材料とうに固体や塗料の形で利用されている。結晶構造は六方晶とその他菱面晶系に属するものがあり、完全な層状構造を有している。電気的特性に関しては炭素と炭素の間に自由電子が存在し、電気の良導体となっている。なお、被覆層として用いる黒鉛は天然、人工のどちらでもよい。黒鉛の粒径は0.5 〜20μm のものが好ましい。
【0239】
また、被覆層を形成する高分子材料は、例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、等の熱硬化性樹脂或いは光硬化性樹脂等を使用することができる。
【0240】
中でもシリコーン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、あるいはポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン系樹脂、のような機械的性質に優れたものがより好ましい。
【0241】
導電性のアモルファスカーボンは、一般的には「炭化水素または炭素を含む化合物を空気の供給が不十分な状態で燃焼または熱分解させてできる結晶子の集合体」と定義されている。特に電気伝導性にすぐれ、高分子材料に充填して導電性を付与したり、添加量のコントロールである程度任意の導電度を得ることができるため広く普及している。なお、導電性アモルファスカーボンの粒径は10nm〜80nmが好ましく、15nm〜40nmのものがより好ましい。
【0242】
以上のように現像剤の帯電量を制御する材料的な代表的手段としては、現像剤の粒径材質および現像スリーブの材質を変更することが挙げられる。
【0243】
一般に、現像剤の粒径を大きくすると帯電量は増加する傾向にあり、現像剤の材質としては、内添する荷電制御剤を変更することにより制御可能である。
【0244】
材料的な帯電制御手段は、本体の設計時に決定して使用するものであるため、該電位測定工程において、該検出部分と該感光体表面との距離が10μであるとき、1 画素分の電位形状が、1/e2半値幅で50μm以下、深さ100v以上のものを用い、現像工程における現像剤の帯電量を5~10μC /g にすることにより、十分な濃度を確保しつつ、カブリがなく、高密度ドットで形成される画像情報を忠実に再現する高画質な電子写真装置を得ることが可能となる。
【0245】
一方、現像剤の帯電量を制御するプロセス条件的な代表的手段としては、現像スリーブの回転数、ドクターブレードと現像スリーブの間隙(以下、SBギャップと称す)を変更することが挙げられる。
【0246】
一般に、現像スリーブの回転数を速くしたり、SBギャップを狭くすると帯電量は増加する傾向にある。
【0247】
プロセス条件的な手段は、潜像形状の測定結果を受けて、現像剤の帯電量にフィードバックすることが可能であるため、耐久による潜像の変化がある場合にも、適正な現像剤帯電量を制御することができ、十分な濃度を確保しつつ、カブリがなく、高密度ドットで形成される画像情報を忠実に再現する高画質な電子写真方法および電子写真装置を得ることが可能となる。
【0248】
以下、実験例、及び、実施例により本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらの実験例、及び、実施例になんら限定されるものではない。
なお、本実験における検出分解能は、1 画素に相当するデジタル潜像を測定したときに、得られた電位信号の1/e2半値幅として評価を行った。
【0249】
(実験例1)
図1に示す電位分布測定装置を用い、400 〜1200dpi の走査線密度のレーザー露光装置用によるデジタル潜像の電位分布について測定した結果を図4に示す。測定条件は、表1に示す通りである。
【0250】
【表1】
図4より、検出分解能はワイヤー径に強く依存しており、ワイヤー径が小さくなると検出分解能が向上することがわかる。1200dpi のデジタル潜像の測定結果では、ワイヤー径がレーザースポット径( 20μm)より小さくなると、レーザースポット径にかなり近い高分解能で電位分布を測定することが出来た。
【0251】
同様に、600dpi、400dpiの場合においても、それぞれのレーザースポット径より小さい径では、スポット径に近い分解能が得られている。また、ワイヤー径1 μm 電位センサーを用いた場合においても、十分S/N のよい信号を得ることが出来た。
【0252】
一方、信号強度に関しては、図1に示す実験においては、ワイヤー径が大きくなるにつれ、信号強度も大きくなる。そこで、ワイヤー径と信号強度との相関について調べた。その結果を図5 に示す。この時の電位変化は、ワイヤー径よりも大きくなる様に、幅2mm の像露光により形成した。図5に示すように、ワイヤー太さが500 μm を超えると、信号強度も弱くなる結果が得られた。即ち、ワイヤー径が500 μm を超える範囲においては、検出分解能、信号強度ともに悪い結果となり、本発明による表面電位分布測定には、適さないことがわかった。
【0253】
(実験例2)
図1に示す電位分布測定装置を用い、電位センサーに用いるワイヤーの長さと信号強度、 及び、 検出分解能の関係について実験を行った結果を図6、 及び、 図7にそれぞれに示す。測定条件は、表2の通りである。
【0254】
【表2】
図6、 及び、 図7から明らかなように、ワイヤーの長さと信号強度、 及び、 検出分解能の間には関連性が見られる。 ワイヤーの長さが長くなるとともに、検出分解能は低下している。しかし、検出分解能の絶対値については、ワイヤーの長さよりも、ワイヤー径に対する依存性の方が強い。このため、ワイヤーの長さが長くなると、本来そのワイヤーが持ちうる分解能まで到達できなくなると考えられる。
【0255】
図6では、ワイヤー長さが10mmのとき、長さ1mm のときに比べ、2 倍近く悪い結果になってる。この事から、10mmより長いワイヤーは、あまり好ましくないことがわかる。
【0256】
また、図7によれば、長さが短くなるとともに、信号強度が小さくなってしまい、0.2mm より短くなると、検出するのが困難であった。
【0257】
(実験例3)
図1に示す電位分布測定装置を用い、電位センサーの検出部分の直線性、及び、平行性と検出分解の関係について実験を行った。図8は、この実験のために特別に製作した電位センサーの、図3に示す方向から見た電位センサー検出部の拡大図である。図7に示すように、意図的に検出部分が曲がった形状になるように電位センサーを製作し、直線性を図8に示すように定義した。また、図9は、平行性の定義を表す模式図である。相対移動方向であるX は、紙面に垂直方向で、y は感光体の表面に垂直方向、z はX 及びY に直交する方向を表している。実験条件、及び、実験結果を、表3、及び、図10にそれぞれ示す。
【0258】
【表3】
図10から明らかなように、ワイヤーの直線性、及び、平行性と分解能の間には関連性があり、直線性、及び、平行性が悪くなると、検出分解能が低下した。しかし、検出分解能の絶対値については、ワイヤーの直線性や平行性よりも、ワイヤー径に対する依存性の方が強い。
【0259】
このため、直線性や平行性が悪くなると、本来そのワイヤーが持ちうる分解能まで到達できなくなると考えられる。図10では、ワイヤーの直線性、及び、平行性が300%を超えると、150%の時の検出分解能に比べ、2 倍近く悪い結果になってる。この事から、ワイヤーの直線性、及び、平行性は300%を超えるは、好ましくないことがわかる。
【0260】
(実験例4)
図1に示す電位分布測定装置を用い、相対移動速度と信号強度、及び、測定した波形の歪みの関係について実験を行った結果を図11に示す。測定条件は、表4に示す通りである。
【0261】
【表4】
図11から明らかなように、相対移動速度が10(mm/sec)より遅くなると、信号強度が弱く、十分S/N のよい波形を得ることが出来なかった。また、相対移動速度が10,000(mm/sec)より速くなると、測定系に起因する時定数の影響にで、検出波形に歪みが生じるようになり、表面上の電位分布を正しく測定できなくなってしまった。
【0262】
(実験例5)
図1に示す電位分布測定装置を用い、測定間隔と検出分解能の関係について実験を行った結果を図12に示す。測定条件は、表5に示す通りである。
【0263】
【表5】
図12を見ると、測定間隔が大きくなるとともに、検出分解能が低下しているように見える。しかし、これは実際の電位が空間的な広がりを持っているためであり、測定系の問題ではない。
【0264】
表面近傍の電位分布を正しく評価するためには、測定間隔は200 μm以下、より好ましくは100 μm以下であることが好ましい。
【0265】
電位分布の空間的な広がりの評価を行う場合においては、測定間隔は任意に設定できる。
【0266】
また、測定間隔を10[ μm]より小さくすると、表面電位との電位センサーの間で放電が起こり、検出波形が著しく乱れ、表面電位分布を測定することが出来なかった。
【0267】
(実験例6)
図16に示すRF−PCVD法による電子写真用感光体の製造装置を用い、直径108 mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー上に、表6に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる感光体を作製した。
【0268】
【表6】
この感光体の光導電層の作製時間を変えることにより、膜厚の異なった感光体を作成した。このようにして作製した感光体をキヤノン製複写機NP6060をデジタル用に改造した評価機を用いて評価を行った。
【0269】
この評価機には、本発明による潜像読みセンサーを装備した。潜像読みセンサー図2に示したようなの形をしており、センサーは感光体から10μmの位置に配置した。露光光源には波長680nm の可視レーザーを用いた。暗部電位は450 Vに設定し、露光時の表面電位は50Vになるようにレーザーの光量を調整した。レーザーのスポット径は30μmであった。
【0270】
潜像読みセンサーを用いて、感光体上に形成した電位変化の測定を行った結果を図21に示す。図から明らかなように、感光体の膜厚を変化することにより、潜像の深さ(Δy)及び潜像幅(Δx)を変化することができた。
【0271】
次に、光導電層までは上記方法で作製し、表面層のみを変え感光体を作製した。表面層の処方は以下の表7に示す。
【0272】
【表7】
次に、上記のように本発明による潜像読みセンサーを搭載したNP6060改造機を用いて、感光体上に形成した電位変化の測定を行った。結果を図30に示す。図から明らかなように、感光体の表面層を変化することにより、潜像の深さ及び潜像幅を変化することができた。
【0273】
(実験例7)
実験例6で作製した光導電層膜厚25μm、a−SiC表面層の感光体を実験例6で用いたNP6060を改造した画像評価機に搭載し、感光体表面電位と現像器の電位差に対する画像濃度の評価を行った。このとき、現像器の現像剤の帯電量を変化させ、各帯電量に対する画像濃度の関係を調べた結果を図22に示す。現像剤の帯電量が大きくなるに従い、画像濃度のカーブが画像濃度の濃い方向にずれていることが分かる。その結果、十分な画像濃度を得るためには、現像剤の帯電量を大きくする必要があった。
【0274】
(実験例8)
実験例6で作製した潜像深さの異なる感光体を用いて、感光体表面電位と現像器の電位差を350Vに固定し、潜像深さに対する画像濃度の評価を行った。結果を図25に示す。1ショットの潜像深さが深い場合、ベタ黒画像の画像濃度が濃くなる傾向があった。さらに現像剤の帯電量が小さい場合においても、潜像深さが深い場合、十分な画像濃度が得られた。
【0275】
(実験例9)
実験例6で使用したNP6060を改造機を用い、1 ラインにおける潜像深さが80Vになる条件で、画像の評価を行った。このとき、現像器の現像剤の帯電量を変化させ、各帯電量に対するかぶり及び現像剤の飛び散りの関係を調べた。かぶりについては原紙及び白色画像の反射率(%)を測定し、その反射率差を求めた。飛び散りについては、ベタ黒部とベタ白部の境界部分に飛び散っているトナーの量を相対的に求めた。結果を図23に示す。現像剤の帯電量が大きくなるに従い、白原稿上の画像濃度が濃くなった。また、現像剤の飛び散りに対しては有利であることがわかった。
【0276】
次に、実験例6で作製した潜像深が130 Vになる条件でのカブリ、飛び散りの関係を調べた結果を図23の点線に示す。カブリについては1 ラインの潜像深さが80Vの場合と同じ結果が得られた。また、現像剤の飛び散りに対しては現像剤の帯電量が小さい場合においても良好であった。
【0277】
(実験例10)
実験例6で作製した光導電層の膜厚25μm、表面層a- SiCを持つ感光体を実験例6で使用したNP6060を改造した画像評価機に搭載し、10万枚耐久後の画像の評価を行った。このとき、現像器の現像剤の帯電量を変化させ、各帯電量に対して現像器の現像剤付着ムラを調べた。
【0278】
結果を図31に示す。現像剤の帯電量が大きくなるに従い、現像器の現像スリブ上についている現像剤の付着ムラが大きくなり、その結果、画像上のムラが発生しやすくなることがわかった。
【0279】
(実験例11)
実験例6で作製した光導電層の膜厚25μm、表面層a- SiCを持つ感光体を実験例6で使用したNP6060を改造した画像評価機に搭載し、現像剤の帯電量を変化させた場合における転写位置における現像剤の転写される割合(以下転写効率と記す)を測定した。
【0280】
結果を図24に示す。現像剤の帯電量が大き過ぎる場合、転写効率が下がり、転写されない現像剤が多く発生した。これは、帯電量が大きくなったことにより、感光体との拘束力が大きくなり、その結果転写効率を下げたものと考えられる。また、帯電量が小さすぎる場合も転写効率が減少した。
【0281】
以上、実験例7から11からわかるように、現像剤の帯電量が小さくなるに従い、かぶり、現像器上の現像剤濃度ムラについては有利であるが、画像濃度、飛び散りについて不利に働くことがわかった。しかしながら、潜像の深い感光体を使用しすることにより、現像剤の帯電量が小さい場合においても、画像濃度、飛び散りについても十分満足ができ、かつ利点のかぶり、現像器上の現像剤濃度にも効果があり、転写効率についても良好であった。
【0282】
(実験例12)
実験例6で作成した潜像幅のことなる感光体を用いて、解像度チャートの評価を行った。解像度チャートは1cm の幅に白黒のラインを引き、その繰り返し本数で画像の解像度を判別できるようにしたものである。図26にベタ黒の濃度を同じになるように、潜像深さ、現像剤の帯電量を変えた場合の潜像幅と解像度の関係を示す。潜像の幅が細くなるに従い、解像度は向上した。特に現像剤の帯電量が小さい場合は潜像幅か細くなるに従い、十分な解像度が得られた。
【0283】
以下、現像剤の帯電量の制御方法についての実験を行い、その結果を示す。
【0284】
(実験例13)
現像剤の内添剤の材料を変えることによる、現像剤の帯電量の変化の測定を行った。用いた現像剤の構成を以下の表8に示す。
【0285】
【表8】
表8中の荷電制御剤に、制御剤A:トリフェニルメタン、制御剤B:ニグロシン、制御剤C:4級アンモニウム塩を用いた。また、それぞれの構成比を1から8部の範囲で変化した。こうして作製した現像剤のうち平均粒度が7μmのものを用いた。次に、 NP6060 を改造した画像評価機に今回作製した現像剤を使用し、テストチャート(文字占有率8%)でA4画像20枚通紙した後における、現像器上の現像剤の帯電量を測定した。なお、現像器のスリーブとカットブレードの間隔は0.25mmに設定し、現像スリーブの回転速度は感光体と順方向で500mm/sにした。
【0286】
結果を図32に示す。荷電制御剤に4級アンモニウム塩を用いることにより帯電量の小さい現像剤を得ることができた。また、それぞれの荷電制御剤の内添量を変えることにより帯電量の制御を行うことができた。
【0287】
(実験例14)
実験例13で使用した現像剤のうち荷電制御剤に4級アンモニウム塩を2部にしたものを用いて、現像剤の粒径と帯電量について測定を行った。作製した現像剤は粒度測定機により、平均粒径を求めた。次に、 実験例13と同じ方法で、現像器上の現像剤の帯電量を測定した。結果を図27に示す。現像剤の粒径を変えることにより帯電量を変化することができた。
【0288】
(実験例15)
実験例13で作製した荷電制御剤に4級アンモニウム塩を2部、平均粒径7μmの現像剤を用いて、現像器の構成を変えることにより、現像剤の帯電量の制御を行った。
【0289】
まず、現像器のスリーブとカットブレードの間隔を変化した。なお、現像スリーブの回転速度は感光体と順方向で500 m/sにした。この状態で、スリーブとカットブレードの間隔を変えた。スリーブとカットブレードの間隔と現像剤の帯電量の関係を図28に示す。スリーブとカットブレードの間隔を変えることにより、現像剤の帯電量を制御することができた。
【0290】
しかしながら、現像器のスリーブとカットブレードの間隔が0.05mm以下の場合現像剤の補給が十分に行われなくなり、また、0.4 mm以上の場合は補給が過剰になり過ぎるため帯電量不足や現像剤の利用効率の低下等の問題を引き起こした。そのため、スリーブとカットブレードの間隔は0.05から0.4 の間で制御することが良いと分かった。
【0291】
次に、現像器のスリーブとカットブレードの間隔を0. 25mmに固定し、現像スリーブの回転速度を変化した場合の現像剤の帯電量を求めた結果を図29に示す。現像スリーブの回転速度を変化することによっても現像剤の帯電量を制御することができた。
【0292】
(実験例16)
図1に示す電位形状測定装置において、相対移動方向、即ち、図3に示す方向から見た電位センサの検出部の形状が、図13(a),(b),(c)に示す形状の電位センサを製作し、表面電位形状の測定を行った。表13にその結果を示す。
【0293】
【表13】
この表13に示すように、図13(a),(b),(c)に示した3種類の形状では、検出分解能に大差は見られず、いずれもデジタル潜像を測定するのに十分な分解能を得ることができた。
【0294】
これに対し、ワイヤー径が1〜500μmとせず、ワイヤー長さを0.2〜10mmとせず、また、ワイヤーの直線性及び平行性が300%以内ではない電位センサを製作してその性能を確認した場合においては、デジタル潜像を測定するために十分な検出分解能、または、S/Nを得ることが出来なかった。
【0295】
(実験例17)
図1に示す電位形状測定装置において、測定する表面に垂直かつ相対移動方向に平行となる面における電位センサの検出部の断面形状、即ち、図2に示す方向から見た電位センサの検出部分の形状が、図14(a),(b),(c)に示す形状の電位センサを製作し、表面電位形状の測定を行った。表14にその結果を示す。図14(a)は、断面形状が円形であり、図14(b)は、断面形状が楕円形であり、図14(c)は、断面形状が3つの円弧がアールにより接続された「略三角おにぎり形状」の電位センサである。
【0296】
【表14】
この表14に示すように、図14(a),(b),(c)に示した3種類の形状では、検出分解能に大差は見られず、いずれもデジタル潜像を測定するのに十分な分解能を得ることができた。
【0297】
これに対し、図14(d)に示すようなエッジを有する角型のセンサでは、感光体の表面と対向する面とエッジ部でそれぞれ信号を拾ってしまい、デジタル潜像を測定するために十分な検出分解能、及び、S/Nを得ることが出来なかった。
【0298】
次に、本発明の具体的な実施例として、以下に説明する。
【0299】
(実施例1)
図16に示すRF−PCVD法による電子写真用感光体の製造装置を用い、直径108 mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー上に、表9に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる感光体を作製した。
【0300】
【表9】
こうして作製した感光体を、キヤノン製複写機をNP6060をデジタル用に改造した複写機に搭載した。画像用露光の光源には波長680nm の可視レーザーを用い、そのスポット径は35μm であった。この複写機には本発明の潜像センサーが搭載した。このとき、現像位置での暗部電位は450V、画像露光が照射した場合の電位50Vに設定し、潜像センサーによる潜像深さは120V、潜像幅は45μmであった。
【0301】
次に、表8で示したように現像剤を作製した。なお、荷電制御剤にニグロシン3部を用いた。この現像剤の平均粒度は7μmであった。なお、現像器のスリーブとカットブレードの間隔は0.3 mmに設定し、現像スリーブの回転速度は感光体と順方向で450mm/s にした。テストチャート(文字占有率8%)で20枚通紙した後における、現像器上の現像剤の帯電量は8μc/ gであった。
【0302】
この時、かぶり、現像器上の現像剤濃度むら、現像剤の転写効率、画像濃度、飛び散りについて評価した。かぶりについては、濃度差1.1%と良好。10万枚耐久後の現像器上の現像剤のムラなし。現像剤の転写効率は89%、ベタ黒画像の濃度は1. 32であった。また現像剤の飛び散りも少なく良好であった。
【0303】
(実施例2)
直径108 mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー上に、表10に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層からなる負帯電用感光体を作製した。
【0304】
【表10】
こうして作製した感光体を、実施例1で用いた複写機で評価を行った。このとき、現像位置での暗部電位は−420V、画像露光が照射した場合の電位−70Vに設定し、潜像センサーによる潜像深さは110V、潜像幅は40μmであった。
【0305】
次に、現像剤は以下の表11のように作製したものを用いた。
【0306】
【表11】
この現像剤の平均粒度は9μmであった。なお、現像器のスリーブとカットブレードの間隔は0.45mmに設定し、現像スリーブの回転速度は感光体と順方向で420mm/sにした。テストチャート(文字占有率8%)で20枚通紙した後における、現像器上の現像剤の帯電量は6. 5μC/gであった。
【0307】
この時、かぶり、現像器上の現像剤濃度むら、現像剤の転写効率、画像濃度、飛び散りについて評価した。かぶりについては、白原稿の濃度が0. 8%と良好。10万枚耐久後の現像器上の現像剤のムラなし。現像剤の転写効率は85%、ベタ黒画像の濃度は1.35であった。また現像剤の飛び散りも少なく良好であった。
【0308】
(実施例3)
直径108 mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー上に、表12に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる感光体を作製した。
【0309】
【表12】
こうして作製した感光体を、実施例6で用いた複写機で評価を行った。このとき、現像位置での暗部電位は420V、画像露光が照射した場合の電位70Vに設定し、潜像センサによる潜像深さは150V、潜像幅は40μmであった。
【0310】
次に、表8に示したように現像剤を作製した。なお、荷電制御剤に4 級アンモニウム塩3部を用いた。
【0311】
この現像剤の平均粒度は5μmであった。現像スリーブの回転速度は感光体と順方向に400mm/s にした。なお、現像器のスリーブとカットブレードの間隔が0. 35mmのときテストチャート(文字占有率8%)で20枚通紙した後における、現像器上の現像剤の帯電量は6μC/gであった。
この時、かぶり、現像器上の現像剤濃度むら、現像剤の転写効率、画像濃度、飛び散りについて良好な結果が得られた。
【0312】
(実施例4)
実施例1で用いた評価装置を用い、現像器のスリーブとカットブレードの間隔は潜像読みセンサーの結果から適切な現像剤の帯電量が得られるように可変できるようにした。現像スリーブの回転速度は感光体と順方向で500mm/s にした。
【0313】
この時、かぶり、現像器上の現像剤濃度むら、現像剤の転写効率、画像濃度、飛び散りについて良好になる条件を合わせることができ、10万枚耐久後においても均一な画像が得られた。
【0314】
次に、現像器のスリーブとカットブレードの間隔は0. 4mmと固定し、現像スリーブの回転速度は潜像読みセンサーの結果から適切な現像剤の帯電量が得られるように可変できるようにした。
【0315】
この時、かぶり、現像器上の現像剤濃度むら、現像剤の転写効率、画像濃度、飛び散りについて良好になる条件を合わせることができ、10万枚耐久後においても均一な画像が得られた。
【0316】
【発明の効果】
以上のように説明された本発明によると、電位センサにより感光体表面の静電潜像の電位状態を高い分解能で求めることが出来る。
【0317】
また、本発明を適用した電位センサの検知部により、信号強度をある程度保つことが出来、非常にS/N の良い信号を得ることが可能となり、これまでは、測定が極めて難しいとされていたデジタル潜像を測定し、感光体表面に形成された静電潜像の電位形状を正確に評価することが可能となる。
【0318】
また、複数の電位センサにより、感光体表面に形成された静電潜像の電位形状を3次元的に求めることが可能となる。
【0319】
また、電位状態が正確に求められた感光体表面の静電潜像に対応させて、帯電手段、潜像形成手段、現像手段を制御することにより、高画質な画像を形成することが可能となる。
【0320】
静電潜像の電位に対して現像手段における現像剤の帯電量を制御することにより、所定分量の現像剤を感光体表面に付着させることができ、高画質な画像を形成することが可能となる。
【0321】
電位センサの検出部と感光体表面との距離が10μであるとき、1 画素分の電位形状が、1/e2半値幅で50μ以下、深さ100v以上であり、現像手段における現像剤の帯電量が5 から10μC /gと設定することにより、十分な濃度を確保しつつ、カブリがなく、高密度ドットで形成される高画質な画像を忠実に再現する電子写真方法及び電子写真装置を得ることが可能となる。
【0322】
また、現像剤の帯電量を低下させることが可能となり、低湿環境における現像剤の過剰帯電が発生しにくく、現像スリーブへの現像剤の付着むらの発生を防止して高画質な画像が形成可能となる。
【0323】
また、現像剤の帯電量を低下させることが可能となり、感光体としてa-Siのような誘電率の高い材料を用いた場合にも鏡映力による付着力が低く抑えられるため、感光体からの離型性が良く、転写工程における現像剤の転写効率が向上し、トナー消費量の低減、残留トナー量の低減、クリーナー手段への負荷軽減が推進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施の形態の電位形状測定装置の構成の一例を表す模式図
【図2】図2は図1の一部の拡大図で、実施の形態の電位形状測定装置用電位センサの構成の一例を表す模式図。
【図3】図3は図2に示した電位センサを、図面の左方向から見た図で、実施の形態の電位形状測定装置用電位センサの構造の一例を表す模式図。
【図4】図4は実施の形態の電位形状測定装置用電位センサを、導電性ワイヤーで製作した場合における、ワイヤー太さと検出分解能の関係を表す図。
【図5】図5は実施の形態の電位形状測定装置用電位センサを、導電性ワイヤーで製作した場合における、ワイヤー太さと信号強度の関係を表す図。
【図6】図6は実施の形態の電位形状測定装置用電位センサを、導電性ワイヤーで製作した場合における、ワイヤー長さと検出分解能の関係を表す図。
【図7】図7は実施の形態の電位形状測定装置用電位センサを、導電性ワイヤーで製作した場合における、ワイヤー長さと信号強度の関係を表す図。
【図8】図8は実施の形態の電位形状測定装置用電位センサを、導電性ワイヤーで製作した場合における、ワイヤーの直線性の定義を表す模式図。
【図9】図9は実施の形態の電位形状測定装置用電位センサを、導電性ワイヤーで製作した場合における、ワイヤーの平行性の定義を表す模式図。
【図10】図10は実施の形態の電位形状測定装置用電位センサを、導電性ワイヤーで製作した場合における、ワイヤーの直線性、及び平行性と検出分解能の関係を表す図。
【図11】図11は実施の形態の電位形状測定方法おける、被測定表面と電位センサの相対移動速度と信号強度、及び、検出波形の歪みの関係を表す図。
【図12】図12は実施の形態の電位形状測定方法おける、測定間隔と検出波形の歪みの関係を表す図。
【図13】図13は実施の形態の電位形状測定装置用電位センサの構造の一例を表す模式図。
【図14】図14は実施の形態の電位形状測定装置用電位センサの、図2 と同じ方向から見た断面の構造の一例を表す模式図。
【図15】図15は実施の形態の感光体の層構成例を説明するための模式的層構成図。
【図16】図16は実施の形態の感光体の光受容層を形成するための装置の一例で、RF帯の高周波を用いたグロー放電法による感光体の製造装置を説明するための模式的説明図。
【図17】図17は実施の形態の感光体の光受容層を形成するための装置の一例で、VHF 帯の高周波を用いたグロー放電法による感光体の製造装置を説明するための模式的説明図。
【図18】図18は実施の形態の電子写真装置の一例を示す模式的構成図。
【図19】図19は実施の形態の一成分現像方法における現像器の一例を示す模式的構成図。
【図20】図20は実施の形態の一成分現像方法における現像器の一例を示す模式的構成図。
【図21】図21は実施の形態における潜像センサーにより得たれた潜像波形の潜像深さ、潜像幅を説明するための図。
【図22】図22は感光体の表面電位と現像バイアスの差に対する画像の濃度の変化を表す図。
【図23】図23は現像剤の帯電量に対するカブリ及び飛び散り量をあらわす図。
【図24】図24は現像剤の帯電量に対する転写効率の変化を表す図。
【図25】図25は実施の形態における潜像センサーにより1ラインの潜像を測定した時の潜像の深さに対し、その時のベタ黒画像の濃度の変化を表す図。
【図26】図26は実施の形態における潜像センサーにより1ラインの潜像を測定した時の潜像の幅に対し、現像剤の帯電量を変化し、その時の解像度を表す図。
【図27】図27は作製した現像剤の粒径に対し帯電量の変化を表す図。
【図28】図28は現像器のスリーブ−カットブレード間隔を変えた場合、その時の帯電量変化を表す図。
【図29】図29は現像器のスリーブ速度を変えた場合の帯電量変化を表す図。
【図30】図30は感光体の表面層の変化による潜像形成状態を示す図。
【図31】図31は感光体表面の帯電量に対する現像剤付着ムラの結果を示す図。
【図32】図32は現像剤の内添剤を変えることによる現像剤の帯電量の変化の結果を示す図。
【図33】図33は感光体の表面層の変化による潜像形成状態を示す図。
【図34】図34は感光体の表面層の変化による潜像形成状態を示す図。
【符号の説明】
101 感光体ドラム
102 感光体ドラムの表面
103 電位センサー
104 支持体
105 導線
106 回路要素
Claims (7)
- 感光体と、
前記感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電された感光体表面に静電潜像を形成するためのスポット露光を行うレーザー露光手段と、
感光体表面の静電潜像の測定方法により該静電潜像の電位状態を求める電位測定手段と、
前記静電潜像を現像剤により可視像化する現像手段と、
前記現像手段により現像された画像を像担持体へと転写させる転写手段と、
を利用して、画像を形成する電子写真方法であって、
前記測定方法は、静電潜像が形成された感光体表面に対し近接して相対移動を行い、該感光体表面の静電潜像の電位変化により発生する誘導電流を検出する電位センサにより、感光体表面に形成された静電潜像を測定する測定方法であって、
前記電位センサは、前記感光体表面との相対移動方向の幅が、静電潜像を形成するためのレーザーのスポット径よりも小さく、かつ前記感光体表面に垂直であり相対移動方向に平行となる断面形状をエッジを持たない形状とした検出部を有し、
前記電位センサにより検出した誘導電流を積分解析することにより、感光体表面の静電潜像の電位変化の形状を求めることを特徴とする感光体表面の静電潜像の測定方法であり、
前記電位測定手段の前記電位センサの検出部と前記感光体表面との間隔が10μmであるとき、1画素分の静電潜像の電位分布が、1/e2半値幅で50μm以下、深さ100v以上であり、
前記現像手段における現像剤の帯電量が5から10μC/gと設定されることを特徴と
する電子写真方法。 - 前記電位センサの検出部は、直径が1から500μmであり長さが0.2から10mmの導電性ワイヤ部材を備え、
前記感光体表面との相対移動方向をX方向、前記感光体表面から垂直に離れる方向をY方向、X方向及びY方向に垂直な方向をZ方向とした場合に、
前記Z方向に平行に前記電位センサの検出部を配置することを特徴とする請求項1に記載の電子写真方法。 - 前記感光体表面と電位センサの検出部との間隔は、10から300μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真方法。
- 前記電位センサの検出部の材質が、タングステンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真方法。
- 前記電位センサの感光体表面との相対移動方向をX方向、前記感光体表面から垂直に離れる方向をY方向、X方向及びY方向に垂直な方向をZ方向とした場合に、
複数の前記電位センサを、それぞれの検出部を前記Z方向にずらした位置に配置させ、それぞれの電位センサにより検出した感光体表面の静電潜像の所定断面の電位状態を前記Z方向に重ねることにより、静電潜像の電位状態を3次元的に求めることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真方法。 - 前記電位測定手段により求められた静電潜像の電位状態に応じて制御される現像剤の帯電量は、現像手段に感光体と平行となるように備えられた現像スリーブの回転数を変更することにより制御されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真方法。
- 前記電位測定手段により求められた静電潜像の電位状態に応じて制御される現像剤の帯電量は、現像手段に感光体と平行となるように備えられた現像スリーブと、該現像スリーブに付着した現像剤の厚みを規制する規制部材との間の間隔を変更することにより制御されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真方法。
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