JP3568296B2 - 心電誘導波形検出装置 - Google Patents

心電誘導波形検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、生体における心筋の活動電位を表す心電誘導波形を検出する心電誘導波形検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体に接触させるための心電電極をフレーム上に位置固定に設ける形式の心電誘導波形検出装置がある。たとえば、圧力気体が供給される血圧測定用腕帯を、血圧測定に際して生体の一部に自動的に巻回し、引き続き、目標昇圧値まで昇圧させられた後に行われる徐速降圧過程において、血圧測定用腕帯に設けられる圧力センサから検出される脈拍同期波の振幅の変化に基づいてよく知られたオシロメトリック方式により血圧決定を行う形式の自動血圧測定装置において、血圧測定用腕帯から突き出された被測定者の右腕を支持し、且つ先端部に心電誘導波形検出用の心電電極が設けられた第1アームレストが、血圧測定用腕帯の背面方向に上り坂状に設けられ、また、被測定者の左腕を支持し、且つ中央部に心電誘導波形検出用の心電電極が設けられた第2アームレストが、本体左側面方向に水平状に設けられることにより、血圧測定と同時に被測定者の右腕の手の甲と左腕から心電誘導波形が検出されるようにした形式の心電誘導波形検出装置付き自動血圧測定装置がそれである。
【0003】
このような装置によれば、たとえば、前記心電電極から検出される心電誘導波形の周期毎に発生する所定の部位と、前記圧力センサから検出される脈拍同期波の周期毎に発生する所定の部位との間の時間差を算出することにより、所定の関係に基づいてその脈拍同期波の脈波伝播速度を測定することができる。したがって、脈波伝播速度と被測定者の動脈硬化度とは密接な関係を有するという既知の事実に基づき、測定された脈波伝播速度を、たとえば、一般的に高い動脈硬化度を有する高血圧患者の病状の診断に役立たせるなどの利用法が提案されている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】
ところで、安定した心電誘導波形を得るためには、心電電極を皮膚へ密着させて接触抵抗を小さくすることが大変重要であり、従来から、例えば心電電極を吸盤状にするなど、さまざまな対策がとられていた。ところが、このようにアームレストのようなフレーム上において位置固定に設けられた心電電極は、その皮膚への接触面が上を向いている場合が多いことから、接触面に塵や埃が付着し易くなり、塵や埃が付着した心電電極では皮膚への接触性があまり良好にならなかったのである。また、このようにアームレスト上にただ設置されているだけの心電電極では、腕を心電電極に向けて意識的に強く押しつけない限り心電電極が充分に皮膚へ密着しないときがあったのである。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、フレーム上において位置固定に設けられる心電電極を用いても、安定した心電誘導波形を検出することができる心電誘導波形検出装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】
上記目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、生体における心筋の活動電位を表す心電誘導波形を逐次検出する心電誘導波形検出装置において、
(a)生体に接触させるためにフレーム上に位置固定に設けられ、生体に接触させられる接触面に複数個の穿孔が設けられている心電電極と、(b)心電電極と接続される空気ポンプを駆動させることにより、少なくとも前記生体の非接触時には、心電電極に設けられている複数個の穿孔から空気流を吐出させる吐出制御手段とを、含むことにある。
【0007】
【第1発明の効果】
このようにすれば、吐出制御手段により、心電電極に設けられている複数個の穿孔から空気流が常時吐出させられる。したがって、塵や埃が心電電極の皮膚への接触面に付着しにくくなり、心電電極の皮膚への接触性が向上するので、安定した心電誘導波形を検出することが可能となる。特に、心電電極の皮膚への接触性を増大させる目的で、心電電極の表面に粘着性導電体を貼り付けて使用するときは、表面に付着した埃を取り除くことは不可能なので、その効果は大きい。
【0010】
【発明の他の態様】
ここで好適には、前記第1発明の構成用件に加えて、(e)前記心電電極が生体の一部に接触したことを判定する生体接触判定手段を含み、生体接触判定手段によって生体の一部が心電電極に接触したことが判定された場合には、前記吐出制御手段は前記穿孔からの空気流の吐出を停止するものであることを特徴とする。このようにすれば、穿孔から空気流が吐出される状態のまま、心電誘導波形を検出することがなくなり、心電電極の皮膚への接触性が向上する。
【0011】
また、好適には、生体における心筋の活動電位を表す心電誘導波形を逐次検出する心電誘導波形検出装置であって、(c)生体に接触させるためにフレーム上に位置固定に設けられ、生体に接触させられる接触面に、複数個の穿孔が設けられている心電電極と、(d)心電電極と接続される空気ポンプを駆動させることにより、少なくとも前記生体の接触時には、心電電極に設けられている複数個の穿孔から空気流を吸引させる吸引制御手段と、(f)前記心電電極が生体の一部に接触したことを判定する生体接触判定手段を含み、生体接触判定手段によって生体の一部が心電電極に接触したことが判定されている間、前記吸引制御手段は前記穿孔から空気流を吸引させる心電誘導波形検出装置が提供される。このようにすれば、生体接触判定手段によって生体の一部が心電電極に接触したことが判定されている間、穿孔から空気流が吸引される状態のままとなることによって、心電電極の皮膚への接触性が向上し、安定した心電誘導波形を検出することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、心電誘導波形検出装置を含む、自動的に生体の血圧値を測定する自動血圧測定装置8を示す斜視図である。
【0013】
図1において、箱体10には、被測定者の右腕12を差し込むための貫通穴14が設けられており、その貫通穴14内には、袋状の可撓性布およびゴム袋から成るカフ15を内周面に備えて円筒状に保持されたベルト16が配設されている。また、貫通穴14の背面方向には、貫通穴14から突き出した被測定者の右腕12を支持するための第1アームレスト17が上り坂状に設けられており、その第1アームレスト17の先端部には、被測定者の心臓の活動に伴って発生する心電誘導波形を検出するために、心電電極18が被測定者の右腕12の手の甲に接触するように配設されている。なお、この第1アームレスト17は、被測定者の手の甲から正確な心電誘導波形を検出できるように、被測定者の右腕12の肘から手の甲に至るまでの筋肉が絶えず弛緩した状態に保たれるように肘から手の甲に至る間を全体的に支持する最適な支持面形状を備えている。また、箱体10の左側には、被測定者の左腕13を支持するための第2アームレスト19が設けられており、第2アームレスト19の略中央部には、同じく被測定者の心電誘導波形を検出するために、心電電極18が被測定者の左腕13に接触するように配設されている。なお、この第2アームレスト19も、第1アームレスト17と同様に被測定者の左腕13の筋肉が絶えず弛緩した状態に保たれるように肘から手に至る間を全体的に支持する最適な支持面形状を備えている。箱体10の操作パネル20には、停止スイッチ24、プリンタ26、カード挿入口28などが配設され、表示パネル30には、最高血圧表示器32、最低血圧表示器34、脈拍数表示器36、時刻表示器38がそれぞれ配設されている。
【0014】
図2は、上記自動血圧測定装置8の回路構成を説明するブロック線図である。図において、カフ15は、圧力センサ40、切換弁42、および第1空気ポンプ44と配管46を介して接続されており、この切換弁42は、カフ15内への圧力の供給を許容する圧力供給状態、カフ15内を徐々に排圧する徐速排圧状態、およびカフ15内を急速に排圧する急速排圧状態の3つの状態に切り換えられるように構成されている。また、そのカフ15を内周面に備えて円筒状に巻回されたベルト16の一端は固定され、且つ他端は減速機付DCモータ48により駆動されるドラム50により引き締められるように構成されている。圧力センサ40は、カフ15内の圧力を検出してその圧力を表す圧力信号SPを静圧弁別回路52および脈波弁別回路54にそれぞれ供給する。
【0015】
上記静圧弁別回路52はローパスフィルタを備え、圧力信号SPに含まれる定常的な圧力すなわちカフ圧を表すカフ圧信号SKを弁別してそのカフ圧信号SKをA/D変換器56を介して電子制御装置58へ供給する。また、上記脈波弁別回路54はバンドパスフィルタを備え、圧力信号SPの振動成分である脈波信号SMを周波数的に弁別してその脈波信号SMをA/D変換器60を介して電子制御装置58へ供給する。この脈波信号SMが表すカフ脈波は、被測定者の心拍に同期して図示しない上腕動脈から発生してカフ15に伝達される圧力振動波である。
【0016】
上記電子制御装置58は、CPU62、ROM64、RAM66、および図示しないI/Oポート等を備えた所謂マイクロコンピュータにて構成されており、CPU62は、RAM66の一時記憶機能を利用しつつ予めROM64に記憶された手順に従って入力信号を処理して駆動信号や表示信号などを出力する。すなわち、血圧測定に際しては、CPU62は、予め定められた手順に従って減速器付きDCモータ48を駆動することによりカフ15を生体の上腕部に巻回し、第1空気ポンプ44を駆動することによりカフ15により上腕部を圧迫し、次いで切換弁42を駆動してカフ15の圧迫圧力を徐々に降圧させ、その徐速降圧過程において得られる脈波信号SMおよびカフ圧信号SKに基づいてオシロメトリック方式により血圧値を決定し、その血圧値を最高血圧表示器32および最低血圧表示器34に表示させると同時に、記憶装置68の血圧値記憶領域に順次記憶させる。この記憶装置68は、磁気ディスク、磁気テープ、揮発性半導体メモリ、或いは不揮発性半導体メモリなどのよく知られた記憶装置により構成されている。
【0017】
心電誘導装置70は、被測定者の右腕12の手の甲と左腕13に接触させられる一対の心電電極18から検出される心筋の活動電位を示す心電誘導波形、所謂心電図を心電信号SMとして前記電子制御装置58へ供給する。また、一対の心電電極18は、圧力センサ72、切換弁74、および第2空気ポンプ76と、途中で二股に分かれているエアホース78を介して接続されており、この切換弁74は、心電電極18側への空気流の吐出を許容する吐出状態、および心電電極18側からの空気流の吸引を許容する吸引状態の2つの状態に切り換えられるように構成されているので、この切換弁74が、電子制御装置58によって吐出状態或いは吸引状態に切り換えられることによって、一対の心電電極18に設けられる穿孔80から空気流が吐出或いは吸引される。
【0018】
図3は、上記心電電極18の構造を説明する図である。図において、心電電極18は、エポキシ樹脂84などの補強材の表面に銅箔82などの導電体が貼り渡されている良く知られるプリント板86の表面に粘着性導電体88、たとえば、実開平6−29504号公報に記載されているAMPS11などが貼り付けられたものであり、被測定者の腕への接触性を向上させるため、若干内側へ湾曲させられた構造をしている。また、プリント板86の裏面にはアルミ製の圧力室90が設けられており、圧力室90の底面中央部からはニップル92が突出している。ニップル92はエアホース78がねじ込まれることによって、心電電極18とエアホース78とを強固に結合し、且つ、空気ポンプ76から供給等される空気流をエアホース78を介して心電電極18の穿孔80から吐出等させる。なお、粘着性導電体88は所定の電解質をゲル状に固めたよく知られる高分子フィルムであり、粘着性が強いため心電電極18の皮膚への密着を支援し得るものである。
【0019】
図4は、上記電子制御装置58の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図において、吐出制御手段100は第2空気ポンプ76を駆動し、切換弁74を吐出状態に切り換えることによって、心電電極18に設けられている複数個の穿孔80から空気流を吐出させる。また、吸引制御手段102は第2空気ポンプ76を駆動し、切換弁74を吸引状態に切り換えることによって、心電電極18に設けられている複数個の穿孔80から空気流を吸引させる。生体接触判定手段104は、被測定者の両腕が心電電極18に接触したか否かを判断する。具体的には、心電電極18が被測定者の両腕で被覆されることにより、穿孔80から吐出される空気流の圧力が増大したか否か、或いは、心電誘導装置70により心電誘導波形が検出されたか否かに基づいて判断する。そして、この生体接触判定手段104により生体が心電電極18に接したことが判定された場合には、吐出制御手段100は穿孔80からの空気流の吐出制御を停止させ、吸引制御手段102は穿孔80からの空気流の吸引制御を実行させる。
【0020】
また、昇圧制御手段106は、血圧測定に際して、まず、切換弁42を圧力供給状態に切り換え、第1空気ポンプ44を駆動することにより、カフ15の圧迫圧力を所定の目標カフ圧値P(例えば、180mmHg程度の圧力値)まで急速に昇圧し、引き続き、切換弁42を徐速排圧状態に切り換えることによりカフ15の圧迫圧力を徐々に降圧させ、血圧測定終了後は切換弁42を急速排圧状態に切り換えることにより、カフ15の圧迫圧力を急速排圧させる。血圧測定手段108は、上記のカフ15の圧迫圧力を緩やかに下降させる圧迫圧力変化過程において、圧力センサ40を介して脈波弁別回路54により採取されるカフ脈波の振幅の変化に基づいて良く知られたオシロメトリック法により被測定者の最高血圧値SBPおよび最低血圧値DBPを測定し、また、その血圧測定に用いられた脈波の発生間隔に基づいて脈拍数HRを算出する。時間差算出手段110は、カフ15の圧迫圧力が最低血圧値DBPが測定される圧力付近にある際に、圧力センサ40により検出される前記カフ脈波の周期毎に発生する所定の部位から、前記心電誘導装置70により検出される心電誘導波形の周期毎に発生する所定の部位までの時間差、たとえば、図6に示されるような心電誘導波形のQ波からカフ脈波の立ち上り点までの時間差TDQPを算出する。
【0021】
また、脈波伝播速度算出手段112は、予め設定された数式1から実際に算出された上記時間差TDQPに基づいて、前記カフ脈波の伝播速度V(m/sec)が算出される。数式1において、Lは左心室から大動脈を経て前記圧力センサ40の押圧部位までの距離(m)であり、Tpep は心電誘導波形のQ点からカフ脈波の立ち上がり点までの前駆出期間(sec)である。これらの距離Lおよび前駆出期間TPEP には予め実験的に求められた値が用いられる。
【0022】
【数式1】
=L/(TDQP−TPEP
【0023】
図5は、上記電子制御装置58の制御作動の要部を説明するフローチャートである。図において、自動血圧測定装置8の図示しない主電源がONされたことに基づいて、吐出制御手段100に対応するステップSA1(以下、ステップを省略する。)では、第2空気ポンプ76が始動され、且つ切換弁74が吐出状態に切り換えられることによって、心電電極18に設けられている複数個の穿孔80から空気流が吐出される状態に設定される。続くSA2において、カード読込み装置94のカード挿入口28へ磁気カード96が挿入されたか否かが判断される。このステップSA2の判断が否定された場合には本ルーチンが終了させられるが、肯定された場合にはSA3において磁気カード96に記録されたID信号が読み込まれる。
【0024】
続くSA4では、読み込まれたID信号が記憶装置68の記憶領域に予め登録されたものであるか否かが判断される。このSA4の判断が否定された場合すなわち磁気カード96に記録されたID信号が未登録である場合は、後述のSA24が実行されてカード挿入口28から磁気カード96が送り出される。しかし、このSA4の判断が肯定された場合すなわち磁気カード96に記録されたID信号が登録済である場合は、続く生体接触判定手段104に対応するSA5の判断が実行される。
【0025】
このSA5においては、一対の心電電極18が被測定者の右腕12および左腕13によって被覆されることにより、吐出される空気流の圧力が増加したか否かを判断するために、前記圧力センサ72によって検出される圧力値が所定圧力値Pを超えたか否かが判断される。なお、この所定圧力値Pは予め実験的に求められる数値であり、一対の心電電極18が被測定者の右腕12および左腕13によって好適に被覆された際に圧力センサ72によって検出される圧力値に設定される。
【0026】
上記SA5の判断が否定された場合は、一対の心電電極18上に被測定者の両腕は載せられていないので、続くSA6において、一対の心電電極18上に被測定者の両腕が載せられていないまま所定時間Tが経過したか否かが判断される。この判断が否定された場合は、まだ被測定者が血圧測定を行うことも考えられるので、引き続きSA5乃至SA6が繰り返されることにより、複数個の穿孔80から空気流が吐出される状態のまま待機させられる。しかし、この判断が肯定された場合には、被測定者には血圧測定を行うつもりはないと考えられるので、後述するSA24が実行されてカード挿入口28から磁気カード96が送り出される。なお、この所定時間Tは、被測定者が磁気カード96を挿入してから血圧測定を行うための準備にかかる時間を考慮して予め設定される時間であり、例えば、3分間程度に設定される。
【0027】
上記SA5の判断が肯定された場合は、一対の心電電極18上に被測定者の両腕が載せられているので、続く吸引制御手段102に対応するSA7において、切換弁74が吸引状態に切り換えられることによって、心電電極18に設けられている複数個の穿孔80から空気流が吸引される状態に設定される。そして、続く生体接触判定手段104に対応するSA8において、被測定者の両腕から検出される心電誘導波形が、脈波伝播速度の測定に堪え得る程度に安定しているかどうかを判断するために、前記心電誘導装置70により逐次検出される心電誘導波形が安定したか否かが判断される。なお、この判断手法としては、たとえば、所定時間毎にR波のピーク値が検出されるか否かを判断する方法など、よく知られた方法が用いられる。
【0028】
上記SA8の判断が否定された場合は、脈波伝播速度の測定を開始する程には心電誘導波形が安定していないので、引き続きSA8の判断が繰り返されることによって、この判断が肯定されるまで前記複数個の穿孔80から空気流が吸引される状態のまま待機させられる。しかし、この判断が肯定された場合は、心電誘導波形が好適に安定したとみなされるので、続く昇圧制御手段106に対応するSA9、SA10が実行される。まず、SA9において、減速機付きDCモータ48が駆動され、ベルト16がドラム50により引き締められることにより、カフ15が被測定者の右腕12に巻き付けられると共に、切換弁42が圧力供給状態に切り換えられ、且つ、第1空気ポンプ44が駆動されてカフ圧Pが予め設定された目標カフ圧P(例えば180mmHg程度の圧力)まで昇圧された後、第1空気ポンプ44が停止させられる。次いで、SA10において、切換弁42が徐速排気状態に切り換えられることにより、カフ15内の徐速降圧が開始される。
【0029】
続いて、SA11においては、脈波信号SMが読み込まれて脈波が1拍検出されたか否かが判断される。この判断が否定された場合にはSA11が繰り返し実行されるが、肯定された場合には、血圧測定手段108に対応するSA12の血圧値決定ルーチンが実行される。この血圧値決定ルーチンにおいては、カフ圧Pの徐速降圧過程で逐次検出された脈波の振幅の変化に基づいて、良く知られたオシロメトリック方式の血圧値決定アルゴリズムに従って最高血圧値SBP、最低血圧値DBP、および平均血圧値MBPが決定されると共に、脈波の発生間隔に基づいて脈拍数HRが決定される。
【0030】
次に、SA13において、最高血圧値SBPが決定されたか否かが判断される。この判断が否定された場合にはSA11乃至SA13が繰り返し実行される。しかし、この判断が肯定された場合には、続くSA14において、最低血圧値DBPが決定されたか否かが判断される。この判断が否定された場合にはSA11乃至SA14がが繰り返し実行される。しかし、この判断が肯定された場合には、続くSA15において、測定された上記最高血圧値SBP、最低血圧値DBP、平均血圧値MBP、および脈拍数HRと測定日時とが記憶装置68の血圧値記憶領域内に被測定者毎に記憶されると共に最高血圧表示器32、最低血圧表示器34、脈拍数表示器36にそれぞれ表示される。
【0031】
そして、続くSA16が実行されることにより、心電誘導装置70により逐次検出される心電誘導波形が読み込まれると共に、SA17において、圧力センサ40によって逐次検出されたカフ脈波が読み込まれる。次いで、SA18では、心電誘導波形のQ波(Q点)が検出されたか否かが判断される。この判断が否定された場合は前記SA16以下が繰り返し実行されるが、肯定された場合は、続くSA19においてカフ脈波の立ち上り点が検出されたか否かが判断される。
【0032】
上記SA19の判断が否定された場合は前記SA16以下が繰り返し実行されるが、肯定された場合は、続く昇圧制御手段106に対応するSA20において、切換弁42が急速排気状態に切り換えられることにより、カフ15内の急速降圧が開始される。そして、続く前記時間差算出手段110に対応するSA21において、図6に示されるように、心電誘導波形のQ波からカフ脈波の立ち上り点までの時間差TDQPが算出される。続いて、前記脈波伝播速度算出手段112に対応するSA22において、予め記憶された数式1からSA21において実際に求められた時間差TDRPに基づいて、上記カフ脈波の脈波伝播速度Vが算出される。そして、続くSA23において、前記最高血圧値SBP等が、プリンタ26により記録紙上に表示出力され、続くSA24が実行されることにより、磁気カード96がカード挿入口28から送り出される。
【0033】
上述のように、本実施例によれば、通常時は前記吐出制御手段100に対応するSA1により、心電電極18に設けられている複数個の穿孔80から空気流が常時吐出させられる。したがって、塵や埃が心電電極18の皮膚への接触面に付着しにくくなり、心電電極18の皮膚への接触性が向上するので、安定した心電誘導波形を検出することが可能となる。特に、心電電極18の皮膚への接触性を更に向上させる目的で、粘着性導電体88を心電電極18の接触面に貼り付けて使用する場合には、粘着性導電体88の表面に一旦付着した埃を取り除くことは不可能であるので、その効果は非常に大きくなる。
【0034】
また、本実施例によれば、前記生体接触判定手段104に対応するSA5において、前記圧力センサ72によって検出される圧力値が所定圧力値Pを超えたと判断された場合は、前記吸引制御手段102に対応するSA7により、心電電極18に設けられている複数個の穿孔80からの空気流の吐出が停止されると共に、その穿孔80からの吸引が行われる。したがって、穿孔80からの空気流の吐出状態が空気流の吸引状態に自動的に切り換えられるので、吐出状態のまま心電誘導波形を検出することが解消されると共に、生体接触時は常時吸引状態のままとなることによって、心電電極18の皮膚への接触性が向上する。
【0035】
また、本実施例によれば、被測定者の両腕が心電電極18に接触している最中は、前記吸引制御手段102に対応するSA7により、心電電極18に設けられている複数個の穿孔80から空気流が常時吸引させられる。したがって、両腕を心電電極18に向けて意識的に強く押し付けなくとも、心電電極18が自然に皮膚へ密着するため、安定した心電誘導波形を検出することが可能となる。
【0036】
また、本実施例によれば、被測定者の両腕が好適に心電電極18に接触しているか否かの判断を、SA5とSA8の二つの判断に基づいて行うため、SA5とSA8のどちらか一つだけしか設けられない場合と比較すると、より正確な判断が為されている。
【0037】
また、従来、脈波伝播速度は、専用の固定具を用いて頚動脈および股動脈に脈波センサを装着することにより測定されていたために、最適な押圧を探すのにかなりの熟練を要し、被測定者自身が測定することはかなり困難であったが、本実施例の自動血圧測定装置8によれば、特に熟練を要することなく脈波伝播速度を簡単に測定することができるので、被測定者自身による測定が可能となる。
【0038】
また、本実施例によれば、血圧測定と同時に脈波伝播速度も測定されるので、被測定者により多くの生体情報が提供されることになり、健康状態をより多角的に判断することが可能となる。
【0039】
また、本実施例によれば、カフ15の圧迫圧力が最低血圧値DBPが測定される圧力付近にある際に、圧力センサ40により検出されるカフ脈波を用いて、時間差算出手段110に対応するSA21において、カフ脈波の立ち上り点と心電誘導波形のQ波との時間差TDQPが算出されている。一般に、この時間差TDQPはカフ15の圧迫圧力が平均血圧値MBPが測定される圧力値以上である期間においては、カフ15の圧迫圧力の減少に従って減少することが知られているので、このようにして算出される時間差TDQPはより正確なものであり、最終的に脈波伝播速度算出手段112に対応するSA22において算出される脈波伝播速度の精度が大変良好となる。
【0040】
また、本実施例によれば、SA6において、被測定者が両腕を心電電極18上に載せていない状態で、被測定者が磁気カード96を挿入してから血圧測定を行うための準備にかかる所定時間Tが経過したか否かが判断されるので、血圧測定を行う意図もなく間違えて磁気カード96を差し込んでしまった場合等に、敢えて血圧測定を行わなくとも、数分後には磁気カード96が送り出されるので便利である。
【0041】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0042】
たとえば、SA5とSA7のうち、どちらか一方が省略されていてもよく、また、粘着性導電体88は必ずしも使用されなくてもよい。
【0043】
また、前述の実施例においては、カフ15駆動用の第1空気ポンプ44と、心電電極18用の第2空気ポンプ76とは別々に設けられていたが、1台の空気ポンプを併用するように構成されていてもよい。その場合は、例えば、空気ポンプの排気側にエアホース78を接続し吸気側に配管46を接続する。このようにすれば、通常時は切換弁42を排気状態にして、その空気ポンプを正転させることにより、穿孔80からは空気流が吐出されカフ15の圧迫圧力は変化しない。そして、血圧測定時は切換弁42を吸気状態にして、その空気ポンプを逆転させることにより、穿孔80からは空気流が吸引され、カフ15の圧迫圧力は昇圧させられる。その他の工夫としては、穿孔80からのゴミづまりを防ぐため、空気ポンプの排気側にフィルターを設ける方法などが考えられる。
【0044】
また、前述の実施例においては、穿孔18からの空気流の吐出制御と、穿孔18からの空気流の吸引制御の両制御が為されることにより、安定した心電誘導波形の検出が達成されていたが、どちらか一方の制御のみでも一応の効果は達成される。さらに、前述の実施例では、心電誘導波形検出装置は自動血圧測定装置8に含まれるようにして構成されていたが、単独でも勿論、前述した様々な効果は達成される。
【0045】
また、前述の実施例においては、右腕12が貫通穴14に差し込まれるように構成されていたが、左腕13が貫通穴14に差し込まれるように構成されていても差支えなく、この場合は貫通穴14、第1アームレスト17、および第2アームレスト19等が左右反対の位置に設けられる。さらに、前述の実施例において、第1アームレスト17は上り坂状に設けられていたが、別に水平状に設けられていても構わず、逆に第2アームレストが上り坂状に設けられていても構わない。要するに、筋肉が弛緩した状態を良好に保つことができるように設計されていればよいのである。
【0046】
また、前述の実施例において、心電電極18は第1アームレスト17の先端部と第2アームレスト19の中央部に設けられていたが、別にこの位置に限られる必要はなく、アームレストの形状および設置場所等により様々な設置位置に変更され得る。要するに、右腕12と左腕13とから安定した心電誘導波形を検出できるように設置されていればよいのである。
【0047】
また、前述の実施例において、数式1から、心電誘導波形のQ波からカフ脈波の立ち上り点までの時間差TDQPに基づいて脈波伝播速度Vが算出されていたが、その時間差TDQPは、心電誘導波形のR波或いはS波からカフ脈波の最大値或いは最小値までの時間差など、種々に定義され得る。
【0048】
また、前述の実施例の数式1において、TPEP は心電誘導波形のQ点からカフ脈波の立ち上り点までの前駆出期間(sec)として定義されていたが、心電誘導波形のR点或いはS点からカフ脈波の立ち上り点までの前駆出期間として定義されていてもよい。心電誘導波形におけるQ点、R点、S点の間の相互の時間差は極めて僅かな値であるので、前述の実施例のように定義されていても差し支えない。
【0049】
本発明はその主旨を逸脱しない範囲においてその他種々の変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である自動血圧測定装置8を説明する斜視図である。
【図2】図1の実施例の回路構成を説明するブロック線図である。
【図3】図1の実施例の心電電極18の構造を説明する図である。
【図4】図1の実施例の電子制御装置58の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図5】図1の実施例の電子制御装置58の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図6】図1の実施例の制御作動により求められる時間差TDQPを説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
8:自動血圧測定装置
18:心電電極
70:心電誘導装置
76:第2空気ポンプ
80:穿孔
100:吐出制御手段
102:吸引制御手段
104:生体接触判定手段
106:昇圧制御手段
108:血圧測定手段
110:時間差算出手段
112:脈波伝播速度算出手段

Claims (3)

  1. 生体における心筋の活動電位を表す心電誘導波形を逐次検出する心電誘導波形検出装置において、
    該生体に接触させるためにフレーム上に位置固定に設けられ、該生体に接触させられる接触面に複数個の穿孔が設けられている心電電極と、
    該心電電極と接続される空気ポンプを駆動させることにより、少なくとも前記生体の非接触時には、該心電電極に設けられている複数個の穿孔から空気流を吐出させる吐出制御手段と
    を、含むことを特徴とする心電誘導波形検出装置
  2. 前記心電電極が生体の一部に接触したことを判定する生体接触判定手段を含み、該生体接触判定手段によって生体の一部が該心電電極に接触したことが判定された場合には、前記吐出制御手段は前記穿孔からの空気流の吐出を停止するものである請求項1記載の心電誘導波形検出装置
  3. 生体における心筋の活動電位を表す心電誘導波形を逐次検出する心電誘導波形検出装置において、
    該生体に接触させるためにフレーム上に位置固定に設けられ、該生体に接触させられる接触面に複数個の穿孔が設けられている心電電極と、
    該心電電極と接続される空気ポンプを駆動させることにより、少なくとも前記生体の接触時には、該心電電極に設けられている複数個の穿孔から空気流を吸引させる吸引制御手段と、
    前記心電電極が生体の一部に接触したことを判定する生体接触判定手段
    を含み、該生体接触判定手段によって生体の一部が該心電電極に接触したことが判定されている間、前記吸引制御手段は前記穿孔から空気流を吸引させることを特徴とする心電誘導波形検出装置。
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