JP3208066B2 - 血圧監視装置 - Google Patents

血圧監視装置

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JP3208066B2
JP3208066B2 JP20383996A JP20383996A JP3208066B2 JP 3208066 B2 JP3208066 B2 JP 3208066B2 JP 20383996 A JP20383996 A JP 20383996A JP 20383996 A JP20383996 A JP 20383996A JP 3208066 B2 JP3208066 B2 JP 3208066B2
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cuff
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敏彦 小椋
英克 犬飼
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体の動脈内を伝
播する脈波の脈波伝播速度情報に基づいて、生体の血圧
を監視する血圧監視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生体の動脈内を伝播する脈波の脈波伝播
速度情報として、所定の2部位間の伝播時間DTや伝播
速度VM (m/s )などが知られており、このような脈波
伝播速度情報は、所定の範囲内では生体の血圧値BP
(mmHg)と略比例関係を有することが知られている。そ
こで、予め測定される生体の血圧値BPと伝播速度情報
から、たとえばEBP=α(DT)+β(但しαは負の
値)、或いはEBP=α(VM )+β(但しαは正の
値)で表されるような関係式における係数α及びβを予
め決定し、その関係式から、逐次検出される伝播速度速
度情報に基づいて、推定血圧値EBPを求めて生体の血
圧値を監視し、その推定血圧値EBPの異常時にはカフ
による血圧測定を起動させる血圧監視装置が提案されて
いる。
【0003】
【発明が解決すべき課題】ところで、上記生体の血圧値
と脈波伝播速度情報との対応関係を決定するに際して
は、少なくとも2組の生体の血圧値と脈波伝播速度情報
を必要とするけれども、その関係を精度よく決定するた
めには、その2組の生体の血圧値と脈波伝播速度情報に
含まれる2つの生体の血圧値が可及的に離隔した値であ
ることが望まれる。しかしながら、従来では、第2回目
のカフによる血圧測定が実際の生体の血圧に拘わらず実
行されていたため、必ずしも充分な精度で対応関係を決
定することができなかった。また、上記2つの生体の血
圧値の間が充分に離隔した測定値が得られるまでカフに
よる血圧測定を繰り返し実行させることが考えられる
が、このような場合には、生体に不要な負担を与えると
いう不都合がある。
【0004】本発明は以上のような事情を背景として為
されたものであり、その目的とするところは、生体の動
脈内を伝播する脈波の伝播速度情報に基づいて生体の血
圧値を監視する血圧監視装置において、生体の血圧値と
脈波伝播速度情報との対応関係を充分な精度で効率よく
決定できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、生体の一部への圧迫
圧力を変化させるカフを用いて生体の血圧値を測定する
血圧測定手段と、その血圧測定手段による血圧測定値と
生体の脈波伝播速度情報との間の予め設定された対応
係から実際の生体の脈波伝播情報に基づいて生体の推定
血圧値を逐次決定する推定血圧値決定手段とを備える形
式の血圧監視装置であって、(a)前記対応関係の候補
である複数の対応関係候補を作成する対応関係候補作成
手段と、(b)その対応関係候補作成手段により作成さ
れた複数の対応関係候補のそれぞれから、前記脈波伝播
情報に基づいて、複数の推定血圧値をそれぞれ算出する
複数推定血圧値算出手段と、(c)その複数推定血圧値
算出手段により算出された複数の推定血圧値の、前記血
圧測定手段によりカフを用いた血圧測定が実行させられ
てからの複数の推定血圧変化幅のうち、いずれかの変化
幅が予め設定された判断基準値を越えた場合には、前記
血圧測定手段によりカフを用いて前記生体の血圧測定を
実行させるカフ測定実行手段と、(d)前記複数推定血
圧値算出手段により算出された複数の推定血圧値のうち
そのカフ測定実行手段により得られた生体の血圧値と最
も近い推定血圧値が決定された対応関係候補を、前記推
定血圧値決定手段に用いられる対応関係として選択する
対応関係選択手段とを、含むことにある。
【0006】
【発明の効果】このようにすれば、複数推定血圧値算出
手段により、対応関係候補作成手段により作成された複
数の対応関係候補のそれぞれから、前記脈波伝播情報に
基づいて、複数の推定血圧値がそれぞれ算出され、カフ
測定実行手段により、その複数推定血圧値算出手段によ
り算出された複数の推定血圧値のいずれかの変化幅が予
め設定された判断基準値を越えた場合には、前記血圧測
定手段によりカフを用いて前記生体の血圧測定が実行さ
せられ、対応関係選択手段により、その複数推定血圧値
算出手段により算出された複数の推定血圧値のうちカフ
測定実行手段により得られた生体の血圧値と最も近い推
定血圧値が決定された対応関係候補が、前記推定血圧値
決定手段に用いられる対応関係として選択される。した
がって、生体の血圧値が充分に変化してからカフによる
血圧測定が実行されるので、少ない測定回数で、効率よ
く対応関係を充分な精度で決定することができる。
【0007】
【発明の他の形態】ここで、好適には、推定血圧値を求
めるための前記対応関係は、前記脈波伝播情報に掛け算
される係数と独立項としての定数とを含むものであり、
前記対応関係候補作成手段は、(e)予め設定された複
数個の係数を設定する係数設定手段と、前記血圧測定手
段にカフを用いた血圧測定を実行させる第1カフ測定実
行手段と、(f)前記複数個の係数が代入された複数個
の対応関係候補にその第1カフ測定実行手段により得ら
れた血圧測定値と実際の脈波伝播情報とを代入すること
によりそれら複数個の対応関係候補の定数をそれぞれ決
定する定数決定手段とを、含むものである。このように
すれば、実際の生体における血圧値と脈波伝播情報との
関係をある程度のレベルで表す複数個の対応関係候補が
得られる。
【0008】また、好適には、(g)前記複数推定血圧
値算出手段により算出された複数の推定血圧値のいずれ
かが、前記第1カフ測定実行手段によりカフを用いた血
圧測定が実行させられてからの変化幅が予め設定された
判断基準値を越えたか否かを判定する推定血圧値変化判
定手段と、(h)その推定血圧値変化判定手段により前
記第1カフ測定実行手段によりカフを用いた血圧測定が
実行させられてからの推定血圧値の変化幅が予め設定さ
れた判断基準幅を越えたと判定された場合には、前記血
圧測定手段によりカフを用いて前記生体の血圧測定を実
行させる第2カフ測定実行手段とが、備えられる。この
判断基準幅は、生体の血圧変動幅が所定値以上となる値
に設定される。このようにすれば、生体の血圧値変動が
確実に判定されてから、対応関係を決定するためのカフ
を用いた血圧測定が無駄なく実行される利点がある。
【0009】また、好適には、(i)前記第2カフ測定
実行手段により血圧測定手段のカフを用いた生体の血圧
測定により得られた生体の血圧値の、前回のカフを用い
た血圧測定値に対する変化幅が、予め設定された判断基
準値を越えたか否かを判定するカフ測定値変化判定手段
が、備えられる。このカフ測定値変化判定手段は、第2
カフ測定実行手段により実行された血圧測定手段のカフ
を用いた生体の血圧測定値の、前回のカフを用いた血圧
測定値に対する変化幅が予め設定された判断基準値を越
えない場合には、前記定数決定手段による対応関係候補
の定数の決定、複数推定血圧値算出手段による複数の対
応関係候補から実際の脈波伝播情報に基づく複数の推定
血圧の決定、推定血圧値変化判定手段による前記第1カ
フ測定実行手段によりカフを用いた血圧測定が実行させ
られてからの変化幅が予め設定された判断基準値を越え
たか否かの判定、第2カフ測定実行手段による前記血圧
測定手段のカフを用いた前記生体の血圧測定の実行を、
再び順次実行させる。しかし、前記第2カフ測定実行手
段により血圧測定手段のカフを用いた生体の血圧測定値
の、前回のカフを用いた血圧測定値に対する変化幅が、
予め設定された判断基準値を越えた場合には、前記対応
関係選択手段に、複数の対応関係候補のなかから、上記
第2カフ測定実行手段により得られた血圧測定値に最も
近い推定血圧値を算出する対応関係候補を、前記推定血
圧値決定手段に用いられる対応関係として選択させる。
上記判断基準値は、生体の呼吸に同期する血圧変動幅よ
りも大きい値、たとえば20mmHg程度の値に設定され
る。このようにすれば、カフを用いて測定された生体の
血圧値が前回に比較して判断基準値以上に異なったとき
に対応関係の選択が実行されるので、対応関係の精度が
一層高められる。
【0010】
【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の一実施例を
図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明が適用
された血圧監視装置8の回路構成を説明するブロック線
図である。
【0011】図1において、血圧監視装置8は、ゴム製
袋を布製帯状袋内に有して、たとえば患者の上腕部12
に巻回されるカフ10と、このカフ10に配管20を介
してそれぞれ接続された圧力センサ14、切換弁16、
および空気ポンプ18とを備えている。この切換弁16
は、カフ10内への圧力の供給を許容する圧力供給状
態、カフ10内を徐々に排圧する徐速排圧状態、および
カフ10内を急速に排圧する急速排圧状態の3つの状態
に切り換えられるように構成されている。
【0012】圧力センサ14は、カフ10内の圧力を検
出して、その圧力を表す圧力信号SPを静圧弁別回路2
2および脈波弁別回路24にそれぞれ供給する。静圧弁
別回路22はローパスフィルタを備え、圧力信号SPに
含まれる定常的な圧力すなわちカフ圧を表すカフ圧信号
SKを弁別してそのカフ圧信号SKをA/D変換器26
を介して電子制御装置28へ供給する。脈波弁別回路2
4はバンドパスフィルタを備え、圧力信号SPの振動成
分である脈波信号SM1 を周波数的に弁別してその脈波
信号SM1 をA/D変換器30を介して電子制御装置2
8へ供給する。この脈波信号SM1 が表すカフ脈波は、
患者の心拍に同期して図示しない上腕動脈から発生して
カフ10に伝達される圧力振動波である。
【0013】上記電子制御装置28は、CPU29、R
OM31、RAM33、および図示しないI/Oポート
等を備えた所謂マイクロコンピュータにて構成されてお
り、CPU29は、ROM31に予め記憶されたプログ
ラムに従ってRAM33の記憶機能を利用しつつ信号処
理を実行することにより、I/Oポートから駆動信号を
出力して切換弁16および空気ポンプ18を制御する。
【0014】心電誘導装置34は、生体の所定の部位に
貼り着けられる複数の電極36を介して心筋の活動電位
を示す心電誘導波、所謂心電図を連続的に検出するもの
であり、その心電誘導波を示す信号SM2 を前記電子制
御装置28へ供給する。なお、この心電誘導装置34
は、心臓内の血液を大動脈へ向かって拍出開始する時期
に対応する心電誘導波のうちのQ波或いはR波を検出す
るためのものであることから、第1脈波検出装置として
機能している。
【0015】パルスオキシメータ用光電脈波検出プロー
ブ38(以下、単にプローブという)は、毛細血管を含
む末梢動脈へ伝播した脈波を検出する第2脈波検出装置
或いは末梢脈波検出手段として機能するものであり、例
えば、被測定者のたとえば指尖部などの生体皮膚すなわ
ち体表面40に図示しない装着バンド等により密着した
状態で装着されている。プローブ38は、一方向におい
て開口する容器状のハウジング42と、そのハウジング
42の底部内面の外周側に位置する部分に設けられ、L
ED等から成る複数の第1発光素子44a および第2発
光素子44b (以下、特に区別しない場合は単に発光素
子44という)と、ハウジング42の底部内面の中央部
分に設けられ、フォトダイオードやフォトトランジスタ
等から成る受光素子46と、ハウジング42内に一体的
に設けられて発光素子44及び受光素子46を覆う透明
な樹脂48と、ハウジング42内において発光素子44
と受光素子46との間に設けられ、発光素子44から前
記体表面40に向かって照射された光のその体表面40
から受光素子46に向かう反射光を遮光する環状の遮蔽
部材50とを備えて構成されている。
【0016】上記第1発光素子44a は、例えば660
nm程度の波長の赤色光を発光し、第2発光素子44b
は、例えば800nm程度の波長の赤外光を発光するも
のである。これら第1発光素子44a 及び第2発光素子
44b は、一定時間づつ順番に所定周波数で発光させら
れると共に、それら発光素子44から前記体表面40に
向かって照射された光の体内の毛細血管が密集している
部位からの反射光は共通の受光素子46によりそれぞれ
受光される。なお、発光素子44の発光する光の波長は
上記の値に限られず、第1発光素子44a は酸化ヘモグ
ロビンと還元ヘモグロビンとの吸光係数が大きく異なる
波長の光を、第2発光素子44b はそれらの吸光係数が
略同じとなる波長、すなわち酸化ヘモグロビンと還元ヘ
モグロビンとにより反射される波長の光をそれぞれ発光
するものであればよい。
【0017】受光素子46は、その受光量に対応した大
きさの光電脈波信号SM3 をローパスフィルタ52を介
して出力する。受光素子46とローパスフィルタ52と
の間には増幅器等が適宜設けられる。ローパスフィルタ
52は、入力された光電脈波信号SM3 から脈波の周波
数よりも高い周波数を有するノイズを除去し、そのノイ
ズが除去された信号SM3 をデマルチプレクサ54に出
力する。この光電脈波信号SM3 が表す光電脈波は、患
者の脈拍に同期して発生する容積脈波である。なお、こ
の光電脈波は脈拍同期波に対応している。
【0018】デマルチプレクサ54は、電子制御装置2
8からの信号に従って第1発光素子44a 及び第2発光
素子44b の発光に同期して切り換えられることによ
り、赤色光による電気信号SMR をサンプルホールド回
路56及びA/D変換器58を介して、赤外光による電
気信号SMIRをサンプルホールド回路60及びA/D変
換器62を介して、それぞれ電子制御装置28の図示し
ないI/Oポートに逐次供給する。サンプルホールド回
路56、60は、入力された電気信号SMR 、SMIR
A/D変換器58、62へ出力する際に、前回出力した
電気信号SMR 、SMIRについてのA/D変換器58、
62における変換作動が終了するまでに、次に出力する
電気信号SMR 、SMIRをそれぞれ保持するためのもの
である。
【0019】電子制御装置28のCPU29は、RAM
33の記憶機能を利用しつつROM31に予め記憶され
たプログラムに従って測定動作を実行し、駆動回路64
に制御信号SLVを出力して発光素子44a 、44b
順次所定の周波数で一定時間づつ発光させる一方、それ
ら発光素子44a 、44b の発光に同期して切換信号S
Cを出力してデマルチプレクサ54を切り換えることに
より、前記電気信号SMR をサンプルホールド回路56
に、電気信号SMIRをサンプルホールド回路60にそれ
ぞれ振り分ける。上記CPU29は、血中酸素飽和度を
算出するために予め記憶された演算式から上記電気信号
SMR 、SMIRの振幅値に基づいて生体の血中酸素飽和
度を算出する。なお、この酸素飽和度の決定方法として
は、例えば、本出願人が先に出願して公開された特開平
3−15440号公報に記載された決定方法が利用され
る。
【0020】図2は、上記血圧監視装置8における電子
制御装置28の制御機能の要部を説明する機能ブロック
線図である。図2において、血圧測定手段70は、カフ
圧制御手段72によってたとえば生体の上腕に巻回され
たカフ10の圧迫圧力が所定の目標圧力値PCM(たとえ
ば、180mmHg程度の圧力値)まで急速昇圧させた後に
3mmHg/sec程度の速度で徐速降圧させられる徐速降圧期
間内において、順次採取される脈波信号SM1 が表す脈
波の振幅の変化に基づきよく知られたオシロメトリック
法を用いて最高血圧値BPSYS 、平均血圧値BPMEAN
および最低血圧値BPDIA などを決定する。
【0021】脈波伝播情報算出手段74は、図3に示す
ように心電誘導装置34により逐次検出される心電誘導
波の周期毎に発生する所定の部位たとえばR波から、プ
ローブ38により逐次検出される光電脈波の周期毎に発
生する所定の部位たとえば立ち上がり点或いは下ピーク
点までの時間差(脈波伝播時間)DTRPを逐次算出する
時間差算出手段を備え、その時間差算出手段により逐次
算出される時間差DT RPに基づいて、予め記憶される数
式1から、被測定者の動脈内を伝播する脈波の伝播速度
M (m/sec )を逐次算出する。尚、数式1において、
L(m)は左心室から大動脈を経て前記プローブ38が
装着される部位までの距離であり、TPE P (sec)は心
電誘導波形のR波から光電脈波の下ピーク点までの前駆
出期間である。これらの距離Lおよび前駆出期間TPEP
は定数であり、予め実験的に求められた値が用いられ
る。
【0022】
【数1】VM =L/(DTRP−TPEP
【0023】対応関係決定手段76は、血圧測定手段7
0により測定された最高血圧値BP SYS とそれぞれの血
圧測定期間内における脈波伝播時間DTRP或いは脈波伝
播速度VM 、たとえばその期間内における脈波伝播時間
DTRP或いは伝播速度VM の平均値に基づいて、数式2
或いは数式3で示される脈波伝播時間DTRP或いは伝播
速度VM と最高血圧値BPSYS との関係式における係数
α及びβを、予め決定する。なお、上記最高血圧値BP
SYS に代えて、血圧測定手段70により測定された平均
血圧値BPMEAN或いは最低血圧値BPDIA と血圧測定期
間内における脈波伝播時間DTRP或いは伝播速度VM
の関係が求められてもよい。要するに、監視(推定)血
圧値EBPを最高血圧値とするか、平均血圧値とする
か、最低血圧値とするかによって選択される。
【0024】
【数2】EBP=α(DTRP)+β (但し、αは負の定数、βは正の定数)
【0025】
【数3】EBP=α(VM )+β (但し、αは正の定数、βは正の定数)
【0026】推定血圧値決定手段78は、生体の血圧値
とその生体の脈波伝播時間DTRP或いは伝播速度VM
の間の上記対応関係(数式2および数式3)から、脈波
伝播情報算出手段74により逐次算出される生体の実際
の脈波伝播時間DTRP或いは伝播速度VM に基づいて推
定血圧値EBPを逐次決定し、その推定血圧値EBPを
表示器32に所定の時間軸に沿って対比可能にトレンド
表示させる。
【0027】カフ測定起動手段80は、推定血圧値決定
手段78により決定された推定血圧値EBPが予め設定
された判断基準値を越えたことに基づいて前記血圧測定
手段70による血圧測定を起動させる。すなわち、カフ
測定起動手段80は、推定血圧値決定手段78により決
定された推定血圧値EBPが予め設定された判断基準値
たとえば血圧測定手段70による前回のカフによる血圧
測定時を基準としてそれから所定値或いは所定割合以上
変化したことを以て異常判定する推定血圧値異常判定手
段としても機能するものであり、たとえば血圧測定手段
70による前回のカフによる血圧測定時に対して20%
以上変化したときに前記血圧測定手段70による血圧測
定を起動させる。
【0028】前記対応関係決定手段76は、生体の血圧
値が充分に変化してからカフによる血圧測定を実行し
て、少ない測定回数で効率よく対応関係を充分な精度で
決定するために、対応関係候補作成手段90、複数推定
血圧値算出手段92、第2カフ測定実行手段94、およ
び対応関係選択手段96を含む。
【0029】対応関係候補作成手段90は、たとえば図
4に示すように、推定血圧値決定手段78において用い
られる対応関係の候補である複数の対応関係候補R
m (m=1〜i)を作成する。複数推定血圧値算出手段
92は、その対応関係候補作成手段90により作成され
た複数の対応関係候補Rm のそれぞれから、実際の脈波
伝播情報(DT或いはVM )に基づいて、複数の推定血
圧値EBPm (m=1〜i)をそれぞれ算出する。第2
カフ測定実行手段94は、たとえば図5に示すように、
その複数推定血圧値算出手段92により算出された複数
の推定血圧値EBP m のいずれかの変化幅ΔEBPが予
め設定された判断基準値ΔEBP1を越えた場合には、
前記血圧測定手段70によりカフ10を用いて生体の血
圧測定を実行させる。対応関係選択手段96は、複数推
定血圧値算出手段92により算出された複数の推定血圧
値EBPm のうち第2カフ測定実行手段94により得ら
れた生体の血圧値と最も近い推定血圧値が決定された対
応関係候補を、図6に示すように、前記推定血圧値決定
手段78に用いられる対応関係として選択する。
【0030】推定血圧値を求めるための前記対応関係
は、前記数式2或いは数式3に示すように、脈波伝播情
報に掛け算される係数αと独立項としての定数βとを含
むものであるので、上記対応関係候補作成手段90は、
たとえば係数設定手段100、第1カフ測定実行手段1
02、定数決定手段104から構成される。上記係数設
定手段100は、実際の生体における血圧値と脈波伝播
情報との関係をある程度概略的に表す複数個の対応関係
候補Rm を得るために、予め設定された複数個の係数α
m (m=1〜i)を設定する。第1カフ測定実行手段1
02は、前記血圧測定手段70にカフ10を用いた血圧
測定を実行させる。定数決定手段104は、上記複数個
の係数αm がそれぞれ代入された複数個の対応関係候補
m にその第1カフ測定実行手段102により得られた
血圧測定値と実際の脈波伝播情報とを代入することによ
りそれら複数個の対応関係候補Rm の定数βm (m=1
〜i)をたとえば数式4に示すようにそれぞれ決定す
る。数式4および図4は、たとえばi=3である場合の
3つの対応関係候補Rm を示している。
【0031】
【数4】 EBP1 =α1 DTRP+β1 ・・・(R1 ) EBP2 =α2 DTRP+β2 ・・・(R2 ) EBP3 =α3 DTRP+β3 ・・・(R3
【0032】生体の血圧値変動が確実に判定されてから
対応関係を決定するためのカフを用いた血圧測定が無駄
なく実行されるために、推定血圧値変化判定手段108
は、前記複数推定血圧値算出手段92により算出された
複数の推定血圧値EBPm の、前記第1カフ測定実行手
段102によりカフを用いた血圧測定が実行させられて
からの変化幅ΔEBPm のいずれかが、予め設定された
判断基準値ΔEBP1を越えたか否かを判定する。そし
て、前記第2カフ測定実行手段94は、複数の推定血圧
値EBPm の、推定血圧値変化判定手段108により前
記第1カフ測定実行手段102によりカフを用いた血圧
測定が実行させられてからの変化幅ΔEBPm のいずれ
かが予め設定された判断基準幅ΔEBP1を越えたと判
定された場合には、血圧測定手段70によるカフを用い
た生体の血圧測定を再び実行させる。この判断基準幅Δ
EBP1は、生体の血圧変動幅が所定値以上となる値、
たとえば20%mm程度の値に設定される。
【0033】また、対応関係の決定に用いるために第2
カフ測定実行手段94により得られた血圧値BP2 を、
たとえば第1カフ測定実行手段102により得られた血
圧値BP1 からの変化幅を可及的に大きくして、それら
血圧値BP1 およびBP2 に基づいて決定される対応関
係の精度を高めるために、カフ測定値変化判定手段11
0は、第2カフ測定実行手段94により血圧測定手段7
0のカフを用いた生体の血圧測定により得られた生体の
血圧値BP2 の前回にカフを用いて測定された血圧値B
1 に対する変化幅ΔBPが予め設定された判断基準値
ΔBP1を越えたか否かを判定する。
【0034】上記カフ測定値変化判定手段110は、第
2カフ測定実行手段94の実行により血圧測定手段70
から得られた生体の血圧値BP2 の、第1カフ測定実行
手段104の実行により血圧測定手段70から得られた
生体の血圧値BP1 に対する変化率ΔBPが、予め設定
された判断基準値ΔBP1を越えない場合には、定数決
定手段104による各対応関係候補Rm の定数βm の決
定、複数推定血圧値算出手段92による複数の対応関係
候補Rm から実際の脈波伝播情報に基づく複数の推定血
圧値EBPm の決定、推定血圧値変化判定手段108に
よる第1カフ測定実行手段102によりカフを用いた血
圧測定が実行させられてからの推定血圧変化幅ΔEBP
が予め設定された判断基準値ΔEBP1を越えたか否か
の判定、第2カフ測定実行手段94による前記血圧測定
手段70によりカフを用いて前記生体の血圧測定の実行
を、再び順次実行させる。しかし、第2カフ測定実行手
段94の実行により得られた生体の血圧値BP2 の、第
1カフ測定実行手段104の実行により得られた生体の
血圧値BP1 に対する変化率ΔBPが、予め設定された
判断基準値ΔBP1を越えた場合には、前記対応関係選
択手段96に、複数の対応関係候補Rm の中から、第2
カフ測定実行手段94により実行された血圧測定手段7
0により得られた生体の血圧値と最も近似する推定血圧
を算出する対応関係候補を、推定血圧値決定手段78に
用いられる対応関係として図6に示すように選択させ
る。
【0035】図7は、上記血圧監視装置8の電子制御装
置28における制御作動の要部を説明するフローチャー
トである。図7において、ステップSA1(以下、ステ
ップを省略する。)において図示しないフラグ、カウン
タ、レジスタをクリアする初期処理が実行された後、対
応関係選択手段96に対応するSA2では、推定血圧を
算出する基礎となる対応関係を決定するために、たとえ
ば図8に示す対応関係決定ルーチンが実行される。
【0036】図8において、前記係数設定手段90に対
応するSA2−1では、複数の係数αm 、判断基準値Δ
EBP1、判断基準値ΔBP1などの設定が、予め記憶
された入力値に基づいて行われる。以下の説明では、i
=3とした場合について説明するので、上記複数の係数
αm として、α1 、α2 、α3 が設定される。たとえ
ば、α1 =−0.8、α2 =−1.0、α3 =−1.2
である。
【0037】次いで、前記第1カフ測定実行手段102
に対応するSA2−2においては、カフ10を用いた血
圧測定が実行され、血圧値BP1 が決定される。上記カ
フ10を用いた血圧測定では、たとえば、カフ昇圧期間
において、心電波形のR波からプローブ38により逐次
検出される光電脈波の立ち上がり点までの時間差すなわ
ち伝播時間DTRPが決定され、前記数式1からその伝播
時間DTRPに基づいて脈波伝播速度VM (m/sec )がカ
フ昇圧の直前において算出される。次いで、切換弁16
が圧力供給状態に切り換えられ且つ空気ポンプ18が駆
動されることにより、血圧測定のためにカフ10の急速
昇圧が開始されるとともに、カフ圧PCが180mmHg程
度に予め設定された目標圧迫圧PCM以上となると、空気
ポンプ18が停止させられ且つ切換弁16が徐速排圧状
態に切り換えられてカフ10内の圧力が予め定められた
3mmHg/sec程度の緩やかな速度で下降させられ、この徐
速降圧過程で逐次得られる脈波信号SM1 が表す脈波の
振幅の変化に基づいて、良く知られたオシロメトリック
方式の血圧値決定アルゴリズムに従って血圧値BP 1
とえば最高血圧値BPSYS 、平均血圧値BPMEAN、およ
び最低血圧値BPDI A が測定されるとともに、その測定
された血圧値や脈拍数などが表示器32に表示されると
ともに、切換弁16が急速排圧状態に切り換えられてカ
フ10内が急速に排圧される。
【0038】次に、前記定数決定手段104に対応する
SA2−3では、係数α1 、α2 、α3 がそれぞれ代入
された3つの対応関係候補R1 、R2 、R3 から、実際
の血圧値BP1 と、SA2−2の血圧測定時(図5のt
1 時点)の脈波伝播時間DT RP1 とに基づいて、各対応
関係候補R1 、R2 、R3 の定数β1 、β2 、β3 がそ
れぞれ算出される。次いで、前記複数推定血圧値算出手
段92に対応するSA2−4では、脈波の入力毎に、或
いはそれに同期して脈波伝播時間DTRPが算出される毎
に、上記係数α1 、α2 、α3 が設定され且つ定数
β1 、β2 、β3 が算出された図4に示す上記3つの対
応関係候補R1 、R2 、R3 から、逐次入力される脈波
伝播時間DTRPに基づいて、推定血圧値EBP1 、EB
2 、EBP 3 がそれぞれ算出される。図5は、脈波の
入力毎に逐次算出される推定血圧値EBP1 、EB
2 、EBP3 のトレンドを示している。
【0039】次に、前記推定血圧値変化判定手段108
に対応するSA2−5において、上記複数の推定血圧値
EBP1 、EBP2 、EBP3 のSA2−2の血圧測定
時の値を基準とする変化幅ΔEBP1 、ΔEBP2 、Δ
EBP3 が、SA2−2の血圧測定時の値を基準として
予め上下20%程度に設定された判断基準幅ΔEBPを
越えるか否かが判断される。このSA2−5判断が否定
された場合はSA2−4以下が繰り返し実行されるが、
肯定された場合は、前記第2カフ測定実行手段94に対
応するSA2−6において、SA2−2と同様の、カフ
10を用いた血圧測定が実行されて血圧値BP2 が得ら
れる。図5のt2 時点はこの状態を示している。
【0040】次いで、前記カフ測定値変化判定手段11
0に対応するSA2−7では、SA2−6において測定
された血圧値BP2 の前回にカフ10を用いて測定され
た血圧値BP1 に対する変化幅ΔBPが、生体の呼吸に
同期する血圧変動幅よりも大きくなるように予め20mm
Hg程度に設定された判断基準値ΔBPを越えるか否かが
判断される。このSA2−7の判断が否定された場合
は、血圧値BP1 と血圧値BP2 との差が充分に大きく
ないので、前記SA2−3以下が繰り返し実行される
が、肯定された場合は、前記対応関係選択手段96に対
応するSA2−8において、上記SA2−6において測
定された血圧値BP2 に最も近い推定血圧値EBPが決
定される対応関係候補が、推定血圧値決定手段78に用
いられる対応関係として決定される。
【0041】以上のようにして対応関係が決定される
と、図7のSA3以下が実行される。SA3では心電波
形のR波および光電脈波が入力されたか否かが判断され
る。このSA3の判断が否定された場合はSA3が繰り
返し実行されるが、肯定された場合は、前記脈波伝播情
報算出手段74に対応するSA4において、新たに入力
された心電波形のR波および光電脈波についての脈波伝
播時間DTRPおよび脈波伝播速度VM がSA2と同様に
して算出される。
【0042】そして、推定血圧値決定手段78に対応す
るSA5において、上記SA2において求められた伝播
時間血圧対応関係から、上記SA4において求められた
脈波伝播時間DTRPに基づいて、推定血圧値EBP(最
高血圧値、平均血圧値、或いは最低血圧値)が決定さ
れ、且つ一拍毎の推定血圧値EBPをトレンド表示させ
るために表示器32に出力される。
【0043】次いで、前記カフ測定起動手段80に対応
するSA6では、たとえば推定血圧値EBPが、たとえ
ば前回のカフ測定時の値に対して上下20乃至25%程
度に予め設定された判断基準値を越えたことに基づいて
前記血圧測定手段70による血圧測定を起動させる。こ
のSA6の判断が否定された場合はSA7が実行され
る。このSA7では、SA2においてカフ10による血
圧測定が行われてからの経過時間が予め設定された15
乃至20分程度の設定周期すなわちキャリブレーション
周期を経過したか否かが判断される。このSA7の判断
が否定された場合には、前記SA3以下の血圧監視ルー
チンが繰り返し実行され、推定血圧値EBPが1拍毎に
連続的に決定され、且つその決定された推定血圧値EB
Pが表示器32において時系列的にトレンド表示され
る。しかし、このSA7の判断が肯定された場合には、
前記対応関係を再決定するために前記SA2以下のカフ
キャリブレーションルーチンが再び実行される。
【0044】しかし、前記SA6の判断が肯定された場
合は、SA8において推定血圧値EBPの異常表示が表
示器32において行われた後、対応関係を再決定させる
ためにSA2以下が再び実行されることにより、カフに
よる血圧測定が起動される。
【0045】上述のように本実施例によれば、複数推定
血圧値算出手段92(SA2−4)により、対応関係候
補作成手段90(SA2−1乃至SA2−3)により作
成された複数の対応関係候補R1 、R2 、R3 のそれぞ
れから、脈波伝播時間DTRPに基づいて、複数の推定血
圧値EBP1 、EBP2 、EBP3 がそれぞれ算出さ
れ、第2カフ測定実行手段94(SA2−6)により、
その複数推定血圧値算出手段92により算出された複数
の推定血圧値EBP1 、EBP2 、EBP3 の変化幅Δ
EBP1 、ΔEBP2 、ΔEBP3 のいずれかが予め設
定された判断基準値ΔEBP1を越えた場合には、前記
血圧測定手段70によりカフを用いて前記生体の血圧測
定が実行させられ、対応関係選択手段96(SA2−
8)により、その複数推定血圧値算出手段92により算
出された複数の推定血圧値EBP1 、EBP2 、EBP
3 のうち第2カフ測定実行手段94により得られた生体
の血圧値と最も近い推定血圧値が決定された対応関係候
補が、前記推定血圧値決定手段78に用いられる対応関
係として選択される。したがって、生体の血圧値が充分
に変化してからカフによる血圧測定値が実行されるの
で、少ない測定回数で、効率よく対応関係を充分な精度
で決定することができる。
【0046】また、本実施例では、前記対応関係候補作
成手段90は、予め設定された複数個の係数を設定する
係数設定手段100(SA2−1)と、血圧測定手段7
0にカフを用いた血圧測定を実行させる第1カフ測定実
行手段102(SA2−2)と、前記複数個の係数
α1 、α2 、α3 が代入された複数個の対応関係候補R
1、R2 、R3 にその第1カフ測定実行手段102によ
り得られた血圧測定値BP 1 と実際の脈波伝播時間DT
RP1 とを代入することによりそれら複数個の対応関係候
補R1 、R2 、R3 の定数β1 、β2 、β3 をそれぞれ
決定する定数決定手段104(SA2−3)とから構成
されている。このようにすれば、実際の生体における血
圧値と脈波伝播情報との関係をある程度のレベルで表す
複数個の対応関係候補が得られる。
【0047】また、本実施例では、前記複数推定血圧値
算出手段92により算出された複数の推定血圧値EBP
1 、EBP2 、EBP3 のいずれかが、第1カフ測定実
行手段102によりカフ10を用いた血圧測定が実行さ
せられてからの変化幅ΔEBP1 、ΔEBP2 、ΔEB
3 のいずれかが予め設定された判断基準値ΔEBP1
を越えたか否かを判定する推定血圧値変化判定手段10
8(SA2−5)と、その推定血圧値変化判定手段10
8により第1カフ測定実行手段102によりカフを用い
た血圧測定が実行させられてからの変化幅ΔEBP1
ΔEBP2 、ΔEBP3 のいずれかがが予め設定された
判断基準幅ΔEBP1を越えたと判定された場合には、
血圧測定手段70によりカフ10を用いた血圧測定を実
行させる第2カフ測定実行手段94とが、備えられる。
このようにすれば、生体の血圧値変動が確実に判定され
てから、対応関係を決定するためのカフを用いた血圧測
定が無駄なく実行される利点がある。
【0048】また、本実施例では、第2カフ測定実行手
段94により血圧測定手段70のカフ10を用いた血圧
測定により得られた生体の血圧値BP2 の、前回のカフ
10を用いた血圧測定値BP1 に対する変化幅ΔBP
が、予め設定された判断基準値ΔBP1を越えたか否か
を判定するカフ測定値変化判定手段110(SA2−
7)が、備えられる。このカフ測定値変化判定手段11
0は、第2カフ測定実行手段94により実行された血圧
測定手段70のカフ10を用いて得た血圧測定値BP2
の、前回のカフ10を用いた血圧測定値BP1 に対する
変化幅ΔBPが予め設定された判断基準値ΔBP1を越
えない場合には、定数決定手段104による対応関係候
補Rm の定数αm の決定、複数推定血圧値算出手段92
による複数の対応関係候補Rm から実際の脈波伝播情報
(DTRP1 )に基づく複数の推定血圧EBPm の決定、
推定血圧値変化判定手段108による第1カフ測定実行
手段102によりカフを用いた血圧測定が実行させられ
てからの変化幅ΔEBPm が予め設定された判断基準値
ΔEBP1を越えたか否かの判定、第2カフ測定実行手
段94による血圧測定手段70のカフ10を用いた血圧
測定の実行を、再び順次実行させる。しかし、第2カフ
測定実行手段94により血圧測定手段70のカフ10を
用いて得た血圧値BP2 の、前回のカフ10を用いた血
圧測定値BP1 に対する変化幅ΔBPが、予め設定され
た判断基準値ΔBP1を越えた場合には、対応関係選択
手段96に、複数の対応関係候補Rm のなかから、上記
第2カフ測定実行手段94により得られた血圧測定値B
2 に最も近い推定血圧値を算出する対応関係候補を、
推定血圧値決定手段70に用いられる対応関係として選
択させる。このように、カフ10を用いて測定された生
体の血圧値BP2 が前回に比較して判断基準値ΔBP1
以上に異なったときに対応関係の選択が実行されるの
で、対応関係の精度が一層高められる。
【0049】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適
用される。
【0050】たとえば、前述の図7および図8の実施例
において、推定血圧値と脈波伝播時間DTRPとの対応関
係について説明されたいたが、推定血圧値と脈波伝播速
度V M との対応関係であっても差し支えない。この場合
には、図4或いは図6において右上がりの特性となる。
【0051】また、前述の実施例における対応関係は一
次式を用いて説明されていたが、二次式などの多次式で
あっても差し支えない。
【0052】また、前述の実施例の血圧測定手段70
は、所謂オシロメトリック方式で血圧を測定するように
構成されていたが、コロトコフ音の発生時および消滅時
のカフ圧を最高血圧値および最低血圧値として決定する
所謂K音方式により血圧測定するものであっても差し支
えない。
【0053】また、前述の実施例では、末梢脈波検出手
段として光電脈波検出プロープ38が用いられていた
が、たとえば指に装着された電極を介してインピーダン
ス変化を検出するインピーダンス脈波検出装置、撓骨動
脈に押圧されてその内圧を検出する圧脈波検出装置など
が用いられてもよい。要するに、生体末梢部の循環動態
を反映した脈波であればよいのである。
【0054】また、前述の実施例では、心電誘導装置3
4により検出された心電波形の所定部位と光電脈波検出
プロープ38により検出された光電脈波の所定部位との
間の時間差に基づいて脈波伝播時間DTRP或いは脈波伝
播速度VM が求められていたが、頸動脈或いは上腕動脈
に装着された第1の脈波検出装置と手首或いは指に装着
された第2の脈波検出装置との間で脈波伝播時間DTRP
或いは脈波伝播速度V M が求められてもよい。
【0055】また、前述の実施例では、オキシメータ用
の光電脈波検出プローブ38が第2脈波検出装置として
機能していたが、所定圧を保持したカフ10からカフ脈
波を検出するカフ脈波センサ、撓骨動脈を押圧して脈波
を検出する形式の圧脈波センサ、腕や指先などのインピ
ーダンスを電極を通して検出するインピーダンス脈波セ
ンサ、指先に装着されて光電脈波を検出する形式の透過
型光電脈波センサなどの他の形式のものも用いられ得
る。
【0056】また、前述の実施例において、脈波伝播速
度VM はR波から光電脈波の立ち上がり点までの時間差
に基づいて算出されていたが、心電波形のQ波から光電
脈波の立ち上がり点までの時間差を用いるなどの他の算
出方式が用いられる。
【0057】また、前述の実施例において、R波或いは
光電脈波の1拍毎に血圧監視されていたが、2以上の拍
数毎に血圧監視されるものであってもよい。
【0058】なお、本発明はその主旨を逸脱しない範囲
においてその他種々の変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である血圧監視装置の回路構
成を説明するブロック線図である。
【図2】図1の実施例における電子制御装置28の制御
機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図3】図1の実施例における電子制御装置28の制御
作動により求められる時間差DTRPを例示する図であ
る。
【図4】図1の実施例において作成された対応関係候補
1 、R2 、R3 を説明する図である。
【図5】図1の実施例において、各対応関係候補R1
2 、R3 から、実際の脈波伝播時間DTRPに基づいて
1拍毎に算出された推定血圧値EBP1 、EBP2 、E
BP3 のトレンドを示す図である。
【図6】図1の実施例において複数の対応関係候補
1 、R2 、R3 から選択された対応関係を示す図であ
る。
【図7】図1の実施例における電子制御装置28の制御
作動の要部を説明するフローチャートであって、血圧監
視ルーチンを示す図である。
【図8】図7のSA2における対応関係決定ルーチンの
作動を詳しく説明する図である。
【符号の説明】
10:カフ 70:血圧測定手段 76:対応関係決定手段 78:推定血圧値決定手段 90:対応関係候補作成手段 92:複数推定血圧値算出手段 94:第2カフ測定実行手段 96:対応関係選択手段 100:係数設定手段 102:第1カフ測定実行手段 104:定数決定手段 108:推定血圧値変化判定手段 110:カフ測定値変化判定手段
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−136136(JP,A) 特開 平8−191805(JP,A) 特開 平6−319706(JP,A) 特開 平4−367648(JP,A) 特開 平7−31593(JP,A) 特開 平1−214341(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/02 - 5/0295

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体の一部への圧迫圧力を変化させるカ
    フを用いて該生体の血圧値を測定する血圧測定手段と、
    該血圧測定手段による血圧測定値と生体の脈波伝播速度
    情報との間の予め設定された対応関係から実際の生体の
    脈波伝播情報に基づいて該生体の推定血圧値を逐次決定
    する推定血圧値決定手段とを備える形式の血圧監視装置
    であって、 前記対応関係の候補である複数の対応関係候補を作成す
    る対応関係候補作成手段と、 該対応関係候補作成手段により作成された複数の対応関
    係候補のそれぞれから、前記脈波伝播情報に基づいて、
    複数の推定血圧値をそれぞれ算出する複数推定血圧値算
    出手段と、 該複数推定血圧値算出手段により算出された複数の推定
    血圧値の、前記血圧測定手段によりカフを用いた血圧測
    定が実行させられてからの複数の推定血圧変化幅のう
    ち、いずれかの変化幅が予め設定された判断基準値を越
    えた場合には、前記血圧測定手段によりカフを用いて前
    記生体の血圧測定を実行させるカフ測定実行手段と、 前記複数推定血圧値算出手段により算出された複数の推
    定血圧値のうち該カフ測定実行手段により得られた生体
    の血圧値と最も近い推定血圧値が決定された対応関係候
    補を、前記推定血圧値決定手段に用いられる対応関係と
    して選択する対応関係選択手段とを、含むことを特徴と
    する血圧監視装置。
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