JP3224785B2 - 非観血連続血圧推定装置 - Google Patents

非観血連続血圧推定装置

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JP3224785B2
JP3224785B2 JP01705499A JP1705499A JP3224785B2 JP 3224785 B2 JP3224785 B2 JP 3224785B2 JP 01705499 A JP01705499 A JP 01705499A JP 1705499 A JP1705499 A JP 1705499A JP 3224785 B2 JP3224785 B2 JP 3224785B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体の循環器から
非侵襲にて得られる情報から生体の動脈内血圧を推定す
るための非観血連続血圧推定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生体の動脈内血圧を測定するための非侵
襲の血圧測定装置として、生体の一部に巻回された圧迫
帯の圧迫圧を変化させる過程で発生するコロトコフ音の
変化、或いはカフ脈波振幅の変化に基づいて生体の血圧
値を決定する装置が知られている。所謂コロトコフ音方
式の自動血圧測定装置或いはオシロメトリック方式の自
動血圧測定装置がそれである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、手術室や集
中治療室などでは、処置或いは治療の緊急性を要するた
めに生体の血圧値を可及的に連続的に測定することが望
まれる場合があるが、前記従来の自動血圧測定装置で
は、その起動から数十秒経過しないと血圧測定値が得ら
れないだけでなく、可及的に短い周期で血圧値を得るた
めにその起動周期を短くすると圧迫帯の圧迫による鬱血
やそれに起因する血圧測定誤差が発生するという欠点が
あった。
【0004】これに対し、生体の動脈内を伝播する脈波
の伝播速度を非侵襲で得られる信号に基づいて算出し、
予め記憶された関係からその伝播速度に基づいて生体の
血圧値を連続的に推定するという非侵襲連続血圧推定装
置が提案されている。たとえば、実開平7−9305号
公報や特開平7−308295号公報に記載された装置
がそれである。
【0005】しかしながら、上記従来の非侵襲連続血圧
推定装置は、脈波伝播時間又は脈波伝播速度のみを用い
て血圧値を連続的に推定する技術しか開示しておらず、
そのように脈波伝播時間又は脈波伝播速度のみを用いて
血圧値を推定する場合には、推定血圧値について十分な
精度を得ることができないので、圧迫帯を用いたコロト
コフ音方式の自動血圧測定装置或いはオシロメトリック
方式の自動血圧測定装置により測定された血圧値との間
で頻繁な校正を必要とする不都合があった。
【0006】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであって、その目的とするところは、推定血圧値に
対して高い推定精度が得られる非侵襲連続血圧推定装置
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、生体の循環器から非
侵襲にて得られる情報から生体の動脈内血圧を推定する
ための非観血連続血圧推定装置であって、(a) 前記生体
の動脈における脈波伝播速度に関連する脈波伝播速度情
報を検出する脈波伝播速度情報検出手段と、(b) 前記生
体の心拍数に関連する心拍数情報、およびその生体の末
梢部における容積脈波の面積に関連する容積脈波面積情
報の少なくとも一方を算出する循環情報算出手段と、
(c) 予め記憶された関係から、前記生体の動脈における
脈波伝播速度に関連する脈波伝播速度情報と、その生体
の心拍数に関連する心拍数情報およびその生体の末梢部
における容積脈波の面積に関連する容積脈波面積情報の
少なくとも一方とに基づいて、前記生体の血圧値を推定
する血圧値推定手段と、(d)所定の血圧測定周期毎に、
前記生体の一部への圧迫圧力を変化させるカフを用いて
その生体の血圧値を測定する血圧測定手段と、(e)その
血圧測定手段により測定された血圧値と、その血圧測手
段による血圧測定時に前記脈波伝播速度情報検出手段に
より検出された脈波伝播速度情報と、その血圧測定手段
による血圧測定時に前記循環情報算出手段により算出さ
れた心拍数情報および容積脈波面積情報の少なくとも一
方とを一組とする情報を記憶する情報記憶手段と、(f)
その情報記憶手段により記憶された多数組の情報を、最
新の情報から順に、少なくとも前記予め記憶された関係
において用いられる係数および定数の数よりも多く且つ
予め設定された所定数以下の数用いて、重回帰分析によ
り前記予め記憶された関係の係数および定数を修正する
関係修正手段とを、含むことにある。
【0008】
【発明の効果】このようにすれば、血圧値推定手段によ
り、予め設定された関係から、脈波伝播速度情報と心拍
数情報および容積脈波面積情報の少なくとも一方とに基
づいて生体の血圧値が推定されることから、推定血圧値
に対して高い推定精度が得られる。すなわち、脈波伝播
速度情報のみに基づいて生体の血圧値が推定される場合
に比較して、生体の血圧値に関連して変化する心臓側の
パラメータである心拍数情報および生体の血圧値に関連
して変化する末梢側のパラメータである容積脈波面積情
報の少なくとも一方がさらに用いられるので、推定血圧
値に対して推定精度が一層高められるのである。また、
所定の血圧測定周期毎に、情報記憶手段により、血圧測
定手段で測定された血圧値と、その血圧測定手段による
血圧測定時に脈波伝播速度情報検出手段により検出され
た脈波伝播速度情報と、その血圧測定手段による血圧測
定時に循環情報算出手段により算出された心拍数情報お
よび容積脈波面積情報の少なくとも一方とが一組として
記憶され、関係修正手段により、その情報記憶手段によ
って記憶された多数組の情報のうち、血圧測定手段によ
り測定された血圧値とその血圧測定手段による血圧測定
時の脈波伝播速度情報との対応が変化していない間の情
報に基づいて、重回帰分析により、前記予め記憶された
関係の係数および定数が修正されるので、予め記憶され
た関係が、変動する患者の状態に適合するように修正さ
れる。因みに、比較的短時間であれば、生体の血圧値と
脈波伝播速度情報との相関関係はよい相関を示すが、長
時間にわたる相関では、血液循環の状態等の患者の状態
の変動により、その相関の程度は低下するので、情報記
憶手段により記憶されてから比較的時間の経過した情報
をも含めて、前記予め記憶された関係の係数および定数
を修正すると、必ずしも変動する患者の状態に適合した
修正とはならない場合があるのである。
【0009】
【0010】
【0011】また、好適には、前記血圧値推定手段は、
予め記憶された関係から、前記生体の動脈における脈波
伝播速度に関連する脈波伝播速度情報と、その生体の心
拍数に関連する心拍数情報と、その生体の末梢部におけ
る容積脈波の面積に関連する容積脈波面積情報とに基づ
いて、前記生体の血圧値を推定するものである。このよ
うにすれば脈波伝播速度情報のみに基づいて生体の血圧
値が推定される場合に比較して、血圧値に関連して変化
する心臓側のパラメータである心拍数情報および血圧値
に関連して変化する末梢側のパラメータである容積脈波
面積情報がさらに用いられるので、推定血圧値に対して
推定精度が一層高められ、圧迫帯を用いて測定された血
圧値との校正が頻繁に行われる必要がない。
【0012】また、好適には、前記血圧値推定手段は、
推定血圧値EBPと脈波伝播時間DT、心拍周期RR、
および容積脈波面積比VRとの間の予め記憶された関係
(EBP=α(1/DT)+βRR+γVR+δ、但
し、α、β、γは係数、δは定数である)から、実際の
脈波伝播時間DT、心拍周期RR、および容積脈波面積
比VRに基づいて、推定血圧EBPを算出するものであ
る。このようにすれば、脈波伝播速度情報のみに基づい
て生体の血圧値が推定される場合に比較して、血圧値に
関連して変化する心臓側のパラメータである心拍数情報
および血圧値に関連して変化する末梢側のパラメータで
ある容積脈波面積情報がさらに用いられるので、推定血
圧値に対して推定精度が一層高められ、圧迫帯を用いて
測定された血圧値との校正が頻繁に行われる必要がな
い。
【0013】また、好適には、前記係数α、β、γおよ
び定数δは、血圧値とその血圧値が得られたときの脈波
伝播時間DT、心拍周期RR、および容積脈波面積比V
Rとを含む多数人のデータから重回帰分析を用いて求め
られたものである。このようにすれば、推定血圧値を得
るための汎用可能な関係が得られる利点がある。
【0014】
【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の一実施例を
図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明が適用
された非観血連続血圧推定装置8の回路構成を説明する
ブロック線図である。
【0015】図1において、非観血連続血圧推定装置8
は、ゴム製袋を布製帯状袋内に有して、たとえば患者の
上腕部12に巻回されるカフ10と、このカフ10に配
管20を介してそれぞれ接続された圧力センサ14、切
換弁16、および空気ポンプ18とを備えている。この
切換弁16は、カフ10内への圧力の供給を許容する圧
力供給状態、カフ10内を徐々に排圧する徐速排圧状
態、およびカフ10内を急速に排圧する急速排圧状態の
3つの状態に切り換えられるように構成されている。
【0016】圧力センサ14は、カフ10内の圧力を検
出して、その圧力を表す圧力信号SPを静圧弁別回路2
2および脈波弁別回路24にそれぞれ供給する。静圧弁
別回路22はローパスフィルタを備え、圧力信号SPに
含まれる定常的な圧力すなわちカフ圧を表すカフ圧信号
SKを弁別してそのカフ圧信号SKをA/D変換器26
を介して電子制御装置28へ供給する。脈波弁別回路2
4はバンドパスフィルタを備え、圧力信号SPの振動成
分である脈波信号SM1 を周波数的に弁別してその脈波
信号SM1 をA/D変換器30を介して電子制御装置2
8へ供給する。この脈波信号SM1 が表すカフ脈波は、
患者の心拍に同期して図示しない上腕動脈から発生して
カフ10に伝達される圧力振動波である。
【0017】上記電子制御装置28は、CPU29、R
OM31、RAM33、および図示しないI/Oポート
等を備えた所謂マイクロコンピュータにて構成されてお
り、CPU29は、ROM31に予め記憶されたプログ
ラムに従ってRAM33の記憶機能を利用しつつ信号処
理を実行することにより、I/Oポートから駆動信号を
出力して切換弁16および空気ポンプ18を制御する。
【0018】心電誘導装置34は、生体の所定の部位に
貼り着けられる複数の電極36を介して心筋の活動電位
を示す心電誘導波、所謂心電図を連続的に検出するもの
であり、その心電誘導波を示す信号SM2 を前記電子制
御装置28へ供給する。なお、この心電誘導装置34
は、心臓内の血液を大動脈へ向かって拍出開始する時期
に対応する心電誘導波のうちのQ波或いはR波を検出す
るためのものである。
【0019】パルスオキシメータ用光電脈波検出プロー
ブ38(以下、単にプローブという)は、毛細血管を含
む末梢動脈へ伝播した脈波を検出する末梢脈波検出手段
として機能するものであり、例えば、被測定者のたとえ
ば指尖部などの生体皮膚すなわち体表面40に図示しな
い装着バンド等により密着した状態で装着されている。
プローブ38は、一方向において開口する容器状のハウ
ジング42と、そのハウジング42の底部内面の外周側
に位置する部分に設けられ、LED等から成る複数の第
1発光素子44a および第2発光素子44b (以下、特
に区別しない場合は単に発光素子44という)と、ハウ
ジング42の底部内面の中央部分に設けられ、フォトダ
イオードやフォトトランジスタ等から成る受光素子46
と、ハウジング42内に一体的に設けられて発光素子4
4及び受光素子46を覆う透明な樹脂48と、ハウジン
グ42内において発光素子44と受光素子46との間に
設けられ、発光素子44から前記体表面40に向かって
照射された光のその体表面40から受光素子46に向か
う反射光を遮光する環状の遮蔽部材50とを備えて構成
されている。
【0020】上記第1発光素子44a は、例えば660
nm程度の波長の赤色光を発光し、第2発光素子44b
は、例えば800nm程度の波長の赤外光を発光するも
のである。これら第1発光素子44a 及び第2発光素子
44b は、一定時間づつ順番に所定周波数で発光させら
れると共に、それら発光素子44から前記体表面40に
向かって照射された光の体内の毛細血管が密集している
部位からの反射光は共通の受光素子46によりそれぞれ
受光される。なお、発光素子44の発光する光の波長は
上記の値に限られず、第1発光素子44a は酸化ヘモグ
ロビンと還元ヘモグロビンとの吸光係数が大きく異なる
波長の光を、第2発光素子44b はそれらの吸光係数が
略同じとなる波長、すなわち酸化ヘモグロビンと還元ヘ
モグロビンとにより反射される波長の光をそれぞれ発光
するものであればよい。
【0021】受光素子46は、その受光量に対応した大
きさの光電脈波信号SM3 をローパスフィルタ52を介
して出力する。受光素子46とローパスフィルタ52と
の間には増幅器等が適宜設けられる。ローパスフィルタ
52は、入力された光電脈波信号SM3 から脈波の周波
数よりも高い周波数を有するノイズを除去し、そのノイ
ズが除去された信号SM3 をデマルチプレクサ54に出
力する。この光電脈波信号SM3 が表す光電脈波は、患
者の脈拍に同期して発生する容積脈波である。なお、こ
の光電脈波は脈拍同期波に対応している。
【0022】デマルチプレクサ54は、電子制御装置2
8からの信号に従って第1発光素子44a 及び第2発光
素子44b の発光に同期して切り換えられることによ
り、赤色光による電気信号SMR をサンプルホールド回
路56及びA/D変換器58を介して、赤外光による電
気信号SMIRをサンプルホールド回路60及びA/D変
換器62を介して、それぞれ電子制御装置28の図示し
ないI/Oポートに逐次供給する。サンプルホールド回
路56、60は、入力された電気信号SMR 、SMIR
A/D変換器58、62へ出力する際に、前回出力した
電気信号SMR 、SMIRについてのA/D変換器58、
62における変換作動が終了するまでに、次に出力する
電気信号SMR 、SMIRをそれぞれ保持するためのもの
である。
【0023】電子制御装置28のCPU29は、RAM
33の記憶機能を利用しつつROM31に予め記憶され
たプログラムに従って測定動作を実行し、駆動回路64
に制御信号SLVを出力して発光素子44a 、44b
順次所定の周波数で一定時間づつ発光させる一方、それ
ら発光素子44a 、44b の発光に同期して切換信号S
Cを出力してデマルチプレクサ54を切り換えることに
より、前記電気信号SMR をサンプルホールド回路56
に、電気信号SMIRをサンプルホールド回路60にそれ
ぞれ振り分ける。上記CPU29は、血中酸素飽和度を
算出するために予め記憶された演算式から上記電気信号
SMR 、SMIRの振幅値に基づいて生体の血中酸素飽和
度を算出する。なお、この酸素飽和度の決定方法として
は、例えば、本出願人が先に出願して公開された特開平
3−15440号公報に記載された決定方法が利用され
る。
【0024】図2は、上記非観血連続血圧推定装置8に
おける電子制御装置28の制御機能の要部を説明する機
能ブロック線図である。図2において、脈波伝播速度情
報算出手段70は、脈波伝播時間DTRP或いは脈波伝播
速度VM のような脈波の伝播速度に関連する脈波伝播速
度情報を逐次算出する。たとえば、図3に示すように心
電誘導装置34により逐次検出される心電誘導波の周期
毎に発生する所定の部位たとえばR波から、プローブ3
8により逐次検出される光電脈波の周期毎に発生する所
定の部位たとえば立ち上がり点或いは下ピーク点までの
時間差(脈波伝播時間)DTRPを逐次算出する時間差算
出手段を備え、その時間差算出手段により逐次算出され
る時間差DTRPに基づいて、予め記憶される数式1か
ら、被測定者の動脈内を伝播する脈波の伝播速度V
M (m/sec )を逐次算出する。尚、数式1において、L
(m)は左心室から大動脈を経て前記プローブ38が装
着される部位までの距離であり、TPEP (sec)は心電
誘導波形のR波から光電脈波の下ピーク点までの前駆出
期間である。これらの距離Lおよび前駆出期間TPEP
定数であり、予め実験的に求められた値が用いられる。
【0025】
【数1】VM =L/(DTRP−TPEP
【0026】循環情報算出手段72は、生体の心拍数H
Rに関連する心拍数情報、たとえば心拍数HR、心拍周
期RR、脈拍数、脈拍周期等を算出する心拍数情報算出
手段74と、生体の末梢部における容積脈波の面積に関
連する容積脈波面積情報を算出する容積脈波面積情報算
出手段76との少なくとも一方を含んで構成される。上
記生体の末梢部における容積脈波の面積に関連する容積
脈波面積情報には、たとえば、容積脈波の面積VP、そ
の容積脈波面積VPと心拍周期RRの逆数との積(=V
P/RR)として定義する容積脈波面積比VR、その容
積脈波面積比VRと脈波振幅Lとの積(=VR×L)と
して定義する振幅補正容積脈波面積比VR’、容積脈波
面積VPを心拍周期RRと脈波振幅Lに基づいて正規化
し、VP/(RR×L)なる演算が行なわれることによ
り求められる正規化脈波面積等が含まれる。たとえば、
プローブ38から入力される光電脈波は、図4に示すよ
うに、数ミリ或いは数十ミリ毎のサンプリング周期毎に
入力される光電脈波の大きさを示す点の連なりにより構
成されているので、その1周期RR内において光電脈波
を積分(加算)することにより光電脈波の面積VPが求
める。上記心拍数情報および容積脈波面積情報は、共に
血圧の変化に関連して変動する。すなわち、血圧の変化
は中枢側における心拍出量の変化、および末梢側におけ
る末梢血管抵抗の変化によって起こり、上記心拍数情報
は心拍出量を反映し、容積脈波面積情報は末梢血管抵抗
の大きさを反映するものである。
【0027】血圧値推定手段80は、予め記憶された関
係から、前記脈波伝播速度情報と心拍数情報および容積
脈波面積情報の少なくとも一方とに基づいて生体の血圧
値を推定する。たとえば、数式2に示される脈波伝播時
間DTRP、心拍周期RRおよび容積脈波面積比VRとの
間の予め記憶された関係から、脈波伝播速度情報算出手
段70で算出された実際の脈波伝播時間DTRP、心拍数
情報算出手段74で算出された実際の心拍周期RR、お
よび容積脈波面積情報算出手段76で算出された実際の
容積脈波面積比VRに基づいて、推定血圧値EBPを算
出する。
【0028】
【数2】 EBP=α(1/DTRP)+βRR+γVR+δ (α、β、γ は係数、δは定数)
【0029】係数決定手段82は、血圧値推定手段80
において推定血圧値EBPを算出するために用いられる
関係式の係数を、複数の血圧値レンジ毎に予め記憶され
た複数組の係数値から生体の実際の血圧値に対応する組
の係数値を選択することにより決定する。たとえば、後
述する血圧測定手段96においてカフ10を用いて測定
された血圧値を実際の血圧値として用い、上記複数の血
圧値レンジ毎に予め記憶された複数組の係数値からカフ
10を用いて測定された最高血圧値BPSYS に対応する
組の係数値を選択する。この場合、血圧値推定手段80
において推定される推定血圧値は最高血圧値の推定値す
なわち推定最高血圧値EBPSYS となる。なお、上記最
高血圧値BPSYS に代えて最低血圧値BPDIA 或いは平
均血圧値BPMEANに対応する組の係数値が選択された場
合は、血圧値推定手段80において推定最低血圧値EB
DIA 或いは推定平均血圧値EBPMEANが算出される。
【0030】図5は、上記係数決定手段82において用
いられる複数の血圧値レンジ毎に記憶された複数組の係
数値の一例を示す図である。図5においては、実際の血
圧値の40mmHg毎に1組のα、β、γが記憶されてい
る。通常は、血圧値が増加すると、時間差の逆数(1/
DTRP)は増加し、心拍周期RRおよび容積脈波面積比
VRは減少する傾向にあるので、図5において記憶され
る係数αは正、係数βおよびγは負の値となる。なお、
この複数の血圧値レンジ毎に予め記憶された複数組の係
数値(α、β、γ)および前記定数δは、カフ等により
測定された血圧値とその血圧値が得られたときの脈波伝
播時間DTRP、心拍周期RR、および容積脈波面積比V
Rとを含む多数人のデータから重回帰分析を用いて求め
られたものである。すなわち、前記数式2において、複
数の血圧値レンジ毎に、DTRP、RR、VRの3個の説
明変数(独立変数)とそれに対応する目的変数(従属変
数)としての推定血圧値EBPとを1組として、それを
4組以上用いて最小二乗法により求められたα、β、
γ、δの最良不偏推定値が記憶されて用いられる。
【0031】定数決定手段83は、係数決定手段82に
おいてカフ10により測定された血圧値を実際の血圧値
として用いて係数が決定された関係に、その関係に用い
られる情報、すなわち前記脈波伝播速度情報と心拍数情
報および容積脈波面積情報の少なくとも一方の、そのカ
フを用いた血圧測定時における値を代入して得られる推
定血圧値EBPと、そのカフを用いて測定された血圧値
とが一致するように、血圧値推定手段80において用い
られる関係式の定数項の定数を決定する。
【0032】警報判定手段として機能するアラーム判定
手段92は、生体の血圧に関連して変化する生体情報、
すなわち生体の血圧が変動した場合に変動する前記血圧
変動情報、心臓側において血圧を調節するために変動さ
せられる心拍数に関連する前記心拍数情報、末梢側にお
いて血圧を調節するために変動させられる末梢血管抵抗
を反映した前記容積脈波面積情報が予め設定された警報
範囲(ALL 〜ALH)を超えたか否かを判定する。上
記警報範囲(ALL 〜ALH )は、生体の血圧が緊急の
医療処置を必要とする危険域内か否かに基づいて定めら
れるものであり、一定範囲であってもよいし、前回のカ
フ10による血圧測定時における前記生体情報に対する
変化率或いは変化割合の所定範囲とされてもよい。
【0033】アラート判定手段94は、前記生体情報
が、前記予め設定された警報範囲内においてその警報範
囲(ALL 〜ALH )よりも狭い範囲に予め設定された
警戒範囲(ATL 〜ATH )を超えたか否かを判定す
る。すなわち上記警戒範囲(AT L 〜ATH )の最大値
(上限値)ATH および最小値(下限値)ATL は前記
警報範囲(ALL 〜ALH )の最大値(上限値)ALH
および最小値(下限値)ALL よりも生体の状態が安全
な状態に設定され、上記警戒範囲の最大値ATH は、前
記警報範囲の最大値ALH よりも所定値或いは所定割合
だけ低い値に設定され、上記警戒範囲の最小値AT
L は、前記警報範囲の最小値ALL よりも所定値或いは
所定割合だけ高い値に設定されている。
【0034】血圧測定手段96は、アラート判定手段9
4により前記生体情報が警戒範囲(ATL 〜ATH )を
超えたことが判定された場合、および所定の血圧測定周
期が到来した場合には、カフ10の圧迫圧力を変化さ
せ、その圧迫圧力の変化過程において発生する脈波の大
きさの変化に基づいて生体の血圧値を自動的に測定す
る。たとえば生体の上腕に巻回されたカフ10の圧迫圧
力を所定の目標圧力値PCM(たとえば、180mmHg程度
の圧力値)まで急速昇圧させた後に3mmHg/sec程度の速
度で徐速降圧させられる徐速降圧期間内において、順次
採取される脈波信号SM1 が表す脈波の振幅の変化に基
づきよく知られたオシロメトリック法を用いて最高血圧
値BPSYS 、平均血圧値BPMEAN、および最低血圧値B
DIA などを決定する。
【0035】表示手段98は、前記生体情報の時系列的
変化と警戒範囲(ATL 〜ATH )および警報範囲(A
L 〜ALH )を示すために、時間軸と上記生体情報或
いはその変化率を示す軸との二次元座標において、逐次
求められる上記生体情報或いはその変化率を時間軸に沿
って表示するとともに、上記警戒範囲(ATL 〜A
H )の境界を示す警戒ラインLAT、および警報範囲
(ALL 〜ALH )の境界を示す警報ラインLALを時間
軸に平行に表示する。また、前記生体情報が前記警戒ラ
インLAT或いは警報ラインLALを超えたことを示す予め
設定されたメッセージを文字または音声にて表示する。
【0036】情報記憶手段100は、血圧測定手段96
により測定された血圧値BPと、その血圧値BPが測定
された時、すなわち、カフ10による生体の所定部位の
圧迫時またはその圧迫圧力が開放された直後に、前記脈
波伝播速度情報算出手段70により算出された脈波伝播
速度情報と、循環情報算出手段72により算出された心
拍数情報および容積脈波面積情報の少なくとも一方とを
一組とする情報を、RAM33の図示しない所定の記憶
領域に記憶する。
【0037】関係修正手段102は、情報記憶手段10
0により記憶された多数組の情報を、最新の情報から順
に、少なくとも血圧値推定手段80による推定血圧値E
BPの推定に用いられる予め記憶された関係における係
数および定数の数よりも多く、且つ予め設定された所定
数以下用いて、重回帰分析により、その予め記憶された
関係の係数および定数を修正する。
【0038】上記のように、関係修正手段102におい
て用いる情報の数の最小数を制限するのは、以下に説明
する理由による。たとえば、血圧値推定手段80による
推定血圧値EBPの推定に前記数式2の関係が用いられ
る場合には、係数が3つ、定数が1つであるので、前記
情報記憶手段100により記憶された一組の情報を、最
新の情報から順に4組より多く、すなわち5組以上用い
て、重回帰分析により係数α、β、γおよび定数δを修
正する。数式2のように修正すべき係数および定数が4
つである場合には、前記情報記憶手段100により記憶
されている情報を4組用いれば、それら4つの係数およ
び定数は修正できるのであるが、それぞれの組に含まれ
る脈波伝播時間DTRP、心拍周期RR、容積脈波面積比
VRは、呼吸のタイミング或いは不整脈などの生体の状
態の変動、またはアーティファクト等、血圧の変動と関
係ない原因によるばらつきを含んでいる。従って、情報
記憶手段100により記憶されている4組の情報により
数式2の関係を修正すると、それら血圧の変動と関係な
い原因によるばらつきの影響を受けてしまう。しかし、
それら生体の状態の変動やアーティファクトによる脈波
伝播時間DTRP、心拍周期RR、および容積脈波面積比
VRの変動は、統計的には、血圧と、脈波伝播速度時間
DTRP、心拍周期RR、および容積脈波面積比VRとの
真の関係に対して偏ることなく分布しているため、情報
記憶手段100により記憶されている情報を5組以上用
いることにより、血圧の変動と関係ない理由によるばら
つきの影響が減少するのである。
【0039】また、関係修正手段102において用いら
れる情報の数の最大数、すなわち、上記予め設定された
所定数は、たとえば、20組、または、60分程度の一
定時間内に情報記憶手段100により記憶された組の数
に設定される。これは、血圧値BPと脈波伝播速度情報
との関係(例えば数式2の係数α)が一定である期間内
に、情報記憶手段100により記憶された情報(すなわ
ち、血圧測定手段96により測定された血圧値BPと、
脈波伝播速度情報算出手段70により算出された脈波伝
播速度情報と、循環情報算出手段72により算出された
心拍数情報および容積脈波面積情報の少なくとも一方と
を一組とする情報)をできるだけ用いて関係を修正する
ためである。情報記憶手段100により記憶されてから
比較的時間の経過した情報をも含めて関係を修正する
と、血圧値BPとその血圧値BPが測定された時の脈波
伝播速度情報との間の相関関係は短時間であれば高い相
関関係を示すが、時間が経過するとその相関関係が変化
するので、推定血圧値EBPの精度が低下してしまうの
である。
【0040】図6は、上記非観血連続血圧推定装置8の
電子制御装置28における制御作動の要部を説明するフ
ローチャートであって、推定血圧値EBP算出式決定ル
ーチンを説明するフローチャートである。図6におい
て、ステップSA1(以下、ステップを省略する。)で
は、図示しないフラグ、カウンタ、レジスタをクリアす
る初期処理が実行される。
【0041】続く脈波伝播速度情報算出手段70に対応
するSA2では、カフ昇圧期間において、心電誘導波形
のR波から光電脈波の立ち上がり点までの時間差TDRP
が算出された後、循環情報算出手段72に対応するSA
3乃至SA4が実行される。すなわち、心拍数情報算出
手段74に対応するSA3では、心電誘導波形のR波の
時間間隔から心拍周期RR(sec )が算出され、容積脈
波面積情報算出手段76に対応するSA4では、光電脈
波の1脈波分の面積VPをSA3で算出された心拍周期
RRで割ることにより容積脈波面積比VR(=VP/R
R)が算出される。
【0042】次いで、血圧測定手段96に対応するSA
5乃至SA7が実行される。まず、SA5では、切り換
え弁16が圧力供給状態に切り換えられ且つ空気ポンプ
18が駆動されることにより、血圧測定のためにカフ1
0の急速昇圧が開始され、続くSA6では、カフ圧PC
が180mmHg程度に予め設定された目標圧迫圧PCM以上
となったか否かが判断される。このSA6の判断が否定
された場合は、上記SA2以下が繰り返し実行されるこ
とによりカフ圧PC の上昇が継続される。
【0043】しかし、カフ圧PC の上昇により上記SA
6の判断が肯定されると、SA7において、血圧測定ア
ルゴリズムが実行される。すなわち、空気ポンプ18を
停止させ且つ切換弁16を徐速排圧状態に切り換えてカ
フ10内の圧力を予め定められた3mmHg/sec程度の緩や
かな速度で下降させることにより、この徐速降圧過程で
逐次得られる脈波信号SM1 が表す脈波の振幅の変化に
基づいて、良く知られたオシロメトリック方式の血圧値
決定アルゴリズムに従って最高血圧値BPSYS、平均血
圧値BPMEAN、および最低血圧値BPDIA が測定される
とともに、脈波間隔に基づいて脈拍数などが決定される
のである。そして、その測定された血圧値および脈拍数
などが表示器32に表示されるとともに、切換弁16が
急速排圧状態に切り換えられてカフ10内が急速に排圧
される。
【0044】続く情報記憶手段100に対応するSA8
では、上記SA2乃至SA6の繰り返しにおいて、最後
にSA2乃至SA4で算出された脈波伝播時間DTRP
心拍周期RRおよび容積脈波面積比VRと、上記SA7
において測定された最高血圧値BPSYS とが一組とされ
て、RAM33の図示しない所定の記憶領域に記憶され
る。
【0045】続くSA9では、上記SA8で記憶された
情報が、5組以上であるか否かが判断される。この判断
が否定された場合には、SA10乃至SA11におい
て、数式2の係数および定数の再決定が行なわれる。
【0046】まず、係数決定手段82に対応するSA1
0では、図5に示されるような血圧値レンジ毎に予め記
憶された複数組の係数値(α、β、γ)から、SA7に
おいて測定された最高血圧値BPSYS に対応する1組の
係数値が選択されることにより、推定血圧値EBPを算
出するために用いられる数式2の係数が決定される。
【0047】続く定数決定手段83に対応するSA11
では、数式2の右辺にSA2乃至SA4で算出された時
間差DTRP、心拍周期RRおよび容積脈波面積比VRを
代入した時に算出される値が、SA7において測定され
た最高血圧値BPSYS と一致するように定数δが決定さ
れる。たとえば、SA2乃至SA4において算出された
時間差DTRP、心拍周期RR、容積脈波面積比VRをD
RP0 、RR0 、VR 0 とすると、数式3に示される式
が得られる。すなわち、定数δは数式3を変形した数式
4により決定される。
【0048】
【数3】BPSYS =α(1/DTRP0 )+βRR0 +γ
VR0 +δ
【0049】
【数4】δ=BPSYS −{α(1/DTRP0 )+βRR
0 +γVR0
【0050】しかし、SA9の判断が肯定された場合に
は、関係修正手段102に対応するSA12において、
RAM33の図示しない記憶領域に記憶された多数組の
情報から、最新の情報から順に5組の情報を用いて、重
回帰分析により、数式2の係数α、β、γ、および定数
δが修正される。
【0051】図7は、前記非観血連続血圧推定装置8の
電子制御装置28における制御作動の要部を説明するフ
ローチャートであって、図6に示される推定血圧値EB
P算出式決定ルーチンに続いて実行される血圧監視ルー
チンを説明するフローチャートである。
【0052】まずSB1では、心電波形のR波および光
電脈波の一脈波分が入力されたか否かが判断される。こ
のSB1の判断が否定された場合はSB1が繰り返し実
行されるが、肯定された場合は、続く脈波伝播速度情報
算出手段70に対応するSB2、心拍数情報算出手段7
4に対応するSB3、および容積脈波面積情報算出手段
76に対応するSB4において、図6のSA2乃至SA
4と同様の処理がされることにより時間差TDRP、心拍
周期RR、および容積脈波面積比VRが算出される。
【0053】続く血圧値推定手段80に対応するSB5
では、SB2乃至SB4において算出された時間差DT
RP、心拍周期RR、および脈波面積比VRを用い、図6
のSA10乃至SA11において係数および定数が決定
された数式2から推定血圧値EBPSYS が算出される。
【0054】続く表示手段98に対応するSB6では、
図8に示されるように、表示器32の所定位置に表示さ
れる時間軸と推定最高血圧値EBPSYS 軸との二次元座
標において、SB5において算出された推定血圧値EB
SYS が時間軸に沿ってトレンド表示されるとともに、
警報範囲の最小値ALL を示す下側警報ラインLALL
および警報範囲の最大値ALH を示す上側警報ラインL
ATH が時間軸に平行に表示され、さらに、その下側警報
ラインLALL よりも上側に警戒範囲の最小値ATL を示
す下側警戒ラインLATL が時間軸に平行に表示され、上
側警報ラインL ATH よりも下側に警戒範囲の最大値AT
H を示す上側警戒ラインLATH が時間軸に平行に表示さ
れる。
【0055】続くアラーム判定手段92に対応するSB
9では、SB5で算出された推定血圧値EBPが、予め
定められた警報範囲(ALL 〜ALH )、たとえば図6
のSA7においてカフ10による血圧測定された後、S
B5において最初に算出される推定血圧値EBPを基準
として、その推定血圧値EBPから下側へ30%変化し
た値として設定される警報範囲の最小値ALL を超えた
か否か、およびその推定血圧値EBPから上側へ30%
変化した値として設定される警報範囲の最大値ALH
超えたか否かが判断される。
【0056】上記SB9の判断が否定された場合には、
SB11の判断が直接的に実行されるが、肯定された場
合には、続く表示手段98に対応するSB10におい
て、推定血圧値EBPが警報範囲を超えたことを示す文
字或いは記号が表示器32に表示され、かつ図示しない
スピーカーから推定血圧値EBPが警報範囲を超えたこ
とを示す警報音或いはメッセージが出力される。
【0057】続くアラート判定手段94に対応するSB
11では、SB5で算出された推定血圧値EBPが警戒
範囲の最大値ATH または警戒範囲の最小値ATL を超
えたか否かが判断される。上記警戒範囲の最大値ATH
は、たとえば前記警報範囲の最大値ALH よりも15mm
Hg低い値に予め決定され、上記警戒範囲の最小値AT L
は、たとえば前記警報範囲の最小値ALL よりも15mm
Hg高い値に予め決定されている。
【0058】上記SB11の判断が肯定された場合は、
続く表示手段98に対応するSB13において、推定血
圧値EBPが警戒範囲を超えたことを示す文字或いは記
号が表示器32に表示され、かつ図示しないスピーカー
から推定血圧値EBPが警戒範囲を超えたことを示す警
戒音或いはメッセージが出力された後、図6の推定血圧
値EBP算出式決定ルーチンが実行されることによりカ
フ10による血圧測定が実行される。たとえば図8にお
いては、時間tATH の時点でカフ10による血圧測定が
実行される。従って、再び図7の血圧監視ルーチンが実
行され、SB9において推定血圧値EBPが警報範囲
(ALL 〜ALH )を超えたと判定される時点では、既
にカフ10による血圧測定が起動されているので、推定
血圧値EBPが警報範囲を超えたと判定される時点、た
とえば図8の時間tALH の時点でカフ10による血圧測
定を起動させる場合よりも、早期にカフ10による血圧
測定値が得られる。
【0059】しかし、上記SB11の判断が否定された
場合には、続くSB12において、図6の推定血圧値E
BP算出式決定ルーチンにおいてカフを用いて測定され
た前回の血圧測定から予め設定された血圧測定周期TB
が経過したか否かが判断される。この血圧測定周期TB
は、たとえば十数分乃至数十分に設定される。すなわ
ち、数式2の血圧値推定式の精度を重視する場合は、で
きるだけ血圧値BPと脈波伝播時間DTRPとの相関関係
が変化しない間に得られた情報に基づいて数式2の係数
を修正するために、比較的短い周期(十数分)に設定さ
れ、カフ10の圧迫による患者の負担の軽減を重視する
場合には、比較的長い周期(数十分)に設定される。
【0060】上記SB12の判断が否定された場合に
は、前記SB1以降が繰り返し実行され、肯定された場
合は、周期的に到来する血圧測定時期であるので、図6
の推定血圧値EBP算出式決定ルーチンにおいて、カフ
10を用いてオシロメトリック法により血圧測定が実行
され、且つ数式2の係数(α、β、γ)および定数δが
再決定される。
【0061】上述のように本実施例によれば、血圧値推
定手段80(SB5)により、推定血圧値EBPと脈波
伝播時間DTRP、心拍周期RRおよび容積脈波面積比V
Rとの予め記憶された関係(数式2)から、実際の時間
差DTRP、心拍周期RR、および容積脈波面積比VRに
基づいて推定血圧値EBPSYS が算出されることから、
推定血圧値EBPSYS に対して高い推定精度が得られ
る。すなわち、時間差DTRPのみに基づいて生体の血圧
値が推定される場合に比較して、生体の血圧値に関連し
て変化する心臓側のパラメータである心拍周期RRおよ
び生体の血圧値に関連して変化する末梢側のパラメータ
である容積脈波面積比VRがさらに用いられるので、推
定血圧値EBPSYS に対して推定精度が一層高められ、
カフ10を用いて測定された血圧値BPとの校正が頻繁
に行なわれる必要がない。
【0062】また、本実施例によれば、所定の血圧測定
周期TB 毎に、情報記憶手段100(SA8)により、
血圧測定手段96(SA7)で測定された最高血圧値B
SY S と、その血圧測定手段96(SA7)による血圧
測定時に脈波伝播速度情報算出手段70(SA2)によ
り算出された脈波伝播時間DTRPと、その血圧測定手段
96(SA7)による血圧測定時に循環情報算出手段7
2(SA3乃至SA4)により算出された心拍周期RR
および容積脈波面積比VRとが一組として記憶され、関
係修正手段102(SA12)により、その情報記憶手
段100(SA8)によって記憶された多数組の情報
を、最新の情報から順に5組用いて、重回帰分析により
数式2の係数α、β、γおよび定数δが修正される。す
なわち、血圧測定手段96(SA7)により測定された
最高血圧値BPSYS とその血圧測定時の脈波伝播時間D
RPとの対応が変化していない間の情報に基づいて、重
回帰分析により数式2の係数α、β、γおよび定数δが
修正されるので、数式2が、血圧測定毎のばらつきの影
響が好適に減少させられて、変動する患者の状態に適合
するように修正される。
【0063】また、本実施例によれば、前記数式2にお
いて、初期に用いられる係数α、β、γおよび定数δ
は、カフ10等により測定された血圧値と、その血圧値
が得られたときの脈波伝播時間DTRP、心拍周期RR、
および容積脈波面積比VRとを含む多数人のデータから
重回帰分析を用いて求められたものであるので、推定血
圧値EBPを得るための汎用可能な関係が得られる利点
がある。
【0064】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適
用される。
【0065】たとえば、前述の実施例の血圧値推定手段
80(SB5)において、推定血圧値EBPを算出する
数式2は、心拍数情報である心拍周期RRおよび容積脈
波面積情報である容積脈波面積比VRの双方が用いられ
ていたが、どちらか一方のみであっても、従来の血圧監
視装置に比較して推定精度が高められる。
【0066】また、前述の実施例では、推定血圧値EB
Pを算出する数式2において、時間差DTRP、心拍周期
RR、および容積脈波面積比VRは、それぞれ1次式で
あったが、2次以上であってもよいし、三角関数や対数
関数を含むものであってもよい。たとえば、数式5、数
式6に示すような式であってもよいのである。
【0067】
【数5】EBP=α(1/DTRP)+γVR2 +δ (α、γ は係数、δは定数)
【0068】
【数6】EBP=α(1/DTRP)+βlog(RR)
+γVR+δ (α、β、γ は係数、δは定数)
【0069】また、前述の実施例では、推定血圧値EB
Pを算出する式は数式2のみであったが、数式2におい
て用いられた係数と同様に、予め定められた血圧値レン
ジ毎に異なる式が用いられて推定血圧値EBPが算出さ
れるものであってもよい。
【0070】また、前述の実施例では、係数決定手段8
2に対応するSA10において、係数α、β、γの3つ
の係数の値が実際の血圧値に基づいて決定されていた
が、血圧の範囲によって推定血圧値EBPへの影響が異
なる係数の値のみが実際の血圧値に基づいて決定され、
その他の係数は一定値とされてもよい。
【0071】また、前述の実施例において、時間差DT
RPはR波から光電脈波の立ち上がり点までの時間差に基
づいて算出されていたが、心電波形のQ波から光電脈波
の立ち上がり点までの時間差を用いるなどの他の算出方
式が用いられる。
【0072】また、前述の実施例において、R波或いは
光電脈波の1拍毎に推定血圧値EBPが算出されていた
が、2以上の拍数毎に推定血圧値EBPが算出されるも
のであってもよい。
【0073】なお、本発明はその主旨を逸脱しない範囲
においてその他種々の変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である非観血連続血圧推定装
置8の回路構成を説明するブロック線図である。
【図2】図1の実施例における電子制御装置28の制御
機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図3】図1の実施例における電子制御装置28の制御
作動により求められる時間差DTRPを例示する図であ
る。
【図4】脈波面積VP等の容積脈波面積情報の算出方法
を説明する図である。
【図5】係数決定手段82において用いられる、血圧レ
ンジ毎に予め記憶された複数組の係数値を説明する図で
ある。
【図6】図1の実施例における電子制御装置28の制御
作動の要部を説明するフローチャートであって、推定血
圧値EBP算出式決定ルーチンを示す図である。
【図7】図1の実施例における電子制御装置28の制御
作動の要部を説明するフローチャートであって、血圧監
視ルーチンを示す図である。
【図8】表示手段98により表示される推定血圧値EB
Pのトレンドを例示する図である。
【符号の説明】
8:非観血連続血圧推定装置 70:脈波伝播速度情報算出手段 72:循環情報算出手段 74:心拍数情報算出手段 76:容積脈波面積情報算出手段 80:血圧値推定手段 82:係数決定手段 96:血圧測定手段 100:情報記憶手段 102:関係修正手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 成松 清幸 愛知県小牧市林2007番1 日本コーリン 株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−43147(JP,A) 特開 平9−220207(JP,A) 特開 平8−191805(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/02 - 5/0295

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体の循環器から非侵襲にて得られる情
    報から生体の動脈内血圧を推定するための非観血連続血
    圧推定装置であって、 前記生体の動脈における脈波伝播速度に関連する脈波伝
    播速度情報を検出する脈波伝播速度情報検出手段と、 前記生体の心拍数に関連する心拍数情報、および該生体
    の末梢部における容積脈波の面積に関連する容積脈波面
    積情報の少なくとも一方を算出する循環情報算出手段
    と、 予め記憶された関係から、前記生体の動脈における脈波
    伝播速度に関連する脈波伝播速度情報と、該生体の心拍
    数に関連する心拍数情報および該生体の末梢部における
    容積脈波の面積に関連する容積脈波面積情報の少なくと
    も一方とに基づいて、前記生体の血圧値を推定する血圧
    値推定手段と 所定の血圧測定周期毎に、前記生体の一部への圧迫圧力
    を変化させるカフを用いて該生体の血圧値を測定する血
    圧測定手段と、 該血圧測定手段により測定された血圧値と、該血圧測手
    段による血圧測定時に前記脈波伝播速度情報検出手段に
    より検出された脈波伝播速度情報と、該血圧測定手段に
    よる血圧測定時に前記循環情報算出手段により算出され
    た心拍数情報および容積脈波面積情報の少なくとも一方
    とを一組とする情報を記憶する情報記憶手段と、 該情報記憶手段により記憶された多数組の情報を、最新
    の情報から順に、少なくとも前記予め記憶された関係に
    おいて用いられる係数および定数の数よりも多く且つ予
    め設定された所定数以下の数用いて、重回帰分析により
    前記予め記憶された関係の係数および定数を修正する関
    係修正手段とを、含むことを特徴とする非観血連続血圧
    推定装置。
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