JP3568168B2 - 杭頭接続鉄筋の接合構造及びその杭頭接続鉄筋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接続鉄筋を介してプレストレストコンクリート杭とフーチングを接合する際に、プレストレストコンクリート杭の端部において、コンクリートと一体に設けられた杭頭端板に接続鉄筋を固着するための杭頭接続鉄筋の接合技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な杭頭接続鉄筋の接合技術には、ねじ式接合と溶接接合とがある。
【0003】
在来の雄ねじボルトを使用したねじ式接合は、ナット下端から一定長の非螺合部を形成する事なく、雄ねじを杭頭端板にある雌ねじに螺合し、雌ねじと同じねじタイプのナットを締め付けて固定する。
【0004】
溶接接合は、鉄筋を杭頭端板に現場溶接して固定する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術には、次のような問題点があった。
【0006】
ナット下端から一定長の非螺合部を形成しないねじ式接合では、ナット締め付け時にボルトの伸びる部分が無限小となる為、ナット締め付けによりねじ接合部に発生する軸力が大きくばらつく事となり、軸力の導入管理をした施工は非常に難しい。
【0007】
導入軸力を管理する事により、予め荷重を作用させたねじ部の強度確認が難しい。
【0008】
軸力の導入に伴うねじ接合部の剛性向上とゆるみ防止を図りにくい。
【0009】
溶接接合は、鉄筋雌ねじの取付けを現場溶接によっている為、強度の確認と品質管理が難しい。
【0010】
雌ねじが浅い場合では、ねばりのあるボルト軸部での破断ではなく、脆性的なねじ部での破壊が起こりやすく、破壊形式がボルト軸部の破断だけに一定せず、強度の信頼性が低い。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記従来技術が有する問題点を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、プレストレストコンクリート杭の端部に設けられた杭頭端板の雌ねじに対して、雄ねじ部を端部に有する接続鉄筋をほぼその全長に渡り螺入し、当該接続鉄筋の雄ねじ部に螺嵌したナットの締付けにより杭頭端板に固着する杭頭接続鉄筋の接合構造であって、前記ナットが、内周面の杭頭端板側に設けられた所定長さのねじ無し部で前記接続鉄筋の雄ねじ部との間に所定長さの非螺合部を形成し、その締付けにより、杭頭端板側のねじ接合部で固定状態にある当該接続鉄筋の非螺合部に張力を付加していることを特徴とするものである。
【0012】
この構成によれば、プレストレストコンクリート杭の端部に一体に設けられた杭頭端板の雌ねじに対して、杭頭端板の背面側に隣接して存在する杭本体としてのコンクリート層にその先端が近接するまで螺入され、杭頭端板とのねじ接合部において固定(回転不能)状態となっている接続鉄筋では、ナットの締付けにより非螺合部に張力が付加されるとともに、ナットの下端面が杭頭端板に当接して両者の間に接触圧が発生する。この状態で接続鉄筋を杭頭端板に固着するので、杭頭端板と接続鉄筋のねじ接合部分に生じる軸力が安定し、施工管理の点で好都合である。さらに、軸力が導入される事により、接合部分の剛性向上と緩み防止にも効果がある。
【0013】
なお、ナットのねじ無し部における壁面を外側に拡大し、接続鉄筋の雄ねじ部との間に十分な間隙が形成されるように設定すると好適である。
【0014】
また、本願の請求項2に係る発明は、プレストレストコンクリート杭の端部に設けられた杭頭端板の雌ねじに対して、ほぼその全長に渡り螺入される雄ねじ部を端部に有する接続鉄筋と、この接続鉄筋の雄ねじ部に螺嵌されるナットを備え、当該ナットの締付けにより接続鉄筋を杭頭端板に固着する杭頭接続鉄筋であって、前記ナットが、前記接続鉄筋の雄ねじ部との間に所定長さの非螺合部を形成し、その締付けにより、杭頭端板側のねじ接合部で固定状態にある当該接続鉄筋の非螺合部に張力を付加せしめる所定長さのねじ無し部を内周面の杭頭端板側に有することを特徴とするものである。
【0015】
上記構成によれば、端部に雄ねじ部を備える接続鉄筋は、プレストレストコンクリート杭の端部に一体に設けられた杭頭端板の雌ねじに対して、杭頭端板の背面側に隣接して存在する杭本体としてのコンクリート層にその先端が近接するまで螺入され、杭頭端板とのねじ接合部において固定(回転不能)状態となっている。そして、当該雄ねじ部に螺嵌されているナットを締め付けると、両者の間にはナットの下端面側から一定長の非螺合部が形成されることから、非螺合部分の雄ねじ部に張力が付加されるとともに、ナットの下端面が杭頭端板に当接して両者の間に接触圧が発生する。このような状態で接続鉄筋を杭頭端板に固着するので、両者のねじ接合部分に生じる軸力が安定して施工管理が容易になり、さらに接合部分の剛性向上と緩み防止効果が図られる。なお、請求項2に係る杭頭接続鉄筋において、接続鉄筋の雄ねじ部の基部側に、そのねじ径よりも小さい小径軸部を設けることにより、荷重が作用した時に雄ねじ部の上部側(基部)で破断するようになり、ねばりのある破壊制御が可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る杭頭接続鉄筋の接合構造及びその杭頭接続鉄筋について、図1に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るナット7および接続鉄筋8からなる杭頭接続鉄筋と杭頭端板5との接合部付近の断面図である。なお、図示はしないが、杭頭端板5の背面側にはプレストレストコンクリート杭の主体であるコンクリート層が存在している。ここで、接続鉄筋8は基部側に小径軸部9が形成された雄ねじ部3を一端側に有し、杭頭端板5に設けられた雌ねじ6に対して、その雄ねじ部3を図示のように奥に突き当たるまで螺入することにより螺着される。一方、ナット7は軸心方向のほぼ中央より杭頭端板側の内外周面が外側に張り出した拡底部4を有し、その内周面側がねじ無し拡大穴1(ねじ無し部)として形成されている。このナット7は、前記接続鉄筋8に螺嵌されたとき、ねじ無し拡大穴1の存在により、ナット拡底部4の下端から一定長の非螺合部2を形成して接続鉄筋8の雄ねじ部3に螺合する。そして、ナット7を締め付けると、杭頭端板5の背面側に存在するコンクリート層にその先端が当接し、杭頭端板5とのねじ接合部(螺合部分)において固定(回転不能)状態にある接続鉄筋8には、その非螺合部2にそれを引き伸ばすような張力が付加されると同時に、拡底部4の下端面と杭頭端板5との間に接触圧を発生させ、これにより接続鉄筋8と杭頭端板5とのねじ接合部分に軸力を導入した状態で接続鉄筋8を杭頭端板5に固着することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明に係る杭頭接続鉄筋の接合構造及びその杭頭接続鉄筋には、次のような特有の効果がある。
【0019】
ナット下端から一定長確保した非螺合部が、ナットの締付け時において、接続鉄筋の雄ねじ部の一部に伸び部を形成し、ナットの締付けにより杭頭端板とのねじ接合部に発生させる軸力を安定させる為、軸力の導入を管理した施工が可能となる。
【0020】
軸力を導入する事は、予め、ねじ接合部の荷重試験を実施する事であり、従って導入した軸力を管理する事でねじ接合部の強度試験が可能となる。
【0021】
軸力を導入する事により、ねじ接合部の剛性向上とゆるみ防止効果が図られる。
【0022】
接続鉄筋の雄ねじ上部をそのねじ径より細くする事により、荷重が作用した時にねじ部ではなく、必ず雄ねじ上部で破断する様なねばりのある破壊制御が可能となる。
【0023】
強度の確認と品質管理ができる。
【0024】
経済性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る杭頭接続鉄筋と杭頭端板との接合部付近の断面図である。
【符号の説明】
1…ねじ無し部、2…非螺合部、3…雄ねじ部、4…拡底部、5…杭頭端板、6…雌ねじ、7…ナット、8…接続鉄筋、9…小径軸部
Claims (3)
- プレストレストコンクリート杭の端部に設けられた杭頭端板の雌ねじに対して、雄ねじ部を端部に有する接続鉄筋をほぼその全長に渡り螺入し、当該接続鉄筋の雄ねじ部に螺嵌したナットの締付けにより杭頭端板に固着する杭頭接続鉄筋の接合構造であって、前記ナットが、内周面の杭頭端板側に設けられた所定長さのねじ無し部で前記接続鉄筋の雄ねじ部との間に所定長さの非螺合部を形成し、その締付けにより、杭頭端板側のねじ接合部で固定状態にある当該接続鉄筋の非螺合部に張力を付加していることを特徴とする杭頭接続鉄筋の接合構造。
- プレストレストコンクリート杭の端部に設けられた杭頭端板の雌ねじに対して、ほぼその全長に渡り螺入される雄ねじ部を端部に有する接続鉄筋と、この接続鉄筋の雄ねじ部に螺嵌されるナットを備え、当該ナットの締付けにより接続鉄筋を杭頭端板に固着する杭頭接続鉄筋であって、前記ナットが、前記接続鉄筋の雄ねじ部との間に所定長さの非螺合部を形成し、その締付けにより、杭頭端板側のねじ接合部で固定状態にある当該接続鉄筋の非螺合部に張力を付加せしめる所定長さのねじ無し部を内周面の杭頭端板側に有することを特徴とする杭頭接続鉄筋。
- 前記接続鉄筋の雄ねじ部の基部側にそのねじ径よりも小さい小径軸部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の杭頭接続鉄筋。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08781295A JP3568168B2 (ja) | 1995-03-08 | 1995-03-08 | 杭頭接続鉄筋の接合構造及びその杭頭接続鉄筋 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP08781295A JP3568168B2 (ja) | 1995-03-08 | 1995-03-08 | 杭頭接続鉄筋の接合構造及びその杭頭接続鉄筋 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08243862A JPH08243862A (ja) | 1996-09-24 |
JP3568168B2 true JP3568168B2 (ja) | 2004-09-22 |
Family
ID=13925396
Family Applications (1)
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JP08781295A Expired - Lifetime JP3568168B2 (ja) | 1995-03-08 | 1995-03-08 | 杭頭接続鉄筋の接合構造及びその杭頭接続鉄筋 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3568168B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009035867A (ja) * | 2007-07-31 | 2009-02-19 | Kiuchi Construction Co Ltd | 杭頭の接合構造及び杭頭の接合方法 |
-
1995
- 1995-03-08 JP JP08781295A patent/JP3568168B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009035867A (ja) * | 2007-07-31 | 2009-02-19 | Kiuchi Construction Co Ltd | 杭頭の接合構造及び杭頭の接合方法 |
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JPH08243862A (ja) | 1996-09-24 |
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