JP4071350B2 - 締付ボルト・ナットの緩め防止構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はボルト・ナットによる構造材の締め付け構造に関し、特に、締め付けられたボルト・ナットが第三者によって後から緩められるのを防止する構造に関する。
【0002】
【背景技術】
周知のように、例えば送電線のパイプ鉄塔等のような構造材においては、多数の締付ボルト・ナットを用いて2つの構造材を締め付け固定するのが普通である。
図8は従来のパイプ鉄塔の一部を示し、下部構造材X1 及び上部構造材X2 の対応端部にはフランジF1 ,F2 がそれぞれ形成され、取付孔Yを形成されたこれらのフランジF1 ,F2 間が多数の締付ボルト・ナットにより固定される。
【0003】
つまり、これらの締付ボルト・ナットは取付孔Yに挿入される締付ボルトBを備え、これらの締付ボルトBのねじ部bにはトルクレンチ等の締付工具により締付ナットNが略一定トルクで締め付けられ、これらの締付ボルト・ナットの締付力により下部構造材X1 と上部構造材X2 とが一体化される。
【0004】
ところで、このような構造材は、野外に設置されるので、第三者により締付ボルト・ナットがトルクレンチ等を用いて緩められる危険があり、このような締付ボルト・ナットの緩めや除去が行われると、構造材の倒壊の危険性がある。
勿論、このような締付ボルト・ナットが緩められる危険性は、締付ナットNの他に、ロックナットを締付ボルトBのねじ部に付設する場合にも生じるから、締め付けられた締付ボルト・ナットが後発的に第三者により緩められる危険性がないことが望まれている。
【0005】
また、このような締付ボルト・ナットの緩めによる構造物の倒壊の問題は、チャンネル鋼材等で構成される大型構造物、例えば大型橋梁、大型クレーンにおいても、第三者による緩め危害問題として問題視されつつある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、以上に述べたような従来の構造材に用いる締付ボルト・ナットの問題に鑑み、締め付け状態におかれたボルト・ナットが後発的に第三者により緩められることのない締付ボルト・ナットの緩め防止構造を得るにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、締付構造材に穿けられた取付孔に挿入されるねじ部をもつ締付ボルト及び同ねじ部にねじ込まれるナットで構成される締付ボルト・ナットにおいて、円筒形の外周面をもちかつ前記ねじ部に対応しためねじを内部に有する袋ナットで前記ナットを覆い、この袋ナットの底壁部の外部に締付工具を作用できる破断頭部を袋ナットと一体的に固定しておき、締付工具による一定以上のトルクの作用により袋ナットから破断頭部を破断させる締付ボルト・ナットの緩め防止構造を提案するものである。
【0008】
後述する本発明の好ましい実施例の説明においては、
1)前記破断頭部は前記底壁部と同一材料で一体的に成形される構造、
2)前記袋ナットの底壁部には角穴が形成され、前記破断頭部は、前記角穴に圧入できる圧入部をもつ形状として袋ナット本体とは別の材料で別体に成形される構造
が説明される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1から図7について本発明の実施例の詳細を説明する。
図1から図5は本発明の第1実施例による締付ボルト・ナットの緩め防止構造を示し、例えばパイプ鉄塔等のフランジである2つの締付構造材F1 ,F2 には貫通した取付孔1が形成され、この取付孔1に挿入される締付ボルト2とこの締付ボルト2のねじ部2aにねじ込まれるナットとにより、両締付構造材F1 ,F2 が互いに固定関係におかれる。
【0010】
第1実施例の場合、固定される締付構造材F1 ,F2 の間には取付孔1が形成され、同取付孔1に挿入される締付ボルト2のねじ部2aに締付ナット3及びロックナット4がねじ込まれるが、締付ボルト2の頭部2bの回転を抑えた状態として、これらの締付ナット3及びロックナット4がトルクレンチ等の締付工具で締め付けられる。
また、締付ボルト2のねじ部2aに対する締付ナット3及びロックナット4の締め付け状態においては、同ねじ部2aの一部がロックナット4の外部に露呈された状態にある。
勿論、第1実施例にあっては、締付ナット3の後発的な緩みをロックナット4の締め付けにより防止した構造であるから、ロックナット4自体の後発的な緩みがない場合は、ロックナット4は省略される。
【0011】
本発明によれば、前記締付ナット3及びロックナット4の外面は外周面を平滑な円筒面とされる袋ナット5Aで覆われ、全体をアルミニウム合金等の金属で製作する同袋ナット5Aの内部には、前記ねじ部2aに対応されためねじ6Aが形成される。即ち、詳細を図2及び図3に示された同袋ナット5Aは、一端を底壁部5aで閉塞された円筒形の周壁部5bを有するもので、この周壁部5bの外周面はトルクレンチ等の締付工具を作用できぬように平滑な円筒面とされる。
また、前記袋ナット5Aの内部には前記締付ナット3及びロックナット4を収容できる円筒空間7Aが形成され、前記底壁部5aの中心部には同円筒空間7Aに連続した前記めねじ6Aが形成してある。
【0012】
前記袋ナット5Aの底壁部5aの外部には一定トルクの付与により容易に破断する小径の首部8Aを介して6角形の破断頭部9Aが一体成形され、この破断頭部9Aにトルクレンチ等の締付工具を作用できる。
【0013】
第1実施例による締付ボルト・ナットの緩め防止構造は、以上のような構造であるから、締付ボルト2のねじ部2aに締付ナット3及びロックナット4を締め付けた後、同締付ナット3及びロックナット4を覆った状態としてねじ部2aに袋ナット5Aをねじ込むだけで、後発的に締付ナット3及びロックナット4が緩められるのが防止される。
まず、図4に示すように、締付構造材F1 ,F2 の取付孔1に締付ボルト2のねじ部2aを貫通状態におき、同ねじ部2aに締付ナット3及びロックナット4を締め付けることにより、両締付構造材F1 ,F2 は完全な固定関係におかれる。
この後、図5に示すように、締め付けられた締付ナット3及びロックナット4を包囲するように、締付ボルト2のねじ部2aに袋ナット5Aを被せると、ねじ部2aの先端に袋ナット5Aのめねじ6Aが対応されるから、同ねじ部2aにめねじ6Aをねじ込み・固定できる。この場合、袋ナット5Aの破断頭部9Aを利用して袋ナット5Aが締付ボルト2のねじ部2aに固定されるけれども、この締付工程では、破断頭部9Aにトルクレンチ等の締付工具を作用させるが、袋ナット5Aの端面が締付構造材F1 ,F2 の表面に当接して袋ナット5Aが完全に固定されると、締付工具からの過剰なトルク伝達により首部8Aが破断し、破断頭部9Aが袋ナット5Aから脱落する。
【0014】
よって、締付ナット3及びロックナット4を完全に覆った状態として、締付ボルト2のねじ部2aに袋ナット5Aを固定した締め付け状態では、破断頭部9Aが脱落された状態になるから、通常の締付工具では袋ナット5Aを回転できなくなるので、第三者による締付ナット3またはロックナット4の後発的な緩めを回避できる。
【0015】
図6及び図7は本発明の第2実施例で用いる袋ナット5Bを示し、この実施例の場合、袋ナット5Bは、例えば鋼材等の剛性の高い金属材料で構成される円筒形の袋ナット本体5Cと、破断荷重の小さなアルミニウム合金等で作られかつ前記袋ナット本体5Cの外面の角穴10に圧入部5dを圧入される破断頭5Dとからなる。
【0016】
即ち、平滑な外周面をもつ袋ナット本体5Cは、前述した袋ナット5Bと同様に、内部に円筒空間7Bを包囲する周壁部5bを有するもので、同周壁部5bに連続した底壁部5aの中心にはめねじ6Bが形成してある。また、同底壁部5aの外部には断面が非円形の角穴10が形成され、この角穴10には破断荷重の小さな金属で作る破断頭5Dの6角頭部5eが圧入される。
【0017】
この破断頭5Dは、前記角穴10の断面形状に対応させた圧入部5d及び締付工具を作用できる6角頭部5eを備え、この6角頭部5eと前記圧入部5dの間は、一定トルクの付与で容易に破断する首部5fで連結されている。
【0018】
第2実施例による締付ボルト・ナットの緩め防止構造の袋ナット5Bは、以上のような構造であるので、6角頭部5eにトルクレンチ等の締付工具を作用させることにより、締付ボルト2のねじ部2aに固定できるが、袋ナット5Bが完全に締め付けられると、破断頭5Dの圧入部5dを残して6角頭部5eが脱落するから、締付工具を作用できなくなる。
この締め付け状態にあっては、外部攻撃に対して安全な固い袋ナット本体5Cで締付ナット3及びロックナット4が保護されると共に、破断特性を与え易い軟質金属で破断頭5Dを構成できるから、緩め防止機能と”ブレイクアウエイ”機能とを両立できる。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、締付ボルトのねじ部にねじ込まれるナットが袋ナットで覆われ、この袋ナットの破断頭部が袋ナットの締め付け時に脱落されるので、締付構造材間を締結する締付ボルトとナットとの間が後発的に第三者により緩められる危険性を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による緩め防止構造の断面図である。
【図2】同緩め防止構造に用いる袋ナットの断面図である。
【図3】同袋ナットの上面図である。
【図4】同緩め防止構造の締結工程の断面図である。
【図5】同緩め防止構造の袋ナット取付工程の断面図である。
【図6】本発明の第2実施例の緩め防止構造に用いる袋ナットの断面図である。
【図7】同袋ナットの一部破断上面図である。
【図8】従来のパイプ鉄塔の要部の拡大斜視図である。
【符号の説明】
F1 ,F2 締付構造材
1 取付孔
2 締付ボルト
2a ねじ部
2b 頭部
3 締付ナット
4 ロックナット
5A,5B 袋ナット
5C 袋ナット本体
5D 破断頭
5a 底壁部
5b 周壁部
5d 圧入部
5e 6角頭部
5f 首部
6A,6B めねじ
7A,7B 円筒空間
8A 首部
9A 破断頭部
10 角穴
Claims (3)
- 締付構造材と、この締付構造材に穿けられた取付孔に挿入されるねじ部をもつ締付ボルトと、このねじ部にねじ込まれるナットと、このナットを覆う袋ナットと、を備えて構成される締付ボルト・ナットの締付構造であって、
前記締付ボルトは前記締付構造材を貫通して、そのねじ部には前記ナットがねじ込まれて締め付け固定され、前記ねじ部を有する前記締付ボルトの端部を外部に露呈させた状態とし、
前記袋ナットは、円筒形の外周面をもちかつ前記ねじ部に対応しためねじを内部に有し、その底壁部の外部に締付工具を作用できる破断頭部が前記袋ナットと一体的に固定され、
前記袋ナットで前記ナットを覆い、この袋ナットの内部のめねじを、露呈された前記締付ボルトの端部のねじ部にねじ込んで、前記締付工具による一定以上のトルクの作用により袋ナットから破断頭部を破断させて、前記袋ナットを前記締付ボルトの端部のねじ部に締め付け固定して前記ナットの緩めを防止する、ことを特徴とする締付ボルト・ナットの緩め防止構造。 - 前記破断頭部は前記底壁部と同一材料で一体的に成形されることを特徴とする請求項1記載の締付ボルト・ナットの緩め防止構造。
- 前記袋ナットの底壁部には角穴が形成され、前記破断頭部は、前記角穴に圧入できる圧入部をもつ形状として袋ナット本体とは別の材料で別体に成形されることを特徴とする請求項1記載の締付ボルト・ナットの緩め防止構造。
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- 1998-03-19 JP JP09089598A patent/JP4071350B2/ja not_active Expired - Lifetime
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