JP3566551B2 - 魚釣用スピニングリール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚釣用スピニングリールに関し、詳細には、釣糸繰り出し時に、ロータに対して制動力を付与する制動装置を組み込んだ魚釣用スピニングリールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、魚釣用スピニングリールとして、魚種や魚のファイト状況等に応じて、釣糸放出時にロータの回転に対して制動力を与える制動装置を組み込んだものがあり、この制動装置をリール取付脚に回動可能に支持された操作レバーによって駆動する構成が知られている。このような制動装置は、ロータを逆回転防止状態からフリー回転可能状態に切り換えなければ使用することはできないのであり、この切り換えを行なう手段として、例えば、実開昭60−5369号や特開平9−23790号には、前記操作レバーの引き上げ操作に連動させる技術が開示されている。
【0003】
前者の公報には、操作レバーの引き上げ操作で係止爪をバネ力に抗して逆転防止歯車から外して、ロータをフリー回転可能状態に切り換える構成が開示されており、後者の公報には、操作レバーの引き上げ操作に連動して係止爪を制御するアンチレバーシャフトを回転させ、係止爪を逆転防止歯車から外して逆回転防止状態からフリー回転可能状態に切り換える構成が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、公知の構成のスピニングリールでは、操作レバーに連動してロータの逆回転防止状態を自動的に解除できるので、釣状況等に応じて迅速な対応が可能となるが、釣り場の移動時等に不用意に操作レバーに触れたり、他物が当たったりして操作レバーが動いてしまうことがある。そして、その結果、ロータがフリー回転可能状態となってしまい、張力変化や糸縒れ、糸癖等の影響も加わって不必要に釣糸が繰り出されたり釣糸がバラケてしまったり、あるいは、糸絡みが発生する等の不具合が生じてしまう。
【0005】
この発明は、上記したような問題に着目してなされたものであり、ロータの制動状態を制御する操作レバーを有する魚釣用スピニングリールにおいて、ロータの逆回転防止状態を確実に維持できる魚釣用スピニングリールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の魚釣用スピニングリールは、リール本体に支持された操作部材の移動操作により、ロータの抵抗力付与状態から抵抗力解除状態に切り換え可能に構成されており、前記操作部材を作動状態と非作動状態に切り換える切換機構を備え、前記切換機構を介して前記操作部材の誤作動による前記ロータの抵抗力解除状態への切り換えを防止するようにしたことを特徴とする。
【0007】
上記した構成によれば、ロータの抵抗力付与状態(逆回転防止状態、弱制動維持状態)から抵抗力解除状態(フリー回転状態)への切り換えは、操作部材の移動操作によって行われる。そして、抵抗力付与状態にある操作部材は、切換機構を介して非作動状態に切り換えられると、接触等しても誤作動することがないため、不用意にロータの抵抗力付与状態が解除されることはない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図6は、本発明の第一の実施の形態を示す図である。魚釣用スピニングリール1は、リール本体1aと、リール本体1aから延出する脚部1bと、脚部1bの端部に形成され且つ図示しない釣竿に取り付けられる竿装着部1cとを有しており、前記リール本体1aの前方には、ロータ2が回転可能に設けられている。ロータ2は、釣糸巻取り位置と釣糸放出位置との間で回動するベール3を支持した一対のロータアーム2aを備えており、一方のロータアームには釣糸を案内する釣糸案内装置5が設けられている。各ロータアームの間には、釣糸が巻回されるスプール7が往復動可能に支持されており、リール本体1aに設けられたハンドル(図示せず)を回転操作することによって、前記スプール7が往復動されると共にロータ2が回転駆動される。
【0009】
ロータ2の回転に対して制動力を付与する制動装置は、図に示すように、脚部1bの中間位置に支軸8を介して回動可能に支持された操作レバー(操作部材)10を操作することによって駆動されるように構成されている。なお、この操作レバー10は、ロータ2の逆回転を防止する、いわゆる逆回転防止装置の切換機構としての機能も備えている。
【0010】
以下、上述したロータやスプール等の各部材の構成、並びに上記した制動装置及び逆回転防止装置の構成について詳細に説明する。
前記したハンドルが取り付けられるハンドル軸11には、ドライブギア13が取り付けられており、このドライブギア13には、ハンドル軸11に対して直交する方向に延在し且つ軸受け21を介して回転可能に支持された中空状のピニオンギア23(ピニオンを具備する軸)が噛合している。このピニオンギア23の先端部には、上記ベール3および釣糸案内装置5を備えたロータ2が一体的に取り付けられている。
【0011】
また、ピニオンギア23の内部には、ハンドル軸11と直交する方向に摺動可能に支持されたスプール軸19が挿通されており、スプール軸19の先端部には前記スプール7が着脱可能に取付けられている。前記ドライブギヤ13には、オシレーティング機構29が係合しており、ドライブギヤ13がハンドルの回転操作によって回転された時、スプール軸19を軸方向に沿って往復駆動する。すなわち、ハンドルを回転操作すると、オシレーティング機構29を介してスプール軸19に取り付けられたスプール7が前後に往復動するとともに、ドライブギア13およびピニオンギア23を介してロータ2が回転駆動し、スプール7には、釣糸案内装置5を介して釣糸が均等に巻回される。
【0012】
上述したように、本実施の形態における制動装置と、ロータ2の逆回転を防止する逆回転防止装置は、共に支軸8を介して脚部1bに回動可能に取り付けられた操作レバー10によって操作される。操作レバー10の一端部には指が引掛けられる操作部10aが形成されており、リール本体1a内に位置する他端部にはビス30を介して押圧プレート32が取り付けられている。押圧プレート32の端部には、後述する制動装置のブレーキシュー34を押圧する押圧部32aが形成されている。なお、操作レバー10は、図3の実線で示す位置が初期状態(ロータフリー回転可能状態)であり、この状態からイ方向に引き上げ操作されると、押圧部32aによってブレーキシュー34が押圧されて制動装置が働くとともに、操作レバー10がロ方向に押し下げ操作されると、図1に示すように、逆転防止装置が働くようになっている。
【0013】
上記押圧プレート32とリール本体1aのブラケットとの間には、操作レバー10を初期状態に常時保持する保持バネ(図示せず)が設けられている。したがって、操作レバー10を支軸8を中心にイ方向(時計回り)に引き上げ操作した後、その操作力を解除すると、保持バネの付勢力によって操作レバー10は初期状態に復帰される。
【0014】
前記ロータ2の逆回転に制動力を付与する制動装置は、一方向クラッチ40を介してピニオンギヤ23に取り付けられたブレーキロータ51と、このブレーキロータ51の表面にビスを介して取り付け固定された輪帯状の制動体43と、この制動体43を跨ぐように配され且つリール本体1aのフレーム1fに支持された圧接片45と、フレーム1fに移動可能に保持され且つ制動体43と圧接可能な方向に摺動する前記したブレーキシュー34とを備えている。
【0015】
前記一方向クラッチ40は、ピニオンギヤ23に対して回り止め嵌合された内輪40aと、内輪40aの外側に配された保持器(図示せず)と、保持器の外側に配された外輪40bとを有している。保持器は複数の転動部材40cを保持しており、各転動部材40cは保持器に設けられたバネ部材によって一方向に付勢されている。また、外輪40bの内周面には、各転動部材がフリーに回転できるフリー回転領域と、各転動部材の回転を阻止する楔領域とが形成されている。このような構成の一方向クラッチ40は以下の機能を有している。すなわち、ピニオンギア23とともに内輪40aが正回転する(ロータ2が糸巻き取り方向に回転する)と、保持器の転動部材が外輪40bのフリー回転領域に位置し、内輪40aの回転力が外輪40bに伝達されない。これに対して、ピニオンギア23とともに内輪40aが逆回転する(ロータ2が糸繰り出し方向に回転する)と、保持器の転動部材40cが外輪40bの楔領域に位置し、内輪40aの回転力がそのまま外輪40bに伝達される。
【0016】
前記外輪40bの外周には、図4に示すように、保持体50が圧入嵌合されており、この保持体50の外周にはブレーキロータ51が回転不能に嵌合されている。具体的には、保持体50の外周面には、周方向に沿って互いに所定の間隔で配置された複数の突出部50a…が形成されており、突出部50a間には、ブレーキロータ51からスプール軸19の軸方向に沿って延出する複数の延出部51aのそれぞれが嵌合している。すなわち、ブレーキロータ51は、保持体50の突出部50aと、その延出部51aとの噛み合いによって、保持体50に対して回転不能に嵌合されると共に、保持体50に対して軸方向に相対的にずれることが可能な状態となっている。
【0017】
一方向クラッチ40を介したピニオンギア23とブレーキロータ51との以上のような連結構造によれば、ブレーキロータ51と保持体50は、ピニオンギア23が逆回転(図4(a)矢印方向)した時にのみ、一方向クラッチ40を介してピニオンギア23(したがってロータ2)と直結されてロータ2と一体に回転する。
【0018】
前記ブレーキロータ51の裏面の周縁部には、周方向に互いに所定の間隔で配置された複数(例えば8個)の係合突部52が突出形成されている。各係合突部52には、ロータ2が逆回転した時に後述する係合爪53aを係合突部52間の隙間に案内するテーパ面52aと、係合突部52間の隙間に位置した係合爪53aと当接するストッパ面52bとが形成されている。
【0019】
一方、ロータ2には、ピン2dを介して回動部材53がブレーキロータ51側に向けて回動自在に支持されており、この回動部材は、ロータ2にブレーキロータ側に向けて突出形成された2つのボスによって各方向の回動が規制されるようになっている。回動部材53の一端には、前記係合突部52間の隙間に係合可能な係合爪53aが屈曲形成されると共に、その中央部においてU字状に切り込まれた溝53cが形成されており、この溝には、保持体50に抱き付くように巻回保持されたリーフスプリング57の端部が固定されている。
【0020】
ロータ2の逆回転を防止する逆回転防止装置は、前記操作レバー10の他端部に突出形成された作動体60と、フレームに設けられた支軸62に回動可能に支持され且つ作動体60によって回動される制御カム64と、リール本体1aのフレーム1fに移動可能に保持され且つ制御カム64の回動によって前記制動体43に向けて移動される係止爪66と、制動体43に形成され且つ係止爪66と噛み合う複数の係止溝43aとを備えている。この係止溝43aは、係止爪66が軸方向から挿入できるように、輪帯状の制動体43の輪帯部内側(径方向内方)に一定の間隔をおいて所定個数形成されており、係止爪66が進入することによって(図1,図2参照)制動体43の回転を阻止するように構成されている。
【0021】
上記制御カム64は、前記作動体60と当接する第1および第2の当接部64a,64bと、係止爪66と当接する第3の当接部64cとを有している。第1の当接部64aと第2の当接部64bとの間には、前記作動体60が位置され、また、第3の当接部64cは係止爪66の端部から側方に突出する突出部66aと当接している。制御カム64は、制御カム64とフレームとの間に設けられた振り分けバネ68によって回動方向に常時付勢されている。また、係止爪66は支軸62に巻回保持されたバネ69によって、制動体43の係止溝43aと噛み合う方向に常時付勢されている。
【0022】
上記構成では、操作レバー10が、図3に実線で示す初期状態に位置している場合、振り分けバネ68の付勢力(制御カム64に対しこれを図中反時計回りに回動させる方向に作用する)によって制御カム64の第1の当接部64aが作動体60に当接されるとともに、係止爪66の突出部66aと当接する第3の当接部64cがバネ69の付勢力に抗して係止爪66を制動体43から離間させた状態に保持する。また、操作レバー10が初期状態からロ方向に押し下げ操作されると、作動体60が振り分けバネ68の付勢力に抗して制御カム64を図中時計回りに回動させる。この時、振り分けバネ68は、制御カム64の回動に伴って移動し、そのデッドポイントを超えた時点で制御カム64に対しこれを時計回りに回動させる方向で付勢力を付与するようになる。したがって、その後、制御カム64は、作動体60によらず、振り分けバネ68の付勢力によって時計回りに回動することとなる。これにより、第1の当接部64aが作動体60から離間すると共に、第3の当接部64cが係止爪66の突出部66aから離間し、係止爪66がバネ69の付勢力により制動体43に向けて移動される。そして、制動体43の係止溝43aに係止爪66が噛み合い、第2の当接部64bが作動体60と当接した時点で制御カム64の回動が停止、保持される(図1、図2参照)。すなわち、係止溝43aと係止爪66との噛み合い状態が維持され、操作レバー10がロ方向に押し下げられたロータ逆回転防止状態が保持される。
【0023】
操作レバー10によって移動される押圧プレート32には、リール本対後方に向けて延出する延出部32bが形成されている。この延出部32bは、操作レバー10回動操作に伴い、上下方向に揺動する部分である。リール本体1a内には、この延出部32bと当接、非当接に切り換えられる切換機構(ロック手段)が設けられている。
【0024】
この切換機構は、図に示すように、リール本体の後面部から外部に突出して回動操作される切換レバー70を備えている。切換レバー70は、リール本体内に延出する支軸70aが2つの位置、すなわち、前記延出部32bと当接位置、非当接位置を取り得るように構成されており、具体的には、図1に示すように、操作レバー10が押し下げられた状態から引き上げ操作ができないように当接すると共に、図3に示すように、この当接状態を解除して操作レバー10を引き上げ操作できるように切欠かれている。すなわち、切換レバー70は、図5に示す位置(操作レバー10をロックして非作動状態とする位置;図2参照)と、図6に示す位置(操作レバー10のロックを解除して作動状態とする位置;図3参照)との間で切り換え操作できるように構成されている。
【0025】
次に、上記した構成のスピニングリール1の動作について説明する。なお、通常の使用状態では、上記した切換レバー70を図6に示す位置に回動しておく。まず、操作レバー10が図3の実線で示す初期位置に保持された状態で、ハンドルを介してピニオンギア23を正回転させると、ピニオンギア23に取り付けられたロータ2も一体的に正回転する(図4の時計方向;糸巻取り方向)。この時、ブレーキロータ51は、一方向クラッチ40の上記連結作用により回転しない。また、ロータ2に支持されこれと共に正回転する回動部材53は、リーフスプリング57の作用によってピン2dを中心に反時計方向に力を受けており、その一端部がロータ2の前記ボスに当て付いて、係合爪53aがブレーキロータ51の係合突部52から離間するように内側に退避されている(図4(b)参照)。したがって、回動部材53はブレーキロータ51に何等規制されることはなく、ロータ2と共に自由に回転する。よって、この状態で、操作レバー10をイ方向に引き上げ操作して、ブレーキシュー34と圧接片45との間で制動体43を挟圧しても、ロータ2には制動力が全く作用しない。
【0026】
また、操作レバー10が初期位置に保持された状態で、ロータ2が逆回転する(糸繰り出し方向に回転する)と、ブレーキロータ51およびこれに設けられた制動体43も一方向クラッチ40の上記連結作用によりロータ2と共に逆回転する。この状態で、操作レバー10をイ方向に引き上げ操作すると、ブレーキシュー34と圧接片45との間で制動体43が挟圧され、ブレーキロータ51の回転に制動がかけられる。この時、一方向クラッチ40を介してブレーキロータ51と直結状態で一体に回転するロータ2にも操作レバー10の回動量に応じた制動力が作用する。
【0027】
この場合、一方向クラッチ40によって、ロータ2に対しては、タイムラグが生じることなく、直ちに制動力が作用する。なお、ロータ2の回転力が一方向クラッチ40の許容荷重範囲内であれば、制動時においても、ロータ2とブレーキロータ51とは一体に回転する。したがって、ロータ2と一体に回転する回動部材53の係合爪53aはブレーキロータ51の係合突部52間に進入することはなく、ロータ2の回転力(例えば魚が引く力)は全て一方向クラッチ40により受けられる。
【0028】
しかし、ロータ2の回転力が一方向クラッチ40の許容荷重範囲を超えると、一方向クラッチ40が滑り、ブレーキロータ51に対してロータ2が回転し始める。これにより、ロータ2と一体回転している回動部材53は、リーフスプリング57の作用によってピン2dを中心に時計方向に力を受け、その一端部がロータ2の前記ボスに当て付いて、係合爪53aがブレーキロータ51の係合突部52間に係合するようになる。(図4(a)参照)。その結果、ロータ2とブレーキロータ51とが噛み合い、これらが一体となって逆回転する。したがって、その後、ブレーキロータ51にブレーキシュー34を介して作用する制動力は、一方向クラッチ40を介することなく、直接ロータ2に作用する。
【0029】
一方、操作レバー10を図3の実線で示す位置からロ方向に押し下げ操作すると、前述したように、作動体60を介して制御カム64が図中時計回りに回動される。これにより、第3の当接部64cも時計回りに回動され、これに当接している係止爪66の規制が外れ、係止爪はバネ69の付勢力により制動体43に向けて移動される。移動された係止爪66は、制動体43の係止溝43aに入り込み、これによって制動体43と一体となっているブレーキロータ51の回転が阻止される(逆回転防止状態)。したがって、この状態で、ハンドルを逆方向にまわしてピニオンギア23を逆回転させようとしても、一方向クラッチ40を介してピニオンギア23に直結されたブレーキロータ51の回転が阻止されているため、ロータ2が逆回転することはない。無論、この状態でピニオンギア23を正回転させれば、一方向クラッチ40を介してブレーキロータ51とピニオンギア23との直結状態は解除されるため、ロータ2は正回転することができる。なお、この逆転防止状態は、操作レバー10を引き上げ操作して、制御カム64を介して振り分けバネ68がデッドポイントを超えることにより自動的に解除される。
【0030】
上述したように、操作レバー10を押し下げて、逆回転防止状態としておいても、延出する操作レバー10に誤って接触すると、その逆回転防止状態は容易に解除される可能性がある。しかし、逆回転止状態において、上記切換レバー70を、図6に示す位置(図3参照)から図5に示す位置(図2参照)に回動させておくことで、操作レバー10の回動はロックされ、誤作動の発生を防止することができる。すなわち、逆回転防止状態は、切換レバーを図6に示す位置に回動しなければ解除されることはないため、実際の釣り場の移動時等において、ロータ2が不用意にフリー回転可能状態になることが確実に防止される。
【0031】
次に、図7乃至図13を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態では、前記実施の形態と同一の構成部材については同一の参照符号が付してある。
【0032】
上記した実施の形態では、ロック手段は、操作レバー10自体をロックするように構成されていたが、このロック手段は、以下のように操作レバー10とは独立して設けることも可能である。
【0033】
上述したように、輪帯状の制動体43の輪帯部内側には、一定の間隔をおいて所定個数(この構成例では8個;図10、図13参照)が形成されており、以下に詳述する切換レバー90の操作によって駆動される係止爪93cが中心部から進入して制動体43の回転を阻止するように構成されている。
【0034】
上記切換レバー90は、リール本体1aの下面から突出するように設けられている。切換レバー90の支軸90aの中央部分とリール本体のフレームとの間には、押圧バネ96が介在されており、切換レバー90を回動した際、それを2つの位置(図9、図12参照)で保持すると共に、その状態で径方向に動かないように規制している。また、支軸90aには、規制部90bが形成されており、押圧バネ96を抜け止めして支軸90aの軸方向の移動を規制している。また、支軸90aの端部にはボス90cが偏芯して形成されており、切換レバー90の上記回動操作によって、その位置が上下方向にシフトするように構成されている(図8、図11参照)。
【0035】
リール本体のフレームには、一端部において支軸93aを中心として回動可能な回動プレート93が支持されており、この回動プレートの中央部には、孔93bが形成されて、前記したボス90cが挿入されている。また、回動プレート93の他端部には、制動体43側に向けて前記した係止爪93cが屈曲形成されている。この係止爪93cは、ボス90cの動き、すなわち、切換レバー90の回動位置に応じて、制動体43に形成された前記係止溝43a内に位置したり(図8乃至図10参照)、この係止溝43aの回転軌跡から外れる位置(図11乃至図13参照)に移動するようになっている。
【0036】
以上のように構成された本実施の形態の魚釣用スピニングリールの動作について説明する。
ロータの逆回転釣りを行なう場合、上記した切換レバー90は、図12に示す位置に回動しておき、ロータ2をフリー回転可能状態にしておく(図11、図13参照)。そして、上述した第一の実施の形態と同様、図7に示す操作レバー10の初期位置から、操作レバー10をイ方向に引き上げ操作することにより、放出方向に回転するロータ2に対して所望の制動力を付与しながらの釣りが行なえる。また、釣り場の移動時等は、操作レバー10をロ方向に押し下げ操作することによって、ロータ2の逆回転は防止される状態となる。この状態で、上記したリール本体の下面から突出する切換レバー90を図9に示す位置に回動操作することにより、回動プレート93は、図8、図10に示すように、支軸93aを中心に、ボス90cを介して時計方向に回動され、係止爪93cが制動体43の係止溝43aに向けて入り込む。これによって、制動体43と一体となっているブレーキロータ51の回転が阻止される。したがって、この状態で、釣糸放出方向に負荷がかかったり、ハンドルを逆方向にまわしてピニオンギア23を逆回転させようとしても、一方向クラッチ40を介してピニオンギア23に直結されたブレーキロータ51の回転が阻止されているため、ロータ2が逆回転することはない。無論、この状態でピニオンギア23を正回転させれば、一方向クラッチ40を介してブレーキロータ51とピニオンギア23との直結状態は解除されるため、ロータ2は正回転することができる。
【0037】
以上のように、操作レバー10の操作と独立して駆動するようなロータ逆回転防止装置を設けたことにより、移動中に、操作レバー10に接触しても、誤作動が生じることはなく、ロータの逆回転を確実に防止することができる。なお、この実施の形態では、ロータの逆回転防止の操作を、切換レバー90のみで行なうことも可能である。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態のスピニングリールに限定されることはなく、種々変形することが可能である。例えば、上記した実施の形態の構成では、操作レバー10を押し下げ操作することにより、ロータの逆回転を完全に防止する構成としていたが、操作レバー10を押し下げ操作した際に、ロータ2の過回転が抑制できる程度の弱制動状態が維持できるような構成であっても良い。この場合、第一の実施の形態の構成によれば、弱制動状態を確実に維持しておくことが可能となる。
【0039】
また、上述したドラグ装置や逆転防止装置等の内部構造については、適宜変形することが可能であり、例えば、上述した実施の形態において、一方向クラッチ40は無くても良い。一方向クラッチが無い構成の場合、ロータ2が逆転方向に回転し、操作レバー10をイ方向に操作した際、図4(a)に示す回動部材53の係合爪53aがブレーキロータ51の係合突部52間に入り込むように構成することで、ロータ2に対して制動力を付与することが可能となる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の魚釣用スピニングリールによれば、ロータの制動状態を制御する操作レバーを有する構成において、操作レバーによってロータを抵抗力付与状態(逆回転防止状態、弱制動維持状態)にした際、ロック手段によってその状態を確実に維持できるため、誤作動等によって不必要に釣糸が繰り出されたり、張力変化及び糸縒れ、糸癖等の影響による釣糸のバラケ、糸絡み等の不具合が確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す図であり、ロック手段のON状態を示す図。
【図2】図1に示すスピニングリールの内部構造の拡大図。
【図3】操作レバーの初期状態及びロック手段のOFF状態を示す図。
【図4】一方向クラッチに取り付けられるブレーキロータを示す断面図であり、(a)はロータとブレーキロータが結合した状態を示す図、(b)はロータとブレーキロータが結合していない状態を示す図。
【図5】図1に示すスピニングリールをA方向から見た図。
【図6】図3に示すスピニングリールをB方向から見た図。
【図7】本発明の第2の実施を示す図であり、ロック手段のON状態を示す図。
【図8】図7に示すスピニングリールの内部構造の拡大図。
【図9】図7に示すスピニングリールをC方向から見た図。
【図10】(a)は、図8のI−I線に沿った断面図、(b)は、図8のII−II線に沿った断面図。
【図11】ロック手段をOFF状態にしたスピニングリールの内部構造の拡大図。
【図12】図11に示すスピニングリールをD方向から見た図。
【図13】(a)は、図11のIII−III線に沿った断面図、(b)は、図11のIV−IV線に沿った断面図。
【符号の説明】
1…魚釣用スピニングリール、1a…リール本体、1b…脚部、
1c…釣竿装着部、2…ロータ、3…ベール、5…釣糸案内装置、
7…スプール、10…操作レバー(操作部材)、70,90…切換レバー。
Claims (1)
- リール本体に支持された操作部材の移動操作により、ロータの抵抗力付与状態から抵抗力解除状態に切り換え可能とした魚釣用スピニングリールにおいて、前記操作部材を作動状態と非作動状態に切り換える切換機構を備え、前記切換機構を介して前記操作部材の誤作動による前記ロータの抵抗力解除状態への切り換えを防止するように構成したことを特徴とする魚釣用スピニングリール。
Priority Applications (1)
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