JP3008381U - 魚釣用スピニングリ−ル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 逆転可能状態時にハンドルから手を放しても
ローターが逆転せず、糸フケが発生しない魚釣用スピニ
ングリール。 【構成】 先端に制動部２を有しローター腕部５に径方
向に移動可能に支持した制動部材１を、ローター４の径
方向内側に付勢バネ３により付勢し制動部材１の制動部
２をスプール９の後部円筒部外周に当接して、逆転防止
切換スイッチ１５を切換えて逆転防止装置が逆転可能状
態の時にハンドルから手を放しても、制動部材１の制動
力によって不意にローター４が逆転することがないよう
にしたものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、魚釣用スピニングリールの逆転防止装置の逆転可能状態時における ローターの逆転を規制する制動機構に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の魚釣り用スピニングリールは、ローターの逆転方向の回転を阻止する逆 転防止装置を、逆転可能状態と逆転防止状態とに切り換える切換機構を有して、 実際の釣りの時には通常逆転防止装置を逆転防止状態にして、スプールあるいは リール本体に内蔵するドラグのスリップを利用して魚がかかった際の釣糸の衝撃 を和らげるようにしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来の魚釣用スピニングリールでは、逆転防止装置 を逆転可能状態にして、釣糸を繰出しながら魚の誘いや待ちを行う、いわゆるマ ッチフィッシング（欧米での呼称名、コイ釣り等に使用）あるいは逆転釣り（日 本呼称名、チヌ釣り等）の場合に、魚とのやりとりの時はハンドルを支えている ので問題ないが、誘いや待ちの時（ハンドルを握らない時）にハンドルノブ部の 重さや風等によってローターが不意に逆転した際、糸フケ等が発生しローター腕 部に糸がからまったり、メインシャフト部に糸が落ちてしまう等のトラブルが発 生する場合がある。

【０００４】 また、このような逆転釣りに用いるリールとしては、一方に牽引部を持ち他方 に制動部を持つレバーを有し、牽引部を操作してローターに制動をかける、レバ ーブレーキ型のスピニングリールがある。この型のスピニングリールは、実開昭 ５７−６９５７６号のようにローターに直接制動をかけるタイプと、実開平３− ５６３７０号のようにローター逆転時にローターと一体的に回転する制動体に制 動をかけるタイプのものが知られている。

【０００５】 これらレバーブレーキ型のリールはドラグが付いていない場合が殆どで、糸の 繰出し時にはローターを逆転させながら糸を繰出し、逆転防止装置は大抵逆転可 能状態で使用するので、ハンドルを握っていない時にローターが不意に逆転した りすると、この場合も糸フケ等が発生してローターの腕部に糸がからまったり、 メインシャフト部等に糸が落ちる等のトラブルが発生する。逆転防止状態と逆転 可能状態の切換操作中に、ハンドルから手を放している時にもこれと同様なトラ ブルが発生する。 更に、魚がかかった時急激に糸が繰出される際に、ローターが逆転方向へ急回 転し釣糸繰出し速度をローターの回転速度が上回ってしまう過回転時にも、糸フ ケ等の同様なトラブルが発生する。

【０００６】 依って、本考案の目的は、魚釣用スピニングリールの逆転防止装置を逆転可能 状態で使用する場合、ハンドルから手を放した時にローターが不意に逆転するの を防止して糸フケ等が発生しないようにした魚釣用スピニングリールを提供する ことにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、請求項１に係る考案は、ローターの逆転方向へ の回転を阻止する逆転防止装置を備え該逆転防止装置を逆転可能状態と逆転防止 状態とに切り換える切換装置を備えて成る魚釣用スピニングリールにおいて、先 端に制動部を有しローターの腕部に径方向に移動可能に支持した制動部材を前記 ローターの径方向内側に向けて付勢し該制動部材の制動部をスプールの後部円筒 部の外周に当接して、前記逆転防止装置が逆転可能状態の時のローターの逆転を 防止する構造としたことを要旨としている。 請求項２に係る考案は、ローターの逆転方向への回転を阻止する逆転防止装置 を備え該逆転防止装置を逆転可能状態と逆転防止状態とに切り換える切換装置を 備えて成る魚釣用スピニングリールにおいて、先端に制動部を有しローターの底 部に径方向に移動可能に支持した制動部材を前記ローターの径方向内側に向け付 勢し、ローター円筒部内側の凹部内のボディー前部に円筒部を設け該円筒部外周 に前記制動部材の制動部を当接せしめ前記逆転防止装置が逆転可能状態時のロー ターの逆転を防止する構造としたことを要旨としている。 請求項３に係る考案は、請求項１に示した考案において、リール本体に前記ロ ーターの逆回転に制動を掛ける制動レバーを設けたことを要旨としている。 請求項４に係る考案は、請求項２に示した考案において、リール本体に前記ロ ーターの逆回転に制動を掛ける制動レバーを設けたことを要旨としている。

【０００８】

【作用】

請求項１に係る魚釣用スピニングリールによれば、先端に制動部を有しロータ ーの腕部に径方向に移動可能に支持した制動部材をローターの径方向内側に向け て付勢し、該制動部材の制動部をスプールの後部円筒部の外周に当接するように したので、逆転可能状態の時にハンドルから手を放しても制動部材の制動力によ って、不意にローターが逆転することがなく糸フケが防止できると共に、スプー ル内部への糸落ちも防止できる。 請求項２に係る魚釣用スピニングリールによれば、先端に制動部を有しロータ ーの底部に径方向に移動可能に支持した制動部材をローターの径方向内側に向け て付勢し、ローター円筒部内側の凹部内のボディー前部に円筒部を設け該円筒部 外周に制動部材の制動部を当接せしめるようにしたので、逆転可能状態の時にハ ンドルから手を放しても制動部材の制動力がバランス良く作用して、不意にロー ターが逆転することがなく糸フケの発生を防止できる。 請求項３に係る魚釣用スピニングリールによれば、請求項１に示した制動部材 の作用に加えて、ローターの逆回転に制動を掛ける制動レバーを設けたので、ロ ーターの逆転に対してよりスムースに制動を掛けることができる。 請求項４に係る魚釣用スピニングリールによれば、請求項２に示した制動部材 の作用に加えて、ローターの逆回転に制動を掛ける制動レバーを設けたので、ロ ーターの逆転に対してよりスムースに制動を掛けることができる。

【０００９】

【実施例】 以下、本考案を添付図面に基づいて説明する。 図１〜図３は、魚釣用スピニングリールにつき本考案の第１実施例を示してい る。 図１は本発明の第１実施例に係る魚釣用スピニングリールの一部断面側面図で ある。 図２は図１に示す実施例のＡ−Ａ線拡大断面正面図である。 図３は図２に示す実施例の要部拡大断面図である。

【００１０】 図１に示す実施例の魚釣用スピニングリールは、ハンドル軸１１によって回転 する駆動歯車１２に、ピニオン１３が噛合してローター４が連動回転するとと共 に、公知の摺動機構１４によってスプール軸１０が駆動されて、スプール９が前 後動する。 釣糸をスプール９に巻き取る巻取操作の場合は、公知の一方向クラッチ等で構 成する逆転防止装置（図示していない）を、逆転防止切換スイッチ１５を操作し て逆転防止状態に切換え、釣糸をベールアーム１６に取り付けたローラの案内に よりスプール９に巻き取る。 一方、釣糸を繰り出す時は、逆転防止切換スイッチ１５を逆転可能状態に切換 え、ローター４を逆転自在にして釣糸を繰り出すようにしている。

【００１１】 本実施例では更に、ローター４の一対の腕部５に、付勢バネ３によりローター ４の径方向内側に付勢される、制動部２を先端に備えた制動部材１を設けている 。 制動部材１は図２、図３にその詳細を示すように、ローター腕部５内に制動 部材１を支持するための支持空間６を形成し、支持空間６内のローターの径方向 内側には制動部材１の制動部２を突出保持する突出口６ａを開通し、ローター腕 部５にローターの径方向外側から装着する側板７側に付勢バネ３を固定する突起 ６ｂを形成している。

【００１２】 制動部材１は突出口６ａから突出させる部分の制動部２と、支持空間６内にス トッパー部１ａを有し、制動部２は先端がスプール９の円筒部外周の当接部８に 当接する円柱形等の形状に、支持空間６内のストッパー部１ａは径方向に移動可 能に摺接し、内部に挿入押接される付勢バネ３の付勢力により突出口６ａ側の壁 面（径方向内方）に当接せられる凹型のカップ形状で、全体の断面が略Ｔ型形状 に樹脂成型若しくは金属により形成したものである。

【００１３】 本実施例はこのように構成されているから、逆転防止切換スイッチ１５を逆転 可能状態側に切換え、ローター４を逆転自在にして釣糸を繰り出しながら魚の誘 いや待ちを行う場合、ハンドルから手を放した時にハンドルの重さや風等の外部 要因が加わりローター４が逆転しようとしても、制動部材１の制動部２が付勢バ ネ３の付勢力によりスプール９の円筒部外周に当接する制動力によって逆転が規 制されるので、ローター４が不意に逆回転することによって発生する、スプール ９に巻かれている釣糸の糸フケ、その糸がローター腕部５にからまり釣糸の操作 が不能になるような事故は防止される。

【００１４】 従って、逆転防止切換スイッチ１５を切換えるためにハンドルから手を放して 操作を行っても、糸フケ事故が発生する心配がないので操作性が安定する。また 釣糸の繰り出し速度をローター４の回転速度が上回る過回転の場合も、制動部材 １の制動力によって減速され、急激な逆転状態から釣糸繰り出しが止まった時に 生ずる糸フケ等も防止される。又、巻取操作時にはバネ力に抗して遠心力が働く ため、制動部材１がスプール９の円筒部外周からはなれるので軽快な巻き上げが 可能となる。 また、制動部材１の制動部２によって、スプール９の円筒部とローター腕部５ の間の隙間も遮断されるので、釣糸が隙間からメインシャフト部分側に落ち込み 釣糸の操作が不能になるような事故は防止される。

【００１５】 この場合、制動部材１の制動部２がスプール９の円筒部の当接部８に当接して 発生する制動力の大きさは、釣糸の繰出し及び巻取り操作時のローター４の回転 速度に支障が無く、且つ逆転可能時のローター４の逆転を規制できる範囲に、付 勢バネ３の弾性力と制動部２とスプール９の当接部８の摩擦力を設定して決定さ れる。

【００１６】 次に、本考案の第２実施例について説明する。第２実施例は制動部材と制動レ バーを併用したスピニングリールの例である。 従来例の場合に述べたように、ローターに直接又はローターと一体回転する制 動体にレバーブレーキを掛ける制動レバーの構成それ自体は公知であるが、これ に上述の制御部材１を併用するように構成すれば、先ずローター４の回転の制動 を制動部材１の制動により与え、引き続いて制動レバー１８（図１）により制動 を行うためにブレーキ動作がスムースになり、効果的な制動が行える。

【００１７】 次に、本考案の第３実施例について説明する。 図４は本考案の第３実施例に係る魚釣用スピニングリールの要部断面側面図で ある。 図５は図４のＢ−Ｂ線断面正面図である。 第３実施例は、第１実施例が制動部材１をローター腕部５に設けたのに対し、 制動部材２０をローター底部２４に設けたものである。

【００１８】 ローター底部２４の腕部５の基部に一対の制動部材２０を支持し、付勢バネ２ ３を保持するための支持空間２２を形成し、支持空間２２内のローターの径方向 内側の壁面には制動部材２０の制動部２１を突出保持する突出口２２ａを開通し ている。 制動部材２０は、突出部分の制動部２１とストッパー部２０ａを有し、第１実 施例の制御部材１と同形状で同材質のものであり、その制動部２１は付勢バネ２ ３の付勢力で、ローター４の内側凹部２６内のボディー前部に設けた、円筒部２ ５の外周に当接するよう構成されている。

【００１９】 逆転防止切換スイッチ１５を逆転可能位置に切換え、ローター４を逆転自在に して釣糸を繰り出す場合、ハンドルから手を放した時にローター４が風等により 不意に逆転しようとしても、制動部２１がボディー円筒部２５の外周に当接して 制動が掛り逆転が規制されて、第１実施例と同様に糸フケ等は防止される。又、 制動がローター底部２４に設けた制動部材２０とボディー前部の円筒部２５の間 で作用するので、制動力の伝達がスムースでバランスの良い制動が行える。又、 遠心作用により軽快な巻き上げが可能となる。

【００２０】 次に、本考案の第４実施例について説明する。第４実施例は第２実施例と同様 な制動レバー１８と、第３実施例の制御部材２０を併用した例である。 この場合も、第２実施例と同様に制動部材２０による制動に続いて、制動レバ ー１８による制動が行えるのでスムースで効果的な制動作用が得られる。

【００２１】

【考案の効果】

以上説明したように、請求項１の考案によれば、先端に制動部を有しローター の腕部に径方向に移動可能に支持した制動部材をローターの径方向内側に付勢し この制動部材の制動部をスプールの後部円筒部の外周に当接するように構成した ので、逆転可能状態の時にハンドルから手を放しても不意にローターが逆転する ことが無く、ローターの回転が高速になる過回転の時等は減速されるので糸フケ が防止できると共に、スプール内部への糸落ちを阻止でき、巻取操作時には制動 部材に遠心力が作用し、円筒部から制動面が離れるので巻き上げ操作が軽快にな るという効果がある。 更に、請求項２の考案によれば、先端に制動部を有しローターの底部に径方向 に移動可能に支持した制動部材をローターの径方向内側に付勢し、ローター内側 凹部内のボディー前部に円筒部を設けこの円筒部外周に制動部を当接せしめるよ うに構成したので、逆転可能状態の時にハンドルから手を放しても不意にロータ ーが逆転することは無く、ローターの回転が高速になる過回転状態の時等は減速 されるので糸フケは防止されると共に、バランスの良い制動動作を行うことがで きる効果がある。又、ローターの底部に制動部材が収納されているので外観が損 なわれない利点がある。 更に、請求項３の考案によれば、請求項１に示した制動部材の作用に加えて、 制動レバーによる制動を行うように構成したので、請求項１の効果に加えてより スムースな制動動作を行える効果がある。 更に、請求項４の考案によれば、請求項２に示した制動部材の作用に加えて、 制動レバーによる制動を行うように構成したので、請求項２の効果に加えてより スムースな制動動作が行える効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例に係る魚釣用スピニングリ
ールの一部断面側面図である。

【図２】図１に示す第１実施例のＡ−Ａ線拡大断面正面
図である。

【図３】図２に示す第１実施例の要部拡大断面図であ
る。

【図４】本考案の第３実施例に係る魚釣用スピニングリ
ールの要部断面側面図である。

【図５】図４のＢ−Ｂ線断面正面図である。

【符号の説明】

１、２０ 制動部材 ２、２１ 制動部 ３、２３ 付勢バネ ４ ローター ５ ローター腕部 ６、２２ 支持空間 ７ 側板 ８ 当接部 ９ スプール １０ スプール軸 １１ ハンドル軸 １２ 駆動歯車 １３ ピニオン １４ 摺動機構 １５ 逆転防止切換スイッチ １６ ベールアーム １８ 制動レバー ２４ ローター底部 ２５ ボディー前部円筒部 ２６ ローター内側凹部

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ローターの逆転方向への回転を阻止する
   逆転防止装置を備え該逆転防止装置を逆転可能状態と逆
   転防止状態とに切り換える切換装置を備えて成る魚釣用
   スピニングリールにおいて、先端に制動部を有しロータ
   ーの腕部に径方向に移動可能に支持した制動部材を前記
   ローターの径方向内側に向けて付勢し該制動部材の制動
   部をスプールの後部円筒部の外周に当接して、前記逆転
   防止装置が逆転可能状態の時のローターの逆転を防止す
   る構造としたことを特徴とする魚釣用スピニングリー
   ル。
2. 【請求項２】 ローターの逆転方向への回転を阻止する
   逆転防止装置を備え該逆転防止装置を逆転可能状態と逆
   転防止状態とに切り換える切換装置を備えて成る魚釣用
   スピニングリールにおいて、先端に制動部を有しロータ
   ーの底部に径方向に移動可能に支持した制動部材を前記
   ローターの径方向内側に向け付勢し、ローター円筒部内
   側の凹部内のボディー前部に円筒部を設け該円筒部外周
   に前記制動部材の制動部を当接せしめ前記逆転防止装置
   が逆転可能状態時のローターの逆転を防止する構造とし
   たことを特徴とする魚釣用スピニングリール。
3. 【請求項３】 リール本体に前記ローターの逆回転に制
   動を掛ける制動レバーを設けたことを特徴とする請求項
   １記載の魚釣用スピニングリール。
4. 【請求項４】 リール本体に前記ローターの逆回転に制
   動を掛ける制動レバーを設けたことを特徴とする請求項
   ２記載の魚釣用スピニングリール。