JP2008095639A - 圧縮機用ダイアフラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐腐食性金属材料により形成された圧縮機用ダイアフラム3は、互いに対向する窪み4,5を有するガスプレート1とオリフイスプレート2により挟持されており、前記金属材料の平均結晶粒径d(mm)が下記(1)式を満足することを特徴とする。
1/d0.5 ≧ 15 (1)
【選択図】 図1
Description
このように、ダイアフラム3が作動油の力によって上下に変形することによって、ガスGを吸入、排出する。
1/d0.5 ≧ 15 (1)
金属材料の高サイクル疲労強度は、材料の引張強さ或いは硬さに比例することが古くから認められている。例えば、回転曲げ疲労においては、オーステナイト系ステンレス鋼では、疲労限度:σW、引張強さ:σB、ビッカース硬さ:HVとすると、それぞれ次の関係がある。(日本材料学界編:疲労設計便覧、養賢堂(1995)、p386. 参照)
そこで我々は、従来の高張力ステンレスばね材(SUS301)について、0⇒引張応力タイプの疲労試験を行った。その結果、表1のような結果を得た。
しかし、その後の塑性ループ点p2⇒点p3⇒点p4の変形では、エネルギの損失を伴う。このエネルギの一部が、材料の損傷に寄与すると考えられる。
このうち、最初の3つは再結晶温度以下でも変化を生じやすい。例えば、過剰に固溶した炭素は400℃程度で容易に炭化物を作るし、出来た炭化物は、再結晶温度以下でも時間と共に成長し、析出物の数を減少させ強化の効果を減少させる。また、転位も密度が高くなると、温度上昇と共にお互いに反応して消滅する。
オーステナイト系ステンレス鋼は、化学成分としては準安定オーステナイト系ステンレス鋼をベースとし、必要に応じ、Nb,Ti,Vから選ばれる1種以上を含有させ微細粒を安定化させている。また、組織としては回復未再結晶組織を含む混合組織とする。この理由は、最良の強度―延性のバランスが獲得されるためである。
C:
・Cの含有量は、0.01〜0.08質量%とする。Cは安価かつ有効な侵入型固溶強化元素の一つである。0.01質量%以上含有させると固溶強化の作用が発揮される。一方、上限値は、0.08質量%である。これは、Cは強力なγ安定化元素であり、過度の添加は必要となる加工誘起マルテンサイト(α´)変態を抑制してしまうことによる。また、熱処理においてCr23C6化合物に代表される粒界への粗大な炭化物の析出を招き、耐食性や加工性を劣化させるからである。C含有量の更に好ましい範囲は、0.02〜0.07質量%である。
Siの含有量は0.1〜2.0質量%とする。Siは有効な固溶強化元素である。下限値を0.1質量%以上としたのは、これにより高温強度を上昇させ、本発明の特徴である上述の混合組織の獲得が容易となるからである。上限値を2.0質量%としたのは、Siはフェライト(α)安定化元素でもあり、過度の添加は焼鈍時後に同相を残存するからである。Si含有量の更に好ましい範囲は、0.2〜1.8質量%である。
Mnの含有量は3.0質量%以下とする。Mnはγ安定化元素であり、他の元素とのバランスを考えて添加される。含有量を3.0質量%以下としたのは、過度に添加した場合、α´相が得られなくなることによる。また、介在物等を形成し、加工性や耐食性を劣化させる場合があるからである。Mn含有量の更に好ましい範囲は、2.6質量%以下である。
Crの含有量は10.0〜20.0質量%である。Crはステンレス鋼の基本合金元素の一つである。含有量を10.0質量%以上としたのは必要な耐食性を得るためである。上限値を20.0質量%としたのは、Crがα安定化元素であり、過度の添加は焼鈍後に同相の残存することによる。Cr含有量の更に好ましい範囲は13.0〜19.0質量%である。
Niの含有量は3.0〜12.0質量%である。Niもステンレス鋼の基本合金元素の一つであり、最も有効なγ安定化元素である。下限値を3.0質量%としたのは、室温で安定したγ相を得るために必要不可欠であることによる。上限値を12.0質量%としたのは、所定の範囲でα´変態を起こす必要があるからである。Ni含有量の更に好ましい範囲は、3.5〜11.5質量%である。
Nの含有量は、0.02〜0.25質量%である。NはCと同様に有効な侵入型固溶強化元素の一つであり、Cに比べてより高温まで化合物を形成すること無く固溶することができる。すなわち、本発明の主要な強化元素である。かかる観点から、下限値を0.02質量%とした。上限値を0.25質量%としたのは、過度に添加した場合、熱間での加工性を劣化させ、板の製造を阻害する虞があるからである。また、NはCと同様に強力なγ安定化元素の一つであり、α´変態を抑制することにもよる。N含有量の更に好ましい範囲は0.04〜0.20%で、更に好ましい範囲は0.08〜0.02%で、最も好ましい範囲は0.10〜0.20質量%である。
Nbの含有量は0.50質量%以下である。Nbは高温でも比較的安定かつ微細分散したNb化合物を析出して混合組織の獲得を容易にし、粒成長抑制により再結晶粒を微細化することができる。上限値を0.50質量%としたのは、過度の添加は粗大な化合物を形成し、材料の延性を低下させることによる。また、高価な物質であり、コストの観点からも上限値を設けた。Nbの更に好ましい範囲は、0.45質量%以下である。
Tiの含有量は、0.50質量%以下である。TiはNbと同様の効果を有すると考えられる。すなわち、Ti化合物の析出により混合組織の獲得を容易にし、再結晶粒を微細化することができる。更に、Nbよりも容易に化合物を形成すると考えられる。上限値を0.50質量%としたのは、過度の添加は粗大な化合物を形成し、材料の延性を低下させることによる。Ti含有量は更に好ましくは、0.45質量%以下である。
Vの含有量は0.50質量%以下である。VはNb、Tiと同様の効果を有する。すなわち、V化合物の析出により混合組織の獲得を容易にし、再結晶粒を微細化する。上限値を0.50質量%としたのは、過度の添加は粗大な化合物を形成し、材料の延性を低下させることによる。V含有量の更に好ましい範囲は、0.001質量%以上、0.45質量%以下である。
素材は一般的な工程に従い、溶製→熱間圧延→焼鈍後、冷間圧延と焼鈍を1回以上繰り返し、所定の板厚に加工するものとする。なお、同工程での最後の焼鈍は均質なγ相組織を得るため、1000℃以上で実施することとする。これ以降の工程は次の順序で実施する。
供試材の成分を表4に示す。供試材はNAR−301L鋼を使用し、熱間圧延、焼鈍後、冷間圧延と1100℃での焼鈍を繰り返し、厚さ1.9mmの薄板とした。
得られたステンレス鋼板は、平均粒径が2μmで、面積率で10%の未再結晶組織を有していた。
同材をダイアフラムに適用し、以降での調査に供した。
回転数:330rpmの水素圧縮機のダイアフラム(直径415mm、板厚0.4mm)は、従来、SUS316L(冷間仕上げ薄板)、SUS301(ステンレス鋼ばね材)などで作られていたが、殆どの場合1〜数週間で、割れが発生し、リークに至っていた。なお、このダイアフラムの平均結晶粒径は約0.008mm(8μm)である。
なお、このダイアフラムの平均結晶粒径は、0.00122mm(1.22μm)であり、前記結晶粒径の平方根の逆数(1/√d)は、28.6である。
図3(疲労強度とステンレス薄板の疲労強度に及ぼす結晶粒径の影響)における疲労データの近似曲線を書いてみると、図5の鎖線で示す様になった。
2 オリフイスプレート
3 ダイアフラム
4 ガスプレート側窪み
5 オリフイスプレート側窪み
Claims (4)
- 金属材料により形成された圧縮機用ダイアフラムであって、
前記金属材料の平均結晶粒径d(mm)が下記(1)式を満足することを特徴とする圧縮機用ダイアフラム。
1/d 0.5 ≧ 15 (1) - 前記金属材料が、オーステナイト系ステンレス鋼、又は、ニッケル基合金であることを特徴とする請求項1記載の圧縮機用ダイアフラム。
- 前記オーステナイト系ステンレス鋼が、回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織からなることを特徴とする請求項2記載の圧縮機用ダイアフラム。
- 前記平均結晶粒径dが、0.004mm〜0.001mmであることを特徴とする請求項1記載の圧縮機用ダイアフラム。
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