JP3578684B2 - 魚釣用スピニングリール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は魚釣用スピニングリールに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、魚釣用スピニングリールには、ロータの釣糸繰り出し方向への回転(逆回転)を防止する逆転防止装置が設けられている。この逆転防止装置は、切換機構の操作によって、作動状態(ロータ逆転防止状態;ON)と非作動状態(ロータ逆転可能状態;OFF)とに切換えられる。
【0003】
ところで、このようなスピニングリールは、掛かった魚を走らせながら釣るために、逆転防止装置がOFFに切換えられた(ロータが逆転可能状態に設定された)状態で使用される場合がある。しかしながら、この場合、掛かった魚が沖や根に向かって走ると、ハンドルやロータが高速で逆回転するため、直ちに巻き取り動作に移行することができず、また、走った魚が急に停止すると、ロータがオーバーランして、バックラッシュ現象(糸ふけ)等が生じる虞がある。
【0004】
そのため、スピニングリールの中には、ロータの逆回転に制動力を付与する制動機構を備えたものがある。この制動機構は、例えば、ロータの逆回転動作に連動して回転する制動板と、リール本体の脚部に設けられ且つ制動板に制動力を付与するブレーキレバーとを備えており、ブレーキレバーの操作によって制動板に所望の押圧力を付与してロータの逆回転に制動力を付与するようになっている。このような制動機構によれば、魚種、魚のファイト状況等、釣り状況に応じてロータの逆回転を制御することができるため、掛かった魚をトラブルなく捕り込むことが可能となる。
【0005】
また、スピニングリールの中には、スプールに制動力を付与しながらスプールの釣糸繰り出し方向への回転を許容する(スプールの回転力を制御する)ドラグ機構を備えているものもある。このようなドラグ機構によれば、前記逆転防止装置によってロータの逆転が防止されている状態でも、ドラグを調整することによってスプールの回転力を調整すれば、魚の急激な引き込みに対応することができる。すなわち、ドラグを利かせて、釣糸にかかる力をスプールの回転によって逃がし、釣糸をスプールから滑り出させることにより、ハリス切れや身切れによる魚のバレを防止できる。
【0006】
また、例えば実開昭62−99975号公報には、前記ドラグ機構の作動状態を切り換える切換機構が開示されている。この切換機構によって、ドラグ機構は、スプールに回転抵抗(制動力)が付与されるドラグ作動状態と、スプールに回転抵抗(制動力)が全く付与されずスプールが自由に回転し得るフリー状態との間で切り換えられる。また、前記切換機構は前記2つの状態を切り換えるための操作部を有しており、ハンドルが回転操作されると、その操作に連動して前記操作部が動作し、ドラグ機構がドラグ作動状態に切り換えられるようになっている。
【0007】
したがって、このような切換機構によれば、ドラグ非作動状態で魚信を待ち、当たりがあった後にドラグを作動状態にすれば、魚の餌の食い込みが良く、また、魚のやり取りをスムーズに行なうことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ドラグ機構にあっては、スプールに対するドラグ力をドラグ作動時に切り換えることが難しく、レバーブレーキのように制動力の微妙な調節をリニアに行なうことが難しい。したがって、ドラグ力の設定が弱いと、僅かな力でスプールが回転して釣糸が引き出されてしまい、魚を寄せることが難かしくなる。逆に、ドラグ力の設定が強いと、魚の急激な引きで糸切れや魚の身切れが発生し、魚をバラしてしまう虞がある。
【0009】
また、前記公報に開示されている切換機構は、ハンドルの回転操作によってドラグ機構がドラグ作動状態に復帰される構成であるため、瞬時の切換を行ないたい時に復帰がワンテンポ遅れてしまい、ロータの勢いある逆回転によって釣糸がバックラッシュを起こし易くなる。
【0010】
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、ロータの回転状態およびスプールの回転状態の切り換えを簡単且つスムーズに行なえるとともに、魚の急激な引き込みに対して釣糸を迅速且つ滑らかに繰り出して様々な状況に柔軟に対応できる魚釣用スピニングリールを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、リール本体に回転可能に支持されたロータと、リール本体に支持されたスプール軸に取り付けられ且つ前記ロータの回転によって釣糸が巻回されるとともにリール本体に対して回転可能なスプールと、スプールの回転に抵抗を与えるドラグ機構と、ロータの逆回転に制動力を付与する制動機構と、リール本体に設けられ且つ前記制動機構を作動させるための操作部材とを具備する魚釣用スピニングリールにおいて、前記操作部材によって作動され、ドラグ力の強弱切り換え、または、ドラグの作動・非作動の切り換えを行なう切換機構を具備することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0013】
図1〜図8は本発明の第1の実施形態を示している。図1および図2に示されるように、本実施形態の魚釣用スピニングリール1は、リール本体1aと、リール本体1aから延出する脚部1bと、脚部1bの端部に形成され且つ図示しない釣竿に取り付けられる竿取付部1cとを有している。リール本体1a内にはハンドル軸2が回転可能に支持されており、リール本体1aから突出するハンドル軸2の端部には図示しないハンドルが固定されている。
【0014】
ハンドル軸2にはドライブギア3が取り付けられており、このドライブギア3には、ハンドル軸2に対して直交する方向に延在し且つ軸受け11を介して回転可能に支持されたピニオンギア13が噛合している。このピニオンギア13の先端部には、ベール6および釣糸案内装置15を備えたロータ8が一体的に取り付けられている。
【0015】
また、ピニオンギア13の内部には、ハンドル軸2と直交する方向に摺動可能で且つ回転可能に支持されたスプール軸9が挿通されており、スプール軸9の先端部には釣糸が巻回されるスプール10が取付け固定されている。この場合、スプール10は、公知のフロントドラグ60をきつく締め付けることによって、スプール軸9に回転不能に取付け固定される。すなわち、スプール10はスプール軸9と一体で回転できるようになっている。
【0016】
また、ドライブギア3には、オシレーティング機構19が係合している。このオシレーティング機構19は、ドライブギア3と噛み合って回転するウォームシャフト19aと、ウォームシャフト19aの溝と噛み合い且つスプール軸9に対してその軸方向に移動不能に取り付けられたスライダ19bとからなり、ハンドル軸2が前記ハンドルの回転操作によって回転されると、スプール軸9を軸方向に沿って往復駆動する。
【0017】
このような構成では、前記ハンドルを回転操作してハンドル軸2を回転させると、オシレーティング機構19を介してスプール軸9に取り付けられたスプール10が前後に往復動するとともに、ドライブギア3およびピニオンギア13を介してロータ8が回転駆動する。したがって、スプール10には、釣糸案内装置15を介して、釣糸が均等に巻回される。
【0018】
また、リール本体1aには、ロータ8の逆回転に制動力を付与する制動機構と、ロータ8の逆回転を防止する逆転防止機構とが設けられている。これらの機構は、支軸7を介して脚部1bに回動可能に取り付けられた操作部材としての操作レバー5によって作動される。操作レバー5の一端部には指が引掛けられる操作部5aが形成されている。また、リール本体1a内に位置する操作レバー5の他端部には、ビス12を介して押圧プレート14が取り付けられている。押圧プレート14の端部には、後述する制動機構のブレーキシュー17を押圧する押圧部14aが形成されている。
【0019】
なお、後述するが、操作レバー5が図1に示す初期位置からA方向に押し上げ操作されると、押圧部14aによってブレーキシュー17が押圧されて制動機構が働くとともに、操作レバー5が初期位置からB方向に押し下げ操作されると、逆転防止機構が働くようになっている。また、押圧プレート14とリール本体1aとの間には、操作レバー5を初期位置に常時保持する引張りバネ16が設けられている。したがって、操作レバー5を支軸7を中心にA方向(時計回り)に押し上げ操作した後、その操作力を解除すると、バネ16の付勢力によって操作レバー5が初期位置に復帰される。
【0020】
図5および図6に拡大して示すように、ロータ8の逆回転に制動力を付与する制動機構は、一方向クラッチ20を介してピニオンギヤ13に取り付けられたブレーキロータ(回転体)31と、このブレーキロータ31の表面に取り付け固定されたリング状の制動体33とを備えている。
【0021】
図2および図3に詳しく示されるように、制動体33は、外側に位置する制動板(制動部)33Aと、内側に位置する逆転防止板(逆転防止部)33Bとからなる。制動板33Aはビス90を介してブレーキロータ31の表面に取り付け固定され、逆転防止板33Bはビス91を介してブレーキロータ31の表面に取り付け固定されている。この場合、制動板33Aの表面と逆転防止板33Bの表面は略面一になっている。また、制動板33Aと逆転防止板33Bは互いに異なった材料によって形成されている。すなわち、制動板33Aは、熱安定性が良好で且つ寿命が長く、しかも、ブレーキ鳴きの少ない材料、例えば青銅や燐青銅などによって形成されている。また、逆転防止板33Bは、耐衝撃性に優れ、硬度の高い材料、例えばステンレス鋼や炭素鋼などによって形成されている。
【0022】
また、リール本体1aのフレーム1fには、制動板33Aを跨ぐように配された圧接片35が支持されている。また、フレーム1fには、制動板33Aと圧接可能な方向に摺動する例えば木製のブレーキシュー17が移動可能に保持されている。
【0023】
一方向クラッチ20は、ピニオンギア13に対して回り止め嵌合された内輪21と、内輪21の外側に配された保持器27と、保持器27の外側に配された外輪25とを有している。保持器27は複数の転動部材27a(図3および図4参照)を保持しており、各転動部材27aは保持器27に設けられたバネ部材によって一方向に付勢されている。また、外輪25の内周面には、各転動部材27aがフリーに回転できるフリー回転領域と、各転動部材27aの回転を阻止する楔領域とが形成されている。このような構成の一方向クラッチ20は、ピニオンギア13とともに内輪21が正回転する(ロータ8が糸巻き取り方向に回転する)と、保持器27の転動部材27aが外輪25のフリー回転領域に位置され、内輪の21の回転力が外輪25に伝達されない。しかし、ピニオンギア13とともに内輪21が逆回転する(ロータ8が糸繰り出し方向に回転する)と、保持器27の転動部材27aが外輪25の楔領域に位置され、内輪21の回転力が外輪25に伝達される。
【0024】
外輪25の外周には保持体29が圧入嵌合されている。また、保持体29の外周にはブレーキロータ31が回転不能に嵌合されている。具体的には、保持体29の外周面には、保持体29の周方向に沿って互いに所定の間隔で配置された複数の径方向突出部29a…が形成されており、突出部29a,29a間には、ブレーキロータ31からスプール軸9の軸方向に沿って延出する複数の延出部31aのそれぞれが嵌合している。すなわち、ブレーキロータ31は、突出部29aと延出部31aとの噛み合いによって保持体29に対して回転不能に嵌合されるとともに、保持体29に対して軸方向にのみ移動できるようになっている。
【0025】
なお、ブレーキロータ31は、操作レバー5からブレーキシュー17を介して作用する押圧力が解除されると、図示しないバネの付勢力により保持体29に沿って軸方向に移動され、図1に示される初期位置に戻されるようになっている。
【0026】
一方向クラッチ20を介したピニオンギア13とブレーキロータ31との以上のような連結構造によれば、ブレーキロータ31と保持体29は、ピニオンギア13が逆回転した時にのみ、一方向クラッチ20を介してピニオンギア13(したがってロータ8)と直結され、ロータ8と一体に回転する。
【0027】
ブレーキロータ31の裏面の周縁部には、周方向に互いに所定の間隔で配置された複数(例えば8個)の係合突部40が突出形成されている。各係合突部40には、ロータ8が逆回転した時に後述する係合爪43aを係合突部40間の隙間に案内するテーパ面40aと、係合突部40間の隙間に位置した係合爪43aと当接するストッパ面40bとが形成されている。
【0028】
一方、ロータ8には、回動部材43がピン42を介してブレーキロータ31側に向けて回動自在に支持されている。回動部材43の一端には、係合突部40間の隙間に係合可能な係合爪43aが屈曲形成されている。また、ロータ8には、ブレーキロータ31側に向けて、回動部材43の各方向への回動を規制する2つのボスが突出形成されている。また、回動部材43にはU字状に切り込まれた溝43bが形成されており、この溝43bには、保持体29に抱き付くように巻回保持されたリーフスプリング45の端部が固定されている。
【0029】
図2に拡大して示されるように、ロータ8の逆転を防止する逆転防止機構は、操作レバー5の他端部もしくは押圧プレート14に突出形成された作動体50と、支軸52に回動可能に支持され且つ作動体50によって回動される制御カム54と、リール本体1aのフレーム1fに移動可能に保持され且つ制御カム54の回動によって制動体33の逆転防止板33Bに向けて移動される係止爪56と、逆転防止板33Bの内周面に形成され且つ係止爪56と噛み合う複数の係止溝33aとから成る。制御カム54は、作動体50と当接する第1および第2の当接部54a,54bと、係止爪56と当接する第3の当接部54cとを有している。第1の当接部54aと第2の当接部54bとの間には作動体50が位置され、また、第3の当接部54cは係止爪56の端部から側方に突出する突出部56aと当接している。制御カム54は、制御カム54とリール本体1aとの間に設けられた振り分けバネ58によって回動方向に常時付勢されている。また、係止爪56は、支軸52に巻回保持されたバネ57によって、逆転防止板33Bの係止溝33aと噛み合う方向に常時付勢されている。
【0030】
前記構成では、操作レバー5が図1に示される初期位置に位置している場合、振り分けバネ58の付勢力(制御カム54に対しこれを図中反時計回りに回動させる方向に作用する)によって制御カム54の第1の当接部54aが作動体50に当接されるとともに、係止爪56の突出部56aと当接する第3の当接部54cがバネ57の付勢力に抗して係止爪56を逆転防止板33Bから離間させた状態に保持する。また、操作レバー5が初期位置からB方向に押し下げ操作されると、作動体50が振り分けバネ58の付勢力に抗して制御カム54を図中時計回りに回動させる。この時、振り分けバネ58は、制御カム54の回動に伴って揺動するが、そのデットポイントを超えた時点で制御カム54に対しこれを時計回りに回動させる方向で付勢力を付与するようになる。したがって、その後、制御カム54は、作動体50によらず、振り分けバネ58の付勢力によって時計回りに回動することとなる。これにより、第1の当接部54aが作動体50から離間するとともに、第3の当接部54cに当接する係止爪56が逆転防止板33Bに向けて移動される。そして、逆転防止板33Bの係止溝33aに係止爪56が噛み合い、第2の当接部54bが作動体50と当接した時点で、制御カム54の回動が停止される。すなわち、係止溝33aと係止爪56との噛み合い状態が保持され、また、操作レバー5がB方向に押し下げられたロータ逆転防止位置に保持される。
【0031】
また、本実施形態のスピニングリール1には、スプール10に制動力を付与しながらスプール10の釣糸繰り出し方向への回転を許容する(スプール10の回転力を制御する)リヤドラグ方式のドラグ機構が設けられている。図1および図2に示されるように、このドラグ機構は、スプール軸9に取り付けられてリール本体1aのフレーム1fに圧接される略筒状の圧接部材62と、リール本体1aの後部に設けられ且つリール本体1aのフレーム1fに螺合されるドラグ調整ツマミ64と、圧接部材62とドラグ調整ツマミ64との間に配設された複数の摩擦板66と、摩擦板66とドラグ調整ツマミ64との間に介挿された圧縮バネ68とを備えている。この場合、圧接部材62は、スプール軸9に対して回転不能に取り付けられる(スプール軸9と一体に回転する)とともに、スプール軸9に対してその軸方向に相対的に移動できる。また、圧接部材62の外周面には、後述する切換機構の係止部材72が係止される複数の係止溝62aが周方向に沿って形成されている。
【0032】
このようなドラグ機構では、バネ68の付勢力に抗してドラグ調整ツマミ64が締込み操作される(ドラグ調整ツマミ64がフレーム1fに捩じ込まれる)と、その締込み力に応じた押圧力で、圧接部材62が摩擦板66によりリール本体1aのフレーム1fに圧接され、スプール軸9の回転が規制される(したがって、スプール軸9と一体で回転するスプール10の回転が規制される)。また、ドラグ調整ツマミ64が緩められると、その緩め具合に応じてスプール軸9すなわちスプール10の回転が許容される。
【0033】
また、本実施形態のスピニングリール1には、前記ドラグ機構の作動状態を切り換えるための切換機構が設けられている。この切換機構は、操作レバー5によって作動され、ドラグ機構によってスプール10の回転に抵抗力(制動力)を付与可能なドラグ作動状態と、スプール10の回転が阻止されてドラグ機能が働かないドラグ非作動状態とを切り換える。
【0034】
具体的には、切換機構は、支軸70に回動可能に取り付けられた係止部材72を有している。この係止部材72は、ドラグ機構を構成する圧接部材62の係止溝62aに係止される係止部72aを有している。また、係止部材72は、支軸70に巻回保持されたバネ71によって、係止部72aが係止溝62aに係止される回転方向に常時付勢されている。また、係止部材72には、支軸70に対して係止部72aと反対側に、逆転防止機構を構成する制御カム54と当接可能な当接部72bを有している。
【0035】
次に、前記構成のスピニングリール1の動作について説明する。
【0036】
まず、操作レバー5が初期位置に保持された状態(図1、図2、図7参照)では、制御カム54は、振り分けバネ58によって付勢されてその第1の当接部54aが作動体50と当接されており、係止部材72の当接部72bから離間されて係止部材72にこれを回動させる力を作用させない。そのため、係止部材72は、バネ71の付勢力によって、その係止部72aがドラグ機構を構成する圧接部材62の係止溝62aに係止された状態を維持する。したがって、圧接部材62の回転が阻止され、圧接部材62と回り止め嵌合するスプール軸9の回転が規制される。すなわち、スプール軸9に回転不能に取り付けられたスプール10の回転が阻止されてドラグ機能が働かないドラグ非作動状態に設定される。
【0037】
この状態で、ハンドルを介してピニオンギア13を正回転させると、ピニオンギア13に取り付けられたロータ8も一体で正回転する(糸巻き取り方向に回転する)。しかしながら、この時、ブレーキロータ31は、一方向クラッチ20の前記連結作用により回転しない。また、ロータ8に支持されこれとともに正回転する回動部材43は、リーフスプリング45の作用によって逆回転方向に力を受け、ピン42を中心に回動してその一端部がロータ8の前記ボスに当て付いて、係合爪43aがブレーキロータ31の係合突部40から離間するように内側に退避される(図6参照)。したがって、回動部材43は、ブレーキロータ31に何等規制されることなく、ロータ8とともに自由に正回転する。よって、この状態で、操作レバー5をA方向に押し上げ操作して、ブレーキシュー17と圧接片35との間で制動体33の制動板33Aを挟圧しても(この場合、ブレーキロータ31はブレーキシュー17による押圧力によって保持体29に沿って軸方向に移動する)、ロータ8には制動力が全く作用しない。また、この場合(操作レバー5をA方向に押し上げ操作した場合)、制御カム54は動作されないため、係止部72aと係止溝62aとの係止状態は維持される(ドラグ非作動状態に設定されたままである)。
【0038】
また、操作レバー5が初期位置に保持された状態で、ピニオンギア13が逆回転されると、ピニオンギア13に取り付けられたロータ8も一体で逆回転する(糸繰り出し方向に回転する)。この時、ブレーキロータ31も一方向クラッチ20の前記連結作用によりロータ8とともに逆回転する。したがって、この状態で、操作レバー5をA方向に押し上げ操作することにより、ブレーキシュー17と圧接片35との間で制動板33Aを挟圧し、ブレーキロータ31の回転に制動をかけると、ブレーキロータ31と直結状態で一体に回転するロータ8にも一方向クラッチ20を介して操作レバー5の回動量に応じた制動力がタイムラグを生じることなく作用する。この場合、一方向クラッチ20の外輪25の楔領域には、ブレーキロータ31に付与される制動力とロータ8の回転力とが互いに反対方向に作用するが、これらの力が一方向クラッチ20の許容荷重範囲内であれば、ロータ8とブレーキロータ31は互いに対して回転しない。つまり、制動時でもロータ8とブレーキロータ31とが一体に回転する。したがって、ロータ8と一体に回転する回動部材43の係合爪43aはブレーキロータ31と噛み合わず、ロータ8の回転力(例えば魚が引く力)は全て一方向クラッチ20により受けられる。しかし、外輪25の楔領域に作用する力(ロータ8の回転力およびブレーキロータ31に作用する制動力)が一方向クラッチ20の許容荷重を超えると、一方向クラッチ20が滑り、ブレーキロータ31に対してロータ8が回転し始める。これにより、ロータ8と一体で逆回転している回動部材43は、リーフスプリング45の作用によって正回転方向に力を受け、ピン42を中心に回動してその一端部がロータ8の前記ボスに当て付いて、係合爪43aがブレーキロータ31の係合突部40間に突出するようになる(図5参照)。その結果、ロータ8とブレーキロータ31とが噛み合い、これらが一体となって逆回転する。したがって、その後、ブレーキロータ31に作用する制動力は、一方向クラッチ20を介することなく、直接にロータ8に作用し、ロータ8の回転力(例えば魚が引く力)は全てブレーキロータ31により受けられる。
【0039】
また、操作レバー5がB方向に押し下げ操作されると(図8参照)、前述したように、作動体50を介して制御カム54が図中時計回りに回動される。これにより、第3の当接部54cに当接する係止爪56が逆転防止板33Bに向けて移動され、逆転防止板33Bの係止溝33aに係止爪56が噛み合ってブレーキロータ31の回転が阻止される(図3参照)。したがって、この状態で、ハンドルを介してピニオンギア13を逆回転させようとしても、一方向クラッチ20を介してピニオンギア13に直結されたブレーキロータ31の回転が阻止されているため、ピニオンギア13したがってロータ8は逆回転しない。無論、この状態でピニオンギア13を正回転させれば、一方向クラッチ20を介したブレーキロータ31とピニオンギア13との直結状態が解除されるため、ロータ8は正回転することができる。
【0040】
また、操作レバー5の押し下げ操作に伴って回転する制御カム54は、係止部材72の当接部72bと当接し、係止部材72を図中反時計回りに回動させて、係止部72aと係止溝62aとの係止状態を解除する。したがって、圧接部材62とスプール軸9とスプール10は、設定されたドラグ力で一体で回転することができる。すなわち、ドラグ機構によってスプール10の回転に抵抗力(制動力)を付与可能なドラグ作動状態に設定される。
【0041】
なお、操作レバー5を初期位置に戻すと、作動体50および振り分けバネ58によって制御カム54が図中反時計回りに回動され、制御カム54の第3の当接部54cと当接する係止爪56がバネ57の付勢力に抗して初期位置に戻される(図1参照)。これにより、逆転防止板33Bの係止溝33aと係止爪56との噛み合いが外れ、ブレーキロータ31の回転が可能となる。また、制御カム54が反時計回りに回動されると、係止部材72もバネ71の付勢力によって時計回りに回動され、係止部72aが係止溝62aに係止される。すなわち、ドラグ非作動状態に設定される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のスピニングリール1は、ロータ8の逆回転が防止されている状態で、常に、ドラグ作動状態に設定される。言い換えると、ドラグ非作動状態の時には、常に、ロータ8が逆転可能状態に設定される。したがって、ロータ8とスプール10のいずれか一方の回転によって、釣糸にかかる力を常に逃がすことができ、魚の急激な引きで糸切れや魚の身切れが発生して魚をバラしてしまうといったことを防止できる。
【0043】
一般に、操作レバー5がB方向に押し下げ操作されてロータ8の逆回転が防止されている状態で、急激な魚の引き込みがあった場合には、釣糸を迅速且つ滑らかに繰り出してハリス切れを防止することが重要である。特にハリスが細い場合には、釣糸の瞬時の繰り出し操作が要求される。しかし、実際には、魚信(魚の当たり)があってからロータ8が逆転可能状態に完全に切り換えられるまで、すなわち、操作者が魚の急激な引き込みに反応してB方向に押し下げられた操作レバー5を図1に示される初期位置に戻すまでには、若干のタイムラグがあるため、その間に仕掛けが魚の引きに耐え切れず、ハリス切れや魚の身切れで、魚がバレてしまう場合がある。また、仮に、タイムラグが短く、即座にロータ8を逆転可能状態に切り換えることができたとしても、釣糸にテンションがかかっている状態でいきなりロータ8が逆転を始めると、その反動で魚が針から外れたり、バックラッシュが生じてしまう場合がある。
【0044】
しかし、本実施形態のスピニングリール1によれば、操作レバー5の切換操作が完了してロータ8が逆転可能状態になるまでの間、ドラグ機構を利用して釣糸にかかるテンションを逃がすことができるため、前述した事態を回避できる。すなわち、ロータ逆転防止状態では、常に、ドラグ作動状態であるため、ロータ8の逆回転が防止されている状態で急激な魚の引き込みがあった場合には、操作レバー5の切換操作が完了してロータ8が逆転可能状態になるまでの間、釣糸にかかる力をスプール8の回転によって逃がし(釣糸をスプール8から滑り出させ)、操作レバー5が初期位置に戻ってロータ8の逆回転が可能になった段階で、今度は、操作レバー5をA方向に操作することにより制動機構を働かせて魚との微妙なやりとりに対応することができる。つまり、逆転防止状態で魚がかかった時にドラグを利かせてタイムラグによる不都合を回避し、ドラグによって釣糸が滑り出している時に操作レバー5によってロータ8の逆転防止状態を解除するようにすれば、スプール10による釣糸繰り出し状態からロータ8の逆回転に制動力を付与するブレーキ操作へとスムーズに移行でき、魚のバレを防止して掛かった魚をトラブルなく捕り込むことが可能となる。また、ドラグ機構の作用により、釣糸にテンションがかかった状態でロータ8が急に逆回転するといった事態を回避できるため、バックラッシュも防止できる。また、ロータ8の逆回転を制動している時、ドラグ非作動状態に設定されているため、ロータ8に制動をかけて釣糸の繰り出しを規制しているにもかかわらずスプール10の回転によって釣糸が繰り出されていくといった状態を防止できる。
【0045】
このように、本実施形態によれば、釣糸繰り出し時の制動力を様々な形で制御可能であるため、釣り人の好みに合わせて様々な設定が可能になる。また、単一の操作レバー5の切換操作のみで、ロータの逆転が防止され且つドラグが作動状態に設定される第1の状態と、ロータの逆転が可能で且つドラグが非作動状態に設定される第2の状態と、ロータの逆転に制動力を付与可能な第3の状態とを切り換えることができるため、ハンドルから手を放さないでも切換操作を容易に行なうことができる。
【0046】
また、本実施形態では、リヤドラグとは別にフロントドラグ60が設けられている。そのため、フロントドラグ60の締め付け状態を調整して、所定の力でスプール10がスプール軸9に対して回転できるようにしておくと、操作レバー5および切換機構は、前述したようにドラグの作動・非作動を切り換える機構というよりは、むしろ、ドラグ力の強弱切り換えを行なう機構として機能するようになる。
【0047】
すなわち、予め、フロントドラグ60側のドラグ力を強く設定(ドラグをきつく締め付ける)するとともに、リヤドラグ側のドラグ力を弱く設定(ドラグ調整ツマミ64の締め付け状態を軽くする)した状態では、操作レバー5が初期位置に保持されていると(操作レバー5がA方向に押し上げ操作されている場合も同様)、スプール軸9の回転は阻止されるが、スプール10は所定の力でスプール軸9に対し回転できる。この状態は、リヤドラグ非作動状態であると同時に、フロントドラグ作動状態(強ドラグ状態、あるいは、通常のフロントドラグ付きのスピニングリール)でもあり、スプール10は、フロントドラグ60側で設定された強いドラグ力を越える力が働いた時に回転できる。
【0048】
一方、操作レバー5がB方向に押し下げ操作されると、ロータ8の逆回転が防止されるとともに、スプール軸9の回転が許容され、スプール10はリヤドラグ側で設定された弱いドラグ力で回転することができる(リヤドラグ側で設定された弱いドラグ力を越える力がかかれば即座に回転する)。この状態は、リヤドラグ作動状態、すなわち、弱ドラグ状態である。
【0049】
図9は本発明の第2の実施形態を示している。図示のように、本実施形態において、スプール10は、フロントドラグを介することなく、スプール軸9に直接に固定されている。すなわち、スプール10はスプール軸9と一体で回転できるようになっている。なお、それ以外の構成は第1の実施形態と同一である。
【0050】
したがって、このような構成でも、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。ただし、フロントドラグ60が設けられていないため、切換機構は、
ロータ8の逆転制動による釣糸繰り出し状態時にドラグ力の強弱切換を行なうことができないが、ドラグによる繰り出しと、ロータ8の逆転による釣糸繰り出しとの両状態に切り換えること、すなわち、繰り出し方式を切り換えることが可能となる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の魚釣用スピニングリールによれば、ロータの回転状態およびスプールの回転状態の切り換えを簡単且つスムーズに行なえるとともに、魚の急激な引き込みに対して釣糸を迅速且つ滑らかに繰り出して様々な状況に柔軟に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るスピニングリールの断面図である。
【図2】図1のスピニングリールの拡大断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図4】図1のC−C線に沿う断面図である。
【図5】ロータ逆転時における図1のA−A線に沿う断面図である。
【図6】ロータ正転時における図1のA−A線に沿う断面図である。
【図7】操作レバーが初期位置に保持されている状態の要部断面図である。
【図8】操作レバーが押し下げ操作されている状態の要部断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るスピニングリールの断面図である。
【符号の説明】
1…スピニングリール
1a…リール本体
5…操作レバー(操作部材)
8…ロータ
10…スプール
62…圧接部材(ドラグ機構)
64…ドラグ調整ツマミ
72…係止部材(切換機構)
Claims (3)
- リール本体に回転可能に支持されたロータと、リール本体に支持されたスプール軸に取り付けられ且つ前記ロータの回転によって釣糸が巻回されるとともにリール本体に対して回転可能なスプールと、スプールの回転に抵抗を与えるドラグ機構と、ロータの逆回転に制動力を付与する制動機構と、リール本体に設けられ且つ前記制動機構を作動させるための操作部材とを具備する魚釣用スピニングリールにおいて、
前記操作部材によって作動され、ドラグ力の強弱切り換え、または、ドラグの作動・非作動の切り換えを行なう切換機構を具備することを特徴とする魚釣用スピニングリール。 - ロータの釣糸繰り出し方向への逆回転を防止する逆転防止機構を備え、
前記逆転防止機構が前記操作部材によって作動されることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。 - 前記リール本体には、釣竿に取り付けられる脚部が延設され、
前記操作部材は、前記脚部に回動可能に取り付けられたレバーからなり、脚部のスプール側に位置して牽引操作されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の魚釣用スピニングリール。
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