JP3564888B2 - フリップフロップ回路およびそのフリップフロップ回路を具備する同期型メモリ装置 - Google Patents

フリップフロップ回路およびそのフリップフロップ回路を具備する同期型メモリ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フリップフロップ回路に関し、ことにメモリ回路の信号読み出しに使われる微小差動入力の増幅に適したフリップフロップ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体メモリにおいて、メモリセルの信号はデータ線に読み出された後、列選択スイッチを介してコモンデータ線に読み出される。この時の信号レベルは数十mV〜数百mVと小さく、これを例えばTTLレベルまでに増幅して安定に読み出すためにはセンス増幅器とラッチ回路が必要になる。
【0003】
従来のセンス増幅器(差動入力増幅)回路と、その出力に接続されるフリップフロップ回路のブロック図を図5に、図5の回路の各部の動作タイミングを示す波形図を図6に示す。
図5において、101はセンス増幅器(差動入力増幅回路)、102および103はラッチ回路(102をマスターラッチ、103をスレーブラッチと呼ぶこともある)であり、ラッチ回路102と103で、フリップフロップ回路104を構成している。
【0004】
また図6において、(a)はセンス増幅器101の入力信号D、/D(ここで/Dは信号Dの差動対または否定を表す。他も同様である。)で、(b)はセンス増幅器101の出力信号SA、(c)はフリップフロップ回路104の制御クロック信号CLK、/CLK、(d)はフリップフロップ回路104の出力信号Qである。
【0005】
センス増幅器101の入力信号D、/Dの変化時刻からセンス増幅器101の出力信号SA信号の変化時刻までの時間をT1(センス増幅器101の応答時間)、SA信号の変化時刻からフリップフロップ104の制御クロック信号CLK、/CLKの変化時刻までをT2(フリップフロップ104のセットアップ時間)、フリップフロップ104の制御クロック信号CLK、/CLKの変化時刻からフリップフロップ104の出力信号Qの変化時刻までをT3(フリップフロップ4の応答時間)とすると、従来のセンス増幅器101とフリップフロップ104の組み合わせでは、入力データ信号D、/Dの確定からフリップフロップ104の出力信号Qの確定までT1+T2+T3の時間を必要としていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のごとく、従来のセンス増幅器とフリップフロップから構成される回路においては、入力データD、/Dの確定からフリップフロップの出力Qの確定までにセンス増幅器の応答時間とフリップフロップのセットアップ時間とフリップフロップの応答時間の和に相当する一定の時間が必要になる。
【0007】
本発明はこの点を解決して、入力データの確定からフリップフロップ回路の出力の確定までの時間を短縮して結果的に信号読みだし動作の高速化を図ることの可能なフリップフロップ回路の実現を課題とする。
また、このようなフリップフロップ回路を用いて動作を高速化した同期型メモリ装置の実現を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、マスターラッチとスレーブラッチとからなるフリップフロップ回路において、マスターラッチは、一方の入力が他方の出力に他方の入力が一方の出力に接続された1対の反転増幅手段と、前記1対の反転増幅手段の一方の電源端子と電源の間に設けられた第1のスイッチ手段と、前記1対の反転増幅手段の他方の接地端子と接地の間に設けられた第2のスイッチ手段と、前記微小差動入力信号の一方と前記1対の反転増幅手段の一方の入力端子との間に設けられた第3のスイッチ手段と、前記微小差動入力信号の他方と前記1対の反転増幅手段の他方の入力端子との間に設けられた第4のスイッチ手段とを具備して構成され、前記第1のスイッチ手段と前記第2のスイッチ手段を同時にオンすると共に、前記第3のスイッチ手段と前記第4のスイッチ手段を同時にオフし、前記第1のスイッチ手段と前記第2のスイッチ手段を同時にオフすると共に、前記第3のスイッチ手段と前記第4のスイッチ手段を同時にオンする制御を繰り返すことによって前記微小差動入力信号が増幅・保持されることを特徴とする。
【0009】
また、同期型のメモリ装置において上述のフリップフロップ回路を用いたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるフリップフロップ回路を添付図面を参照にして詳細に説明する。
図1は、本発明のフリップフロップ回路の一実施形態のブロック図である。図2は、図1に示すフリップフロップ回路の各部のタイミングを示す動作波形図である。
図1で、1は図5でのセンス増幅器101とラッチ回路102の機能を組み合わせたセンス増幅器、3は図5でのラッチ回路103に当たるラッチ回路(スレーブラッチ)である。センス増幅器1とラッチ回路3を組み合わせてマスタースレーブ型のフリップフロップ回路4を構成している。この回路の詳細については後述する。
【0011】
図2において、(a)はセンス増幅器1の入力である差動入力データ信号D、/D、(b)はフリップフロップ4の制御クロック信号CLK、/CLK、(c)はフリップフロップ4の出力信号Qである。
また、T4は差動入力データ信号D、/Dの変化時刻からフリップフロップ4の制御クロック信号CLK、/CLKの変化時刻までの時間、すなわちフリップフロップ回路4のセットアップ時間である。T3はフリップフロップ4の制御クロック信号CLK、/CLKの変化時刻からフリップフロップ4の出力信号Qの変化時刻までの時間、すなわちフリップフロップ4の応答時間である。
【0012】
ここで、フリップフロップ4の応答時間T3は、図6でのT3と基本的には同一である。このフリップフロップ4の応答時間すなわちフリップフロップ4の制御クロック信号CLK、/CLKの変化時刻からフリップフロップ4の出力信号Qの変化時刻までの時間T3は、スレーブラッチ3の構成によって決まる。
【0013】
ところで本発明の特徴は、以後に述べるようにマスターラッチの構成にあるものであり、スレーブラッチ3の構成は直接関係しない。したがってスレーブラッチ3に図5のスレーブラッチ103と同一の回路を用いるとすると、原理的にこのT3の値は同じ時間長になる。
したがって、図2のT4が図6のT1+T2よりも短ければ入力データの確定からフリップフロップの出力の確定までの全時間を短縮することができる。
【0014】
本発明において、重要な事項は、入力信号が微小振幅であるということである。従来は、この微小振幅の入力データ信号D、/Dをフリップフロップが扱える信号の振幅までセンス増幅器で増幅して処理するという考え方であった。本発明ではこの考え方を改め、センス増幅器が入力データ信号を増幅するために必要な時間を省いて、微小な入力信号を直接フリップフロップが受けるようにして高速動作を実現しようと考えている。
【0015】
図3に本発明のフリップフロップ回路の詳細回路図を示す。
図3において、1はセンス増幅器の機能を持ったマスターラッチであり、3はスレーブラッチであり、図1の1および3と対応している。
マスターラッチ1は、PMOSトランジスタ10〜14とNMOSトランジスタ15〜19から構成されている。スレーブラッチ3はトランジスタ等を用いた論理回路31〜36から構成されている。
【0016】
また、20、21はマスターラッチ1の入力端子であり、このフリップフロップ回路の入力端子である。
22、23はマスターラッチ1の内部端子であり、スレーブラッチ3の入力端子である。
【0017】
24、25はスレーブラッチ3の出力端子であり、このフリップフロップ回路の出力端子である。
26、27はこのフリップフロップ回路のクロック入力端子である。
【0018】
さらに、PMOSトランジスタ10、11、12とNMOSトランジスタ17、18、19はダイナミック型ランダムアクセスメモリ(DRAM)に良くみられるラッチ型センス増幅器である。
また、PMOSトランジスタ13とNMOSトランジスタ15、PMOSトランジスタ14とNMOSトランジスタ16はそれぞれCMOSスイッチを構成しており、ラッチ型センス増幅器に用いられるものと同一のクロックによって制御される。
【0019】
この回路の動作を図4のタイミングチャートにそって説明する。
図4において、(a)は入力端子20、21にかかる入力信号センス増幅器1の入力である差動入力データ信号D、/D、(b)はクロック入力端子26、27に入力されるフリップフロップの制御クロック信号CLK、/CLK、(c)は内部端子22、23に現れる信号、(d)は出力端子24、25に現れるフリップフロップの出力信号Qと/Qである。
【0020】
今、時刻t1で入力端子20、21にかかる入力信号が反転したとする。続いて、時刻t2にクロック入力端子26、27にクロックが入力される。この場合、入力端子20、21の入力信号は50mV〜200mV程度の振幅で充分に動作する。クロック入力端子26、27のクロック信号は通常のCMOSトランジスタで構成されたICでは、電源電圧Vccと接地電圧GNDとの間で切り替わり通常3〜5V程度の値である。
【0021】
次に時刻t2でPMOSトランジスタ13とNMOSトランジスタ15からなるCMOSスイッチとPMOSトランジスタ14とNMOSトランジスタ16からなるCMOSスイッチはクロックが反転するために導通(クローズ)状態から非導通(オープン)状態になる。
【0022】
この回路がメモリ素子に用いられている場合には、端子20および端子21にはコモンデータ線が接続されており、コモンデータ線は比較的大きな容量(キャパシタンス)成分を有している。しかし、CMOSスイッチが非導通(オープン)状態になると端子22からは端子20側の容量(キャパシタンス)成分がみえなくなり、端子23からは端子21側の容量(キャパシタンス)成分がみえなくなる。したがって、端子22および端子23の容量(キャパシタンス)負荷が小さくなる。
同時に電源Vcc側のPMOSトランジスタスイッチ10と接地側GND側のNMOSトランジスタスイッチ19が共に導通状態になる。
【0023】
この時、PMOSトランジスタ11とPMOSトランジスタ12のペアでは、端子22が端子23よりも僅かながら低いレベルにあるため、PMOSトランジスタ12が導通状態、PMOSトランジスタ11が非導通状態になる。したがって、電源VccはPMOSトランジスタ10とPMOSトランジスタ12を介して端子23をVccに押し上げる。
【0024】
一方、NMOSトランジスタ17とNMOSトランジスタ18のペアでは、端子23が端子22よりも僅かながら高いレベルにあるため、NMOSトランジスタ17が導通状態、NMOSトランジスタ18が非導通状態になる。したがって、接地レベルGNDはNMOSトランジスタ19とNMOSトランジスタ17を介して端子22を接地する。
【0025】
これによって内部端子23はVccに、内部端子22はGNDに一気に増幅される。増幅後のレベルはスレーブラッチ3のANDゲート31および32を充分動作させるレベルである。これにより、時刻t2よりもスレーブラッチが動作する時間だけ遅れた時刻t3にフリップフロップ回路の出力としての信号が端子24および端子25より出力される。
このような構成を用いたため、入力信号を増幅するに要する時間は入力信号をそのまま増幅する場合に比べて大幅に短縮することができる。
【0026】
このように、この実施形態では、マスターラッチ回路に、微小振幅の電圧信号をそのまま伝えるCMOSアナログトランジスタスイッチ(必ずしもCMOSでなければならないわけではない)と、現在DRAMに用いられているような増幅器とを組み合わせて、増幅器の動作開始とほぼ同時にCMOSスイッチを非導通にする回路構成を用いてアンプ動作の高速化を図った。これにより微小差動入力信号に適したフリップフロップを実現することができる。
【0027】
ところで半導体メモリにおいて、読みだし時にビツト線に取り出せる信号量は比較的小さく例えば数十mV〜数百mV程度の値である。これを検出して、増幅し保持するために、センス増幅器とラッチ回路が必要になる。一般にセンス増幅器の感度を上げようとすると動作速度が遅くなる。従来の半導体メモリでは高速性を重視するために、複数段の増幅器を従属接続するなどの方法が取られていて、これは半導体メモリの集積度の向上とは逆行する方向であった。
【0028】
ところが上述の本発明の実施形態のフリップフロップ回路を使用すると、同期型のメモリ装置で従来技術よりも少ない回路構成で動作速度を向上することができるので、高速性と集積度の向上とを同時に満足することができ産業上の利用価値が高い。
【0029】
本発明の実施形態のフリップフロップ回路は、さらに、半導体メモリ装置の入力回路等にも用いることができるのはいうまでもない。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1の発明は、マスターラッチとスレーブラッチとからなるフリップフロップ回路において、マスターラッチは、一方の入力が他方の出力に他方の入力が一方の出力に接続された1対の反転増幅手段と、1対の反転増幅手段の一方の電源端子と電源の間に設けられた第1のスイッチ手段と、1対の反転増幅手段の他方の接地端子と接地の間に設けられた第2のスイッチ手段と、微小差動入力信号の一方と1対の反転増幅手段の一方の入力端子との間に設けられた第3のスイッチ手段と、微小差動入力信号の他方と1対の反転増幅手段の他方の入力端子との間に設けられた第4のスイッチ手段とを具備し、第1のスイッチ手段と第2のスイッチ手段を同時にオンすると共に、第3のスイッチ手段と第4のスイッチ手段を同時にオフし、第1のスイッチ手段と第2のスイッチ手段を同時にオフすると共に、第3のスイッチ手段と第4のスイッチ手段を同時にオンする制御を繰り返すことによって微小差動入力信号を増幅・保持することを特徴とする。これにより、入力データの確定からフリップフロップ回路の出力の確定までの時間を短縮することができ、その結果、フリップフロップ回路の信号読みだし動作の高速化を図ることができる。また、信号増幅とともに入力回路がオープン状態になり、入力側の容量成分の影響を受けることなく信号増幅が行われるので回路動作が一層高速化され、かつ他の回路からの影響を少なくすることができる。
【0032】
本発明の請求項2の発明は、第1のスイッチ手段ないし第4のスイッチ手段のオンオフ制御は外部からのクロック信号によって行われることを特徴とする。これにより、フリップフロップ回路をメモリクロック等で動作させることができ、メモリ回路等への組み込みが可能になる。
【0033】
本発明の請求項3の発明は、同期型メモリ装置に請求項1又は請求項2のいずれかに記載されたフリップフロップ回路を用いることを特徴とする。これにより、同期型メモリ装置の一層の高速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフリップフロップ回路の一実施形態のブロック図。
【図2】図1に示すフリップフロップ回路の実施形態の各部の動作タイミングを示す波形図。
【図3】図1に示すフリップフロップ回路の実施形態の詳細回路図。
【図4】図3の詳細回路の各部動作タイミングを示す波形図。
【図5】従来のフリップフロップ回路のブロック図。
【図6】図5に示すフリップフロップ回路の各部の動作タイミングを示す波形図。
【符号の説明】
1……センス増幅器(マスターラッチ)、3……ラッチ回路(スレーブラッチ)、4……マスタースレーブ型のフリップフロップ回路、10〜14……PMOSトランジスタ、15〜19……NMOSトランジスタ、31〜36……論理回路、20、21……入力端子、101……センス増幅器、102、103……ラッチ回路、104……フリップフロップ回路。

Claims (3)

  1. マスターラッチとスレーブラッチとからなるフリップフロップ回路において、
    前記マスターラッチは、一方の入力が他方の出力に他方の入力が一方の出力に接続された1対の反転増幅手段と、前記1対の反転増幅手段の内の一方の電源端子と電源の間に設けられた第1のスイッチ手段と、前記1対の反転増幅手段の内の他方の接地端子と接地の間に設けられた第2のスイッチ手段と、前記微小差動入力信号の一方と前記1対の反転増幅手段の内の一方の入力端子との間に設けられた第3のスイッチ手段と、前記微小差動入力信号の他方と前記1対の反転増幅手段の内の他方の入力端子との間に設けられた第4のスイッチ手段とを具備し、前記第1のスイッチ手段と前記第2のスイッチ手段を同時にオンすると共に、前記第3のスイッチ手段と前記第4のスイッチ手段を同時にオフし、前記第1のスイッチ手段と前記第2のスイッチ手段を同時にオフすると共に、前記第3のスイッチ手段と前記第4のスイッチ手段を同時にオンする制御を繰り返すことによって前記微小差動入力信号を増幅・保持することを特徴とするフリップフロップ回路。
  2. 前記第1のスイッチ手段乃至前記第4のスイッチ手段のオンオフ制御は外部からのクロック信号によって行われることを特徴とする請求項1記載のフリップフロップ回路。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載されたフリップフロップ回路を具備することを特徴とする同期型メモリ装置。
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