JP3564577B2 - 導電性セラミックス - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、Zr−Y−Mn−Oで表される酸化物セラミックスからなる、導電性セラミックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Y2O3を8モル%含む安定化ZrO2焼結体は、導電性セラミックスとして知られている。また、Y2O3を8モル%含むZrO2へのMnO2の添加量を、MnのZrとYとMnとの合計に対する量で10モル%まで増加させて焼結し、Zr−Y−Mn−O系の酸化物セラミックスにして導電性を向上させる試みがなされている(T.Kawada、N.Sakai、H.Yokokawa and M.Dokiya、Solid State Ionics、53−56、418−25(1992))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
Y2O3安定化ZrO2として、Y2O3含有量を8モル%とするのは、導電性がもっとも高くなるからである。しかし、この導電性の高さは測定温度に昇温した時点におけるものであって、急速に劣化してゆく。たとえば、1000℃では、50時間で電気抵抗が1.5倍にも上昇する。これにMn化合物を添加してえられたZr−Y−Mn−O(Zr/Yモル比 5.75)で表される酸化物セラミックスは、Y2O3安定化ZrO2セラミックスよりもさらに導電性の高いものとなるが、導電性の経時的劣化性は改善されない。
【0004】
本発明は、このような欠点の改善された、すなわち、測定温度に昇温した時点における導電性が高いだけでなく、導電性が低下しにくい、Zr−Y−Mn−Oで表される酸化物セラミックスからなる導電性セラミックスの提供を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
Zr−Y−Mn−Oで表される酸化物セラミックスであって、ZrとYとMnとの合計に対するZrのモル分率をa、YのそれをbおよびMnのそれをcとしたとき、a/bは0.5〜4.5であり、かつ、cは0.02〜0.3である、導電性セラミックス
を要旨とするものである。
【0006】
本発明の導電性セラミックスにおいて、上記のa/bは0.5〜4.5でなければならず、とくに0.5〜3.5が望ましい。a/bを小さくするにつれ、そのセラミックスの導電率が低下し、いっぽう、大きくするにつれ、導電率は上昇するが、導電率の経時的安定性は低下するからである。また、cは0.02〜0.3(すなわち、a+bは0.7〜0.98)でなければならず、とくに0.05〜0.25(すなわち、a+bは0.75〜0.95)が望ましい。cが小さすぎると、上記セラミックスの導電率を向上させる効果が不十分であり、いっぽう、大きくするにつれ導電率を向上させる効果は高くなるが、その効果のcの大きさに対する比率は低下するからである。
【0007】
次に、本発明の導電性セラミックスの製造法について説明する。
【0008】
本発明の導電性セラミックス製造用の原料のZr化合物、Y化合物およびMn化合物は、ZrとYとMnとの合計に対するZrのモル分率をa、YのそれをbおよびMnのそれをcとしたときのa/bが0.5〜4.5、cが0.02〜0.3となる割合で使用し、Zr化合物とY化合物との混合粉末を700〜1350℃で仮焼し、得られた仮焼粉末とMn化合物を混合し、そのまま、または500℃〜1350℃で一度焼成して得られた粉末を成形し、1400〜1650℃で焼結することにより得られる。
【0009】
原料のZr化合物およびY化合物には特に制限はなく、Zr化合物としてはZrO2粉末、ZrOCl2粉末、ZrO(NO3)2粉末などが、Y化合物としてはY2O3粉末、YCl3粉末などが用いられる。これら2成分系混合粉末の作製法にも特に制限はなく、例えば秤量した原料粉末をエタノールなどの有機溶媒中でボールミルなどを用いて混合した後、有機溶媒を除去し、乾燥させる固相法や原料粉末を硝酸や塩酸に溶解した水溶液から沈殿を作製し、それを乾燥させる液相共沈法などをあげることができる。
【0010】
このようにして得られた混合粉末は、700℃〜1350℃、好ましくは、原料としてZrO2粉末またはY2O3粉末の少なくとも一方を用いた固相法の場合には1100℃〜1350℃、その他の場合には700℃〜1350℃で仮焼しなければならない。仮焼温度が低すぎるとZr化合物とY化合物の熱分解や固溶が十分に行われず、また高すぎると粒成長が著しくなるため仮焼粉末として好ましくない。仮焼時間には特に制限はないが、長時間仮焼すると粒成長が著しくなることがあるので、2〜10時間程度が好ましい。
【0011】
このようにして得られたZr−Y−Oで表される仮焼粉末へMn化合物を添加する方法には特に制限はなく、ボールミルなどにより混合すればよい。混合時間にも特に制限はないが、短時間では混合が不十分となり、長時間混合するとボール等からの不純物の混入が多くなるため、8〜48時間程度が好ましい。Mn化合物としては、MnO2などの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩などのいずれをも使用することができる。
【0012】
酸化物以外のもの用いる場合は、一度500〜1350℃で仮焼してMn化合物を熱分解させてから上記のZr−Y−Oで表される仮焼粉末に添加しなければならない。この温度が低すぎるとMn化合物の熱分解が不十分となり、また高すぎると粒成長が著しくなるため好ましくない。この熱分解時間には特に制限はないが、長時間熱分解を行うと粒成長が著しくなることがあるので、2〜10時間程度が好ましい。
【0013】
以上の仮焼により、安定化ZrO2相とYMnO3系相との混合相からなるものに転化する。原料のMn化合物として4価のMn化合物を使用すると、その少なくとも一部は酸素を放出して3価となり、いっぽう、2価のMn化合物を使用すると、その少なくとも一部は雰囲気の酸素と結合して3価となってYMnO3相を形成する。
【0014】
続いて3成分系粉末の成形を行う。成形方法としては、従来の方法を使用することが可能であり、例えば金型プレスを用いて、300〜1000kg/cm2で成形すればよい。必要に応じて更に静水圧プレスを1〜3t/cm2の圧力で行ってもよい。
【0015】
このようにして得られた成形体を1400℃〜1650℃で焼結する。焼結温度が1400℃未満であると、焼結体の緻密化が十分に進まず、焼結体内に取り残された空孔が粒界における抵抗を高め、結果として焼結体全体の導電率を低下させるので好ましくなく、焼結温度が1650℃を超えると、激しい粒成長が生じて粒界に空孔が多量に取り残され、焼結体のかさ密度をかえって低下させ、結果として焼結体全体の導電率を低下させるので好ましくない。焼結時間には特に制限はないが、長時間焼結すると粒成長が著しくなることがあるので2〜10時間程度が好ましい。
【0016】
このようにして得られた焼結体の両面にPt等の電極を焼き付け、従来の導電率の測定方法、例えば交流2端子法により複素インピーダンスを測定することにより導電率が求められる。
【0017】
【作用】
本発明の効果発現の機構については、未だ十分には解明されていないが、従来の技術の欄で示した組成範囲のZr−Y−Mn−O系セラミックスはZrO2相にY2O3だけでなく、Mn酸化物の全部が固溶した単相からなるものであるのに対して、本発明のセラミックスでは安定化ZrO2相に加えてYMnO3系相が生じることによって、新たな導電経路が生じて導電率が増大したものと考えられる。
【0018】
しかしながら、このような推測はなんら本発明を拘束するものではない。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のZr−Y−Mn−Oで表される酸化物セラミックスは、測定温度に昇温した時点における初期の導電性が高いだけでなく、導電性が低下しにくいので、電池、センサーなど各種電子材料への応用が期待される。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
実施例1〜4、比較例1〜5
ZrO(NO3)2・2H2O(キシダ化学製、純度99%)70.0g及びY2O3(添川理化学製、純度99.9%)所定量を秤量し、蒸留水600ml及び硝酸140mlの混合溶液に溶解して硝酸水溶液とした。この水溶液を5倍当量のアンモニア水中に滴下して沈殿を得た。
【0022】
得られた沈殿を洗浄し、乾燥した後、1000℃で5時間、大気中で仮焼した。比較例1、3および5では得られた仮焼粉末30.0gを、残りの例ではそれにMnO2(東ソー製)所定量を添加して、エタノール中においてボールミルにより24時間粉砕・混合し、80℃の湯浴中、エバポレータを用いてエタノールを除去した後、100℃で12時間乾燥して混合粉末を得た。
【0023】
得られた混合粉末を500kg/cm2の圧力で予備成形し、更に2t/cm2の静水圧により成形した後、1450℃で5時間、大気中で焼成して焼結体を作製した。(X線回折試験により結晶相を同定したところ、実施例1〜4および比較例2、4でえられた焼結体は、いずれも安定化ZrO2相とYMnO3系相との混合相であった。)
得られた焼結体を厚さ2mmに研削し、白金ペーストを塗布し、1000℃において電極焼き付け処理を施した後、交流2端子法(印加交流電圧:20mV、周波数:10Hz〜10MHz、大気中)により、800℃に加熱した時点の、および800℃における50時間経過後の複素インピーダンスを測定し、導電率を算出した。
【0024】
以上に示していない条件および結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
Claims (1)
- Zr−Y−Mn−Oで表される酸化物セラミックスであって、ZrとYとMnとの合計に対するZrのモル分率をa、YのそれをbおよびMnのそれをcとしたとき、a/bは0.5〜4.5であり、かつ、cは0.02〜0.3であることを特徴とする、導電性セラミックス。
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JP04844194A JP3564577B2 (ja) | 1994-03-18 | 1994-03-18 | 導電性セラミックス |
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JPH07257970A JPH07257970A (ja) | 1995-10-09 |
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- 1994-03-18 JP JP04844194A patent/JP3564577B2/ja not_active Expired - Fee Related
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