JP2003335575A - 誘電体磁器組成物 - Google Patents

誘電体磁器組成物

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JP2003335575A
JP2003335575A JP2002145686A JP2002145686A JP2003335575A JP 2003335575 A JP2003335575 A JP 2003335575A JP 2002145686 A JP2002145686 A JP 2002145686A JP 2002145686 A JP2002145686 A JP 2002145686A JP 2003335575 A JP2003335575 A JP 2003335575A
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dielectric ceramic
weight
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tio
zno
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JP2002145686A
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Satoshi Yasue
聡 安江
Tatsuya Futamura
竜也 二村
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Original Assignee
KCM Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実用上において充分に高い比誘電率とQ値を
実現すると共に、低温度での焼成が可能なチタン酸バリ
ウム系の誘電体磁器組成物を提供すること。 【解決手段】 BaO−TiO2 −ZnO系又はBaO
−TiO2 −Nd2 3−Nb2 5 系誘電体磁器原料
を仮焼して得られたものに対して、コレマナイトを添
加、配合せしめて、誘電体磁器組成物を調製した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、誘電体磁器組成物に係り、特
に、積層磁器コンデンサ等の製造に好適に用いられる、
低温度焼成が可能とされたチタン酸バリウム系の誘電体
磁器組成物に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、高誘電率系の誘電体磁器は、そ
れを構成する成分を与える原料組成物を焼成せしめるこ
とによって、得られている。このうち、チタン酸バリウ
ム(BT)系の原料組成物(誘電体磁器組成物)として
は、種々の組成のものが提案されており、例えば、チタ
ン酸バリウム若しくはチタン酸バリウムを生成し得る組
成物に、ネオジム等の希土類金属や、亜鉛、ニオブ等を
混合含有せしめてなる[BT+Nd]系材料、[BT+
Zn]系材料、[BT+Nb,Nd]系材料等があるの
であるが、これらは、一般に1150℃或いは1200
℃を越える非常に高い温度領域でなければ焼結させるこ
とは困難であった。
【0003】一方、従来より、積層磁器コンデンサは、
公知のようにドクターブレード法によって原料たる誘電
体磁器組成物と有機溶剤の混合液で20〜30ミクロン
の厚さの薄膜シートを作製し、乾燥せしめた後、そのシ
ートの上面に導体材料を含有する電極塗料を印刷し、更
にその上に、前記の手法に従って原料組成物の薄膜シー
トを形成せしめ(積み重ね)るようにしたものであっ
て、かくして原料組成物の薄膜シートと電極塗料とを交
互に積み重ね、積層物と為したものである。そして、そ
の積層物を、その積み重ね面に対して直角な方向におい
て、必要とする大きさに切断し、これを焼結し、しかる
後、その切断面に所定の電極を焼き付けて完成させるの
である。勿論、シートとシートとの間にある電極は、コ
ンデンサが形成されるように、交互に所定の電極にて接
合されることとなる。
【0004】ところで、電極塗料に使用される導体材料
は、一般にPd,Pt等の貴金属からなり、それらは、
その金属特有の温度で、酸化物は金属と酸素に分解し、
同時に焼結せしめられて、目的とする磁器に焼き付けら
れることとなる。従って、原料組成物は、磁器化する温
度で電極塗料が焼き付けられ、電極が形成される必要が
あるのである。
【0005】しかしながら、焼結温度が高い磁器組成
物、例えば上記したチタン酸バリウムに酸化亜鉛を組合
わせてなる[BT+Zn]系の磁器組成物を使用する場
合にあっては、1150〜1200℃の焼成温度が必要
であるため、かかるチタン酸バリウム系の磁器の焼き付
けに際しては、パラジウムを主体とする電極塗料を使用
しなければならなかった。ところが、そのようなパラジ
ウム金属は、導通抵抗が大きく且つ高価であるために、
導通抵抗が低く且つより安価な導体材料、例えばAgや
Pd−Ag等が求められているのであるが、銀は100
0℃以上の焼付温度では蒸発散逸してしまうので、上述
せる如き[BT+Zn]系の磁器組成物に対して、導通
抵抗の低いAg系の導体材料を用いることは、極めて困
難であったのである。
【0006】このため、出来る限り低温度で焼結乃至は
焼成可能な磁器組成物が、必要とされているのであり、
例えば、導体材料としてAg−Pd系合金を使用する場
合には、1000℃程度以下において焼成可能な磁器組
成物、特に、Agを使用する場合には、その融点である
962℃以下、好ましくは950℃以下において焼成可
能な磁器組成物が必要とされているのである。
【0007】また、上述のように、磁器組成物の焼結温
度が高ければ、還元雰囲気を保持するための特殊な装置
が必要とされたり、焼結のために炉内温度を上昇させ、
維持するために消費される燃料の必要量が多くなると共
に、かかる炉に用いられる炉材も、そのような高温度に
充分に耐え得る高耐火性のものを使用しなければならな
いことになり、このため、そのような焼結温度が高い原
料組成物には、必然的に焼成コストが高くなるといった
問題も内在しているのである。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景として為されたものであって、その解決すべき課題と
するところは、実用上において充分に高い比誘電率とQ
値を実現すると共に、低温度での焼成が可能なチタン酸
バリウム系の誘電体磁器組成物を提供することにある。
【0009】
【解決手段】そして、本発明者らは、そのような課題を
解決すべく鋭意検討を重ねた結果、所定のチタン酸バリ
ウム系の誘電体磁器原料を仮焼して得られた仮焼物、具
体的には、(A)BaO−TiO2 −ZnO系([BT
+Zn]系)誘電体磁器原料を仮焼して得られたもの、
又は(B)BaO−TiO2 −Nd2 3 −Nb2 5
系([BT+Nb,Nd]系)誘電体磁器原料を仮焼し
て得られたものに対して、焼成温度低下用の副成分(焼
成助剤)として、B2 3 とCaOを主成分とする天然
鉱物たるコレマナイトの粉末を配合せしめることによっ
て、優れた誘電体磁器特性を実現しつつ、その焼成温度
を有利に低下せしめることが出来、しかも、それらの効
果は、コレマナイトと同様な組成となるようにB2 3
粉末とCaO粉末とをそれぞれ用いた場合、或いは、コ
レマナイトと同様な組成を有するガラス粉末を用いた場
合に比して、極めて効果的に発現され得ることを見出し
たのである。
【0010】従って、本発明は、かかる知見に基づいて
完成されたものであって、その要旨とするところは、
(A)BaO−TiO2 −ZnO系、又は(B)BaO
−TiO2 −Nd2 3 −Nb2 5 系誘電体磁器原料
を仮焼して得られたものに対して、コレマナイトを添
加、配合せしめてなることを特徴とする誘電体磁器組成
物にある。
【0011】すなわち、本発明にあっては、(A)Ba
O−TiO2 −ZnO系([BT+Zn]系)、又は
(B)BaO−TiO2 −Nd2 3 −Nb2 5
([BT+Nb,Nd]系)誘電体磁器原料を仮焼して
得られたものに対して、天然鉱物であるコレマナイトを
添加、配合して、誘電体磁器組成物を調製するようにし
ているところから、かかる誘電体磁器組成物の焼成温度
領域を効果的に低下せしめることが出来ると共に、比誘
電率を効果的に向上せしめて、誘電損失を低く抑えるこ
と(高いQ値)が有利に実現され得、しかも、それらの
効果は、上述せるように、B2 3 粉末とCaO粉末と
をそれぞれ用いた場合や、B2 3 及びCaOからなる
ガラス粉末を用いた場合に比して、極めて効果的に発現
され得ることとなる。
【0012】加えて、コレマナイトは、比較的に入手の
容易な天然鉱物であるところから、ガラス粉末等を用い
る場合に比して、材料コストを極めて低廉に抑えること
が出来、また、かかるコレマナイトは水に溶出しないと
ころから、B2 3 粉末やCaO粉末を用いる場合とは
異なり、乾燥時に、濾過脱水が可能となり、スプレード
ライヤー等といった大規模な乾燥設備も何等必要とされ
得なくなるのであり、これによって、積層コンデンサ等
に用いられる場合における製品価格の低減に大きく寄与
することが可能となるのである。
【0013】なお、かかるコレマナイトの配合割合は、
誘電体磁器原料を仮焼して得られた仮焼物の種類に応じ
て適宜に決定され、(A)BaO−TiO2 −ZnO系
誘電体磁器原料を仮焼して得られたものの100重量部
に対して、1〜25重量部となる割合が、また、(B)
BaO−TiO2 −Nd2 3 −Nb2 5 系誘電体磁
器原料を仮焼して得られたものの100重量部に対し
て、0.5〜5重量部となる割合が、好適に採用され得
ることとなる。
【0014】また、本発明にあっては、(A)BaO−
TiO2 −ZnO系誘電体磁器原料を仮焼して得られた
ものの100重量部に対して、1〜25重量部のコレマ
ナイトと共に、0.1〜20重量部のZnO及び/又は
0.1〜15重量部のBi23 を添加、配合せしめて
なることを特徴とする誘電体磁器組成物、及び(B)B
aO−TiO2 −Nd2 3 −Nb2 5 系誘電体磁器
原料を仮焼して得られたものの100重量部に対して、
0.5〜5重量部のコレマナイトと共に、0.1〜7重
量部のZnO及び/又は0.1〜8重量部のBi2 3
を添加、配合せしめてなることを特徴とする誘電体磁器
組成物をも、それぞれ、要旨とするものである。
【0015】このように、(A)BaO−TiO2 −Z
nO系誘電体磁器原料を仮焼して得られたもの、又は
(B)BaO−TiO2 −Nd2 3 −Nb2 5 系誘
電体磁器原料を仮焼して得られたものに対して、上述せ
る如きコレマナイトを所定の割合にて加え、更に、Zn
O及び/又はBi2 3 を、所定の割合において添加、
配合せしめるようにすれば、誘電体磁器特性を高度に確
保しつつ、更なる焼成温度の低下が図られ得るようにな
るのである。
【0016】
【発明の実施の形態】ところで、かくの如き本発明に従
う誘電体磁器組成物における主成分は、(A)BaO、
TiO2 及びZnO、或いは、(B)BaO、Ti
2 、Nd2 3及びNb2 5 を、それぞれ、基本成
分とする、従来から公知のチタン酸バリウム系の誘電体
磁器原料の仮焼物であって、例えば、チタン酸バリウム
(BaTiO3 )、或いはBaTiO3 を生成し得る炭
酸バリウム(BaCO3 )と酸化チタン(TiO2 )と
の混合物に対して、酸化亜鉛(ZnO)、或いは酸化ネ
オジム(Nd2 3 )及び酸化ニオブ(Nb2 5 )を
混合せしめ、それを、常法に従って、仮焼することによ
って、得られるものである。
【0017】なお、上記した主成分の仮焼物に含有され
る基本成分の割合(組成比)は、公知の範囲において、
目的とする磁器の誘電体磁器特性、例えば比誘電率等に
応じて、適宜に決定されることとなるが、一般に、
(A)BaO−TiO2 −ZnO系誘電体磁器原料を仮
焼して得られたもの(以下、[BT+Zn]系仮焼物と
呼称する)の場合には、BaO:10.0〜32.0モ
ル%、TiO2 :55.0〜70.0モル%、ZnO:
10.0〜32.0モル%(但し、BaO+TiO 2
ZnO=100モル%)であることが望ましく、また、
(B)BaO−TiO2 −Nd2 3 −Nb2 5 系誘
電体磁器原料を仮焼して得られたもの(以下、[BT+
Nb,Nd]系仮焼物と呼称する)の場合には、Ba
O:47.98〜52.0モル%、TiO2 :47.9
8〜52.0モル%、Nd2 3 :0.01〜1.10
モル%、Nb2 5 :0.01〜1.10モル%(但
し、BaO+TiO2 +Nd2 3 +Nb2 5 =10
0モル%)であることが望ましく、このような組成比の
主成分仮焼物を用いることで、比誘電率等の特性に極め
て優れた磁器が得られるようになる。
【0018】そして、本発明に従う誘電体磁器組成物に
あっては、そのような主成分仮焼物に対して、即ち、
(A)[BT+Zn]系仮焼物、又は(B)[BT+N
b,Nd]系仮焼物に対して、天然鉱物であるコレマナ
イトが、焼成温度低下用の副成分(焼成助剤)として、
配合せしめられるところに、大きな特徴を有しているの
である。
【0019】このように、所定の仮焼物に対して、焼成
助剤として、コレマナイトを添加、配合して、誘電体磁
器組成物を調製することにより、B2 3 粉末とCa
O粉末を、コレマナイトの組成と同じになるように、そ
れぞれ用いた場合や、コレマナイトと同様な組成を有
するガラス粉末を用いた場合に比して、高い比誘電率と
高いQ値が実現され得ると共に、そのような焼成助剤を
添加しない場合に比べて、焼成温度を有利に低下せしめ
ることが出来るようになるのである。具体的には、従来
の[BT+Zn]系及び[BT+Nb,Nd]系誘電体
磁器組成物では、一般に、それぞれ、1150〜120
0℃及び1200℃〜1250℃の高温でなければ、焼
結せしめることが出来なかったのに対して、950℃以
下及び1150℃以下にまで、焼成温度を下げることが
可能となるのである。
【0020】また、コレマナイトは、比較的に入手の容
易な天然鉱物であるところから、BaOやCaOからな
るガラス粉末等を用いる場合において問題となる材料コ
ストを極めて低廉に抑えることが出来、更に、かかるコ
レマナイトは、水に溶出しないものであるところから、
2 3 粉末やCaO粉末を用いた場合とは異なり、各
種成分を混合した後の乾燥時に、濾過脱水が可能となる
のであり、このため、スプレードライヤー等といった大
規模な乾燥設備も必要なく、焼成コストも低廉に抑える
ことが出来、ひいては、焼成後の製品、例えば、積層コ
ンデンサ等の製品コストをより一層低く抑えることが出
来るようになるのである。
【0021】ところで、上述せる如き本発明の必須成分
であるコレマナイトは、B2 3 とCaOを主成分とす
るカルシウム系硼酸鉱(2CaO・3B2 3 ・5H2
O)として組成が安定しているものであり、トルコ共和
国やその他の地域で産出されたものが、所定の粒度とさ
れて、用いられることとなる。なお、そのようなコレマ
ナイトとしては、例えば、一般組成(2CaO・3B2
3 ・5H2 O)にて表わされるものの他、シリカ等の
微量成分を含む、下記表1のような代表分析値を有する
ものが、市販されており、本発明においては、それらの
何れのものを用いても、焼成温度の低温化が有利に図ら
れ得るのである。
【0022】
【表1】
【0023】また、かかるコレマナイトの配合割合は、
誘電体磁器組成物を構成する主成分仮焼物の種類に応じ
て、適宜に設定され、(A)[BT+Zn]系仮焼物の
場合には、その100重量部に対して、1〜25重量部
となる割合が、また、(B)[BT+Nb,Nd]系仮
焼物の場合には、その100重量部に対して、0.5〜
5重量部となる割合が、好適に採用される。けだし、コ
レマナイトの配合量が余りにも少ない場合には、コレマ
ナイトの配合による効果が充分に得られず、目的とする
焼成温度の低温化を有利に実現し得ないからであり、逆
に、コレマナイトの配合量が多過ぎる場合には、比誘電
率やQ値が低くなり、目的とする誘電体磁器特性が得ら
れなくなるからである。
【0024】また、本発明に従う誘電体磁器組成物に
は、上記したコレマナイトに加えて、副成分として、更
に、酸化亜鉛(ZnO)又は酸化ビスマス(Bi
2 3 )、或いは、それらZnOとBi2 3 を組合わ
せて、同時に添加することも可能であり、このようなZ
nO及び/又はBi2 3 の添加により、誘電体磁器特
性を高度に確保しつつ、更なる焼成温度の低下が図られ
得るようになるのである。
【0025】より具体的には、かかるZnOの添加によ
り、比誘電率とQ値が共に向上して、或いは、それら比
誘電率とQ値のうちのどちらかが向上して、より低い焼
成温度でも、実用上において充分な誘電体磁器特性を有
する誘電体磁器組成物が得られるのである。また、Bi
2 3 は、その添加により、比較的に高いQ値を確保し
つつ、比誘電率を向上せしめる効果を有しており、この
Bi2 3 の添加によっても、より低温度での焼成が可
能となるのである。
【0026】なお、上記したZnOやBi2 3 の添加
量にあっても、誘電体磁器組成物を構成する主成分仮焼
物の種類に応じて、適宜に設定され、(A)[BT+Z
n]系仮焼物に対して添加される場合には、その100
重量部に対して、ZnOは、0.1〜20重量部となる
割合が、また、Bi2 3 は、0.1〜15重量部とな
る割合が、好適に採用される。一方、(B)[BT+N
b,Nd]系仮焼物の場合には、その100重量部に対
して、ZnOは、0.1〜7重量部となる割合が、ま
た、Bi2 3 は、0.1〜8重量部となる割合が、好
適に採用される。けだし、それらZnOやBi2 3
添加量が多過ぎる場合には、比誘電率やQ値が低くな
り、目的とする誘電体磁器特性が得られなくなるからで
ある。また、かかるZnOやBi2 3 を添加するに際
しては、ZnO粉末やBi2 3 粉末を、そのまま、添
加するようにしても、或いは、焼成によりZnOやBi
2 3を生成するような亜鉛含有化合物やビスマス含有
化合物を添加するようにしても、何等差支えない。
【0027】ところで、そのような本発明に従う誘電体
磁器組成物を調製するに際しては、焼成温度の大幅な低
減を図るべく、上述せる如きコレマナイトを必須成分と
する副成分を、仮焼の行なわれていない主成分磁器原料
ではなく、予め、主成分磁器原料にて所定の結晶構造が
導入された仮焼物に対して、配合せしめることが必要で
ある。
【0028】このため、予め、(A)[BT+Zn]系
仮焼物、又は(B)[BT+Nb,Nd]系仮焼物を得
た後、その主成分仮焼物に対して、コレマナイト等の副
成分を、所定の割合となるように秤量して加え、それら
を、混合粉砕することによって、誘電体磁器組成物を調
製するのである。
【0029】そして、このようにして調製された誘電体
磁器組成物は、積層磁器コンデンサ等の製品を与える原
料として、有利に用いられることとなるのである。
【0030】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更
に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、その
ような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるも
のでないことは言うまでもないところである。また、本
発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体
的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおい
て、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改
良等を加え得るものであることが理解されるべきであ
る。
【0031】−[BT+Zn]系− まず、主成分磁器原料として、BaCO3 、TiO2
びZnOを用いて、それらを、仮焼後の各種成分の組成
比が下記表2に示されるものとなるように、それぞれ、
秤量した。そして、それらBaCO3 、TiO2 及びZ
nOに、純水を、スラリー濃度が35%となるように加
え、ボールミルにて15時間湿式混合した後、乾燥操作
を施した。次いで、得られたこの乾燥物を粉末状にし
て、大気中において、1100℃の温度で2時間、仮焼
を行なった後、1.5μm程度の平均粒子径となるよう
に乾式粉砕して、[BT+Zn]系主成分仮焼物を得
た。
【0032】
【表2】
【0033】また、副成分(焼成助剤)として、下記表
3に示される組成のコレマナイトの粉末(上記表1の市
販品1)と、ZnO粉末とBi2 3 粉末を、それぞ
れ、準備すると共に、比較のために、かかるコレマナイ
トと同様な組成を有するガラス粉末、及びB2 3 粉末
とCaO粉末の混合物を、それぞれ、準備した。なお、
ガラス粉末、及びB2 3 粉末とCaO粉末の混合物の
組成も、下記表3に併せて示した。
【0034】
【表3】
【0035】そして、上記で準備した[BT+Zn]系
主成分仮焼物に対して、副成分(焼成助剤)を、下記表
4〜7に示される配合割合となるように秤量して添加
し、ボールミルにて、15時間湿式混合して、乾燥した
後、バインダーとしてポリビニルアルコールを適当量加
えて、造粒し、その造粒物を約1トン/cm2 の圧力に
て成形し、直径7mm、厚さ0.5mmの円板状成形物
を作製した。そして、得られた成形物を、それぞれ、大
気中において、下記表4〜7に示される各種焼成温度に
て、3時間、本焼成することにより、各種の誘電体磁器
試料を作製した。
【0036】そして、かかる本焼成によって得られた誘
電体磁器試料の直径(D1 )を、それぞれ測定して、か
かる誘電体磁器試料の直径(D1 )と本焼成前の円板状
成形物の直径(D2 )とから、収縮率(%)を求めて、
得られた結果を、下記表4〜7に示した。 収縮率(%)=(D2 −D1 )/D2 ×100
【0037】次いで、上述せる如き本焼成によって得ら
れた各種誘電体磁器試料について、それぞれの比誘電率
(ε)と誘電損失の逆数であるQ値を測定し、その得ら
れた結果を、下記表4〜7に併せて示した。
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】かかる表4〜7に示される結果からも明ら
かなように、本発明に従って、コレマナイトを添加して
なる誘電体磁器組成物にあっては、ガラス粉末や、B2
3粉末とCaO粉末の混合物を添加した誘電体磁器組
成物に比して、少ない添加量で、より高い比誘電率とQ
値が実現されており、900℃においても、充分に焼成
が可能であることが分かる。これに対して、ガラス粉末
を添加した誘電体磁器組成物に関しては、900℃及び
950℃のどちらの焼成温度においても、収縮率が15
%に満たず、充分に焼結されていないことが認められる
のである。
【0043】また、本発明に従って、副成分として、更
に、ZnO粉末とBi2 3 粉末を添加することで、8
50℃の低温においても、実用上において充分に高い比
誘電率等を実現する誘電体磁器が得られることが分か
る。
【0044】−[BT+Nb,Nd]系− まず、主成分磁器原料として、BaCO3 、TiO2
Nb2 5 及びNd23 を用いて、仮焼後のそれぞれ
の混合比が下記表8に示されるものとなるように、それ
ぞれ、秤量した。そして、それらBaCO3 、Ti
2 、Nb2 5 及びNd2 3 に、純水を、スラリー
濃度が35%となるように加え、ボールミルにて15時
間湿式混合の後、乾燥操作を施した。次いで、得られた
この乾燥物を粉末状にして、大気中において、1200
℃の温度で2時間、仮焼を行なった後、1.5μm程度
の平均粒子径となるように乾式粉砕して、[BT+N
b,Nd]系主成分仮焼物を得た。
【0045】
【表8】
【0046】また、副成分(焼成助剤)として、上記表
3に示される組成のコレマナイトの粉末と、ZnO粉末
とBi2 3 粉末を、それぞれ、準備すると共に、比較
のために、かかるコレマナイトと同様な組成を有する、
上記表3のガラス粉末、及びB2 3 粉末とCaO粉末
の混合物を、それぞれ、準備した。
【0047】そして、上記で準備した[BT+Nb,N
d]系主成分仮焼物に対して、副成分(焼成助剤)を、
下記表9,10に示される配合割合となるように秤量し
て添加し、ボールミルにて、15時間湿式混合して、乾
燥した後、バインダーとしてポリビニルアルコールを適
当量加えて、造粒し、その造粒物を約1トン/cm2
圧力にて成形し、直径7mm、厚さ0.5mmの円板状
成形物を作製した。そして、得られた成形物を、それぞ
れ、大気中において、下記表9,10に示される各種焼
成温度にて、3時間、本焼成することにより、各種の誘
電体磁器試料を作製した。そして、上述せる如き[BT
+Zn]系の誘電体磁器試料と同様にして、得られた各
種誘電体磁器試料の収縮率(%)、比誘電率(ε)及び
誘電損失(tanδ)を、それぞれ求めて、得られた結
果を、下記表9,10に示した。
【0048】
【表9】
【0049】
【表10】
【0050】かかる表9,10に示される結果からも明
らかなように、本発明に従って、コレマナイトを添加し
てなる誘電体磁器組成物にあっては、ガラス粉末や、B
2 3 粉末とCaO粉末の混合物を添加した誘電体磁器
組成物に比して、少ない添加量で、より高い比誘電率と
Q値が実現されており、1100℃においても、充分に
焼成が可能であることが分かる。これに対して、ガラス
粉末や、B2 3 粉末とCaO粉末の混合物を添加した
誘電体磁器組成物は、1100℃では、収縮率が15%
に満たないものが多く、充分に焼結されていないことが
認められるのである。
【0051】また、本発明に従って、副成分として、更
に、ZnO粉末とBi2 3 粉末を添加することで、1
050℃の低温においても、充分な誘電体磁器特性を有
する[BT+Nb,Nd]系誘電体磁器が得られること
が分かる。
【0052】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う誘電体磁器組成物にあっては、BaO−TiO2
−ZnO系又はBaO−TiO2 −Nd2 3 −Nb2
5 系誘電体磁器原料を仮焼して得られたものに対し
て、コレマナイトを添加、配合せしめるようにしたもの
であるところから、焼成温度の低温化が極めて有利に実
現されるのであり、また、そのような誘電体磁器組成物
から得られる磁器は、比誘電率が高く、且つ誘電損失の
低い(Q値の高い)ものとなる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年10月28日(2002.10.
28)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】
【表4】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】
【表5】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】
【表6】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】
【表7】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】
【表9】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】
【表10】
フロントページの続き Fターム(参考) 4G031 AA04 AA06 AA07 AA11 AA14 AA26 AA28 AA29 AA30 AA35 BA09 GA01 5E001 AB03 AE02 AE03 AE04 5G303 AA01 AB06 AB08 AB15 BA12 CA01 CB02 CB03 CB06 CB21 CB22 CB35 CB38 CC03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 BaO−TiO2 −ZnO系又はBaO
    −TiO2 −Nd23 −Nb2 5 系誘電体磁器原料
    を仮焼して得られたものに対して、コレマナイトを添
    加、配合せしめてなることを特徴とする誘電体磁器組成
    物。
  2. 【請求項2】 BaO−TiO2 −ZnO系誘電体磁器
    原料を仮焼して得られたものの100重量部に対して、
    1〜25重量部のコレマナイトが配合せしめられる請求
    項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 BaO−TiO2 −Nd2 3 −Nb2
    5 系誘電体磁器原料を仮焼して得られたものの100
    重量部に対して、0.5〜5重量部のコレマナイトが配
    合せしめられる請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  4. 【請求項4】 BaO−TiO2 −ZnO系誘電体磁器
    原料を仮焼して得られたものの100重量部に対して、
    1〜25重量部のコレマナイトと共に、0.1〜20重
    量部のZnO及び/又は0.1〜15重量部のBi2
    3 を添加、配合せしめてなることを特徴とする誘電体磁
    器組成物。
  5. 【請求項5】 BaO−TiO2 −Nd2 3 −Nb2
    5 系誘電体磁器原料を仮焼して得られたものの100
    重量部に対して、0.5〜5重量部のコレマナイトと共
    に、0.1〜7重量部のZnO及び/又は0.1〜8重
    量部のBi23 を添加、配合せしめてなることを特徴
    とする誘電体磁器組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004289087A (ja) * 2003-03-25 2004-10-14 Murata Mfg Co Ltd 積層セラミック電子部品の製造方法
WO2007122948A1 (ja) 2006-03-30 2007-11-01 Ngk Insulators, Ltd. 誘電体磁器組成物および電子部品

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