JPH0794022A - 誘電体材料およびセラミック部品 - Google Patents

誘電体材料およびセラミック部品

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JPH0794022A
JPH0794022A JP6072479A JP7247994A JPH0794022A JP H0794022 A JPH0794022 A JP H0794022A JP 6072479 A JP6072479 A JP 6072479A JP 7247994 A JP7247994 A JP 7247994A JP H0794022 A JPH0794022 A JP H0794022A
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oxide
pbo
dielectric
phase
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JP6072479A
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Taku Ito
卓 伊藤
Fumio Uchikoba
文男 内木場
Shigeyuki Nakajima
重行 中島
Kentaro Sawamura
建太郎 澤村
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TDK Corp
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  • Inorganic Insulating Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 誘電損失が小さく(Q値が大きく)、誘電率
の温度変化率が小さく、しかも低温焼成が可能な誘電体
材料を提供する。また、このような誘電体材料の絶縁抵
抗を向上させる。また、このような誘電体材料を用いる
ことにより、誘電体層をAgやCuを主体とする電極と
同時焼成することが可能なセラミック部品を提供する。 【構成】 Nd23 およびWO3 を含み、Nd23
/(Nd23 +WO3 )が28〜43モル%であり、
Nd229 相を含む結晶構造とする。また、Pb3
Nb28 およびCuOの少なくとも一方を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波用の誘電体
材料と、これを含有する誘電体層を有するセラミック部
品とに関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波誘電体材料の開発に際して
は、下記〜が重要なポイントとされている。
【0003】 誘電率(εs )が大きいこと 誘電損失( tanδ)が小さいこと(Q=1/ tanδ
が大きいこと) 誘電率の温度係数(τ・εs )の変化が広い温度範
囲にわたって小さいこと
【0004】しかし、これらの特性はそれぞれが相反す
る関係にあり、全ての特性を同時に向上させることは極
めて困難である。このため現状では、用途を絞り、その
用途において最も重要である特性を選択し、その特性を
重点的に改善するかたちで開発が行なわれている。
【0005】従来のマイクロ波誘電体材料は、そのεs
の大きさから低誘電率系と高誘電率系の2種類に大別す
ることができる。εs が40程度以下である低誘電率系
としては、複合ペロブスカイト型化合物のBa(Zn
1/3 Ta2/3 )O3 、Ba(Zn1/3 Nb2/3 )O3
Sr(Zn1/3 Ta2/3 )O3 、Ba(ZrTi)
3、Ca(ZrTi)O3 などがあり、さらに、Ba
Ti49 、Ba2 Ti920なども知られている。こ
れら低誘電率系のマイクロ波誘電体材料は、上記のお
よびが特に要求される用途に用いられる。
【0006】近年、マイクロ波誘電体材料には、上記
〜以外に低温焼成可能であることが要求されるように
なってきている。誘電体材料の低温焼成化によって低融
点の内部導体との同時焼成が可能になる。これにより、
高価格でしかも低QのPdに、低価格で高Qだが融点が
低いAgを混合することが可能となり、また、焼成炉の
熱疲労やエネルギーコストの低減が可能となる。しか
し、上記した従来の誘電体材料の焼成には1300〜1
500℃もの高温が必要であり、AgやCuを主体とす
る導体との同時焼成は不可能である。
【0007】また、近年、積層型セラミックコンデンサ
においては、小型でかつ大容量を得るために、誘電体層
の著しい薄層化が要求されている。このため、絶縁抵抗
が高いことも重要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情からなされたものであり、誘電損失が小さく(Q値が
大きく)、誘電率の温度変化率が小さく、しかも低温焼
成が可能な誘電体材料を提供することを目的とし、さら
に、このような誘電体材料の絶縁抵抗を向上させること
を目的とする。また、このような誘電体材料を用いるこ
とにより、誘電体層をAgやCuを主体とする電極と同
時焼成することが可能なセラミック部品を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(10)の本発明により達成される。 (1)酸化ネオジムおよび酸化タングステンを含み、こ
れらをそれぞれNd23 およびWO3 に換算したと
き、Nd23 /(Nd23 +WO3 )が28〜43
モル%であり、Nd229 相を含むことを特徴とす
る誘電体材料。 (2)1000℃以下で焼成されたものである上記
(1)の誘電体材料。 (3)酸化鉛および酸化ニオブを含み、これらをそれぞ
れPbOおよびNb25 に換算したとき、PbO/
(PbO+Nb25 )が60〜85モル%であり、
(PbO+Nb25 )/(Nd23 +WO3 )が
5.0重量%以下である上記(1)または(2)の誘電
体材料。 (4)(PbO+Nb25 )/(Nd23 +WO
3 )が0.2重量%以上である上記(3)の誘電体材
料。 (5)Pb3 Nb28 相を含む上記(3)または
(4)の誘電体材料。 (6)酸化銅を含み、酸化銅をCuOに換算したとき、
CuO/(Nd23+WO3 )が1.0重量%以下で
ある上記(1)〜(5)のいずれかの誘電体材料。 (7)CuO/(Nd23 +WO3 )が0.01重量
%以上である上記(6)の誘電体材料。 (8)960℃以下で焼成されたものである上記(3)
〜(7)のいずれかの誘電体材料。 (9)誘電体層と電極とを有するセラミック部品であっ
て、前記誘電体層が上記(1)〜(8)のいずれかの誘
電体材料を含有することを特徴とするセラミック部品。 (10)前記電極がAgおよび/またはCuを含有する
ものである上記(9)のセラミック部品。
【0010】
【作用および効果】本発明の誘電体材料は、酸化ネオジ
ムおよび酸化タングステンを所定比率で含有し、タング
ステン酸ネオジム(Nd229 )相を主相として含
む。このため、誘電率の温度係数(τ・εs )を小さく
した上で、誘電損失を極めて小さくすることができ、ま
た、絶縁抵抗を大きくすることができる。そして、低温
での焼成が可能なので、積層セラミックコンデンサなど
のセラミック部品に適用する場合に、安価で電気的特性
も良好なAgを主体とする導体を電極に用いることがで
きる。
【0011】なお、本明細書において低温での焼成が可
能であるとは、単に低温で焼結体が得られるという意味
ではなく、低温で焼成した場合でも誘電体材料として十
分な特性が得られることを意味する。
【0012】タングステン酸ネオジムを主体とする誘電
体材料に酸化銅を添加することにより、誘電率が向上す
る。
【0013】タングステン酸ネオジムを中心とする組成
の誘電体材料は、通常、誘電率の温度係数(τ・εs
がプラスであるが、ニオブ酸鉛(Pb3 Nb28 )を
中心とした比率の酸化鉛および酸化ニオブを添加するこ
とにより、τ・εs が減少する。
【0014】ニオブ酸鉛と酸化銅との複合添加により、
焼成可能温度をさらに低くすることができるので、Ag
を主体とする電極との同時焼成が安定して行なえるよう
になり、Cuを主体とする導体との同時焼成も可能とな
る。また、酸化銅添加によりτ・εs が増大するが、ニ
オブ酸鉛はこのτ・εs 増大を抑える。
【0015】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0016】本発明の誘電体材料は、酸化ネオジムおよ
び酸化タングステンを含有する。酸化ネオジムをNd2
3 に、酸化タングステンをWO3 にそれぞれ換算した
とき、Nd23 /(Nd23 +WO3 )は、28〜
43モル%、好ましくは30〜36モル%である。Nd
23 /(Nd23 +WO3 )が小さすぎると、Qお
よび誘電率が低くなり、また、誘電率の温度係数(τ・
εs )がプラス側に大きく傾いてしまう。一方、Nd2
3 /(Nd23 +WO3 )が大きすぎると、焼成温
度が高くなってしまう。
【0017】本発明の誘電体材料は、酸化鉛および酸化
ニオブを含むか、酸化銅を含むことが好ましく、酸化
鉛、酸化ニオブおよび酸化銅のすべてを含むことがより
好ましい。
【0018】酸化鉛をPbOに、酸化ニオブをNb2
5 にそれぞれ換算したとき、PbO/(PbO+Nb2
5 )は、好ましくは65〜80モル%、より好ましく
は70〜77モル%である。酸化鉛と酸化ニオブとを焼
成すると、通常、鉛系パイロクロア化合物であるニオブ
酸鉛が生成する。ニオブ酸鉛は複数種あり、PbO/
(PbO+Nb25 )の大きい順に挙げると、Pb3
Nb28 (75モル%)、Pb5 Nb415(71モ
ル%)、Pb2 Nb27 (67モル%)、Pb3 Nb
413(60モル%)である。なお、括弧内の値は、P
bO/(PbO+Nb25 )である。後述するよう
に、酸化鉛および酸化ニオブは、仮焼体粉末とした後、
Nd23 とWO3 とを含む仮焼体粉末と混合されて焼
成される。PbO/(PbO+Nb25)が小さすぎ
ると、Pb3 Nb28 に比べ鉛比率の低いPb3 Nb
413やPb2 Nb27 等が生成し、仮焼体粉末中に
おけるこれらの化合物の比率が高くなる。このような仮
焼体粉末を、主相となるタングステン酸ネオジムを含む
仮焼体粉末と混合して焼成した場合、焼成温度低下効果
が不十分となってしまう。一方、PbO/(PbO+N
25 )が大きすぎると、余剰のPbOによりQの低
下や絶縁抵抗の低下が生じてしまう。したがって、Pb
3 Nb28 が主体となるように、PbO/(PbO+
Nb25 )が75モル%付近となるように配合するこ
とが好ましい。
【0019】酸化鉛および酸化ニオブを添加する場合、
(PbO+Nb25 )/(Nd23 +WO3 )が、
5.0重量%以下、好ましくは2.0重量%以下、より
好ましくは1.6重量%以下、また、好ましくは0.2
重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに
好ましくは0.8重量%以上となるように添加する。
(PbO+Nb25 )/(Nd23 +WO3 )が小
さすぎると、酸化鉛および酸化ニオブの添加による効果
が不十分となり、特に、酸化銅と複合添加した場合にτ
・εs がプラス側に大きく傾いてしまう。一方、(Pb
O+Nb25 )/(Nd23 +WO3 )が大きすぎ
ると、τ・εs がマイナス側に傾き、また、Q値が低く
なる。そして、焼成温度が高くなってしまうため、酸化
銅と複合添加した場合の焼成温度低下効果が阻害されて
しまう。
【0020】酸化銅を添加する場合、酸化銅をCuOに
換算したとき、CuO/(Nd23 +WO3 )が、
1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より
好ましくは0.1重量%以下、また、好ましくは0.0
1重量%以上、より好ましくは0.02重量%以上、さ
らに好ましくは0.04重量%以上となるように添加す
る。CuO/(Nd23 +WO3 )が小さすぎると、
焼成温度低下効果が不十分となる。CuO/(Nd2
3 +WO3 )が大きすぎると、τ・εs がプラス側に大
きく傾き、また、Q値が低くなる。
【0021】なお、酸化ネオジム、酸化タングステン、
酸化鉛、酸化ニオブおよび酸化銅の化学量論組成は、そ
れぞれNd23 、WO3 、PbO、Nb25 および
CuOであるが、誘電体材料中では多少偏倚していても
よい。
【0022】本明細書では、誘電体材料中における各化
合物の含有量は、原料配合時の金属量から化学量論組成
に換算し、算出する。
【0023】本発明の誘電体材料は、Nd229
を主相とする。Nd229 相以外には、Nd2 (W
43 相またはNd2 WO6 相が存在し得る。Nd2
(WO43 相はNd23 の含有率が低い場合に現わ
れ、Nd2 WO6 相はNd23 の含有率が高い場合に
現われる。誘電体材料中に存在する結晶相は、X線回折
により確認することができる。
【0024】また、酸化鉛および酸化ニオブを添加する
場合、これらは誘電体材料中において少なくともPb3
Nb28 相を構成していることが好ましいが、酸化鉛
および酸化ニオブの添加量は微量であるため、誘電体材
料のX線回折では確認できないこともある。
【0025】本発明の誘電体材料の平均結晶粒径は、
0.7〜3.0μm 程度である。
【0026】次に、本発明の誘電体材料の製造方法につ
いて説明する。
【0027】出発原料としては、誘電体材料を構成する
金属元素の酸化物、例えばNd23 、WO3 、Pb
O、Nb25 、CuO等を用いればよい。また、炭酸
塩など、熱処理後に酸化物となる化合物を用いてもよ
い。出発原料の配合比率は、最終組成に応じて決定す
る。
【0028】出発原料の粉末を混合し、次いで仮焼す
る。酸化鉛および酸化ニオブを添加する場合、Ndおよ
びWを含む仮焼体とPbおよびNbを含む仮焼体とを独
立して製造し、これらを混合する。また、酸化銅を添加
する場合、通常、酸化銅は仮焼体粉末と混合する。出発
原料の粉末の混合は、ボールミルなどを用いて湿式で行
なうことが好ましい。NdおよびWを含む出発原料の仮
焼は、空気中において650〜850℃程度の温度で1
〜2時間程度行なうことが好ましい。また、Pbおよび
Nbを含む出発原料の仮焼は、空気中において、好まし
くは400〜700℃、より好ましくは500〜600
℃で1〜2時間程度行なうことが好ましい。Pbおよび
Nbを含む仮焼体は、Pb3 Nb28 相を含み、実質
的にこの相だけから構成されていることが好ましいが、
Pb5 Nb415相、Pb2 Nb27 相、Pb3 Nb4
13相などが含まれていてもよい。仮焼後、ボールミ
ル等により粉砕する。仮焼体粉末の平均粒子径は、0.
5〜2.0μm 程度とすればよい。なお、2種以上の仮
焼体を混合する場合、各仮焼体を粉砕した後に混合する
ことが好ましいが、少なくとも1種の仮焼体を粉砕せず
に混合し、その後に粉砕してもよい。仮焼体あるいはそ
の粉末の混合は、ボールミルなどを用いて湿式で行なう
ことが好ましい。
【0029】次に、仮焼体粉末あるいはその混合物にポ
リビニルアルコール等のバインダを加えて所定形状に成
形した後、焼成する。焼成は空気中で行なえばよいが、
必要に応じて酸素分圧を制御した雰囲気中あるいは還元
雰囲気中で焼成してもよい。本発明では1200℃以下
の低温での焼成が可能であり、1000℃以下、さらに
は960℃以下で焼成することもできる。特に、酸化
鉛、酸化ニオブおよび酸化銅を所定量添加した場合に
は、焼成温度が960℃以下であっても緻密で電気特性
の良好な誘電体材料が得られる。ただし、焼成温度は、
通常、890℃以上とする。焼成温度が低すぎると焼結
が不十分となる傾向にあり、高すぎるとタングステンの
蒸発により組成ずれが生じてしまう。焼成時の温度保持
時間は、1〜4時間とすることが好ましく、通常は2時
間程度とすればよい。
【0030】本発明の誘電体材料を積層型セラミックコ
ンデンサに適用する場合には、上記仮焼体粉末に、有機
バインダおよび有機溶媒を含むビヒクルを加えて誘電体
層用ペーストを調製し、これと内部電極層用ペーストと
を印刷法やシート法などにより積層した後、同時に焼成
し、さらに端子電極を設けて、誘電体層と内部電極層と
が交互に積層された積層型セラミックコンデンサとす
る。内部電極層に用いる導電性材料としては、安価な低
融点金属、例えばAg系、Cu系、Ni系、Al系等を
用いることができるが、特にAgを主体とする金属また
はCuを主体とする金属が好ましい。Agを主体とする
金属としては、例えばAg−Pd、Ag−Pt等を用い
ることが好ましく、Agを用いることもできる。なお、
Agに対するPdやPtの比率は、焼成温度に応じて決
定すればよい。Cuは、通常、単体で用いられるが、C
u−Ag合金などの合金として使用してもよい。Cuを
主体とする金属を内部電極に用いる場合、電極の酸化を
防ぐために還元性雰囲気中で焼成する。
【0031】本発明の誘電体材料は、このような積層型
セラミックコンデンサに限らず、誘電体層と電極とを有
する各種セラミック部品、例えば積層型LC部品、コン
デンサ部を内蔵する多層配線基板、トリプレート線路を
有する共振器等に好適である。
【0032】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0033】<実施例1>出発原料としてNd23
よびWO3 を用い、Nd23 /(Nd23 +WO
3 )が下記表1に示されるモル比率となるようにポリエ
チレンポット中で湿式混合した後、空気中において70
0〜900℃で2時間仮焼した。得られた仮焼体をボー
ルミルで粉砕し、平均粒子径0.5μm の仮焼体粉末と
した。
【0034】得られた仮焼体粉末に有機バインダを加
え、2ton/cm2 の圧力で成形して、直径12mm、厚さ
0.6mmの円板状成形体とした。この成形体を、表1に
示す温度で空気中において2時間焼成した。得られた焼
結体の平均結晶粒径は0.8〜2μm であった。各焼結
体の両主面にAgを蒸着して電極とし、表1に示す誘電
体サンプルを得た。
【0035】これらの誘電体サンプルについて、誘電率
(εs )、誘電率の温度係数(τ・εs )、Q(1/ t
anδ)、Q・fおよび絶縁抵抗(ρ)を測定した。結果
を表1に示す。εs およびQは20℃、1MHz における
値であり、Q・fは(共振周波数におけるQ)×(共振
周波数;単位GHz )である。τ・εs は{(85℃、1
MHz におけるεs )−(−25℃、1MHz におけるε
s )}/(20℃、1MHz におけるεs )/{85−
(−25)}である。
【0036】
【表1】
【0037】表1に示される結果から本発明の効果が明
らかである。すなわち、本発明の誘電体材料は1200
℃以下で焼結でき、組成を選択することにより1000
℃以下での焼成が可能である。また、1MHz でのQは1
600以上、マイクロ波帯でのQ・fは2600以上を
示す。誘電率の温度係数(τ・εs )はJIS規格のC
K特性(0±250ppm /℃)を満足し、組成を選択す
ることによりJIS規格のCG特性(0±30ppm /
℃)をも満足する。また、絶縁抵抗(ρ)は1×1011
Ω・cm以上の十分な値を示している。なお、比較例のサ
ンプルNo. 1では、Qが低すぎるためにQ・fが測定不
能であった。
【0038】次に、サンプルNo. 3についてX線回折を
行なった。得られたX線回折チャートを図1の上段に示
す。参考として、Nd229 のJCPDSカードの
データを図1の下段に併記する。これらの比較から、サ
ンプルNo. 3がNd229 相を含むことがわかる。
なお、他のサンプルについてもX線回折を行なった結
果、サンプルNo. 2には、Nd229 相とNd2
(WO43 相とが存在し、サンプルNo. 4および5に
は、Nd229 相とNd2 WO6 相とが存在してい
た。一方、比較例であるサンプルNo. 1および6には、
Nd229 相の存在は認められなかった。
【0039】<実施例2>出発原料としてPbOおよび
Nb25 を用い、PbO/(PbO+Nb25 )が
75モル%となるようにポリエチレンポット中で湿式混
合した後、空気中において550℃で2時間仮焼した。
得られた仮焼体をボールミルで粉砕し、平均粒子径0.
5μm の仮焼体粉末とした。X線回折により、この仮焼
体粉末にPb3 Nb28 相が含まれることが確認され
た。
【0040】次に、この仮焼体粉末と、実施例1のサン
プルNo. 3に用いた仮焼体粉末と、CuOとを、表2に
示す重量比となるようにポリエチレンポット中で湿式混
合した。
【0041】得られた混合物に有機バインダを加え、2
ton/cm2 の圧力で成形して、直径12mm、厚さ0.6mm
の円板状成形体とした。この成形体を、表2に示す温度
で空気中において2時間焼成した。得られた焼結体の平
均結晶粒径は0.8〜2μmであった。各焼結体の両主
面にAgを蒸着して電極とし、表2に示す誘電体サンプ
ルを得た。
【0042】これらの誘電体サンプルについて、実施例
1と同様にして電気特性を測定した。結果を表2に示
す。なお、比較のために、表2に実施例1のサンプルN
o. 3と、焼成温度を低くした以外はサンプルNo. 3と
同様にして作製したサンプルNo.3−2とを併記する。
【0043】
【表2】
【0044】表2に示される結果から、本発明の効果が
明らかである。すなわち、サンプルNo. 101、102
では、CuO添加によりεS が向上しており、サンプル
No.103、104では、PbO+Nb25 添加によ
りτ・εS が小さくなっている。PbO+Nb25
CuOとを複合添加したサンプルNo. 105〜107で
は、εS が向上し、しかもτ・εS はほとんど増加して
いない。そして、PbO+Nb25 添加量が0.2〜
5.0重量%の範囲で、かつCuO添加量が0.01〜
1.0重量%の範囲であるサンプルNo. 108〜11
2、114、115では、960℃以下で焼成した場合
でも十分に高い特性が得られていることがわかる。しか
も、1MHz でのQは1000以上、組成を選択すること
により1500以上、さらには2000以上の値を示
し、マイクロ波帯でのQ・fは2500以上、組成を選
択することにより2700以上、さらには3000以上
という良好な値を示す。誘電率の温度係数(τ・εs
はJIS規格のCJ特性(0±120ppm /℃)を満足
し、組成を選択することによりJIS規格のCH特性
(0±60ppm /℃)をも満足する。また、絶縁抵抗
(ρ)は1×1012Ω・cm以上の十分な値を示してい
る。
【0045】一方、CuOが1.0重量%を超えている
サンプルNo. 113では、測定不可能なほどにQが著し
く低くなってしまっており、また、τ・εS が著しく大
きくなってしまっている。PbO+Nb25 が5.0
重量%を超えているサンプルNo. 116でも、Qが著し
く低くなってしまっている。
【0046】なお、焼成温度をサンプルNo. 3より50
℃低くしたサンプルNo. 3−2では、誘電率および他の
電気特性がサンプルNo. 3に比べ低くなってしまってい
る。また、焼成温度をサンプルNo. 110より50℃低
くしたサンプルNo. 110−2でも、誘電率および他の
電気特性がサンプルNo. 110に比べやや低下してお
り、焼結が不十分なために機械的強度もやや低いもので
あった。
【0047】<実施例3>表3に示す構成の積層セラミ
ックコンデンサを作製した。実施例2のサンプルNo. 1
10に用いた仮焼体粉末とCuOとの混合物に、ビヒク
ルを加えて混練し、誘電体層用ペーストを調製した。ま
た、Ag粒子またはCu粒子にビヒクルを加えて混練
し、内部電極層用ペーストを調製した。誘電体層用ペー
ストをコーターを通してシート化し、このシートに内部
電極層用ペーストを印刷した。印刷後、シートを積層
し、熱プレスにより圧着した後、切断し、グリーンチッ
プとした。グリーンチップを空気中で加熱して脱バイン
ダを行なった後、表3に示す温度で焼成した。焼成は、
Ag電極の場合には空気中で行ない、Cu電極の場合に
は還元性雰囲気中で行なった。焼成後、チップ端面に外
部電極を焼き付け、積層セラミックコンデンササンプル
とした。焼成後の寸法は、32mm×16mm×10mmであ
った。
【0048】これらのサンプルについて、容量、1MHz
におけるQ、絶縁抵抗(IR)、誘電率の温度係数(τ
・εs )を測定した。結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】表3に示される結果から、積層セラミック
コンデンサに本発明の誘電体材料を用いた場合、内部電
極層にAgまたはCuを用いることができ、良好な特性
が得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】上段は表1のサンプルNo. 3のX線回折チャー
トであり、下段はNd229 のJCPDSカードの
データである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 澤村 建太郎 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化ネオジムおよび酸化タングステンを
    含み、これらをそれぞれNd23 およびWO3 に換算
    したとき、Nd23 /(Nd23 +WO3 )が28
    〜43モル%であり、Nd229 相を含むことを特
    徴とする誘電体材料。
  2. 【請求項2】 1000℃以下で焼成されたものである
    請求項1の誘電体材料。
  3. 【請求項3】 酸化鉛および酸化ニオブを含み、これら
    をそれぞれPbOおよびNb25 に換算したとき、P
    bO/(PbO+Nb25 )が60〜85モル%であ
    り、 (PbO+Nb25 )/(Nd23 +WO3 )が
    5.0重量%以下である請求項1または2の誘電体材
    料。
  4. 【請求項4】 (PbO+Nb25 )/(Nd23
    +WO3 )が0.2重量%以上である請求項3の誘電体
    材料。
  5. 【請求項5】 Pb3 Nb28 相を含む請求項3また
    は4の誘電体材料。
  6. 【請求項6】 酸化銅を含み、酸化銅をCuOに換算し
    たとき、CuO/(Nd23 +WO3 )が1.0重量
    %以下である請求項1〜5のいずれかの誘電体材料。
  7. 【請求項7】 CuO/(Nd23 +WO3 )が0.
    01重量%以上である請求項6の誘電体材料。
  8. 【請求項8】 960℃以下で焼成されたものである請
    求項3〜7のいずれかの誘電体材料。
  9. 【請求項9】 誘電体層と電極とを有するセラミック部
    品であって、前記誘電体層が請求項1〜8のいずれかの
    誘電体材料を含有することを特徴とするセラミック部
    品。
  10. 【請求項10】 前記電極がAgおよび/またはCuを
    含有するものである請求項9のセラミック部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104671784A (zh) * 2015-02-03 2015-06-03 桂林理工大学 温度稳定型高品质因数微波介电陶瓷Nd2La2W3O15及其制备方法
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