JP2003176173A - 誘電体磁器組成物及び電子部品 - Google Patents

誘電体磁器組成物及び電子部品

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JP2003176173A
JP2003176173A JP2001372181A JP2001372181A JP2003176173A JP 2003176173 A JP2003176173 A JP 2003176173A JP 2001372181 A JP2001372181 A JP 2001372181A JP 2001372181 A JP2001372181 A JP 2001372181A JP 2003176173 A JP2003176173 A JP 2003176173A
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mol
dielectric
composition
ceramic
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JP2001372181A
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English (en)
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Tetsuhiro Takahashi
哲弘 高橋
Taisei Shoji
大成 東海林
Kiyoji Handa
喜代二 半田
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Nippon Chemi Con Corp
Original Assignee
Nippon Chemi Con Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 還元雰囲気焼成が可能で、高い誘電率を維持
した状態で高い電界強度下での容量抵抗積が高く、Bi
as特性に優れ、信頼性の高い積層セラミックコンデン
サ用として好適な誘電体磁器組成物を提供する。 【解決手段】 組成式が(Ba1-x x )TiO3 (但
し、0.003≦x≦0.010)からなる主組成物1
00molに対して、(Ba1-y Cay a ZrO2+a
(但し、0.5≦y≦1.0、0.9≦a≦1.1)で
表される第一添加物を0.2mol以上1.5mol未
満添加し、さらにMnO、MgOからなる第二添加物
と、MO3 (但し、MはMo,Wから選択された元素)
またはA2 5 (但し、AはTa,Nb,Vから選択さ
れた元素)から選択された少なくとも1 種または2種以
上を含む第三添加物及び、(Ba1-z Caz b SiO
2+b (但し、0≦z≦1.0、0.8≦b≦1.2)で
表される酸化物ガラスを含有させるように調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、還元焼成用誘電体
磁器組成物と、その誘電体を用いた積層セラミックコン
デンサなどの電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】積層磁器コンデンサは以下に示すような
方法により作製されるのが一般的である。まず、誘電体
粉末に有機バインダーや可塑剤、有機溶剤を混合してス
ラリーを作製し、ドクターブレード法等によりセラミッ
クグリーンシートを作製する。得られたグリーンシート
上に内部電極となる電極材料を塗布し、複数枚積層して
熱圧着し、一体化させたものを大気中において1000
〜1300℃で焼成して焼成体を作製する。得られた焼
成体の端面に内部電極と電気的に導通する外部電極を焼
き付けることにより積層磁器コンデンサは製造される。
【0003】従来より低温焼成、高誘電率であるという
特徴を示す鉛系誘電体を用いた積層セラミックコンデン
サの内部電極は白金、パラジウム、銀−パラジウムとい
った貴金属が用いられてきた。これは、大気中焼成でも
誘電体材料と反応せず、酸化することによる抵抗の増大
も起らないためであった。しかし、近年の貴金属の高
騰、特にパラジウムが2000円/g以上と高価になっ
ているため、製造コストを高くする原因となっている。
【0004】また、地球的環境問題に対する世界的関心
から、各国において環境法規が整備されており、誘電体
材料に含まれる鉛も電子機器を構成する電子部品に含ま
れている有害物質の一つとして提示されている。現在の
ところ電子セラミック部品に含まれる鉛は適応外となっ
ているものの、鉛を使用しないチタン酸バリウム系の誘
電体を使用する方向になってきている。このように、コ
ストの削減のために、内部電極として卑金属であるNi
を用い、環境の面に配慮した鉛フリーのチタン酸バリウ
ム系の誘電体材料を用いることが、一般的になってきて
いる。
【0005】このように、内部電極として貴金属のPd
(Ag- Pd)ではなく卑金属であるNiを用いる場
合、問題となるのは焼成時の雰囲気である。大気中及び
酸化雰囲気下での焼成ではNiが酸化され、内部電極と
しての役割を果たさなくなる。そのため、還元雰囲気下
での焼成が必要となり、誘電体材料も還元雰囲気で焼成
可能な材料となる。鉛系誘電体材料ではNiがNiOに
変わる酸素分圧でも、PbOがPbになってしまうとい
うことから、この条件下では使用できない。 このため、
鉛フリーのチタン酸バリウム系の誘電体材料を使用しな
くてはならない。
【0006】しかし、この誘電体も還元雰囲気での焼成
では、主成分であるTiの価数が4価から3価に還元さ
れ半導体化すると共に、酸素空位が増加することによる
平均寿命(絶縁劣化時間)の低下が観察される。この対
策として、アクセプターとして働くMnO,Co2 3
等を添加することによるTiの還元を抑制し、再酸化処
理により酸素空位を低減することにより、半導体化する
ことを防止し、ドナーとして働く希土類元素(Y
2 3 ,Ho2 3 ,Dy2 3 )等を添加し陽イオン
空位を形成することにより、平均寿命(絶縁劣化時間)
の低下を防止している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年の電子
機器の高性能化に伴い、中高圧下で使用でき、かつ大容
量であるセラミックコンデンサの需要が増加している。
実際には、携帯電話やビデオカメラのバッテリーチャ
ージャーを代表する小型スイッチング電源、DC/DC
コンバーター等の電源ユニット、蛍光灯などの照明回路
等のインバーター、デジタルスチルカメラ、コンパクト
カメラ等のストロボ回路、MODEM、ISDN等の情
報通信機器を中心に著しい伸びが見られている。このよ
うな小型対応のためには誘電率を大幅に増大させる必要
があり、誘電率4500以上が要求されている。また、
小型化に伴って発熱が大きくなるので、温度特性もX5
R、X7Rが求められている。
【0008】しかしながら、このような要求に対応する
ために前記の従来の材料、例えば特開平6−34273
5、特開平10−255549、特開昭61−1014
59号、特公昭61−14611号等に開示されている
材料を用いた場合、高電界強度下で、高誘電率(>20
00)特性は得られるものの、信頼性の低下(絶縁劣
化)、諸特性の低下、特にDCBias電圧による容量
の低下が問題となっていた。 さらにこのような材料をも
ってしても、誘電率4500以上の高誘電率は得られて
いない。
【0009】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
Ni内部電極積層セラミックコンデンサ用として好適な
還元雰囲気焼成可能で高い誘電率を有し、高電界強度特
性の良好な誘電体磁器組成物を提供することにある。ま
た、静電容量の温度特性がEIA規格で規定するX7R
特性またはX5R特性を満足する信頼性の高い積層セラ
ミックコンデンサなどの電子部品を提供することであ
る。具体的には、誘電率は4500以上を示し、高い電
界強度(3V/μm)で使用した時、静電容量と絶縁抵
抗との積(CR積)が20℃で3000Ω・F以上であ
り、150℃で15V/μmになるように電圧を印加し
た加速寿命試験において絶縁抵抗が105 Ωに達するま
での時間が1000時間以上と長く、また、耐圧が10
0V/μm以上、3V/μmの印可時における静電容量
の低下率が50%以下の特性を有する積層セラミックコ
ンデンサなどの電子部品を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、請求項1に記載
の通り、誘電体材料として、組成式が(Ba1-x x
TiO3 (但し、0.003≦x≦0.010)からな
る主組成物に対して、(Ba1-y Cay a ZrO2+a
(但し、0.5≦y≦1.0、0.9≦a≦1.1)で
表される第一添加物を0.2〜1.5mol添加し、さ
らにMnO、MgOからなる第二添加物と、MO3 (但
し、MはMo,Wから選択された元素)またはA2 5
(但し、AはTa,Nb,Vから選択された元素)から
選択された少なくとも1 種または2種以上を含む第三添
加物及び(Ba1-z Caz b SiO2+b (但し、0≦
z≦1.0、0.8≦b≦1.2)で表される酸化物ガ
ラスを有することを特徴とする誘電体磁器組成物を用い
ることにより、上記課題を達成し得ることを見出した。
【0011】主成分である(Ba1-x x )TiO3
上記の各添加物を添加する場合、まず、添加物を110
0℃以上の高温で仮焼きし、粉砕することにより均一化
し、これを主組成物の(Ba1-x x )TiO3 に添加
することが好ましい。この方法により焼結した後に粒界
に選択的にこれらの添加物を均一に析出させることが可
能となり、絶縁抵抗及び信頼性の向上が見られる。ま
た、添加物の比重差が小さいために、より均一なグリー
ンシートを作製することも可能である。
【0012】請求項1記載の通り、組成式が(Ba1-x
x )TiO3 (但し、0.003≦x≦0.010)
からなる主組成物に対して、(Ba1-y Cay a Zr
2+ a (但し、0.5≦y≦1.0、0.9≦a≦1.
1)で表される第一添加物と、MnO、MgOからなる
第二添加物とMO3 (但し、MはMo,Wから選択され
た元素)またはA2 5 (但し、AはTa,Nb,Vか
ら選択された元素)から選択された少なくとも1 種また
は2種以上を含む第三添加物及び、(Ba1-zCaz
b SiO2+b (但し、0≦z≦1.0、0.8≦b≦
1.2)で表される酸化物ガラス等の置換量及び元素を
選択したのは、以下の理由による。
【0013】主組成物である(Ba1-x x )TiO3
のイットリアの置換量xが0.003≦x≦0.01
0、さらに0.003≦x≦0.008であることが望
ましい。この範囲未満では、Bias特性及び信頼性の
向上の効果が低減する。この範囲を超えると、誘電率が
低下してしまう。
【0014】(Ba1-y Cay a ZrO2+a で表され
る第一添加物のyが0.5〜1.0、さらに0.7〜
1.0の間に、aが0.9〜1.1、さらに0.95〜
1.05の間の間にあることが望ましい。yがこの範囲
未満では絶縁抵抗、信頼性の向上の効果が低減する。ま
た、aがこの範囲未満では、主組成物と過剰に反応を起
こし、粒成長を引き起こす場合がある。そのため、誘電
体特性(特に温度特性)を低下させてしまう。一方、こ
の範囲を超えると、誘電率を向上させる効果が低減して
しまう。
【0015】そして、(Ba1-y Cay a ZrO2+a
(但し、0.5≦y≦1.0、0.9≦a≦1.1)で
表される第一添加物の添加量が0.2〜1.5molで
あることが望ましい。添加量がこの範囲未満では、誘電
率、絶縁抵抗、信頼性の向上に効果が無く、この範囲を
超えると、Bias特性、温度特性を低下させてしま
う。
【0016】MO3 (但し、MはMo,Wから選択され
た元素)またはA2 5 (但し、AはTa,Nb,Vか
ら選択された元素)から選択された少なくとも1 種また
は2種以上を含む第三添加物を添加することが望まし
い。 M成分のMo,Wまたは、A成分のTa,Nb,V
はほぼ同じような特性を示し、これらから選択された1
成分を使用しても、組み合わせて使用しても同様な結果
が得られている。
【0017】(Ba1-z Caz b SiO2+b で表され
る酸化物ガラスのzが0〜1.0の間に、bが0.8〜
1.2の間にあることが望ましい。焼結性の向上という
点では、zは0でも効果はほとんど変わらないが、絶縁
抵抗を改善させることでは、置換量zは0.5以上が好
ましい。 また、bがこの範囲未満では、主組成物と過剰
に反応を起こし、粒成長を引き起こす場合がある。その
ため、誘電体特性(特に温度特性)を低下させてしま
う。一方、この範囲を超えると、誘電率が低下すると共
に、その他の特性も悪化させてしまう。
【0018】請求項2に記載のMnO、MgOからなる
第二添加物とMO3 (但し、MはMo,Wから選択され
た元素)またはA2 5 (但し、AはTa,V,Nbか
ら選択された元素)から選択された少なくとも1 種また
は2種以上を含む第三添加物、(Ba1-z Caz b
iO2+b (但し、0≦z≦1.0、0.8≦b≦1.
2)で表される酸化物ガラスは、それぞれ主組成物であ
る(Ba1-x x )TiO3 100molに対して各添
加物が 第二添加物:0.5〜2.0mol、 第三添加物:0.02〜0.15mol、 酸化物ガラス:0.2〜1.5mol 0<第二添加物のMnO≦0.2molとしたのは、以
下の理由による。
【0019】第二添加物であるMnO、MgOが0.5
mol≦MnO+MgO≦2.0mol、さらに1.0
mol≦MnO+MgO≦2.0mol、かつ0mol
<MnO≦0.2molであることが望ましい。MnO
とMgOの合計の添加量がこの範囲未満では、EIA規
格で規定されているX7R特性またはX5R特性の高温
側の変化率が大きくなり、この範囲を超えると、急激に
信頼性及び誘電率が低下してしまう。そして、MnOが
0のとき、誘電損失が大きく、絶縁抵抗、Bias特性
の向上に効果が無い。MnOが0.2を超えると、絶縁
抵抗が低下すると共に信頼性が低下してしまう。
【0020】また、MO3 (但し、MはMo,Wから選
択された元素)またはA2 5 (但し、AはTa,V,
Nbから選択された元素)から選択された少なくとも1
種または2種以上を含む第三添加物を0.02〜0.1
5mol、さらに0.05〜0.10mol添加するこ
とが望ましい。この範囲未満では誘電率、信頼性の向上
に効果が無く、この範囲を超えると誘電損失が大きくな
り、温度特性がX7R特性、X5R特性を満足しない。
【0021】(Ba1-z Caz b SiO2+b (但し、
0≦z≦1.0、0.8≦b≦1.2)で表される酸化
物ガラスの添加量が0.2〜1.5mol、さらに0.
3〜1.0molの間にあることが望ましい。この範囲
未満では、焼結助剤としての役割が低下し、この範囲を
超えてしまうと、誘電率が低下すると共に、耐圧も悪化
させてしまう。
【0022】また、請求項3に記載のにように、主組成
物の平均粒径を0.5〜0.8μmにすることが望まし
い。この範囲未満では誘電率4500以上が得られず、
この範囲を超えてしまうと、DCBias特性及び信頼
性が悪化してしまう。
【0023】そして、(Ba1-x x )TiO3 の平均
粒径が0.5〜0.8μmである原料に平均粒径0.1
μm以下の添加剤を混合することが望ましい。これによ
り、焼成時に均一な焼結が行われるため、クラックを生
じ難くなる。そのため、層厚が5〜25μmの広範囲に
おいて、安定した電気特性が得られる。
【0024】また、請求項4に記載のように、誘電体磁
器組成物を前記のような組成範囲にすることにより、還
元雰囲気下で1100〜1200℃の焼成温度で焼成可
能であり、高誘電率を有し、高電界強度特性の良好な誘
電体材料を得ることができる。
【0025】さらに、請求項5に記載のように、前記の
誘電体組成物を用いたNi内部電極を用いた積層セラミ
ックコンデンサは、X5RまたはX7Rの温度特性を有
し、誘電率が4500以上で、高い電界強度下(3V/
μm)での容量抵抗積が20℃で3000Ω・F以上で
耐圧も100V/μm以上と極めて高く、3V/μmの
印可における静電容量の低下率が50%以下で、150
℃で15V/μmになるように電圧を印加した加速寿命
試験での絶縁抵抗の劣化に至るまでの時間が1000時
間以上である電子部品である。
【0026】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。 [1.製造工程] [1−1.誘電体スラリーの調製]誘電体ベース材料と
して、平均粒径が0.6μmの(Ba1-x x )TiO
3 を用いた。なお、この(Ba1-x x )TiO3 はシ
ュウ酸塩共沈法で得られたものを使用した。また、第一
添加物である(Ba1-y Cay a ZrO2+a も共沈法
で作製したものを使用した。第二添加物(MnO、Mg
O)及び第三添加物MO3 、A2 5 )の酸化物は、そ
れぞれ、表1に示した組成に従って所定の量を秤量し
た。これらをアルミるつぼに入れ、1150℃で4時間
の仮焼を行った。次に、得られた仮焼粉を、ジェットミ
ル、アトライタミルなどの微粉砕機を用いて粉砕するこ
とにより、平均粒径が0.1μmの酸化物粉末を得た。
なお、この酸化物粉末は、作製条件により一部または全
部がガラス化する場合があるが、その組成が均一であれ
ば得られる特性には大きな差はない。
【0027】(Ba1-z Caz b SiO2+b で表され
る酸化物ガラスは、BaCO3 、CaCO3 ,SiO2
をボールミルにより24時間湿式混合し、乾燥後、11
50℃の空気中で焼成し、ジェットミル、アトライタミ
ルなどの微粉砕機を用いて粉砕することにより、製造し
た。
【0028】以上のようにして得られた誘電体ベース材
料と酸化物粉末及び酸化物ガラスから、元素の配合比率
の異なる複数の誘電体原料を作製した。すなわち、各誘
電体原料1000gに対して、水とエチルアルコール及
び分散剤を80:19:1で混合した溶剤を700g入
れ、ホモジナイザーを用いて分散させた。この混合物
を、通常の良く知られている分散方法であるボールミル
やアトリッションミルを用いて20時間分散させた後、
さらに水性エマルジョンとアクリル樹脂と可塑剤を含む
溶液を入れて、複数種類の誘電体スラリーを作製した。
なお、これらのスラリーの粘性はいずれも約200cp
sに調整した。
【0029】[1−2.グリーンチップの作製]上記の
ようにして得られた誘電体スラリーを用いて、ダイコー
ターにより、PETフィルム上に12μmの厚さを持つ
グリーンシートを成形し、このグリーンシート上に、内
部電極用ペーストを1.5μmの厚みで印刷した。な
お、内部電極用ペーストとしては、平均粒径0.4μm
のNi粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセル
ロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量部に
溶解したもの)40重量部、及びブチルカルビトール1
0重量部とを、3本ロールにより混練し、ペースト化し
たものを使用した。
【0030】次いで、PETフィルムからシートを剥離
して積層し、80℃で1トン/cm 2 の静水圧を用いて
加圧接着してグリーンチップを得た。有効積層数は20
0層とした。次に、このグリーンチップを所定サイズに
切断し、金属板セッターに搭載し、脱バインダー処理、
焼成及びアニールを、下記の条件で連続的に行ない、コ
ンデンサ素子を作製した。なお、脱バインダー処理、焼
成及びアニールの条件は、以下の通りである。また、そ
れぞれの雰囲気ガスの加湿にはウェッターを用いた。
【0031】(脱バインダー処理) 昇温速度:20℃/時間 保持温度:320℃ 温度保持時間:12時間 雰囲気ガス:空気中 (焼成) 昇温速度:250℃/時間 保持温度:1100℃〜1200℃ 温度保持時間:4時間 冷却速度:250℃/時間 雰囲気ガス:加湿したN2 とH2 との混合ガス 酸素分圧:1×10-10 atm (アニール) 保持温度:950℃ 温度保持時間:8時間 昇温、降温速度:200℃/時間 雰囲気ガス:加湿したN2 ガス 酸素分圧:2×10-5atm
【0032】[1−3.バレル処理・外部電極の形成]
得られたコンデンサ素子の端面をバレル処理により研磨
した後、平均粒径0.5μmのCu粒子100重量部
と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブ
チルカルビトール92重量部に溶解したもの)35重量
部、及びブチルカルビトール7重量部とを混練し、ペー
スト化した外部電極用ペーストを前記端面に転写し、N
2 雰囲気中で750℃にて10分間焼成して外部電極を
形成し、図1に示すような構成を有する積層セラミック
コンデンサ(以下、MLC)を得た。なお、図におい
て、1は誘電体層、2は内部電極、3は外部電極であ
る。上記のようにして製造したサンプルのサイズは、
4.5×3.2×2.5mmであり、有効誘電体層の厚
さは8μm×200層、内部電極層の厚さは約1.0μ
mであった。各サンプルについて下記に示す特性の評価
を行った。
【0033】(容量の温度特性)容量の温度特性は、E
IA規格のX7RまたはX5R特性を満足するか否かを
調べた。具体的には、LCRメータにより、X7R特性
は−55〜125℃について測定電圧1Vで容量を測定
し、容量変化率が±15%以内(基準温度25℃)を満
足するか否かを調べた。また、X5R特性は−55〜8
5℃について測定電圧1Vで容量を測定し、容量変化率
が±15%以内(基準温度25℃)を満たすかどうか調
べた。満足する場合を○、満足しない場合を×とした。
【0034】(比誘電率εs及び誘電損失)20℃にお
ける静電容量を測定し、電極面積と誘電体の厚みから比
誘電率を測定した。なお、誘電率と誘電損失は1vrm
s、1.0kHzでの値を用いた。
【0035】(耐圧)MLC素子に電圧を印可して電流
が10mA以上流れた電圧を耐圧とした。測定数は各組
成ごとに50個であり、中心値を代表値とした。
【0036】(容量抵抗積)素子を20℃の恒温槽に放
置し、10分後に容量と誘電体厚み1μm当り3V印可
した時の絶縁抵抗の1分値を測定し、その値と容量の積
をCR積とした。
【0037】(DC Bias特性)まず、1kHz、
1VrmsのAC電圧を印可した時の静電容量を測定し
た後、DC24V(3V/ μm)と1kHz、1Vrm
sのAC電圧を同時に印可した時の静電容量を測定し
た。得られた測定値により、静電容量の低下率を算出し
た。
【0038】(加速寿命試験)加速寿命試験として、温
度150℃にて直流電圧を120V(15V/μm)印
可して、その絶縁抵抗の経時変化を測定した。 なお、加
速寿命試験では、各試料の絶縁抵抗値が105 Ω以下に
なったときの時間をIR寿命時間とし、複数の試料につ
いての平均寿命時間を求めた。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】[ 1.試験結果]表1及び表2に示したサ
ンプルNo.1〜No.7の結果から、イットリアの置
換量が適応範囲外の0.003未満の場合(No.1,
2)、IR寿命時間が極端に短くなっている。 また、
適応範囲を超えた場合(No.7)、焼結性が低下する
ため焼結が不十分となってしまう。このため、誘電率、
絶縁抵抗、耐圧及びIR寿命時間が低下することが確認
できた。 更に焼成温度を高くすることにより焼結性を
向上させることは可能であるが、高温になるに従って内
部電極が切れやすくなり、容量の低下または、構造欠陥
を引き起こす可能性が高くなってしまう。
【0042】そして、(Ba1-y Cay a ZrO2+a
について、サンプルNo.8〜No.23の結果から、
カルシウムの置換量が適用範囲未満のNo.8では、絶
縁抵抗の向上に効果がないことが確認できる。また、
(Ba,Ca)/Zrの比が適用範囲外のNo.12、
No.17では、十分な誘電率または温度特性を得るこ
とができない。また、添加量が適用範囲外のNo.1
8、23では、同じく十分な誘電率または温度特性を得
ることができない。
【0043】サンプルNo.24〜No.33の結果か
ら、MgO,MnOの配合比及び添加量が、今回評価を
行った特性すべてに影響していることが確認できた。M
nOは、特に誘電損失、Bias特性への影響が大き
く、MgOは温度特性、信頼性への影響が大きいことが
確認できた。
【0044】サンプルNo.34〜No.48の結果か
ら、MO3 (Mo,W)とA2 5(Ta,V,Nb)
を比較して、適応範囲内ではどの元素を選択または組み
合わせても十分に信頼性を確保できる。
【0045】サンプルNo.49〜No.63の結果か
ら、酸化物ガラスのCaCaを置換させることで、絶縁抵
抗特性が向上していることがわかる。そして、(Ba,
Ca)/Siを適応範囲内とすることによって、信頼
性、焼結性とも向上している。さらに、酸化物ガラスの
添加量を適応範囲内とすることによって、焼結性が向上
し、誘電率、耐圧が向上している。
【0046】サンプルNo.64〜No.68の結果か
ら、主成分の粒径を適応範囲内とすることによって、誘
電率と信頼性が向上していることがわかる。
【0047】表1、表2から明らかなように、本発明に
係る誘電体組成を持つサンプルの各特性は、いずれも本
発明の範囲外の誘電体組成を持つサンプルに比べて格段
に優れている。すなわち、本発明に係る誘電体組成を用
いた場合には、誘電率が高く、耐圧に優れたMLCを製
造することができる。また、得られたMLCは高い電界
強度下でも極めて高い絶縁抵抗を示し、さらにDCバイ
アス印可時の静電容量の低下率も小さく、信頼性も高
い。
【0048】[2.他の実施例]なお、本発明は、前記
実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他
にも多種多様な変形例を実施可能である。例えば、誘電
体磁器組成物の具体的な組成は、本発明の範囲内で適宜
選択可能である。同様に、電極用金属の組成やバインダ
ーの組成等も、適宜選択可能である。さらに、具体的な
製造工程や各工程の条件も適宜選択可能である。例え
ば、脱バインダー処理や焼成、アニールにおける温度条
件や昇温・降温速度条件、雰囲気ガス条件等は、適宜選
択可能である。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
還元雰囲気焼成が可能で、4500以上もの高い誘電率
を維持した状態で高い電界強度下(3V/μm)での容
量抵抗積が高く、Bias特性に優れ、信頼性の高い積
層セラミックコンデンサ用として好適な誘電体磁器組成
物を提供することができる。また、そのような組成物を
用いて、EIA規格のX7R特性またはX5Rを満たす
ことが可能な、高性能で信頼性の高い積層セラミックコ
ンデンサなどの電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層セラミックコンデンサの構成
を示す斜視図
【符号の説明】
1・誘電体層 2・内部電極 3・外部電極
フロントページの続き Fターム(参考) 4G031 AA03 AA04 AA06 AA08 AA11 AA12 AA13 AA14 AA15 AA17 AA18 AA19 AA28 BA09 GA01 5E001 AB03 AE02 AE03 AF03 AH01 AH09 AJ02 5G303 AA01 AB06 AB11 BA12 CA01 CB03 CB17 CB18 CB35 CB37 CB40 CD01 CD04 CD06 CD07 DA05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式が(Ba1-x x )TiO3 (但
    し、0.003≦x≦0.010)からなる主組成物1
    00molに対して、(Ba1-y Cay a ZrO2+a
    (但し、0.5≦y≦1.0、0.9≦a≦1.1)で
    表される第一添加物を0.2mol以上1.5mol未
    満添加し、さらにMnO、MgOからなる第二添加物
    と、MO3 (但し、MはMo,Wから選択された元素)
    またはA2 5 (但し、AはTa,Nb,Vから選択さ
    れた元素)から選択された少なくとも1 種または2種以
    上を含む第三添加物及び、(Ba1-z Caz b SiO
    2+b (但し、0≦z≦1.0、0.8≦b≦1.2)で
    表される酸化物ガラスを有することを特徴とする誘電体
    磁器組成物。
  2. 【請求項2】 主組成物(Ba1-x x )TiO3 10
    0molに対して、各添加物の比率が 第二添加物:0.5〜2.0mol 第三添加物:0.02〜0.15mol 酸化物ガラス:0.2〜1.5mol 0<第二添加物のMnO≦0.2molであり、前記添
    加物の平均粒径は0.1μm以下であることを特徴とす
    る請求項1記載の誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 主組成物である(Ba1-x x )TiO
    3 の平均粒径が0.5μm〜0.8μmである請求項1
    記載又は請求項2記載の誘電体磁器組成物。
  4. 【請求項4】 セラミック誘電体層を有する電子部品で
    あり、前記セラミック誘電体層が請求項1〜3記載の誘
    電体組成である電子部品。
  5. 【請求項5】 前記セラミック誘電体層とNi内部電極
    とが交互に積層してある積層セラミックコンデンサ本体
    を有する請求項4記載の電子部品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008207972A (ja) * 2007-02-23 2008-09-11 Tdk Corp 誘電体磁器組成物および電子部品
JP2014198660A (ja) * 2013-03-29 2014-10-23 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.Samsung Electro−Mechanics Co., Ltd. 誘電体磁器組成物及びこれを含む積層セラミックキャパシター
CN105174941A (zh) * 2015-09-08 2015-12-23 山东国瓷功能材料股份有限公司 一种高可靠x8r型多层陶瓷电容器用介质材料及其制备方法

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