JP3564493B2 - 加入者線試験装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交換機に接続された加入者線の試験技術に係り、特に、加入者線に誘導・印加される外来電圧の混触の有無や加入者線の絶縁抵抗の良否等の判定を効率良く行なうのに好適な加入者線試験装置および方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、交換機に接続された加入者線路が正常であるか否かを試験するにあたっては、交換局に専用の試験機を用意し、この試験機により、交換局から見た線路の状態(加入者線の絶縁抵抗など)を測定する技術が、例えば、日本電信電話公社施設局編集の『「施設」 第34巻 No.1』(1982年発行)の第70頁から第87頁に記載されている。
しかし、このような専用の試験機は高価であり、また、精度の高い測定ができる代わりに、測定に時間がかかってします。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、従来の技術では、加入者線の試験を行なうために、高価な専用試験機を交換局に用意しなければならない点と、時間がかかってしまう点である。
本発明の目的は、これら従来技術の課題を解決し、加入者線の試験の簡便化および効率化を図ることを可能とする加入者線試験装置および方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の加入者試験装置は、(1)加入者線(41),(42)への外来電圧の印加の有無の判定と加入者線の絶縁抵抗の良否の判定を行なう加入者線試験装置であって、加入者線(41),(42)のいずれかに切り替えてそれぞれ接続される端子(41a),(42a)と、端子(42a)とアース間に接続された抵抗RBと、抵抗RBのアース側に正極が接続された直流電源VBBと、直流電源VBBの負極と端子(41a)間に接続された抵抗RAと、抵抗RAの短絡用のスイッチ手段SAと、抵抗RBの短絡用のスイッチ手段SBと、スイッチ手段SBを開きスイッチ手段SAを閉じて抵抗RAを短絡させた状態で、抵抗RBの端子(42a)側に流れる電流もしくは発生する電圧を測定する電流・電圧測定手段と、この電流・電圧測定手段で測定した電流もしくは電圧と所定のしきい値(VTH1)とを比較する比較手段(20)と、電流・電圧測定手段で測定した電流もしくは電圧を第1の所定時間間隔で平均化して平均値を得る平均化手段と、この平均化手段で得た平均値の第2の所定時間間隔での変動が所定のしきい値(VTH0)以下に安定することを検知する安定化検知手段と、この安定化検知手段による平均値の変動の安定状態の検知後に比較手段(20)の比較結果を出力するゲート手段(22)と、ゲート手段(22)から出力される比較手段(20)の比較結果に基づき加入者線(41),(42)への外来電圧の印加の有無を判定する外来電圧印加判定手段と、この外来電圧印加判定手段での加入者線(41),(42)への外来電圧の印加の無しとの判定の後に、スイッチ手段SAを開きスイッチ手段SBを閉じて抵抗RBを短絡させた状態で、抵抗RAの端子(41a)側に流れる電流もしくは発生する電圧を電流・電圧測定手段で測定して平均化手段で平均化した値と所定のしきい値(VTH2)とを比較する比較手段(21)と、比較手段(21)の比較結果を、安定化検知手段による抵抗RAの端子(41a)側に流れる電流もしくは発生する電圧の平均値に対する変動の安定状態の検知後に出力するゲート手段(23)と、ゲート手段(23)から出力される比較手段(21)の比較結果に基づき加入者線(41),(42)の絶縁抵抗の良否を判定する絶縁抵抗良否判定手段とを有することを特徴とする。
また、(2)上記(1)に記載の加入者線試験装置において、加入者回路に内蔵され、直流電源VBBと抵抗RA,RBおよびスイッチ手段SA , SBとして、加入者回路の入力部回路のものを流用し、安定化検知手段は加入者回路のアナログ部もしくはデジタル部のLSIに内蔵されることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明においては、加入者線に誘導・印加される外来電圧が規定値よりも大きいか否か、また、加入者線の絶縁抵抗が十分高いか否かを判定し、加入者線路の正常性を試験するが、このような試験を、安価で簡便、かつ高速に行なうことができる。例えば、本発明においては、直流電源と抵抗およびスイッチ等からなる電流・電圧測定部で、加入者線の電流もしくは電圧を測定する。すなわち、直流電源の一端をアースに接続し、この直流電源と加入者線間に直列に抵抗を接続し、この抵抗に流れる電流、もしくは抵抗に発生する電圧を測定する。
【0006】
次に、平均化処理部により、この測定した電圧/電流を第1の所定時間間隔で平均化する。そして、タイマーやメモリ等からなる安定化検知部により、この平均化した測定結果の第2の所定時間間隔での変動を監視し、この変動が所定のしきい値(VTH0)以下に安定することを検知する。この検知後に、外来電圧印加判定部により、例えば測定電圧もしくは電流をしきい値処理することにより、加入者線への外来電圧の混触の有無など、加入者線に異常な電圧が印加されているか否かを判定する。また測定電圧もしくは電流の平均値をしきい値処理することにより、加入者線間および加入者線とアース間の絶縁抵抗の良否を判定する。
【0007】
以下、電流・電圧測定部や安定化検知部などの具体的な詳細構成を含め、本発明の具体的な実施例を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の加入者線試験装置の本発明に係る構成の一実施例を示すブロック図である。
本図1において、1は加入者線に流れる電流もしくはこの電流で生成される電圧を測定する電流・電圧測定部、2は電流・電圧測定部1で測定した電流もしくは電圧を所定の時間間隔(第1の所定時間間隔)で平均化して平均値を算出する平均化処理部、3は平均化処理部2で平均化した電流もしくは電圧の平均値の変動が所定のしきい値(VTH0)以下に安定することを検知する安定化検知部、4は安定化検知部3による平均値の変動の安定状態の検知後、電流・電圧測定部1で測定した電流もしくは電圧に基づき加入者線への外来電圧の印加の有無を判定する外来電圧印加判定部、5は外来電圧印加判定部4による加入者線への外来電圧の印加無しとの判定後、電流・電圧測定部1で測定し平均化処理部2で平均化した電流もしくは電圧の平均値に基づき加入者線の絶縁抵抗の良否を判定する絶縁抵抗良否判定部である。
【0008】
外来電圧印加判定部4は、比較判定部4aと判定結果出力部4bを有し、比較判定部4aにより、電流・電圧測定部1で測定した電流もしくは電圧を所定のしきい値(VTH1)と比較して加入者線への外来電圧の印加の有無の判定を行ない、判定結果出力部4bにより、この比較判定部4aによる判定結果を、安定化検知部3による加入者線の電流もしくは電圧の平均値の変動の安定状態の検知後に出力する。
【0009】
また、絶縁抵抗良否判定部5も、同様に、比較判定部5aと判定結果出力部5bを有し、比較判定部5aにより、電流・電圧測定部1で測定し平均化処理部2で平均化した電流もしくは電圧の平均値を所定のしきい値(VTH2)と比較して加入者線の絶縁抵抗の良否の判定を行ない、判定結果出力部5bにより、比較判定部5aによる判定結果を、外来電圧印加判定部4による加入者線への外来電圧の印加無しとの判定後に出力する。
次の図2を用いて、このような構成の加入者線試験装置による、加入者線への外来電圧の印加の有無の判定および加入者線の絶縁の良否の判定を少なくとも含む本発明に係る加入者線の試験動作例を説明する。
【0010】
図2は、図1における加入者線試験装置の本発明に係る一動作例を示すフローチャートである。
まず、図1の電流・電圧測定部1により、加入者線の電流もしくは電圧を測定する(ステップ201)。この測定した電流もしくは電圧を、図1の平均化処理部2により、所定の時間間隔で平均化して平均値を算出する(ステップ202)。図1の安定化検知部3により、この平均値の変動が、所定のしきい値(VTH0)以下に安定することを検知する(ステップ203)。
【0011】
そして、この安定化検知部3により平均値の変動が安定したことを検知した後に、図1の外来電圧印加判定部4により、加入者線への外来電圧の印加の有無を判定する(ステップ204)。すなわち、図1の外来電圧印加判定部4は、まず、比較判定部4aにより、図1の電流・電圧測定部1で測定した電流もしくは電圧を所定のしきい値(VTH1)と比較して加入者線への外来電圧の印加の有無を判定し(ステップ205)、この判定結果を、安定化検知部3による検知動作後に、判定結果出力部4bにより出力する(ステップ206)。
【0012】
ステップ204における判定結果が、加入者線への外来電圧の印加無しであれば(ステップ207)、図1の平均化処理部2で得た電流もしくは電圧の平均値に基づき、図1の絶縁抵抗良否判定部5により、加入者線の絶縁抵抗の良否を判定する(ステップ208)。すなわち、図1の絶縁抵抗良否判定部5は、まず、比較判定部5aにより、電流・電圧測定部1で測定し平均化処理部2で得た電流もしくは電圧の平均値を所定のしきい値(VTH2)と比較して、加入者線の絶縁抵抗の良否の判定を行ない(ステップ209)、判定結果出力部5bにより、この判定結果を、外来電圧印加判定部4による加入者線への外来電圧の印加無しとの判定後に出力する(ステップ210)。
【0013】
次に、図3〜図8を用いて、本発明に係る加入者線試験装置の具体的な構成および動作例を説明する。
図3は、図1における加入者線試験装置の具体的な一構成例を示すブロック図であり、図4は、図1および図3における加入者線試験装置による試験対象の加入者線および試験項目に係る要素の等価回路を示すブロック図である。
図4において、41,42は試験対象の加入者線(図中、「A線、B線」と記載)、43は試験項目としての絶縁抵抗、44は加入者線41,42の線路容量、45は試験項目としての外来電圧、46は容量つきのモジュラージャック(内部に抵抗100kΩと容量270nFが直列に接続されており、図中、「CMJ」と記載)、47は電話機等の端末である。
【0014】
本例で示す等価回路における絶縁抵抗43および外来電圧45が試験の対象となる。すなわち、図1および図3に示す本実施例の加入者線試験装置は、加入者線路に関する次の項目を試験し、良否の判定を行なう。
a)外来電圧45の印加に関して:
・交流誘導
・加入者回路電源(通常−48V、以下、「VBB」と記載)などとの混触
・AC電源(例えば100VAC)との混触
b)絶縁抵抗43に関して:
・線路の対地間抵抗RAG,RBG
・線間絶縁抵抗RAB
【0015】
図3において、11は本発明に係る加入者線試験装置、12は一端をアースに接続した直流電源、13,14は直流電源12に直列に接続された抵抗(図中、「RA,RB」と記載)、13a、14bは抵抗13,14と直流電源12との接続を制御するスイッチ(図中、「SA,SB」と記載)、15は抵抗13,14に発生する電圧を検出する電圧検出回路、16は電圧検出回路15で検出した電圧を第1の所定時間間隔で平均化処理して平均値を得る平均化処理回路(図中、平均化処理と記載)、17は平均化処理回路16で得られた平均値の変動を第2の所定時間間隔(Δt)で監視する監視回路(図中、「タイマー」と記載)、17aは平均化処理回路16でΔt時間前に得られた値(V(t−1))を記憶しておくメモリ、18は連続する時間間隔(Δt)における平均化処理回路16で得られた平均値の差を計算する差算出回路、19は差算出回路18で計算した平均値の差が所定の値(VTHO)よりも小さくなった時点を検出する平均値差検出回路、20,21は電圧検出回路15で検出した検出電圧もしくは平均化処理回路16で得た平均値をしきい値処理するしきい値処理回路、22,23はしきい値処理回路20,21の出力を開閉するゲート、41a、42aは、図4における加入者線41,42に接続する測定端子である。
【0016】
本実施例における試験は、図4における加入者線41,42に、抵抗13,14を介して直流電源12を接続し、抵抗13,14の両端の電圧を電圧検出回路15で検出し、平均値差検出回路19およびしきい値処理回路20,21でしきい値処理を行なうことにより、図4における絶縁抵抗43および外来電圧45の良否判定を行なう。
【0017】
図4における外来電圧45の試験については、抵抗13,14に電流が流れ込むのを検出すれば良いので、直流電源12は不要であるが、図4の絶縁抵抗43の試験については、図4の加入者線41,42に電流が流れるか否かを調べなければならないので、直流電源12が必要である。ここでは、同一の回路で、上述の全ての項目を判定するため、直流電源12の両端に抵抗13,14を接続し、測定項目に応じてスイッチ13a、14aでその接続を切替ることとする。
尚、抵抗13,14は数10k〜100kΩの程度である。
【0018】
直流電源12の電圧は任意で良いが、例えば、加入者回路の電源と同一の電源を利用するとして、VBBとする。この場合、加入者回路電源VBBとの混触を検出するためには、GND(アース)側の抵抗14で検出しなければならないので、スイッチ13aを閉じ、スイッチ14aを開いて測定を行なう。
また、図4における外来電圧45の各試験項目は、同時に発生する可能性があるので、加算的に検出できるように、同一スイッチ配列にする。すなわち、上述のスイッチ構成で加算的な外来誘導・混触電圧が検出できる。
このような試験で、外来誘導・混触電圧が検出されなかった場合に限り、次の絶縁抵抗試験を正しく実行することができる。
【0019】
図4の絶縁抵抗43の試験の場合は、外来電圧の試験の場合とは逆に、スイッチ13aを開き、スイッチ14aを閉じて測定を行なう。
試験判定用の電圧は、交流誘導などの交流分を除去した平均電圧を用いる。
絶縁抵抗の試験の2つの項目、すなわち線路の対地間抵抗RAG,RBGと線間絶縁抵抗RABは、それぞれ独立には測定できず、両者の並列抵抗が検出される。測定端子41a,42aに、図4の加入者線41,42を入れ替えて接続して測定することにより、各加入者線41,42について試験することができる。
【0020】
抵抗13,14で発生した電圧は、電圧検出回路15により、差動電圧として取り出される。この差動電圧すなわち検出電圧V(t)は、図4における線路容量44および電話機などの端末47に含まれる抵抗や容量のために、安定するまでに時間を要する。この安定化時間は、図4に示す端末47の種類や接続数によって異なる。想定される最大負荷は、いわゆる600型電話機を3台接続したものである。この時、負荷容量は3μF程度となり、抵抗13または抵抗14とからなる回路の時定数は100〜300msの程度となる。
一方、想定される最小の端末負荷は、図4の容量付きモジュラージャック46のみが接続されたものであり、この時の当該時定数は数10msとなる。ただし、線路容量は無視している。
【0021】
以上のことから、図4の加入者線41,42に接続される端末47によって、安定時間は数倍程度異なる。
最大負荷を想定して安定化時間を長めにとっておけば、試験は正しく行なえるが、それでは試験時間が長くなってしまう。そこで、本実施例の加入者線試験装置1では、高速に試験を行なうために、電圧検出回路15で取り出した検出電圧V(t)を常に監視して、その変化が所定のしきい値以下になると電圧が安定したとして、試験を開始するという構成にしている。
【0022】
すなわち、まず、交流誘導などで電圧検出回路15の検出電圧V(t)が振動している場合を考慮して、平均化処理回路16により平均化処理を行ない、検出電圧V(t)の変化を滑らかにする。これにより、商用交流電源(50/60Hz)の影響などを除去する。例えば、電圧監視間隔時間Δtを「0.1sec」とすると、平均化処理は、例えば10Hzをカットオフ周波数とする低域通過フィルタ、またはV(t)をデジタル値に変換した後デジタル信号処理プロセッサ(DSP)により、0.1sec間平均化演算を行なうなどして実行する。
【0023】
この処理により得られた平均電圧をV’(t)とする。メモリ17aにより、このV’(t)のΔt時間前の値を記憶しておき、差算出回路18により、|V’(t)−V’(t−Δt)|を計算し、これを、平均値差検出回路19により、所定のしきい値(安定化判定しきい値、VTH0)と比較し、それよりも下回った時点で試験処理を行なう。すなわち、しきい値処理回路20により、電圧検出回路15の検出電圧V(t)を、良否判定用しきい値(VTH1)と比較して、ゲート22を介して出力されたその比較結果により、図4における外来電圧45の有無を判定し、また、しきい値処理回路21により、平均化処理回路16の平均化処理結果「V’(t)」を、良否判定用しきい値(VTH2)と比較して、ゲート23を介して出力されたその比較結果により、図4における絶縁抵抗43の良否判定を行なう。尚、ゲート22の出力が「1」ならば「外来電圧有」、「0」ならば「絶縁抵抗不良」と判定する。
【0024】
以下、図5〜図8を用いて、図3における加入者線試験装置11の動作説明を行なう。
図5,図6は、図3の加入者線路試験装置の最大想定負荷時における各点の電位変化の例を示す説明図であり、図7,図8は、図3の加入者線路試験装置の最小想定負荷時における各点の電位変化の例を示す説明図である。
図5(a)においては、外来電圧試験で「良」と判定される限界の交流誘導が加わった状態で、例えば600型電話機を3台接続した最大負荷想定時での、検出電圧V(t)、また図5(b)においては、その平均電圧V’(t)、そして、図6においては、その差分|V’(t)−V’(t−Δt)|の時間変化についてのシミュレーション結果例をそれぞれ示し、また、図7(a),(b)および図8において、モジュラージャックのみ接続した最小負荷想定時での同様の結果例を示す。
【0025】
安定化判定しきい値(VTH0)を「0.5V」とした時、図6においては「0.8sec」、また図8においては「0.3sec」で、それぞれ電圧が安定したとみなされる。
実際の使用状況では、電話機が1台接続された場合が多いので、図7,8で示す最小負荷状態の結果に近い。そのために、検出電圧安定化監視を行なわないで最大負荷状態での安定化時間に固定した場合と比較して、本実施例の技術により、2倍以上の高速化が図れることがわかる。
【0026】
以上説明した図3に示す直流電源12と抵抗13,14およびスイッチ13a,14aからなる検出回路は、加入者回路の入力部回路を流用でき、また、メモリ17aとタイマー17bおよび差算出回路18と平均値差検出回路19からなる測定電圧の平均値の安定状態を検出する回路も、加入者回路のアナログ部またはデジタル部のLSIに内蔵可能であり、ハードウェアの追加なしに加入者回路パッケージに搭載可能である。
【0027】
以上、図1〜図8を用いて説明したように、本実施例の加入者線試験装置および方法では、従来のように高価な専用の試験機を用いることなく、安価で簡便な構成で、高速な加入者線路試験を行なうことができる。また、本加入者線試験装置を加入者回路に内蔵すれば、ハードウェアの追加が全く不要になり、コストアップを回避できる。
【0028】
尚、本発明は、図1〜図8を用いて説明した実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、図3に示す例では、直流電源12と抵抗13,14およびスイッチ13a、14bと電圧検出回路15により、図1における電流・電圧測定部1を構成し、また、監視回路17とメモリ17aおよび差算出回路18と平均値差検出回路19により、図1における安定化検知部3を構成し、さらに、しきい値処理回路20とゲート22をそれぞれ図1における比較判定部4aと判定結果出力部4bとして、図1における外来電圧印加判定部4を構成し、そして、しきい値処理回路21とゲート23をそれぞれ図1における比較判定部5aと判定結果出力部5bとして、図1における絶縁抵抗良否判定部5を構成しているが、このような回路構成に限定されることはない。
【0029】
また、図3における加入者線試験装置11においては、加入者線に接続した抵抗13,14に発生する電圧に基づく判定動作を行なっているが、抵抗13,14に流れる電流に基づき判定動作を行なうものでも良い。
また、図2に示すように、本実施例では、外来電圧の印加が無い場合を判定した後に加入者線の絶縁抵抗の良否の判定を行なうフローとなっているが、外来電圧の印加が無いことが予め分かっている場合には、加入者線の絶縁抵抗の良否の判定のみを独立に行なうことでも良い。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、加入者線の試験を高速に、かつ安価で簡便な構成で行なうことができ、加入者線の試験の簡便化および効率化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加入者線試験装置の本発明に係る構成の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1における加入者線試験装置の本発明に係る一動作例を示すフローチャートである。
【図3】図1における加入者線試験装置の具体的な一構成例を示すブロック図である。
【図4】図1および図3における加入者線試験装置による試験対象の加入者線および試験項目に係る要素の等価回路を示すブロック図である。
【図5】図3の加入者線路試験装置の最大想定負荷時における各点の電位変化の例を示す第1の説明図である。
【図6】図3の加入者線路試験装置の最大想定負荷時における各点の電位変化の例を示す第2の説明図である。
【図7】図3の加入者線路試験装置の最小想定負荷時における各点の電位変化の例を示す第1の説明図である。
【図8】図3の加入者線路試験装置の最小想定負荷時における各点の電位変化の例を示す第2の説明図である。
【符号の説明】
1:電流・電圧測定部、2:平均化処理部、3:安定化検知部、4:外来電圧印加判定部、4a:比較判定部、4b:判定結果出力部、5:絶縁抵抗良否判定部、5a:比較判定部、5b:判定結果出力部、11:加入者線試験装置、12:直流電源、13,14:抵抗、13a、14b:スイッチ、15:電圧検出回路、16:平均化処理回路、17:監視回路、17a:メモリ、18:差算出回路、19:平均値差検出回路、20,21:しきい値処理回路、22,23:ゲート、41,42:加入者線、41a、42a:測定端子、43:絶縁抵抗、44:線路容量、45:外来電圧、46:モジュラージャック、47:端末。

Claims (2)

  1. 加入者線(41),(42)への外来電圧の印加の有無の判定と加入者線の絶縁抵抗の良否の判定を行なう加入者線試験装置であって、
    上記加入者線(41),(42)のいずれかに切り替えてそれぞれ接続される端子(41a),(42a)と、
    上記端子(42a)とアース間に接続された抵抗RBと、
    該抵抗RBのアース側に正極が接続された直流電源VBBと、
    該直流電源VBBの負極と上記端子(41a)間に接続された抵抗RAと、
    該抵抗RAの短絡用のスイッチ手段SAと、
    上記抵抗RBの短絡用のスイッチ手段SBと、
    該スイッチ手段SBを開き上記スイッチ手段SAを閉じて上記抵抗RAを短絡させた状態で、上記抵抗RBの端子(42a)側に流れる電流もしくは発生する電圧を測定する電流・電圧測定手段と、
    該電流・電圧測定手段で測定した電流もしくは電圧と所定のしきい値(VTH1)とを比較する比較手段(20)と、
    上記電流・電圧測定手段で測定した電流もしくは電圧を第1の所定時間間隔で平均化して平均値を得る平均化手段と、
    該平均化手段で得た平均値の第2の所定時間間隔での変動が所定のしきい値(VTH0)以下に安定することを検知する安定化検知手段と、
    該安定化検知手段による上記平均値の変動の安定状態の検知後に上記比較手段(20)の比較結果を出力するゲート手段(22)と、
    該ゲート手段(22)から出力される上記比較手段(20)の比較結果に基づき上記加入者線(41),(42)への外来電圧の印加の有無を判定する外来電圧印加判定手段と
    該外来電圧印加判定手段での上記加入者線(41),(42)への外来電圧の印加の無しとの判定の後に、上記スイッチ手段SAを開き上記スイッチ手段SBを閉じて上記抵抗RBを短絡させた状態で、上記抵抗RAの端子(41a)側に流れる電流もしくは発生する電圧を上記電流・電圧測定手段で測定して上記平均化手段で平均化した値と所定のしきい値(VTH2)とを比較する比較手段(21)と、
    該比較手段(21)の比較結果を、上記安定化検知手段による上記抵抗RAの端子(41a)側に流れる電流もしくは発生する電圧の平均値に対する変動の安定状態の検知後に出力するゲート手段(23)と、
    該ゲート手段(23)から出力される上記比較手段(21)の比較結果に基づき上記加入者線(41),(42)の絶縁抵抗の良否を判定する絶縁抵抗良否判定手段と
    を有することを特徴とする加入者線試験装置。
  2. 請求項1に記載の加入者線試験装置であって、
    加入者回路に内蔵され、
    上記直流電源VBBと上記抵抗RA,RBおよびスイッチ手段SA , SBとして、上記加入者回路の入力部回路のものを流用し、
    上記安定化検知手段は上記加入者回路のアナログ部もしくはデジタル部のLSIに内蔵されることを特徴とする加入者線試験装置。
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