JP3564045B2 - 分離装置用羽根車および分離装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、賞味期限切れ食品などの廃棄処理に際して、包装用の容器および袋などのパックゴミと、生ゴミとに分離するための分離装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、廃棄されるゴミによる環境破壊を防止するために、ゴミの廃棄処理に際しては、処分方法または再利用方法に応じてゴミを分別することが一般化している。一方、市場に流通している食品の多くは、樹脂製の容器や袋などの包装体で包装された状態で販売される。このため、食品を販売する商店などでは、例えば、賞味期限切れ食品の廃棄処理に際して、焼却処分または有機肥料として再利用する生ゴミと、埋め立て処分または循環資源として再利用するパックゴミとに分別することが望ましい。ところが、スーパーマーケット、コンビニエンスストアおよび食品製造会社などでは、賞味期限切れ食品が大量に発生するため、手作業によって分別する場合には、膨大な人件費および作業時間を要することになる。そこで、さほど人手をかけずに短時間で生ゴミとパックゴミとに分離するための分離装置が考案されている。
【0003】
この種の分離装置として、図6に示す分離装置31が従来から知られている。この分離装置31は、例えば、同図に示す分離対象の期限切れ食品Z,Zを、容器X1や袋Y1などのパックゴミと、食品本体X2,Y2を破砕した生ゴミとに分離する装置であって、脚部2上に載置されたドラム3と、ドラム3の内部に取り付けられた羽根車34と、羽根車34を回転させるためのモータMとを備えて構成されている。また、モータMおよび羽根車34の各々の回転軸には、プーリが取り付けられ、両プーリの間には、ベルトが架け渡されている。この場合、両プーリおよびベルトは、保護ケース18によって覆われている。
【0004】
ドラム3は、全体として円筒状に形成されている。このドラム3は、図7に示すように、その内部に羽根車34を回転自在に取り付けるためのベアリング10,10が側壁3a,3bに配設されている。また、ドラム3の側壁3a側には、図6に示すように、期限切れ食品Z,Zなどをドラム3内に供給可能な供給口11が側壁3aを半円状に開口して形成されると共に、作業者によって投入された期限切れ食品Zを供給口11に案内するための案内升12が配設されている。一方、ドラム3の側壁3b側には、期限切れ食品Z,Zの容器X1や袋Y1などのパックゴミを排出口13から排出するためのダクト14が配設されている。また、ドラム3の下部には、期限切れ食品Z,Zの食品本体X2,Y2などを破砕した生ゴミを排出するための複数の孔15,15・・が形成されている。さらに、ドラム3の内部には、羽根車34の回転に伴って発生する風を排出口13側に導風するための複数の導風板16,16・・が配設されている。
【0005】
羽根車34は、図8に示すように、角棒の両端部41a,41bを丸棒状に切削して形成した回転軸41と、回転軸41に固定された平板状の4枚の破砕羽根42,42・・とを備えている。この場合、破砕羽根42の先端には、ドラム3内に配設された際に破砕羽根42の先端とドラム3の内壁との間を閉塞する板ゴム24,24・・が固定されている。また、羽根車34は、図7に示すように、回転軸41の端部41a,41bがベアリング10,10を介してドラム3の側壁3a,3bに回転自在に保持されることにより、ドラム3内に配設される。この場合、図9に示すように、この分離装置31では、羽根車34の破砕羽根42,42・・とドラム3の側壁3aとが長さD11だけ離間させられており、これにより、供給口11から供給された期限切れ食品Z,Zをドラム3内に送り込むための空間S11が形成される。したがって、供給された期限切れ食品Z,Zが、ドラム3内にスムーズに供給される。
【0006】
この分離装置31を用いた分離処理に際しては、まず、モータMを駆動すると、羽根車34が、図6に示す矢印Aの向きで高速に回転する。この際に、ドラム3の内部では、羽根車34の回転に伴って発生する風が、導風板16,16・・によって案内されることにより、側壁3aから側壁3bに向けて渦巻き状に導風されて排出口13から排出される。この状態で、期限切れ食品Z,Zを案内升12に投入すると、その期限切れ食品Z,Zは、案内升12によって供給口11に案内されて供給口11からドラム3の内部に供給される。この後、破砕羽根42,42・・が、ドラム3の内部において容器X1や袋Y1を破くことにより、期限切れ食品Z,Zが、容器X1および袋Y1を破砕したパックゴミと、食品本体X2,Y2を破砕した生ゴミとに分離される。この際に、パックゴミと比較して質量の大きい生ゴミは、破砕羽根42,42・・によってさらに細かく破砕された後に、孔15,15・・からドラム3の外部に排出される。一方、質量の小さいパックゴミは、ドラム3内で発生した風によってドラム3内を移動させられ、排出口13からドラム3の外部に排出される。この結果、期限切れ食品Z,Zは、孔15,15・・から排出された生ゴミと、排出口13から排出されたパックゴミとに分離される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の分離装置31には、以下の問題点がある。すなわち、従来の分離装置31では、期限切れ食品Z,Zをドラム3内部にスムーズに供給可能とすべく、羽根車34の破砕羽根42,42・・とドラム3の側壁3aとの間に空間S11が形成されている。このため、図9に示すように、羽根車34の回転軸41は、長さD11分の端部41aがドラム3の内部で露出した状態となる。この結果、ドラム3内に供給された紐状のゴミや、比較的柔らかいゴミなどが、回転軸41の端部41aに絡み付くことがあるという問題点が存在する。かかる場合には、回転軸41に絡み付いたゴミによって羽根車34の回転が妨げられる結果、モータMの負荷が増大して消費電力が増大し、最悪の場合には、羽根車34が停止するという重大な事態を招くことになる。
【0008】
この場合、羽根車34の破砕羽根42,42をドラム3の側壁3aに接近させてドラム3の内部における端部41aの露出長を長さD11よりも十分に短くすることにより、端部41aへのゴミの絡み付きを防止する方法が考えられる。しかし、かかる場合には、期限切れ食品Z,Zをドラム3内部にスムーズに供給可能とすべく形成された空間S11が失われる。このため、羽根車34が供給口11の近傍で高速に回転することとなる結果、供給口11から供給した期限切れ食品Z,Zが破砕羽根42,42によって弾き飛ばされ、供給口11からドラム3の外部に排出されてしまうという問題が発生する。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、分離対象物のスムーズな供給を可能としつつ、羽根車の回転軸へのゴミの絡み付きを防止可能な分離装置用羽根車および分離装置を提供することを主目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載の分離装置用羽根車は、分離対象物を破砕するための複数の破砕羽根が回転軸に固定されると共に分離装置のドラム内に回転自在に保持される分離装置用羽根車において、一方の側端面が回転軸に対してほぼ直交するように形成された第1の破砕羽根と、第1の破砕羽根の一方の側端面と同じ側の一方の側端面が回転軸の固定部位からその先端部に亘って他方の側端面に向けて傾斜するように形成された第2の破砕羽根とを複数の破砕羽根として備え、回転方向において第1および第2の破砕羽根が互いに隣り合うように回転軸に固定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の分離装置は、請求項1記載の分離装置用羽根車と、回転軸を回転自在に保持した状態で分離装置用羽根車を収納すると共に収納状態の分離装置用羽根車における両破砕羽根の各一方の側端面側に向けて分離対象物を供給可能な供給口が形成された筒状のドラムとを備えていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明における分離装置の好適な実施の形態について説明する。なお、従来の分離装置31と同一の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0013】
最初に、分離装置1の構成について各図を参照して説明する。
【0014】
分離装置1は、図1に示すように、脚部2、ドラム3、羽根車4およびモータMを備えて構成されている。この分離装置1は、食品本体X2,Y2などに含まれている塩分や水分などによってドラム3や羽根車4などに錆が発生しないように、羽根車4を含めて全体としてステンレススチールで形成されている。脚部2は、図2に示すように、分離装置1によって分離された食品本体X2,Y2などを破砕した生ゴミを収納するためのダストボックスRをドラム3の下方に配置できるように形成されている。この場合、ダストボックスRとしては、例えば、生ゴミを傾倒式ゴミ回収車によって回収可能なタイプが使用される。ドラム3は、従来の分離装置31におけるドラム3とほぼ同様に構成されている。
【0015】
羽根車4は、図3に示すように、ステンレススチール製の角棒の両端部21a,21bを丸棒状に切削して形成した回転軸21と、溶接によって回転軸21に固定された平板状の4枚の破砕羽根22,22,23,23と、破砕羽根22,22,23,23の各々の先端に固定された板ゴム24,24・・とを備えている。この場合、破砕羽根22と破砕羽根23とは互いに直交するように交互に回転軸21に固定されている。また、破砕羽根22は、本発明における第2の破砕羽根に相当し、同図(a)に示すように、ドラム3内に配設された状態で供給口11に対向する側の側端面22aが、回転軸21の固定部位から板ゴム24が固定された先端部までに亘って、側壁3bに対向する他方の側端面22bに向けて傾斜するように形成されている。また、他方の側端面22bは、回転軸21に対してほぼ直交するように形成されている。つまり、破砕羽根22は、回転軸21に溶接された側の端面の長さL1よりも対向する端面の長さL2が短めとなる台形状に形成されている。一方、破砕羽根23は、本発明における第1の破砕羽根に相当し、同図(b)に示すように、側壁3a,3b側にそれぞれ対向する両側端面23a,23bが回転軸21に対してほぼ直交するように形成されている。つまり、破砕羽根23は、回転軸21に溶接された端面の長さがL1の長方形状に形成されている。
【0016】
また、破砕羽根22,23は、回転軸21の方向に対して、従来の分離装置31における羽根車34の破砕羽根42よりも長尺に形成されている。したがって、図4,5に示すように、この分離装置1では、ドラム3の側壁3aと、破砕羽根22,23の端部との長さD1が、従来の分離装置31における側壁3aおよび破砕羽根42間の長さD11よりも極めて短縮されている。したがって、この分離装置1では、回転軸21における端部21aのドラム3内での露出部分が極めて少ないため、羽根車4の回転時における、紐状のゴミや比較的柔らかいゴミの端部21aへの絡み付きが阻止される。この場合、ドラム3の側壁3aと破砕羽根22,23の端部との間の長さD1を1mm程度に規定するのが好ましく、その場合には、ゴミの絡み付きを防止しつつ、回転時における側壁3aと破砕羽根22,23との接触を回避することができる。なお、側壁3aおよび破砕羽根22,23間の長さD1を長目にする場合には、ドラム3内で露出する端部21a部分をカラーで覆うことが好ましい。
【0017】
次に、分離装置1の全体的な動作について各図を参照して説明する。
【0018】
まず、モータMに商用交流電源を供給する。これにより、羽根車4が図1に示す矢印Aの向きで例えば毎分600回転程度の速度で回転する。この際に、ドラム3の内部では、羽根車4の回転に伴って発生する風が、導風板16,16・・によって案内されることにより、側壁3aから側壁3bに向けて渦巻き状に導風されて排出口13から排出される。次に、案内升12に期限切れ食品Z,Zを投入すると、期限切れ食品Z,Zは、案内升12によって供給口11に案内され、供給口11を介してドラム3の内部に供給される。この際に、この分離装置1では、回転軸21におけるドラム3の側壁3aと破砕羽根22,23の端部との間の長さD1が極めて短いため、期限切れ食品Z,Zと共に紐状のゴミなどが供給されたとしても、そのゴミが、回転軸21の端部21aに絡み付くことなく、導風板16,16によって導風される風によって排出口13からドラム3の外部にスムーズに排出される。したがって、回転軸21へのゴミの絡み付きに起因する消費電力の増大を回避することができると共に、分離作業を円滑に進めることができる。また、この分離装置1では、図4に示すように、破砕羽根22の端面22aが傾斜するように切り欠かれているため、ドラム3内に空間S1が形成される。このため、供給された期限切れ食品Z,Zなどが、その空間S1を介してドラム3内に確実に入り込む。したがって、従来の分離装置31の羽根車34と比較して、側壁3aに羽根車4をより接近させることができ、かかる場合であっても、期限切れ食品Z,Zは、羽根車4によって弾き飛ばされることなく、ドラム3内にスムーズに供給される。
【0019】
一方、空間S1内に入り込んだ期限切れ食品Z,Zは、図5に示すように、回転している破砕羽根23によって叩かれた後に、ドラム3の内部において破砕羽根22,22,23,23によって繰り返し叩かれる。これにより、容器X1や袋Y1が破砕された期限切れ食品Z,Zは、ドラム3の内部において容器X1や袋Y1を破砕したパックゴミと、食品本体X2,Y2を破砕した生ゴミとに分離される。次いで、生ゴミは、破砕羽根22,22,23,23によってさらに細かく破砕されると共に、孔15,15,・・からドラム3の外部に排出され、ダストボックスR内に落下する。一方、パックゴミは、排出口13に向けて案内されている風と共にドラム3内を移動させられて排出口13からドラム3の外部に排出される。これにより、期限切れ食品Z,Zは、ダストボックスR内に収納された生ゴミと、排出口13から排出されたパックゴミとに分離される。この後、ダストボックスR内の生ゴミは、例えば、傾倒式ゴミ回収車によって回収され、有機肥料として再利用される。また、排出口13から排出されたパックゴミは、資源ゴミとして回収され、循環資源として再利用される。
【0020】
なお、本発明は、上記した本発明の実施の形態に示した構成に限定されない。例えば、本発明の実施の形態では、破砕羽根22,23が交互に配設されるように4枚の破砕羽根22,22,23,23を回転軸21に固定して形成した羽根車4を例に挙げて説明したが、本発明における分離装置用羽根車は、これに限定されず、任意の数の破砕羽根を固定して構成することができる。この場合、複数の破砕羽根のうち、いずれか少なくとも1枚を本発明における第2の破砕羽根で構成することにより、ドラム3の側壁3aと第2の破砕羽根との間に空間が形成され、期限切れ食品Z,Zをスムーズに供給することができる。また、本発明の実施の形態では、分離装置1を全体としてステンレススチールで形成した例について説明したが、分離装置1の材質は、これに限定されず、例えば、アルミや鉄などを用いることができる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の分離装置用羽根車および請求項2記載の分離装置によれば、一方の側端面が回転軸に対してほぼ直交するように形成された第1の破砕羽根と、第1の破砕羽根の一方の側端面と同じ側の一方の側端面が回転軸の固定部位からその先端部に亘って他方の側端面に向けて傾斜するように形成された第2の破砕羽根とで複数の破砕羽根を構成したことにより、分離対象物をドラム内に供給するための空間がドラムの側壁と第2の破砕羽根との間に形成されるため、ドラムの側壁に羽根車をより接近させることができる。したがって、分離装置用羽根車における回転軸のドラム内での端部露出部分を少なくすることができるため、回転軸へのゴミの絡み付きを防止することができ、これにより、ゴミの絡み付きに起因する消費電力の増大を回避することができると共に分離作業を円滑に進めることができる。同時に、その空間を介して分離対象物を確実かつスムーズにドラム内に供給することができる。しかも、第1の破砕羽根が、空間内に入り込んだ分離対象物を叩くため、分離対象物を直ちに分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る分離装置1の一部を切り欠いた状態の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る分離装置1の断面図である。
【図3】(a)は、本発明の実施の形態に係る羽根車4の外観斜視図、(b)は、(a)の状態の羽根車4を90度回転させた状態の外観斜視図である。
【図4】ドラム3における側壁3aの近傍、および羽根車4の一端側部位を示す断面図である。
【図5】図4の状態における羽根車4を90度回転させた状態の断面図である。
【図6】従来の分離装置31の一部を切り欠いた状態の斜視図である。
【図7】従来の分離装置31の断面図である。
【図8】従来の分離装置31における羽根車34の外観斜視図である。
【図9】ドラム3における側壁3aの近傍、および羽根車34の一端側部位を示す断面図である。
【符号の説明】
1 分離装置
3 ドラム
3a,3b 側壁
4 羽根車
11 供給口
21 回転軸
21a,21b 端部
22,23 破砕羽根
22a,22b,23a,23b 側端面
Z 期限切れ食品
Claims (2)
- 分離対象物を破砕するための複数の破砕羽根が回転軸に固定されると共に分離装置のドラム内に回転自在に保持される分離装置用羽根車において、
一方の側端面が前記回転軸に対してほぼ直交するように形成された第1の破砕羽根と、当該第1の破砕羽根の前記一方の側端面と同じ側の一方の側端面が前記回転軸の固定部位からその先端部に亘って他方の側端面に向けて傾斜するように形成された第2の破砕羽根とを前記複数の破砕羽根として備え、回転方向において前記第1および第2の破砕羽根が互いに隣り合うように前記回転軸に固定されていることを特徴とする分離装置用羽根車。 - 請求項1記載の分離装置用羽根車と、前記回転軸を回転自在に保持した状態で前記分離装置用羽根車を収納すると共に当該収納状態の分離装置用羽根車における前記両破砕羽根の前記各一方の側端面側に向けて分離対象物を供給可能な供給口が形成された筒状のドラムとを備えていることを特徴とする分離装置。
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