JP3562495B2 - 静電荷像現像用トナーおよび画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーおよび画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法等を利用して画像の形成がなされる電子写真複写機、レーザービームプリンター、静電記録装置等において、静電荷像を現像するために用いられる静電荷像現像用トナー及びこの静電荷像現像用トナーを用いる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真複写機、レーザービームプリンター、静電記録装置等においては、電子写真感光体や静電記録体などの静電荷像担持体上に種々の手段で静電荷像が形成され、この静電荷像担持体上に形成された静電荷像を、電気絶縁性液体に分散された微細トナーからなる液体現像剤を用いて湿式現像するか、或いは結着樹脂中に着色剤、磁性粉体等が分散された粉体トナーを必要に応じキャリア粒子と共に用いて乾式現像した後、トナー像を転写紙などの転写体に転写し、次いで転写されたトナー像を加熱、加圧或いは加熱加圧定着して、所望の複写物或いはデータ打ち出し等が一般に行われている。静電荷像を現像する方法としては、近年、粉体トナーを用いる乾式現像法が主として採用されている。
【0003】
ところで、電子写真複写機、レーザービームプリンターなどは、最近では小型化、パーソナル化が進む一方で、高速化も要求されるようになっており、更に低エネルギー化も要求されている。したがって、これら装置については出来得る限りシンプルな機構により、信頼性高く且つ高品質の画像を高速且つ低エネルギーで長期間に亘り形成するための改良が種々試みられている。また、このような装置の改良とともに、現像の際に用いられるトナーの改善も種々試みられている。
【0004】
例えば、トナー像を紙などの転写シートに定着するための定着方法についてみると、加熱ローラを用いた加熱加圧定着方法や、ロール状または長尺状の耐熱性フィルム(以下、定着ベルトという)を用い、この定着ベルトを介して加熱体と転写シート現像面を対峙させ、加圧ローラにより転写シートを裏から加圧しつつ搬送して加熱定着する方法が広く採用されている。これらの方法では、トナー像の定着時に熱ローラ或いは定着ベルトがトナー像と直接接触するためトナーへの熱の伝播が効率良く行われ、このためトナーの溶融を低エネルギーで、迅速かつスムースに行うことができる。しかし、このような方法においては、定着時、溶融したトナーと熱ローラ或いは定着ベルトとが直接接触することになるため、溶融したトナーの一部が熱ローラ或いは定着ベルト表面に転移付着し、熱ローラ或いは定着ベルトが再度転写シートと接触した際に、転写シートにこの転移付着したトナーが再転移するとか、転写シートが存在しない場合には転移付着したトナーが加圧ロールに転移し、次の転写シートが定着装置を通過する際に転写シートの裏面に付着するなどの、所謂オフセット現象を引き起こし、転写シートを汚すという問題がある。
【0005】
このようなトナーのオフセット現象を防止するため、従来熱ロール表面をシリコンゴムやフッ素樹脂などの離型性材料で形成し、その表面にシリコンオイルのような離型性の良い液を塗布し、熱ロール表面を離型性の液膜層で被覆することが一般に行われている。この方法によればオフセット現象の発生をほぼ防止することができるが、離型性液の塗布装置が必要となるとともに、シリコンオイルが熱により蒸発し、機内を汚染するという問題が発生する。また、このような離型性液の塗布装置を設けることは、装置の小型化と相容れないものである。このため、離型性の液を塗布装置により塗布するのではなく、トナー自体に離型性物質を含有させ、定着時の加熱により離型性物質を融解し、トナーから離型性液体を供給してオフセット現象を防止することが提案され、このような離型性物質として低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、炭化水素系ワックス、天然ワックス、これらを変性した変性ワックスなど多数のワックス類が提案されている。
【0006】
このようなトナー中にワックス類或いは変性ワックス類を含有させて、トナーのオフセット現象を防止する技術、或いはトナー中に含有させるワックス類或いは変性ワックス類については、例えば、特公昭52−3304号公報、特公昭52−3305号公報、特公昭57−52574号公報、特開昭60−217366号公報、特開昭60−252360号公報、特開昭60−252361号公報、特開昭61−138259号公報、特開昭61−94062号公報、特開昭62−14166号公報、特開昭62−195683号公報、特開平1−109359号公報、特開平2−79860号公報、特開平3−50559号公報、特開平5−204185号公報、特開平6−75422号公報等に種々のものが提示されている。
【0007】
従来乾式現像法に用いられる静電荷像現像用トナーは、結着樹脂としてスチレン系樹脂あるいは熱可塑性ポリエステル樹脂などが用いられ、これら結着樹脂に染料、顔料などの着色剤、荷電制御剤、ワックスなどが溶融混練され、冷却された後、粉砕、分級工程を経て1〜30μm程度の平均粒径を有する粒子とされる。このとき、必要に応じマグネタイト等の磁性粉体をトナー中に添加、含有させ、磁性トナーとすることもよく知られている。磁性粉体をトナー中に含有させる場合には、磁性粉体が着色剤としても機能するため、着色剤を用いる必要はないが、必要であれば更に着色剤を添加してもよい。通常静電荷像現像用トナーはこのような工程を経て製造されるが、トナーに離型性を付与するために添加されるワックス類は、そもそも結着樹脂と相溶性が悪く、トナー中において均一分散しづらいものである。また、トナーのオフセット現象を防止すべく多量のワックスをトナー中に添加含有させると、ワックスが偏在し、トナーを微粉砕する際にワックスが遊離し、遊離したワックスによる感光体、現像スリーブ、キャリアへのフィルミングが発生し、現像画像の劣化が発生するとともに、トナーの流動性の低下、ブロッキング等の問題が発生する。
【0008】
トナーの結着樹脂とワックスとの相溶性を改善し、上記のごとき問題のないトナーを得るべく、例えば極性基を分子構造中に有する脂肪酸系のワックス或いは極性基を分子中に導入した変成ワックスを用いるなど、特定の物性或いは分子構造を有するワックスを用いることが提案されている。また、結着樹脂とワックス類を溶剤に溶解した後脱溶剤する、或いは結着樹脂を重合する際に重合をワックスの存在下に行うなどの方法により、予め結着樹脂中にワックスを分散したものを製造し、これとトナーの他の成分とを溶融混練する方法も提案されている。前者については、ワックスの偏在或いは遊離の問題が十分に改善されたとまで言えるものではないし、後者については、スチレン系樹脂を製造する際には採用可能な方法といえるが、熱可塑性ポリエステル樹脂を結着樹脂として用いる場合には良好な特性を有するトナーを製造することは一般的には難しいことが多い。
【0009】
これらの方法の他、例えば、低分子領域と高分子領域にそれぞれピークを有する特定の分子量分布をもつ樹脂を結着樹脂として用いる方法、高分子部分を架橋させた樹脂を用いる方法のように、特殊な結着樹脂を用いる方法も提案されている。更には、ワックスの結着樹脂への相溶化を改善するために相溶化剤を用いることも提案されている。このような相溶化剤を用いる方法としては、カルボキシル基を有するポリマーを結着樹脂に対し、相溶化剤としてエチレン−グリシジルメタクリレートコポリマーにビニルポリマーをグラフト化したグラフトポリマーを用いる方法(特開平7−64323号公報)、熱可塑性ポリエステル樹脂のような水酸基または酸基を含む樹脂粒子に対し、相溶化剤としてアルキレン−グリシジルメタクリレートコポリマーを用いる方法(特開平7−199542号公報)などが挙げられる。しかし、これらの方法において、特に結着樹脂として熱可塑性ポリエステル樹脂を用いる場合、トナーの低温定着性、耐オフセット性が十分とはいえず、またワックスのトナー中での偏在の問題、微粉砕時のワックスの遊離の問題も十分に解決されているといえるものではない。一般的には、ワックスの相溶化の問題は、スチレン系樹脂に対してはある程度の結果が得られるものにおいても、結着樹脂が熱可塑性ポリエステル樹脂である場合、ポリスチレン系樹脂と同様の特性の改善を得ることは難しい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、結着樹脂として熱可塑性ポリエステル樹脂を少なくとも主成分として用い、離型剤としてワックスを用いる静電荷像現像用トナーにおいて、従来提案された方法に比べワックスの相溶性がより改善され、トナー中におけるワックスの偏在或いはトナーからのワックスの遊離がなく、従ってワックスによる感光体、現像スリーブ、キャリアへのフィルミングの発生、現像画像の劣化、トナーの流動性の低下、ブロッキング等の問題がなく、且つ帯電特性、低温定着性、耐オフセット性に優れ、長期間にわたり良好な現像画像を形成することができる静電荷像現像用トナーを提供することを目的とするものである。
【0011】
また、本発明は、ワックスによる感光体、現像スリーブ、キャリアなどへのフィルミングの発生、トナーの流動性の低下、ブロッキング等の問題がなく、帯電特性、低温定着性、耐オフセット性に優れ、良質の現像画像を長期間にわたり得ることができる、画像形成方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、結着樹脂として、酸価が5〜20mgKOH/gの熱可塑性ポリエステル樹脂を少なくとも主成分として含有し、離型剤として、140℃における溶融粘度が100mPa・s以下で、酸価が2mgKOH/g以下のワックスを0.5〜10重量%含有し、且つエチレンユニット、(メタ)アクリル酸エステルユニット、および(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットおよび/または一酸化炭素ユニットとからなり、前記エチレンユニットを55重量%以上含有する共重合体を、ワックスに対して0.2〜2倍量含有することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明は、加熱体を内包する加熱ローラと、加熱ローラに圧接する加圧ローラからなる定着器でトナーを加熱定着する画像形成方法において、静電荷像現像用トナーとして上記静電荷像現像用トナーを用い、且つ加熱ローラの温度が160℃〜230℃であり、加熱ローラと加圧ローラの圧接幅をW(mm)、定着スピードをS(mm/sec)とするとき、W/S≧0.015であることを特徴とするものである。
【0014】
更に、本発明は、加熱体が定着ベルトを介して加圧ローラと対向圧接している定着器でトナーを加熱定着する画像形成方法において、静電荷像現像用トナーとして上記静電荷像現像用トナーを用い、且つ圧接部の定着ベルトの温度が160℃〜230℃であり、定着ベルトと加圧ローラの圧接部における加熱幅をH(mm)、定着スピードをS(mm/sec)とするとき、H/S≧0.015であることを特徴とするものである。
【0015】
以下、本発明を更に詳細に説明する。まず、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、結着樹脂として、酸価が5〜20mgKOH/gの熱可塑性ポリエステル樹脂が少なくとも主成分として用いられる。用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂は、酸価が5〜20mgKOH/gであれば、熱可塑性樹脂を構成するアルコール成分および酸成分は、従来トナー用ポリエステル樹脂に使用されているものがいずれも使用でき、またその合成法も特に制限されるものではない。前記熱可塑性ポリエステル樹脂の酸価が5mgKOH/gより小さい場合には、相溶化剤との反応性が低下し、ワックス有利の問題が十分に解決しない。またポリエステル樹脂の酸価が20mgKOH/gを超える場合には、得られたトナーの高温・高湿時の保存性および現像特性が悪くなるという問題が発生する。
【0016】
前記熱可塑性ポリエステル樹脂を製造するために用いられるアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、下記一般式(1)で示されるビスフェノール誘導体等のジオール類、グリセロール、ジグリセロール、ソルビット、ソルビタン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、等の多価アルコール類が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
【0017】
【化1】
Figure 0003562495
【0018】
(式中Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
【0019】
一方、酸成分としては、例えば、二価のカルボン酸として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;またさらに炭素数16〜18のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸などの不飽和ジカルボン酸またはその無水物;シクロヘキサンジカルボン酸;ナフタレンジカルボン酸;ジフェノキシエタン−2,6−ジカルボン酸等が挙げられ、三価以上のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、オクタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が挙げら、これらは単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
【0020】
好ましいアルコール成分は、前記一般式1で表されるビスフェノール誘導体であり、酸成分はフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはその無水物、コハク酸、n−ドデセニルコハク酸またはその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸類、トリメリット酸またはその無水物等のトリカルボン酸類などである。
【0021】
熱可塑性ポリエステルは、ホモポリエステル或いはコポリエステルの単独でも、或いはこれらの2種以上からなるブレンド物であってもよい。また、熱可塑性ポリエステル樹脂は、耐オフセット性および低温定着性の点から、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量において、重量平均分子量(Mw)が5,000以上のものが好ましく、10,000〜1,000,000のものがより好ましい。熱可塑性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が小さくなると、トナーの耐オフセット性が低下する傾向にあり、また、重量平均分子量が大きくなると定着性が低下する傾向を示す。また、用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂は、特定の低分子量の縮重合体成分と特定の高分子量の縮重合体成分とからなる2山の分子量分布曲線を有するタイプ、或いは1山の単分子量分布曲線を有するタイプのいずれのものであってもよい。さらに、ポリエステル樹脂は、イソシアネート化合物などにより変性した変性ポリエステル樹脂であってもよい。
【0022】
また、トナーの凝集防止の点からは、熱可塑性ポリエステル樹脂は、示差走査熱量計(DSC)によって測定されるガラス転移点温度が50℃以上であるものが好ましい。熱可塑性ポリエステル樹脂のガラス転移点は、ポリエステルを構成する反復単位中の芳香族成分の含有量に影響されるが、多価アルコール成分或いは多価カルボン酸成分の少なくとも一方が芳香族成分を主体とするものからなる熱可塑性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0023】
本発明において、特に好ましく用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂を例示すると、酸価が5〜20mgKOH/gであり、水酸基価が40〜70mgKOH/gである高分子化用ポリエステル樹脂(A)と、酸価が5mgKOH/g以下、水酸基価が10mgKOH/g以下で、かつ重量平均分子量が3,000〜5,000の低分子ポリエステル樹脂(B)と、多価イソシアネート化合物とを、(A):(B)が重量比で3〜5:7〜5で、かつ多価イソシアネート化合物を高分子化用ポリエステル樹脂(A)と低分子ポリエステル樹脂(B)の合計の水酸基1等量あたりイソシアネート基として0.2〜1.2等量の量で用い、高分子化用ポリエステル樹脂(A)と低分子ポリエステル樹脂(B)の溶融混合物にイソシアネートを混合して反応させることによって得られた、トータル酸価が5〜10mgKOH/gであるウレタン変性ポリエステル樹脂(特開2000−234011号公報)、或いは(イ)酸成分が炭素数16〜34の直鎖脂肪族ジカルボン酸類、ダイマー酸および炭素数21の二塩基酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の長鎖ジカルボン酸類、芳香族ジカルボン酸類およびモノカルボン酸類、(ロ)アルコール成分がエーテル化ジフェノール類およびロジングリシジルエステルならびに(ハ)架橋成分が3価以上のポリカルボン酸類および/または3価以上のポリオール類からなり、かつ前記酸成分の全量中の長鎖ジカルボン酸類の含有率が2〜25モル%、芳香族ジカルボン酸類の含有率が10〜93モル%、モノカルボン酸類の含有率が5〜65モル%であり、前記ポリオール成分の全量中のエーテル化ジフェノール類の含有率が50〜95モル%、ロジングリシジルエステルが5〜50モル%であり、前記架橋成分の含有率がポリエステル樹脂中の0.5〜20重量%である、酸価が5〜20mgKOH/gの非線状ポリエステル樹脂(特公平8−3663号公報)が挙げられる。
【0024】
本発明の静電荷像現像用トナーの結着樹脂は、酸価が5〜20mgKOH/gの熱可塑性ポリエステル樹脂の1種または2種以上からなるものが好ましいが、本発明の目的を達成することができる範囲で、ポリスチレン系重合体、スチレン−アクリル系樹脂などのポリスチレン系共重合体など従来トナー用結着樹脂として使用されているポリエステル系樹脂以外の他の樹脂、更には前記熱可塑性ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂が前記熱可塑性ポリエステル樹脂に併用されもよい。
【0025】
本発明においては、離型剤として、140℃における溶融粘度が100mPa・s以下で、かつ酸価が2mgKOH/g以下のワックスを0.5〜10重量%含有する。このようなワックスとしては、例えばポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、脂肪酸アミドワックス、カルナウバワックス、モンタンワックスなどの脂肪酸エステル、部分けん化脂肪酸エステルワックス、脂肪酸金属塩等が挙げられる。ワックスの140℃における溶融粘度が100mPa・sを超える場合には、低温定着性に劣るという問題が生じ、またワックスの酸価が2mgKOH/gを超える場合には、ワックス中に低分子量物が混入していることが多く、この低分子量物により定着時に臭気が発生したり、トナーの貯蔵安定性を悪化させるという問題が生じるため好ましくない。
【0026】
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、前記エチレンユニット、(メタ)アクリル酸エステルユニット、および(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットおよび/または一酸化炭素ユニットとからなり、前記エチレンユニットを55重量%以上含有する共重合体が相溶化剤として用いられる。本発明がこれにより限定されるものではないが、本発明において、前記共重合体を用いることにより、熱可塑性ポリエステル樹脂とワックスとの相溶性が改善される理由は、次のようなことによるものと推察される。すなわち、前記共重合体において(メタ)アクリル酸エステルユニットを(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットとともに用いることにより、共重合体のポリエステル樹脂に対する相溶性が改善されるとともに、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットは熱可塑性ポリエステル樹脂中のカルボキシル基と反応して結合する。一方、エチレンユニットはワックスとの相溶性が高く、このため前記共重合体の存在により熱可塑性ポリエステル樹脂とワックスとの相分離を防止することができる。そしてエチレンユニットを55重量%以上とすることによりワックスの熱可塑性ポリエステル樹脂に対する相溶化の特性が格段に改善され、熱可塑性ポリエステル樹脂中にワックスが均一に分散されることとなるものと考えられる。また、理由は現在のところ定かではないが、一酸化炭素ユニットを含有する場合、熱可塑性ポリエステル樹脂とワックスとの相溶性が改善され、トナーのオフセット性が良好となるため(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットの代わりに一酸化炭素ユニットが含有されるものを用いることができる。
【0027】
本発明においては、これら共重合体は、単独で用いられてもよいし、例えばエチレンユニット、(メタ)アクリル酸エステルユニットおよび(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットからなる共重合体と、エチレンユニット、(メタ)アクリル酸エステルユニットおよび一酸化炭素ユニットからなる共重合体との併用など、2種以上の共重合体が併用されてもよい。なお、前記共重合体中のポリエチレンユニットの量は、57〜85重量%とすることがより好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステルユニットの量は5〜44重量%、好ましくは10〜35重量%であり、更に(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットおよび一酸化炭素ユニットの量は1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%である。
【0028】
前記共重合体を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸nブチル等が挙げられる。また前記共重合体としては、例えばエルバロイHP771、同PT(三井・デュポンポリケミカル)などが挙げられ、市場から容易に入手することができる。前記共重合体からなる相溶化剤は、ワックスに対して0.2〜2倍量含有することが好ましい。
【0029】
本発明の静電荷像現像用トナーにおいて用いることができる着色剤としては、従来トナーの製造において用いられることが知られた着色剤がいずれも使用可能であり、これら着色剤の例としては、種々のカーボンブラック、脂肪酸金属塩、フタロシアニン系、ローダミン系、キナクリドン系、トリアリルメタン系、アントラキノン系、アゾ系、ジアゾ系などの染顔料が挙げられる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。
【0030】
上記の如き静電荷像現像用トナーは、現像される静電潜像の極性に応じて、正または負の電荷を保持することが必要とされる。静電荷像現像用トナーに望ましい極性の電荷を付与するため、必要に応じ荷電制御剤がトナーに添加、含有される。電荷制御剤の代表的な例としては、トナーに正荷電を与えるものとして、例えばニグロシン系染料(特公昭48−25669号公報)やトリアリールメタン系染料のような塩基性染料、第4級アンモニウム塩(特開昭57−119364号公報)、有機錫オキサイド(特公昭57−29704号公報)、アミノ基を有するポリマー等の電子供与性物質が、またトナーに負荷電を与えるものとして、例えばモノアゾ染料の金属錯体、含クロム有機染料(銅フタロシアニングリーン、含クロムモノアゾ染料)のごとき含金属染料、サリチル酸などのアリールオキシカルボン酸の金属錯体、その二価または三価の金属塩などが挙げられる。
【0031】
また、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、必要に応じ磁性粉体が内添され、磁性トナーとされる。これらトナーに内添される磁性粉体としては、従来磁性トナーの製造において使用されている強磁性の元素を含む合金、酸化物、化合物等の粉体の何れのものも用いることができる。これら磁性粉体の例としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄または二価金属と酸化鉄との化合物、鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金の粉体、およびこれら粉体の混合物が挙げられる。これらの磁性粉体は、平均粒径が0.1〜2μm、更には0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。また、磁性粉体のトナー中の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、約20〜200重量部、好ましくは40〜150重量部である。また、トナーの飽和磁化としては、15〜35emu/g(測定磁場 1キロエルステッド)が好ましい。本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、磁性粉体は、着色剤としても機能するものである。
【0032】
本発明の静電荷像現像用トナーには、さらに必要に応じて滑剤、流動性改良剤、研磨剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等、トナーの製造に当たり使用されている公知の添加剤を内添、あるいは外添することができる。これら添加剤の例としては、滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛などが、流動性改良剤としては、乾式法あるいは湿式法で製造したシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物およびこれらを疎水性化処理したものなどが、研磨剤としては窒化珪素、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、タングステンカーバイド、炭酸カルシウムおよびこれらを疎水化処理したものなどが、導電性付与剤としてはカーボンブラック、酸化スズなどが挙げられる。また、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素含有重合体の微粉末は、流動性、研磨性、帯電安定性などの点から好ましいものである。
【0033】
本発明においては、疎水処理されたシリカ、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物微粉体を外添剤として含有することが好ましい。これら微粉体の疎水化処理は、シリコンオイル、テトラメチルジシラザンなどのシランカップリング剤による処理等が挙げられる。また、ブローオフ法により測定したときに、鉄粉キャリアに対してプラスのトリボ電荷を有する正帯電性のシリカを用いることもできる。この正帯電性のシリカを得るためには、側鎖に窒素原子を少なくとも1つ有するオルガノ基を有するシリコンオイル、あるいは窒素含有のシランカップリング剤で処理すればよい。疎水化処理されたシリカなど疎水化微粉体の使用量は、現像剤重量当り、0.01〜20%、好ましくは0.03〜5%である。
【0034】
本発明の荷電制御剤を用いたトナーにおいては、重量平均粒径が3〜15μmのトナーが好ましい。特に、5μm以下の粒径を有するトナー粒子が12〜60個数%含有され、8〜12.7μmの粒径を有するトナー粒子が1〜33個数%含有され、16μm以上の粒径を有するトナー粒子が2.0重量%以下含有され、トナーの重量平均粒径が4〜10μmであることが、現像特性の観点からはより好ましい。なお、トナーの粒度分布測定は、例えばコールターカウンターを用いて測定することができる。
【0035】
本発明の静電荷像現像用トナーは、従来から公知のトナーの製造方法を用いて製造することができる。一般的には、上述したようなトナー構成材料を、ボールミル、ヘンシェルミキサーなどの混合機により充分混合したのち、熱ロールニーダー、一軸あるいは二軸のエクストルーダーなどの熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、ハンマーミルなどの粉砕機を用いて機械的に粗粉砕し、次いでジェットミルなどにより微粉砕した後、分級する方法を好ましい方法として挙げることができる。分級されたトナーは、必要に応じ外添剤とともにヘンシェルミキサー等の混合機を用いて十分に混合され、本発明の静電荷像現像用トナーとされる。
【0036】
本発明の静電荷像現像用トナーは、キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることができる。本発明のトナーとともに用いることのできるキャリアとしては、従来公知のキャリアがいずれも使用できる。使用することができるキャリアとしては、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のような磁性粉体やガラスビーズなどが挙げられる。これらのキャリア粒子は、必要に応じ表面を樹脂などで被覆処理したものであってもよい。キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、フッ素含有樹脂、シリコン含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂など、あるいはこれらの混合物が挙げられる。これらのなかでは、スペントトナーの形成が少ないためフッ素含有樹脂、シリコン含有樹脂が特に好ましいものである。
【0037】
本発明の静電荷像現像用トナーは、従来公知の電子写真、静電記録或いは静電印刷法などにより形成された静電荷像を現像するためのいずれの現像方法あるいは現像装置に対しても適用できる。また本発明の静電荷像現像用トナーは、低温定着性、耐オフセット性に優れているため、小型の電子写真複写機或いは電子写真方式を利用したプリンターなどに多用されている、加熱体を内包する加熱ローラと、加熱ローラに圧接する加圧ローラからなる定着器でトナーを加熱定着する方式或いは加熱体が定着ベルトを介して加圧ローラと対向圧接している定着器でトナーを加熱定着する方式を採用した画像形成方法において好ましく用いることができる。これら、加熱ローラ或いは定着ベルトを用いる定着法における定着条件としては、例えば加熱ローラ或いは定着ベルトの温度が160℃〜230℃であり、加熱ローラと加圧ローラの圧接幅をW(mm)、定着スピードをS(mm/sec)とするとき、W/S≧0.015であるものが、また定着ベルトと加圧ローラの圧接部における加熱幅をH(mm)、定着スピードをS(mm/sec)とするとき、H/S≧0.015であるものが好ましいものである。また定着ベルトを用いて定着する画像形成法においては、静電荷像現像用トナーとして、磁性粉体を含有する一成分系磁性トナーが好ましいものとして使用される。
【0038】
なお、定着ベルトを用いる定着装置としては、例えば、特開平10−48868号公報、特開平6−75422号公報に記載されたものを始めとして種々の構造のものが知られている。特開平10−48868号公報に記載された定着装置の一例を図1に示して、定着ベルトを用いる定着装置を簡単に説明する。図1の定着装置においては、耐熱モールドよりなるシリンダー部2の外周に、定着ベルト(φ30mm)1がはめられており、加圧ローラ(φ30mm)5の駆動に伴い、加圧ローラの摩擦力による摺動回転を行う。定着ニップ部N(定着ベルトと加圧ローラの圧接部における加熱幅Hは加熱体3の幅と同じである)にはセラミックヒータ3が設置されている。ベルト1はポリイミドフィルム(50μm厚)に導電プライマー(10μm厚)とフッ素樹脂(10μm厚)の離型層を形成したものである。加圧ローラ5は、シリコーンゴム弾性層(3mm厚)にフッ素樹脂離型層(30μm厚)を被覆したものであり、加圧力は10kgfとされている。ヒータは800W出力で、サーミスタ4によって、定着ベルト1の表面が190℃となるようヒータ3のオン・オフ制御がされている。転写後の記録紙P上の未定着トナー6は、ニップ通過時にヒータの熱と圧力により定着されて、定着トナー7とされる。
【0039】
なお、本発明においては、熱可塑性ポリエステル樹脂およびワックスの酸価は、JIS K0070に規定される方法に準じて測定されたものである。
また、ワックスの140℃における溶融粘度は、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて測定したもので、測定温度以外の条件は、JIS K1557に準じて行なわれたものである。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例中などにおける「部」は特に指定がない場合は重量部である。また、以下の実施例および比較例中で用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂、相溶化剤およびワックスは次のものである。
【0041】
(熱可塑性ポリエステル樹脂)
熱可塑性ポリエステル樹脂1
ウレタン変成したポリエステル樹脂、酸価:6mgKOH/g
【0042】
熱可塑性ポリエステル樹脂2
ロジングリシジルエステルを含有し、トリメリット酸で架橋したポリエステル樹脂、酸価:18mgKOH/g
【0043】
(相溶化剤)
相溶化剤1
エチレン・アクリル酸nブチル・グリシジルメタクリレート共重合体〔共重合比(重量) 70:25.5:4.5〕
【0044】
相溶化剤2
エチレン・アクリル酸nブチル・一酸化炭素共重合体〔共重合比(重量) 58:34:8〕
【0045】
相溶化剤3
エチレン・アクリル酸nブチル・一酸化炭素共重合体〔共重合比(重量)53:37:10〕
【0046】
(ワックス)
【表1】
Figure 0003562495
【0047】
実施例1
熱可塑性ポリエステル樹脂1 80.5部
荷電制御剤(含クロムアゾ染料) 2.5部
着色剤(カーボンブラック) 10.0部
ワックス1 3.5部
相溶化剤1 3.5部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練押出機で溶融混練後押出し、冷却固化した後ハンマーミルで粗粉砕し、次いでジェットミルで微粉砕し、分級して重量平均粒径約10μmの分級品を得た。この分級品と分級微粉のワックスの熱量を測定して、(分級微粉のワックス熱量/分級品のワックス熱量)の値からワックスの分配性を評価するとともに、分級品の貯蔵安定性についても評価した。結果を表2に示す。
【0048】
なお、表2中、ワックスの分配性の値が1.25以下である場合、分配性は良好と評価できる。
また、表2中、ワックスの熱量は、島津製作所製 示差走査熱量計DSC−60を使用して測定し、1回200℃まで昇温後、室温まで降温して熱履歴を取った後、10℃/minで昇温したときのDSC曲線を用い、ワックスの溶融ピークに相当する熱量値をワックスの熱量とした。
【0049】
更に、分級品の貯蔵安定性の試験は、トナー40gを200mlのガラス製容器に密閉し、50℃の恒温槽に24時間放置後、トナーのブロッキング性を観察することにより行い、凝集が発生しないものを○、容易にほぐれる程度の凝集が発生するものを△、容易にほぐれない凝集が発生するものを×とした。
【0050】
次いで、上記で得られた分級品100部と疎水性シリカ0.7部とをヘンシェルミキサーで混合してトナーとした。このトナーを用いて、定着装置として熱圧ロールの構造を有する市販の複写機((株)リコー製 Imagio MF8570)を用いて実写テストを行い、トナーの定着性、耐オフセット性、現像性(初期および5,000枚後の現像画像濃度の値)、および定着時の臭気の評価を行った。この複写機の、加熱ローラと加圧ローラの圧接幅:W(mm)と定着スピード:S(mm/sec)の比、W/Sは0.023である。結果を表3に示す。
【0051】
なお、定着性については、〔定着画像を消しゴム(トンボ鉛筆 MONO)で摺擦し、摺擦後の画像濃度/摺擦前の画像濃度〕×100で計算した値を定着強度として表した。また、耐オフセット性については、定着試験用画像を200枚連続複写後、5分間停止した後、白紙20枚を通紙し、白紙の紙汚れの状態により評価を行った。評価結果は、紙汚れが発生しなかったものを○、最初の数枚のみ、やや紙汚れが発生したものを△、20枚全てに紙汚れが発生したものを×とした。更に、定着時の臭気の評価は、定着時に臭気が発生しなかったものを○、定着時に臭気が発生したものを×とした。
【0052】
実施例2および3
相溶化剤1の量を1.5部および1.0部とすることを除き、実施例1と同様にして、分級品およびトナーを得た。これら分級品、トナーについて実施例1と同様にして、ワックスの分配性、分級品の貯蔵安定性、トナーの定着性、耐オフセット性、現像性、定着時の臭気の評価を行った。結果を表2および3に示す。
【0053】
実施例4
相溶化剤1に代えて相溶化剤2を用いることを除き実施例1と同様にして、分級品およびトナーを得た。これら分級品、トナーについて実施例1と同様にして、ワックスの分配性、分級品の貯蔵安定性、トナーの定着性、耐オフセット性、現像性、定着時の臭気の評価を行った。結果を表2および3に示す。
【0054】
実施例5
相溶化剤1を3.5部用いることに代えて、相溶化剤1を0.5部及び相溶化剤2を2.0部用いることを除き実施例1と同様にして、分級品およびトナーを得た。これら分級品、トナーについて実施例1と同様にして、ワックスの分配性、分級品の貯蔵安定性、トナーの定着性、耐オフセット性、現像性、定着時の臭気の評価を行った。結果を表2および3に示す。
【0055】
実施例6
ワックス1に代えてワックス2を用いることを除き実施例1と同様にして、分級品およびトナーを得た。これら分級品、トナーについて実施例1と同様にして、ワックスの分配性、分級品の貯蔵安定性、トナーの定着性、耐オフセット性、現像性、定着時の臭気の評価を行った。結果を表2および3に示す。
【0056】
実施例7
熱可塑性ポリエステル樹脂1に代えて熱可塑性ポリエステル樹脂2を用いることを除き実施例1と同様にして、分級品およびトナーを得た。これら分級品、トナーについて実施例1と同様にして、ワックスの分配性、分級品の貯蔵安定性、トナーの定着性、耐オフセット性、現像性、定着時の臭気の評価を行った。結果を表2および3に示す。
【0057】
比較例1〜6
ワックスおよび相溶化剤として、表2に記載のものを表2に記載の量用いることを除き実施例1と同様にして、分級品およびトナーを得た。これら分級品、トナーについて実施例1と同様にして、ワックスの分配性、分級品の貯蔵安定性、トナーの定着性、耐オフセット性、現像性、定着時の臭気の評価を行った。結果を表2および3に示す。
【0058】
【表2】
Figure 0003562495
【0059】
【表3】
Figure 0003562495
【0060】
実施例8
熱可塑性ポリエステル樹脂1 53.0部
荷電制御剤(ニグロシン) 2.0部
磁性粉末(マグネタイト) 42.0部
ワックス1 2.0部
相溶化剤1 1.0部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練押出機で溶融混練後押出し、冷却固化した後ハンマーミルで粗粉砕し、次いでジェットミルで微粉砕後分級して重量平均粒径約9μmの分級品を得た。この分級品と分級微粉のワックスの熱量を実施例1と同様に測定してワックスの分配性を評価するとともに、分級品の貯蔵安定性についても実施例1と同様にして評価を行った。結果を表4に示す。
また分級品100部と疎水性コロイダルシリカ0.3部とをヘンシェルミキサーで混合して一成分磁性トナーとした。この磁性トナーを用いて、定着装置として熱圧ロールの構造を有する市販の複写機(キヤノン(株)製 GP605)を用いての実写テストを行い、実施例1と同様にして、トナーの定着性、耐オフセット性、現像性(初期および5,000枚後の現像画像濃度の値)、および定着時の臭気の評価を行った。この複写機の、加熱ローラと加圧ローラの圧接幅:W(mm)と定着スピード:S(mm/sec)の比、W/Sは0.029である。結果を表5に示す。
【0061】
実施例9
ワックス1の量を1.0部とすることを除き実施例8と同様にして、分級品およびトナーを得た。これら分級品、トナーについて実施例8と同様にして、ワックスの分配性、分級品の貯蔵安定性、トナーの定着性、耐オフセット性、現像性、定着時の臭気の評価を行った。結果を表4および5に示す。
【0062】
比較例7および8
ワックスおよび相溶化剤として、表4に記載のものを表4に記載の量用いることを除き実施例8と同様にして、分級品およびトナーを得た。これら分級品、トナーについて実施例8と同様にして、ワックスの分配性、分級品の貯蔵安定性、トナーの定着性、耐オフセット性、現像性、定着時の臭気の評価を行った。結果を表4および5に示す。
【0063】
【表4】
Figure 0003562495
【0064】
【表5】
Figure 0003562495
【0065】
実施例10
熱可塑性ポリエステル樹脂1 54.0部
荷電制御剤(サリチル酸誘導体のクロム塩化合物) 0.5部
磁性粉末(マグネタイト) 43.0部
ワックス1 1.5部
相溶化剤1 1.0部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練押出機で溶融混練後押出し、冷却固化した後ハンマーミルで粗粉砕し、次いでジェットミルで微粉砕後分級して重量平均粒径約9μmの分級品を得た。この分級品と分級微粉のワックスの熱量を実施例1と同様に測定してワックスの分配性を評価するとともに、分級品の貯蔵安定性についても実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。
また分級品100部とに疎水性コロイダルシリカ0.3部とをヘンシェルミキサーで混合して一成分磁性トナーとした。この磁性トナーを用いて、定着装置として定着ベルトの構造を有する市販の複写機(キヤノン(株)製 GP210)を用いて実写テストを行い、実施例1と同様にして、トナーの定着性、耐オフセット性、現像性(初期および5,000枚後の現像画像濃度の値)、および定着時の臭気の評価を行った。この複写機の、定着ベルトと加圧ローラの圧接部における加熱幅:H(mm)と定着スピード:S(mm/sec)の比、H/Sは0.047である。結果を表7に示す。
【0066】
比較例9
相溶化剤1を用いないことを除き実施例10と同様にして、分級品および磁性トナーを得た。これら分級品、磁性トナーについて実施例1と同様にして、ワックスの分配性、分級品の貯蔵安定性、トナーの定着性、耐オフセット性、現像性、定着時の臭気の評価を行った。結果を表6および7に示す。
【0067】
【表6】
Figure 0003562495
【0068】
【表7】
Figure 0003562495
【0069】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の静電荷像現像用トナーは、ワックスの分配性、帯電特性に優れ、分級品の貯蔵安定性が良好である上、現像時感光体、現像スリーブ、キャリアへのワックスのフィルミングは起こらず、トナーの流動性の低下、ブロッキング等も起きず、長期にわたり良好な現像画像を形成することができる。また、本発明の静電荷像現像用トナーを用いて形成されたトナー画像を定着ローラ、定着シートを介して定着する際にオフセットの発生は見られず、低温定着性も良好であるので、装置の小型化、省エネ化を図ることが可能となる。更に、本発明の静電荷像現像用トナーにおいてはワックスの分配性が良好であることから、分級品および分級微粉のワックスの含有量は両者ほぼ同じ値を示す。このため分級微粉をトナー形成材料として再度利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法において用いられる定着装置の一例の概略図である。
【符号の説明】
1 定着ベルト
2 シリンダー
3 加熱体
4 サーミスタ
5 加圧ローラ
6 未定着トナー
7 定着トナー
P 記録紙

Claims (6)

  1. 結着樹脂、着色剤および離型剤を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、結着樹脂として、酸価が5〜20mgKOH/gの熱可塑性ポリエステル樹脂を少なくとも主成分として含有し、離型剤として、140℃における溶融粘度が100mPa・s以下で、酸価が2mgKOH/g以下のワックスを0.5〜10重量%含有し、且つエチレンユニット、(メタ)アクリル酸エステルユニット、および(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットおよび/または一酸化炭素ユニットからなり、エチレンユニットを55重量%以上含有する共重合体を、ワックスに対して0.2〜2倍量含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 請求項1記載の静電荷像現像用トナーにおいて、着色剤がカーボンブラックであることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  3. 請求項1記載の静電荷像現像用トナーにおいて、着色剤が磁性酸化鉄であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  4. 加熱体を内包する加熱ローラと、加熱ローラに圧接する加圧ローラからなる定着器で静電荷像現像用トナーを加熱定着する画像形成方法において、該静電荷像現像用トナーとして請求項2記載の静電荷像現像用トナーを用い、加熱ローラの温度が160℃〜230℃であり、加熱ローラと加圧ローラの圧接幅をW(mm)、定着スピードをS(mm/sec)とするとき、W/S≧0.015であることを特徴とする画像形成方法。
  5. 加熱体を内包する加熱ローラと、加熱ローラに圧接する加圧ローラからなる定着器で静電荷像現像用トナーを加熱定着する画像形成方法において、該静電荷像現像用トナーとして請求項3記載の静電荷像現像用トナーを用い、加熱ローラの温度が160℃〜230℃であり、加熱ローラと加圧ローラの圧接幅をW(mm)、定着スピードをS(mm/sec)とするとき、W/S≧0.015であることを特徴とする画像形成方法。
  6. 加熱体が定着ベルトを介して加圧ローラと対向圧接している定着器で静電荷像現像用トナーを加熱定着する画像形成方法において、静電荷像現像用トナーとして請求項3記載の静電荷像現像用トナーを用い、圧接部の定着ベルトの温度が160℃〜230℃であり、定着ベルトと加圧ローラの圧接部における加熱幅をH(mm)、定着スピードをS(mm/sec)とするとき、H/S≧0.015であることを特徴とする画像形成方法。
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