JP5577963B2 - 相溶化剤マスターバッチ、及びそれを用いたトナー - Google Patents
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Description
一方、トナーの耐オフセット性、低温定着性、高耐久性を向上させるため、および定着器のオイルレス化を達成するため、多量の離型剤をトナー中に添加することが必要とされている。ここで結着樹脂にスチレン・アクリル系共重合体を用いる場合、共重合体の合成時に離型剤を添加することで、結着樹脂中に離型剤を良好に分散することができる。一方、結着樹脂にポリエステル樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂の一般的な合成法である縮重合時に離型剤を添加しても、原料モノマーとの相溶性の悪さから結着樹脂中に離型剤を良好に分散させることは困難であり、また離型剤が縮重合反応を阻害してしまう恐れもあった。一方、ポリエステル樹脂合成後に離型剤を添加し、分散すると両者は相溶性が悪いため、ポリエステル樹脂中に離型剤を均一に分散することは困難であった。
この離型剤の分配不良は、溶融混練工程により得られる組成物中に離型剤が均一に分散しないことにより、その組成物を微粉砕した粒子中において離型剤の含有量が粒子間で異なることを意味する。
さらにポリエステル樹脂と離型剤が非相溶であるため、粒子中に存在するポリエステル樹脂と離型剤の界面が上記微粉砕工程により剥離してしまう。そのため微粉砕物として遊離した離型剤のみの粒子が発生してしまう問題もあった。
このような分配不良が生じると、トナー粒子中の原料組成が不均一になるため、トナー粒子に含まれる離型剤の含有量を制御できず、分級微粉をリサイクルして使用できない不都合が生じる。また上記説明の通りトナー粒子中に遊離した離型剤が混在することになり、帯電不良による画像のかぶりの増加、機内飛散、感光体への離型剤成分のフィルミングやそれに伴う画像欠陥が生じ、物性面での問題となっていた。
しかし、離型剤含有のマスターバッチでは、使用できる離型剤の種類が限定されてしまうため、汎用性の高い使用方法とはいえなかった。また複数の離型剤を併用してトナーを作製する場合は、離型剤含有のマスターバッチを用いることも煩雑になってしまう。一方、離形剤としてシリコーンオイルを用いた場合はシリコーンオイルが粉砕トナーの粉砕界面となり、離型剤がトナー粒子の表面に露出し、トナー粒子のドクターブレードへの固着/融着、トナー粒子同士の固結や凝集、感光体へのフィルミング、保存安定性が低いという様々な問題の解決は不十分であった。
ポリエステル樹脂(B)とからなり、110℃における溶融粘度が500〜6000Pa・Sであることを特徴とする相溶化剤マスターバッチに関する。
本発明において用いられる相溶化剤は、エチレンユニット、(メタ)アクリル酸エステルユニット、および(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットからなる共重合体(A)である。
エチレンユニットは離型剤との相溶性が高いため、55重量%以上が好ましく、より好ましくは60重量%以上である。
(メタ)アクリル酸エステルユニットは結着樹脂との相溶性が高く、(メタ)アクリル酸エステルユニットは10重量%以上が好ましく、より好ましくは15重量%以上である。
(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットは、ユニット中のエポキシ基がポリエステル樹脂中のカルボキシル基と反応して結合することにより相溶化剤としての効果を高める機能を発揮する。含有量は1重量%以上とすることが好ましく、より好ましくは2重量%以上である。一方、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットの含有量が多すぎると、離型剤の効果が低下してしまうためか、トナーの耐オフセット性が悪化してしまうため、25重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは20重量%以下である。
上記の事情により、共重合体(A)各成分の好ましい構成は、エチレンユニットが55〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステルユニットが10〜40重量%、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットが1〜25重量%であり、さらに好ましい構成は、エチレンユニットが60〜75重量%、(メタ)アクリル酸エステルユニットが15〜30重量%、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットが2〜20重量%である。
また、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルとしては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
ポリエステル樹脂(B)は、従来トナー用のポリエステル樹脂として使用されているポリエステル樹脂を使用することが可能であるが、共重合体(A)の相溶化機能をトナー中で効率的に発揮させることが必要である。そのためポリエステル樹脂(B)は、110℃における溶融粘度が500〜4000(Pa・S)、酸価が0より多く20mgKOH/g以下のポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
なお、本発明において、110℃における溶融粘度は島津製作所(株)製フローテスターCFT−500Dを用いて、ダイ径0.50mm、ダイ長さ1mm、荷重20Kg、毎分6℃の昇温速度で測定した値である。
さらに本発明では、トナー中への共重合体(A)の拡散効果を考慮した場合、ポリエステル樹脂(B)は線状ポリエステルであることが好ましく、さらに好ましくは2価の酸成分が30〜60モル%と2価のアルコール成分が40〜70モル%とを含む成分を用いて合成したポリエステルがより好ましい。本発明では相溶化マスターバッチを用いてトナーを製造する際に、ポリエステル樹脂が適切な分子量分布を有することが好ましい。これによりポリエステル樹脂(B)は共重合体(A)をトナー中へ均一に拡散させる機能をより効果的に発揮できる。
以下本発明の相溶化剤マスターバッチを用いて得られるトナーの材料について詳述する。
本発明において、離型剤としては特に限定されず、トナーの分野で公知のものが使用可能である、例えば熱ロール定着時の離型性(オフセット防止性)を向上させる、脂肪族炭化水素、脂肪酸金属塩、高級脂肪酸、脂肪酸エステルもしくはその部分ケン化物、シリコーンオイル、各種ワックスが挙げられる。これらの中では、共重合体(A)のエチレンユニットと相溶性が特に良好な骨格をもつ離型剤が好ましく、例えば、エチレンホモポリマー、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス等のワックス類等が挙げられる。これらは通常単独で用いられるが、2種以上の組み合わせでも使用可能である。
低分子量ポリプロピレンは、非酸化型と酸化型の2つのタイプがあり、本発明においては、非酸化型の低分子量ポリプロピレンを用いることが好ましい。非酸化型とは、本発明では酸価が2mgKOH/g以下の数値を有するものを意味する。また、低分子量ポリプロピレンの分子量は、蒸気浸透圧法(VPO法)による分子量の測定で、2,000〜10,000の範囲であることが好ましい。また、軟化温度は、130〜150℃の数値であることが好ましい。このような非酸化型の低分子量ポリプロピレンとしては、例えば、三洋化成工業社製ハイマーTP−32、ビスコール550P、660P、330P、三井化学社製NP055、NP056、NP105、NP505等を好ましく用いることができる。
フィッシャートロプシュワックスは、従来は石炭を原料にしてフィッシャートロプシュ法により製造されたものであったが、資源の枯渇や製造工程の複雑さの問題から、代替原料を世界規模で検討した結果、現在は石炭から環境に優しい天然ガスへ原料が移行され、製造工程も容易なものに変更されている。メタン、エタン、プロパン、ブタンなどからなる天然ガスを原料として、これらが一酸化炭素と水素からなる合成ガスへオートサーマルリフォーミングにより転換される。フィッシャートロプシュワックスは、この合成ガスを原料として用い、フィッシャートロプシュ合成法により製造される。
このようにフィッシャートロプシュワックスは、一酸化炭素の触媒水素化により合成されたワックス状炭化水素であり、構造的にはメチル分岐の少ない直鎖状のパラフィン系ワックスである。パラフィンワックスの中で特に硬質、高分子量、結晶性が高く、高凝固点、溶融時の低粘性に特徴があり、他の離型剤と比べ低温定着性、耐オフセット性に優れる。具体的には、サゾール社製パラフリントH1−N4、HI−N6、A3、シェル・MDS社製FT−100、MDP−7000、MDP−7010等が使用できるが、中でもH1−N4、FT−100が低温定着性、保存安定性に優れ好ましい。また、示差走査熱量分析計(以下、DSCと略す)による融点が80〜120℃であるものが好ましい。融点が80℃より低いものは、トナーの保存安定性に問題が生じやすく、また流動性が悪くなりやすい。一方、120℃より高いとトナーの溶融粘度を下げる効果が少ないため、トナーの低温定着性が得られにくくなる。また、JIS K−2235で測定した25℃における針入度が3以下であることが好ましく、更には2以下であることが好ましい。針入度が3より大きいとトナー化した際に流動性が悪くなり易く、保存安定性およびキャリア粒子等との摩擦帯電性に問題が生じ易い。
離型剤を従来のトナーよりも多く添加することができることで、定着器にシリコーンオイル等の離型性を有する液体を塗布することが必要なくなり、定着器を簡素にでき、画像形成装置の軽量化、簡素化が可能となった。
本発明において、結着樹脂としては、従来から、トナーの結着樹脂として公知のもののいずれもが使用可能である。使用することのできる結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体または架橋されたスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。相溶化剤マスターバッチの分配、分散適性を得られる顕著な効果を鑑みた場合、ポリエステル樹脂が最も好ましく用いられる。
本発明において、結着樹脂用のポリエステル樹脂の合成に用いるアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、下記一般式(2)で示されるビスフェノール誘導体等のジオール類、グリセロール、ジグリセロール、ソルビット、ソルビタン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、等の多価アルコール成分が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
また、本発明に用いる結着樹脂用のポリエステル樹脂は、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が2〜20であることが好ましく、より好ましくは2〜10である。Mw/Mnが2未満の場合は、結着樹脂用のポリエステル樹脂の脆性が強くなり、破砕しやすくなる。その結果、機械的強度が低下し、現像器内でトナー粒子が破断され、現像に寄与しない微粉の増加が発生しやすくなる。一方、Mw/Mn比が20を越す場合は、分子量分布が拡がりすぎて熱溶融しにくくなり、カラートナーの場合では画像に光沢性が付与し難くなる他、低温定着性が損なわれる場合がある。
本発明のトナーに用いる着色剤としては、以下に示すイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各有機顔料、有機染料特にその造塩化合物、カーボンブラック、磁性体が好適に用いられる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。
イエローの有機顔料としては、ベンズイミダゾロン化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、キノフタロン化合物、アゾ金属錯化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、138、139、147、150、168、174、176、180、181、191等が好適に用いられる。中でもキノフタロン化合物、縮合アゾ化合物、ベンズイミダゾロン化合物を用いることが好ましい。
またイエローの染料の造塩化合物としては、酸性染料の造塩化合物、塩基性染料の造塩化合物が用いられる。酸性染料の造塩化合物としては、C.I.アシッドイエロー11、23(タートラジン)と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物を用いることが好ましい。四級アンモニウム塩を構成することでトナー粒子が安定した正帯電を保持することができる。
マゼンタの有機顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、ローダミンレーキ等の塩基性染料のレーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物、が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、209、220、221、254、255、268、269等、C.I.ピグメントバイオレット1等が好適に用いられる。中でもキナクリドン化合物、ローダミンレーキ顔料、ナフトール系顔料等を用いることが好ましい。具体的には、ナフトールAS(C.I.ピグメントレッド269等)、ローダミンレーキ(C.I.ピグメントレッド81、81:1、81:2、81:3、81:4、169等)、キナクリドン(C.I.ピグメントレッド122等)が好ましい材料である。
またマゼンタの染料の造塩化合物としては、ローダミン系酸性染料の造塩化合物、ローダミン系塩基性染料の造塩化合物が好ましく用いられる。塩基性染料の造塩化合物としては、C.I.ベーシックレッド1、同ベーシックバイオレット10と無色(色素の発色を阻害しない)の有機スルホン酸、有機カルボン酸とからなる造塩化合物を用いることが好ましい。塩基性染料は良好な正帯電を呈することからトナー粒子が安定した正帯電を保持することができる。有機スルホン酸としては、ナフタレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、ナフチルアミンスルホン酸等が好ましく用いられる。有機カルボン酸としては、サリチル酸誘導体や高級脂肪酸が用いられる。
シアンの有機顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60、62、66等が好適に用いられる。中でも銅フタロシアニン化合物を用いることが好ましい。
またシアンの着色剤の補色として、トリアリールメタン系化合物を用いることが好ましい。トリアリールメタン系色素は、良好な正帯電性を有することから帯電性のコントロール、着色性の両方の観点から有効な材料である。特にC.I.ソルベントブルー124等のトリアリールメタン系油溶性染料やトリアリールメタン系塩基性染料の造塩化合物は良好なものである。C.I.ソルベントブルー124としては、具体的にはクラリアント社製のCOPY BLUE PRは好ましい材料である。これはC.I.ベーシックレッド9(パラマゼンタ)とアニリンとを縮合せしめ得られたものである。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、バイオマス由来のカーボンブラックなどの各種いずれも使用できるが、ファーネスブラックカーボン、バイオマスカーボンが、画像特性においてかぶり(白地部の地汚れ)が低減される効果があり好ましいものである。
ニグロシン染料としては、ニグロシンベースを湿式粉砕等により微細化し、体積平均粒径を0.5〜2μmとしたものを用いることが好ましい。この微細化されたニグロシン染料はグロスを有し、光沢のある黒色を得ることができる。またニグロシンの微細化は特開2006−171501等に記載の方法により得られるものである。
また黒色着色剤としては、上記イエロー、マゼンタ、シアンの3色の着色剤を用いて黒色を得ることもできる。
これら磁性粉体の例としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄または二価金属と酸化鉄との化合物、鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金の粉体、およびこれら粉体の混合物が挙げられる。これらの磁性粉体は、平均粒径が0.1〜2μm、更には0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。また、磁性粉体のトナー中の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、約20〜200重量部、好ましくは40〜150重量部である。また、トナーの飽和磁化としては、15〜35emu/g(測定磁場 1キロエルステッド)が好ましい。
本発明のトナーは、現像される静電潜像の極性に応じて、正または負の電荷を保持することが必要とされる。トナーに好ましい極性の電荷を付与するため、必要に応じ荷電制御剤がトナーに添加、含有される。
また上記荷電制御剤は、結着樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部で用いられ、0.7〜8重量部が優れた帯電性を保持、安定させることができる点で好ましい。
本発明のトナー化において、さらに必要に応じて滑剤、流動性改良剤、研磨剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等、トナーの製造にあたり使用されている公知の添加剤を内添、あるいは外添することができる。これら添加剤の例としては、滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛などが、流動性改良剤としては、乾式法あるいは湿式法で製造したシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物およびこれらを疎水性化処理したものなどが、研磨剤としては窒化珪素、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、タングステンカーバイド、炭酸カルシウムおよびこれらを疎水化処理したものなどが、導電性付与剤としてはカーボンブラック、酸化スズなどが挙げられる。また、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素含有重合体の微粉末は、流動性、研磨性、帯電安定性などの点から好ましいものである。
まず、上記の方法で得られた相溶化剤マスターバッチ、結着樹脂、着色剤、及びその他必要に応じて荷電制御剤等を、混合機により予備混合(プレミックス)を行う。混合機としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、V型ブレンダー、ナウターミキサー等、任意のものを用いることが出来る。
上記混合物(プレミックス品)は、次いで混練機に供給され、そこで溶融混練される。混練機としては、二軸押出し混練機及び単軸押出し混練機等の押出し混練機、連続式2本ロールミル、連続式3本ロールミル及びバッチ式ロールミル等のオープンロール型混練機等、任意のものを用いることができる。
冷却手段、粉砕手段及び分級手段は、特に限定されず、通常トナーの製造に用いられるものを採用することが出来る。例えば、冷却には、圧延や空気流の吹き付けによる冷却手段を用いることができ、粉砕には、衝突板式粉砕機等の気流式粉砕機、機械式粉砕機を用いることができ、分級には、様々な気流式分級機、回転式分級機、コアンダ効果を利用したエルボー式分級機を用いることができる。
酸価は、試料1g中に含まれる酸基を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸基価は、試料1gをアセチル化するときに水酸基に結合した酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(島津製作所社製 DSC−60)を用いて、昇温速度10℃/minで測定した時のTg以下のベースラインの延長線と、Tg近傍の吸熱カーブの接線の交点の温度をいう。
軟化点は、高架式フローテスター(島津製作所社製 CFT−500D)を用いて、測定条件を荷重30kg、ノズルの直径1mm、ノズルの長さ10mm、予備加熱80℃で5分間、昇温速度3℃/minとし、サンプル量1gとして測定した時、フローテスターのプランジャー降下量−温度曲線におけるS字曲線の高さをhとする時、h/2の時の温度をいう。
真密度は、乾式自動密度計(島津−マイクロメリティックス社製 アキュピック1330(10cm3))を用いて、気相置換法により測定した値をいう。測定条件は次のとおりである。
測定ガス :ヘリウム
導入圧力 :パージおよびラン 19.5psig(134.35Kpag)
平衡判定圧力:0.0050psig/min(0.0345Kpag/min)
温湿度 :23℃/50%RH
装置 :日本分光(株)製800シリーズ
検出器:RI
カラム:東ソー[MN,GMH6(7.5mmI.D×600mm)×2,G2000H8(7.5mmI.D×600mm)]
温度 :25℃
溶媒 :THF
注入量:400μL
流量 :1.4ml
その他:THF室温溶解で濃度は20mg/10mlに調整
本発明で使用した共重合体(A)を下記表1に示した。
(ポリエステル樹脂B1の製造)
表2に示す重合仕込み成分に従ってモノマーを、蒸留塔を有する反応容器に投入し、次いで全酸成分に対して500rpmの三酸化アンチモンを投入し、常圧下、攪拌しながら260度まで昇温し、水を留出させながら、エステル化反応を行った後、真空度が1.0mmHgまで減圧し、220℃でジオール成分を留去させながら、縮合反応を行い、飽和共重合ポリエステル樹脂であるポリエステル樹脂を得た。
表2に記載した原料を用いて製造例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂B2〜B9を製造した。
(相溶化剤マスターバッチMB1の製造方法)
共重合体A1を50重量部、ポリエステル樹脂B1 50重量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で予備混合した後、100℃に設定した二軸混練押出し機PCM30(池貝社製)にて溶融混練し、直径3mm、長さ3mmの円柱状ペレットに造粒し相溶化剤マスターバッチMB1を得た。得られた相溶化剤マスターバッチMB1の110℃における溶融粘度の結果を表4に示す。
下記表3に記載された原料化合物を表3に記載した量用いることを除き、製造例1と同様にして、マスターバッチMB2〜MB19を製造した。得られたマスターバッチの110℃における溶融粘度は表4に記載のとおりであった。
(PES1)
テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA、エチレングリコールから構成されるポリエステル樹脂。
酸価:10mgKOH/g、水酸基価:43mgKOH/g、Tg:58℃、Ts:65℃、真密度1.32g/cc、分子量 Mw:28200、Mn:2500
(PES2)
テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA、エチレングリコールから構成されるポリエステル樹脂。
酸価:18mgKOH/g、水酸基価:36mgKOH/g、Tg:59℃、Ts:66℃、真密度1.32g/cc、分子量 Mw:32000、Mn:2600
W1:ビスコール550P(三洋化成工業社製、低分子量ポリプロピレン)
W2:パラフリントH1−N4(サゾール社製、フィッシャートロプシュワックス)
W3:ハイワックス200P(三井化学社製、低分子量ポリエチレン)
相溶化剤マスターバッチMB1 2重量部
離型剤W1 5重量部
ポリエステル樹脂PES1 84重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、二軸混練押出し機で溶融混練し、冷却固化した後ハンマーミルで粗粉砕し、次いでジェットミルを用い、粉砕圧力5.0Kg/cm2の条件で微粉砕し、風力分級機で分級して重量平均粒径約10μmの分級品を得た。この分級品と分級微粉の離型剤の熱量を測定して、(分級微粉の離型剤熱量値/分級品の離型剤熱量値)の値をから離型剤の分配性を評価すると共に、分級品中の離型剤の分散粒径を測定した。
次いで、上記で得られた分級品100部と疎水性シリカ(日本アエロジル社製 NY−50)1.5部、チタン酸カルシウム(富士チタン工業社製 CT)1.0部とをヘンシェルミキサーで混合して非磁性1成分トナーを得た。このトナーを用いて、定着装置として熱圧ロールの構造を有する市販のフルカラープリンタ(カシオ社製SPEEDIA N6100、ドラム30φ)を用いて実写テストを行い、トナーの定着性、耐オフセット性、画像特性(初期および万枚後の画像濃度、カブリ)、3万枚後の画像抜け及び機内飛散の評価を行った。評価結果を表4に示す。
なおこのプリンタは、現像器において、現像スリーブがローラーゴムであり、規制ブレードがローラーゴムに接触した金属性ブレードである。
表3中、離型剤の分配性の値が1.20以下である場合、分配性は良好と判断できる。
画像濃度はマクベス光度計を用いて行い、画像濃度は1.35以上の濃度であればよい。また、カブリの測定はフォトボルトにて、反射率を測定することにより行った。1.5%以下が良好な値である。ともに初期および3万枚後印刷のものを評価した。
トナーの機内飛散の状態は、プリンタの転写ベルト上に飛散トナーが存在するか否かを確認した。転写ベルト上にトナー飛散が見られる場合、これに伴う画像汚れが発生する。画像抜けの状態は印刷画像の目視により行った。遊離の離型剤が多いと規制ブレードのフィルミングが発生し印刷画像上で、画像抜けが発生する。ともに3万枚印刷後のものを評価した。
マスターバッチMB1を用いることに代えて、表3に記載されたマスターバッチを用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、それぞれで実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
共重合体A1 2重量部
離型剤W1 5重量部
ポリエステル樹脂PES1 84重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
共重合体A1を用いることに代えて、共重合体A1の凍結粉砕品を用いることを除き、比較例5と同様にして分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
なお、共重合体A1の凍結粉砕品とは、共重合体A1を液体窒素にて冷却しながらピンミルで粉砕(冷凍粉砕)し、1mmの目開きのメッシュで分級することによって得られる微粉を示す。
共重合体A1の凍結粉砕品 8重量部
離型剤W1 5重量部
ポリエステル樹脂PES1 78重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
離型剤W1 5重量部
ポリエステル樹脂PES1 86重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
離型剤W1を用いることに代えて、W2を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
離型剤W1を用いることに代えて、W3を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
ポリエステル樹脂PES1を用いることに代えて、ポリエステル樹脂PES2を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
相溶化剤マスターバッチMB1 3重量部
離型剤W1 8重量部
ポリエステル樹脂PES1 80重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
離型剤W1を用いることに代えて、W2を用いることを除き、実施例19と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
離型剤W1を用いることに代えて、W3を用いることを除き、実施例19と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
相溶化剤マスターバッチMB1 5重量部
離型剤W1 11重量部
ポリエステル樹脂PES1 75重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
相溶化剤マスターバッチMB1 5重量部
離型剤W1 14重量部
ポリエステル樹脂PES1 72重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
離型剤W1を用いることに代えて、W2を用いることを除き、比較例7と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
ポリエステル樹脂PES1を用いることに代えて、ポリエステル樹脂PES2を用いることを除き、比較例7と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
共重合体A1の凍結粉砕品 8重量部
離型剤W1 8重量部
ポリエステル樹脂PES1 75重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、比較例2と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
相溶化剤マスターバッチMB1 5重量部
離型剤W1 16重量部
ポリエステル樹脂PES1 70重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、比較例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、それぞれで実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
Claims (6)
- エチレンユニット、(メタ)アクリル酸エステルユニット、および(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットからなる共重合体(A)とポリエステル樹脂(B)とからなり、
前記共重合体(A)100重量部に対して、前記ポリエステル樹脂(B)を40〜240重量部含み、
110℃における溶融粘度が500〜6000(Pa・S)であることを特徴とする相溶化剤マスターバッチ。 - ポリエステル樹脂(B)が、酸価が0より多く20mgKOH/g以下で、110℃における溶融粘度が500〜4000(Pa・S)であることを特徴とする請求項1記載の相溶化剤マスターバッチ。
- ポリエステル樹脂(B)が2価のカルボン酸30〜60モル%、2価のアルコール40〜70モル%とを含むこと特徴とする請求項1または2記載の相溶化剤マスターバッチ。
- ポリエステル樹脂(B)が、重量平均分子量Mwが5000〜20000であり、数平均分子量Mnが2000〜7000であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の相溶化剤マスターバッチ。
- 請求項1〜4いずれかに記載の相溶化剤マスターバッチ、離型剤、結着樹脂、及び着色剤を含むトナー。
- 請求項1〜5いずれかに記載の相溶化剤マスターバッチ、離型剤、結着樹脂、及び着色剤を含む樹脂混練物を粉砕してなることを特徴とする粉砕トナー。
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