JP5577963B2 - 相溶化剤マスターバッチ、及びそれを用いたトナー - Google Patents

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Description

本発明は、トナー用の相溶化剤マスターバッチ、この相溶化剤マスターバッチを用いたトナー、特に粉砕法により得られる粉砕トナーに関する。
トナーには、着色剤、結着樹脂および離型剤等を用いるのが一般的である。そして、結着樹脂にはポリエステル樹脂やスチレン・アクリル系共重合体が用いられることが多い。近年では、高速化やカラー化に伴い、低温定着性と画像表面光沢に優れるポリエステル樹脂が用いられる傾向にある。特にカラートナーにおいては可とう性に優れるポリエステル樹脂を使用することが好ましいことは一般的に知られている。
一方、トナーの耐オフセット性、低温定着性、高耐久性を向上させるため、および定着器のオイルレス化を達成するため、多量の離型剤をトナー中に添加することが必要とされている。ここで結着樹脂にスチレン・アクリル系共重合体を用いる場合、共重合体の合成時に離型剤を添加することで、結着樹脂中に離型剤を良好に分散することができる。一方、結着樹脂にポリエステル樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂の一般的な合成法である縮重合時に離型剤を添加しても、原料モノマーとの相溶性の悪さから結着樹脂中に離型剤を良好に分散させることは困難であり、また離型剤が縮重合反応を阻害してしまう恐れもあった。一方、ポリエステル樹脂合成後に離型剤を添加し、分散すると両者は相溶性が悪いため、ポリエステル樹脂中に離型剤を均一に分散することは困難であった。
そのため、例えば、粉砕法によってトナーを製造する場合、原料の混合、溶融混練、粗砕、微粉砕、分級及び後処理の製造工程が必要になるが、結着樹脂にポリエステル樹脂を用いたときは、分級工程で得られたトナー粒子と分級微粉とにおける離型剤の含有量が均一にならない、という離型剤の分配不良の問題が生じてしまう。
この離型剤の分配不良は、溶融混練工程により得られる組成物中に離型剤が均一に分散しないことにより、その組成物を微粉砕した粒子中において離型剤の含有量が粒子間で異なることを意味する。
さらにポリエステル樹脂と離型剤が非相溶であるため、粒子中に存在するポリエステル樹脂と離型剤の界面が上記微粉砕工程により剥離してしまう。そのため微粉砕物として遊離した離型剤のみの粒子が発生してしまう問題もあった。
このような分配不良が生じると、トナー粒子中の原料組成が不均一になるため、トナー粒子に含まれる離型剤の含有量を制御できず、分級微粉をリサイクルして使用できない不都合が生じる。また上記説明の通りトナー粒子中に遊離した離型剤が混在することになり、帯電不良による画像のかぶりの増加、機内飛散、感光体への離型剤成分のフィルミングやそれに伴う画像欠陥が生じ、物性面での問題となっていた。
そこで上記の問題点を解決するため、これまでに様々な検討がなされて来ている。トナー中に離型剤を好ましく分配する目的で相溶化剤が提案されており、出願人においても、同様に相溶化剤の検討を行って来ており、ポリエステル樹脂中に離型剤を分散できる技術を確立して来ている。しかしながら、ポリエステル樹脂と離型剤の相溶化を実現させるためには、相溶化剤をあらかじめ凍結粉砕し微細化しポリエステル樹脂中へ均一添加する必要があり、ハンドリングが困難であるという欠点があった。また上記の問題によりこの相溶化剤を用いても、現実的にトナー中に添加できる離型剤の量はトナー100重量%として1〜4重量%程度であった。(特許文献1、2等参照)
一方、ワックス等の離型剤と結着樹脂とからなるマスターバッチを作製し、トナー製造時に添加することで離型剤の分配性、分散性を向上させることが提案されている。(特許文献3等参照)また更にその離型剤マスターバッチにシリコーンオイルなどを添加することも提案されている。(特許文献4等参照)
しかし、離型剤含有のマスターバッチでは、使用できる離型剤の種類が限定されてしまうため、汎用性の高い使用方法とはいえなかった。また複数の離型剤を併用してトナーを作製する場合は、離型剤含有のマスターバッチを用いることも煩雑になってしまう。一方、離形剤としてシリコーンオイルを用いた場合はシリコーンオイルが粉砕トナーの粉砕界面となり、離型剤がトナー粒子の表面に露出し、トナー粒子のドクターブレードへの固着/融着、トナー粒子同士の固結や凝集、感光体へのフィルミング、保存安定性が低いという様々な問題の解決は不十分であった。
特開2003−29445号公報 特開2004−69872号公報 特開2004−295028号公報 特開2007−264333号公報
本発明は、相溶化剤マスターバッチを用いたことで、多量に離型剤を含みながらも結着樹脂と離型剤が均一に分散できることで、連続印刷後の画像濃度の低下や画像のかぶりが少なく、画像抜けや印刷機内の飛散を低減でき、さらに分級微粉のリサイクルも容易なトナーを得ることができる相溶化剤マスターバッチの提供を目的とする。
本発明において、第一の発明は、エチレンユニット、(メタ)アクリル酸エステルユニット、および(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットからなる共重合体(A)と、
ポリエステル樹脂(B)とからなり、110℃における溶融粘度が500〜6000Pa・Sであることを特徴とする相溶化剤マスターバッチに関する。
第二の発明は、ポリエステル樹脂(B)が、酸価が0より多く20mgKOH/g以下で、110℃における溶融粘度が500〜4000(Pa・S)であることを特徴とする上記発明の相溶化剤マスターバッチに関する。
第三の発明は、共重合体(A)100重量部に対して、ポリエステル樹脂(B)が40〜240重量部であることを特徴とする上記発明の相溶化剤マスターバッチに関する。
第四の発明は、ポリエステル樹脂(B)が2価のカルボン酸30〜60モル%、2価のアルコール40〜70モル%とを含むことを特徴とする上記発明の相溶化剤マスターバッチに関する。
第五の発明は、ポリエステル樹脂(B)が、重量平均分子量Mwが5000〜20000であり、数平均分子量Mnが2000〜7000であることを特徴とする上記発明の相溶化剤マスターバッチに関する。
第六の発明は、上記発明の相溶化剤マスターバッチ、離型剤、結着樹脂、及び着色剤を含むトナーに関する。
第七の発明は、上記発明の相溶化剤マスターバッチ、離型剤、結着樹脂、及び着色剤を含む樹脂混練物を粉砕してなることを特徴とする粉砕トナーに関する。
本発明によると、相溶化剤マスターバッチを用いることで、トナー中での相溶化剤の分散がより微細化することにより相溶化剤の必要量を少なくすることが可能となり、さらにトナー中に多量の離型剤を容易に分散、配合させることが可能となった。また相溶化剤がマスターバッチ化されることで、トナー製造時のハンドリングが容易になる上に、生産性が向上した。さらに粉砕・分級工程において、粒度分布のコントロールも容易になり、離型剤の分散性の向上により粉砕効率が改善され、さらに粒度分布の均一なトナーが得られるようになった。さらに粒度分布制御の効果により、帯電性が安定することで、連続印刷後の画像濃度の低下や画像のかぶりが少なく、画像抜けや印刷機内の飛散を低減でき、さらに分級微粉のリサイクルも容易な、品質良好なトナーが得られるようになった。
本発明の相溶化剤マスターバッチは、相溶化剤として機能する、「エチレンユニット、(メタ)アクリル酸エステルユニット、および(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットからなる共重合体(A)(以下、共重合体(A)と称する場合もある)とポリエステル樹脂(B)とからなる。共重合体(A)は離型剤と結着樹脂との相溶性が高く、トナー中での離型剤の偏在やトナーからの離型剤の遊離を防止する効果を有している。
ポリエステル樹脂(B)は、共重合体(A)に対する分散媒としての効果に優れ、さらに分散した共重合体(A)をトナー中へ速やかに拡散する効果にも優れている。そのため本発明の相溶化剤マスターバッチに用いることで、共重合体(A)の相溶性をより効果的に発揮することができる。
また本発明の相溶化剤マスターバッチは110℃における溶融粘度が500〜6000Pa・Sであることが好ましい。
マスターバッチの110℃における溶融粘度が500Pa・Sより小さい場合には、トナー原料成分における溶融粘度が低くなりすぎてしまい、溶融混練工程で十分な剪断応力を付与することが出来なくなり、トナー中でのマスターバッチの分散が不十分になってしまう。マスターバッチの110℃における溶融粘度が6000Pa・Sより大きい場合には、トナー中へのマスターバッチの拡散効果が不十分となってしまう。
本発明では、トナーにこの相溶化剤マスターバッチを用いることで、トナー中の離型剤の分散が良好になり、さらにトナー中に10重量%以上の離型剤を使用することが可能となった。そのためトナー中での離型剤を微細に分散することが可能になったことで良好な品質のトナーを得ることができた。
<共重合体(A)>
本発明において用いられる相溶化剤は、エチレンユニット、(メタ)アクリル酸エステルユニット、および(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットからなる共重合体(A)である。
エチレンユニットは離型剤との相溶性が高いため、55重量%以上が好ましく、より好ましくは60重量%以上である。
(メタ)アクリル酸エステルユニットは結着樹脂との相溶性が高く、(メタ)アクリル酸エステルユニットは10重量%以上が好ましく、より好ましくは15重量%以上である。
(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットは、ユニット中のエポキシ基がポリエステル樹脂中のカルボキシル基と反応して結合することにより相溶化剤としての効果を高める機能を発揮する。含有量は1重量%以上とすることが好ましく、より好ましくは2重量%以上である。一方、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットの含有量が多すぎると、離型剤の効果が低下してしまうためか、トナーの耐オフセット性が悪化してしまうため、25重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは20重量%以下である。
上記の事情により、共重合体(A)各成分の好ましい構成は、エチレンユニットが55〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステルユニットが10〜40重量%、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットが1〜25重量%であり、さらに好ましい構成は、エチレンユニットが60〜75重量%、(メタ)アクリル酸エステルユニットが15〜30重量%、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットが2〜20重量%である。
共重合体(A)を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸nブチル等が挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルとしては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
共重合体(A)は、エチレンユニットと(メタ)アクリル酸エステルユニットを高温、高圧化でラジカル共重合することによって得られるエチレン系共重合体に、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットをグラフト重合させることにより得られる。このグラフト重合は、有機過酸化物あるいはアゾ化合物などのようなラジカル重合開始剤の存在下で行う事が出来る。また、エチレンユニット、(メタ)アクリル酸エステルユニット、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットの添加量を適宜変えることにより、共重合体(A)の組成比を制御することができる。
<ポリエステル樹脂(B)>
ポリエステル樹脂(B)は、従来トナー用のポリエステル樹脂として使用されているポリエステル樹脂を使用することが可能であるが、共重合体(A)の相溶化機能をトナー中で効率的に発揮させることが必要である。そのためポリエステル樹脂(B)は、110℃における溶融粘度が500〜4000(Pa・S)、酸価が0より多く20mgKOH/g以下のポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂(B)の110℃における溶融粘度が500Pa・Sより小さい場合には、溶融粘度が低すぎるため、共重合体(A)に十分な剪断応力を付与することが出来なくなり、ポリエステル樹脂(B)中での共重合体(A)の分散が不十分になってしまう。またポリエステル樹脂(B)の110℃における溶融粘度が4000Pa・Sより大きい場合には、トナー中への共重合体(A)の拡散効果が不十分となってしまう。
なお、本発明において、110℃における溶融粘度は島津製作所(株)製フローテスターCFT−500Dを用いて、ダイ径0.50mm、ダイ長さ1mm、荷重20Kg、毎分6℃の昇温速度で測定した値である。
またポリエステル樹脂(B)の酸価が0mgKOH/gの場合には、共重合体(A)との相溶性が低下し、離型剤の遊離の問題が十分に解決しない。またポリエステル樹脂(B)の酸価が20mgKOH/gを超える場合には、得られたトナーの高温・高湿時の保存性および現像特性が悪くなるという問題が発生する。より好ましい酸価の範囲は、5〜18mgKOH/gの範囲である。なお、本発明において、酸価の測定はJIS K−0070の方法に準じて行うことができる。
本発明でポリエステル樹脂(B)とは、2価や3価の水酸基を有するアルコール成分と、2価や3価のカルボキシル基を有する酸成分との縮重合によって得られることが好ましい。
さらに本発明では、トナー中への共重合体(A)の拡散効果を考慮した場合、ポリエステル樹脂(B)は線状ポリエステルであることが好ましく、さらに好ましくは2価の酸成分が30〜60モル%と2価のアルコール成分が40〜70モル%とを含む成分を用いて合成したポリエステルがより好ましい。本発明では相溶化マスターバッチを用いてトナーを製造する際に、ポリエステル樹脂が適切な分子量分布を有することが好ましい。これによりポリエステル樹脂(B)は共重合体(A)をトナー中へ均一に拡散させる機能をより効果的に発揮できる。
上記のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、上記一般式(1)で示されるビスフェノール誘導体等のジオール類、グリセロール、ジグリセロール、ソルビット、ソルビタン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、等の多価アルコール成分が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
一方、酸成分としては、例えば、二価の酸として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;またさらに炭素数16〜18のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸などの不飽和ジカルボン酸またはその無水物;シクロヘキサンジカルボン酸;ナフタレンジカルボン酸;ジフェノキシエタン−2,6−ジカルボン酸等が挙げられ、三価以上のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、オクタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
好ましいアルコール成分は、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、下記一般式(1)で表されるビスフェノール誘導体であり、好ましい酸成分はフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはその無水物、コハク酸、n−ドデセニルコハク酸またはその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸類などである。
一般式(1)
Figure 0005577963
(式中Rは(C24)または(C36)であり、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)は、50℃〜65℃であることが好ましい。ガラス転移温度(Tg)が50℃よりも低いと、マスターバッチのブロッキング性が悪化する恐れがある。また65℃よりも高くなってしまうと、共重合体(A)のトナー中への拡散効率が悪化する恐れがある。
本発明において好適に用いられるポリエステル樹脂(B)は、重量平均分子量Mwが5000〜20000であることが好ましく、さらに好ましくは5000〜15000であり、最も好ましくは7000〜12000である。また、ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量Mnは2000〜7000、好ましくは、さらに2000〜5000の範囲にあることが好ましい。重量平均分子量が2万より大きい場合や、数平均分子量が7000よりも大きい場合はトナー中での相溶化剤の分散が不十分となる恐れがある。また、重量平均分子量が5000より小さい場合や、数平均分子量が2000より小さい場合は、マスターバッチやトナーの耐ブロッキング性が悪化する恐れがある。
さらに、ポリエステル樹脂(B)の分子量分布はMw/Mn=1〜4であることが好ましく、さらにMw/Mn=1.5〜3が望ましい。Mw/Mn=4を超えるとトナーの発色性が不足し、カラー画像の光透過性が低下する恐れがある。
本発明の相溶化剤マスターバッチにおいて、品質と取り扱いの利便性を考慮すると共重合体(A)100重量部に対する、ポリエステル樹脂(B)の添加量は、40〜240重量部であることが好ましく、さらに70〜200重量部であることが好ましい。共重合体(A)100重量部に対するポリエステル樹脂(B)の添加量が40重量部より少なくなると、マスターバッチ中での共重合体(A)の分散が不十分となり、相溶化剤としての機能が発揮できない恐れがある。ポリエステル樹脂(B)の添加量が240重量部を超えると、トナー製造時のマスターバッチ添加量が増大することにより、相溶化剤マスターバッチ中の共重合体(A)の比率が低下するので、相溶化剤としての機能が発揮できない恐れがある。
本発明の相溶化剤マスターバッチは、110℃における溶融粘度が500〜6000(Pa・S)であることが好ましく、さらに好ましくは1000〜5000(Pa・S)である。相溶化剤マスターバッチの110℃における溶融粘度が500Pa・Sより小さい場合、溶融粘度が低すぎてしまうことにより、トナー中でマスターバッチが微分散せずにスジ状に広がってしまう恐れがある。一方、相溶化剤マスターバッチの110℃における溶融粘度が6000Pa・Sより大きい場合、マスターバッチのトナー中への拡散性が不十分となってしまい、相溶化剤としての機能を発揮できない恐れがある。
本発明の相溶化剤マスターバッチは、以上説明した各成分を混合し、70〜180℃で溶融混練することにより得ることができる。溶融混練方法としては、バンバリーミキサー、ロール、押出し混練機等の公知の方法を採用することができるが、生産効率の観点から溶融混練工程は一軸あるいは二軸押出し混練機が好ましい。
本発明の相溶化剤マスターバッチ製造時における、共重合体(A)とポリエステル樹脂(B)を含む成分の溶融混練工程では、比エネルギー0.06〜0.25(KW・Hr/Kg)の条件で溶融混練することが好ましく、さらに好ましくは0.08〜0.16(KW・Hr/Kg)。0.06KW・Hr/Kgより小さいと、共重合体(A)のマスターバッチ中での分散が不十分となる恐れがある。0.25KW・Hr/Kgより大きいと局所的な発熱により樹脂が酸化劣化することにより、トナー品質が劣化する恐れがある。なお本発明において比エネルギーとは、溶融混練する際の必要な消費電力を吐出量で割った数値である。
本発明の相溶化マスターバッチは、トナー中の結着樹脂にポリエステル樹脂を用いる場合に用いることが好ましい。そして、離型剤との相溶化剤である共重合体(A)をポリエステル樹脂(B)中で予備分散したマスターバッチであるため、共重合体(A)のトナー中への良好な拡散と分散が可能となる。さらに、結着樹脂とマスターバッチとを混練した際に、結着樹脂中に共重合体(A)が微細に分散した混練物が得られ、その結果、離型剤が均一に高濃度に分散されたトナー粒子を得ることができる。
本発明のトナーは、相溶化剤マスターバッチと、離型剤と、結着樹脂と、着色剤とを含むことが好ましい。
本発明のトナーは、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合に、離型剤との相溶化剤である共重合体(A)をポリエステル樹脂(B)中で分散した相溶化剤マスターバッチを用いると、結着樹脂中で共重合体(A)を介して離型剤を均一に微細に分散することができる。これにより本発明のトナーは、ドクターブレード、感光体へのフィルミングの問題を解決し、トナーの耐久性を向上させることができた。
また本発明のトナーは、相溶化剤マスターバッチを用いることでより高濃度の離型剤を含むことが可能になったが、これにより、離型剤成分の遊離によるドラムフィルミング、現像器中の接触ブレードのフィルミングが発生しなくなり、また白地部のかぶりも低減し、さらには非オフセット領域が広がり、定着の範囲が広くなった効果も得られた。
(トナーの材料)
以下本発明の相溶化剤マスターバッチを用いて得られるトナーの材料について詳述する。
<離型剤>
本発明において、離型剤としては特に限定されず、トナーの分野で公知のものが使用可能である、例えば熱ロール定着時の離型性(オフセット防止性)を向上させる、脂肪族炭化水素、脂肪酸金属塩、高級脂肪酸、脂肪酸エステルもしくはその部分ケン化物、シリコーンオイル、各種ワックスが挙げられる。これらの中では、共重合体(A)のエチレンユニットと相溶性が特に良好な骨格をもつ離型剤が好ましく、例えば、エチレンホモポリマー、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス等のワックス類等が挙げられる。これらは通常単独で用いられるが、2種以上の組み合わせでも使用可能である。
これら離型剤はトナー100重量%中通常0.5〜10重量%程度の割合で添加されるものであるが、本発明の相溶化剤含有マスターバッチを使用することで、今まで困難であった、10〜15重量%の範囲における添加が可能となった。離型剤の含有量が15重量%を超えると、相溶化剤の働きで結着樹脂中へ離型剤を均一に分散せしめることはできるものの、離型剤の含有量が過剰になり、現像スリーブや感光体ドラムへの離型剤成分の付着、キャリアへのスペント等を引き起こしてしまい、トナーの機内飛散、かぶりの増加、画像の劣化が生じ、品質が悪化する恐れがある。また0.5重量%未満となると、離型剤を添加する効果が見られず、すなわち、定着性能が低下してしまい、オフセットが発生する恐れがある。
<低分子量ポリプロピレン>
低分子量ポリプロピレンは、非酸化型と酸化型の2つのタイプがあり、本発明においては、非酸化型の低分子量ポリプロピレンを用いることが好ましい。非酸化型とは、本発明では酸価が2mgKOH/g以下の数値を有するものを意味する。また、低分子量ポリプロピレンの分子量は、蒸気浸透圧法(VPO法)による分子量の測定で、2,000〜10,000の範囲であることが好ましい。また、軟化温度は、130〜150℃の数値であることが好ましい。このような非酸化型の低分子量ポリプロピレンとしては、例えば、三洋化成工業社製ハイマーTP−32、ビスコール550P、660P、330P、三井化学社製NP055、NP056、NP105、NP505等を好ましく用いることができる。
<フィッシャートロプシュワックス>
フィッシャートロプシュワックスは、従来は石炭を原料にしてフィッシャートロプシュ法により製造されたものであったが、資源の枯渇や製造工程の複雑さの問題から、代替原料を世界規模で検討した結果、現在は石炭から環境に優しい天然ガスへ原料が移行され、製造工程も容易なものに変更されている。メタン、エタン、プロパン、ブタンなどからなる天然ガスを原料として、これらが一酸化炭素と水素からなる合成ガスへオートサーマルリフォーミングにより転換される。フィッシャートロプシュワックスは、この合成ガスを原料として用い、フィッシャートロプシュ合成法により製造される。
このようにフィッシャートロプシュワックスは、一酸化炭素の触媒水素化により合成されたワックス状炭化水素であり、構造的にはメチル分岐の少ない直鎖状のパラフィン系ワックスである。パラフィンワックスの中で特に硬質、高分子量、結晶性が高く、高凝固点、溶融時の低粘性に特徴があり、他の離型剤と比べ低温定着性、耐オフセット性に優れる。具体的には、サゾール社製パラフリントH1−N4、HI−N6、A3、シェル・MDS社製FT−100、MDP−7000、MDP−7010等が使用できるが、中でもH1−N4、FT−100が低温定着性、保存安定性に優れ好ましい。また、示差走査熱量分析計(以下、DSCと略す)による融点が80〜120℃であるものが好ましい。融点が80℃より低いものは、トナーの保存安定性に問題が生じやすく、また流動性が悪くなりやすい。一方、120℃より高いとトナーの溶融粘度を下げる効果が少ないため、トナーの低温定着性が得られにくくなる。また、JIS K−2235で測定した25℃における針入度が3以下であることが好ましく、更には2以下であることが好ましい。針入度が3より大きいとトナー化した際に流動性が悪くなり易く、保存安定性およびキャリア粒子等との摩擦帯電性に問題が生じ易い。
なお、本発明で規定されるDSC(示差走査熱量測定)による融点は、吸収熱量のピーク温度のことであり、島津製作所社製 DSC−60を用い20〜150℃の間を10℃/分の割合で昇温させ、次に150℃から20℃に急冷させる過程を2回繰り返し2回目の吸収熱量のピーク温度を測定したものである。
離型剤の分配性については、トナー製造時に得られる分級品と分級微粉それぞれについて、DSC(示差走査熱量計)を用いて、離型剤の溶融ピークとベースラインから得られる熱量値を測定し、(分級微粉の離型剤熱量値/分級品の離型剤熱量値)を計算することによって評価することができる。この方法で計算した値が1.0に近いほど、離型剤の分配性が良好で、離型剤がトナー粒子中に均一に配合、含有されていると言えるものである。この値が1.20以下であれば、実質的に分配性は良好であると評価できる。
本発明においては、相溶化剤マスターバッチの使用により、結着樹脂100質量部に対して、前記離型剤を15重量部まで添加することが可能である。好ましくは結着樹脂100質量部に対して、前記離型剤を12重量部以内の範囲での添加量である。この範囲であるならば、トナー粒子(分級)と分級微粉とに含まれる離型剤の含有量を均一に制御することができる。
離型剤を従来のトナーよりも多く添加することができることで、定着器にシリコーンオイル等の離型性を有する液体を塗布することが必要なくなり、定着器を簡素にでき、画像形成装置の軽量化、簡素化が可能となった。
<結着樹脂>
本発明において、結着樹脂としては、従来から、トナーの結着樹脂として公知のもののいずれもが使用可能である。使用することのできる結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体または架橋されたスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。相溶化剤マスターバッチの分配、分散適性を得られる顕著な効果を鑑みた場合、ポリエステル樹脂が最も好ましく用いられる。
本発明において、結着樹脂にポリエステル樹脂を用いる場合は、トナー用で用いられているポリエステル樹脂を用いることができるが、その中でも分岐構造を有するポリエステル樹脂を用いることが好ましい。さらに本発明のトナーは、相溶化剤マスターバッチでは線状のポリエステル樹脂(B)を、結着樹脂では分岐構造を有するポリエステル樹脂を用いることが好ましい
ポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分を用いて縮重合により合成できる。
本発明において、結着樹脂用のポリエステル樹脂の合成に用いるアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、下記一般式(2)で示されるビスフェノール誘導体等のジオール類、グリセロール、ジグリセロール、ソルビット、ソルビタン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、等の多価アルコール成分が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
一般式(2)
Figure 0005577963
(式中Rは(C24)または(C36)であり、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
本発明において、結着樹脂用のポリエステル樹脂の合成に用いる酸成分としては、二価のカルボン酸として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;またさらに炭素数16〜18のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸などの不飽和ジカルボン酸またはその無水物;シクロヘキサンジカルボン酸;ナフタレンジカルボン酸;ジフェノキシエタン−2,6−ジカルボン酸等が挙げられ、架橋成分としてはたらく三価以上のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、オクタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
なお、本発明において、酸価の測定はJIS K−0070の方法に準じて行うことができる。酸価は結着樹脂1gを中和するために必要な水酸化カリウムのmg数で表す。
本発明においては、結着樹脂用のポリエステル樹脂は、トナー100重量部当り40〜95重量部であることが好ましい。
結着樹脂用のポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は50〜70℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移温度(Tg)は、本発明においては示差走査熱量計(島津製作所社製 DSC−60)を用いて、昇温速度10℃/minで測定した時のTg以下のベースラインの延長線と、Tg近傍の吸熱カーブの接線との交点の値を求め測定した。
本発明のトナーにおいては、結着樹脂用のポリエステル樹脂として、酸価が5〜20mgKOH/gの範囲であることが好ましい。酸価が5mgKOH/gより小さい場合には、共重合体(A)との相容性が低下し、離型剤遊離の問題が生じる場合があり、また酸価が20mgKOH/gを超える場合には、得られたトナーの高温・高湿時の保存性および現像特性が悪くなるという場合がある。
結着樹脂用のポリエステル樹脂は、ホモポリエステル或いはコポリエステルの単独でも、或いはこれらの2種以上からなるブレンド物であってもよい。また、結着樹脂用のポリエステル樹脂は、耐オフセット性および低温定着性の点から、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量において、重量平均分子量(Mw)が5,000以上のものが好ましく、10,000〜1,000,000のものがより好ましい。結着樹脂用のポリエステル樹脂の重量平均分子量が小さくなると、トナーの耐オフセット性が低下する傾向にあり、また、重量平均分子量が大きくなると定着性が低下する傾向を示す。また、用いられる結着樹脂用のポリエステル樹脂は、特定の低分子量の縮重合体成分と特定の高分子量の縮重合体成分とからなる2山の分子量分布曲線を有するタイプ、或いは1山の単分子量分布曲線を有するタイプのいずれのものであってもよい。
また、本発明に用いる結着樹脂用のポリエステル樹脂は、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が2〜20であることが好ましく、より好ましくは2〜10である。Mw/Mnが2未満の場合は、結着樹脂用のポリエステル樹脂の脆性が強くなり、破砕しやすくなる。その結果、機械的強度が低下し、現像器内でトナー粒子が破断され、現像に寄与しない微粉の増加が発生しやすくなる。一方、Mw/Mn比が20を越す場合は、分子量分布が拡がりすぎて熱溶融しにくくなり、カラートナーの場合では画像に光沢性が付与し難くなる他、低温定着性が損なわれる場合がある。
<着色剤>
本発明のトナーに用いる着色剤としては、以下に示すイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各有機顔料、有機染料特にその造塩化合物、カーボンブラック、磁性体が好適に用いられる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。
イエローの着色剤としては、イエローの有機顔料、イエローの染料の造塩化合物を用いることが好ましい。
イエローの有機顔料としては、ベンズイミダゾロン化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、キノフタロン化合物、アゾ金属錯化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、138、139、147、150、168、174、176、180、181、191等が好適に用いられる。中でもキノフタロン化合物、縮合アゾ化合物、ベンズイミダゾロン化合物を用いることが好ましい。
またイエローの染料の造塩化合物としては、酸性染料の造塩化合物、塩基性染料の造塩化合物が用いられる。酸性染料の造塩化合物としては、C.I.アシッドイエロー11、23(タートラジン)と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物を用いることが好ましい。四級アンモニウム塩を構成することでトナー粒子が安定した正帯電を保持することができる。
マゼンタの着色剤としては、マゼンタの有機顔料、マゼンタの染料の造塩化合物を用いることが好ましい。
マゼンタの有機顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、ローダミンレーキ等の塩基性染料のレーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物、が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、209、220、221、254、255、268、269等、C.I.ピグメントバイオレット1等が好適に用いられる。中でもキナクリドン化合物、ローダミンレーキ顔料、ナフトール系顔料等を用いることが好ましい。具体的には、ナフトールAS(C.I.ピグメントレッド269等)、ローダミンレーキ(C.I.ピグメントレッド81、81:1、81:2、81:3、81:4、169等)、キナクリドン(C.I.ピグメントレッド122等)が好ましい材料である。
またマゼンタの染料の造塩化合物としては、ローダミン系酸性染料の造塩化合物、ローダミン系塩基性染料の造塩化合物が好ましく用いられる。塩基性染料の造塩化合物としては、C.I.ベーシックレッド1、同ベーシックバイオレット10と無色(色素の発色を阻害しない)の有機スルホン酸、有機カルボン酸とからなる造塩化合物を用いることが好ましい。塩基性染料は良好な正帯電を呈することからトナー粒子が安定した正帯電を保持することができる。有機スルホン酸としては、ナフタレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、ナフチルアミンスルホン酸等が好ましく用いられる。有機カルボン酸としては、サリチル酸誘導体や高級脂肪酸が用いられる。
シアンの着色剤としては、シアンの有機顔料、シアンの染料の造塩化合物を用いることが好ましい。
シアンの有機顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60、62、66等が好適に用いられる。中でも銅フタロシアニン化合物を用いることが好ましい。
またシアンの着色剤の補色として、トリアリールメタン系化合物を用いることが好ましい。トリアリールメタン系色素は、良好な正帯電性を有することから帯電性のコントロール、着色性の両方の観点から有効な材料である。特にC.I.ソルベントブルー124等のトリアリールメタン系油溶性染料やトリアリールメタン系塩基性染料の造塩化合物は良好なものである。C.I.ソルベントブルー124としては、具体的にはクラリアント社製のCOPY BLUE PRは好ましい材料である。これはC.I.ベーシックレッド9(パラマゼンタ)とアニリンとを縮合せしめ得られたものである。
黒の着色剤としては、コスト、取り扱いの点からもカーボンブラックやニグロシン染料を用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、バイオマス由来のカーボンブラックなどの各種いずれも使用できるが、ファーネスブラックカーボン、バイオマスカーボンが、画像特性においてかぶり(白地部の地汚れ)が低減される効果があり好ましいものである。
ニグロシン染料としては、ニグロシンベースを湿式粉砕等により微細化し、体積平均粒径を0.5〜2μmとしたものを用いることが好ましい。この微細化されたニグロシン染料はグロスを有し、光沢のある黒色を得ることができる。またニグロシンの微細化は特開2006−171501等に記載の方法により得られるものである。
また黒色着色剤としては、上記イエロー、マゼンタ、シアンの3色の着色剤を用いて黒色を得ることもできる。
また、本発明のトナーが磁性トナーである場合には、磁性体は着色剤として機能するものである。
これら磁性粉体の例としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄または二価金属と酸化鉄との化合物、鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金の粉体、およびこれら粉体の混合物が挙げられる。これらの磁性粉体は、平均粒径が0.1〜2μm、更には0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。また、磁性粉体のトナー中の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、約20〜200重量部、好ましくは40〜150重量部である。また、トナーの飽和磁化としては、15〜35emu/g(測定磁場 1キロエルステッド)が好ましい。
また画像濃度が良好で、コントラストのある黒色を得るためには、黒の着色剤として黒色色素100質量部に対して、青色色素を1〜10質量部添加することが好ましい。青色色素としては、ハロゲンを含まない金属フタロシアニンブルー化合物、トリアリールメタン化合物等を用いることが好ましい。またフタロシアニンブルー化合物、トリアリールメタン化合物は安定した正帯電性を有していることも良好な黒トナー粒子を得る上で有効である。中でもトリアリールメタン化合物を用いることが好ましく、具体的には、ビクトリアピュアブルーレーキ顔料(C.I.ピグメントブルー1)、トリアリールメタン系塩基性染料と実質的に無色の有機酸とからなる造塩化合物(C.I.ベーシックブルー7と有機酸との造塩化合物)、トリアリールメタン系油溶性染料を用いることが好ましい。トリアリールメタン系色素は良好な正帯電を呈することでトナー粒子の帯電性制御に有効であり、中でも分散性に優れたトリアリールメタン系油溶性染料が好ましい。
本発明に用いるトナー粒子中に含まれる着色剤の使用量は、使用する結着樹脂の種類により異なるが、通常、トナー粒子100質量部に対して5〜40質量部、好ましくは10〜30質量部、より好ましくは15〜25質量部である。
<荷電制御剤>
本発明のトナーは、現像される静電潜像の極性に応じて、正または負の電荷を保持することが必要とされる。トナーに好ましい極性の電荷を付与するため、必要に応じ荷電制御剤がトナーに添加、含有される。
正帯電性トナーに用いる荷電制御剤としては、ニグロシン染料、脂肪酸金属誘導体、トリフェニルメタン系染料、四級アンモニウム塩化合物、ジオルガノスズオキサイド、ジオルガノスズボレート等を単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。中でもニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料を用いることが好ましい。また上記荷電制御剤は結着樹脂100部に対して、0.5〜10重量部で用いられ、0.7〜8重量部が優れた帯電性を保持、安定させることができる点で好ましい。
ニグロシン染料としては、ニグロシンベース、或いはニグロシンベースをマレイン酸樹脂、キシレン樹脂等で変性したものが好ましく、具体的にはオリエント化学工業社製N−01,N−04,N−07、ニグロシンベースEX、中央合成化学社製CCA−1,CCA−3等が挙げられる。また四級アンモニウム塩化合物としては、具体的にはオリエント化学工業社製P−51,P−53、保土谷化学工業社製TP−302,TP−415等が挙げられる。
トリフェニルメタン系染料としては、C.I ソルベントブルー124であらわされるものが好ましい。
負帯電性トナーに用いる荷電制御剤としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属塩化合物、同金属錯体、モノアゾ染料の金属錯体、カリックスアレン等のフェノール系縮合物、等が挙げられる。中でも芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属塩化合物、モノアゾ染料の金属錯体を用いることが好ましい。芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属塩化合物における、芳香族ヒドロキシカルボン酸としてはサリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−フェニルサリチル酸が好ましく、中心金属としては、Cr、Zn、Ca、Al、Fe、Zr等が挙げられる。
また上記荷電制御剤は、結着樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部で用いられ、0.7〜8重量部が優れた帯電性を保持、安定させることができる点で好ましい。
負帯電性トナーに用いる荷電制御剤の具体的なものとしては、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属塩化合物、同金属錯体として、オリエント化学工業社製ボントロンE−81、E−82、E−84、保土谷化学工業社製TN−105、また特許第2885238号、3785975号に記載される化合物が挙げられる。またモノアゾ染料の金属錯体としては、オリエント化学工業社製ボントロンS−34、S−44、保土谷化学工業社製スピロンブラックTRH、T−77、T−95等が挙げられる。またその他の負帯電荷電制御剤としては、クラリアント社製コピーチャージN4Pが挙げられる。
本発明のトナー化における荷電制御剤は、荷電制御剤の体積平均粒径(D50:メディアン径)が1〜10μmの範囲であることが好ましい。(粒度分布についてはベックマンコールター社マルチサイザー3にて測定される値)この範囲を満足することで、荷電制御剤の結着樹脂中への分散が均一になされ、トナーとして安定した帯電量を保つことが可能となる。荷電制御剤の粒子径D50が10μmを超えてしまうと、結着樹脂中に荷電制御剤を均一に分散することが困難になってしまい、結果として荷電制御剤の含有量の偏りが生じてしまい、画像のかぶり、機内飛散の原因になってしまう。また荷電制御剤の粒子径D50が1μmよりも小さくなると、単位重量あたりの荷電制御剤の比表面積が増大してしまい、トナーの帯電量の過度な上昇(チャージアップ)を引き起こしてしまうこととなり、低温低湿の環境下で現像スリーブ上の波模様が生じ画像欠陥に繋がり好ましくない。
<外添剤>
本発明のトナー化において、さらに必要に応じて滑剤、流動性改良剤、研磨剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等、トナーの製造にあたり使用されている公知の添加剤を内添、あるいは外添することができる。これら添加剤の例としては、滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛などが、流動性改良剤としては、乾式法あるいは湿式法で製造したシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物およびこれらを疎水性化処理したものなどが、研磨剤としては窒化珪素、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、タングステンカーバイド、炭酸カルシウムおよびこれらを疎水化処理したものなどが、導電性付与剤としてはカーボンブラック、酸化スズなどが挙げられる。また、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素含有重合体の微粉末は、流動性、研磨性、帯電安定性などの点から好ましいものである。
流動性改良剤としては、疎水化処理されたシリカ、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物微粉体を外添剤として含有することが好ましい。これら微粉体の疎水化処理は、シリコーンオイル、テトラメチルジシラザンなどのシランカップリング剤による処理等が挙げられる。また、ブローオフ法により測定したときに、鉄粉キャリアに対してプラスのトリボ電荷を有する正帯電性のシリカを用いることもできる。この正帯電性のシリカを得るためには、側鎖に窒素原子を少なくとも1つ有するオルガノ基を有するシリコーンオイル、あるいは窒素含有のシランカップリング剤で処理すればよい。疎水化処理されたシリカなど疎水化微粉体の使用量は、トナー粒子100重量部当り、0.01〜20重量%、好ましくは0.03〜5重量%である。
具体的に本発明において用いられる流動性改良剤の表面処理剤としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のオルガノアルコキシシラン類、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン等のオルガノクロロシラン類、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン類、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン等のオルガノアミノシラン類、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルなどのストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が使用できる。変性シリコーンオイルに用いられる変性基としては、メチルスチレン基、長鎖アルキル基、ポリエーテル基、カルビノール基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、高級脂肪酸基、メルカプト基、メタクリル基等が挙げられる。
本発明のトナーは、体積平均粒径(D50)は4〜10μm(コールカウンター製マルチサイザー)であることが、現像特性の観点からはより好ましい。
本発明の相溶化剤マスターバッチを用いることで、トナー中で離型剤が均一に分散、分配配合されることにより、粉砕点が偏ることなく均質化されるため、粉砕性が改善され、分散粒度分布のシャープなトナーを得ることができる。
本発明でトナーは、粉砕トナーとして以下の製造方法で得ることが好ましい。
まず、上記の方法で得られた相溶化剤マスターバッチ、結着樹脂、着色剤、及びその他必要に応じて荷電制御剤等を、混合機により予備混合(プレミックス)を行う。混合機としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、V型ブレンダー、ナウターミキサー等、任意のものを用いることが出来る。
上記混合物(プレミックス品)は、次いで混練機に供給され、そこで溶融混練される。混練機としては、二軸押出し混練機及び単軸押出し混練機等の押出し混練機、連続式2本ロールミル、連続式3本ロールミル及びバッチ式ロールミル等のオープンロール型混練機等、任意のものを用いることができる。
混練機からの溶融混練物は、通常、トナーの製造に用いられる方法に従って、冷却され、粉砕され、所定の粒度に分級されて、トナー母粒子(分級品)が得られる。
冷却手段、粉砕手段及び分級手段は、特に限定されず、通常トナーの製造に用いられるものを採用することが出来る。例えば、冷却には、圧延や空気流の吹き付けによる冷却手段を用いることができ、粉砕には、衝突板式粉砕機等の気流式粉砕機、機械式粉砕機を用いることができ、分級には、様々な気流式分級機、回転式分級機、コアンダ効果を利用したエルボー式分級機を用いることができる。
このようにして得たトナー母粒子に、前記述べた流動化剤、外添剤等を加え、混合・攪拌することにより、粉砕トナーが得られる。
以下、本発明を実施例および比較例を示してより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明の実施例および比較例における樹脂の酸価、水酸基価、ガラス転移温度(Tg)、軟化点(Ts)、真密度は以下のとおりのものである。また樹脂の分子量分布はGPC(ゲルパーミエーションクラマトグラフ)により測定を行った。
(酸価および水酸基価)
酸価は、試料1g中に含まれる酸基を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸基価は、試料1gをアセチル化するときに水酸基に結合した酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(島津製作所社製 DSC−60)を用いて、昇温速度10℃/minで測定した時のTg以下のベースラインの延長線と、Tg近傍の吸熱カーブの接線の交点の温度をいう。
(軟化点)
軟化点は、高架式フローテスター(島津製作所社製 CFT−500D)を用いて、測定条件を荷重30kg、ノズルの直径1mm、ノズルの長さ10mm、予備加熱80℃で5分間、昇温速度3℃/minとし、サンプル量1gとして測定した時、フローテスターのプランジャー降下量−温度曲線におけるS字曲線の高さをhとする時、h/2の時の温度をいう。
(真密度)
真密度は、乾式自動密度計(島津−マイクロメリティックス社製 アキュピック1330(10cm3))を用いて、気相置換法により測定した値をいう。測定条件は次のとおりである。
測定ガス :ヘリウム
導入圧力 :パージおよびラン 19.5psig(134.35Kpag)
平衡判定圧力:0.0050psig/min(0.0345Kpag/min)
温湿度 :23℃/50%RH
(GPC測定条件)
装置 :日本分光(株)製800シリーズ
検出器:RI
カラム:東ソー[MN,GMH6(7.5mmI.D×600mm)×2,G2000H8(7.5mmI.D×600mm)]
温度 :25℃
溶媒 :THF
注入量:400μL
流量 :1.4ml
その他:THF室温溶解で濃度は20mg/10mlに調整
実施例および比較例に用いた各種成分は次の通りである。
共重合体(A)
本発明で使用した共重合体(A)を下記表1に示した。
Figure 0005577963
(製造例1)
(ポリエステル樹脂B1の製造)
表2に示す重合仕込み成分に従ってモノマーを、蒸留塔を有する反応容器に投入し、次いで全酸成分に対して500rpmの三酸化アンチモンを投入し、常圧下、攪拌しながら260度まで昇温し、水を留出させながら、エステル化反応を行った後、真空度が1.0mmHgまで減圧し、220℃でジオール成分を留去させながら、縮合反応を行い、飽和共重合ポリエステル樹脂であるポリエステル樹脂を得た。
(製造例2〜9)
表2に記載した原料を用いて製造例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂B2〜B9を製造した。
Figure 0005577963
(製造例1)
(相溶化剤マスターバッチMB1の製造方法)
共重合体A1を50重量部、ポリエステル樹脂B1 50重量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で予備混合した後、100℃に設定した二軸混練押出し機PCM30(池貝社製)にて溶融混練し、直径3mm、長さ3mmの円柱状ペレットに造粒し相溶化剤マスターバッチMB1を得た。得られた相溶化剤マスターバッチMB1の110℃における溶融粘度の結果を表4に示す。
(製造例2〜19)
下記表3に記載された原料化合物を表3に記載した量用いることを除き、製造例1と同様にして、マスターバッチMB2〜MB19を製造した。得られたマスターバッチの110℃における溶融粘度は表4に記載のとおりであった。
またトナー化に際し、使用した結着樹脂と離型剤は以下の通りである。
<結着樹脂>
(PES1)
テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA、エチレングリコールから構成されるポリエステル樹脂。
酸価:10mgKOH/g、水酸基価:43mgKOH/g、Tg:58℃、Ts:65℃、真密度1.32g/cc、分子量 Mw:28200、Mn:2500
(PES2)
テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA、エチレングリコールから構成されるポリエステル樹脂。
酸価:18mgKOH/g、水酸基価:36mgKOH/g、Tg:59℃、Ts:66℃、真密度1.32g/cc、分子量 Mw:32000、Mn:2600
<離型剤>
W1:ビスコール550P(三洋化成工業社製、低分子量ポリプロピレン)
W2:パラフリントH1−N4(サゾール社製、フィッシャートロプシュワックス)
W3:ハイワックス200P(三井化学社製、低分子量ポリエチレン)
(実施例1)
相溶化剤マスターバッチMB1 2重量部
離型剤W1 5重量部
ポリエステル樹脂PES1 84重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、二軸混練押出し機で溶融混練し、冷却固化した後ハンマーミルで粗粉砕し、次いでジェットミルを用い、粉砕圧力5.0Kg/cm2の条件で微粉砕し、風力分級機で分級して重量平均粒径約10μmの分級品を得た。この分級品と分級微粉の離型剤の熱量を測定して、(分級微粉の離型剤熱量値/分級品の離型剤熱量値)の値をから離型剤の分配性を評価すると共に、分級品中の離型剤の分散粒径を測定した。
次いで、上記で得られた分級品100部と疎水性シリカ(日本アエロジル社製 NY−50)1.5部、チタン酸カルシウム(富士チタン工業社製 CT)1.0部とをヘンシェルミキサーで混合して非磁性1成分トナーを得た。このトナーを用いて、定着装置として熱圧ロールの構造を有する市販のフルカラープリンタ(カシオ社製SPEEDIA N6100、ドラム30φ)を用いて実写テストを行い、トナーの定着性、耐オフセット性、画像特性(初期および万枚後の画像濃度、カブリ)、3万枚後の画像抜け及び機内飛散の評価を行った。評価結果を表4に示す。
なおこのプリンタは、現像器において、現像スリーブがローラーゴムであり、規制ブレードがローラーゴムに接触した金属性ブレードである。
離型剤の熱量は示差走査熱量計DSC−60(島津製作所社製)を使用して測定し、1回200℃まで昇温後、室温まで降温して熱履歴を取った後、10℃/minで昇温したときのDSC曲線を用い、離型剤の溶融ピークに相当する熱量値を離型剤の熱量とした
表3中、離型剤の分配性の値が1.20以下である場合、分配性は良好と判断できる。
定着性については、〔定着画像を消しゴム(トンボ鉛筆 MONO(登録商標))で摺擦し、摺擦後の画像濃度/摺擦前の画像濃度〕×100で計算した値を定着強度として表した。定着強度は85%の数値以上であれば良好なものである。また、耐オフセット性については、定着試験用画像を200枚連続出力後、5分間停止した後、白紙20枚を通紙し、白紙の紙汚れの状態により評価を行った。評価結果は、紙汚れが発生しなかったものを○、最初の数枚のみ、やや紙汚れが発生したものを△、20枚全てに紙汚れが発生したものを×とした。
画像濃度はマクベス光度計を用いて行い、画像濃度は1.35以上の濃度であればよい。また、カブリの測定はフォトボルトにて、反射率を測定することにより行った。1.5%以下が良好な値である。ともに初期および3万枚後印刷のものを評価した。
トナーの機内飛散の状態は、プリンタの転写ベルト上に飛散トナーが存在するか否かを確認した。転写ベルト上にトナー飛散が見られる場合、これに伴う画像汚れが発生する。画像抜けの状態は印刷画像の目視により行った。遊離の離型剤が多いと規制ブレードのフィルミングが発生し印刷画像上で、画像抜けが発生する。ともに3万枚印刷後のものを評価した。
(実施例2〜16及び比較例1〜4)
マスターバッチMB1を用いることに代えて、表3に記載されたマスターバッチを用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、それぞれで実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例5)
共重合体A1 2重量部
離型剤W1 5重量部
ポリエステル樹脂PES1 84重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例6)
共重合体A1を用いることに代えて、共重合体A1の凍結粉砕品を用いることを除き、比較例5と同様にして分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
なお、共重合体A1の凍結粉砕品とは、共重合体A1を液体窒素にて冷却しながらピンミルで粉砕(冷凍粉砕)し、1mmの目開きのメッシュで分級することによって得られる微粉を示す。
(比較例7)
共重合体A1の凍結粉砕品 8重量部
離型剤W1 5重量部
ポリエステル樹脂PES1 78重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例8)
離型剤W1 5重量部
ポリエステル樹脂PES1 86重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005577963
(実施例17)
離型剤W1を用いることに代えて、W2を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例18)
離型剤W1を用いることに代えて、W3を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例19)
ポリエステル樹脂PES1を用いることに代えて、ポリエステル樹脂PES2を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例20)
相溶化剤マスターバッチMB1 3重量部
離型剤W1 8重量部
ポリエステル樹脂PES1 80重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例21)
離型剤W1を用いることに代えて、W2を用いることを除き、実施例19と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例22)
離型剤W1を用いることに代えて、W3を用いることを除き、実施例19と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例23)
相溶化剤マスターバッチMB1 5重量部
離型剤W1 11重量部
ポリエステル樹脂PES1 75重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例24)
相溶化剤マスターバッチMB1 5重量部
離型剤W1 14重量部
ポリエステル樹脂PES1 72重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、実施例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(比較例9)
離型剤W1を用いることに代えて、W2を用いることを除き、比較例7と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(比較例10)
ポリエステル樹脂PES1を用いることに代えて、ポリエステル樹脂PES2を用いることを除き、比較例7と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(比較例11)
共重合体A1の凍結粉砕品 8重量部
離型剤W1 8重量部
ポリエステル樹脂PES1 75重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、比較例2と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(比較例12)
相溶化剤マスターバッチMB1 5重量部
離型剤W1 16重量部
ポリエステル樹脂PES1 70重量部
荷電制御剤(3,5−ジーtert―ブチルサリチル酸のクロム塩) 1重量部
着色剤(カーボンブラック) 8重量部
上記材料を用いることを除き、比較例1と同様にして、分級品、非磁性1成分トナーを製造し、それぞれで実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0005577963
表3および表4の結果より、本発明のトナー用相溶化剤マスターバッチを用いた静電荷像現像用トナーは、トナー中に多量の離型剤を含有することができる上、結着樹脂中に均一に分散、配合でき、定着性、耐オフセット性、画像特性、等の諸特性に優れるものとなり、電子複写機、レーザービームプリンター等において好ましく用いることができる。

Claims (6)

  1. エチレンユニット、(メタ)アクリル酸エステルユニット、および(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットからなる共重合体(A)とポリエステル樹脂(B)とからなり、
    前記共重合体(A)100重量部に対して、前記ポリエステル樹脂(B)を40〜240重量部含み、
    110℃における溶融粘度が500〜6000(Pa・S)であることを特徴とする相溶化剤マスターバッチ。
  2. ポリエステル樹脂(B)が、酸価が0より多く20mgKOH/g以下で、110℃における溶融粘度が500〜4000(Pa・S)であることを特徴とする請求項1記載の相溶化剤マスターバッチ。
  3. ポリエステル樹脂(B)が2価のカルボン酸30〜60モル%、2価のアルコール40〜70モル%とを含むこと特徴とする請求項1または2記載の相溶化剤マスターバッチ。
  4. ポリエステル樹脂(B)が、重量平均分子量Mwが5000〜20000であり、数平均分子量Mnが2000〜7000であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の相溶化剤マスターバッチ。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の相溶化剤マスターバッチ、離型剤、結着樹脂、及び着色剤を含むトナー。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の相溶化剤マスターバッチ、離型剤、結着樹脂、及び着色剤を含む樹脂混練物を粉砕してなることを特徴とする粉砕トナー。

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