JP7229080B2 - トナー用結着樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナー用結着樹脂組成物、該結着樹脂組成物に含まれるポリエステル樹脂の製造方法、及び該結着樹脂組成物を含有した電子写真用トナーに関する。
特許文献1には、低温定着性、現像安定性、及び印字物保管性に優れるトナー用結着樹脂組成物として、非晶質ポリエステルAと結晶性ポリエステルCを含有するトナー用結着樹脂組成物であって、前記非晶質ポリエステルAが、芳香族ジオール及び炭素数3以上6以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる非晶質ポリエステルであり、前記結晶性ポリエステルCが、炭素数2以上9以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる結晶性ポリエステルである、トナー用結着樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、粉砕性、ワックス分散性、機械的耐久性に優れ、耐ブロッキング性、耐オフセット性に優れ、現像後の定着性と現像耐久性のバランスに優れた電子写真用トナー組成物として、架橋芳香族ポリエステル樹脂成分と線状芳香族ポリエステル樹脂成分とを含む結着樹脂成分と着色剤成分とを含んだトナー組成物が開示されている。
特開2016-90628号公報 特開2009-288805号公報
アルコール成分として、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物と1,4-ブタンジオールとを併用したポリエステル樹脂は低温定着性に優れている一方で、親水性の高い1,4-ブタンジオールの残存モノマーやオリゴマーが含まれているため、高温高湿下での保存性や耐久性が低い。
本発明は、低温定着性と高温高湿下での保存性及び耐久性のいずれにも優れるトナー用結着樹脂組成物、該結着樹脂組成物に含まれるポリエステル樹脂を生産性良く製造する方法、及び該結着樹脂組成物を含有する電子写真用トナーに関する。
本発明は、
〔1〕 式(I):
Figure 0007229080000001
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は1以上5以下である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分、カルボン酸成分、及びポリブチレンテレフタレートの重縮合物であるポリエステル樹脂Aを含有する、トナー用結着樹脂組成物、
〔2〕 Sn-C結合を有していない錫(II)化合物及びチタン化合物から選ばれる1種以上のエステル化触媒の存在下、式(I):
Figure 0007229080000002
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は1以上5以下である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分、カルボン酸成分、及びポリブチレンテレフタレートを重縮合反応させる工程を含む、ポリエステル樹脂Aの製造方法、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、電子写真用トナー
に関する。
本発明の結着樹脂組成物を含有した電子写真用トナーは、低温定着性と高温高湿下での保存性及び耐久性において優れた効果を奏するものである。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分、カルボン酸成分、及びポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」と略す場合がある)の重縮合物であるポリエステル樹脂Aを含有するものであり、PBTが用いられている点に1つの特徴を有する。本発明者らは、ポリマーであるPBTを原料として用いることで、1,4-ブタンジオールの残存モノマーやオリゴマーを低減できることを見出し、高温高湿下での保存性と耐久性の低下を解決することができた。さらに、PBTを用いることで、重縮合反応と反応速度の高いエステル交換反応が並行してポリマー化されるため反応時間も短縮可能となり、ポリエステル樹脂の生産性が大きく向上することが判明した。
アルコール成分としては、低温定着性の観点から、式(I):
Figure 0007229080000003
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、5以下、好ましくは4以下である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含む。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、樹脂の生産性の観点から、Rがエチレン基である式(I)で表されるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を含有することが好ましく、該ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは35モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上であり、そして、100モル%以下、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
カルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸系化合物、脂肪族ジカルボン酸系化合物、3価以上のカルボン酸系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、高温高湿下での保存性の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物を含有していることがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1~3のアルキルエステル等が挙げられる。これらの中では、低温定着性の観点から、テレフタル酸又はイソフタル酸がより好ましく、テレフタル酸がさらに好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、低温定着性の観点から、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは85モル%以下である。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数2~20のアルケニル基で置換されていてもよいコハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1~3のアルキルエステル等が挙げられるが、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数2~20のアルケニル基で置換されたコハク酸を含有していることが好ましい。当該コハク酸としては、好ましくは炭素数6~14のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸であり、より好ましくは炭素数8~12のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸である。具体的には、オクチルコハク酸やドデセニルコハク酸(テトラプロペニルコハク酸)等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1~3のアルキルエステル等が挙げられ、これらの中では、トリメリット酸系化合物が好ましい。
3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、高温高湿下での耐久性の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上であり、そして、低温定着性の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは60モル%以下、より好ましくは40モル%以下である。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、適宜含有されていてもよいが、本発明において、カルボン酸成分として、高温高湿下での保存性及び耐久性の観点から、芳香族モノカルボン酸系化合物を実質的に含んでいないことが好ましい。
芳香族モノカルボン酸系化合物としては、安息香酸、及びその炭素数が1以上3以下のアルキルエステルからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
カルボン酸成分として芳香族モノカルボン酸系化合物を実質的に含んでいないとは、芳香族モノカルボン酸系化合物を含んでいないか、含んでいても、その含有量が、ポリブチレンテレフタレート、カルボン酸成分、及びアルコール成分の合計量中、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であることをいう。
前記芳香族モノカルボン酸系化合物の中でも、安息香酸の含有量の低減が有効である。従って、カルボン酸成分として、安息香酸を実質的に含んでいないことが好ましい。即ち、カルボン酸成分として、安息香酸を含んでいないか、含んでいても、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート、カルボン酸成分、及びアルコール成分の合計量中、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0質量%である。
PBTとしては、IV値が0.3以上1.2以下のものが好ましい。PBTのIV値は、高温高湿下での耐久性の観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上であり、そして、樹脂の生産性の観点から、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下、さらに好ましくは1.0以下である。
PBTの含有量は、カルボン酸成分、アルコール成分及びPBTの合計量中、高温高湿下の耐久性及び樹脂の生産性の観点から、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上であり、そして、高温高湿下の保存性の観点から、好ましくは70モル%以下、より好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下である。なお、PBTはポリマーであるが、1,4-ブタンジオール-テレフタル酸のユニット(-O-CO-C64-CO-O-(CH2)4-)を1モル(Mw:220)として換算する。
ポリエステル樹脂の原料(アルコール成分、カルボン酸成分、及びPBT)におけるCOOH基とOH基の当量比(COOH基/OH基)は、得られるポリエステル樹脂の軟化点を高める観点からは、COOH基が過剰(COOH基/OH基が1より大きい)であることが好ましい。また、得られるポリエステル樹脂の軟化点を低下させる観点からは、OH基が過剰(COOH基/OH基が1未満)であることが好ましい。ここで、1,4-ブタンジオールとテレフタル酸の重縮合物であるPBTは、COOH基とOH基を等価で有するものとする。
アルコール成分、カルボン酸成分、及びPBTの重縮合反応は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、180℃以上250℃以下の温度で行うことができる。
エステル化触媒としては、錫化合物、チタン化合物等が挙げられる。
錫化合物としては、例えば、酸化ジブチル錫が知られているが、本発明では、低温定着性の観点から、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物が好ましい。
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn-C結合を有しておらず、Sn-O結合を有する錫(II)化合物、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn-O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
Sn-O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、酢酸錫(II)、オクタン酸錫(II)、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ラウリル酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)、オレイン酸錫(II)等の炭素数2~28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);オクチロキシ錫(II)、ラウロキシ錫(II)、ステアロキシ錫(II)、オレイロキシ錫(II)等の炭素数2以上28以下のアルコキシ基を有するアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5以上19以下のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ここでR2は炭素数6~20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるアルコキシ錫(II)又はSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)又は酸化錫(II)がより好ましく、オクタン酸錫(II)、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)又は酸化錫(II)がさらに好ましい。
チタン化合物としては、式(IIa)又は式(IIb):
Ti(Y)m(OH)n (IIa)
O=Ti(Y)p(OZ)q (IIb)
(式中、Yは炭素数2~12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個の水酸基から水素原子を除いた残基であり、ポリアルカノールアミンの他の水酸基は同一のチタン原子に直接結合した水酸基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のチタン原子に直接結合した水酸基と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2~5である。Zは水素原子又は1~3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1~8のアルキル基である。mは1~4、好ましくは2~4の整数、nは0~3、好ましくは0~2の整数、mとnの和は4である。pは1~2の整数、qは0~1の整数、pとqの和は2である。m又はpが2以上の場合、それぞれのYは同一であっても異なっていてもよい。)
で表される少なくとも1種のチタン化合物が好ましい。
Yとしては、モノアルカノールアミン(とくにエタノールアミン)の残基、ジアルカノールアミン(とくにジエタノールアミン)の残基、及びトリアルカノールアミン(とくにトリエタノールアミン)の残基が好ましい。モノアルカノールアミンとしては、エタノールアミンが、ジアルカノールアミンとしては、ジエタノールアミンが、トリアルカノールアミンとしては、トリエタノールアミンが好ましく、トリエタノールアミンがより好ましい。
Zにおいて、1~3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1~8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、β-メトキシエチル基、β-エトキシエチル基等が挙げられる。
Zとしては、水素原子及びエーテル結合を含まない炭素数1~4のアルキル基が好ましく、水素原子、エチル基、及びイソプロピル基がより好ましい。
式(IIa)で表されるチタン化合物の具体例としては、チタニウムテトラキス(モノエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムトリヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(モノエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(モノプロパノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(N-メチルジエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(N-ブチルジエタノールアミネート)、テトラヒドロキシチタンとN,N,N’,N’-テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンとの反応生成物、これらの分子内又は分子間重縮合物等が挙げられる。
また、式(IIb)で表されるチタン化合物の具体例としては、チタニルビス(トリエタノールアミネート)、チタニルビス(ジエタノールアミネート)、チタニルビス(モノエタノールアミネート)、チタニルヒドロキシエタノールアミネート、チタニルヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニルエトキシトリエタノールアミネート、チタニルイソプロポキシトリエタノールアミネート、これらの分子内又は分子間重縮合物等が挙げられる。
エステル化触媒としては、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物及びチタン化合物が好ましく、従って、ポリエステル樹脂Aは、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物及びチタン化合物から選ばれる1種以上のエステル化触媒の存在下、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分、カルボン酸成分、及びポリブチレンテレフタレートを重縮合反応させる工程を含む方法により製造することが好ましい。
エステル化触媒の使用量は、アルコール成分、カルボン酸成分、及びPBTの合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、触媒由来の着色を抑制する観点から、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下、さらに好ましくは0.6質量部以下である。
エステル化触媒とともに用い得るエステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、PBT、アルコール成分、及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下である。エステル化助触媒の使用量は、PBT、アルコール成分、及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
本発明におけるポリエステル樹脂Aは、例えば、前記ポリエステル樹脂をポリイソシアネートでウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂のような変性ポリエステル樹脂であってもよいが、低温定着性の観点から、未変性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
ポリエステル樹脂Aの軟化点は、保存安定性の観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。
ポリエステル樹脂Aは非晶質樹脂であることが好ましい。樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。結晶性樹脂は、結晶性指数が0.6以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、1.4以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下の樹脂である一方、非晶質樹脂は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下の樹脂である。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性樹脂においては、吸熱の最高ピーク温度を融点とする。
ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度は、保存安定性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは65℃以下である。
ポリエステル樹脂Aの酸価は、低温定着性の観点から、好ましくは3mgKOH/g以上、より好ましくは6mgKOH/g以上であり、そして、吸湿性の観点から、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは15mgKOH/g以下である。
ポリエステル樹脂Aの水酸基価は、低温定着性の観点から、好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは30mgKOH/g以上であり、そして、吸湿性の観点から、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下である。
ポリエステル樹脂の上記物性は、ポリエステル樹脂が2種以上のポリエステルからなる場合は、それらの加重平均値が上記範囲内となることが好ましい。
ポリエステル樹脂Aの含有量は、結着樹脂組成物中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
本発明の結着樹脂組成物には、ポリエステル樹脂A以外の樹脂が含有されていてもよい。
ポリエステル樹脂A以外の結着樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸系化合物を含有するカルボン酸成分との重縮合物が好ましい。
アルコール成分に含まれる炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられ、1種であっても、2種以上が併用されていてもよい。
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールは、低温定着性の観点から、水酸基を炭素鎖の末端に有しているα,ω-脂肪族ジオールであることが好ましく、α,ω-直鎖アルカンジオールであることがより好ましい。
脂肪族ジオールの炭素数は、低温定着性の観点から、2以上、好ましくは4以上、より好ましくは6以上であり、そして、保存性の観点から、16以下、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは8以下である。
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールの含有量は、低温定着性の観点から、結晶性ポリエステル樹脂のアルコール成分中、95モル%以上、好ましくは98モル%以上、より好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、炭素数17以上の脂肪族ジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
カルボン酸成分に含まれる炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、コハク酸(炭素数:4)、フマル酸(炭素数:4)、アジピン酸(炭素数:6)、スベリン酸(炭素数:8)、アゼライン酸(炭素数:9)、セバシン酸(炭素数:10)、ドデカン二酸(炭素数:12)、テトラデカン二酸(炭素数:14)、側鎖にアルキル基又はアルケニル基を有するコハク酸、これらの酸の無水物、これらの酸の炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸系化合物の炭素数は、低温定着性の観点から、4以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上であり、そして、保存性の観点から、14以下、好ましくは12以下である。
炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸系化合物の含有量は、低温定着性の観点から、結晶性ポリエステル樹脂のカルボン酸成分中、95モル%以上、好ましくは98モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のカルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸系化合物、炭素数15以上の脂肪族ジカルボン酸系化合物、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上のカルボン酸系化合物、これらの酸の無水物及び炭素数が1~3のアルキルエステル等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂のカルボン酸成分とアルコール成分の当量比(COOH基/OH基)は、保存性の観点から、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応条件は、140℃以上250℃以下の温度で行うこと以外は、上述のポリエステル樹脂の反応条件の同様である。
結晶性ポリエステル樹脂の軟化点は、保存性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは65℃以上、さらに好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは100℃以下、さらに好ましくは85℃以下である。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、保存性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、低温定着性の観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは8mgKOH/g以上であり、そして、保存性の観点から、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは25mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、低温定着性の観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは8mgKOH/g以上、さらに好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、保存性の観点から、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以下である。
ポリエステル樹脂Aと結晶性ポリエステル樹脂の質量比(ポリエステル樹脂A/結晶性ポリエステル樹脂)は、保存性の観点から、好ましくは75/25以上、より好ましくは80/20以上、さらに好ましくは85/15以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは99/1以下、より好ましくは95/5以下である。
なお、本発明の結着樹脂組成物が2種以上の樹脂を含有する場合、それらの樹脂の混合物を結着樹脂として用いてもよく、トナーを製造する際に、それらの樹脂を直接原料の混合に供してもよい。
本発明の電子写真用トナーには、結着樹脂(本発明の結着樹脂組成物)以外に、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が含有されていてもよく、着色剤、離型剤及び荷電制御剤が含有されることが好ましい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの転写性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリエント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリエント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリエント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられ、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、シリカが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下、さらに好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナー100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定することができる。
〔PBTのIV値〕
フェノール/テトラクロロエタン(質量比)が60/40の混合溶媒に、4g/Lの濃度にて溶解し、ウベローデ型粘度計にて測定を行い、下記式に従って算出することで求めることができる。
IV=(-1+√(1+4kη))/(2kC)
〔式中、k=0.33、C=0.004g/mLであり、η=(t1/t0)-1(t0:溶媒のみの落下秒数、t1:試料溶液の落下秒数)である。〕
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、非晶質樹脂はアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に、結晶性樹脂はクロロホルム:ジメチルホルムアミドの混合溶媒(クロロホルム:ジメチルホルムアミド=7:3(容量比))に、それぞれ変更する。
〔樹脂の水酸基価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒からテトラヒドロフランに変更する。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナーの体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1
表1に示す、アルコール成分、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、室温から200℃まで8時間かけて昇温を行い、さらに200℃から235℃まで4時間かけて昇温を行った。その後、220℃まで冷却した後に、無水トリメリット酸を投入し、220℃で、8.0kPaにて表1に示す軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂A1~A7)を得た。
〔樹脂の生産性〕
フラスコ内の温度が235℃に到達した時点から、生成した樹脂の軟化点が90℃に達するまでの反応時間を樹脂の生産性の指標とした。この反応時間が短いほど樹脂の生産性が高いといえる。
<評価基準>
A:2時間未満
B:2時間以上5時間未満
C:5時間以上
Figure 0007229080000004
樹脂製造例2
表2に示すアルコール成分とカルボン酸成分を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、室温から200℃まで8時間かけて昇温を行った。その後、200℃にて表2に示すエステル化触媒を添加し、8.0kPaにて表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C1)を得た。
Figure 0007229080000005
実施例1~6及び比較例1
結着樹脂として表3に示す非晶質ポリエステル樹脂90質量部と結晶性ポリエステル樹脂10質量部、着色剤「ECB-301」(フタロシアニンブルー、大日精化社製)5質量部、荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1質量部、及び表3に示す離型剤2質量部を、ヘンシェルミキサーでよく攪拌した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。ロールの回転速度は200r/min、ロール内の加熱設定温度は90℃であり、混練物の温度は140℃、混練物の供給速度は10kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物を140℃から50℃まで1.5時間で冷却し、50℃で、冷却ローラーで圧延冷却した後、45℃で4時間静置後、ジェットミルで体積中位粒径容(D50)5.5μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に対し、外添剤「アエロジル R-972」(疎水性シリカ、日本アエロジル社製、疎水化処理剤:DMDS、平均粒子径:16nm)1.5質量部及び「RY-50」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:シリコーンオイル、平均粒子径40nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで3600r/min、5分間混合することにより外添剤処理を行い、トナーを得た。
試験例1〔低温定着性〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着の状態で印刷物を得た(印刷面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)。その後、総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度300mm/sec)を用い、定着ロールの温度を100℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着状態の印刷物の定着試験を行った。得られた印刷物の画像部分にセロハン粘着テープ「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆(株)製、幅:18mm、JIS Z 1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。なお、印刷に用いた紙には、「CopyBond SF-70NA」(シャープ(株)製、75g/m2)を使用した。
テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を超える定着ローラーの温度を最低定着温度とした。結果を表3に示す。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れる。
試験例2〔高温高湿下での保存性〕
トナー4gを、温度50℃、湿度85%の環境下で72時間放置した。放置後、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、保存性を評価した。結果を表3に示す。
<評価基準>
A:48時間後及び72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後ではわずかに凝集が認められる。
C:48時間後で凝集は認められないが72時間後では明らかに凝集が認められる。
D:48時間以内で既に凝集が認められる。
試験例3〔高温高湿下での耐久性〕
レーザプリンタ「ページプレスト N-4」(カシオ計算機(株)製、定着:接触定着方式、現像:非磁性一成分現像方式、現像ロール径:2.3cm)にトナーを実装し、温度40℃相対湿度85%の条件下にて黒化率5.5%の斜めストライプのパターンにて、連続印刷を行った。途中、500枚ごとに黒ベタ画像を印字し、画像上のスジを確認した。画像上にスジが目視にて観察された時点までの印字枚数を、現像ロールにトナーが融着・固着したことによりスジが発生した枚数として、耐久性を評価した。結果を表3に示す。スジの発生した枚数が多いほど、トナーの耐久性に優れる。その枚数は、3,000枚以上が好ましく、4,000枚以上がより好ましく、5,000枚以上がさらに好ましい。
Figure 0007229080000006
以上の結果より、実施例1~6のトナーは、低温定着性、高温高湿下での保存性及び耐久性のいずれにも優れていることが分かる。また、実施例に用いた非晶質ポリエステル樹脂は、生産性よく製造することができる。
これに対し、PBTを使用せず、1,4-ブタンジオールを用いたポリエステル樹脂を含有する比較例1のトナーは、低温定着性、高温高湿下での保存性及び耐久性のいずれもが不十分なものである。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、静電荷像現像法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられる電子写真用トナーに好適に用いられるものである。

Claims (6)

  1. 式(I):
    Figure 0007229080000007
    (式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は1以上5以下である)
    で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分、カルボン酸成分、及びポリブチレンテレフタレートの重縮合物であるポリエステル樹脂Aを含有する、トナー用結着樹脂組成物であって、前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が、Rがエチレン基である式(I)で表されるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を含有し、該ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の含有量が、アルコール成分中、20モル%以上100モル%以下である、トナー用結着樹脂組成物
  2. カルボン酸成分として安息香酸を実質的に含有しない、請求項1記載のトナー用結着樹脂組成物。
  3. ポリブチレンテレフタレートの含有量が、カルボン酸成分、アルコール成分及びポリブチレンテレフタレートの合計量中、5モル%以上70モル%以下である、請求項1又は2記載のトナー用結着樹脂組成物。
  4. さらに、結晶性ポリエステル樹脂を含む、請求項1~いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
  5. Sn-C結合を有していない錫(II)化合物及びチタン化合物から選ばれる1種以上のエステル化触媒の存在下、式(I):
    Figure 0007229080000008
    (式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は1以上5以下である)
    で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分、カルボン酸成分、及びポリブチレンテレフタレートを重縮合反応させる工程を含む、ポリエステル樹脂Aの製造方法であって、前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が、Rがエチレン基である式(I)で表されるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を含有し、該ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の含有量が、アルコール成分中、20モル%以上100モル%以下である、ポリエステル樹脂Aの製造方法
  6. 請求項1~いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、電子写真用トナー。
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