JP7229080B2 - トナー用結着樹脂組成物 - Google Patents
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Description
〔1〕 式(I):
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分、カルボン酸成分、及びポリブチレンテレフタレートの重縮合物であるポリエステル樹脂Aを含有する、トナー用結着樹脂組成物、
〔2〕 Sn-C結合を有していない錫(II)化合物及びチタン化合物から選ばれる1種以上のエステル化触媒の存在下、式(I):
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分、カルボン酸成分、及びポリブチレンテレフタレートを重縮合反応させる工程を含む、ポリエステル樹脂Aの製造方法、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、電子写真用トナー
に関する。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含む。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
Ti(Y)m(OH)n (IIa)
O=Ti(Y)p(OZ)q (IIb)
(式中、Yは炭素数2~12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個の水酸基から水素原子を除いた残基であり、ポリアルカノールアミンの他の水酸基は同一のチタン原子に直接結合した水酸基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のチタン原子に直接結合した水酸基と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2~5である。Zは水素原子又は1~3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1~8のアルキル基である。mは1~4、好ましくは2~4の整数、nは0~3、好ましくは0~2の整数、mとnの和は4である。pは1~2の整数、qは0~1の整数、pとqの和は2である。m又はpが2以上の場合、それぞれのYは同一であっても異なっていてもよい。)
で表される少なくとも1種のチタン化合物が好ましい。
フェノール/テトラクロロエタン(質量比)が60/40の混合溶媒に、4g/Lの濃度にて溶解し、ウベローデ型粘度計にて測定を行い、下記式に従って算出することで求めることができる。
IV=(-1+√(1+4kη))/(2kC)
〔式中、k=0.33、C=0.004g/mLであり、η=(t1/t0)-1(t0:溶媒のみの落下秒数、t1:試料溶液の落下秒数)である。〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、非晶質樹脂はアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に、結晶性樹脂はクロロホルム:ジメチルホルムアミドの混合溶媒(クロロホルム:ジメチルホルムアミド=7:3(容量比))に、それぞれ変更する。
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒からテトラヒドロフランに変更する。
示差走査熱量計「DSC Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
表1に示す、アルコール成分、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、室温から200℃まで8時間かけて昇温を行い、さらに200℃から235℃まで4時間かけて昇温を行った。その後、220℃まで冷却した後に、無水トリメリット酸を投入し、220℃で、8.0kPaにて表1に示す軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂A1~A7)を得た。
フラスコ内の温度が235℃に到達した時点から、生成した樹脂の軟化点が90℃に達するまでの反応時間を樹脂の生産性の指標とした。この反応時間が短いほど樹脂の生産性が高いといえる。
<評価基準>
A:2時間未満
B:2時間以上5時間未満
C:5時間以上
表2に示すアルコール成分とカルボン酸成分を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、室温から200℃まで8時間かけて昇温を行った。その後、200℃にて表2に示すエステル化触媒を添加し、8.0kPaにて表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C1)を得た。
結着樹脂として表3に示す非晶質ポリエステル樹脂90質量部と結晶性ポリエステル樹脂10質量部、着色剤「ECB-301」(フタロシアニンブルー、大日精化社製)5質量部、荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1質量部、及び表3に示す離型剤2質量部を、ヘンシェルミキサーでよく攪拌した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。ロールの回転速度は200r/min、ロール内の加熱設定温度は90℃であり、混練物の温度は140℃、混練物の供給速度は10kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物を140℃から50℃まで1.5時間で冷却し、50℃で、冷却ローラーで圧延冷却した後、45℃で4時間静置後、ジェットミルで体積中位粒径容(D50)5.5μmのトナー粒子を得た。
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着の状態で印刷物を得た(印刷面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)。その後、総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度300mm/sec)を用い、定着ロールの温度を100℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着状態の印刷物の定着試験を行った。得られた印刷物の画像部分にセロハン粘着テープ「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆(株)製、幅:18mm、JIS Z 1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。なお、印刷に用いた紙には、「CopyBond SF-70NA」(シャープ(株)製、75g/m2)を使用した。
テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を超える定着ローラーの温度を最低定着温度とした。結果を表3に示す。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れる。
トナー4gを、温度50℃、湿度85%の環境下で72時間放置した。放置後、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、保存性を評価した。結果を表3に示す。
<評価基準>
A:48時間後及び72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後ではわずかに凝集が認められる。
C:48時間後で凝集は認められないが72時間後では明らかに凝集が認められる。
D:48時間以内で既に凝集が認められる。
レーザプリンタ「ページプレスト N-4」(カシオ計算機(株)製、定着:接触定着方式、現像:非磁性一成分現像方式、現像ロール径:2.3cm)にトナーを実装し、温度40℃相対湿度85%の条件下にて黒化率5.5%の斜めストライプのパターンにて、連続印刷を行った。途中、500枚ごとに黒ベタ画像を印字し、画像上のスジを確認した。画像上にスジが目視にて観察された時点までの印字枚数を、現像ロールにトナーが融着・固着したことによりスジが発生した枚数として、耐久性を評価した。結果を表3に示す。スジの発生した枚数が多いほど、トナーの耐久性に優れる。その枚数は、3,000枚以上が好ましく、4,000枚以上がより好ましく、5,000枚以上がさらに好ましい。
これに対し、PBTを使用せず、1,4-ブタンジオールを用いたポリエステル樹脂を含有する比較例1のトナーは、低温定着性、高温高湿下での保存性及び耐久性のいずれもが不十分なものである。
Claims (6)
- 式(I):
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分、カルボン酸成分、及びポリブチレンテレフタレートの重縮合物であるポリエステル樹脂Aを含有する、トナー用結着樹脂組成物であって、前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が、Rがエチレン基である式(I)で表されるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を含有し、該ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の含有量が、アルコール成分中、20モル%以上100モル%以下である、トナー用結着樹脂組成物。 - カルボン酸成分として安息香酸を実質的に含有しない、請求項1記載のトナー用結着樹脂組成物。
- ポリブチレンテレフタレートの含有量が、カルボン酸成分、アルコール成分及びポリブチレンテレフタレートの合計量中、5モル%以上70モル%以下である、請求項1又は2記載のトナー用結着樹脂組成物。
- さらに、結晶性ポリエステル樹脂を含む、請求項1~3いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
- Sn-C結合を有していない錫(II)化合物及びチタン化合物から選ばれる1種以上のエステル化触媒の存在下、式(I):
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分、カルボン酸成分、及びポリブチレンテレフタレートを重縮合反応させる工程を含む、ポリエステル樹脂Aの製造方法であって、前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が、Rがエチレン基である式(I)で表されるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を含有し、該ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の含有量が、アルコール成分中、20モル%以上100モル%以下である、ポリエステル樹脂Aの製造方法。 - 請求項1~4いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、電子写真用トナー。
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