JP6845647B2 - トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明において樹脂成分とは、主に定着性能に寄与する高分子成分をいう。該樹脂成分は、オレフィン系エステル基含有共重合体を含む。
本発明においてオレフィン系エステル基含有共重合体とは、ポリオレフィン骨格に、共重合等の手段でエステル基ユニットを導入した高分子である。オレフィン系エステル基含有共重合体は、具体的には、下記式(1)で示されるユニットY1と、下記式(2)で示されるユニットおよび下記式(3)で示されるユニットからなる群より選択される少なくとも1種のユニットY2を有する。
エステル基濃度(単位:%)=[(N×44)/数平均分子量]×100
ここで、Nはオレフィン系エステル基含有共重合体の1分子当りのエステル基数の平均であり、44はエステル基[−C(=O)−O−]の式量である。
実際のエステル基濃度を算出する方法としては、核磁気共鳴スペクトル(NMR)等でオレフィン系エステル基含有共重合体を構成するモノマー組成とエステル基数を求めて算出する方法が挙げられる。
1HNMRによる測定は以下の方法で行われる。
本発明に係るトナー粒子は、ロジン化合物を含むことが必要である。本発明においてロジン化合物とは、天然樹脂のロジンから得られる誘導体であり、例えば、ロジンエステル、重合ロジン、ロジン変性樹脂、不均化ロジン、ロジン金属塩などが挙げられる。特にロジンエステル、重合ロジンが低温定着性と帯電保持性、および顔料分散性の観点から好ましい。
まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量(流出終了点、Smaxとする)と、流出が開始した時点におけるピストンの降下量(最低点、Sminとする)との差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、ピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度を、1/2法における溶融温度とする。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:40℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):5.0kgf
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
本発明に係るトナー粒子は、オレフィン系酸基含有共重合体を樹脂成分として含むことが好ましい。前記オレフィン系酸基含有共重合体を含有することにより、後述の乳化凝集法を用いてトナーを作製する際に、前記オレフィン系酸基含有共重合体中の酸基が樹脂粒子の分散性を向上させ、凝集を制御しやすくする。結果としてシャープな粒度分布を有するトナーの作製が可能となる。また、前記オレフィン系酸基含有共重合体を含有することにより、前記オレフィン系酸基含有共重合体中の酸基がトナーと紙との密着性を向上させる。
・溶剤:トルエン−エチルアルコール混液(2:1)を、使用直前にフェノールフタレインを指示薬として0.1mol/Lの水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
・フェノールフタレイン溶液:フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95体積%)100mLに溶かす。
・0.1mol/Lの水酸化カリウムエチルアルコール溶液:水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
試料として樹脂1〜20gを正しくはかりとり、これに上記溶剤100mLおよび指示薬として上記フェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後、これを上記0.1mol/Lの水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
次の式によって酸価を算出する。
A=B×f×5.611/S
A:酸価(mgKOH/g)
B:0.1mol/Lの水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/Lの水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
具体的には、0.01〜0.02gの試料をアルミニウム製パンで精秤し、昇温速度10℃/minで、0℃から200℃まで昇温し、DSC曲線を得る。
得られたDSC曲線より、吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
本発明に係るトナー粒子においては、前記オレフィン系エステル基含有共重合体、前記オレフィン系酸基含有共重合体以外に、樹脂成分として他の重合体を併用してもよい。具体的には、下記の重合体などを用いることが可能である。ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
また、本発明に係るトナー粒子は、樹脂成分やロジン化合物とは別に、融点が50℃以上100℃以下の脂肪族炭化水素化合物を含むことが好ましい。樹脂成分およびロジン化合物の総和100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下含有することが好ましい。脂肪族炭化水素化合物は加熱すると前記オレフィン系エステル基含有共重合体を可塑化することができる。そのために、トナー粒子中に脂肪族炭化水素化合物を含有させることで、トナーを加熱定着時にマトリックスを形成している前記オレフィン系エステル基含有共重合体が可塑化し、低温定着性を高めることができる。さらに、融点が50℃以上100℃以下の脂肪族炭化水素化合物は、前記オレフィン系エステル基含有共重合体の核剤としても作用する。そのために、前記オレフィン系エステル基含有共重合体のミクロな運動性が抑制され帯電性が良化する。具体的な脂肪族炭化水素化合物としては、ヘキサコサンや、ヘキサトリアコンタンなどの炭素数が24以上60以下の飽和炭化水素が挙げられる。
また、本発明に係るトナー粒子は、樹脂成分やロジン化合物とは別に、シリコーンオイルを離型剤として含有することが好ましい。アルキルワックスなどのトナーに一般に使用される離型剤は、前記オレフィン系エステル基含有共重合体に相溶してしまいやすく、離型効果が得られにくい。また、シリコーンオイルを添加することによってトナー中の顔料分散性が良化し、高濃度の画像が得られやすくなる。
本発明に係るトナー粒子は、樹脂成分やロジン化合物とは別に、着色剤として顔料を含有する必要がある。顔料は前記ロジン化合物と混ざりやすい構造であるものを使用する。
着色剤には、顔料を単独で使用可能であるが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤とシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
上記着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及びトナー粒子への分散性の点から選択される。
また、本発明のトナーは、高精細な画像を得るという観点から、体積基準のメジアン径が3.0μm以上10.0μm以下が好ましく、4.0以上7.0μm以下であることがより好ましい。
本発明に係るトナーの製造方法について説明する。本発明に係るトナーは、任意の方法で製造することができるが、後述の乳化凝集法で製造される乳化凝集トナーであることが好ましい。その理由は、ロジン化合物に含まれる酸基が乳化粒子の表面に存在しやすく、凝集制御が容易となり、結果として粒度分布がシャープになるためである。加えて、ロジン化合物に含まれる酸基がトナー粒子の表面に存在しやすいため、紙との密着性を良化させる効果が大きい。
乳化凝集法においては、初めに樹脂成分を含む微粒子分散液、ロジン化合物を含む微粒子分散液、顔料を含む微粒子分散液を準備する。これらの微粒子は公知の方法で製造できるが、以下の方法で作製することが好ましい。
凝集工程とは、上述の樹脂成分を含む微粒子分散液、ロジン化合物を含む微粒子分散液、顔料を含む微粒子分散液、必要に応じて離型剤微粒子分散液やその他のトナー粒子材料の微粒子分散液を混合し、混合液を調製し、ついで、調製された混合液中に含まれる粒子を凝集し、凝集体粒子を形成する工程である。樹脂成分を含む微粒子分散液、ロジン化合物を含む微粒子分散液の代わりに、共分散手法で作製した前記オレフィン系エステル基含有共重合体および前記ロジン化合物の両方を含む微粒子分散液を用いてもよい。凝集体粒子を形成する方法としては、例えば、凝集剤を上記混合液中に添加・混合し、温度を上げたり、機械的動力等を適宜加えたりする方法が好適に例示できる。
融合工程とは、上記凝集体粒子を、前記オレフィン系エステル基含有共重合体の融点以上に加熱し融合することで、凝集体粒子表面を平滑化した融合粒子を製造する工程である。融合工程に入る前に、凝集体粒子間の融着を防ぐため、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤等を適宜投入することができる。
冷却工程とは、上記融合粒子を含む水系媒体の温度を、前記オレフィン系エステル基含有共重合体の結晶化温度より低い温度まで冷却する工程である。冷却を結晶化温度より低い温度まで行わないと、粗大粒子が発生してしまう。具体的な冷却速度は0.1℃/分以上50℃/分以下である。
上記工程を経て作製した粒子を、洗浄、ろ過、繰り返すことによりトナー中の不純物を除去することができる。具体的にはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びそのNa塩などのキレート剤を含有した水溶液を用いてトナーを洗浄し、さらに純水で洗浄することが好ましい。純水での洗浄は、ろ過を複数回繰り返すことによりトナー中の金属塩や界面活性剤などを除くことができる。ろ過の回数は3〜20回が製造効率の点から好ましく、3〜10回がより好ましい。
上記工程で得た粒子の乾燥を行い、必要に応じて、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム等の無機粒体や、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂粒子を、乾燥状態で剪断力を印加して添加してもよい。これらの無機粒体や樹脂粒子は、流動性助剤やクリーニング助剤等の外添剤として機能する。
・トルエン 300g
(和光純薬工業社製)
・エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−A 64g
(R1=H、R2=H、R3=CH3、エステル基濃度:8質量%、酸価=0mgKOH/g、重量平均分子量:110000、メルトフローレート:12g/10分、融点:86℃、破断伸度=700%、(l+m+n)/W=1.00)
・オレフィン系酸基含有共重合体A 16g
(エチレン−メタクリル酸共重合体、メルトフローレート:60g/10分、融点=90℃、酸価=90mgKOH/g)
・ロジンエステルA 20g
(商品名:エステルガムH、荒川化学工業(株)製、軟化点=78℃、酸価=4mgKOH/g)
以上の処方を混合し、90℃で溶解させてトルエン溶液を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−Aの使用量を80g、オレフィン系酸基含有共重合体Aを使用しなかったこと以外はロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−Aの使用量を90g、ロジンエステルAの使用量を10gに変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子3分散液を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−Aの使用量を70g、ロジンエステルAの使用量を30gに変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子4分散液を得た。
ロジンエステルAを、重合ロジンA(商品名:ペンセルD−160、荒川化学工業(株)製、軟化点=159℃、酸価=13mgKOH/g)に変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子5分散液を得た。
ロジンエステルAを、ロジンエステルB(商品名:ペンセルAZ、荒川化学工業(株)製、軟化点=100℃、酸価=50mgKOH/g)に変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子6分散液を得た。
ロジンエステルAを、重合ロジンB(商品名:白菊ロジン、荒川化学工業(株)製、軟化点=167℃、酸価=80mgKOH/g)に変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子7分散液を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−Aを、エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−B(R1=H、R2=H、R3=CH3、エステル基濃度:3質量%、酸価=0mgKOH/g、メルトフローレート:75g/10分、融点:96℃、破断伸度=460%、(l+m+n)/W=1.00)に変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子8分散液を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−Aを、エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−C(R1=H、R2=H、R3=CH3、エステル基濃度:10質量%、酸価=0mgKOH/g、メルトフローレート:14g/10分、融点:75℃、破断伸度=800%、(l+m+n)/W=1.00)に変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子9分散液を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−Aを、エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−D(R1=H、R2=H、R3=CH3、エステル基濃度:14質量%、酸価=0mgKOH/g、メルトフローレート:20g/10分、融点:69℃、破断伸度=800%、(l+m+n)/W=1.00)に変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子10分散液を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−Aを、エチレン−アクリル酸エチル共重合体EEA−A(R1=H、R4=H、R5=C2H5、エステル基濃度:11質量%、酸価=0mgKOH/g、メルトフローレート:20g/10分、融点:91℃、破断伸度=900%、(l+m+n)/W=1.00)に変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子11分散液を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−Aの使用量を97g、ロジンエステルAの使用量を3gに変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子12分散液を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−Aの使用量を50g、ロジンエステルAの使用量を50gに変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子13分散液を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−Aを、エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−E(R1=H、R2=H、R3=CH3、エステル基濃度:1質量%、酸価=0mgKOH/g、メルトフローレート:3g/10分、融点:105℃、破断伸度=600%、(l+m+n)/W=1.00)に変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子14分散液を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−Aを、エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−F(R1=H、R2=H、R3=CH3、エステル基濃度:21質量%、酸価=0mgKOH/g、メルトフローレート:2g/10分、融点:40℃、破断伸度=870%、(l+m+n)/W=1.00)に変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子15分散液を得た。
ロジンエステルAを、重合ロジンC(商品名:アラダイムR−95、荒川化学工業(株)製、軟化点=95℃、酸価=160mgKOH/g)に変更した以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、ロジン化合物含有樹脂微粒子16分散液を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA−Aの使用量を100gに変更し、ロジンエステルAを使用しなかったこと以外はロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液の製造方法と同様にして、樹脂微粒子分散液を得た。
・着色剤 10.0質量部
(シアン顔料 大日精化工業社製:Pigment Blue 15:3)
・アニオン性界面活性剤 1.5質量部
(商品名:ネオゲンRK、第一工業製薬社製)
・イオン交換水 88.5質量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業社製)を用いて約1時間分散して、着色剤を分散させてなる着色剤微粒子の濃度10%の水系分散液(着色剤微粒子分散液)を調製した。得られた着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック)を用いて測定し、0.20μmであった。
・脂肪族炭化水素化合物 20.0質量部
(商品名:HNP−51、融点78℃、日本精蝋製)
・アニオン性界面活性剤 1.0質量部
(商品名:ネオゲンRK、第一工業製薬社製)
・イオン交換水 79.0質量部
以上を攪拌装置付きの混合容器に投入した後、90℃に加熱し、クレアミックスWモーション(エム・テクニック社製)へ循環させて分散処理を60分間行った。分散処理の条件は、以下のようにした。
・ローター外径 3cm
・クリアランス 0.3mm
・ローター回転数 19000r/min
・スクリーン回転数 19000r/min
・シリコーンオイル 20.0質量部
(ジメチルシリコーンオイル、商品名:KF96−50CS、信越化学社製)
・アニオン界面活性剤 1.0質量部
(商品名:ネオゲンRK、第一工業製薬社製)
・イオン交換水 79.0質量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業社製)を用いて約1時間分散して、シリコーンオイルを分散させてなるシリコーンオイルの濃度20%の水系分散液を調製した。得られたシリコーンオイル乳化液中のシリコーンオイル粒子の体積基準のメジアン径を動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック)を用いて測定したところ、0.09μmであった。
・ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液 500g
・着色剤微粒子分散液 64g
・脂肪族炭化水素化合物微粒子分散液 120g
・シリコーンオイル乳化液 40g
・イオン交換水 160g
上記の各材料を丸型ステンレス製フラスコに投入、混合した後、10%硫酸マグネシウム水溶液60gを添加した。続いてホモジナイザー(商品名:ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて5000r/minで10分間分散した。その後、加熱用ウォーターバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数を適宜調節しながら73℃まで加熱した。そして、73℃で20分保持した後、形成された凝集体粒子の体積平均粒径を、コールターマルチサイザーIIIを用い、体積平均粒径が約6.0μmである凝集体粒子が形成されていることが確認された。
得られたトナーの構成条件を表1に示す。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.3μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子3分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.1μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子4分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.3μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子5分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.2μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子6分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.2μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子7分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.4μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子8分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.1μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子9分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.1μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子10分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.2μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子11分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.3μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子12分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.1μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子13分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.4μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液とし、脂肪族炭化水素化合物微粒子分散液の使用量を0gとした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.1μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子2分散液とし、脂肪族炭化水素化合物微粒子分散液およびシリコーンオイル乳化液の使用量を0gとした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.4μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液を樹脂微粒子分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は10.3μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子14分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.3μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子15分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.2μmであった。
ロジン化合物含有樹脂微粒子1分散液をロジン化合物含有樹脂微粒子16分散液とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの体積基準のメジアン径は5.2μmであった。
<低温定着性の評価>
上記トナーと、シリコーン樹脂で表面コートしたフェライトキャリア(平均粒径42μm)とを、トナー濃度が8質量%になるように混合し、二成分現像剤を調製した。市販のフルカラーデジタル複写機(CLC1100、キヤノン社製)を使用し、受像紙(64g/m2)上に未定着のトナー画像(0.75mg/cm2)を形成した。市販のフルカラーデジタル複写機(imageRUNNER ADVANCE C5051、キヤノン社製)から取り外した定着ユニットを定着温度が調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。温度15℃(室温)、湿度10%の雰囲気下、プロセススピードを357mm/秒に設定し、前記未定着画像を定着させたときの様子を目視にて評価した。
A:140℃以下の温度で定着が可能。
B:140℃より高く、150℃以下の温度で定着が可能。
C:150℃より高く、200℃以下の温度で定着が可能、または定着可能な温度領域がない。
トナー0.01gをアルミパンに計量し、ストロコロン帯電装置を用いて−600Vに帯電させた。続いて、温度30℃、湿度80%の雰囲気下で表面電位計(商品名:model347、トレックジャパン社製)を用いて表面電位の変化挙動を30分間測定した。測定した結果より、電荷保持率を以下の式より算出した。
30分後の電荷保持率(%)=(30分後の表面電位/初期表面電位)×100
A:電荷保持率が90%以上
B:電荷保持率が50%以上90%未満
C:電荷保持率が10%以上50%未満
D:電荷保持率が10%未満
トナーをスライドガラス上に載せ、倍率1000倍の光学顕微鏡で観察した。顕微鏡画面上から任意のトナー100個を選び、顔料の含まれていない空玉の個数を数え、以下の基準でトナー中における顔料分散性を評価した。
A:空玉の個数が0個以上4個以下
B:空玉の個数が5個以上14個以下
C:空玉の個数が15個以上
低温定着性の評価法と同様の手法でトナーを定着させ、定着可能な温度の中の最高温度における定着物を、消しゴム(商品名:MONO,トンボ鉛筆社製)を用いて、300gの荷重をかけて3回こすることで消去耐性を試験した。
A:消しゴムで消去されず。
B:消しゴムで消去することで画像の濃度が低下する。
C:消しゴムで消去される。
Claims (12)
- 樹脂成分、ロジン化合物および顔料を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該樹脂成分が、オレフィン系エステル基含有共重合体およびオレフィン系酸基含有共重合体を有し、
該オレフィン系エステル基含有共重合体は、
下記式(1)で示されるユニットY1と、
下記式(2)で示されるユニットおよび下記式(3)で示されるユニットからなる群より選択される少なくとも1種のユニットY2と、を有し、
該オレフィン系酸基含有共重合体は、
酸価が、50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であり、
メルトフローレートが、10g/10分以上200g/10分以下であり、
該ロジン化合物の酸価は、3mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり、
該オレフィン系エステル基含有共重合体の含有量が、該樹脂成分および該ロジン化合物の質量の総和に対して50質量%以上であって、
該オレフィン系酸基含有共重合体の含有量が、該樹脂成分および該ロジン化合物の質量の総和に対して10質量%以上30質量%以下であって、
該ロジン化合物の含有量が、樹脂成分およびロジン化合物の質量の総和に対して5質量%以上40質量%以下であって、
該オレフィン系エステル基含有共重合体のエステル基濃度が、2質量%以上18質量%以下であるトナー。
- 前記ロジン化合物の軟化点が、70℃以上170℃以下である請求項1に記載のトナー。
- 前記オレフィン系エステル基含有共重合体のメルトフローレートが、5g/10分以上30g/10分以下である請求項1または2に記載のトナー。
- 前記トナー粒子は、融点が50℃以上100℃以下の脂肪族炭化水素化合物を含有しており、
前記樹脂成分および前記ロジン化合物の総和を100質量部としたとき、該脂肪族炭化水素化合物の含有量が、1質量部以上40質量部以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。 - 前記エステル基濃度が、3質量%以上10質量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記トナー粒子は、シリコーンオイルを含有しており、
前記樹脂成分および前記ロジン化合物の総和を100質量部としたとき、該シリコーンオイルの含有量が、1質量部以上20質量部以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。 - 前記オレフィン系エステル基含有共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含み、
該エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量が、該樹脂成分および前記ロジン化合物の質量の総和に対して50質量%以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。 - 前記ロジン化合物が、ロジンエステルである請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記ロジン化合物が、重合ロジンである請求項1〜8のいずれか1項に記載のトナー。
- 水系媒体中で、樹脂成分を含む微粒子と、ロジン化合物を含む微粒子と、顔料を含む微粒子と、を凝集させる、または、水系媒体中で、樹脂成分およびロジン化合物を含む微粒子と、顔料を含む微粒子と、を凝集させて、凝集体粒子を形成する凝集工程、
該凝集体粒子を加熱し融合して融合粒子を形成する融合工程、および、
該融合粒子を洗浄する洗浄工程を含むトナーの製造方法であって、
該樹脂成分が、オレフィン系エステル基含有共重合体およびオレフィン系酸基含有共重合体を有し、
該オレフィン系エステル基含有共重合体は、
下記式(1)で示されるユニットY1と、
下記式(2)で示されるユニットおよび下記式(3)で示されるユニットからなる群より選択される少なくとも1種のユニットY2と、を有し、
該オレフィン系酸基含有共重合体は、
酸価が、50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であり、
メルトフローレートが、10g/10分以上200g/10分以下であり、
該ロジン化合物の酸価は、3mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり、
該オレフィン系エステル基含有共重合体の含有量が、該樹脂成分および該ロジン化合物の質量の総和に対して50質量%以上であって、
該オレフィン系酸基含有共重合体の含有量が、該樹脂成分および該ロジン化合物の質量の総和に対して10質量%以上30質量%以下であって、
該ロジン化合物の含有量が、樹脂成分およびロジン化合物の質量の総和に対して5質量%以上40質量%以下であって、
該オレフィン系エステル基含有共重合体のエステル基濃度が、2質量%以上18質量%以下であるトナーの製造方法。
- 前記ロジン化合物の含有量が、前記樹脂成分および該ロジン化合物の質量の総和に対して、5質量%以上40質量%以下である請求項10に記載のトナーの製造方法。
- 前記樹脂成分が、オレフィン系酸基含有共重合体をさらに含有しており、
該オレフィン系酸基含有共重合体の酸価が、50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下である請求項10または11に記載のトナーの製造方法。
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