JP3562296B2 - P型熱電変換材料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電変換モジュールのP型半導体として使用される熱電変換材料およびその製造方法、特に化学組成CoSb3 で表される主成分と、導電型をP型に制御するための少量のSnまたはGeとを含むP型の熱電変換材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高性能の熱電変換材料としては、Bi2Te3, Bi2Sb8Te15, BiTe2Se などのテルル系化合物が知られている。また、TSb3(T:Co, Ir, Ru)などのアンチモン系化合物の内、例えばCoSb3 も熱電変換材料として知られている。このCoSb3 熱電変換材料は、約600 ℃までの温度範囲において使用可能な熱電変換材料として知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
Bi−Te 系に代表されるテルル系化合物より成る熱電変換材料は、室温では比較的高い性能指数Z(Z=3×10−3 1/K )を有しているが、300 ℃以上の高温では、特性が劣化するという問題点があった。また、テルル系化合物より成る熱電変換材料は、融点が低く化学的安定性に欠けるともに組成変動による特性のばらつきが生じやすいなどの問題点もあった。
【0004】
また、TSb3(T:Co, Ir, Ru)などのSb系化合物より成る熱電変換材料の内、CoSb3 は使用可能な温度範囲がBi−Te 系化合物に比較して大幅に広いという利点があるが、P型導電型材料を得るのに以下の問題がある。すなわち、ドーピングを行わない化学量論組成のCoSb3 の場合、本来導電型はP型となるが、積極的なドーピングを行わない場合には、原料純度の影響を受けやすくなり、安定な熱電特性が得られない。またさらには、導電型の制御性までなくなる場合もあり得る。
また、原料不純物の問題の他、実際の材料作製工程では組成変動が不可避的に起こり、特に化学量論組成からSbが欠損した組成が生じる場合においては、導電型が反転し、N型となる。
以上の理由から、高性能で安定な熱電特性を有するP導電型のCoSb3 を得るには、積極的なドーピングを行って原料不純物の影響をなくすことにより、P導電型を制御することが必要であり、それとともに材料作製工程における組成変動の影響をなくすことが必要となる。
【0005】
本発明の目的は、CoSb3 を主成分とする熱電変換材料の上述した問題点を少なくとも軽減し、広い温度範囲に亘って高い性能を有し、電気伝導度も高く、化学的にも安定で組成変動によるばらつきの小さいP型の熱電変換材料を提供しようとするものである。
本発明は、さらに、このように優れた特性を有するP型熱電変換材料を、汎用的な焼成プロセスを用いて容易かつ効率良く製造することができる方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱電変換モジュールにおけるP型半導体として使用される熱電変換材料において、主成分の化学組成が、CoSbx Sny (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表され、その含有酸素量zが 2(x+y−3) ≧zで制限される値であることを特徴とするものである。
さらに、本発明は、熱電変換モジュールにおけるP型半導体素子として使用される熱電変換材料において、主成分の化学組成が、CoSbx Gey (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表され、その含有酸素量zが 2(x+y−1) ≧zで制限される値であることを特徴とするものである。
【0007】
このような本発明によるP型熱電変換材料においては、前記P型半導体の含有酸素量が、コバルト1モルに対し酸素0.1 モル以下とするのが、電気伝導度を向上する上で特に好適である。
また、前記P型半導体は、汎用的な焼成プロセスで容易かつ効率良く作製することができる焼結体とするのが好適である。
【0008】
本発明によるP型熱電変換材料の製造方法は、化学組成CoSb3 で表される主成分と、導電型をP型に制御するための少量のSnとを含むP型の熱電変換材料を焼成法によって製造するに当たり、主成分の化学組成が、CoSbx Sny (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表される原料粉末を、還元性雰囲気中で焼成することを特徴とするものである。
さらに、本発明による製造方法は、化学組成CoSb3 で表される主成分と、導電型をP型に制御するための少量のGeとを含むP型の熱電変換材料を焼成法によって製造するに当たり、主成分の化学組成が、CoSbx Gey (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表される原料粉末を、還元性雰囲気中で焼成することを特徴とするものである。
【0009】
本発明によるP型熱電変換材料の製造方法は、化学組成CoSb3 で表される主成分と、導電型をP型に制御するための少量のSnとを含むP型の熱電変換材料を焼成法によって製造するに当たり、主成分の化学組成が、CoSbx Sny (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表され、その酸素含有量zが、2(x+y−3)≧zである原料粉末を、非酸化雰囲気中で焼成することを特徴とするものである。
【0010】
さらに、本発明による製造方法は、化学組成CoSb3 で表される主成分と、導電型をP型に制御するための少量のGeとを含むP型の熱電変換材料を焼成法によって製造するに当たり、主成分の化学組成が、CoSbx Gey (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表され、その酸素含有量zが、2(x+y−3)≧zである原料粉末を、非酸化雰囲気中で焼成することを特徴とするものである。
ここで、非酸化性雰囲気とは、窒素やアルゴンのような不活性雰囲気のみならず、水素ガスのような還元性雰囲気をも含むものである。
【0011】
上述した本発明によるP型熱電変換材料においては、化学組成が、CoSbx Sny (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)またはCoSbx Gey (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表される主成分において、含有酸素量zを、2(x+y−3)≧zに制限したものであるが、これは酸素をこれ以上含有すると、ドーパントとして作用するSnまたはGeが選択的に酸化されてしまうので安定してP型とならないためである。すなわち、化学量論組成であるCoSb3 より、Sbが欠損した状態においてN導電型を示す半導体材料においては、Sbの欠損サイトにドーパントであるSnまたはGeが入ることによってP型となるが、酸素含有量が上述した範囲を越えると、ドーパントが酸化されてSnO2またはGeO2が生成され、このような酸化物はSbの欠損サイトに入ることができず、したがってP型とはならないことを確かめた。
また、Sbの量を2.7 <x <3.4 とし、Snの量を0 <y <0.4 とするとともにこれらの和を x+y>3 としているが、このような範囲を外れた場合、電気伝導度またはゼーベック係数が低くなり、熱電変換モジュールのP型半導体材料として良好な特性を示さなくなるためである。
【0012】
本発明によるP型熱電変換材料の製造方法においては、上述したように酸素含有量を制限するために、焼成前の原料粉末の含有酸素量を低くして非酸化性雰囲気中で焼成を行うか、焼成を還元性雰囲気中で行なうことによって酸素を除くようにしたものである。このような方法によれば、ドーパントであるSnまたはGeが酸化されることがなく、したがってドーピングの制御性が高くなり、所望の特性を有するP型の熱電変換材料が得られることを確かめた。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明によるP型熱電変換材料の幾つかの実施例を比較例とともに示すが、これらの実施例および比較例とも以下のプロセスによって製作した。
粒状のCo, Sb, Snを出発原料として用い、所定量を秤量した後、アーク溶解装置によって溶融し、冷却して溶製材の合金インゴットを作製した。この合金インゴットを乳鉢にて粗粉砕した後、遊星回転ボールミルを用いて乾式粉砕を行い、平均粒径が100 μm 以下となるまで微粉砕した。このようにして作製した合金粉末を、成形圧7Ton/cm2 で成形した後、600 〜800 ℃の範囲で非酸化性雰囲気である窒素雰囲気中または還元性雰囲気である水素雰囲気中で48時間の熱処理を施し、焼結体を得た。
【0014】
ここで、上述した出発原料の内、Snは熱電変換材料をP型とするためのドーパントとして作用する元素であるが、このSnの代わりにGeを用いても同じくP型の熱電変換材料が得られるものである。また、焼成前の原料粉末としては、上述したように単体の原料を溶融、粉砕したものだけに限られるものではなく、例えば目的の比率となるように上記単体元素から成る原料粉末を所定量秤量した後に混合したものや、あるいは元素含有比が目的の比率となるように、溶融、粉砕した粉末と単体元素粉末とを混合したものなどを用いることもできる。
【0015】
表1は上述したプロセスにおいて原料粉末組成比を、Coを1として種々に変化させた場合に得られた焼結体の組成比、焼成温度および雰囲気を示すものである。この表1には、本発明の条件から外れるものもあり、これは比較例として示した。すなわち、試料1〜7および16〜18は本発明による実施例であり、試料8〜15は比較例である。
【0016】
【表1】
【0017】
表1から分かるように、還元性雰囲気中では勿論のこと非酸化性の窒素雰囲気中においても、焼結体における酸素含有量は、焼成前における原料粉末での酸素含有量よりも僅かに低くなっている。これは、非酸化性雰囲気中で焼成した場合には、粉末成分に新たな酸素が混入することがないためと、成形体表面に吸着されている酸素が焼成中にある程度除去されるためであると考えられる。成形体の表面に吸着する酸素の量は、粉末の粒度や表面積などに依存するが、焼成が非酸化性雰囲気中で行われる限りにおいては、焼結体中の酸素含有量が成形体中の酸素含有量を越えることはない。したがって、本発明によるP型熱電変換材料の製造方法を実施するに当たっては、目標とする化学組成と同等の化学組成を有する粉末を用意し、これを成形した後、非酸化性雰囲気中で焼成すれば良いことが分かる。このような非酸化性雰囲気としては、本実施例で使用した窒素の他に、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気や超高真空雰囲気などが考えられる。勿論、非酸化性雰囲気として還元性雰囲気を採用することもできる。また、このような事実は、ドーパントとしてGeを用いる場合にも何ら変わらないものである。
【0018】
上述した表1の試料16〜18では、種々の粉末試料の化学組成と、これを還元性雰囲気である水素雰囲気中で焼成して得られた焼結体の化学組成との関係を示したものである。これにより、本発明のように酸素含有量が制限されたP型熱電変換材料を焼成によって製造するに当たっては、水素などの還元性雰囲気中で焼成を行なうことがより確実な方法であることが分かった。すなわち、試料17および18のように、出発原料粉末中の酸素含有量zが、2(x+y−3)≧zなる条件から外れる場合にも、還元性雰囲気中で焼成を行なうことによって、得られる焼結体の酸素含有量は、本発明の範囲内に入ることになる。このことは、ドーパントとしてSnの代わりにGeを使用する場合にも何ら変わらないものである。
【0019】
図1は、表1に示した種々の焼結体試料におけるSnの化学結合状態についてX線光電子分光法(XPS) による解析を行った結果を示すものである。
図2は、表1に示した種々の焼結体試料におけるSnの存在形態についてX線光電子分光法により解析した結果を示すものである。
【0020】
図1および2において、曲線Aは試料2、曲線Bは試料8および曲線Cは試料16についてSnの3d状態のスペクトルを示すものである。
図1から、焼結体中に酸素が存在している場合、焼結体中のSnは金属状態と酸化物状態とが存在することが明らかとなった。ここで、比較例である試料8の場合には、金属状態のSnが完全に消失していることが明らかである。また、図2からは、比較例である試料8においてはSbの酸化が起こっているが、本発明の実施例である試料2および16では、Sbの酸化は起こっていないことが明らかとなった。
【0021】
これらのことから、焼結体中に酸素が存在している場合、ドーパントであるSnの酸化が起こり、次いでSbの酸化が起こることが明らかとなった。したがって、本発明による化学組成範囲を外れた酸素濃度を有する焼結体の場合には、SnのみならずSbの酸化が起こるため、Sbの欠損サイトにドーパントが入り込まないのでN型化が引き起こされ、目的とするP型の熱電変換材料を得ることができないことになる。そして、この際にはSnは二酸化物となることが分かっている。これに対し、本発明のように、主成分の化学組成が、CoSbx Sny (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表され、含有酸素量zが、2(x+y−3)≧zで制限される値に規定する場合には、Snの酸化が生じてもSbの酸化が生じ得ないため、Sbサイトの欠損は生じず、P導電型を維持することができる。
【0022】
また、導電型を制御するドーパント元素をSnの代わりにGeとし、かつ焼結体中に酸素が存在している場合には、Geの二酸化物が生成することが分かっている。本発明では、主成分の化学組成が、CoSbx Gey (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表され、含有酸素量zが、2(x+y−1)≧zで制限される値とすることにより、Geの酸化が生じてもSbの酸化が生じ得ないのでSbサイトの欠損は生じず、P導電型を維持することができる。
【0023】
図3は、比較例である幾つかの焼結体の熱電効率を表すゼーベック係数の温度依存性を示すものであり、図4は、本発明の実施例である幾つかの焼結体のゼーベック係数の温度依存性を示すものであり、これらの図面においては、各曲線で表される焼結体の化学組成と、酸素含有量とを示してある。これらのグラフにおいて、ゼーベック係数が正の値の場合は、焼結体がP導電型であることを示し、負の場合にはN導電型であることを示している。
図3および4に示した結果から、比較例の焼結体の場合には、温度域によって導電型が反転している現象が生じているのに対し、本発明による焼結体の場合には、測定した全温度範囲において安定なP型となっているおり、しかも大きなゼーベック係数が得られていることが分かる。
【0024】
上述したような、酸素濃度と導電型反転現象との関係については、導電型を制御するためのドーパント元素がGeである場合にも同様に生じるものであることを確かめた。図5は、ドーパント元素をGeとした比較例の焼結体のゼーベック係数の温度依存性と、ドーパント元素をGeとした本発明の実施例の焼結体のゼーベック係数の温度依存性とを示すものである。すなわち、○印で示す曲線は本発明の実施例による焼結体のゼーベック係数の温度依存性を示し、それ以外は比較例を示すものである。これから、本発明による焼結体では、全温度範囲において安定してP導電型を示すのに対し、比較例では温度域によって導電型の反転が生じていることが分かる。
【0025】
上述した考察の結果、本発明による化学組成において、酸素濃度を限定したものでは、導電型を制御するドーパント元素であるSnおよびGeが金属状態で存在するために、或いは存在しなくてもSbサイトの欠損がないために、広い温度範囲において優れたP型の熱電変換材料が得られることが分かった。
【0026】
さらに、本発明においては、前記P型半導体の含有酸素量を、コバルト1モルに対し酸素0.1 モル以下とすることのよりP型の熱電変換材料として特に優れた特性を有するものが得られることを確かめた。
図6は、O/Coモル比と電気伝導度との関係を示すものであり、O/Coモル比を0.1 以下とすることにより電気伝導度が急激に高くなっていることが分かる。これは、母材であるCoSb3 へのSnまたはGeの固溶度が増加してドーピング効率が向上すること、並びに電気伝導度の阻害因子となり得るSnまたはGeの酸化物が減少することとの2つの現象の相乗効果によるものである。
【0027】
上述したようにO/Coモル比が0.1 以下となるような焼結体を得るためには、焼成を還元性雰囲気中で行なうことが望ましい。その理由は、表1に示したように、還元性雰囲気中での焼成の場合には、原料粉末の成形体での酸素含有量に拘らず焼結体中の酸素含有量をO/Coモル比において0.1 以下とすることが容易であるからである。
【0028】
【発明の効果】
上述したように、本発明によるP型熱電変換材料においては、CoSb3 にSnまたはGeを添加したP型熱電変換材料において、その酸素含有量をSb, SnまたはGeの含有量に対して制限したことによって、広い温度範囲に亘って安定なP型の半導体を得ることができ、またCoに対する酸素の含有量を限定したことにより熱電特性、特に電気伝導度の優れたP型熱電変換材料を得ることができる。
【0029】
また、本発明による製造方法では、汎用的な焼結法を用いて、高い熱電特性を有する安定なP型の半導体を製造することができるので、高性能なP型熱電変換材料を安価に効率良く生産でき、その工業的な価値は非常に大きいものである。
【0030】
さらに、この種の材料は、立方晶型のCoSb3 の結晶構造を基本骨格としているため、P型とN型の不純物を含有する個々の材料は同一の結晶構造を有している。したがって、その熱的安定性、熱膨張率とも同一の材料と見做せるので、粉末成形によってもP−N接合の形成が容易であり、さらに室温から300 ℃以上の広い温度範囲において化学的にも安定であり、熱的特性の劣化が起こらず、耐熱性、成形性に優れたまた経済的にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明によるP型熱電変換材料の実施例および比較例におけるSnの化学的結合状態を表すX線光電子分光スペクトルを示すグラフである。
【図2】図2は、本発明によるP型熱電変換材料の実施例および比較例におけるSbの存在形態を表すX線光電子分光スペクトルを示すグラフである。
【図3】図3は、比較例のP型熱電変換材料のゼーベック係数の温度依存性を表すグラフである。
【図4】図4は、本発明によるP型熱電変換材料のゼーベック係数の温度依存性を表すグラフである。
【図5】図5は、ドーパントをGeとした本発明および比較例におけるP型熱電変換材料のゼーベック係数の温度依存性を表すグラフである。
【図6】図6は、O/Coモル比と電気導電度との関係を示すグラフである。
Claims (8)
- 熱電変換モジュールのP型半導体として使用される熱電変換材料において、主成分の化学組成が、CoSbx Sny (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表され、その含有酸素量zが 2(x+y−3) ≧zで制限される値であることを特徴とするP型熱電変換材料。
- 熱電変換モジュールのP型半導体として使用される熱電変換材料において、主成分の化学組成が、CoSbx Gey (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表され、その含有酸素量zが 2(x+y−3) ≧zで制限される値であることを特徴とするP型熱電変換材料。
- 前記P型半導体の含有酸素量が、コバルト1モルに対し酸素0.1 モル以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のP型熱電変換材料。
- 前記P型半導体が、焼結体から成ることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のP型熱電変換材料。
- 化学組成CoSb3 で表される主成分と、導電型をP型に制御するための少量のSnとを含むP型の熱電変換材料を焼成法によって製造するに当たり、主成分の化学組成がCoSbx Sny (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表される原料粉末を、還元性雰囲気中で焼成することを特徴とするP型熱電変換材料の製造方法。
- 化学組成CoSb3 で表される主成分と、導電型をP型に制御するための少量のGeとを含むP型の熱電変換材料を焼成法によって製造するに当たり、主成分の化学組成がCoSbx Gey (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表される原料粉末を、還元性雰囲気中で焼成することを特徴とするP型熱電変換材料の製造方法。
- 化学組成CoSb3 で表される主成分と、導電型をP型に制御するための少量のSnとを含むP型の熱電変換材料を焼成法によって製造するに当たり、主成分の化学組成がCoSbx Sny (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表され、その酸素含有量zが、2(x+y−3)≧zである原料粉末を、非酸化雰囲気中で焼成することを特徴とするP型熱電変換材料の製造方法。
- 化学組成CoSb3 で表される主成分と、導電型をP型に制御するための少量のGeとを含むP型の熱電変換材料を焼成法によって製造するに当たり、主成分の化学組成がCoSbx Gey (2.7<x <3.4, 0<y <0.4, x+y>3)で表され、その酸素含有量zが2(x+y−3)≧zである原料粉末を、非酸化雰囲気中で焼成することを特徴とするP型熱電変換材料の製造方法。
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