JPH09260729A - 熱電変換材料およびその製造方法 - Google Patents

熱電変換材料およびその製造方法

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JPH09260729A
JPH09260729A JP8088975A JP8897596A JPH09260729A JP H09260729 A JPH09260729 A JP H09260729A JP 8088975 A JP8088975 A JP 8088975A JP 8897596 A JP8897596 A JP 8897596A JP H09260729 A JPH09260729 A JP H09260729A
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thermoelectric conversion
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thermoelectric
antimony
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JP8088975A
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Inventor
Kazuhiko Shinohara
和彦 篠原
Masakazu Kobayashi
正和 小林
Makoto Miyoshi
実人 三好
Yuichiro Imanishi
雄一郎 今西
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NGK Insulators Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/80Constructional details
    • H10N10/85Thermoelectric active materials
    • H10N10/851Thermoelectric active materials comprising inorganic compositions
    • H10N10/853Thermoelectric active materials comprising inorganic compositions comprising arsenic, antimony or bismuth

Abstract

(57)【要約】 【課題】室温から 300℃以上の広い温度領域において熱
電特性に優れ、化学的にも安定であって特性劣化の生じ
にくい熱電変換材料およびその製造方法を提供する。 【解決手段】コバルトとアンチモンを主成分とする焼結
体からなり、主成分となるコバルト・アンチモン化合物
が立方晶型のCoSb3 である熱電変換材料であって、第2
相としてSb相を主成分とする相を含み、前記Sb相を主成
分とする相の体積比率が10vol%未満である熱電変換材料
を、コバルトとアンチモンを主成分とする粉末を加圧成
形した後、非酸化性雰囲気にて熱処理する熱電変換材料
の製造方法であって、前記粉末を元素含有比率において
Sb/Co=x(ただし、3<x<3.4)とすることで得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゼーベック効果に
よる熱電発電や、ペルチェ効果による電子冷凍等のいわ
ゆる熱電効果(可動部の無いエネルギーの直接変換)に
利用される熱電変換材料およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来技術】熱電変換材料を用いた熱電発電や電子冷凍
等の熱電変換は、振動、騒音、磨耗等を生じる可動部分
が全くなく、構造が簡単で信頼性が高く、高寿命で保守
が容易であるという特徴を持った簡略化されたエネルギ
ー直接変換装置の作製を可能とするものである。例え
ば、各種化石燃料等の燃焼によって直接的に直流電力を
得たり、冷媒を用いないで温度制御したりするのに適し
ている。
【0003】ところで、熱電変換材料において特性を評
価するにあたり、以下の式で表される電力因子Qや性能
指数Zが使用される。
【数1】 ここに、α:ゼーベック係数、σ:電気伝導率、κ:熱
伝導率である。熱電変換材料では、この性能指数Zが大
きいこと、すなわちゼーベック係数が高く、電気伝導率
σが高く、熱伝導率κが低いことが望まれる。
【0004】ここで熱電変換材料を電子冷凍、熱電発電
に用いる場合、特に高温を発する部材の冷却機器や排熱
利用向けの熱電発電装置として熱電変換材料を用いる場
合、熱電特性としてZ=3×10-3[1/K]以上の高い
性能指数を有し、使 用環境下で長期間安定に作動する
ことが望まれる。そしてこのほかにも、室温から300 ℃
以上での温度領域で十分な耐熱性・化学的安定性がある
ことが望まれる。また、電子冷凍を利用した冷却機器や
熱電発電装置などを例えば車載用として量産する際に
は、安価に効率良く生産出来る材料およびその製造方法
が望まれる。
【0005】従来、このような熱電変換材料としては、
Bi2Te3、Bi2Sb8Te15、BiTe2Se 等のテルル系化合物が、
高い性能指数(Z=3×10-3[1/K])を有する熱電
変換材料として知られている。また、TSb3(T:Co、Ir、
Ru)などのSb化合物を用いた例、例えば、化学組成にお
いてCoSb3 を主成分とする材料に電気導電型を決定する
ための不純物を添加した熱電変換材料が、以下の文献に
記載されている。 1)L.D.Dudkin and N.Kh.AbrikoSov, Soviet Physics So
lid State Physics(1959)pp.126-133 2)B.N.Zobrinaand, L.D.Dudkin , Soviet Physics Soli
d State Physics(1960)pp1668-1674 3)K.Matsubara, T.Iyanaga, T.Tsubouchi, K.Kishimoto
and T.Koyanagi,American Institute of Physics (19
95)pp226-229
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Bi-Te
系に代表されるようなTe系化合物よりなる熱電変換材料
は、熱電特性の指標となる性能指数Zが室温付近で約3
×10-3[1/K])と大きいものの、300 ℃以上では特
性が劣化し、使用温度が著しく制限されるという問題点
がある。また、材料組成にTeやSe等の揮発成分を含むた
め、融点が低く化学的安定性にも欠けるという問題点も
ある。さらに、製造過程が複雑となるため、組成変動に
よる特性のばらつきが発生しやすく効率良く量産する事
が出来ないという問題点がある。またこのほかにも、原
料に毒性を有する元素(Te)が含まれるという問題や、
純度の高い高価な原料を必要とするために安価な材料を
提供することができないなどの問題があった。
【0007】TSb3(T:Co、Ir、Ru)などのSb化合物、例
えば、化学組成においてCoSb3 を主成分とした熱電変換
材料は、使用する原料が比較的安価で毒性を含むものが
なく、さらには300 ℃以上の温度領域でも化学的に安定
であることが知られている。ここで、化学組成CoSb3
有する熱電変換材料では、使用可能温度域が Bi-Te系に
比べ広くとれるが、電気伝導率が低く性能指数(Z<1
×10-3 1/K ) の面で Bi-Te系に大きく劣るという問題
がある。
【0008】また、従来知られているような化学組成Co
Sb3 を有する熱電変換材料では、得られる材料が立方晶
型のCoSb3 結晶相のみを構成結晶相とし、それ以外の結
晶相(CoSb、CoSb2 、Sb)は熱電特性を低下させる作用
があるとされているが、 CoSb3を溶製して得る方法で
は、凝固の際にCoSb3 以外の異相(CoSb、CoSb2 、Sb)
が析出することが知られている。これをCoSb3 単相にす
るには、 600℃前後の温度にて約200 時間程度の熱処理
が必要となり、製造工程が長期化するという問題があ
る。
【0009】さらに、CoSb3 溶製材を粉砕・焼結する方
法では、溶製時に析出した異相、すなわちCoSb3 よりも
高い密度を有するCoSb、CoSb2 が焼成時にCoSb3へ相変
化するため、体膨張が発生し焼結が進行しないという問
題がある。例えば、圧力5×103kg/cm2 、温度 600℃の
条件でホットプレスした場合でも十分に緻密化した材料
は得られていない(参考文献:K.Matsubara, T.Iyanag
a, T.Tsubouchi, K.Kishimoto and T.Koyanagi, Ameri
can Institute of Physics (1995)pp226-229.立方晶型C
oSb3 の理論密度が7.64g/cm3 であるのに対し、文献報
告値は最大で5.25g/cm3 となっている)。その結果、例
えば大気圧下にて焼成した焼結体は脆い材質となり、ま
た電気伝導率が著しく低く熱電特性の極端に低い材質と
なる。
【0010】このように、化学組成CoSb3 を有する熱電
変換材料では、Bi-Te 系などに比べ広い使用可能温度領
域を持つものの、材料特性、製造方法の面でおのおの問
題があった。そのため、室温から 300℃以上の広い温度
領域で化学的に安定であって特性劣化が生じがたく、優
れた熱電特性を有した高強度の熱電変換材料、またこう
した熱電変換材料の簡便な製法が望まれているという課
題があった。
【0011】本発明は、このような従来の課題にかんが
みてなされたものであり、特に室温から 300℃以上の広
い温度領域において熱電特性に優れ、化学的にも安定で
あって特性劣化の生じにくい熱電変換材料およびその製
造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の熱電変換材料
は、コバルトとアンチモンを主成分とする焼結体からな
り、主成分となるコバルト・アンチモン化合物が立方晶
型のCoSb3 である熱電変換材料であって、第2相として
Sb相を主成分とする相を含み、前記Sb相を主成分とする
相の体積比率が10vol%未満であることを特徴とし、さら
にその実施様態としては、前記焼結体が、立方晶型のCo
Sb3 を主成分とする粒子、半金属であるSb相を主成分と
する粒界、および空隙から構成されていることを特徴と
しており、このような熱電変換材料に関わる発明の構成
をもって前述した従来の課題を解決するための手段とし
ている。
【0013】また、本発明の熱電変換材料の製造方法
は、コバルトとアンチモンを主成分とする粉末を加圧成
形した後、非酸化性雰囲気にて熱処理する熱電変換材料
の製造方法であって、前記粉末が元素含有比率において
Sb/Co=x(ただし、3<x<3.4)で表されることを
特徴とし、さらにその実施態様としては、前記熱処理の
温度が実質的にSbの液相析出温度以上であることを特徴
とする。
【0014】
【発明の実施の態様】本発明に関わる熱電変換材料は、
コバルト・アンチモン化合物を主成分とし、その主成分
となるコバルト・アンチモン化合物がCoSb3 で表される
熱電変換材料に関わるものであるが、ここで、導電型を
決定するための添加物を微量添加した場合、すなわちCo
Sb3 を基本骨格とする Co-Sb系材料、例えば、Co1-z
z Sb3 (M:Ni、Fe、Ru)やCo(Sb1−zT z )3(T:Sn、T
e、Se、Pb)なども挙げられる(ただし、0≦z ≦0.1
)。
【0015】本発明に関わる熱電変換材料では、主成分
となるコバルト・アンチモン化合物が立方晶型のCoSb3
であって、このほかに第2相としてSb相を主成分とする
相を含むことを特徴としているが、この場合、Sb相の体
積比率は10vol%未満である必要がある。ここで、第2相
であるSb相が10vol%未満で含まれている場合、半金属で
あるSb相は伝導キャリアの移動度を向上させる働きを持
つため、電気伝導率が大幅に改善される。この際ゼーベ
ック係数の低下も伴うが、電気伝導率の大幅な向上によ
り全体的な熱電特性は大きく向上する。一方、Sbが10vo
l%を越えて含まれる場合には、Sb相による電気伝導率の
向上は飽和し、ゼーベック係数の低下が著しくなるた
め、全体的な熱電特性が大幅に低下する。従って、第2
相であるSb相は10vol%未満で含まれている必要がある。
【0016】さらに、本発明に関わる熱電変換材料は、
コバルトとアンチモンを主成分とする焼結体からなる熱
電変換材料であって、前記焼結体は、立方晶型のCoSb3
を主成分とする粒子などから構成されていることを特徴
としているが、ここで焼結体の粒界は半金属であるSb相
を主成分としていることが望ましい。通常、粒界相を持
たない焼結体の強度は、粒子同士を結びつける粒子間頚
部の強度と粒子自体の強度により決定されるが、ここ
で、Sb相が粒界相として材料内に分布する場合、粒界相
の強度と粒界−粒子間強度が加算されるため、さらに高
い強度の材料が得られる。また、移動度の高いSb相が粒
界に分布している場合には、粒界でのエネルギー障壁を
消滅させる働きを持つため、焼結体の電気電導率が向上
するが、粒内に孤立してSb相が存在する場合、Sb相によ
る粒界障壁の引き下げが起こらず、また移動度の低い伝
導キャリアの経路が確保できなくなるため、焼結体の電
気電導率が向上しない。従って、コバルト・アンチモン
焼結体の粒界は半金属であるSb相を主成分としている事
が望ましい。
【0017】また、本発明に関わる熱電変換材料の製造
方法は、コバルトとアンチモンを主成分とする粉末を加
圧成形した後、非酸化性雰囲気にて熱処理する熱電変換
材料の製造方法に関わるものであるが、この場合、非酸
化性雰囲気としては、アルゴン、窒素などの不活性雰囲
気や水素などの還元性雰囲気、または、熱処理容器に黒
鉛を用いたり、黒鉛片を同時に熱処理したりして生ずる
弱還元性雰囲気、あるいは、これらを混合した雰囲気な
ど、または真空中が挙げられる。また、ここで、コバル
トとアンチモンを主成分とする粉末としては、単体元素
からなる原料粉末を所定量秤量後混合したものや、所定
量の元素組成を有する溶製材を粉砕したものや、あるい
は、元素含有比が所定比率となるように、これらを混合
したものが挙げられる。
【0018】本発明に関わる熱電変換材料の製造方法で
は、コバルトとアンチモンを主成分とする粉末を加圧成
形した後、非酸化性雰囲気にて熱処理する熱電変換材料
の製造方法であることを特徴としているが、この場合、
前記粉末の元素含有比率Sb/Co=xにおけるxとしては、
3<x<3.4とする必要がある。ここで、3<x<
3.4とした場合、最終的に得られる材料は、主成分が
CoSb3 組成であり、第2相がSb相(ただし、体積比にお
いて10vol%未満)であるような材料となる。この場合に
は、材料内に伝導キャリアの移動度を高めるSb相を有し
た熱電特性の高い、高強度の優れた熱電変換材料が得ら
れる。一方、xの値が3以下の場合、熱処理によるSb相
の析出がないため、上記のような効果が得られない。ま
た、xの値が3.4以上の場合、熱処理後に得られる材
料において、熱電特性の高いCoSb3 相の体積比が減少す
るため、熱処理後に得られる材料の熱電特性が低下す
る。従って、元素含有比率Sb/Co=xにおけるxとして
は、3<x<3.4とする必要がある。
【0019】そして、本発明に関わる熱電変換材料の製
造方法は、コバルトとアンチモンを主成分とする粉末を
加圧成形した後、非酸化性雰囲気にて熱処理することを
特徴としているが、熱処理の温度としては、実質的にSb
の液相析出温度以上であることが望ましい。ここで、熱
処理温度が実質的にSbの液相析出温度であると見なされ
る場合、CoSb3 化学量論組成に対し余分なSb相がCoとの
化合物を形成せずに存在するため、CoSb3 化合物を形成
した粒子間にSbの液相を形成するようになる。このSb液
相が熱処理による焼結を促進するため、得られる材料は
緻密質で、粒界に材料強度や伝導キャリアの移動度を高
めるSb相を有した熱電特性の高い、高強度の優れた熱電
変換材料が得られる。また、熱処理温度がSbの液相析出
温度より低い場合には、液相による焼結が進行しないば
かりか、十分に長時間の熱処理を施さないと、溶製の際
に析出したCoSb、CoSb2 などの相がCoSb3 相へ相変化し
ないまま異相として焼結体に残留する。従って、熱処理
の温度は、実質的にSbの液相析出温度以上であることが
望ましい。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。実施例 粒状のCo、Sb、Pdを出発原料として用い所定量を秤量し
た後、アーク溶解装置にて溶融し、溶製材インゴットを
得た。作製した合金インゴットを乳鉢にて粗粉砕した
後、遊星回転ボールミルを用いて乾式粉砕を行い100 μ
m以下の粒径まで微粉砕した。作製した合金粉末を加圧
成形(成形圧:7ton/cm2)した後、600 〜650 ℃の範囲
にて48時間の熱処理を施し焼結体を得た。
【0021】ここで、上記出発原料のうちPdは熱電変換
材料をn型とするための不純物元素であるが、これにか
わって伝導の型を決定する不純物元素として、Ni、Fe、
Ru、Sn、Te、Seなどを用いても良い。また、焼成前の粉
末としては、必ずしも上記単体原料を溶融、粉砕したも
のに限定されず、例えば、目的の組成比となるように上
記単体元素からなる原料粉末を所定量秤量後混合したも
のや、あるいは、元素含有比が目的の組成比となるよう
に、溶融、粉砕した粉末と単体元素粉末を混合したもの
などを用いても良い。
【0022】本実施例による調合組成と得られた焼結体
試料におけるSb相含有体積比の関係の一例は、以下の表
1の結果となった。さらに、本実施例によって得られた
焼結体試料におけるSb相の含有体積比と焼結体の構成結
晶相、嵩密度、ならびに室温での強度測定結果の関係の
一例は、以下の表2に示す結果であった。ここで、構成
結晶相は粉末X線回折測定によって決定しているが、こ
の場合、Sb相の存在の有無は粉末X線回折図形における
Sb相の回折線の有無で定義している。また、粉末X線回
折におけるSb相の体積比の検出限度は0.3vol%程度であ
る。この粉末X線回折による測定結果の一例(Sb:16.5v
ol% )を図1に示した。また、調合組成Sb/Co=3.5 であ
る試料の断面研磨面の電子顕微鏡による観察結果を図2
(a)に、ならびに図2(a)中のA点およびB点にお
けるエネルギー分散X線解析(EDS )による組成分析結
果を図2(b)、(c)にそれぞれ示した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】表1に示した結果より、調合組成において
Sb/Co 比が3.4以下程度であれば、焼結体におけるSb
含有体積比が10vol%未満となることがわかる。また、表
2に示した結果から明らかなように、調合組成Sb/Co=x
において3<xであるようにSbを含有する組成において
は、立方晶CoSb3 以外の相としてSb相のみを構成結晶相
とし、気孔の少ない緻密質な焼結体が得られていること
が明らかである。そして、図1、図2に示した結果か
ら、CoSb3 組成に対しSbを余分に含有した焼結体におい
ては、その粒界相の主成分がSb相となっていることが明
らかである。さらには、このような材料の場合には、室
温での強度が著しく向上していること表2の結果から明
らかである。
【0025】そして、本発明実施例による種々の量のSb
相を含有するコバルト・アンチモン熱電焼結体で得られ
た250 ℃における電気伝導率σ(S/m )のSb相含有体積
比依存性は図3に示す結果であった。ここで図3には、
従来例として、 K.Matsubara, T.Iyanaga, T.Tsubouch
i, K.Kishimoto and T.Koyanagi, American Institute
of Physics (1995)pp226-229 に記載された電気伝導
率の値を示した。また、これらの試料におけるSb相の体
積比は、粉末X線回折による定量測定によって行った。
図3に示した結果より、CoSb3 組成に対しSb相を余分に
含有させることにより、電気伝導率が著しく増加するこ
とが明らかである。また、定量測定の検出限度に近い、
Sb相を0.3vol% 程度有する試料において、その電気伝導
率がSb相を含まない試料に比べて著しく向上しているこ
とが明らかである。
【0026】また、同じく、種々の量のSbを含有するコ
バルト・アンチモン熱電焼結体で得られた250 ℃におけ
る電力因子Q(W/mK2 )のSb相含有体積比依存性は図4
の結果であった。ここで図4には、従来例として、 K.M
atsubara, T.Iyanaga, T.Tsubouchi, K.Kishimoto and
T.Koyanagi, American Institute of Physics (1995)
pp226-229 に記載された電力因子の値を示した。また、
これらの試料におけるSb相の体積比は、粉末X線回折に
よる定量測定によって行った。図41示した結果より、
熱電特性に関与するSb相の体積比率としては、2vol% 程
度が最適値であることがわかる。そして、コバルト・ア
ンチモン熱電焼結体におけるSb相の体積比率が9.8vol%
程度含有する試料においては電力因子Q(W/mK2 )は、
Sb相を11vol%程度含有する試料に比べ著しく高いことが
明らかであり、また従来例と比較しても十分に高いこと
が明らかである。
【0027】一方、Sb相が0.3vol% 程度の試料の電力因
子Q(W/mK2 )はSb相を持たない材料に比べ著しく高い
ことが明らかであり、さらには従来例と比較した場合で
も十分に高いことが明らかである。従って、図4に示し
た結果より、CoSb3 化学量論組成に対し半金属であるSb
相を一定範囲内で余分に含有させることにより、電力因
子Q(W/mK2 )はSb相を含まない場合に比較して著しく
向上することが明らかであり、熱電特性、特に電気伝導
率がより一層向上した熱電変換材料を提供できる。そし
て、表2に示した結果より、CoSb3 組成に対し余分にSb
相を含ませることにより、焼結体の緻密性が向上し、室
温での材料強度が高い材料が得られることがわかる。ま
た、汎用的な焼結法を用いて材料強度とともに熱電特
性、特に電気伝導率の優れた緻密な焼結体が得られるた
め、高強度・高性能な熱電変換材料を安価に効率良く生
産できる工業的に有効な熱電変換材料の製造方法を提供
できる。
【0028】また、この種の材料は、立方晶型CoSb3
結晶構造を基本骨格としているため、p型とn型の不純
物を含有する各々の材料は同一の結晶構造を持つ。従っ
て、その熱的安定性、熱膨張率とも同一の材料とみなせ
るため、pn接合の粉末成形が容易であり、さらに室温
から300 ℃以上の広い温度領域において化学的に安定で
あり、熱的特性が劣化しない、耐熱性、成形性に優れた
経済的にも優れた材料および製法が可能となる。
【0029】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の熱電
変換材料によれば、コバルト・アンチモン化合物を主成
分とし、主成分となる立法晶CoSb3 の他に第2相として
Sb相を含む構成としたために、高い材料強度を有すると
同時に熱電変換材料の熱電特性、特に電気伝導率をより
一層向上させる事が可能であると共に、室温付近から30
0 ℃以上の温度領域で十分に使用可能な耐熱性を有し化
学的にも安定であって、特性劣化のしにくい熱電変換材
料を提供することが可能となる。
【0030】また、本発明の熱電変換材料の製造方法に
よれば、元素含有比率をSb/Co=x(ただし、3<x<
3.4)である粉末を加圧成形し、非酸化性雰囲気にて
熱処理する構成としたために、汎用的な焼結法を用い
て、高い熱電特性を有する緻密質の焼結体が得られるた
め、高性能な熱電変換材料を安価に効率良く生産できる
工業的に有効な熱電変換材料の製造方法を提供すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】粉末X線回折による測定結果の一例を示す図で
ある。
【図2】(a)は試料の微構造を示す電子顕微鏡写真、
(b)および(c)は(a)におけるA点およびB点に
おけるエネルギー分散X線解析による分析結果を示す図
である。
【図3】250 ℃におけるSb体積比と電気伝導率との関係
を示すグラフである。
【図4】250 ℃におけるSb体積比と電力因子との関係を
示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 三好 実人 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 (72)発明者 今西 雄一郎 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コバルトとアンチモンを主成分とする焼結
    体からなり、主成分となるコバルト・アンチモン化合物
    が立方晶型のCoSb3 である熱電変換材料であって、第2
    相としてSb相を主成分とする相を含み、前記Sb相を主成
    分とする相の体積比率が10vol%未満であることを特徴と
    する熱電変換材料。
  2. 【請求項2】前記焼結体が、立方晶型のCoSb3 からなる
    粒子と、Sb相を主成分とする粒界と、空隙とから構成さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の熱電変換材
    料。
  3. 【請求項3】コバルトとアンチモンを主成分とする粉末
    を加圧成形した後、非酸化性雰囲気にて熱処理する熱電
    変換材料の製造方法であって、前記粉末が元素含有比率
    においてSb/Co=x(ただし、3<x<3.4)で表され
    ることを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
  4. 【請求項4】前記熱処理の温度が実質的にSbの液相析出
    温度以上であることを特徴とする請求項3記載の熱電変
    換材料の製造方法。
JP8088975A 1996-03-19 1996-03-19 熱電変換材料およびその製造方法 Withdrawn JPH09260729A (ja)

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