JP3561905B2 - 燃焼装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼装置に関し、特に小型ボイラーや給湯装置に用いられるガスバーナーとして適用される燃焼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種従来の燃焼装置は、ボイラーや給湯装置の主要な構成部品であり、工場はもとより一般家庭にも広く普及しているものであって、例えば、図3に示す構造のものが知られている。
【0003】
この従来の燃焼装置1は、鋼板をプレスして表面に凹凸を有する表裏一対の板状部品を成形し、これらに曲げ加工等を施した後スポット溶接によって接合してなる燃焼管本体2によって主構成されている。この燃焼管本体2の一側縁下部には燃焼ガス並びに一次空気の導入口3が形成され、上部には、燃焼管本体の幅方向ほぼ全長に亘る長細い炎口4が形成されている。燃焼管本体2の内部には、ガス導入口3と炎口4とを連通するガス流路が形成されており、このガス流路形成部分以外は、ガスが漏れないように気密に閉塞されている。
【0004】
ガス流路は、導入口3から導入された燃料ガスと一次空気とを混合させる混合部5と、混合ガスを安定して炎口4へと供給するために炎口4の下方に設けられたスリット状の絞り部6とを有している。混合部5は、ミキシング時間を確保するためにUターン状に形成されており、このUターン部分の上方に、流量分布を均一にするための絞り部6が設けられている。
【0005】
また、近年、NOX (窒素酸化物)の総排出量を減少させることが急務となっており、家庭用等の小型の燃焼装置においても、NOX の発生を極力減少させる工夫が要求されている。上記した従来の燃焼装置1においても種々の工夫が施されている。その一つは、図4にも示すように、炎口4内部に長手方向全長に延びる仕切板7(内板)を複数並設して、複数列の薄膜状ガス通路8(炎孔)を炎口4内に形成し、この仕切板7による薄膜燃焼でNOX の発生を低減させるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の燃焼装置1では、火炎安定性に悪影響を与える要因のために、燃焼騒音が起こりやすいという問題を内包している。
【0007】
そのような要因の一つは、絞り部6を設けたことに起因するものである。即ち、絞り部6を通過した混合ガスの流れは剥離を起こしやすく、比較的大きな乱流が生じやすい。したがって、流れの乱れが減衰する前に混合ガスが炎口に達してしまい、先端が非常に乱れた火炎を形成して燃焼騒音が大きくなる。
【0008】
他の要因として、複数列のガス通路8を形成したことに起因するものがある。すなわち、少なくとも3列のガス通路8を炎口4内に形成した従来の燃焼装置1においては、中央側のガス通路8と両端側のガス通路との面積比率は、上流端(入口)及び下流端(出口)共に同じか、違っても20%以内が通常であるが、いずれにしても中央側及び両端側のガス通路8からの吹き出し流速がほぼ同等となるように設定されている。しかし、このような設定の場合には火炎基部に近い外側(両端側)の吹き出し流速が速めになってしまい、その結果、火炎安定性が悪くなり、振動燃焼が起こりやすいという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、仕切板の構成を改良することにより振動騒音の低減を図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、まず、絞り部を通過してきた混合ガスの流れの剥離に起因する振動騒音を低減するための手段を検討した。一般に、流れの剥離による乱流(渦)を低減するためには、流体の流れ方向に沿う案内部材を配置すればよいと考えられる。ここで、本願発明が対象とする燃焼装置には仕切板が炎口内に配設されているが、この仕切板を、絞り部の出口近傍における流れの案内部材として機能させるための条件を検討し、鋭意研究した結果、ガス通路の上流端における仕切板の間隔を絞り部におけるスリット幅以上の大きさとなし、該仕切板を、絞り部近傍にまで延設することによって、大幅に振動燃焼が低減して燃焼騒音を抑えることができることを見出した。
【0011】
かかる知見に基づいてなされた本発明は、燃料ガスを炎口へと導くガス流路が内部に形成された燃焼管本体と、炎口内部に設けられた少なくとも2つの仕切板とを備え、該仕切板により複数列のガス通路が炎口内に形成されており、仕切板の上流側でガス流路にスリット状の絞り部が設けられている燃焼装置において、中心にある2つの仕切板は上下方向中途部で内方に屈曲形成され、ガス通路の上流端における前記2つの仕切板の間隔たる中央のガス通路の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端たる吹き出し口における断面積の方が小さくなされており、該2つの仕切板が、絞り部近傍にまで延設されており、中央側のガス通路においてはガス流速が加速されることを特徴とする燃焼装置である。なお、炎口は通常細長い開口とされている。また、ガス通路は、炎口の長手方向全長にわたるものであってもよく、また、複数の仕切板を屈曲形成してハニカム状の炎孔部材を形成し、長手方向に複数の短尺状ガス通路を形成したものでもよい。
【0012】
なお、ガス通路の上流端における2つの仕切板の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、該2つの仕切板が、絞り部近傍にまで延設されているとともに、絞り部内面に沿って配置されているという本発明の特徴的構成は、炎口の長手方向全長にわたって備えていてもよく、また、炎口の長手方向一部において備えているものも本発明に包含される。
【0013】
かかる本発明の燃焼装置では、仕切板の下端が絞り部近傍にあるため、この仕切板が、混合ガスの流れに沿うように配置されることとなり、絞り部を通過してきた混合ガス(濃淡燃焼バーナーにおいては淡ガス)の流れの剥離によって生じた渦が大きくなったり、渦同士が干渉することが仕切板によって防止されると共に、仕切板が流れ方向に延設されているので粘性による減衰効果の向上が期待できる。
【0014】
なお、仕切板を絞り部近傍に延設しても、絞り部上方の2つの仕切板の間隔が狭い場合には、図5に示すように、絞り部6を通過してきた混合ガスのうち、中央のガス通路に流入されなかった混合ガスが渦Wを生み出して騒音低減効果が弱くなる。したがって、絞り部6内面に沿って仕切板7を配置して、絞り部6における空間上方には仕切板7を配置しないことが好ましい。
【0015】
上記した本発明の燃焼装置は、炎口内部に少なくとも2つの仕切板を配置することにより3列以上のガス通路(炎孔)を形成することができるものである。例えば、2つの仕切板により3列のガス通路を形成する場合には、両端側のガス通路は、炎口側壁と仕切板との隙間によって形成されるが、4つの仕切板により3列のガス通路を形成するようにして、すべてのガス通路を仕切板によって構成することができる。即ち、かかる本発明は、燃料ガスを炎口へと導くガス流路が内部に形成された燃焼管本体と、炎口内部に並設された少なくとも4つの仕切板とを備え、該仕切板により少なくとも3列のガス通路が炎口内に形成され、仕切板の上流側でガス流路にスリット状の絞り部が設けられている燃焼装置において、2つの仕切板は上下方向中途部で内方に屈曲形成され、ガス通路の上流端における前記2つの仕切板の間隔たる中央のガス通路の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端たる吹き出し口における断面積の方が小さくなされており、該2つの仕切板が、両端側の仕切板よりも上流側へ向けて延設されており、中央側のガス通路においてはガス流速が加速されることを特徴とする燃焼装置である。かかる構成においては、両端側の仕切板の上流端は、炎口側壁に接合させておくことが好ましい。
また、上記した中央の2つの仕切板は、絞り部を通過してきた混合ガスの流れにできる限り沿うような形状並びに配置とすることが好ましい。このような仕切板の形状・配置は、燃焼管本体内のガス流路の構造、炎口内部の構造や、絞り部と仕切板との配置関係等に応じて、種々設計変更することができるものである。例えば、この2つの仕切板を、絞り部の内面の延長線上に沿って配置することができ、また、絞り部の出口側におけるガス流路の側壁内面に沿う形状にすることもできる。いずれにしても、絞り部出口付近のガス流の状態に応じて、中央の2つの仕切板の形状、配置の最適化を図ることが好ましい。
【0016】
次に、本願発明者らは、複数列のガス通路の流速変化に起因する振動燃焼を抑制し、燃焼騒音を低減する手段を検討した。一般に、火炎はその周囲側が安定していれば火炎全体としても安定することが知られている。本発明が対象とする複数列のガス通路を炎口内部に形成したものにおいては、両端側におけるガスの吹き出し流速を、中央側に比して低く抑えることにより、火炎安定性が向上すると考えられる。このような速度分布を持たせるためには、両端側のガス通路の絞り率を、中央側のガス通路の絞り率よりも小さくして、中央側のガス通路では混合ガス流速を大きく加速して吹き出し流速を速くし、両端側のガス通路内では流速を小さく加速するか若しくは減速させて吹き出し流速を遅くすればよい。
【0017】
かかる知見に基づいてなされた本発明は、燃料ガスを炎口へと導くガス流路が内部に形成された燃焼管本体と、炎口内部に設けられた少なくとも2つの仕切板とを備え、該仕切板により少なくとも3列のガス通路が炎口内に形成されており、仕切板の上流側でガス流路にスリット状の絞り部が設けられている燃焼装置において、2つの仕切板は上下方向中途部で内方に屈曲形成され、ガス通路の上流端における前記2つの仕切板の間隔たる中央のガス通路の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端たる吹き出し口における断面積の方が小さくなされており、両端側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率が、中央側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率よりも大きくなされており、中央側のガス通路においてはガス流速が加速されることを特徴とする燃焼装置である。なお、ガス通路の下流端とは、即ちガス吹き出し口である。また、両端側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率が、中央側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率よりも大きくなされているという本発明の特徴的構成は、炎口の長手方向全長にわたって備えていてもよく、また、炎口の長手方向一部において備えているものも本発明に包含される。
【0018】
かかる本発明の燃焼装置では、火炎基部付近での吹き出し流速が中央側に比して遅くなるため、従来装置よりも火炎安定性が増し、振動燃焼が起こりにくいため、燃焼騒音が低減される。
【0019】
上記した本発明の燃焼装置において、上記した比率関係を満たす限り種々の態様に構成することができるが、両端側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端における断面積の方が大きく、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端における断面積の方が小さくして、中央側のガス通路においてはガス流速が加速され、両端側のガス通路においてはガス流速が減速されるようにすることができる。
【0020】
また、振動燃焼は、図6に示す振動燃焼フィードバックループが形成されることによって生ずることが知られている。このフィードバックループは、何らかの外因によって熱発生速度変動、圧力変動及び流量変動のいずれかが生じたことを起因に開始される。このような外因の主たるものは、火力調整を行う際の混合ガス流量変動である。一方、上記したように、火炎はその周囲部における安定性が火炎全体の安定性に大きな影響を及ぼすが、本発明の複数列のガス通路を炎口内に形成したものにおいては、両端側のガス通路内における流量変動量を抑えることによって、そのガス吹き出し口における燃焼振動フィードバックループが起こりにくくなり、火炎全体としても安定性が増して、振動燃焼が抑制され、これにより騒音振動も低減されると考えられる。
【0021】
したがって、上記した本発明の燃焼装置において、火力調整の際に両端側のガス通路内における流量変動比率を小さくするために、両端側のガス通路の上流端における断面積A 2 ’を、中央側のガス通路の上流端における断面積A 1 ’よりも狭く形成することが好ましい。このように構成すれば、3列のガス通路を有する本発明の燃焼装置においてΔVのガス流量変動が生じた場合、ガス通路の通路面積に比例してガスが流入すると仮定すれば、中央側のガス通路の流量変化ΔV 1 =ΔV・A 1 ’/(A 1 ’+2A 2 ’)で表され、一方、両端側のガス通路の流量変化ΔV 2 =ΔV・A 2 ’/(A 1 ’+2A 2 ’)で表される。したがって、両端側のガス通路からの吹き出し流速の変化も小さくなり、結果、図6に示す流量変動から熱発生速度変動への経路がある程度断ち切られ、火炎安定性が向上して振動燃焼が抑えられ、騒音燃焼が低減される。
【0022】
上記した2つの要因を解決するための2つの手段は、それぞれ単独で燃焼装置に適用してもよいが、好ましくは、それらを組み合わせて適用するのがよい。即ち、本発明の好ましい燃焼装置の構成は、燃料ガスを炎口へと導くガス流路が内部に形成された燃焼管本体と、炎口内部に設けられた少なくとも2つの仕切板とを備え、該仕切板により少なくとも3列のガス通路が炎口内に形成されており、仕切板の上流側でガス流路にスリット状の絞り部が設けられている燃焼装置において、中心にある2つの仕切板の下部の間隔を拡げることによりガス通路の上流端における前記2つの仕切板の間隔たる中央のガス通路の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、該2つの仕切板が、絞り部近傍にまで延設されているとともに、絞り部内面に沿って配置されており、両端側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率が、中央側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率よりも大きくなされていることを特徴とするものとすることができる。
【0023】
なお、本発明は、通常のブンゼンバーナーに適用することもできるが、濃淡燃焼式バーナーにおいて好適に適用される。濃淡燃焼バーナーに本発明を適用する場合、絞り部には淡ガスが流入されるように構成し、濃ガスは別流路を経由して淡炎口側部に開口した濃炎口から流出されるように構成することができる。また、ガス通路は、炎口の長手方向全長にわたるものであってもよく、また、複数の仕切板を屈曲形成してハニカム状の炎孔部材を形成し、長手方向に複数の短尺状ガス通路を形成したものでもよい。
【0024】
また、炎口は、燃焼管本体自体に形成されているものが一般的であるが、燃焼管本体の上部に接続したバーナーヘッドに設けたものに本発明を適用することもできる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明するが、本実施形態に係る燃焼装置であるガスバーナー1の基本構成は上記した従来の燃焼装置と同様であるので同符号を付して詳細説明を省略し、特徴的構成部分について以下詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明の第1の実施形態に係る燃焼装置1の炎口4内部の部分拡大縦断面を示している。本実施形態の燃焼装置1は、平たい形状の燃焼管本体2の上縁部に細長い炎口4が開口形成されており、この炎口4の下方にスリット状の絞り部6が形成されている。絞り部6は、炎口4の開口幅よりも狭幅に形成され、炎口4の短尺方向中央に位置されている。
【0027】
炎口4内には、絞り部6の下流側(上方)に、炎口4の長手方向全長に亘る長尺板状の仕切板7が、短尺方向に並列して4枚配設されている。これら4枚のうち両端側(外側)の仕切板7bの下部は、燃焼管本体2の炎口側壁10に接合され、該仕切板7bよりも外側に空間が形成されないようにしている。而して、これら仕切板7により、炎口4内に、短尺方向に3列の薄膜状ガス通路8(炎孔)が、長手方向全長に亘って形成され、薄膜燃焼によるNOX の低減を図っている。
【0028】
各仕切板7は上下方向中途部で内方に屈曲形成されており、中央のガス通路8aを大きく絞り込むとともに、それに追随するように両端側のガス通路8bを内方に案内するように構成している。
【0029】
中央の2つの仕切板7aは、両端側の仕切板7bよりも上流側に向けて、即ち絞り部6に向けて延長されており、その上流端が絞り部6の出口近傍に位置されている。また、この中央の2つの仕切板7aの間隔d 2 は、絞り部6のスリット幅d 1 以上とされるとともに、この2つの仕切板7aは絞り部6の内面に沿って配置されている。
【0030】
中央の2つの仕切板7aの間隔(中央のガス通路8aの幅)d 2 が、絞り部6のスリット幅d 1 と同じ場合には、この2つの仕切板7aの対向側面と、絞り部6内面とが、炎口4の短尺幅方向同位置に配置されることとなり、また、中央の2つの仕切板7aの間隔d 2 が、絞り部6のスリット幅d 1 よりも大きく設定される場合には、仕切板7aの対向側面が、絞り部6内面よりも外側に位置されるようになる。これらいずれの構成も、本発明に包含されるものである。
【0031】
また、本実施形態の燃焼装置1では、中心にある2つの仕切板7aの下部の間隔d 2 を拡げることにより、中央のガス通路8aの上流端における断面積A 1 ’を、両端側のガス通路8bの上流端における断面積A 2 ’よりも大きくしている。この面積比は、A 1 ’/A 2 ’=1/0.7 〜 1/0.5の範囲とすることが好ましい。なお、本実施形態では中央側の2つの仕切板7aの下部を外側に拡げることにより上記した面積比を得たが、両端側の仕切板7bの下部を内側に狭めて、両端側のガス通路8bの幅d 3 を小さくすることによって同様の面積比を得ることができる。
【0032】
また、ガス吹き出し口における各ガス通路8の面積比は、中央のガス通路8aの下流端における断面積をA 1 、両端のガス通路8bの下流端における断面積をA 2 とすれば、A 1 /A 2 =1/1 〜 1/0.8の範囲に設定している。
【0033】
なお、両端側のガス通路8bの下流端(吹き出し口)における断面積A 2 は、その上流端における断面積A 2 ’以上となるようにすることが好ましい。
【0034】
これらの設定によって、両端側のガス通路8bの上流端における断面積A 2 ’に対するその下流端における断面積A 2 の比率(A 2 /A 2 ’)が、中央側のガス通路8aの上流端における断面積A 1 ’に対するその下流端における断面積A 1 の比率(A 1 /A 1 ’)よりも大きくなされて、中央側のガス通路8aでは比較的大きく加速され、両端側のガス通路8bでは同速若しくは減速されるようにして、中央のガス通路8aからの吹き出し流速U 1 よりも、両端側のガス通路8bからの吹き出し流速U 2 が小さくなるように構成されている。
【0035】
この第1実施形態に係る燃焼装置1によれば、絞り部6を通過してきた混合ガス流の仕切板7aによる案内作用による流れの剥離防止と、複数列のガス通路の面積比の最適化による火炎安定性向上とを一挙に図ることができる。
【0036】
即ち、中央の仕切板7aが絞り部6近傍にまで延設されているとともにその内面に沿って配置されているので、絞り部6を通過した混合ガスは、円滑に各ガス通路8に流入し、流れの剥離が起きにくい。さらに、中央の仕切板7aを長く形成することにより、粘性による減衰効果向上が図られ、絞り部6出口で生じた若干の乱れも吹き出し口に至るまでに減衰され、火炎安定性が向上され、燃焼騒音が低減される。
【0037】
さらに、中央のガス通路8aからの吹き出し流速U 1 を速く、両端側のガス通路8bからの吹き出し流速U 2 を遅くしたので、これによる火炎安定性の向上をも図られ、これらの相乗効果によって大幅に燃焼振動を低減することができる。
【0038】
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る燃焼装置1を示しており、上記第1実施形態と同様の構成については同符号を付して詳細説明を省略し、異なる構成、作用効果について説明する。
【0039】
本実施形態の燃焼装置1が、第1実施形態の燃焼装置と異なるところは、中央の2つの仕切板7aが絞り部6の近傍にまで延設されていない点である。かかる第2実施形態に係る燃焼装置1では、主として、複数列のガス通路の面積比の最適化による火炎安定性向上を図ることができる。
【0040】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜設計変更することができる。例えば、上記実施形態では、3列のガス通路(炎孔)について示したが、4列以上のガス通路(炎孔)を有する燃焼装置においても、本発明を適用することができる。また、通常のブンゼンバーナーの実施例について示したが、図1又は図2に仮想線で示すように、淡炎口4の側部に濃ガス通路9を設けた濃淡燃焼バーナーに本発明を好適に用いることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、ガス通路の上流端における2つの仕切板の間隔を、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとし、この2つの仕切板を、絞り部近傍にまで延設したものであるから、絞り部を通過してきた混合ガスがスムーズに仕切板に導かれ、ガス流の剥離を起こりにくくすることができ、火炎の乱れを抑えて燃焼騒音を低減することができる。
【0042】
また、本発明によれば、両端側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率を、中央側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率よりも大きくしたので、外側の流速を比較的遅くすることができ、よって火炎安定性を向上して振動燃焼が起きにくくなるため、燃焼騒音を低減することができる。
【0043】
さらに、両端側のガス通路の上流端における断面積を、中央側のガス通路の上流端における断面積よりも狭くすれば、両端側ガス通路へのガス流入比率が小さいため、火力調整によって絞り部を通過する混合ガス量が変動した場合に、両端側ガス通路における流量変動量も小さく、振動燃焼フィードバックループが両端側において生じにくくなり、火炎基部の安定性が増すため火炎全体としての安定性も向上され、これにより燃焼振動の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃焼装置の要部拡大縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る燃焼装置の要部拡大縦断面図である。
【図3】燃焼装置の全体斜視図である。
【図4】従来の燃焼装置の縦断面図である。
【図5】比較例に係る燃焼装置の要部拡大縦断面図である。
【図6】振動燃焼フィードバックループの説明図である。
【符号の説明】
1 燃焼装置
2 燃焼管本体
3 ガス導入口
4 炎口
5 混合部
6 絞り部
7 仕切板
8 炎口内ガス通路(炎孔)
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼装置に関し、特に小型ボイラーや給湯装置に用いられるガスバーナーとして適用される燃焼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種従来の燃焼装置は、ボイラーや給湯装置の主要な構成部品であり、工場はもとより一般家庭にも広く普及しているものであって、例えば、図3に示す構造のものが知られている。
【0003】
この従来の燃焼装置1は、鋼板をプレスして表面に凹凸を有する表裏一対の板状部品を成形し、これらに曲げ加工等を施した後スポット溶接によって接合してなる燃焼管本体2によって主構成されている。この燃焼管本体2の一側縁下部には燃焼ガス並びに一次空気の導入口3が形成され、上部には、燃焼管本体の幅方向ほぼ全長に亘る長細い炎口4が形成されている。燃焼管本体2の内部には、ガス導入口3と炎口4とを連通するガス流路が形成されており、このガス流路形成部分以外は、ガスが漏れないように気密に閉塞されている。
【0004】
ガス流路は、導入口3から導入された燃料ガスと一次空気とを混合させる混合部5と、混合ガスを安定して炎口4へと供給するために炎口4の下方に設けられたスリット状の絞り部6とを有している。混合部5は、ミキシング時間を確保するためにUターン状に形成されており、このUターン部分の上方に、流量分布を均一にするための絞り部6が設けられている。
【0005】
また、近年、NOX (窒素酸化物)の総排出量を減少させることが急務となっており、家庭用等の小型の燃焼装置においても、NOX の発生を極力減少させる工夫が要求されている。上記した従来の燃焼装置1においても種々の工夫が施されている。その一つは、図4にも示すように、炎口4内部に長手方向全長に延びる仕切板7(内板)を複数並設して、複数列の薄膜状ガス通路8(炎孔)を炎口4内に形成し、この仕切板7による薄膜燃焼でNOX の発生を低減させるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の燃焼装置1では、火炎安定性に悪影響を与える要因のために、燃焼騒音が起こりやすいという問題を内包している。
【0007】
そのような要因の一つは、絞り部6を設けたことに起因するものである。即ち、絞り部6を通過した混合ガスの流れは剥離を起こしやすく、比較的大きな乱流が生じやすい。したがって、流れの乱れが減衰する前に混合ガスが炎口に達してしまい、先端が非常に乱れた火炎を形成して燃焼騒音が大きくなる。
【0008】
他の要因として、複数列のガス通路8を形成したことに起因するものがある。すなわち、少なくとも3列のガス通路8を炎口4内に形成した従来の燃焼装置1においては、中央側のガス通路8と両端側のガス通路との面積比率は、上流端(入口)及び下流端(出口)共に同じか、違っても20%以内が通常であるが、いずれにしても中央側及び両端側のガス通路8からの吹き出し流速がほぼ同等となるように設定されている。しかし、このような設定の場合には火炎基部に近い外側(両端側)の吹き出し流速が速めになってしまい、その結果、火炎安定性が悪くなり、振動燃焼が起こりやすいという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、仕切板の構成を改良することにより振動騒音の低減を図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、まず、絞り部を通過してきた混合ガスの流れの剥離に起因する振動騒音を低減するための手段を検討した。一般に、流れの剥離による乱流(渦)を低減するためには、流体の流れ方向に沿う案内部材を配置すればよいと考えられる。ここで、本願発明が対象とする燃焼装置には仕切板が炎口内に配設されているが、この仕切板を、絞り部の出口近傍における流れの案内部材として機能させるための条件を検討し、鋭意研究した結果、ガス通路の上流端における仕切板の間隔を絞り部におけるスリット幅以上の大きさとなし、該仕切板を、絞り部近傍にまで延設することによって、大幅に振動燃焼が低減して燃焼騒音を抑えることができることを見出した。
【0011】
かかる知見に基づいてなされた本発明は、燃料ガスを炎口へと導くガス流路が内部に形成された燃焼管本体と、炎口内部に設けられた少なくとも2つの仕切板とを備え、該仕切板により複数列のガス通路が炎口内に形成されており、仕切板の上流側でガス流路にスリット状の絞り部が設けられている燃焼装置において、中心にある2つの仕切板は上下方向中途部で内方に屈曲形成され、ガス通路の上流端における前記2つの仕切板の間隔たる中央のガス通路の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端たる吹き出し口における断面積の方が小さくなされており、該2つの仕切板が、絞り部近傍にまで延設されており、中央側のガス通路においてはガス流速が加速されることを特徴とする燃焼装置である。なお、炎口は通常細長い開口とされている。また、ガス通路は、炎口の長手方向全長にわたるものであってもよく、また、複数の仕切板を屈曲形成してハニカム状の炎孔部材を形成し、長手方向に複数の短尺状ガス通路を形成したものでもよい。
【0012】
なお、ガス通路の上流端における2つの仕切板の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、該2つの仕切板が、絞り部近傍にまで延設されているとともに、絞り部内面に沿って配置されているという本発明の特徴的構成は、炎口の長手方向全長にわたって備えていてもよく、また、炎口の長手方向一部において備えているものも本発明に包含される。
【0013】
かかる本発明の燃焼装置では、仕切板の下端が絞り部近傍にあるため、この仕切板が、混合ガスの流れに沿うように配置されることとなり、絞り部を通過してきた混合ガス(濃淡燃焼バーナーにおいては淡ガス)の流れの剥離によって生じた渦が大きくなったり、渦同士が干渉することが仕切板によって防止されると共に、仕切板が流れ方向に延設されているので粘性による減衰効果の向上が期待できる。
【0014】
なお、仕切板を絞り部近傍に延設しても、絞り部上方の2つの仕切板の間隔が狭い場合には、図5に示すように、絞り部6を通過してきた混合ガスのうち、中央のガス通路に流入されなかった混合ガスが渦Wを生み出して騒音低減効果が弱くなる。したがって、絞り部6内面に沿って仕切板7を配置して、絞り部6における空間上方には仕切板7を配置しないことが好ましい。
【0015】
上記した本発明の燃焼装置は、炎口内部に少なくとも2つの仕切板を配置することにより3列以上のガス通路(炎孔)を形成することができるものである。例えば、2つの仕切板により3列のガス通路を形成する場合には、両端側のガス通路は、炎口側壁と仕切板との隙間によって形成されるが、4つの仕切板により3列のガス通路を形成するようにして、すべてのガス通路を仕切板によって構成することができる。即ち、かかる本発明は、燃料ガスを炎口へと導くガス流路が内部に形成された燃焼管本体と、炎口内部に並設された少なくとも4つの仕切板とを備え、該仕切板により少なくとも3列のガス通路が炎口内に形成され、仕切板の上流側でガス流路にスリット状の絞り部が設けられている燃焼装置において、2つの仕切板は上下方向中途部で内方に屈曲形成され、ガス通路の上流端における前記2つの仕切板の間隔たる中央のガス通路の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端たる吹き出し口における断面積の方が小さくなされており、該2つの仕切板が、両端側の仕切板よりも上流側へ向けて延設されており、中央側のガス通路においてはガス流速が加速されることを特徴とする燃焼装置である。かかる構成においては、両端側の仕切板の上流端は、炎口側壁に接合させておくことが好ましい。
また、上記した中央の2つの仕切板は、絞り部を通過してきた混合ガスの流れにできる限り沿うような形状並びに配置とすることが好ましい。このような仕切板の形状・配置は、燃焼管本体内のガス流路の構造、炎口内部の構造や、絞り部と仕切板との配置関係等に応じて、種々設計変更することができるものである。例えば、この2つの仕切板を、絞り部の内面の延長線上に沿って配置することができ、また、絞り部の出口側におけるガス流路の側壁内面に沿う形状にすることもできる。いずれにしても、絞り部出口付近のガス流の状態に応じて、中央の2つの仕切板の形状、配置の最適化を図ることが好ましい。
【0016】
次に、本願発明者らは、複数列のガス通路の流速変化に起因する振動燃焼を抑制し、燃焼騒音を低減する手段を検討した。一般に、火炎はその周囲側が安定していれば火炎全体としても安定することが知られている。本発明が対象とする複数列のガス通路を炎口内部に形成したものにおいては、両端側におけるガスの吹き出し流速を、中央側に比して低く抑えることにより、火炎安定性が向上すると考えられる。このような速度分布を持たせるためには、両端側のガス通路の絞り率を、中央側のガス通路の絞り率よりも小さくして、中央側のガス通路では混合ガス流速を大きく加速して吹き出し流速を速くし、両端側のガス通路内では流速を小さく加速するか若しくは減速させて吹き出し流速を遅くすればよい。
【0017】
かかる知見に基づいてなされた本発明は、燃料ガスを炎口へと導くガス流路が内部に形成された燃焼管本体と、炎口内部に設けられた少なくとも2つの仕切板とを備え、該仕切板により少なくとも3列のガス通路が炎口内に形成されており、仕切板の上流側でガス流路にスリット状の絞り部が設けられている燃焼装置において、2つの仕切板は上下方向中途部で内方に屈曲形成され、ガス通路の上流端における前記2つの仕切板の間隔たる中央のガス通路の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端たる吹き出し口における断面積の方が小さくなされており、両端側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率が、中央側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率よりも大きくなされており、中央側のガス通路においてはガス流速が加速されることを特徴とする燃焼装置である。なお、ガス通路の下流端とは、即ちガス吹き出し口である。また、両端側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率が、中央側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率よりも大きくなされているという本発明の特徴的構成は、炎口の長手方向全長にわたって備えていてもよく、また、炎口の長手方向一部において備えているものも本発明に包含される。
【0018】
かかる本発明の燃焼装置では、火炎基部付近での吹き出し流速が中央側に比して遅くなるため、従来装置よりも火炎安定性が増し、振動燃焼が起こりにくいため、燃焼騒音が低減される。
【0019】
上記した本発明の燃焼装置において、上記した比率関係を満たす限り種々の態様に構成することができるが、両端側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端における断面積の方が大きく、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端における断面積の方が小さくして、中央側のガス通路においてはガス流速が加速され、両端側のガス通路においてはガス流速が減速されるようにすることができる。
【0020】
また、振動燃焼は、図6に示す振動燃焼フィードバックループが形成されることによって生ずることが知られている。このフィードバックループは、何らかの外因によって熱発生速度変動、圧力変動及び流量変動のいずれかが生じたことを起因に開始される。このような外因の主たるものは、火力調整を行う際の混合ガス流量変動である。一方、上記したように、火炎はその周囲部における安定性が火炎全体の安定性に大きな影響を及ぼすが、本発明の複数列のガス通路を炎口内に形成したものにおいては、両端側のガス通路内における流量変動量を抑えることによって、そのガス吹き出し口における燃焼振動フィードバックループが起こりにくくなり、火炎全体としても安定性が増して、振動燃焼が抑制され、これにより騒音振動も低減されると考えられる。
【0021】
したがって、上記した本発明の燃焼装置において、火力調整の際に両端側のガス通路内における流量変動比率を小さくするために、両端側のガス通路の上流端における断面積A 2 ’を、中央側のガス通路の上流端における断面積A 1 ’よりも狭く形成することが好ましい。このように構成すれば、3列のガス通路を有する本発明の燃焼装置においてΔVのガス流量変動が生じた場合、ガス通路の通路面積に比例してガスが流入すると仮定すれば、中央側のガス通路の流量変化ΔV 1 =ΔV・A 1 ’/(A 1 ’+2A 2 ’)で表され、一方、両端側のガス通路の流量変化ΔV 2 =ΔV・A 2 ’/(A 1 ’+2A 2 ’)で表される。したがって、両端側のガス通路からの吹き出し流速の変化も小さくなり、結果、図6に示す流量変動から熱発生速度変動への経路がある程度断ち切られ、火炎安定性が向上して振動燃焼が抑えられ、騒音燃焼が低減される。
【0022】
上記した2つの要因を解決するための2つの手段は、それぞれ単独で燃焼装置に適用してもよいが、好ましくは、それらを組み合わせて適用するのがよい。即ち、本発明の好ましい燃焼装置の構成は、燃料ガスを炎口へと導くガス流路が内部に形成された燃焼管本体と、炎口内部に設けられた少なくとも2つの仕切板とを備え、該仕切板により少なくとも3列のガス通路が炎口内に形成されており、仕切板の上流側でガス流路にスリット状の絞り部が設けられている燃焼装置において、中心にある2つの仕切板の下部の間隔を拡げることによりガス通路の上流端における前記2つの仕切板の間隔たる中央のガス通路の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、該2つの仕切板が、絞り部近傍にまで延設されているとともに、絞り部内面に沿って配置されており、両端側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率が、中央側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率よりも大きくなされていることを特徴とするものとすることができる。
【0023】
なお、本発明は、通常のブンゼンバーナーに適用することもできるが、濃淡燃焼式バーナーにおいて好適に適用される。濃淡燃焼バーナーに本発明を適用する場合、絞り部には淡ガスが流入されるように構成し、濃ガスは別流路を経由して淡炎口側部に開口した濃炎口から流出されるように構成することができる。また、ガス通路は、炎口の長手方向全長にわたるものであってもよく、また、複数の仕切板を屈曲形成してハニカム状の炎孔部材を形成し、長手方向に複数の短尺状ガス通路を形成したものでもよい。
【0024】
また、炎口は、燃焼管本体自体に形成されているものが一般的であるが、燃焼管本体の上部に接続したバーナーヘッドに設けたものに本発明を適用することもできる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明するが、本実施形態に係る燃焼装置であるガスバーナー1の基本構成は上記した従来の燃焼装置と同様であるので同符号を付して詳細説明を省略し、特徴的構成部分について以下詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明の第1の実施形態に係る燃焼装置1の炎口4内部の部分拡大縦断面を示している。本実施形態の燃焼装置1は、平たい形状の燃焼管本体2の上縁部に細長い炎口4が開口形成されており、この炎口4の下方にスリット状の絞り部6が形成されている。絞り部6は、炎口4の開口幅よりも狭幅に形成され、炎口4の短尺方向中央に位置されている。
【0027】
炎口4内には、絞り部6の下流側(上方)に、炎口4の長手方向全長に亘る長尺板状の仕切板7が、短尺方向に並列して4枚配設されている。これら4枚のうち両端側(外側)の仕切板7bの下部は、燃焼管本体2の炎口側壁10に接合され、該仕切板7bよりも外側に空間が形成されないようにしている。而して、これら仕切板7により、炎口4内に、短尺方向に3列の薄膜状ガス通路8(炎孔)が、長手方向全長に亘って形成され、薄膜燃焼によるNOX の低減を図っている。
【0028】
各仕切板7は上下方向中途部で内方に屈曲形成されており、中央のガス通路8aを大きく絞り込むとともに、それに追随するように両端側のガス通路8bを内方に案内するように構成している。
【0029】
中央の2つの仕切板7aは、両端側の仕切板7bよりも上流側に向けて、即ち絞り部6に向けて延長されており、その上流端が絞り部6の出口近傍に位置されている。また、この中央の2つの仕切板7aの間隔d 2 は、絞り部6のスリット幅d 1 以上とされるとともに、この2つの仕切板7aは絞り部6の内面に沿って配置されている。
【0030】
中央の2つの仕切板7aの間隔(中央のガス通路8aの幅)d 2 が、絞り部6のスリット幅d 1 と同じ場合には、この2つの仕切板7aの対向側面と、絞り部6内面とが、炎口4の短尺幅方向同位置に配置されることとなり、また、中央の2つの仕切板7aの間隔d 2 が、絞り部6のスリット幅d 1 よりも大きく設定される場合には、仕切板7aの対向側面が、絞り部6内面よりも外側に位置されるようになる。これらいずれの構成も、本発明に包含されるものである。
【0031】
また、本実施形態の燃焼装置1では、中心にある2つの仕切板7aの下部の間隔d 2 を拡げることにより、中央のガス通路8aの上流端における断面積A 1 ’を、両端側のガス通路8bの上流端における断面積A 2 ’よりも大きくしている。この面積比は、A 1 ’/A 2 ’=1/0.7 〜 1/0.5の範囲とすることが好ましい。なお、本実施形態では中央側の2つの仕切板7aの下部を外側に拡げることにより上記した面積比を得たが、両端側の仕切板7bの下部を内側に狭めて、両端側のガス通路8bの幅d 3 を小さくすることによって同様の面積比を得ることができる。
【0032】
また、ガス吹き出し口における各ガス通路8の面積比は、中央のガス通路8aの下流端における断面積をA 1 、両端のガス通路8bの下流端における断面積をA 2 とすれば、A 1 /A 2 =1/1 〜 1/0.8の範囲に設定している。
【0033】
なお、両端側のガス通路8bの下流端(吹き出し口)における断面積A 2 は、その上流端における断面積A 2 ’以上となるようにすることが好ましい。
【0034】
これらの設定によって、両端側のガス通路8bの上流端における断面積A 2 ’に対するその下流端における断面積A 2 の比率(A 2 /A 2 ’)が、中央側のガス通路8aの上流端における断面積A 1 ’に対するその下流端における断面積A 1 の比率(A 1 /A 1 ’)よりも大きくなされて、中央側のガス通路8aでは比較的大きく加速され、両端側のガス通路8bでは同速若しくは減速されるようにして、中央のガス通路8aからの吹き出し流速U 1 よりも、両端側のガス通路8bからの吹き出し流速U 2 が小さくなるように構成されている。
【0035】
この第1実施形態に係る燃焼装置1によれば、絞り部6を通過してきた混合ガス流の仕切板7aによる案内作用による流れの剥離防止と、複数列のガス通路の面積比の最適化による火炎安定性向上とを一挙に図ることができる。
【0036】
即ち、中央の仕切板7aが絞り部6近傍にまで延設されているとともにその内面に沿って配置されているので、絞り部6を通過した混合ガスは、円滑に各ガス通路8に流入し、流れの剥離が起きにくい。さらに、中央の仕切板7aを長く形成することにより、粘性による減衰効果向上が図られ、絞り部6出口で生じた若干の乱れも吹き出し口に至るまでに減衰され、火炎安定性が向上され、燃焼騒音が低減される。
【0037】
さらに、中央のガス通路8aからの吹き出し流速U 1 を速く、両端側のガス通路8bからの吹き出し流速U 2 を遅くしたので、これによる火炎安定性の向上をも図られ、これらの相乗効果によって大幅に燃焼振動を低減することができる。
【0038】
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る燃焼装置1を示しており、上記第1実施形態と同様の構成については同符号を付して詳細説明を省略し、異なる構成、作用効果について説明する。
【0039】
本実施形態の燃焼装置1が、第1実施形態の燃焼装置と異なるところは、中央の2つの仕切板7aが絞り部6の近傍にまで延設されていない点である。かかる第2実施形態に係る燃焼装置1では、主として、複数列のガス通路の面積比の最適化による火炎安定性向上を図ることができる。
【0040】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜設計変更することができる。例えば、上記実施形態では、3列のガス通路(炎孔)について示したが、4列以上のガス通路(炎孔)を有する燃焼装置においても、本発明を適用することができる。また、通常のブンゼンバーナーの実施例について示したが、図1又は図2に仮想線で示すように、淡炎口4の側部に濃ガス通路9を設けた濃淡燃焼バーナーに本発明を好適に用いることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、ガス通路の上流端における2つの仕切板の間隔を、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとし、この2つの仕切板を、絞り部近傍にまで延設したものであるから、絞り部を通過してきた混合ガスがスムーズに仕切板に導かれ、ガス流の剥離を起こりにくくすることができ、火炎の乱れを抑えて燃焼騒音を低減することができる。
【0042】
また、本発明によれば、両端側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率を、中央側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率よりも大きくしたので、外側の流速を比較的遅くすることができ、よって火炎安定性を向上して振動燃焼が起きにくくなるため、燃焼騒音を低減することができる。
【0043】
さらに、両端側のガス通路の上流端における断面積を、中央側のガス通路の上流端における断面積よりも狭くすれば、両端側ガス通路へのガス流入比率が小さいため、火力調整によって絞り部を通過する混合ガス量が変動した場合に、両端側ガス通路における流量変動量も小さく、振動燃焼フィードバックループが両端側において生じにくくなり、火炎基部の安定性が増すため火炎全体としての安定性も向上され、これにより燃焼振動の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃焼装置の要部拡大縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る燃焼装置の要部拡大縦断面図である。
【図3】燃焼装置の全体斜視図である。
【図4】従来の燃焼装置の縦断面図である。
【図5】比較例に係る燃焼装置の要部拡大縦断面図である。
【図6】振動燃焼フィードバックループの説明図である。
【符号の説明】
1 燃焼装置
2 燃焼管本体
3 ガス導入口
4 炎口
5 混合部
6 絞り部
7 仕切板
8 炎口内ガス通路(炎孔)
Claims (6)
- 燃料ガスを炎口へと導くガス流路が内部に形成された燃焼管本体と、炎口内部に設けられた少なくとも2つの仕切板とを備え、該仕切板により複数列のガス通路が炎口内に形成されており、仕切板の上流側でガス流路にスリット状の絞り部が設けられている燃焼装置において、
中心にある2つの仕切板は上下方向中途部で内方に屈曲形成され、ガス通路の上流端における前記2つの仕切板の間隔たる中央のガス通路の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端たる吹き出し口における断面積の方が小さくなされており、該2つの仕切板が、絞り部近傍にまで延設されており、中央側のガス通路においてはガス流速が加速されることを特徴とする燃焼装置。 - 燃料ガスを炎口へと導くガス流路が内部に形成された燃焼管本体と、炎口内部に並設された少なくとも4つの仕切板とを備え、該仕切板により少なくとも3列のガス通路が炎口内に形成され、仕切板の上流側でガス流路にスリット状の絞り部が設けられている燃焼装置において、
中心にある2つの仕切板は上下方向中途部で内方に屈曲形成され、ガス通路の上流端における前記2つの仕切板の間隔たる中央のガス通路の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端たる吹き出し口における断面積の方が小さくなされており、該2つの仕切板が、両端側の仕切板よりも上流側へ向けて延設されており、中央側のガス通路においてはガス流速が加速されることを特徴とする燃焼装置。 - 燃料ガスを炎口へと導くガス流路が内部に形成された燃焼管本体と、炎口内部に設けられた少なくとも2つの仕切板とを備え、該仕切板により少なくとも3列のガス通路が炎口内に形成されており、仕切板の上流側でガス流路にスリット状の絞り部が設けられている燃焼装置において、
2つの仕切板は上下方向中途部で内方に屈曲形成され、ガス通路の上流端における前記2つの仕切板の間隔たる中央のガス通路の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端たる吹き出し口における断面積の方が小さくなされており、両端側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率が、中央側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率よりも大きくなされており、中央側のガス通路においてはガス流速が加速されることを特徴とする燃焼装置。 - 両端側のガス通路の上流端における断面積が、中央側のガス通路の上流端における断面積よりも狭く形成されていることを特徴とする請求項3に記載の燃焼装置。
- 両端側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端における断面積の方が大きく、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端における断面積の方が小さくなされていることを特徴とする請求項3又は4に記載の燃焼装置。
- 燃料ガスを炎口へと導くガス流路が内部に形成された燃焼管本体と、炎口内部に設けられた少なくとも2つの仕切板とを備え、該仕切板により少なくとも3列のガス通路が炎口内に形成されており、仕切板の上流側でガス流路にスリット状の絞り部が設けられている燃焼装置において、
中心にある2つの仕切板は上下方向中途部で内方に屈曲形成され、ガス通路の上流端における前記2つの仕切板の間隔たる中央のガス通路の間隔が、絞り部におけるスリット幅以上の大きさとされ、中央側のガス通路の上流端における断面積よりもその下流端たる吹き出し口における断面積の方が小さくなされており、該2つの仕切板が、絞り部近傍にまで延設されており、
両端側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率が、中央側のガス通路の上流端における断面積に対するその下流端における断面積の比率よりも大きくなされており、中央側のガス通路においてはガス流速が加速されることを特徴とする燃焼装置。
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