JP3561662B2 - 自動販売機の商品収納装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の商品を前後方向に水平に並べて収納するための自動販売機の商品収納装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の商品収納装置は、例えば、前面の透明ドアを通して、収納された商品が見えるいわゆるシースルータイプの自動販売機などに適用され、商品を収納するための商品ラックを有している。この商品ラックは、販売機本体内に水平に支持されており、通常、複数の商品を前後方向に並べ載置した状態で収納するための複数の商品通路を有している。各商品通路に収納された複数の商品は、商品通路の前端の払出口から、1回の販売ごとに1個ずつ払い出されるようになっている。このような商品ラックには、常時、販売機本体内に固定されるものや、ローディング時などに前方に引き出し可能に構成されるとともに、常時は、販売機本体内に格納された状態で、販売機本体内の側壁などにロックされることにより、販売機本体内に固定されるものなどがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前者の商品収納装置では、自動販売機自体が地震で揺れたり、あるいはいたずらで揺らされたりした場合には、その揺れによる振動が商品ラックに直接伝わるため、商品通路に収納された商品のうち、特に商品通路の払出口付近に収納されている商品が、商品ラックから落下してしまうおそれがある。また、後者の商品収納装置は、常時は、商品ラックが販売機本体内に固定されているため、前者の商品収納装置と同様に、自動販売機の揺れに伴って、商品が商品ラックから落下してしまうおそれがある。
【0004】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、自動販売機が地震で揺れたり、いたずらで揺らされた場合であっても、商品が商品ラックから落下し難くすることのできる自動販売機の商品収納装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る自動販売機の商品収納装置は、販売機本体の内部に配置され、販売時に商品を前方へ払い出すために、複数の商品を前後方向に水平に並べて収納するための自動販売機の商品収納装置であって、いずれも前後方向に延び、互いに左右方向に対向し所定間隔を存して配置され、少なくとも一方が係合部を有する左右の側板と、これらの左右の側板のそれぞれの後端部間に、左右方向に延びるように配置された背板と、左右の側板に前後方向に移動自在に支持され、常時は販売機本体内に格納される格納位置に位置し、商品を載置した状態で収納するための商品ラックと、この商品ラックに設けられ、左右の側板の少なくとも一方の係合部に係合することにより、商品ラックを格納位置にロックするロック部材と、商品ラックの背面およびこれに対向する背板の前面のいずれか一方に取り付けられ、商品ラックが格納位置に位置するときに、商品ラックの背面と背板の前面とによって圧縮され、復元力によって商品ラックを前方に付勢することにより、ロック部材を係合部に押圧した状態でこれに係合させる弾性部材と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、商品ラックが上記格納位置に位置するときには、商品ラックの背面および背板の前面のいずれか一方に取り付けられた弾性部材が、商品ラックの背面と背板の前面とによって圧縮された状態になっている。この状態では、商品ラックが弾性部材の復元力によって前方に付勢され、これにより、商品ラックに設けられたロック部材が、左右の側板の少なくとも一方の係合部を押圧した状態でこれに係合する。つまり、左右の側板に支持され格納位置に位置する商品ラックは、左右の側板に対し前後方向には直接連結されていない。このため、販売機本体(自動販売機)が揺れる場合において、特に前後方向の揺れによる振動は、商品ラックに直接的には伝達せず、しかも弾性部材によって減衰されるため、販売機本体の揺れに比べて商品ラックの揺れを低減することができる。したがって、自動販売機が地震で揺れたり、いたずらで揺らされたりした場合であっても、商品が商品ラックから落下し難くなる。
【0007】
この場合、弾性部材は、前後方向に向かって径が次第に変化する円錐状のコイルばねからなることが好ましい。
【0008】
この構成によれば、弾性部材が、前後方向に向かって径が次第に変化する円錐状のコイルばねからなるので、商品ラックを格納位置に向かって移動させることによりコイルばねを圧縮させる際に、コイルばねがその軸線と直交する方向に撓むこと(座屈)を防止でき、コイルばねを適切に圧縮させることができる。
【0009】
これらの場合、商品ラックは、商品を載置するための水平なラック板を有しており、ラック板は、その上面の前端部に、斜め前上がりに傾斜した傾斜面を有していることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ラック板が、その上面の前端部に上記傾斜面を有しているので、自動販売機が揺れることによって、商品を前方へ移動させようとする力が作用しても、その商品の下端前部が傾斜面に当接することで、商品の前方への移動を抑制することができる。これにより、商品が商品ラックからより一層落下し難くなる。なお、傾斜面の傾斜角度を適度に設定することにより、販売時に、商品は傾斜面を滑りそれを容易に乗り越えるので、商品の販売を支障なく行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による商品収納装置を組み込んだ自動販売機を示している。同図に示すように、この自動販売機1は、大型ボックス状の販売機本体2内に、多品目の商品Sをそれぞれ前後方向に並べて収納するとともに、前面の透明なドア3、3を通して商品Sを見えるようにした、いわゆるショーケース型のものである。自動販売機1は、上記販売機本体2と、販売機本体2内に配置され、商品Sを収納するための商品収納装置4と、この商品収納装置4に収納された商品Sを、販売時に搬出する商品搬出装置5と、を備えている。なお、以下の説明においては、前後方向に並べて収納された商品Sのうち、最前に位置する最前商品、およびこの最前商品の直後に位置する次販商品に、適宜、それぞれS1およびS2の符号を付する。
【0012】
販売機本体2は、その開放した前面に左右2枚の上記ドア3、3が取り付けられており、各ドア3は、常時は閉状態でロックされており、商品Sの補充時などに開かれ、商品Sが前方から補充されるようになっている。また、販売機本体2の上部には商品Sを冷却する冷却装置6が設けられ、前面のドア3、3の右方には、商品取出口7と、商品Sの購入時にプリペイドカードなどを挿入するためのカード挿入口8および金銭を投入するための金銭投入口(図示せず)と、各商品Sごとに割り振られた商品番号を入力するための選択ボタンや、入力された商品番号、投入金額および購入者に対するメッセージを表示する表示部(いずれも図示せず)などを有するコントロールパネル9とが設けられている。また、図示しないが、コントロールパネル9の裏側には、商品搬出装置5を含め販売機本体2内の各種の制御を行う、マイクロコンピュータを有する制御回路が設けられている。
【0013】
商品収納装置4は、販売機本体2内に組み付けられ、ボックス状に構成されたラックフレーム11と、このラックフレーム11内に支持され、上下方向に並んで配置された複数の商品ラック12とを備えている。ラックフレーム11は、いずれも上下方向および前後方向に延びる縦長矩形状に形成され、互いに左右方向に対向し所定等間隔を存して配置された左パネル13(左の側板)、中央パネル14(左の側板、右の側板)および右パネル15(右の側板)と、左パネル13および右パネル15の後端部間に連結された上下左右に延びる矩形状の背面パネル16(背板)と、各パネル13、14、15の上端部間および下端部間をそれぞれ連結する図示しない上下の連結材とにより構成されている。
【0014】
左パネル13の右側面および中央パネル14の左側面は、互いに左右対称に構成される一方、右パネル15の左側面および中央パネル14の右側面も、互いに左右対称に構成されている。そして、左パネル13と中央パネル14の間、および中央パネル14と右パネル15の間には、左右2つの商品収納室17、17がそれぞれ画成されている。各商品収納室17には、複数の商品ラック12が上下方向に適宜間隔をあけて並んで配置されている。なお、左右の商品収納室17、17は、互いにほぼ同様に構成されているため、以下の説明では、右側の商品収納室17を中心に説明する。
【0015】
図2および図3に示すように、商品ラック12は、多数の商品Sを載置して収納するための水平なラック板18を有し、左右両端部および後端部がいずれも同一長で上方に直角に屈曲形成されている(左屈曲部18a、右屈曲部18a、背面屈曲部18b)。左右屈曲部18a、18aの左右方向の外面には、前後方向に水平に延びるレール19(図2では右屈曲部18aに設けられたもののみ図示)がそれぞれ左右対称に設けられており、右屈曲部18aのレール19に、右パネル15の左側面に取り付けられたローラ(図示せず)が係合する一方、左屈曲部18aの図示しないレールに、中央パネル14の右側面に取り付けられたローラ(図示せず)が係合している。また、左右屈曲部18a、18aの外面の後端部には、ローラ20(右屈曲部18aに取り付けられたもののみ図示)がそれぞれ左右対称に取り付けられており、これらのローラ20が中央パネル14の右側面および右パネル15の左側面にそれぞれ設けられた前後方向に水平に延びる図示しないレールに係合している。したがって、商品ラック12の左右屈曲部18a、18aに左右対称にそれぞれ設けられたレール19およびローラ20と、中央パネル14および右パネル15にそれぞれ設けられた図示しないローラおよびレールとにより、商品ラック12が前後方向に水平に移動できるようになっている。
【0016】
また、商品ラック12のラック板18の左右前端部には、商品ラック12を、販売機本体2(商品収納室17)内に格納する格納位置(図1〜図3に示す商品ラック12の位置)にロックするためのロック機構21が、左右対称に設けられている。各ロック機構21は、ラック板18の前端付近に、前方に若干突出するように設けられた操作レバー22と、左右方向で外側に突出するロック位置と内側に退避するロック解除位置との間で回動するロック板23(ロック部材)と、このロック板23を、常時、ロック位置に付勢する引っ張りばね24と、を有している。ロック板23の後端部には、外側に突出した楔状のロック爪23aが形成されており、操作レバー22を引っ張りばね24に抗して押し下げることにより、ロック爪23aがロック位置からロック解除位置に回動するようになっている。一方、右パネル15の左側面および中央パネル14の右側面には、商品ラック12が格納位置に位置するときのロック板23のロック爪23aに対向する位置に、前後方向に水平に若干延びるスリット状の図示しない角孔(係合部)がそれぞれ形成されている。したがって、商品ラック12を格納位置に位置させたときには、左右のロック板23のロック爪23aが、右パネル15および中央パネル14の図示しない両角孔にそれぞれ挿入した状態で係合する。これにより、商品ラック12は、前方に移動しないように、格納位置にロックされる。
【0017】
なお、左右の操作レバー22、22を押し下げることにより、左右のロック板23のロック爪23aがロック解除位置に回動し、これにより、格納位置での商品ラック12のロックが解除され、商品ラック12を所定ストローク、前方へ引き出すことができる。したがって、商品ラック12を前方へ引き出した状態で商品Sの収納(ローディング)を行うことにより、商品Sを奥側にも容易に収納することができ、ローディング作業の効率を高めることができる。
【0018】
商品ラック12のラック板18の背面屈曲部18bには、その上下に、多数の貫通孔25が互いに所定等間隔を存し左右方向に並べて形成されている(図2では上側の貫通孔のみ図示)。これらの貫通孔25には、後述する仕切壁31の後端部の上下1対の突起33a、33a(図3参照)が挿入され、これにより、その仕切壁31の後端部がラック板18の背面屈曲部18bに係止される。また、ラック板18の背面屈曲部18bの背面には、左右両端部に1対のコイルばね26が取り付けられている(図2では、右側のコイルばねのみ図示)。各コイルばね26は、図2および図3に示すように、ラック板18の背面屈曲部18bに取り付けられた前端部から後端部に向かって、径が次第に大きくなる円錐状に形成されている。そして、これらのコイルばね26は、商品ラック12が上記格納位置に位置するときに、ラック板18の背面屈曲部18bの背面と背面パネル16の前面とによって圧縮された状態となる。したがって、商品ラック12が格納位置に位置するときには、コイルばね26の復元力により、商品ラック12が前方に付勢され、これにより、左右のロック機構21のロック爪23aが、中央パネル14および右パネル15の上記図示しないそれぞれの角孔の前端面を押圧した状態でそれぞれの角孔に係合する。
【0019】
また、商品ラック12のラック板18の前端部は、斜め前上がりに所定の傾斜角度で傾斜し、断面U字状に屈曲形成された傾斜部18c(傾斜面)と、この傾斜部18cの下側の後端に連なり、適宜屈曲形成されて下方に延び、後述する仕切壁31の前端部を係止するための係止部18dとにより構成されている。上記のように形成された傾斜部18cにより、商品ラック12が揺れることによって、最前商品S1を前方に移動させようとする力が作用しても、最前商品S1の下端前部が傾斜部18cに当接することで、最前商品S1の前方への移動を抑制することができる。これにより、商品Sが商品ラック12から落下し難くすることができる。また、係止部18dに仕切壁31の前端部が係止される一方、ラック板18の背面屈曲部18bの上記貫通孔25に仕切壁31の後端部が係止されることにより、仕切壁31がラック板18上に着脱自在で取り付けられる。
【0020】
図2および図3に示すように、商品ラック12のラック板18上には、前後方向に延びる複数の仕切壁31が、互いに適宜間隔をあけて左右方向に並べて配置されている。隣り合う仕切壁31、31の間、および右端に配置された仕切壁31とラック板18の右屈曲部18aとの間には、前後方向に延びる商品通路32が画成されている。各商品通路32には、同一品目の多数の商品Sが、ラック板18上に載置した状態で前後方向に並べて収納される。
【0021】
仕切壁31は、図3に示すように、前後方向に延びる仕切壁本体33と、この仕切壁本体33に組み付けられた商品払い出し機構34とを有している。仕切壁本体33の後端には、後方に突出した上下1対の突起33a、33aが設けられており、これらの突起33a、33aを、背面屈曲部18bの上下の貫通孔25、25に挿入することにより、仕切壁本体33の後端部が背面屈曲部18bに係止される。商品払い出し機構34は、仕切壁本体33の前端部および後端部にそれぞれ回転自在に支持された前ギア35および後ギア36と、これらのギア35、36に巻き掛けられたタイミングベルト37と、このタイミングベルト37に連結され前後方向に移動自在のプッシャ38とにより構成されている。この商品払い出し機構34は、販売時に、前ギア35が後述する駆動ギア45によって所定方向に回転駆動されると、タイミングベルト37が回転し、これに伴いプッシャ38が前方に移動する。そして、プッシャ38が、商品通路32の商品S全体を後方から押圧し前方に移動させることにより、最前商品S1を商品通路32の前端の払出口から前方に払い出す。
【0022】
次に、商品搬出装置5について説明する。図1に示すように、商品搬出装置5は、商品収納装置4の前方に、左右方向に移動自在に設けられたYモジュール41と、このYモジュール41を左右方向に駆動する、図示しないX方向駆動機構などで構成されている。Yモジュール41は、上下方向に延びる縦長ボックス状に形成され、X方向駆動機構により左右方向に駆動される可動体42と、この可動体42の右側面に突出して設けられ、可動体42に対して上下方向に移動自在のバケット43と、可動体42に内蔵され、バケット43を上下方向に駆動するY方向駆動機構(図示せず)とを備えている。
【0023】
バケット43は、図4に示すように、商品通路32から払い出された商品Sを受け取って内部に収容し、商品取出口7に搬出するまで一時的に保持するバケット本体44と、このバケット本体44の後端部に前後に揺動自在に設けられ、販売時に、上記商品払い出し機構34の前ギア35にかみ合い、これを回転駆動する駆動ギア45と、この駆動ギア45を揺動駆動するとともに、後述するシュートトレイ58およびバケットドア53を回動駆動する第1駆動機構46と、バケット本体44の後端部に回転自在に設けられ、商品Sの払い出しの際に、所定方向に回転しながらその商品Sを前方に移動させる三角ドラム47と、この三角ドラム47および上記駆動ギア45を回転駆動する第2駆動機構48と、バケット本体44の後端部に設けられ、バケット本体44による商品Sの受け取りを検知するための商品センサ49とを有している。
【0024】
バケット本体44は、左右の側壁(左側壁51、右側壁52)および前面のバケットドア53などによりボックス状に形成されており、上面後半部から背面上半部に亘って開放した構造になっている。この開放した部分の商品収容開口54を介して、商品通路32から払い出された商品Sが、バケット本体44の内部に収容される。バケットドア53は、バケット本体44の前面から底部に亘り、側断面「J」字状に形成されるとともに、左右両端のほぼ下半部に、それぞれ扇形の側面プレート56、56が設けられている。これらの側面プレート56、56は、頂角部でそれぞれ上記左側壁51および右側壁52に回動自在に支持されており、また左側の側面プレート56には、回動軸と同軸で開閉用ギア57が固定されている。バケットドア53は、常時は閉状態となっており、商品取出口7で商品Sを購入者に渡す際に、開閉用ギア57が回転駆動され、これによりバケットドア53が回動してバケット本体44の前面を開放する。
【0025】
また、バケット本体44内には、バケットドア53の底面よりも上方に位置し、上記側面プレート56および開閉用ギア57と同軸で回動自在に支持された板状のシュートトレイ58が設けられている。このシュートトレイ58は、商品Sを受け取る際に、緩やかに若干前下がりに傾斜する受取位置E(図8参照)と、商品Sの受け取り後に起き上がり、受取位置Eよりも急な前下がりに傾斜する収容位置F(図9参照)との間で回動するように構成されている。このシュートトレイ58の底面には、引っ張りばね59(図7参照)が取り付けられており、これによりシュートトレイ58は、常時は、収容位置Fに位置するように付勢されている。また、シュートトレイ58の底面の左端部であって、シュートトレイ58の回動中心よりも後側には、左方に突出し、後述するトレイ駆動用リンク66に係合する係合ピン58a(図7参照)が設けられている。この係合ピン58aがトレイ駆動用リンク66により引っ張りばね59に抗して下方に押し下げられることにより、シュートトレイ58が収容位置Fから受取位置Eに回動し、押し下げが解除されることにより、シュートトレイ58が収容位置Fに自動復帰する。
【0026】
駆動ギア45は、常時は、バケット本体44に収容されており、商品Sを払い出す際に、揺動駆動されることにより後方に突出し、上記前ギア35にかみ合う。そして、この状態で駆動ギア45が回転することにより、前ギア35を回転駆動し、これにより、プッシャ38が前方に移動する。
【0027】
第1駆動機構46は、バケット本体44の左側壁51の外側に、ケース60を介して取り付けられており、図4に示すように、周面に多数の歯を有するとともに、右側面に所定形状の2つのカム溝61、61が形成されたカム円板62と、このカム円板62を回転駆動するカムモータ63とを備えている。一方のカム溝61は、これに係合する所定形状のリンク(図示せず)を介して、駆動ギア45を揺動駆動するためのものであり、他方のカム溝61は、これに係合する所定形状の歯付リンク64を介して開閉用ギア57を回転駆動し、これによりバケットドア53を開閉させるものである。また、カム円板62の右側面には、右方に突出するピン65が設けられており、カム円板62の回転により、このピン65でトレイ駆動用リンク66を斜め前下がりにスライドさせると、シュートトレイ58が収容位置Fから受取位置Eに回動する。
【0028】
三角ドラム47は、側断面が三角形状で左右方向に水平に延び、商品収容開口54に下側から臨むように、バケット本体44の後端部に配置されている。三角ドラム47の回転軸の左右両端部には、ギア47a、47aがそれぞれ固定されており、左側のギア47aが、駆動ギア45にかみ合う中間ギア67にかみ合っている。したがって、三角ドラム47の右側のギア47aが第2駆動機構48によって回転駆動されると、三角ドラム47が図4において反時計方向に回転するとともに、駆動ギア45が中間ギア67を介して回転する。なお、三角ドラム47の回転速度は、商品Sを前方に移動させる速度が商品払い出し機構34による商品Sの送り出し速度よりも速くなるように設定されている。これにより、商品Sの払い出しの際には、最前商品S1は、次販商品S2から次第に離隔するようにして、バケット本体44の内部に送り出される。
【0029】
第2駆動機構48は、バケット本体44の右側壁52に内蔵されており、三角ドラム47および駆動ギア45を回転駆動する駆動モータ68と、この駆動モータ68の回転を三角ドラム47に伝達するための減速歯車列69とを備えている。したがって、駆動モータ68が作動することにより、上述のようにして、三角ドラム47および駆動ギア45が回転する。
【0030】
商品センサ49は、発光素子71および受光素子72からなる1組の光センサと、受光素子72が光を受光したとき、および受光していた光が遮断されたときに電気信号を出力する信号出力回路(図示せず)とにより構成されている。商品センサ49の発光素子71および受光素子72は、三角ドラム47よりも若干上方で、それぞれバケット本体44の左側壁51および右側壁52の後端部に相互に水平に対向するように取り付けられている。この商品センサ49により、商品通路32から払い出された最前商品S1が、バケット本体44に収容されたか否かなどが検知される。
【0031】
次に、図5および図6のフローチャートならびに図7〜図10のバケットの動作説明図を参照して、販売時における商品搬出装置5の動作について説明する。なお、以下の説明では、上記商品センサ49の受光素子72が、発光素子71からの光を受光した状態を「受光状態」と略称し、その光が商品Sで遮断され、受光素子72が受光できない状態を「非受光状態」と略称する。
【0032】
販売待機の状態にある自動販売機1に、購入者が金銭を投入し、あるいはプリペイドカードを挿入して、所望の商品Sを選択すると(S1:Yes)、バケット43が、図7に示すように、その商品Sを収納する商品通路32の払出口の前方に移動する(S2)。そして、バケット43が払出口の前方に停止した後、第1駆動機構46が作動することによって、駆動ギア45が商品払い出し機構34の前ギア35にかみ合うとともに(S3)、シュートトレイ58が収容位置Fから受取位置Eに回動する(S4)。その直後、商品センサ49の発光素子71が発光し(S5)、その光を受光素子72が受光する。そうすると、商品センサ49の信号出力回路から上記制御回路に電気信号が出力され、商品センサ49の受光素子72が受光状態であることが判別される。
【0033】
次いで、第2駆動機構48が作動することによって、三角ドラム47および駆動ギア45が回転し、これに伴い商品払い出し機構34が駆動されて、商品Sの払い出しが開始する(S6)。そうすると、最前商品S1が商品通路32の払出口を介して前方に送り出され、商品センサ49の発光素子71と受光素子72の間を移動しているときには、発光素子71からの光が最前商品S1によって遮断され、受光素子72は非受光状態となる。
【0034】
そして、最前商品S1が更に前方に送り出され、その背面が商品センサ49を通過したとき、すなわち商品センサ49の受光素子72が非受光状態から受光状態となったとき(S7:Yes)には、第2駆動機構48の作動が停止し、これに伴い商品払い出し機構34も停止して、最前商品S1の払い出しが終了する(S8)。
【0035】
その後、第1駆動機構46が作動することにより、図9に示すように、シュートトレイ58が受取位置Eから収容位置Fに回動し(S9)、最前商品S1を、バケットドア53とによって前後から挟んだ状態で、バケット本体44内の前部に収容する(S10)。
【0036】
最前商品S1の収容完了後、商品センサ49の受光素子72が受光状態であるか否かをチェックする(S11)。その受光素子72が受光状態であるとき(S12:Yes)には、バケット43が商品取出口7に移動する(S12)。逆に、受光素子72が非受光状態であるとき(S11:No)には、販売機本体2のコントロールパネル9の表示部に、「準備中」などのメッセージを表示する(S13)。この場合、商品センサ49の受光素子72が非受光状態であることから、例えば、図10に示すように、次販商品S2が横倒しとなり、商品通路32の払出口から突出し、バケット43に引っかかった状態となっていることなどが想定される。このような状態でバケット43が商品取出口7に向かって移動しようとしても、バケット43が次販商品S2につかえて移動不能となったり、これが原因で商品搬出装置5が故障したり、さらには、次販商品S2が商品ラック12から落下してしまうため、上記のようにメッセージを表示するとともに、投入金銭を購入者に返却し(S14)、商品の販売を中止する(S15)。これにより、商品搬出装置5の故障などを確実に回避することができる。
【0037】
次販商品S2が上記のような横倒しなどになることなく、バケット43が最前商品S1を適切に収容すると、そのバケット43は、商品取出口7の後方に移動して停止する。その後、商品取出口7を閉鎖していた開閉ドア7aが開放するとともに、第1駆動機構46が作動することによって、バケット43の前面のバケットドア53が開放する(S16)。そして、バケット43に設けられた図示しない商品取り出しセンサによって、バケットドア53の開放後、60秒間内に、商品Sがバケット43から取り出されたか否かがチェックされる(S17)。商品取り出しセンサによって、商品Sが取り出されたと判別されると(S17:Yes)、バケットドア53が閉鎖し(S18)、商品の販売が完了するとともに自動販売機1が販売待機状態となる。
【0038】
逆に、バケットドア53の開放後、60秒経過しても、商品Sが取り出されていないと判別されると(S17:No)、バケットドア53が閉鎖する(S19)とともに、開閉ドア7aが閉鎖し、コントロールパネル9の表示部に「商品が残っています」などのメッセージを表示する(S20)。またこの場合、コントロールパネル9に設けられた、商品Sを取り出すための所定のボタンが押されたとき(S21:Yes)には、再度バケットドア53および開閉ドア7aを開放する(S16)。また、上記所定のボタンが押されず(S21:No)、上記メッセージが表示されてから60秒経過したとき(S22:Yes)には、コントロールパネル9の表示部に「準備中」などのメッセージを表示し(S23)、商品Sの販売を中止する(S24)。つまりこの場合には、購入者が自らの意思で商品Sをバケット43から取り出さなかったと判別し、商品Sがバケット43に残ったままであるため、商品の販売を中止する。
【0039】
以上詳述したように、本実施形態の商品収納装置4によれば、商品ラック12が格納位置に位置するときには、商品ラック12のラック板18の背面屈曲部18bに取り付けられたコイルばね26の復元力によって、商品ラック12が前方に付勢され、これにより、左右のロック板23のロック爪23aが、中央パネル14および右パネル15にそれぞれ形成された図示しない角孔の前端面を押圧した状態で、角孔にそれぞれ係合する。このため、自動販売機1が揺れる場合において、特に前後方向の揺れによる振動は、商品ラック12に直接的には伝達せず、しかもコイルばね26によって減衰されるため、自動販売機1の揺れに比べて商品ラック12の揺れを低減することができる。したがって、自動販売機1が地震で揺れたり、いたずらで揺らされた場合であっても、商品ラック12(商品通路32)から商品Sを落下し難くすることができる。加えて、ラック板18の前端部に形成された傾斜部18cによって、商品ラック12から商品Sをより一層落下し難くすることができる。
【0040】
また、本発明の弾性部材として、円錐状のコイルばね26を使用しているので、商品ラック12を格納位置に向かって移動させることによりコイルばね26を圧縮させる際に、コイルばね26がその軸線と直交する方向に撓むこと(座屈)を防止でき、コイルばね26を適切に圧縮させることができる。
【0041】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、コイルばね26を商品ラック12に取り付けたが、コイルばね26を背面パネル16に取り付けてもよい。また、販売機本体2内に組み付けたラックフレーム11によって、商品ラック12を支持するようにしたが、ラックフレーム11を省略し、販売機本体2の内面に、商品ラック12を直接支持するようにしてもよい。また、実施形態で示した商品収納装置4の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の自動販売機の商品収納装置は、自動販売機が地震で揺れたり、いたずらで揺らされた場合であっても、商品が商品ラックから落下し難くすることができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る商品収納装置を組み込んだ自動販売機を示す斜視図である。
【図2】格納位置に位置する商品ラックを示す斜視図である。
【図3】商品ラックおよびこれに取り付けられた仕切壁を示す側断面図である。
【図4】販売時に、バケットが商品通路の払出口の前方に移動し、商品を受け取る状態を示す斜視図である。
【図5】販売時の商品搬出装置の動作を説明するフローチャートであり、販売待機から商品取出口へのバケットの移動までを示す。
【図6】図5から続くフローチャートであり、バケットドアの開放から販売待機までを示す。
【図7】販売時のバケットの動作を説明する図であり、商品通路の払出口の前方に停止した直後のバケットを示す内部構造図である。
【図8】図7に続く販売時のバケットの動作を説明する図であり、商品を受け取ったバケットを示す内部構造図である。
【図9】図8に続く販売時のバケットの動作を説明する図であり、シュートトレイが回動し、バケットドアとで商品を挟んだ状態を示す内部構造図である。
【図10】販売時のバケットの動作を説明する図であり、次販商品が横倒しとなり、バケットに引っかかった状態を示す。
【符号の説明】
1 自動販売機
2 販売機本体
4 商品収納装置
11 ラックフレーム
12 商品ラック
13 左パネル(左の側板)
14 中央パネル(左の側板、右の側板)
15 右パネル(右の側板)
16 背面パネル(背板)
18 ラック板
18c 傾斜部(傾斜面)
21 ロック機構
23 ロック板(ロック部材)
23a ロック爪
26 コイルばね
S 商品
Claims (3)
- 販売機本体の内部に配置され、販売時に商品を前方へ払い出すために、複数の商品を前後方向に水平に並べて収納するための自動販売機の商品収納装置であって、
いずれも前後方向に延び、互いに左右方向に対向し所定間隔を存して配置され、少なくとも一方が係合部を有する左右の側板と、
これらの左右の側板のそれぞれの後端部間に、左右方向に延びるように配置された背板と、
前記左右の側板に前後方向に移動自在に支持され、常時は前記販売機本体内に格納される格納位置に位置し、商品を載置した状態で収納するための商品ラックと、
この商品ラックに設けられ、前記左右の側板の少なくとも一方の前記係合部に係合することにより、前記商品ラックを前記格納位置にロックするロック部材と、
前記商品ラックの背面およびこれに対向する前記背板の前面のいずれか一方に取り付けられ、前記商品ラックが前記格納位置に位置するときに、前記商品ラックの背面と前記背板の前面とによって圧縮され、復元力によって前記商品ラックを前方に付勢することにより、前記ロック部材を前記係合部に押圧した状態でこれに係合させる弾性部材と、
を備えていることを特徴とする自動販売機の商品収納装置。 - 前記弾性部材は、前後方向に向かって径が次第に変化する円錐状のコイルばねからなることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の商品収納装置。
- 前記商品ラックは、商品を載置するための水平なラック板を有しており、
当該ラック板は、その上面の前端部に、斜め前上がりに傾斜した傾斜面を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機の商品収納装置。
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