JP3560225B2 - 真空圧力蒸煮方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は蒸煮容器内を負圧にした後で蒸気の導入を行う真空圧力蒸煮方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば大豆を蒸煮する場合、蒸気導入経路とドレン排出管を持った蒸煮容器内に大豆を入れておき、蒸煮容器内に蒸気を導入することで蒸煮が行われている。従来の蒸煮工程は図3に記載の通りであり、まず最初に、蒸煮容器内へ蒸気を導入する蒸気導入経路途中に設けた蒸気制御弁と、蒸煮容器内からドレン等を排出するドレン排出管途中に設けたドレン排出弁を開放し、大豆を入れた蒸煮容器内に蒸気を導入するドレン抜き工程を行う。この場合、ドレン排出弁を開いているために蒸煮容器内へ導入された蒸気はドレン排出弁より排出されており、蒸煮容器内で発生したドレンと、蒸煮容器内の空気も排出される。蒸煮容器内にあった空気を排出するために要する時間(例えば10分間)をドレン抜き設定時間として設定しておき、ドレン抜き工程の実施時間がドレン抜き設定時間に達すると、ドレン抜き工程を終了し、蒸気制御弁は開放したままでドレン排出弁を閉鎖して温度上昇工程に移る。
【0003】
温度上昇工程は密閉した蒸煮容器内に蒸気の導入を行うものであるため、蒸煮容器内では温度および圧力が上昇する。蒸煮容器内の圧力が設定圧力まで上昇すると、蒸煮設定時間の間温度を保持する蒸煮工程に移り、蒸煮を行う。蒸煮設定時間が経過すると蒸気制御弁を閉鎖して蒸らし工程に移り、蒸らし設定時間の間蒸らしを行う。蒸らし設定時間が経過すると、ドレン排出弁を開き、蒸煮容器内にあるドレンと蒸気を排出する排気工程を行い、排気工程終了後に蒸煮した大豆を取り出す。
【0004】
蒸煮容器内の空気は、蒸煮容器内へ一方から蒸気を導入し、他方から蒸気を排出するドレン抜き工程によって排出しているが、ドレン抜き工程の時間を長くしても蒸煮容器内に空気が残っていることがある。空気だまりの部分には蒸気が流れないため、空気だまりのある状態で蒸煮を行うと、空気だまりによるムラ煮えが発生することとなった。また、蒸煮する大豆の層は蒸気の流れに沿って加熱されていくため、蒸気の入口に近い部分の大豆から加熱され、蒸気の入口から離れるほど後れて加熱されることとなる。蒸煮容器内の場所によって温度上昇時間が異なることで均一な蒸煮が行えず、さらに高温の蒸気で加熱されることにより焦げ臭が発生するという問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、蒸煮が不均一となったりムラ煮えが発生することを防止し、また焦げ臭の発生も防止することのできる蒸煮方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
蒸煮容器内へ蒸気を導入する蒸気導入経路、蒸気導入経路の途中に蒸気制御弁、蒸煮容器内から空気を吸引する真空配管、真空配管途中に真空制御弁をそれぞれ設けておき、蒸煮容器内に蒸煮する食品を入れて蒸煮を行う場合、蒸煮容器内への蒸気導入を行う前に真空配管を通して蒸煮容器内の空気を排出する真空工程を行い、蒸煮容器内を負圧とした状態で蒸煮容器内への蒸気導入を開始する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を行う真空圧力蒸煮装置のフロー図、図2は本発明の真空圧力蒸煮方法の工程図である。蒸煮する食品9を収容する蒸煮容器1は、上部に蒸気導入経路2を接続し、下部にドレン排出管6を接続する。蒸気導入経路2の他端は蒸気発生装置(図示せず)に接続しておき、途中に蒸気導入を制御する蒸気制御弁3を設け、ドレン排出管6の途中にもドレン排出弁7を設ける。また、蒸気導入経路2の蒸気制御弁3よりも蒸煮容器側に真空配管4を接続し、真空配管4の他端には真空発生装置(図示せず)を接続しておき、真空配管4の途中に真空制御弁5を設ける。なお、真空配管4は、蒸気導入経路2の途中に接続する方が構造的に簡単であるため、本実施例では真空配管4は蒸気導入経路に接続しているが、蒸煮容器に直接接続しても良い。さらに蒸煮容器1には、内部の圧力を検出するための圧力検出装置8を設けておく。
【0008】
蒸煮を行う場合、まず蒸煮容器1内に蒸煮を行う大豆などの食品9を収容し、蒸煮容器1は密閉しておく。そして蒸気制御弁3とドレン排出弁7は閉鎖した状態で真空制御弁5を開き、真空発生装置を作動させることで、真空配管4を通して蒸煮容器1内の空気を排出する真空工程を行う。真空工程は真空設定時間(例えば2分間)の間行い、真空設定時間が経過すると、真空制御弁5を閉鎖して真空工程を終了する。
【0009】
次に蒸気制御弁3の開放を行い、蒸気発生装置で発生させた蒸気を真空工程によって内部を負圧とした蒸煮容器1内へ導入し、蒸煮容器1内の温度を上昇させる温度上昇工程▲1▼を行う。温度上昇工程▲1▼の実施時間が設定時間に達すると、温度上昇工程▲1▼からドレン抜き工程に移る。ドレン抜き工程は、蒸煮容器内の圧力が正圧となった以降に開始され、ドレン排出弁7を開放することで、蒸煮容器1内に発生したドレンの排出を行う。ドレン抜き工程は、ドレン抜き設定時間(例えば3分間)の間行い、ドレン抜き設定時間が経過すると、ドレン排出弁7を閉鎖してドレン抜き工程を終了し、温度上昇工程▲2▼に移る。温度上昇工程▲2▼では、蒸煮容器1を密閉した状態で蒸煮容器内へ蒸気の導入を行うため、蒸煮容器内の温度と圧力が上昇する。
【0010】
蒸煮容器1内の圧力が設定圧力まで上昇すると蒸煮工程に移り、蒸煮工程では設定時間の間温度を保持し、食品の蒸煮を行う。蒸煮工程時間が蒸煮の設定時間に達すると、蒸気制御弁2を閉鎖して蒸らし工程に移り、蒸らし設定時間の間蒸らし工程を行う。蒸らし設定時間が経過すると、ドレン排出弁7を開放して排気工程に移り、蒸煮容器1内のドレンと蒸気の排出を行い、その後に蒸煮容器内の食品を取り出す。
【0011】
最初に真空工程を行い、蒸煮容器1内の空気を排出した後に蒸気導入を行うので、蒸煮容器内に空気が残留することが無く、空気だまりによるムラ煮えが発生することが無くなる。そして蒸気導入初期の場合、蒸煮容器内は負圧であるため、負圧の蒸煮容器内へ導入した蒸気は偏ることなく均一に拡散し、蒸煮容器内の上下・左右の温度差が少なくなり、均一な蒸煮が行われる。
【0012】
また、ドレン排出弁7を開放した状態で蒸煮容器1内へ蒸気の導入を行い、蒸煮容器1内から空気を排出する従来のドレン抜き工程の場合、蒸煮容器1内の空気を排出するには長い時間(例えば10分間)を要していた。しかし、真空発生装置によって蒸煮容器1内から空気を排出する真空工程を行っておき、ドレン抜き工程ではドレンの排出に要する時間分行うようにした本発明の場合、真空工程とドレン抜き工程に要する時間の合計時間(本実施例では5分間)は、従来の場合のドレン抜き工程よりも短い時間で行うことができることとなる。本発明での温度上昇工程▲1▼と温度上昇工程▲2▼の合計時間は、従来の温度上昇工程時間とほぼ同じとなるため、空気排出に関する時間を短くした本発明では工程全体での所要時間を短くすることができる。
【0013】
さらに、加熱していない大豆等の食品に対し、高温の蒸気を急激に噴射すると焦げ臭が発生することとなるが、蒸煮容器1内を負圧にした状態で蒸気を導入すると、蒸気は真空度に応じた温度となって噴射されることとなるため、焦げ臭の発生が少なくなる。
【0014】
【発明の効果】
本発明を実施することによって、蒸煮が不均一となったりムラ煮えが発生することを防止でき、また焦げ臭の発生の防止と一工程の時間の短縮も行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を行う真空圧力蒸煮装置のフロー図
【図2】本発明の真空圧力蒸煮方法の工程図
【図3】従来の場合の圧力蒸煮方法の工程図
【符号の説明】
1 蒸煮容器
2 蒸気導入経路
3 蒸気制御弁
4 真空配管
5 真空制御弁
6 ドレン排出管
7 ドレン排出弁
8 圧力検出装置
9 食品
Claims (1)
- 蒸煮容器内へ蒸気を導入する蒸気導入経路、蒸気導入経路の途中に蒸気制御弁、蒸煮容器内から空気を吸引する真空配管、真空配管途中に真空制御弁、蒸煮容器内からドレン等を排出するドレン排出管、ドレン排出管の途中にドレン排出弁をそれぞれ設けておき、蒸煮容器内に蒸煮する食品を入れて蒸煮を行う場合、蒸煮容器内への蒸気導入を行う前に蒸気制御弁とドレン排出弁は閉鎖した状態で真空制御弁を開放し、真空配管を通して蒸煮容器内の空気を排出する真空工程を行い、蒸煮容器内を負圧とした状態で真空制御弁の閉鎖と蒸気制御弁の開放を行って蒸煮容器内へ蒸気を導入する温度上昇工程(1)を行い、温度上昇工程(1)の実施時間が設定時間に達し、蒸煮容器内が正圧となった以降にドレン排出弁を開いてドレン抜き工程を行い、前記ドレン抜き工程を終了後に温度上昇工程 (2) と蒸煮工程を行うことを特徴とする真空圧力蒸煮方法。
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