JP4605542B2 - 蒸気調理装置 - Google Patents

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Description

この発明は、被調理物を蒸気により蒸したり、煮たりする蒸気調理装置に関する。
従来、この種調理装置は、例えば特許文献1などにて知られている。この特許文献1に記載の調理装置は、調理室内へ飽和蒸気を供給して被調理物を蒸煮するものである。
特開2005−65797号公報
特許文献1に記載のような調理装置においては、給蒸調理を効果的に行うために、給蒸調理工程の前に空気排除工程が行われる。この出願の発明者らは、蒸気調理器の研究開発の過程において、減圧排気による空気排除を給蒸調理の加熱目標温度と関係なく行うと、被調理物に対し過加熱によるダメージを与えるという課題を見出した。
また、この出願の発明者らは、過度の減圧が好ましくない被調理物の場合、給蒸しながら排蒸して給蒸調理を行う場合にも類似の過加熱の課題を見出した。すなわち、この場合の空気排除は、給蒸しながら排蒸する吹出空気排除によって行うことが考えられる。しかしながら、調理室内を大気圧未満で調理したい場合は、吹出空気排除を行うと被調理物に対し過加熱によるダメージを与えるという課題がある。
この発明は、被調理物に対し過加熱によるダメージを与えることを防止することを目的としている。
この発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被調理物を収容する調理室と、この調理室への給蒸手段と、前記調理室内の減圧手段と、前記給蒸手段および前記減圧手段を制御して前記調理室内の空気を排除する空気排除工程と、空気排除工程後に前記調理室内へ給蒸して予め設定された加熱目標圧力で給蒸調理を行う給蒸調理工程を行う制御器とを備え、前記制御器は、前記加熱目標圧力が大気圧を越える場合は、空気排除工程における給蒸目標圧力を大気圧とし、前記加熱目標圧力が大気圧未満の場合は、空気排除工程における給蒸目標圧力を前記加熱目標圧力として、前記調理室を減圧目標圧力まで減圧した後、前記給蒸目標圧力まで給蒸し、再び前記減圧目標圧力まで減圧する工程と、あるいは、さらにこの工程の後に、前記給蒸目標圧力まで給蒸し、再び前記減圧目標圧力まで減圧する工程を1〜複数回繰り返す場合を含む前記空気排除工程を行い、前記空気排除工程の後に前記調理室内へ給蒸して前記加熱目標圧力にて前記給蒸調理工程を行うことを特徴としている。
請求項に記載の発明は、被調理物を収容する調理室と、この調理室への給蒸手段と、前記調理室内の減圧手段と、前記調理室の排蒸手段と、前記給蒸手段,前記減圧手段および前記排蒸手段を制御して、前記調理室内の空気排除工程およびこの空気排除工程後に前記調理室内へ給蒸して予め設定された加熱目標圧力にて給蒸調理する給蒸調理工程を行う制御器とを備え、前記制御器は、給蒸調理工程において、前記給蒸手段および前記減圧手段を作動させて前記調理室内を大気圧未満の前記加熱目標圧力に制御する負圧蒸煮を行う場合、前記減圧手段を作動させて前記調理室内圧力を前記加熱目標圧力まで減圧する空気排除工程を行った後、前記加熱目標圧力を保持するように、前記調理室内への給蒸と前記減圧手段とを作動させる給蒸調理工程を行い、この給蒸調理工程の開始から所定時間だけ、前記減圧手段を作動させることを特徴としている。
この発明によれば、減圧排気によって被調理物に対し過加熱によるダメージを与えることが防止される。
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、蒸気により、被調理物を煮たり、蒸したりする蒸煮機,蒸し庫,蒸煮冷却機などの蒸気調理装置に適用される。
(装置の実施の形態1)
この発明の装置の実施の形態1について具体的に説明する。この実施の形態1は、被調理物を収容する調理室と、この調理室への給蒸手段と、前記調理室内の減圧手段と、前記給蒸手段および前記減圧手段を制御して前記調理室内の減圧排気を行う空気排除工程およびこの空気排除工程後に前記調理室内へ給蒸して加熱目標圧力にて給蒸調理を行う給蒸調理工程を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記空気排除工程において前記減圧手段を作動させて減圧目標圧力まで前記調理室内を減圧する減圧工程と前記給蒸手段を作動させて給蒸目標圧力まで給蒸する加圧工程と前記減圧工程とを順次行うとともに、給蒸目標圧力を加熱目標圧力に応じて調整する制御を行うことを特徴とする蒸気調理装置である。
この実施の形態1においては、被調理物の加熱調理を行う場合には、被調理物を前記調理室内へ収容し、まず空気排除工程を行う。この空気排除工程は、前記減圧手段を作動させて減圧目標圧力まで前記調理室内を減圧する減圧工程とこの減圧工程後に前記給蒸手段を作動させて給蒸目標圧力まで給蒸する加圧工程と前記減圧工程とを順次行うものである。これにより、前記調理室内の空気を前記調理室外へ排出する。この空気排除工程における給蒸目標圧力は、加熱目標圧力に応じて調整される。この調整は、前記制御手段により、給蒸目標圧力を、加熱目標圧力が大気圧を越える場合、大気圧(大気圧丁度でなく、大気圧より若干低い圧力または高い圧力でも良い。)とし、加熱目標圧力が大気圧未満の場合、加熱目標圧力(加熱目標圧力丁度でなく、加熱目標圧力より若干低い圧力または若干高い圧力でも良い。)とするように自動的に行われる。
こうした給蒸目標圧力を加熱目標圧力に応じて調整することにより、被調理物を過剰に加熱することが防止され、被調理物の過加熱によりダメージを防止することができる。
つぎに、この実施の形態の各構成要素について説明する。前記被調理物は、解凍した肉など種々の蒸気調理用の食品または食材であって、通常、調味液とともに食材容器(ホテルパンや鍋)に入れた状態で前記調理室内へ収容されて、蒸気調理が行われる。
前記調理室は、被調理物を入れて加熱調理する密閉容器であり、内部に被調理物を収容する空間と被調理物を出し入れするための扉付き開口を備えている。
前記給蒸手段は、被調理物の加熱用蒸気を前記調理室内へ加熱用の飽和蒸気を供給する手段であり、前記調理室と蒸気発生装置との間に接続される給蒸ライン(配管)とこの給蒸ライン(配管)中に設ける給蒸弁とを含んで構成される。前記蒸気発生装置(ボイラ)は、好ましくは、純水または軟水を加熱して得られる清浄蒸気を生成するリボイラとする。前記給蒸弁は、好ましくは、比例弁などの開度が調整可能な調整弁とするが、ON−O
FFのみの開閉弁としたり、開閉弁および調整弁を直列に接続したものとすることができる。
前記減圧手段は、前記調理室と接続される減圧ライン(配管)と、この減圧ライン中に設ける減圧器を含む。この減圧器は、好ましくは、蒸気エゼクタ,凝縮用の熱交換器、および真空ポンプまたは水エゼクタの組み合わせとするが、これらの要素の1つまたは複数を組み合わせて構成することができる。また、この減圧手段は、前記排蒸手段として使用することも可能である。
前記調理室には、内部の空気や蒸気を排出するための排蒸手段とドレン排出手段を備える。この排蒸手段は、前記調理室と接続される排蒸ラインとこの排蒸ライン中に設ける排蒸弁を含んで構成される。前記ドレン排出手段は、前記調理室と接続されるドレンラインとこのドレンライン中に設けられるドレン排出弁を含んで構成される。
また、前記調理室には、その内部を大気圧に復圧する復圧手段を備える。この復圧手段は、前記調理室と接続される復圧ラインと、この復圧ライン中に設ける復圧制御弁および空気清浄フィルタを含んで構成される。
また、前記調理室には、その内部の圧力を検出する圧力検出手段を備え、必要に応じて被調理物温度を検出する温度検出手段を備える。前記調理室内の飽和蒸気圧力は、飽和蒸気温度と所定の関係を有するので、前記圧力検出手段を温度検出手段(温度センサ)に代えることができる。従って、この出願の明細書において使用する圧力検出手段は温度検出センサを含む。前記温度検出手段は、好ましくは、被調理物に検出部を差し込んで直接的に被調理物の温度を検出する温度センサとするが、被調理物温度を間接的に検出するセンサを用いることができる。
前記制御手段は、前記圧力検出手段および前記温度検出手段からの信号を入力して、調理プログラムに基づき前記給蒸手段,前記排蒸手段および前記減圧手段などを制御する。前記調理プログラムは、前記調理室内の空気を排除する空気排除工程,空気排除工程後に前記調理室内へ蒸気を供給して所定の加熱目標圧力に制御しながら加熱調理する給蒸調理工程および給蒸調理工程後に前記調理室内を大気圧に復圧する復圧工程などを含む。前記加熱目標圧力は、大気圧以上とすることもできるし、大気圧以下とすることもできる。大気圧以上の加熱目標圧力による給蒸調理を正圧蒸煮と称し(正圧蒸気調理と称することもできる。)、大気圧以下の加熱目標圧力による給蒸調理を負圧蒸煮と称し(負圧蒸気調理と称することもできる。)ている。
前記空気排除工程は、前記排蒸弁および前記ドレン排出弁を閉じ、前記減圧手段を作動させ、まず前記調理室内圧力が減圧目標圧力となるまで減圧する減圧工程が行われる。この減圧工程後に、前記減圧手段を停止して前記給蒸手段を作動させて給蒸目標圧力まで加圧する加圧工程が行われ、この加圧工程後に前記減圧工程が再び行われる。さらに、この減圧工程の後に加圧工程と減圧工程とを1回〜複数回繰り返すように構成することができる。この実施の形態1の特徴とするところは、前記のように、前記給蒸目標圧力を前記加熱目標圧力に応じて調整するところにある。ここで、減圧目標圧力,給蒸目標圧力をそれぞれ減圧下限圧力,減圧上限圧力と称することができる。
また、前記正圧蒸煮における前記給蒸調理工程は、前記排蒸弁を閉じ、前記給蒸手段を作動させて、加熱目標圧力を大気圧を越える圧力(正圧)として行う。この場合において、前記ドレン排出弁を間欠的に開いて調理槽内のドレンを排出する。そして、ドレン排出弁の下流側にドレントラップを設けている場合は、前記ドレン排出弁を常時開いてドレンを排出するように構成することができる。
前記負圧蒸煮における調理工程は、前記排蒸弁および前記ドレン排出弁を閉じ、前記給蒸手段の作動と停止とを繰り返して行い、前記調理室内圧力が加熱目標圧力より所定値上昇した時のみ前記減圧手段を作動させ、前記調理室内圧力を大気圧より低い圧力(負圧)として調理する。
この実施に形態1においては、正圧蒸煮と負圧蒸煮とのいずれか一方または両方を選択的に行うように構成することができる。
この発明は、前記装置の実施の形態1に限定されるものではなく、つぎの装置の実施の形態2〜5を含む。
(装置の実施の形態2)
この装置の実施の形態2は、前記装置の実施の形態1において、前記制御手段は、空気排除工程開始時の被調理物温度に応じて空気排除工程における減圧目標圧力を調整する制御を行うことを特徴とする蒸気調理装置である。
(装置の実施の形態3)
この装置の実施の形態3は、前記装置の実施の形態1において、前記制御手段は、空気排除工程における減圧目標圧力を空気排除工程開始時の被調理物温度相当の飽和蒸気圧力以下としない制御を行うことを特徴とする蒸気調理装置である。
(装置の実施の形態4)
この装置の実施の形態4は、前記装置の実施の形態1において、前記制御手段は、前記制御器は、空気排除工程開始時の被調理物温度が給蒸調理工程の加熱目標圧力相当の温度より高い場合、空気排除工程における減圧目標圧力を前記加熱目標圧力とする制御を行うことを特徴とする蒸気調理装置である。
前記装置の実施の形態2〜4によれば、前記装置の実施の形態1による作用効果に加えて、空気排除工程による被調理物温度の下げ過ぎが防止されるとともに、減圧時間を短縮でき、調理時間を短縮することができる。
(装置の実施の形態5)
この装置の実施の形態5は、被調理物を収容する調理室と、この調理室への給蒸手段と、前記調理室内の減圧手段と、前記調理室の排蒸手段と、前記給蒸手段,前記減圧手段および前記排蒸手段を制御して、前記調理室内の空気排除工程およびこの空気排除工程後に前記調理室内へ給蒸して加熱目標圧力にて給蒸調理する給蒸調理工程を行う制御器とを備え、前記制御器は、給蒸調理工程において前記給蒸手段および前記減圧手段を作動させて前記調理室内を大気圧未満の加熱目標圧力に制御する負圧蒸煮を行う場合、前記減圧手段を作動させて前記調理室内圧力を加熱目標圧力まで減圧する空気排除工程を行った後、給蒸調理工程を行うことを特徴とするである。
この装置の実施の形態5は、被調理物を真空包装された減圧を嫌う食材に好適である。こうした食材は、前記給蒸手段および前記排蒸手段を作動させ、給蒸を行いながら排蒸を行う給蒸調理(吹き抜け給蒸調理と称する。)が行われる。そして、給蒸調理の前に行われる空気排除工程は、給蒸を行いながら排蒸を行うことにより前記調理室内の空気排除を行う空気排除(吹出空気排除と称する。)とすることが考えられるが、加熱目標圧力を大気圧未満とする負圧蒸煮を行う場合には、被調理物を過加熱するという課題がある。
この装置の実施の形態5によれば、空気排除工程を減圧排気により行うので、被調理物
の過加熱を防止できるとともに、加熱目標圧力以下に減圧しないので、減圧による被調理物へのダメージを少なく,たとえば真空包装食材の袋の破裂や変形を防ぐことができる。
この装置の実施の形態5における各構成要素は、前記装置の実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
この装置の実施の形態5において、給蒸調理工程開始時、所定時間だけ前記減圧手段を作動させることができる。こうした構成により、空気排除工程により排気しきれず残留した空気を効果的に排気することができる。
さらに、この発明は、つぎの蒸気調理方法の実施の形態1〜3を含む。
(方法の実施の形態1)
この方法の実施の形態1は、調理室内の減圧による空気排除工程とこの空気排除工程後の給蒸調理工程とを行う蒸気調理方法であって、前記空気排除工程において前記減圧手段を作動させて減圧目標圧力まで前記調理室内を減圧する減圧工程と前記給蒸手段を作動させて給蒸目標圧力まで給蒸する加圧工程と前記減圧工程とを順次行うとともに、給蒸目標圧力を加熱目標圧力に応じて調整することを特徴とする蒸気調理方法である。
(方法の実施の形態2)
この方法の実施の形態2は、前記方法の実施の形態1において、加熱目標圧力が大気圧越えの場合、給蒸目標圧力を大気圧とすることを特徴とする蒸気調理方法である。
(方法の実施の形態3)
この方法の実施の形態3は、前記方法の実施の形態1において、加熱目標圧力が大気圧未満の場合、給蒸目標圧力を加熱目標圧力とすることを特徴とする蒸気調理方法である。
以下、この発明の調理装置の具体的実施例1を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、実施例1の概略構成図であり、図2は、同実施例1の通常給蒸調理(基本的に排蒸手段を作動させないで行う給蒸調理である。)における正圧蒸煮時の動作を説明するタイミングチャート図であり、図3は、同実施例1の通常給蒸調理における負圧蒸煮時の動作を説明するタイミングチャート図である。
この実施例1の調理装置は、飽和蒸気を用いて被調理物を蒸煮により加熱調理する蒸気調理装置である。この蒸気調理装置は、通常給蒸調理と吹き抜け給蒸調理とを選択可能で、かつ各給蒸調理において、前記正圧蒸煮と前記負圧蒸煮とを選択可能に構成している。また、給蒸調理工程前の空気排除工程は、減圧排気と吹出空気排除とが選択可能,具体的には、通常給蒸調理時には減圧排気を、吹き抜け給蒸調理時には吹出空気排除を行うように構成している。
この実施例1の蒸気調理装置は、被調理物1を収容する調理室2、前記調理室2内へ蒸気を供給して被調理物1を加熱する加熱手段としての給蒸手段3、前記調理室2内の蒸気を排出する排蒸手段4、前記調理室2内を吸引排気する減圧手段5、減圧された前記調理室2へ外気を導入することにより復圧する復圧手段6を主要部として備えている。そして、前記調理室2内に溜まったドレンを排出するドレン排出手段7、前記調理室2内圧力を検出する圧力センサ8および被調理物1に検出部を差し込んで被調理物温度を検出する温度センサ9を備えている。
前記調理室2は、被調理物1の出し入れのための扉11(図1では、紙面の奥側に設け
ている)を備え、内部を大気圧以上で蒸気加熱する正圧蒸煮を行うために、耐圧性の圧力容器として形成している。
前記給蒸手段3は、一端を前記調理室2と接続し、リボイラからなる蒸気発生源(図示省略)からの蒸気を前記調理室2内へ供給するための給蒸ライン(配管)13,蒸気の供給を制御する給蒸弁14,前記給蒸ライン13に設けられ前記調理室2内へ蒸気を噴出する蒸気ノズル15を含んで構成される。
前記排蒸手段4は、大気圧を超える正圧蒸煮終了後、蒸気を前記調理室2外へ排出するために使用されるもので、一端を前記調理室2と接続し、前記調理室2内の蒸気を室外へ排出する排蒸ライン16、排蒸を制御する排蒸弁17を含んで構成されている。
前記ドレン排出手段7は、前記調理室2内に溜まったドレンを排出するためのもので、一端を前記調理室2と接続し前記調理室2内底部に溜まったドレンを室外へ排出するドレンライン18、所定温度以下を検出して開くドレントラップ19、ドレンの排出を制御するドレン排出弁21を含んで構成されている。
前記減圧手段5は、真空吸引用の減圧ライン22とこれに設けるエゼクタ,熱交換器,真空ポンプまたは水エゼクタ(いずれも図示省略)の一つまたは複数を組み合わせて構成される減圧器23および前記調理室2方向への流れを阻止する逆止弁(図示省略)を含んで構成される。前記復圧手段6は、一端を前記調理室2と接続した復圧ライン(外気導入ライン)24、このライン24中に設ける復圧弁(外気導入弁)25、空気清浄用フィルタ26および逆止弁27を含んで構成されている。
前記各弁14,17,21,25,前記減圧器23,前記圧力センサ8および温度センサ9は、制御器28と接続される。前記制御器28は、前記圧力センサ8などからの信号を入力し、所定の処理手順(調理プログラム)に従い、前記各制御弁14,17,21,25および前記減圧器23を制御するように構成されている。
前記調理プログラムは、前記処理室内の空気を排除する空気排除工程,空気排除工程後に前記調理室内へ蒸気を供給して所定の加熱目標圧力P1に制御しながら加熱調理する給蒸調理工程,給蒸調理工程後に前記調理室内を大気圧に復圧する復圧工程などを含む。
通常給蒸調理の場合の前記空気排除工程は、前記減圧器23を作動させて、前記調理室2内の圧力が減圧目標圧力P2となるまで減圧を続けて気体を排出する減圧工程と、この減圧工程後に前記減圧器23の作動を停止し前記給蒸手段3を作動させて前記調理室2内の圧力が給蒸目標圧力P3となるまで加圧する加圧工程と、前記減圧工程とを順次行うように構成されている。
そして、前記制御器28は、給蒸目標圧力P3を加熱目標圧力P1に応じてつぎのように自動的に調整し設定する。
(1)給蒸目標圧力調整1:
加熱目標圧力P1が大気圧を超える正圧蒸煮時は、給蒸目標圧力P3を大気圧に設定する。
(2)給蒸目標圧力調整2:
加熱目標圧力P1が大気圧未満の負圧蒸煮時は、給蒸目標圧力P3を加熱目標圧力P1に設定する。
また、吹き抜け給蒸調理の場合の前記空気排除工程は、正圧蒸煮の場合、前記給蒸手段3および排蒸手段4を作動させ、前記調理室2内を大気圧P0より若干高い圧力で(たと
えば、105℃程度)給蒸しながら排蒸することにより、吹出空気排除を行うように構成している。そして、負圧蒸煮の場合は、減圧目標圧力P2を加熱目標圧力P1に設定して、前記減圧手段3を作動させて前記調理室2内圧力を加熱目標圧力P1まで減圧する減圧空気排除を行い、加えて、給蒸調理工程の開始時、前記減圧手段3を所定時間作動させることにより空気排除を行うように構成している。
前記空気排除工程後に行われる給蒸調理工程は、前記減圧目標圧力P2から加熱目標圧力P1となるまで給蒸加圧する加圧工程とその後に前記給蒸弁14を開閉して前記圧力センサ8の検出圧力が加熱目標圧力P1となるように制御される調理工程とから構成される。
(通常給蒸調理の動作)
以上の構成による通常給蒸調理時の実施例1の動作を説明する。まず、前記給蒸目標圧力調整1について、正圧蒸煮の動作を示す図2に基づき説明する。この場合、制御器28は、給蒸目標圧力P3を大気圧P0とする。
被調理物1を前記調理室2内へ入れて、前記扉11を閉じ、まず空気排除工程を行う。前記制御器28は、前記蒸気弁14,排蒸弁17,ドレン排出弁21,復圧弁25を閉じ、前記減圧手段5を作動させる。そして、前記調理室2内圧力が減圧目標圧力P2となるまで減圧を続ける減圧工程と、前記減圧器23の作動を停止し前記給蒸手段3を作動させて前記調理室2内の圧力が給蒸目標圧力P3となるまで加圧する加圧工程と、前記減圧工程とを順次実行する。
このように空気排除工程において、給蒸目標圧力P3を大気圧P0に制限しているので、被調理物1を過加熱することがなく、被調理物1への熱的ダメージを少なくすることができる。
この空気排除工程後、給蒸調理工程が行われる。この給蒸調理工程においては、前記減圧器23の作動を停止し、前記給蒸手段3を作動させ、減圧目標圧力P2から前記調理室2内圧力が加熱目標圧力P1となるまで加圧を続ける加圧工程を行う。この加圧工程後、前記制御器28は、前記調理室2内圧力が大気圧より高い加熱目標圧力P1となるように前記給蒸弁14の開閉を制御して、調理工程を行う。この実施例では、調理工程を、前記ドレン排出弁21を開いたまま給蒸して調理するように構成している。
この給蒸調理工程が終了すると、前記制御器28は、前記給蒸弁14を閉じて、加熱目標圧力P1から大気圧P0までは、前記排蒸弁17および前記ドレン弁21を開いたまま排蒸して復圧工程を行う。
つぎに、前記給蒸目標圧力調整2について、負圧蒸煮を示す図3に基づき説明する。この場合、前記制御器28は、給蒸目標圧力P3を加熱目標圧力P1に設定する。
負圧蒸煮においても、図2と同様の空気排除工程が行われるが、給蒸目標圧力P3を加熱目標圧力P1に制限しているので、図2の場合と同様に被調理物1を過加熱することがなく、被調理物1への熱的ダメージを少なくすることができる。
この空気排除工程の後、前記制御器28は、前記加圧工程を行った後、調理工程を行う。この調理工程の圧力制御は、基本的に前記給蒸弁14の開閉のみで前記調理室2内の圧力が加熱目標圧力P1とする制御である。この制御だけでは圧力が上がり過ぎてしまったときのみ前記減圧器23を作動させて減圧することにより加熱目標圧力P1を保持する。
この給蒸調理工程が終了すると、前記制御器28は、前記給蒸弁14を閉じ、前記減圧器23の作動を停止し、前記復圧弁25を開いて、復圧を行う。これにより前記調理室2内の圧力は、加熱目標圧力P1から大気圧P0へと復圧する。
(吹き抜け給蒸調理の動作)
つぎに、吹き抜け給蒸調理時の実施例1の動作を説明する。まず、正圧蒸煮の動作を図4に基づき説明する。
まず吹出空気排除工程を行う。前記制御器28は、復圧弁25を閉じ、前記減圧手段5を停止して、前記給蒸弁14,排蒸弁17,ドレン排出弁21を開き、前記調理室2内へ給蒸しながら、前記排蒸ライン16から排蒸することで、前記調理室2内の空気を前記調理室2外へ排出する。このとき、前記調理室2内圧力は、若干の正圧となり、100℃より小許高い温度となるように構成されている。
この吹出空気排除工程後、給蒸調理工程が行われる。この給蒸調理工程においては、前記排蒸弁17および前記給蒸弁14を開いて前記調理室2内の圧力が大気圧より高い加熱目標圧力P1となるまで加圧する加圧工程を行う。この加圧工程後、前記制御器28は、前記調理室2内圧力が加熱目標圧力P1を保持するように前記給蒸弁14の開閉を制御して、調理工程を行う。
この給蒸調理工程が終了すると、前記制御器28は、前記給蒸弁14を閉じて、加熱目標圧力P1から大気圧P0までは、前記排蒸弁17および前記ドレン弁21を開いたまま排蒸して復圧工程を行う。
つぎに、負圧蒸煮について図5に基づき説明する。この場合、前記制御器28は、減圧目標圧力P2を加熱目標圧力P1に設定する。
この負圧蒸煮時の空気排除工程においては、前記制御器28は、前記給蒸弁14,排蒸弁17,ドレン排出弁21,復圧弁25を閉じ、前記減圧手段5を作動させる。そして、まず、前記調理室2内圧力が減圧目標圧力P2となるまで減圧を続ける減圧空気排除工程を行う。このように、減圧排気による空気排除を行うので、吹出空気排除と比較して、被調理物1を過加熱することが少なくなり、被調理物1への熱的ダメージを少なくすることができる。また、この空気排除工程では、加熱目標圧力P1以下に圧力を低下させないので、過減圧による被調理物1へのダメージを低減できる。
この空気排除工程の後、前記制御器28は、給蒸調理工程を行う。この給蒸調理工程の開始から所定時間だけ前記減圧手段3を作動させる。これにより給蒸と減圧とが同時に行われ、加熱調理を行いながら、吹出空気排除と同様な空気排除が行われる。その結果、前記調理室2内に空気が残留していたとしてもその残留空気を効果的に排出することができる。
この給蒸調理工程の圧力制御は、基本的に前記給蒸弁14の開閉のみで前記調理室2内の圧力が加熱目標圧力P1とする制御である。この制御だけでは圧力が上がり過ぎてしまったときのみ前記減圧器23を作動させて減圧することにより加熱目標圧力P1を保持する。
この給蒸調理工程が終了すると、前記制御器28は、前記給蒸弁14を閉じ、前記減圧器23の作動を停止し、前記復圧弁25を開いて、復圧を行う。これにより前記調理室2内の圧力は、加熱目標圧力P1から大気圧P0へと復圧する。
本発明の実施例1の概略構成を示す説明図である。 同実施例1の正圧蒸煮時の動作を説明するタイミングチャート図である。 同実施例1の負圧蒸煮時の動作を説明するタイミングチャート図である。 同実施例1の他の正圧蒸煮時の動作を説明するタイミングチャート図である。 同実施例1の他の負圧蒸煮時の動作を説明するタイミングチャート図である。
符号の説明
1 被調理物
2 調理室
3 給蒸手段
4 排蒸手段
5 減圧手段
6 復圧手段
28 制御器

Claims (2)

  1. 被調理物を収容する調理室と、この調理室への給蒸手段と、前記調理室内の減圧手段と、前記給蒸手段および前記減圧手段を制御して前記調理室内の空気を排除する空気排除工程と、空気排除工程後に前記調理室内へ給蒸して予め設定された加熱目標圧力で給蒸調理を行う給蒸調理工程を行う制御器とを備え、
    前記制御器は、前記加熱目標圧力が大気圧を越える場合は、空気排除工程における給蒸目標圧力を大気圧とし、前記加熱目標圧力が大気圧未満の場合は、空気排除工程における給蒸目標圧力を前記加熱目標圧力として、
    前記調理室を減圧目標圧力まで減圧した後、前記給蒸目標圧力まで給蒸し、再び前記減圧目標圧力まで減圧する工程と、あるいは、さらにこの工程の後に、前記給蒸目標圧力まで給蒸し、再び前記減圧目標圧力まで減圧する工程を1〜複数回繰り返す場合を含む前記空気排除工程を行い、
    前記空気排除工程の後に前記調理室内へ給蒸して前記加熱目標圧力にて前記給蒸調理工程を行うことを特徴とする蒸気調理装置。
  2. 被調理物を収容する調理室と、この調理室への給蒸手段と、前記調理室内の減圧手段と、前記調理室の排蒸手段と、前記給蒸手段,前記減圧手段および前記排蒸手段を制御して、前記調理室内の空気排除工程およびこの空気排除工程後に前記調理室内へ給蒸して予め設定された加熱目標圧力にて給蒸調理する給蒸調理工程を行う制御器とを備え、
    前記制御器は、給蒸調理工程において、前記給蒸手段および前記減圧手段を作動させて前記調理室内を大気圧未満の前記加熱目標圧力に制御する負圧蒸煮を行う場合、
    前記減圧手段を作動させて前記調理室内圧力を前記加熱目標圧力まで減圧する空気排除工程を行った後、前記加熱目標圧力を保持するように、前記調理室内への給蒸と前記減圧手段とを作動させる給蒸調理工程を行い、この給蒸調理工程の開始から所定時間だけ、前記減圧手段を作動させることを特徴とする蒸気調理装置。
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