JP3559626B2 - コンバインの扱深さ制御機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインにおいて、穀稈が長短稈に変化した場合に、常時扱胴に対して穂先部分が供給されるように自動調整する扱深さ制御機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術は、特公平7−22456号公報において開示されている技術の如く、扱深さ制御機構を構成していたのである。
即ち、穀稈有無センサーと穂先側センサーがONとなり、株元側センサーがOFFとなった場合には、センサーに異常が発生したとして、扱深さ制御機構を停止し、オペレータがその原因を突き止めて、浮藁や藁屑の詰まりを取り除き、穂先側センサーがOFFとなった時点で、再度扱深さ制御を開始すべく構成していたのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はコンバインの扱深さ制御機構において、縦搬送装置による搬送する穀稈の中から、縦搬送装置に挟持されない浮藁や藁屑の部分が発生し、この浮藁や藁屑の部分が、縦搬送装置に挟持された穀稈の先端部分に徐々に押されて、扱胴入口鉄板の上で、長稈側である穂先側センサーの側へ移動して徐々に集積され、この集積された浮藁や藁屑が、長稈の先端部分と同じように作用して、穂先側センサーをON側に操作させるのである。
【0004】
故に、実際には長稈の先端が該穂先側センサーを押圧してONとしているのではなくても、穂先側センサーをONとして、扱深さ制御機構としては、浅扱き側に扱深さ調節モーターNを回転させ、穂先の位置が扱胴の最適位置から外れるという不具合があったのである。
従来はこのような、穂先側センサーの誤操作の場合には、扱深さ制御機構を停止していたのであるが、本発明においては、このような状態を検出した場合には、縦搬送装置Tを深扱き側に操作して、穀稈の先端で浮藁や藁屑の部分を突き崩して、浮藁や藁屑による穂先側センサーのONという誤作動状態を解消せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
株元側センサーMと穂先側センサーHを扱室入口近傍部に、それより上流に穀稈有無センサーLを配置して、上記3個のセンサーからの信号により、扱深さ調節モーターNを正逆回転し、縦搬送装置Tを回動させて扱深さを調整する機構において、穀稈有無センサーLと穂先側センサーHが穀稈の存在を検出し、かつ株元側センサーMが穀稈の不存在を検出した場合には、縦搬送装置Tのその時点の位置を記憶した後に、縦搬送装置Tを深扱き側に操作し、一定時間α経過後に前記記憶した縦搬送装置Tの位置に復帰させるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。
図1はコンバインの扱深さ制御機構の部分を示す斜視図、
図2は穂先側センサーHの部分に浮藁や藁屑Uが堆積して穂先側センサーHをONにした状態を示す斜視図、
図3は扱深さ制御機構の各センサーの位置を示す平面図、
図4は扱深さ制御機構を示す電気回路図、
図5は本発明の扱深さ制御機構の作用状態を示す図面、
図6は本発明のコンバインの扱深さ制御機構のフローチャートを示す図面である。
【0007】
図1・図2・図3において、本発明の扱深さ制御機構の構成を説明する。
コンバインの前端に引起し装置1が配置されており、該引起し装置1の下部に刈刃と穀稈搬送装置が配置されている。該引起し装置1により穀稈上部を引起しながら、刈刃により株元部を切断し、株元搬送装置と穀稈搬送装置により、穀稈の下上位置を保持して搬送し、株元搬送装置の部分から、縦搬送装置Tに受け継がれる。
【0008】
該株元搬送装置から縦搬送装置Tへの受け継ぎ、次に縦搬送装置Tからフィードチェーン2に穀稈の株元部を受け継ぐ際において、縦搬送装置Tの終端位置を扱深さ調節モーターNにより回動して、受け継ぎ位置を変更し、扱深さ調整を行なうのである。該扱深さ制御機構は、穀稈有無センサーLと株元側センサーMと穂先側センサーHとにより、穀稈が長稈か短稈か通常の長さの稈かを検出する。
【0009】
穀稈有無センサーLは、先ず縦搬送装置Tにより搬送されてくる穀稈の存否を検出するセンサーであり、縦搬送装置Tの部分に設けられている。該穀稈有無センサーLが穀稈が搬送されて来ていることを検出して初めて扱深さ制御機構が作用を開始する。また脱穀装置Dの内部に扱胴5が配置されている。該脱穀装置Dの扱胴5への入口鉄板の上に、センサー取付杆3がゲート状に設けられている。
該センサー取付杆3にセンサーボックス4を固定し、センサーボックス4から前後に回動可能とした穂先側センサーHと株元側センサーMが下方へ突出されている。即ち、穂先側センサーHと株元センサーMは、扱室入口近傍部に配置され、それより上流に穀稈有無センサーLが配置されている。
【0010】
まず穀稈が搬送されて来ない場合には、穀稈有無センサーLがOFFであり、この場合には、穂先側センサーHの信号も、株元側センサーMの信号も処理されない。
そして正常な穂先の位置は、株元側センサーMと穂先側センサーHの間に穂先部が配置されている場合であり、図5において示す第3の状態である。即ち、穀稈有無センサーLがONであり、株元側センサーMがONであり、穂先側センサーHがOFFとなっている。
この場合は、穀稈の穂先部が株元側センサーMと穂先側センサーHの間に配置されており、扱胴5に対して最適の位置に穂先部分が配置されて脱穀作業が開始されるのである。この最適穂先位置の状態では、縦搬送装置Tを回動する必要がなく、扱深さ調節モーターNは停止している。
【0011】
そして、第2の状態の如く、穀稈有無センサーLはONであるが、株元側センサーMがOFFで、穂先側センサーHもOFFの場合には、穂先が株元側センサーMよりも穀稈有無センサーLの側に位置していることとなり、浅扱きの状態である。故に、この場合には、扱深さ調節モーターNを駆動して、縦搬送装置Tの終端部をフィードチェーン2を近づける側に回動するのである。これにより、穂先部が株元側センサーMを越える側に移動して、最適な状態となるのである。
【0012】
次に第5の状態である、穀稈有無センサーLがON、株元側センサーMがON、穂先側センサーHがONの状態では、穂先が穂先側センサーHを越えて突出している状態である。これは、穂先が扱胴5の内部に挿入され過ぎている状態である。この場合には、扱深さ調節モーターNに対して、浅扱きとなるように回転する出力信号が出され、縦搬送装置Tの終端部とフィードチェーン2との間隔が開く方向に縦搬送装置Tが回動する。
これにより、穂先側センサーHを越えて突出していた穂先部が株元側センサーMと穂先側センサーHの間の位置に来る。
【0013】
以上が、正常の扱深さ制御機構の作用状態であるが、縦搬送装置Tに挟持されない浮藁や藁屑Uが増加して、扱胴入口鉄板の深扱き側に滞留すると、第4の状態が発生するのである。
即ち、穀稈は搬送されてくるから、穀稈有無センサーLはONとなる。そして、短稈である為に株元側センサーMまで穂先部が届かないので、株元側センサーMはOFFである。この場合には、短稈であり穂先が株元側センサーMまで届かないのであるから、当然のことながら穂先側センサーHもOFFの筈であるが、浮藁や藁屑Uが穂先側センサーHを押圧する力として作用し、いったんONとなった穂先側センサーHが戻らなかったり、浮藁や藁屑Uが穂先側センサーHを押してONとするのである。
【0014】
この状態は、センサーに異常が発生したのであるから、従来は扱深さ制御機構の作用を停止し、オペレータはその原因を把握し、浮藁や藁屑Uを取り除いて、穂先側センサーがOFFとなる状態に復帰させる作業をするのである。
これに対して、本発明においては、このような原因の追求をすることなく、第4の状態が発生した場合には、自動的に、挟持した状態の穀稈の穂先部を、深扱き側に作用させて、穂先部分で浮藁や藁屑Uを突き崩し、穂先側センサーHをOFFにする、不具合の解消作用を自動的に行なわせるのである。
【0015】
そして、このような、浮藁や藁屑Uによる不具合の解消動作をさせる場合には、第4の状態となった時点の、縦搬送装置Tの位置を、第4図に示すコントローラCに縦搬送装置Tの回動位置を検出する縦搬送回動位置センサーVR1の値として記憶させ、一旦縦搬送装置Tを深扱き側に回動する、不具合回避操作をした後に、また該記憶した位置に、一定時間α後に復帰すべく構成したものである。
これにより、元に戻った扱深さ制御を、スムーズに再度開始させることが出来るのである。また、前記縦搬送装置Tの回動による不具合解消動作において扱深さ調節モーターNを制御して、その移動速度が通常の移動速度より速い速度(高速)となるように設定することも可能である。
【0016】
図6においては、本発明の扱深さ制御のフローチャートが開示されている。穀稈有無センサーLがONで株元側センサーMがOFFで穂先側センサーHがONの場合には、縦搬送装置Tの位置を記憶して、深扱きリミットスイッチがONとなる位置まで、縦搬送装置Tを回動する。
この縦搬送装置Tの深扱き側への大きな回動により、穀稈の穂先部が浮藁や藁屑Uを押圧して、穂先側センサーHと浮藁や藁屑Uとの係合状態を解除する方向に作用が働く。そして、該深扱きリミットスイッチがONとなった時点から一定時間α経過後に、記憶位置となる浅扱き位置まで扱深さ調節モーターNを駆動して縦搬送装置Tをフックさせる。そして、元の記憶した浅扱きの位置まで、縦搬送装置Tが戻った時点で制御を終了する。
【0017】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
浮藁や藁屑Uが扱胴5への入口鉄板の上に滞留して、穂先側センサーHを押圧し、穂先側センサーHの誤操作の状態を発生した時に、従来は扱深さ制御機構を停止していたので、未熟なオペレータはこの不具合の原因を究明して、浮藁や藁屑Uの排除するという操作を行なう必要があった。
本発明においては、このような不具合が状態が発生した場合には、自動的に縦搬送装置Tと搬送中の穀稈により、機械的に浮藁や藁屑Uを排除して、穂先側センサーHの正常な動作状態を復帰させるので、コンバインによる刈取作業を停止することなく、扱深さ制御機構の停止の原因を追求することなく、連続的に刈取作業を続けることが出来るのである。
また、浮藁や藁屑Uにより穂先側センサーHに誤検出の状態が発生した場合には、この発生の時点の縦搬送装置Tの位置を記憶してから、浮藁や藁屑Uの排除操作に移り、この操作が終了した時点で、記憶した縦搬送装置Tの位置に戻るので、穀稈は最初の適正な位置から、制御を再開することが出来るので、不具合の発生から通常の制御に戻るまでの時間を短くすることが可能となり、穂先部が不適当の位置で扱胴5に供給される時間を短くすることが出来たのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの扱深さ制御機構の部分を示す斜視図。
【図2】穂先側センサーHの部分に浮藁や藁屑Uが堆積して穂先側センサーHをONにした状態を示す斜視図。
【図3】扱深さ制御機構の各センサーの位置を示す平面図。
【図4】扱深さ制御機構を示す電気回路図。
【図5】本発明の扱深さ制御機構の作用状態を示す図面。
【図6】本発明のコンバインの扱深さ制御機構のフローチャートを示す図面。
【符号の説明】
C コントローラ
D 脱穀装置
H 穂先側センサー
M 株元側センサー
L 穀稈有無センサー
U 浮藁や藁屑
1 引起し装置
2 フィードチェーン
3 センサー取付杆
4 センサーボックス
5 扱胴
Claims (1)
- 株元側センサーMと穂先側センサーHを扱室入口近傍部に、それより上流に穀稈有無センサーLを配置して、上記3個のセンサーからの信号により、扱深さ調節モーターNを正逆回転し、縦搬送装置Tを回動させて扱深さを調整する機構において、穀稈有無センサーLと穂先側センサーHが穀稈の存在を検出し、かつ株元側センサーMが穀稈の不存在を検出した場合には、
縦搬送装置Tのその時点の位置を記憶した後に、縦搬送装置Tを深扱き側に操作し、一定時間α経過後に前記記憶した縦搬送装置Tの位置に復帰させることを特徴とするコンバインの扱深さ制御機構。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP21631695A JP3559626B2 (ja) | 1995-08-24 | 1995-08-24 | コンバインの扱深さ制御機構 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0956242A JPH0956242A (ja) | 1997-03-04 |
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Family
ID=16686624
Family Applications (1)
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JP7224276B2 (ja) * | 2019-11-29 | 2023-02-17 | 株式会社クボタ | コンバイン |
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1995
- 1995-08-24 JP JP21631695A patent/JP3559626B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0956242A (ja) | 1997-03-04 |
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