JP3559414B2 - 残存型枠 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコンクリ−ト製の擁壁,砂防ダム,橋脚等を施工する際に、そのものが表型枠としてコンクリ−トの打設後に、コンクリ−トの表面に壁板でそのまま残存するタイプの残存型枠に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンクリ−ト製の擁壁,砂防ダム,橋脚等の構造物を施工する際に、施工の容易さ及び表面の仕上の美しさ及び環境との調和から、構造物の表面に取付ける壁材として、残存型枠が使用される。
【0003】
この残存型枠は、その表型枠部材が通常天然石風の外観を呈するレジンコンクリ−トや特殊シリカセメント製のプレ−トであり、一定面積のプレ−トを型枠として順次並べて枠組とし、その内部にコンクリ−トを打設し、そのプレ−トが硬化したコンクリ−トの表面に残存するタイプのものである。
【0004】
又、図5に示すように、残存型枠は型枠としても使用する関係上、その型枠の段積の際に、表型枠部材(1)の裏面側と一定距離隔てて対向する対向部材(A)と間を種々の固定具(4)を用いて、表型枠部材(1)を枠組し、枠組された表型枠部材(1)と対向部材(A)間にコンクリ−トを打設し、表型枠部材(1)はそのまま壁板としてコンクリ−トに結合し残存させるものである。
【0005】
従って枠組及びコンクリ−トとの結合等の関係上、表型枠部材(1)の裏面側には、固定具(4)と接続できるよう、ジベル,金網,溝形材等が取付けられ、それらに種々の固定具(4)、例えばジョイントプレ−ト,引張支持棒等を接続するようにしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の表型枠部材(1)の裏面に取付けられたジベル,金網,溝形材において、ジベル,金網では枠組の際に表型枠部材(1)の固定が不安定であり、その固定の仕方によって表型枠部材(1)の平行がうまく出来ないこともあり、設置面が波を打ったり、あるいは打設したコンクリ−トとの結合強度も弱く、部分的に表型枠部材(1)の割れや剥がれを生じる。
【0007】
他方、図4に示すように、表型枠部材(1)の裏面に溝形材(3)を取付けたものは、表型枠部材(1)の強度が高く、更に枠組する場合に種々の固定具(4)が使用でき、強固な枠組ができると共に、枠組した表型枠部材(1)は全体が平行に施工できる利点を有する。
【0008】
しかしながら、この溝形材(3)を使用したとしても、溝形材(3)は表型枠部材(1)の裏面と面一になるまで埋設している関係上、溝形材(3)の内部は袋状であって、打設したコンクリ−トが充分に溝形材(3)の内部に流れ込みずらく、又、その溝形材(3)内に流れ込んだとしても、打設したコンクリ−ト側から見れば一部が突出した部分であり弱く、そのため剥がれ易く、必ずしも表型枠部材(1)が打設コンク−トと強固な一体性を持たせるまで至らなかった。つまり、溝形材(3)を使用する場合、特に溝形材(3)が表型枠部材(1)及び打設コンクリ−トとの強固な結合性、あるいは枠組する際の固定具(4)との容易な接続性が要求され、そのため使用する溝形材(3)の形状や方向性が問題となるのである。
【0009】
本発明は、前記の点に鑑み、網状体(2)や溝形材(3)によって表型枠部材(1)が、打設するコンクリ−トに対して強固に結合し、施工後に剥がれ落ちることがないことを目的とする。
【0010】
他の目的は、表型枠部材(1)の枠組の際に、枠組が容易で強固にできることである。
【0011】
その目的は、表型枠部材(1)の内部の金網(2)や裏面に取付けた溝形材(3)が長期間錆びずに補強材として機能することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の残存型枠は、表型枠部材(1)と、該表型枠部材(1)内に埋設する網状体(2)と、該網状体(2)に固着し、前記表型枠部材(1)の裏面に設けた溝形材(3)とから成る残存型枠において、前記溝形材(3)は断面コの字状の軽溝形鋼であり、その対称となる断面の一方を前記表型枠部材(1)内に埋設し、他方を前記表型枠部材(1)の裏面から露出させ、更に、前記溝形材(3)は、その開口面(3a)を外側に向け四角形状に枠組したものである。
【0013】
表型枠部材(1)と、該表型枠部材(1)内に埋設する網状体(2)と、該網状体(2)に固着し、前記表型枠部材(1)の裏面に設けた溝形材(3)とから成る残存型枠において、前記網状体(2)の一部は、前記表型枠部材(1)の裏面より露出させ、前記溝形材(3)は断面コの字状の軽溝形鋼であり、その対称となる断面の一方が前記表型枠部材(1)内に埋設し、他方を前記表型枠部材(1)の裏面から露出させ、更に前記溝形材(3)は、その開口面(3a)を外側に向け四角形状に枠組したものである。
【0014】
前記網状体(2)及び溝形材(3)は、表面処理を施すのが長期間錆なくて好ましい。
【0015】
前記網状体(2)は、エキスパンドメタルが特有な網目形状なため、表型枠部材(1)内の補強骨材として強く、又安価な面からして好ましい。
【0016】
前記溝形材(3)が、前記表型枠部材(1)の裏面より断面の略半分を露出させるのが、打設するコンクリ−トとの結合性の面で好ましい。
【0017】
前記網状体(2)及び溝形材(3)の表面処理が、ダブルコ−トカチオン電着塗装がより錆に対し耐久性があり好ましい。
【0018】
前記表型枠部材(1)が、表面側を化粧仕上げしたコンク−ト製である。
【0019】
前記表型枠部材(1)の側面には、枠組する際に側面にシ−ルするための溝(1a)を形成している。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態につき説明する。先ず本願第1発明(請求項1記載)の実施形態につき、図1は本願の第1発明を示す断面図である。図2は本発明の網状体と溝形材を示す斜視図である。この図1,2中において、(1)は一定の厚さと面積でコンクリ−ト硬化させたプレ−ト(板状)の表型枠部材であり、材質としてコンクリ−トが使用され、このコンクリ−トとしては、単にレジンコンクリ−トや特殊シリカセメントだけを多く使用するも、硬化したコンクリ−トに低粘度のビニル系モノマ−を含浸.重合させたり、コンクリ−トに金属短繊維を混入し硬化させ、その中に低粘度のビニル系ポリマ−を含浸.重合させたりすると、表型枠部材(1)の耐久性および機械的強度を著しく向上させることができる。
【0021】
又、表型枠部材(1)の表面は見栄えを良くするため通常化粧仕上するも、使用場所によっては化粧仕上しない場合もある。
【0022】
又、表型枠部材(1)の側面全周には、シ−ル用の溝(1a)を形成させている。この溝(1a)には、表型枠部材(1)をコンクリ−トの型枠として段積みする際に、打設するコンクリ−トが表型枠部材(1)の重ね部分からの漏れ出すのを防止するため、合わさった溝(1a)にコ−キング剤を注入してシ−ルするものである。従って、この溝(1a)を設けたことにより、コ−キング剤が確実に入り完全にシ−ルできコンクリ−トが型枠の表型枠部材(1)流れ出ることがなく、又表型枠部材(1)の表面が打設するコンクリ−トで汚れる心配もない。
【0023】
(2)は表型枠部材(1)の中に全部が埋設した網状体であり、表型枠部材(1)を補強する役目を成す。この網状体(2)は、表面処理した金網,抜穴金網板が用いられ、特にはエキスパンドメタルが、特有な網目形状からして強度的、表型枠部材(1)との結合性および安価の面で使用するのが好ましい。
【0024】
又、網状体(2)に施す表面処理は、網状体(2)が長期間錆なくするための処理であり、メッキ処理,塗装処理等があり、特にはダブルコ−トカチオン電着塗装が防錆効果の点で極めて高く好ましい。
【0025】
このダブルコ−トカチオン電着塗装とは、従来のカチオン電着塗装を2回行う塗装方法であり、これは従来1回のカチオン電着塗装では塗装される物の塗面の平滑性を求めるとエッジ部の塗装がされず、この耐エッジ部の防食性と塗面平滑性を解消するための塗装方法である。即ち、第1回の電着では耐エッジ防食性だけの機能を持たせ、それによって生じる塗面平滑性の低下は第2回の電着によってカバ−しようとするものである。
【0026】
このダブルコ−トカチオン電着塗装では、網状体(2)がエキスパンドメタルである場合に、そのエッジ部(角部)が特に多いため、そのエッジ部の塗装を良く行える極めて有効な防錆処理であり、耐久性を高める。
【0027】
(3)は断面コの字状の軽溝形鋼を用い、4本を四角状に配列し溶接で枠組した溝形材であり、この溝形材(3)は断面の対称線が網状体(2)の面と平行で、且つ溝形材(3)の開口面(3a)を外側に向け枠組したものである。そしてその対称となる断面下端の一方が網状体(2)と溶接にて固着させ、この網状体(2)全体と溝形鋼の下部が表型枠部材(1)内に埋設され、対称となる断面の上部に当る他方が表型枠部材(1)の裏面より露出させたものである。この露出の程度としては断面の略半分程度が打設するコンクリ−トとの結合性も良く、あまり少ないと結合性が悪く、又、型枠として枠組する際に固定具(4)との接続もやりにくくなり、反対に多くても表型枠部材(1)との関係で結合性を悪くする。
【0028】
又、溝形材(3)には網状体(2)と同様な表面処理を施すが、この場合もダブルコ−トカチオン電着塗装が防錆効果が高く好ましい。
【0029】
次に本発明の第2発明(請求項2記載)について説明する。第2発明は第1発明に比べ網状体(2)の一部が表型枠部材(1)の裏面から露出させた点である。よって、この網状体(2)について説明し、他は第1発明で説明したので省略する。
【0030】
そこで第2発明の網状体(2)では、好ましいエキスパンドメタルを使用した場合について説明すると、表型枠部材(1)内に埋設する一枚のエキスパンドメタルと、それに溶接で固定させた他のエキスパンドメタルを適宜な大きさで逆V状に曲げた露出部(2a)とから成るものである。
【0031】
第2発明はこの露出部(2a)により、第1発明に比べ、施工した際に露出部(2a)が打設コンクリ−ト内に入り表型枠部材(1)と打設するコンクリ−トとの結合がより強化され一体性を高めるのである。
【0032】
尚、第2発明の網状体(2)においては、網状体(2)が上記の構成に限定されず、例えば露出部(2a)は別のものでなく、一枚の網状体(2)から一体的に折曲させて形成してもよく、又露出部(2a)の形状においても、逆V以外に逆U,波状等でもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明は以上説明した構成により次の効果を有する。
【0034】
▲1▼溝形材(3)が断面コの字状の軽溝形鋼で、表型枠部材(1)の裏面から直角に曲がった一部が露出させているため、コンクリ−トを打設する際に表型枠部材(1)を型枠として段積に枠組するにしても、その露出した溝形材(3)に種々の固定具が容易に掛着又は固着でき、強固に段積みできる。
【0035】
▲2▼又、溝形材(3)の直角に曲がって露出する部分は、打設した塊のコンクリ−トの内に入り込み、コンクリ−トが硬化するとその露出した溝形材(3)の曲がりによって抜けることがないため、打設したコンクリ−トと表型枠部材(1)とを強固に結合させる。
【0036】
▲3▼溝形材(3)は、コの字状の溝形鋼で、その開口面(3a)を外側に向けて四角形状に枠組したため、その枠組した内側が袋状とならず、又外側も開口面(3a)で開放され、露出した部分の溝形材(3)全域に、打設したコンクリ−トが充分に行きわたり、空気等の残留もない。
【0037】
▲4▼第2発明の網状体(2)では、溝形材(3)と相まって、打設コンクリ−トとの結合がより強固となり、表型枠部材(1)と打設したコンクリ−トとの一体性が確保され、特に表型枠部材(1)が大きい場合には、溝形材(3)だけが露出したものと比べ、よりコンクリ−トとの一体性が増す。
【0038】
▲5▼網状体(2)及び溝形材(3)には表面処理、特にダブルコ−トカチオン電着塗装を施しているため、長期間にわたり錆びずに強度を確保する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の第1発明の基本的構成を示す断面図である。
【図2】本願の第1発明の網状体と溝形材を示す斜視図である。
【図3】本願の第2発明を示す断面図である。
【図4】従来の残存型枠の断面図である。
【図5】残存型枠を使用した施工方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 表型枠部材
1a 溝
2 網状体
3 溝形材
3a 開口面
Claims (8)
- 表型枠部材(1)と、該表型枠部材(1)内に埋設する網状体(2)と、該網状体(2)に固着し、前記表型枠部材(1)の裏面に設けた溝形材(3)とから成る残存型枠において、前記溝形材(3)は断面コの字状の軽溝形鋼であり、その対称となる断面の一方を前記表型枠部材(1)内に埋設し、他方を前記表型枠部材(1)の裏面から露出させ、更に、前記溝形材(3)は、その開口面(3a)を外側に向け四角形状に枠組したことを特徴とする残存型枠。
- 表型枠部材(1)と、該表型枠部材(1)内に埋設する網状体(2)と、該網状体(2)に固着し、前記表型枠部材(1)の裏面に設けた溝形材(3)とから成る残存型枠において、前記網状体(2)の一部は、前記表型枠部材(1)の裏面から露出させ、前記溝形材(3)は断面コの字状の軽溝形鋼であり、その対称となる断面の一方が前記表型枠部材(1)内に埋設し、他方を前記表型枠部材(1)の裏面から露出させ、更に前記溝形材(3)は、その開口面(3a)を外側に向け四角形状に枠組したことを特徴とする残存型枠。
- 前記網状体(2)及び溝形材(3)が表面処理を施してある請求項1乃至2記載の残存型枠。
- 前記網状体(2)が、エキスパンドメタルである請求項1乃至3記載の残存型枠。
- 前記溝形材(3)が、前記表型枠部材(1)の裏面より断面の略半分を露出させた請求項1乃至4記載の残存型枠。
- 前記網状体(2)及び溝形材(3)の前記表面処理が、ダブルコ−トカチオン電着塗装である請求項1乃至5記載の残存型枠。
- 前記表型枠部材(1)が、表面側を化粧仕上げしたコンク−ト製である請求項1乃至6記載の残存型枠。
- 前記表型枠部材(1)の側面が、溝(1a)を形成して成る請求項1乃至7記載の残存型枠。
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