JP3558690B2 - 水平出力回路 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、左右糸巻歪補正機能を有するテレビジョン受像機の水平出力回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
パルス幅変調の左右糸巻き歪補正回路を有する従来の水平出力回路を図5に示す。偏向ヨークDyとS字補正コンデンサCsの直列回路に並列に水平出力トランジスタQ3とダンパーダイオードDdと共振コンデンサC01が接続されている。また、水平出力トランジスタQ3のエミッタと基準電位間には、コンデンサC1と、そのカソードが基準電位側へなるようにダイオードD3が設けられ、さらに、水平出力トランジスタQ3のコレクタと基準電位間には、ダイオードD4と第2の共振コンデンサC02が並列に接続されている。また、水平出力トランジスタQ3のコレクタは、フライバックトランスFBTの一次巻線を介して直流電源EB へ接続される。直流電源E B には並列にデカップリングコンデンサC3が接続されている。
【0003】
コンデンサC1の一端には、パルス幅変調用の集積回路(以下、パルス幅変調用ICという)10がコイルL1を介して接続される。このパルス幅変調用IC10には、電源端子12、13および出力端子14が設けられており、このIC10の出力端子14と前記コンデンサC1の一端が、コイルL1を介して接続される。
【0004】
パルス幅変調用IC10の最終段は、PNPトランジスタQ1とNPNトランジスタQ2とのシングルエンド型で構成されており、PNPトランジスタQ1のエミッタは、正の電源端子12へ、NPNトランジスタQ2のエミッタは負の電源端子13へそれぞれ接続される。PNPトランジスタQ1とNPNトランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間には、それぞれダイオードD1,D2が設けられる。ダイオードD1は、カソードがPNPトランジスタQ1のエミッタ側になるように、またダイオードD2は、NPNトランジスタQ2のコレクタ側になるようにそれぞれ設けられている。
【0005】
また、それぞれのベースには、パルス幅変調・駆動回路11が接続され、NPNおよびPNPトランジスタQ1,Q2のオン・オフが、このパルス幅変調・駆動回路11により、制御される。正の電源端子12は、基準電位点へ接続され、負の電源端子13は、フライバックトランスFBTの3次巻線側に設けられた整流回路20のコンデンサC4とダイオードD5の接続点へ接続されている。なお、この整流回路20は、ダイオードD5とコンデンサC4とから成る。負の電源端子13には、3次巻線電圧を整流して得られる一定の負電圧−V cc が供給されている。
【0006】
水平出力回路は、以上のような構成になっており、帰線期間中にコンデンサ C1に生じる電圧を、変調用信号源10から繰り返して供給されるパルス状の電圧により、パラボラ状に変化させている。この変調により、左右糸巻き歪補正を行っている。
【0007】
ここで、コンデンサC1に生じる負の共振電圧の平均値を−V1 ave 、直流電源E B の電圧をE B 、偏向ヨークDyのインダクタンスをLy、走査期間をTsとすると、偏向電流Iy(P−P値)は、図5のような回路では、下式で与えられる。
【0008】
【式1】
なお、P−Pは、PEAK TO PEAKの略であり、偏向電流の振幅の最小値から最大値までの幅を表している。図5の回路では、コイルL1に接続されたパルス幅変調用のIC10によりコンデンサC1に生じる負の共振電圧を垂直周期(1V)でパラボラ状に変化させ、左右糸巻き歪補正を行っている。以下、この動作を説明する。
【0009】
図6は、図5の動作を説明する図である。なお、図6は水平周期で見た時の動作である。図の横軸に時間を示してある。
図6のt0〜t2までの期間に、トランジスタQ1のベースへドライブ電圧が前段のパルス幅変調・駆動回路11から供給される。PNPトランジスタQ1は、導通状態となり、基準電位点からエミッタ・コレクタ路を介して出力端子14からコイルL1へ出力電流が流れる(図6(ウ))。この期間内のコンデンサC1に生じる負の共振電圧(図6(ア))により、電流I1は直線に増加する。t1を過ぎ、t2まではコンデンサC1の両端は、ダイオードD3により短絡されているため、基準電位となっており、基準電位点の正の電源端子12と出力端子14のループ内には電圧はなく、電流I1はt1時刻の電流がそのまま持続される。t2になるとQ1はオフし(このときQ2のベースにはドライブ電圧が前段の駆動回路11から加えられ、Q2はオンとなる。)、コイルL1に発生する逆起電力により先の電流を持続する方向に負の電源端子13からダイオードD2を通ってコイルL1へ電流I2が流れる。このとき電流は負電源(−Vcc)により、直線的な電流が逆方向に流れ込むため時間とともに、減少する電流となる。再び、t0に達するとPNPトランジスタQ1のベースにドライブ電圧が加えられ上記の動作を繰り返す。t0からt1、さらにt2に至るまでの期間をT1、t2から次のt0までの期間をT2とすると、コンデンサC1に生じる共振電圧(負の値−V1)の大きさはこの時間の比を変化させることで変調することができる。
【0010】
図6の点線の波形はこれを示したもので、実線の波形に対して時間の比を変え、T1を長くし、T2を短くしたときの動作を表したものである。T1を長くするとコイルL1を通って流れるコンデンサC1の放電電流が増加するため、コンデンサC1に生じる共振電圧が小さくなる。
【0011】
この原理を利用し垂直周期でT1とT2の比を変化させれば、左右糸巻き歪が補正できる。つまり、垂直周期の初めと終わりでは(T1/T2)を大きくし画面の中央に相当するところでは(T1/T2)を小さくすれば、共振電圧は、垂直周期の初めと終わりでは小さくなり、画面の中央に相当するところでは大きくなるため、左右糸巻き歪を補正することができる。なお、ダイオードD4は、図中のダイオードD3に流れる一次巻線電流ILPと直流電源E B から流れ込む直流電流I DC の和(IDC+ILP)が走査期間の初めにおいて負になり、ダイオードD3がオフし電流が不連続になるのを防ぐためのものである。
【0012】
しかしながら、上記回路においては、以下のような欠点がある。
図5において、T2期間の出力電流は、パルス幅変調用IC10の電源端子13からダイオードD2の順方向に流れる。この時の出力電流は、図中のシャントレギュレータがない場合、基準電位点から負電源(−Vcc)の整流回路20中の平滑コンデンサC4を通り、変調用IC10の電源端子13に流れ込み、平滑コンデンサC4を負に充電する。このため、ダイオードD5はオフし、動作回数を重ねるごとに平滑コンデンサC4の両端電圧はどんどん下がっていき、しまいには回路が本来の動作をしなくなってしまう。
【0013】
これを防ぐためには図5に示すようにシャントレギュレータ40を電源端子 13と整流回路20の間に設ける必要がある。電源電圧を一定になるようにするために出力電流I2に相当する電流を常時、流さなくてはならなく、この場合、シャントレギュレータ30のコストアップと余分な電力損失を招くという問題があった。たとえば、出力電流の平均値を250mA、−Vccを−27Vとすると6.8Wの電力を損失することになる。また、必要とされる補正量が大きくなると、補正範囲が最大、基準電位から負電源−Vccまであるため、共振電圧の平均値−V1ave の変化幅を大きくし、補正量をあげようとすると、フライバックトランスFBTの3次巻線数を上げ、負電源−Vccも大きくしなければならないという問題があった。
【0014】
図7は、糸巻き歪補正回路を有する水平出力回路の別の従来例である。
偏向ヨークDyとS字補正コンデンサCsの直列回路と並列に第1の共振コンデンサC01とダンパダイオードDdとが接続される。また、偏向ヨークDyとS字補正コンデンサCsの直列回路と基準電位間に、左右糸巻き歪回路が設けられている。この左右糸巻き歪回路は、コンデンサC1と、ダイオードD7と、コイルL2とコンデンサC2とからなる直列回路で構成される。ダイオードはアノードが、基準電位側になるように設けられ、このダイオードD7と並列にコンデンサC1が接続される。このコンデンサC1に対して、並列にコイルL2とコンデンサC2の直列回路が設けられる。図5に設けられているダイオードD4に相当するものがなく、コイルL2とコンデンサC2の直列回路を設けることにより、鋸歯状波電流i1を図示の方向に流し、ダイオードD7が走査期間の初期にオフすることを防止している。
【0015】
また、フライバックトランスFBTの3次巻線から整流回路30を介して正の電圧がパルス幅変調用IC10の正の電源端子12へ供給される。この変調用IC10の負の電源端子13は、基準電位点へ接続されており、出力端子14がコイルL1を介してコンデンサC1へ接続されている。
【0016】
図7の動作を以下説明する。基本的には図5と同様であり、偏向電流は式2で与えられる。
【0017】
【式2】
帰線期間中には、図5の回路とは異なり、コンデンサC1に正の共振電圧が生じており、これを変調するために変調用IC10の出力端子14から所定のデューティ比を持つパルスが繰り返し供給される。このデューティ比すなわちT1とT2の比を図6と同様に変えることにより、共振電圧V1を垂直周期でパラボラ状に変化させることができる。
【0018】
しかしながら、この回路においても正の電源と基準電位間にシャントレギュレータ50を設けるかシャントレギュレータ50に相当する別の負荷を電源ラインと基準電位の間に設け、電源ラインに流れ込む電流を放電させることが必要となる。したがって、シャントレギュレータに相当する別の負荷がない場合、図5と同様にシャントレギュレータのコスト高を招き、余分な電力損失を招くこととなる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、正あるいは負の電源をフライバックトランスの3次巻線からもうけなければならず、また、3次巻線側の整流回路のコンデンサに放電経路がなく、放電用の負荷あるいはレギュレータを整流回路と負の電源端子との間に設けなければならないため、部品点数が増えるばかりか、レギュレータでの余分な電力損失を招くという問題があった。
【0020】
そこで、本発明はこのような問題に鑑み、簡略な回路構成にて安価な正あるいは負の電源を得ることを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の水平出力回路は、
ベース、エミッタ、コレクタを有し、ベースに水平周期のドライブ信号が供給される水平出力トランジスタと、
前記トランジスタのコレクタ・エミッタ間に並列に、ダンパダイオード、第1の共振コンデンサ、および水平偏向コイルとS字補正コンデンサの直列回路を接続して形成した第1の並列回路と、
前記トランジスタのコレクタと基準電位点間に接続された第2の共振コンデンサと、
前記トランジスタのエミッタと基準電位点間に並列に、アノードが前記トランジスタのエミッタに接続されたダイオードと第3のコンデンサとを接続して形成した第2の並列回路と、
前記トランジスタのエミッタに一端が接続された第1のコイルと、この第1のコイルの他端と基準電位点間に接続された第4のコンデンサとから成る平滑回路と、
電源端子および信号出力端子を有し、この信号出力端子から垂直周期で変化するパルス信号を出力する変調信号源と、
前記変調信号源からの前記パルス信号を第2のコイルを介して前記第3のコンデンサに供給する手段と、
前記第4のコンデンサに生じる直流電圧を前記変調信号源の電源端子に供給する電源供給手段と、
を具備したことを特徴とするものである。
【0022】
請求項2記載の水平出力回路は、請求項1記載の水平出力回路において、
前記変調用信号源を、
垂直周期で変化するパルス列を発生するパルス発生回路と、
エミッタが正の電源端子へ結合され、ベースに前記パルス発生回路からのパルス列が供給されるPNPトランジスタと、
エミッタが負の電源端子へ結合され、ベースに前記パルス発生回路からのパルス列が供給され、コレクタが前記PNPトランジスタのコレクタに結合されたNPNトランジスタと、
前記PNPトランジスタおよびNPNトランジスタのコレクタに結合された信号出力端子と、
前記PNPトランジスタのエミッタにカソードが結合され、前記信号出力端子にアノードが結合された第1のダイオードと、
前記NPNトランジスタのエミッタにアノードが結合され、前記信号出力端子にカソードが結合された第2のダイオードとで構成し、前記直流電圧を前記負の電源端子に供給するようにしたことを特徴とするものである。
【0023】
請求項3記載の水平出力回路は、
ベース、エミッタ、コレクタを有し、ベースに水平周期のドライブ信号が供給される水平出力トランジスタと、
前記トランジスタのコレクタと第1の点との間に、第1のダンパダイオード、第1の共振コンデンサ、および水平偏向コイルとS字補正コンデンサの直列回路を接続して形成した第1の並列回路と、
前記第1の点と前記トランジスタのエミッタ間に並列に、第2のダンパダイオード、第2の共振コンデンサを接続して形成した第2の並列回路と、
前記第1の点に一端が接続された第1のコイルと、この第1のコイルの他端と前記トランジスタのエミッタ間に接続された第3のコンデンサとから成る直列回路と、
電源端子および信号出力端子を有し、この信号出力端子から垂直周期で変化するパルス信号を出力する変調信号源と、
前記変調信号源からの前記パルス信号を第2のコイルを介して前記第2の共振コンデンサに供給する手段と、
前記第3のコンデンサに生じる直流電圧を前記変調信号源の電源端子に供給する電源供給手段と、
を具備したことを特徴とするものである。
【0024】
請求項4記載の水平出力回路は、
前記変調信号源を、
垂直周期で変化するパルス列を発生するパルス発生回路と、
エミッタが正の電源端子へ結合され、ベースに前記パルス発生回路からのパルス列が供給されるPNPトランジスタと、
エミッタが基準電位点へ結合され、ベースに前記パルス発生回路からのパルス列が供給され、コレクタが前記PNPトランジスタのコレクタに結合されたNPNトランジスタと、
前記PNPトランジスタおよびNPNトランジスタのコレクタに結合された信号出力端子と、
前記PNPトランジスタのエミッタにカソードが結合され、前記信号出力端子にアノードが結合された第1のダイオードと、
前記NPNトランジスタのエミッタにアノードが結合され、前記信号出力端子にカソードが結合された第2のダイオードとから成り、前記直流電圧を前記正の電源端子に供給するようにしたことを特徴とするものである。
【0025】
【作用】
請求項1記載の本発明においては、第3のコンデンサに並列に接続される平滑回路の第4のコンデンサに生じる電圧から変調信号源を駆動するための電源電圧を得ることができる。
【0026】
請求項3記載の本発明においては、第2の共振コンデンサに並列に接続される直列回路の第3のコンデンサに生じる電圧から変調信号源を駆動するための電源電圧を得ることができる。
【0027】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の係る水平出力回路の一実施例である。
図5と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を加える。
水平出力トランジスタQ3のコレクタと基準電位間のダイオードD4と負の電源整流回路20とシャントレギュレータ40が省かれ、コイルL2とコンデンサC2の平滑回路が付加されている以外、図5の回路と同様の構成である。
【0028】
図1のコンデンサC1に対し、並列にコイルL2とコンデンサC2の平滑回路が設けられており、この平滑回路でコンデンサC1に発生する電圧を積分している。このコイルL2とコンデンサC2の接続点Aから電源端子13へ負の電源電圧が供給される。
【0029】
帰線期間中にコンデンサC1に生じる電圧をパルス幅変調用IC10により垂直周期(1V)でパラボラ状に変化させ、左右の糸巻き歪補正を従来と同様に行っている。
図2は、図1の動作を説明する図である。なお、図2は水平周期で見た時の動作である。図の横軸に時間を示してある。
図1の動作を図2を用いて説明する。
【0030】
図2(ア)は、帰線期間にコンデンサC1に生じる共振電圧を、(イ)は負電圧の平均値を、(ウ)は、変調用IC10の出力端子14から出力される電圧波形を、(エ)は、変調用ICの出力端子から出力される電流波形を、(オ)はコンデンサC2の放電電流をそれぞれ示している。
【0031】
図2のt0〜t2までの期間に、PNPトランジスタQ1のベースへドライブ電圧が前段の駆動回路11から供給される。PNPトランジスタQ1は、導通状態となり、基準電位点からエミッタ・コレクタ路を介して出力端子14からコイルL1へ出力電流が流れる(図2(エ))。この期間内のコンデンサC1に生じる負の共振電圧により(図2(ア))、電流I1は直線に増加する。t1を過ぎ、t2まではコンデンサC1の両端は、ダイオードD3により短絡されているため、基準電位であり、基準電位点の正の電源端子12と出力端子14のループ内には電圧はなく、電流I1はt1時刻の電流がそのまま持続される。t2になると、Q1はオフし(このとき、NPNトラジスタQ2のベースには、ドライブ電圧が前段の駆動回路11から加えられ、Q2はオンとなる。)、コイルL1に発生する逆起電力により先の電流を持続する方向に負の電源端子13からダイオードD2を通ってコイルへ電流I2が流れる。このときコンデンサC2に蓄えられている負電源からダイオードD2を通ってコイルへ電流I2が流れる。なお、コンデンサC2には、コンデンサC1の帰線期間に発生する負の共振電圧を積分した負電源が予め生じている(図2(イ))。
【0032】
この負電源の大きさは、共振電圧−V1の平均値−V1ave に等しく、帰線期間中にコンデンサC1からコンデンサC2に向けて電流icが流れることにより充電される。電流I2は、この負電源により直線的な電流が逆方向に流れ込むため、時間とともに減少する電流となる。再び、t0に達するとトランジスタのベースにドライブ電圧が加えられ上記の動作を繰り返す。t0からt1を通り、t2に至る期間をT1、t2からt0までの時間間隔をT2とするとコンデンサC1に生じる共振電圧(−V1)の大きさは、この時間の比を変化させることで変調することができる。
【0033】
図2の点線の波形はこれをしめしたもので、実線の波形に対して時間の比を変え、T1を長くしT2を短くしたときの動作を表したものである。T1を長くするとコイルL1を通って、流れるコンデンサC1の放電電流が増加するため、コンデンサC1に生じる共振電圧(負値−V1)が小さくなる。 この原理を利用し垂直周期でT1とT2の比を変化させれば、左右糸巻き歪が補正できる。つまり、垂直周期の初めと終わりでは(T1/T2)を大きくし画面の中央に相当するところでは(T1/T2)を小さくすれば、共振電圧(−V1)は、垂直周期の初めと終わりでは小さくなり、画面の中央に相当するところでは大きくなるため、左右糸巻き歪を補正することができる。
【0034】
本発明の回路では、図5の回路に対して、共振電圧(−V1)を積分するためのコイルL2とコンデンサC2を新しく追加しているために、図5のダイオードD4がなくてもフライバックトランスFBTの一次巻線電流ILPと直流電源IDCから流れ込む電流の和が走査期間の初めにおいて負になってもダイオードD3がオフし、電流が不連続になることはない。これを示したのが図3であり、コイルL2とコンデンサC2を新しく追加したことにより、図3の方向に電流i1が流れ、走査期間の初めにおいてダイオードD3を流れる電流が負になることがなくなる(図3(ウ))。
【0035】
さて、本発明の回路では、T2期間の電流は基準電位点からコンデンサC2を通りダイオードD2、コイルL1へと抜ける。この時、コンデンサC2は、負に充電されるが、走査期間は、ダイオードD3が導通状態にあり、負に充電された分は、電流idとして放電されるため、コンデンサC2の両端電圧は、一定の電圧に保持される。このため、従来回路で必要であったシャントレギュレータが不要となり、コストと部品点数が少なくて済み、かつ無駄な電力を省くことができる。また、コンデンサC2に生じる負電源は、コンデンサC1に発生する共振電圧V1を積分したものであり、その大きさは、共振電圧の平均値−V1ave に等しいため、補正量を大きく取ろうとして共振電圧V1を大きくすると自動的にコンデンサC2に生じる負電圧も大きくなるため、従来回路のようにフライバックトランスFBTの3次巻線を巻き上げ、負電源を大きくする操作が不要となり、フライバックトランスFBTも標準化が図れる。
【0036】
以上のような構成とすることにより、安定化電源回路を設けることなく、電源をコンデンサC2からパルス幅変調用ICの電源端子へ供給することができる。また、図4は、本発明の他の実施例であり、図7の回路に本発明の回路を適用した例である。パルス幅変調用IC10の正の電源端子12へ糸巻歪補正回路のコンデンサC1に生じる電圧をコイルL2とコンデンサC2の直列回路で積分して供給することにより、図1と同様の効果を得ることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、フライバックトランスから3次巻線を設けることもなく、左右糸巻き歪補正回路に若干の部品を付加するだけで簡単に正あるいは負の電源を得ることができるばかりでなく、回路全体の消費電力を軽減できる。また、フライバックトランスの巻数を変えることなく、補正量に応じて電源を供給できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による水平出力回路を示す図である。
【図2】図1の動作を説明するための図である。
【図3】図1のコイルとコンデンサの直列回路の走査期間前半の動作を説明するための図である。
【図4】本発明による水平出力回路の他の実施例である。
【図5】従来の水平出力回路を示す図である。
【図6】図5の動作を説明するための図である。
【図7】従来の水平出力回路の他の例である。
【符号の説明】
10…パルス幅変調用IC
11…パルス幅変調・駆動回路(パルス発生回路)
12…正の電源端子
13…負の電源端子
14…出力端子
Q1〜Q4…トランジスタ
Dd,D1〜D5…ダイオード
C1〜C4…コンデンサ
C01,C02…共振コンデンサ
Claims (4)
- ベース、エミッタ、コレクタを有し、ベースに水平周期のドライブ信号が供給される水平出力トランジスタと、
前記トランジスタのコレクタ・エミッタ間に並列に、ダンパダイオード、第1の共振コンデンサ、および水平偏向コイルとS字補正コンデンサの直列回路を接続して形成した第1の並列回路と、
前記トランジスタのコレクタと基準電位点間に接続された第2の共振コンデンサと、
前記トランジスタのエミッタと基準電位点間に並列に、アノードが前記トランジスタのエミッタに接続されたダイオードと第3のコンデンサとを接続して形成した第2の並列回路と、
前記トランジスタのエミッタに一端が接続された第1のコイルと、この第1のコイルの他端と基準電位点間に接続された第4のコンデンサとから成る平滑回路と、
電源端子および信号出力端子を有し、この信号出力端子から垂直周期で変化するパルス信号を出力する変調信号源と、
前記変調信号源からの前記パルス信号を第2のコイルを介して前記第3のコンデンサに供給する手段と、
前記第4のコンデンサに生じる直流電圧を前記変調信号源の電源端子に供給する電源供給手段と、
を具備したことを特徴とする水平出力回路。 - 前記変調用信号源は、
垂直周期で変化するパルス列を発生するパルス発生回路と、
エミッタが正の電源端子へ結合され、ベースに前記パルス発生回路からのパルス列が供給されるPNPトランジスタと、
エミッタが負の電源端子へ結合され、ベースに前記パルス発生回路からのパルス列が供給され、コレクタが前記PNPトランジスタのコレクタに結合されたNPNトランジスタと、
前記PNPトランジスタおよびNPNトランジスタのコレクタに結合された信号出力端子と、
前記PNPトランジスタのエミッタにカソードが結合され、前記信号出力端子にアノードが結合された第1のダイオードと、
前記NPNトランジスタのエミッタにアノードが結合され、前記信号出力端子にカソードが結合された第2のダイオードとから成り、前記直流電圧を前記負の電源端子に供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載の水平出力回路。 - ベース、エミッタ、コレクタを有し、ベースに水平周期のドライブ信号が供給される水平出力トランジスタと、
前記トランジスタのコレクタと第1の点との間に、第1のダンパダイオード、第1の共振コンデンサ、および水平偏向コイルとS字補正コンデンサの直列回路を接続して形成した第1の並列回路と、
前記第1の点と前記トランジスタのエミッタ間に並列に、第2のダンパダイオード、第2の共振コンデンサを接続して形成した第2の並列回路と、
前記第1の点に一端が接続された第1のコイルと、この第1のコイルの他端と前記トランジスタのエミッタ間に接続された第3のコンデンサとから成る直列回路と、
電源端子および信号出力端子を有し、この信号出力端子から垂直周期で変化するパルス信号を出力する変調信号源と、
前記変調信号源からの前記パルス信号を第2のコイルを介して前記第2の共振コンデンサに供給する手段と、
前記第3のコンデンサに生じる直流電圧を前記変調信号源の電源端子に供給する電源供給手段と、
を具備したことを特徴とする水平出力回路。 - 前記変調信号源は、
垂直周期で変化するパルス列を発生するパルス発生回路と、
エミッタが正の電源端子へ結合され、ベースに前記パルス発生回路からのパルス列が供給されるPNPトランジスタと、
エミッタが基準電位点へ結合され、ベースに前記パルス発生回路からのパルス列が供給され、コレクタが前記PNPトランジスタのコレクタに結合されたNPNトランジスタと、
前記PNPトランジスタおよびNPNトランジスタのコレクタに結合された信号出力端子と、
前記PNPトランジスタのエミッタにカソードが結合され、前記信号出力端子にアノードが結合された第1のダイオードと、
前記NPNトランジスタのエミッタにアノードが結合され、前記信号出力端子にカソードが結合された第2のダイオードとから成り、前記直流電圧を前記正の電源端子に供給するようにしたことを特徴とする請求項3記載の水平出力回路。
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