JP3082423B2 - 水平偏向電流の制御回路およびその回路を備えた水平偏向回路と高電圧・水平偏向一体型回路と糸巻き歪補正回路 - Google Patents

水平偏向電流の制御回路およびその回路を備えた水平偏向回路と高電圧・水平偏向一体型回路と糸巻き歪補正回路

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JP3082423B2
JP3082423B2 JP12684192A JP12684192A JP3082423B2 JP 3082423 B2 JP3082423 B2 JP 3082423B2 JP 12684192 A JP12684192 A JP 12684192A JP 12684192 A JP12684192 A JP 12684192A JP 3082423 B2 JP3082423 B2 JP 3082423B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋸歯状波の水平偏向電
流の流量を制御する水平偏向電流の制御回路と、この制
御回路を備えた水平偏向回路、高電圧・水平偏向一体型
回路および糸巻き歪補正回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5には高電圧発生側の回路と偏向側の
回路とを一体化した高電圧・水平偏向一体側回路が示さ
れている。この回路は、フライバックトランス1の一次
コイル2の一端側(この図では巻き終わり端側)に駆動
電源3が接続されており、一次コイル2の他端側(巻き
始め端側)は水平出力トランジスタ4とダンパーダイオ
ード5と共振コンデンサ6との並列回路を介してグラン
ド側に接続されている。そして、水平出力トランジスタ
4とダンパーダイオード5と共振コンデンサ6との並列
回路には偏向ヨーク7とS字補正コンデンサ8の直列回
路が並列に接続されている。
【0003】フライバックトランス1の二次コイル10の
高圧端側は高圧整流ダイオード11と高圧コンデンサ12と
からなる半波整流回路を介して図示されていない陰極線
管のアノードに接続されている。この回路では、偏向ヨ
ーク7とS字補正コンデンサ8の直列回路を除く部分は
高圧発生側の回路として機能し、偏向ヨーク7とS字補
正コンデンサ8を含むフライバックトランス1の一次側
の回路は偏向側の回路として機能している。
【0004】この回路によれば、水平出力トランジスタ
4に水平ドライブ回路(図示せず)から水平ドライブ信
号が加えられることにより、水平出力トランジスタ4の
スイッチング動作とダンパーダイオード5との協働によ
って鋸歯状波の水平偏向電流が作り出され、この水平偏
向電流は偏向ヨーク7に加えられる。その一方におい
て、前記偏向ヨーク7と共振コンデンサ6との直列共振
によってコレクタパルス(フライバックパルス)が作り
出され、このコレクタパルスはフライバックトランス1
によって昇圧された後、半波整流回路を経て高圧出力電
圧として陰極線管のアノードへ加えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】最近、広範囲の水平偏
向周波数の駆動帯域を備えたマルチスキャンタイプのデ
ィスプレイ装置やテレビジョン受像機が使用されるよう
になって来ている。この種のマルチスキャンタイプのデ
ィスプレイ装置等では、水平偏向周波数の帯域が変わっ
たときに、水平偏向回路の直流入力電源の電圧(駆動電
源3の電圧)を変えることで、水平偏向電流の流量を制
御し、陰極線管の画面振幅を一定に保つ手段が設けられ
ている。しかし、前記直流入力電源の電圧を変化する
と、フライバックトランスの2次側で走査期間整流によ
って取り出した出力電圧は、前記直流入力電圧に比例し
て変化するので、フライバックトランス1の2次側に3
次出力取り出し用のコイルを設けてこのコイルから水平
偏向周波数の変化によって変動しない出力を取り出すよ
うなときには、帰線期間整流による出力しか取り出すこ
とができず、また、帰線期間整流による出力は1周期ご
とのリップルによる電圧変動が大きく、低電圧で電流量
の多い負荷には向いていないという性質があるので、そ
のような負荷には適用できないという問題があった。
【0006】また、CRTディスプレイ装置やテレビジ
ョン受像機を安価に構成するには、前記図5に示す如
く、高圧側の回路と偏向側の回路とを一体化した高電圧
・水平偏向一体型回路とすることが望ましい。しかし、
このような一体型回路においては、高圧出力電圧の降下
量を補正する高圧安定化のための制御機能を付加する
と、高圧出力電圧の補正時に、偏向側の回路が影響を受
け、高圧出力電圧の制御動作に連動して水平偏向電流の
流量が変化し、画面歪が発生してしまうという問題があ
った。
【0007】また、従来の一般的な左右糸巻き歪補正
は、図6に示したリアクター式補正回路が採用されてい
た。この回路では、2次巻線が偏向ヨークと直列に接続
されたサイドピントランスの1次巻線に垂直同期のパラ
ボラ電流を流すことで、左右糸巻き歪を補正していた。
しかし、この方法では、フライバックトランス1次側の
コレクタパルス電圧が変動し、それに従って2次側の高
圧出力電圧、フォーカス電圧、スクリーン電圧も変動し
てしまうという問題点があった。
【0008】本発明は上記従来の課題を解決するために
なされたものであり、その目的は、高圧出力電圧の補正
動作に影響を受けず、かつ、駆動電源の電圧を可変する
ことなく水平偏向電流の流量を制御することができる水
平偏向電流の制御回路と、その回路を備えた水平偏向回
路、高電圧・水平偏向一体型回路および左右糸巻き歪補
正回路をそれぞれ提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、次のように構成されている。すなわち、本
発明の水平偏向電流の制御回路は、フライバックトラン
スの一次コイルとグランドとの間に、水平出力トランジ
スタとダンパーダイオードと共振コンデンサとを並列に
接続した第1の並列回路を介設し、該第1の並列回路の
一次コイル側とグランドの間に、偏向ヨークとS字補正
コンデンサとの直列回路と、スイッチ素子とコンデンサ
とダイオードとを並列に接続した第2の並列回路とを直
列に介設し、前記水平出力トランジスタを水平ドライブ
信号によりオン・オフ制御し、前記水平出力のオンと同
期させて前記第2の並列回路のスイッチ素子をオンし、
前記水平出力トランジスタのオフ時には前記一次コイル
と偏向ヨークのインダクタンスと共振コンデンサとの共
振によって共振コンデンサの両端にコレクタパルス電圧
を発生させ、該コレクタパルス電圧の発生期間である帰
線期間の前半において前記第2の並列回路のスイッチ素
子をオフするタイミングを可変するスイッチ制御回路と
を設け、前記偏向ヨークとS字補正コンデンサとの直列
回路に流れる鋸歯状の水平偏向電流の流量制御すること
を特徴として構成されており、また、前記水平偏向電流
の制御回路を備えた水平偏向回路、高電圧・水平偏向一
体型回路および左右糸巻き歪補正回路もそれぞれ本発明
の特徴的な構成とされている。
【0010】
【作用】上記構成の本発明において、通常の水平偏向電
流の発生動作と同様に、水平出力トランジスタが水平ド
ライブ信号に従ってスイッチ動作を行うことにより、ダ
ンパーダイオードとの協働によって偏向電流が発生し、
この偏向電流は偏向ヨークに加えられる。そして、帰線
期間において、並列回路のスイッチ素子をオフすると、
このスイッチ素子に並列接続されているコンデンサと、
S字補正コンデンサと、前記共振コンデンサとの直列容
量と、偏向ヨークのインダクタンスとが直列共振して前
記並列回路のコンデンサの両端にパルス電圧が発生す
る。このパルス電圧のピーク値の大きさはスイッチ素子
のオフのタイミングが早くなるほど大きくなって、走査
期間におけるS字補正コンデンサの両端電圧が増加し、
偏向ヨークに流れる水平偏向電流の流量が増加する。こ
れに対し、スイッチ素子のオフのタイミングを遅くする
と、S字補正コンデンサの両端電圧が小さくなるので、
偏向ヨークに流れる水平偏向電流の流量も小さくなる。
このように、帰線期間において、スイッチ素子のオフの
タイミングを制御することにより、偏向ヨークに流れる
水平偏向電流の流量がコントロールされる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1には本発明に係る水平偏向電流の制御回路を
備えた高電圧・水平偏向一体型回路の実施例が示されて
いる。同図において、フライバックトランス1の一次コ
イル2の一端側(巻き終わり端側)は駆動電源3に接続
されており、一次コイル2の他端側(巻き始め端側)と
グランドとの間には第1のスイッチブロック回路13と第
2のスイッチブロック回路14との直列回路が介設されて
いる。
【0012】前記第1のスイッチブロック回路13は共
振コンデンサ6とダンパーダイオード5と水平出力トラ
ンジスタ(第1のスイッチ素子)4の並列回路からな
り、水平出力トランジスタ4のベースには第1のスイッ
チ制御信号として水平ドライブ信号(図2の(b))が
加えられている。第2のスイッチブロック回路14は第
2のスイッチ素子として機能するMOS FET15
と、ダイオード16とコンデンサ17との並列回路から
なる。第1のスイッチブロック回路13と第2のスイッ
チブロック回路14の直列接続部とグランド間には偏向
ヨーク7とS字補正コンデンサ8と第3のスイッチブロ
ック回路18との直列回路が接続されている。この第3
のスイッチブロック回路18はコンデンサ20と第3の
スイッチ素子として機能するMOS FET22と、こ
のMOS FET22と逆向きのダイオード21との
回路からなる。この偏向ヨーク7とS字補正コンデン
サ8と第3のスイッチブロック回路18との直列回路の
経路にはアモルファスのビーズコア23が設けられてい
る。
【0013】前記第2のスイッチブロック回路14のM
OS FET15のゲートには高圧補正信号回路24か
ら水平ドライブ信号のオフのタイミングにオンのタイミ
ングを同期した第2のスイッチ制御信号(図2の
(c))が加えられており、また、第3のスイッチブロ
ック回路18のMOS FET22のゲートには同様に
スイッチ制御回路として機能する偏向電流補正信号回路
19からオンのタイミングが水平ドライブ信号のオンの
タイミングに同期した第3のスイッチ制御信号(図2の
(e))が加えられている。
【0014】前記フライバックトランス1の二次コイル
10の高圧側には分圧抵抗器25,26の直列回路が接
続されており、この分圧抵抗器25,26により抵抗分
割されて高圧出力電圧が検出され、この検出信号はオペ
アンプ27のプラス側入力端子に加えられている。オペ
アンプ27はこの高圧出力電圧の検出電圧と基準電源2
8の基準電圧とを比較し、高圧出力電圧の降下量に対応
する信号を前記高圧補正信号回路24と偏向電流補正信
号回路19にそれぞれ加えている。補正電圧信号回路2
4は高圧出力電圧の降下量が大きくなるにつれ、オンパ
ルス幅を狭くした第2のスイッチ制御信号を水平ドライ
ブ信号のオフのタイミングにオンのタイミングを同期さ
せてMOS FET15のゲートに加えており、また、
偏向電流補正信号回路19は高圧出力電圧の降下量が大
きくなるにつれて帰線期間でのオフのタイミングを早く
した第3のスイッチ制御信号を水平ドライブ信号のオン
のタイミングにオンのタイミングを同期してMOS F
ET22のゲートに加えている。この実施例では偏向ヨ
ーク7とS字補正コンデンサ8と第3のスイッチブロッ
ク回路18と偏向電流補正信号回路19は水平偏向電流
の制御回路を構成している。
【0015】この実施例は上記のように構成されてお
り、次に、その回路動作を図1の回路図と図2のタイム
チャートに基づき説明する。まず、第2のスイッチブロ
ック回路14のコンデンサ17に電荷が蓄積されていない状
態で、水平ドライブ信号に従って水平トランジスタ4が
オンされると、駆動電源3側から一次コイル2、ダイオ
ード16、水平出力トランジスタ4を経てグランドに至る
経路で電流IN1が流れる。このとき、駆動電源3の電源
電圧をEB 、一次コイル2のインダクタンスをL1 とす
ると、IN1は、EB /L1 の直線的な傾きに従って増加
する。
【0016】一方、水平出力トランジスタ4がオンして
いる期間では、図2の(e)に示すようにMOS FE
T22はオン状態になっており、このとき、S字補正コン
デンサ8には水平出力トランジスタ4のコレクタ側がプ
ラス、グランド側がマイナスとなる方向に電荷が蓄積さ
れているため、S字補正コンデンサ8から偏向ヨーク
7、水平出力トランジスタ4、MOS FET22を順に
経てS字補正コンデンサ8に戻る閉ループで偏向電流I
DYが流れる。このとき、S字補正コンデンサ8の両端の
電圧をVCS、偏向ヨーク7のインダクタンスをLDYとす
ると、偏向電流IDYは、VCS/LDYの直線的な傾きに沿
って増加する(図2の(g))。
【0017】次に、水平ドライブ信号に従って、水平出
力トランジスタ4がオフすると、前記電流IN1およびI
DYの流れによって一次コイル2および偏向ヨーク7に蓄
えられていた電流エネルギは共振コンデンサ6に流れ込
み、一次コイル2と偏向ヨーク7との並列インダクタン
スと、共振コンデンサ6のキャパシタンスとの直列共振
によって、共振コンデンサ6の両端にコレクタパルス電
圧VC1が発生する。このコレクタパルス電圧VC1の発生
期間の前半、つまり帰線期間の前半において、MOS
FET22をオフすると、S字補正コンデンサ8とそれよ
り容量の小さいコンデンサ20と共振コンデンサ6との直
列容量と偏向ヨーク7のインダクタンスとの直列共振に
よりコンデンサ20の両端にもパルス電圧VC3が発生する
(図2の(f))。
【0018】このパルス電圧VC3のピーク値の大きさは
MOS FET22のオフのタイミングと相関関係を持っ
ており、MOS FET22のオフのタイミングが早くな
るほどピーク値が大きくなる。パルス電圧VC3のピーク
値が大きくなると、その期間に、S字補正コンデンサ8
には水平出力トランジスタ4のコレクタ側がプラス、グ
ランド側がマイナスの方向に電荷がより多く蓄えられる
結果、走査期間におけるS字補正コンデンサの両端電圧
CSの値が増加するので、VCS/LDYの値、つまり、偏
向ヨーク7に流れる電流IDYが増加する。これとは逆
に、MOS FET22のオフのタイミングを遅くする
と、コンデンサ20の両端に発生するパルス電圧VC3のピ
ーク値が小さくなるので、S字補正コンデンサ8の両端
電圧VCSも小さくなり、偏向ヨーク7に流れる偏向電流
DYが減少する。このように、帰線期間内において、M
OS FET22のオフのタイミングを偏向電流補正信号
回路19からの第3のスイッチ制御信号により制御するこ
とにより、偏向ヨーク7に流れる偏向電流IDYの流量が
制御される。
【0019】次に、直列共振によりコレクタパルス電圧
C1がピークに達すると、今度は共振コンデンサ6から
偏向ヨーク7、S字補正コンデンサ8、コンデンサ20を
経て共振コンデンサ6に戻る経路で電流が流れてコンデ
ンサ20の両端電圧VC3が減少して行く。このVC3が0V
以下になると、ダイオード21が導通し、このダイオード
21を通って電流が流れ続ける。また、このとき、MOS
FET15はオン状態にあるので、グランド側から、共
振コンデンサ6、MOS FET15および一次コイル2
を経て駆動電源3に至るルートでも電流が流れてコレク
タパルス電圧V C1が減少して行き、VC1が0V以下にな
るとダンパーダイオード5が導通して電流が流れ続け
る。
【0020】このダンパーダイオード5が導通している
ダンパー期間にMOS FET15がオフされると、一次
コイル2のインダクタンスとコンデンサ17の容量による
直列共振によってコンデンサ17の両端にパルス電圧VC2
が発生する。このVC2のピーク値はMOS FET15の
オフのタイミングが早いほど大きくなる。フライバック
トランス1の一次コイル2の両端電圧はコンデンサ17の
パルス期間(走査期間中)においては、駆動電源3の電
圧EB にコンデンサ17の両端電圧VC2を加算した値とな
るので、このVC2のピーク値が大きいほど一次コイル2
に蓄えられるエネルギが増加し、共振コンデンサ6の共
振によって発生するコレクタパルスVC1の波高値(ピー
ク値)が大きくなって高圧出力電圧EH が大きくなる方
向に補正される。このように、MOS FET15のオフ
のタイミングが高圧補正信号回路24からの第2のスイッ
チ制御信号により制御されることにより、高圧出力電圧
の安定化制御が行われる。
【0021】以上のように、本実施例はMOS FET
22のオフのタイミングをコントロールすることにより偏
向電流IDYの大きさが制御され、MOS FET15のオ
フのタイミングを制御することにより高圧出力電圧の制
御が前記偏向電流IDYの制御と別個独立に行われること
となる。したがって、高圧出力電圧が降下したときに
は、MOS FET15のオフのタイミングをこれに応じ
て早くすることにより、高圧出力電圧の低下分が効果的
に補正されるが、このとき、高圧出力電圧の補正に伴っ
て共振コンデンサ6に蓄えられた静電エネルギの一部が
フライバックトランス1の二次側に引き抜かれること
で、偏向電流IDYの流量が減少する方向となるが、しか
し、このとき、MOS FET22のオフのタイミングが
早められることで、偏向電流が増加する方向に制御され
る結果、前記高圧補正に伴う偏向電流の減少分が補償さ
れることとなる。したがって、高圧出力電圧の補正によ
って偏向電流IDYが変動することがなくなり、偏向電流
の安定化が達成される。
【0022】また、水平トランジスタ4のスイッチオン
動作はダンパーダイオード5に電流が流れているときに
行われ、また、MOS FET15のオン動作もダイオー
ド16に電流が流れているときに行われ、さらに、MOS
FET22のスイッチオン動作もダイオード21に電流が
流れているときに行われるので、零電圧スイッチオン動
作が行われることとなり、また、これら水平出力トラン
ジスタ4、MOS FET15,22のスイッチオフ時にお
いても、スイッチオフの瞬間には直列共振カーブに沿っ
て電圧が緩やかに変化するので、零電圧スイッチオフの
動作状態となり、このように、水平出力トランジスタ
4、MOS FET15,22はいずれも零電圧スイッチン
グ動作を行うので、スイッチノイズの発生が少なく、特
に、水平出力トランジスタ4およびMOS FET22の
スイッチング動作は帰線期間内に行われるので、スイッ
チング時のノイズが画面に影響を与えるということは全
くなくなる。
【0023】しかも、本実施例ではMOS FET15の
スイッチングノイズおよびフライバックトランス1のリ
ンギングが偏向電流IDYに重畳されて陰極線管の画面に
影響を与えないように偏向ヨーク7とS字補正コンデン
サ8と第3のスイッチブロック回路18との直列回路の経
路上にアモルファスのビーズコア23を設けているので、
これらスイッチングノイズやリンギングの影響のない高
精細な安定した画面を得ることができる。
【0024】図3は本実施例の画面特性の効果を従来例
との比較の上で示したものである。同図の(a)は前記
図5に示す従来の回路を用いて陰極線管の画面上に長方
形の白色パターンを作り出そうとしたときの画面上の像
を示したもので、前記図5の一般的な補正回路のない高
電圧・水平偏向一体型回路では、輝度の高い白色パター
ン部分で高圧出力電圧が低下する結果、下部が広がった
台形状のパターンとなって映し出される。同図の(b)
は高圧出力電圧の補正機能を備えた回路を使用して同様
の長方形の白色パターンを作り出そうとしたものである
が、この高圧補正機能を備えた回路では、高圧補正時に
偏向電流が二次側に引き抜かれてその分偏向電流が減少
するので、同図の(a)とは逆に下部がやや狭くなった
パターンとなる。これに対し、本実施例の回路では、高
圧出力電圧の補正と、偏向電流の補正とが同時に行われ
るので、同図の(c)に示すように歪みのない安定した
長方形の白色パターンが得られる。
【0025】さらに、本実施例の回路によれば、帰線期
間(パルス期間)においてMOSFET22のオフによっ
て生じるコンデンサ20の両端電圧VC3の増加と、走査期
間におけるS字補正コンデンサ8の両端電圧VCSの増加
分とが互いに打ち消し合うように作用するので、前記V
C3の増加とVCSの増加の影響によってコレクタパルスの
波高値が変動するということがほとんどなく、偏向電流
DYの制御動作に影響を受けることなく高圧出力電圧の
安定化動作を行うことができる。
【0026】さらに、本実施例ではMOS FET22の
オフのタイミングを制御することにより駆動電源3の電
圧を一定にしたままで偏向電流IDYの大きさを任意に制
御することができるので、例えば、マルチスキャンタイ
プのディスプレイ装置等に適用した場合に、フライバッ
クトランス1から3次出力を支障なく取り出すことがで
き、回路の取り扱い上非常に有利である。
【0027】なお、本発明は上記実施例に限定されるこ
とはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記
実施例では第2のスイッチ素子と第3のスイッチ素子を
それぞれMOS FET15,22により構成したが、これ
らのスイッチ素子はバイポーラトランジスタ等、他のス
イッチ素子を用いて構成することができる。
【0028】また、上記実施例では高電圧・水平偏向一
体型回路を対象にして説明したが、本発明の水平偏向電
流の制御回路は、鋸歯状波の偏向電流を流すタイプの回
路であれば他の回路にも適用でき、例えば、図示されて
いない糸巻き歪補正回路等、他の様々な回路に適用でき
るものである。図4に示す応用例の水平偏向回路(水平
偏向ドライブ回路)の場合にも、第3のスイッチ素子と
して機能する例えばMOS FET22のオフのタイミ
ングを制御することにより偏向ヨーク7に流れる偏向電
流IDYの大きさを任意に制御することができる。ま
た、本発明の回路を左右糸巻き歪補正に適用した場合に
も、MOS FET22等のスイッチ素子のオフのタイ
ミングを制御することにより、例えば、偏向電流IDY
を垂直偏向周期の始めと終わり部分を小さくし、中間部
で大きくするという図7で示したような波形に制御する
ことができ、これによって左右糸巻き歪が補正される。
このとき、水平偏向電流の制御にともなった高圧出力電
圧、フォーカス電圧等の変動はほとんど発生しない。
【0029】
【発明の効果】本発明は、偏向ヨークとS字補正コンデ
ンサの直列回路の経路にスイッチ素子とコンデンサとダ
イオードとを並列接続した並列回路を設け、水平出力ト
ランジスタのコレクタパルス発生期間である帰線期間に
おいて、前記スイッチ素子のオフのタイミングを可変制
御して水平偏向電流の流量を制御するように構成したも
のであるから、駆動電源の電圧を変化させることなく、
スイッチ素子のオフのタイミングを可変するだけで水平
偏向電流の流量を任意に制御することが可能となる。し
たがって、マルチスキャンタイプのディスプレイ等に適
用した場合、入力電圧を変化させずに偏向電流の流量を
制御できるので、フライバックトランスから3次出力を
電圧変動等の影響を受けることなく取り出すことがで
き、その取り扱い上、非常に有利である。
【0030】また、本発明の水平偏向電流の制御回路を
高電圧・水平偏向一体型回路等の安価で、簡易な回路に
適用するにも拘わらず、偏向電流を高圧出力電圧の制御
動作に影響を受けずに安定化できるので、低級な回路を
高級な回路に変質した格好となり、高品質な画面特性を
得ることができる。
【0031】さらに、スイッチ素子は零電圧スイッチン
グを行うものであるから、スイッチング損失のほとんど
ない高効率の回路動作が可能であり、しかも、帰線期間
内でスイッチング動作が行われるので、陰極線管の画面
にスイッチングノイズ等の影響が現れるということがな
く、高精細な高品位画面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水平偏向電流の制御回路を備えた
高電圧・水平偏向一体型回路の実施例を示す回路図であ
る。
【図2】同実施例の回路の各部の波形を示すタイムチャ
ートである。
【図3】同実施例の画面特性を従来例との比較で示す説
明図である。
【図4】平偏向電流の制御回路を水平偏向回路に適用
した応用例の回路図である。
【図5】一般的な高電圧・水平偏向一体型回路の回路図
である。
【図6】リアクター方式による左右糸巻き歪補正回路の
回路図である。
【図7】左右糸巻き歪補正電流の波形図である。
【符号の説明】 1 フライバックトランス 2 一次コイル 3 駆動電源 4 水平出力トランジスタ 6 共振コンデンサ 7 偏向ヨーク 8 S字補正コンデンサ 13 第1のスイッチブロック回路 14 第2のスイッチブロック回路 15 MOS FET 16 ダイオード 17 コンデンサ 18 第3のスイッチブロック回路
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04N 3/16 H04N 3/23 H04N 3/185 H04N 3/27

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フライバックトランスの一次コイルとグ
    ランドとの間に、水平出力トランジスタとダンパーダイ
    オードと共振コンデンサとを並列に接続した第1の並列
    回路を介設し、該第1の並列回路の一次コイル側とグラ
    ンドの間に、偏向ヨークとS字補正コンデンサとの直列
    回路と、スイッチ素子とコンデンサとダイオードとを並
    列に接続した第2の並列回路とを直列に介設し、前記水
    平出力トランジスタを水平ドライブ信号によりオン・オ
    フ制御し、前記水平出力のオンと同期させて前記第2の
    並列回路のスイッチ素子をオンし、前記水平出力トラン
    ジスタのオフ時には前記一次コイルと偏向ヨークのイン
    ダクタンスと共振コンデンサとの共振によって共振コン
    デンサの両端にコレクタパルス電圧を発生させ、該コレ
    クタパルス電圧の発生期間である帰線期間の前半におい
    て前記第2の並列回路のスイッチ素子をオフするタイミ
    ングを可変するスイッチ制御回路とを設け、前記偏向ヨ
    ークとS字補正コンデンサとの直列回路に流れる鋸歯状
    の水平偏向電流の流量制御することを特徴とする水平偏
    向電流の制御回路。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の水平偏向電流の制御回路
    を備えた水平偏向回路。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の水平偏向電流の制御回路
    を備えた高電圧・水平偏向一体型回路。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の水平偏向電流の制御回路
    を備えた左右糸巻き歪補正回路。
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