JP3557847B2 - ジャッキハンドルの格納構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車載ツールであるジャッキハンドルの格納構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、四輪自動車には、重量物の車体を持ち上げるための携行用ジャッキが装備されており、当該ジャッキはタイヤを交換する際などに使用されている。このようなジャッキを操作する車載ツールのジャッキハンドルとしては、例えば図7に示すようなものが用いられている。この種のジャッキハンドル51は、比較的長尺であってクランク状に形成されているため、レイアウト上、その収納場所を設けるのが大変であった。
そこで、従来においては、図7に示すように、室内側を覆う内装トリム52の一部に開口部53が設けられている。この開口部53に位置するサイドボディインナパネル54の上面には、複数個のクランプ55が配設されているとともに、内装トリム52には、開口部53を開閉するリッド56が取り外し可能に取付けられている。したがって、ジャッキハンドル51は、その先端部51a側および把持部51b側をクランプ55にそれぞれ嵌合させることによって固定され、工具類57と一緒に格納されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来のジャッキハンドル51の格納構造にあっては、図7に示す如く、内装トリム52に相当のスペースが必要となるので、ジャッキハンドル51の格納スペースを確保することが難しかった。また、内装トリム52の開口部53を開閉するリッド56も大きくなるので、室内の外観を損ねるおそれがあった。
このため、図8に示す如く、先端部61a側と把持部61b側とが回動可能に連結され、把持部61b側を先端部61aに重ねるように構成した折り畳み式のジャッキハンドル61を用いる場合がある。あるいは、図9に示す如く、先端部71a側と把持部71b側とが別個に形成され、その使用時に結合させる分割式のジャッキハンドル71を用いる場合がある。ところが、このような形式のジャッキハンドル61,71は、コストが高くなったり、実際に使用してみると、使い難いなどの問題点を有していた。
なお、従来より、サイドボディアウタパネルとサイドボディインナパネルとの間にブラケットを取付け、このブラケットにジャッキを格納する構造は提案されているが、ジャッキと同一の場所にジャッキハンドルを格納するのは非常に困難なことから実現されていなかった。
【0004】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、ジャッキハンドルケースを介してジャッキとジャッキハンドルをすぐ近くに配置することにより使用の利便性が増し、ジャッキハンドルの脱着が容易で、かつ荷室コーナ部のデッドスペースの有効利用が図れるジャッキハンドルの格納構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の有する課題を解決するために、請求項1の本発明においては、ジャッキハンドルの先端部側が入れられる筒状のジャッキハンドルケースの上部に引っ掛け部を設け、ジャッキが固定されるジャッキブラケットを車体に固着し、前記引っ掛け部を前記ジャッキブラケットに引っ掛けて取付けることにより、前記ジャッキハンドルケースを前記ジャッキブラケットの近傍に配設している。
また、請求項2の本発明においては、上記ジャッキハンドルの先端部を含むほぼ半分が上記ジャッキハンドルケース内に入れられるとともに、上記ジャッキハンドルの把持部が車体側のクランプに固定されている。
さらに、請求項3の本発明においては、荷室後端のコーナ部を構成するサイドボディアウタパネルとサイドボディインナパネルとの間に断面略コ字状のジャッキブラケットを固着するとともに、該ジャッキブラケットに筒状ジャッキハンドルケースの引っ掛け部を引っ掛けて取付け、前記ジャッキブラケット内にジャッキを配置して固定する一方、前記ジャッキハンドルケース内にジャッキハンドルの先端部側を差し込んで格納している。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0007】
図1〜図6は、本発明に係るジャッキハンドルの格納構造の実施の形態を示している。図において、1は本実施の形態のジャッキハンドルの格納構造が適用された四輪自動車であり、該自動車1の車室内は、客室と荷室とが車体の前後方向に連続して形成されている。しかも、この自動車1の荷室L後端のコーナ部であって、バックピラー2の根元部には、荷室L側へ向かって膨出する膨み部3が形成されている。
この膨み部3に位置するサイドボディアウタパネル4とサイドボディインナパネル5との間には、構造上の理由からスペースSが形成され、このスペースSは従来においてデッドスペースとなっていた。しかし、本発明の実施の形態に係る格納構造では、水平断面略コ字状のジャッキブラケット7が設けられ、このジャッキブラケット7にジャッキ6を縦置きに配置して固定することにより格納するようにしている。
【0008】
上記ジャッキブラケット7は、図2および図3に示すように、縦置きに配置したジャッキ6の中間部分が格納可能な大きさに形成され、その断面コ字状の開口部分はサイドボディインナパネル5側に向けて配置されている。すなわち、ジャッキブラケット7は、車体前後方向に対向して設けられる対向縦壁7a,7bと、サイドボディアウタパネル4側に設けられる縦壁7cとを有しており、対向縦壁7a,7bの先端にはこれを外側へほぼ直角に折曲げた取付フランジ7dが形成されている。しかも、後方側の対向縦壁7bの上部には、後述のエンボス(突起)を嵌め込む嵌合穴8が穿設されている。
【0009】
このようなジャッキブラケット7は、前後両側の取付フランジ7dをサイドボディインナパネル5の取付穴9の周縁部に重ね合わせ、その重合部分を溶接にて固着することにより取付けられており、これによって当該ジャッキブラケット7は、荷室L後端のコーナ部に位置するスペースSに配設されている。なお、取付穴9は、ジャッキ6およびジャッキハンドル10等を出し入れすることが可能な大きさでサイドボディインナパネル5に穿設されている。
【0010】
また、上記サイドボディインナパネル5の車室内側には、これを覆うクォータトリム(内装トリム)11が配設されている。このため、クォータトリム11はサイドボディインナパネル5に沿った形状に形成され、所定の間隔を置いて配設されており、サイドボディインナパネル5の取付穴9と対応する位置には、ジャッキ出入り口12が穿設されている。このジャッキ出入り口12は、ジャッキ6等を出し入れするためのものであるから、取付穴9の寸法とほぼ同じか、やや大きく形成されている。なお、図2において、13は車室後部に設けられるフロアパネル、14はサイドボディインナパネル5とフロアパネル13との間に配設されるホイールハウスパネルである。
【0011】
上記ジャッキ出入り口12は、図4に示す如く、水平断面略L字状の一体成形品であるリッド15によって開閉されるように構成されている。そのため、リッド15の前端部にはハンドル16が回動自在に取付けられており、このハンドル16のロック爪部16aをジャッキ出入り口12の周縁部に引っ掛けるとともに、その後端部を図示しない係止孔に差込むことによって、リッド15はクォータトリム11に取付けられている。
【0012】
一方、上記ジャッキ6は、図3および図4に示す如く、パンタグラフ型の携行用ジャッキであって、自動車1の車体に当てるボディホルダ(荷受け座)17と、車体の重量を支えるベース(台座)18とが左右のリンク19にて連結されており、左右のリンク19間には係止具20が設けられている。しかして、ジャッキ6は、係止具20に引っ掛けたジャッキハンドル10を回転させてリンク19を伸縮させることにより、上部のボディホルダ17が上下動して車体を持ち上げたり、あるいは降ろしたりするように構成されている。
【0013】
また、上記ジャッキハンドル10は、一本の棒状体を折曲げることにより、直線的な先端部10a側とL字状の把持部10b側とを有するクランク状に形成されており、先端部10a側の最先端にはジャッキ6の係止具20に引っ掛けるフック部21が設けられている。
このようなジャッキハンドル10は、サイドボディアウタパネル4とサイドボディインナパネル5との間に形成されたスペースSに格納され、かつジャッキ6の近傍に配設されるようになっている。このため、本発明の実施の形態に係る格納構造では、ジャッキハンドル10の先端部10a側が入れられる、刀の鞘に似た筒状の樹脂製ジャッキハンドルケース22が使用されている。
【0014】
上記ジャッキハンドルケース22は、図3に示す如く、ジャッキハンドル10のフック部21を含むほぼ半分が入れられる大きさで縦長に形成されているとともに、上端から下端へ向かうに従って左右巾が狭まっており、これによって差し込まれたジャッキハンドル10の先端部10a側がガタつかずに安定して保持されるように構成されている。
また、ジャッキハンドルケース22の上端部の片側側面には、これを上方へ延長しつつ更に下方へ折返して成る逆U字状の引っ掛け部23が設けられており、図5および図6に示す如く、この引っ掛け部23をジャッキブラケット7の対向縦壁7bの上端縁に引っ掛けて該対向縦壁7bを挟持することにより、ジャッキハンドルケース22はジャッキブラケット7に取付けられるようになっている。しかも、ジャッキハンドルケース22の側面には、エンボス24が突設されており、ジャッキブラケット7の引っ掛け部23を対向縦壁7bの上端縁に引っ掛けた状態で、当該エンボス24を嵌合穴8に嵌め込むと、ジャッキハンドルケース22の位置が決まり、抜け出なくなる構造となっている。
なお、ジャッキハンドルケース22の下端部の左右両側面には、サイドボディアウタパネル4およびサイドボディインナパネル5に対する接触音の発生を抑えるスポンジ25が取付けられている。
【0015】
さらに、上記サイドボディインナパネル5の後端面であって、ジャッキハンドル10の把持部10bが通る箇所には、図4に示す如く、複数の段部26が縦横に形成されているとともに、その上部にはこの把持部10bの基端(上端)を固定するクランプ27が配設されている。
【0016】
本発明の実施の形態に係る格納構造によって、ジャッキ6を荷室L後端のコーナ部のスペースSに格納するには、まず、ハンドル16を反時計方向へ回動させてクォータトリム11とのロックを解除し、リッド15を荷室L側に引いてジャッキ出入り口12を開ける。そして、縮めたジャッキ6を立てて持ち、クォータトリム11のジャッキ出入り口12およびサイドボディインナパネル5の取付穴9を介してジャッキブラケット7内に縦置きに配置する。
次いで、ジャッキ6を拡開することによって、ボディホルダ17およびベース18をジャッキブラケット7の対向縦壁7a,7bにそれぞれ強く押し当てると、ジャッキ6は、前後方向および上下方向に動けない状態でジャッキブラケット7に固定される。
【0017】
また、ジャッキハンドル10を上記スペースSに格納するには、ジャッキハンドル10を持って、先端部10a側をジャッキハンドルケース22内に差し込み、把持部10bの基端をクランプ27に押し込んで固定する。
しかる後、リッド15を逆に回動させてクォータトリム11にロックし、当該クォータトリム11のジャッキ出入り口12を閉じれば、ジャッキ6およびジャッキハンドル10はスペースS内に格納されることになる(図2および図4参照)。
なお、ジャッキハンドルケース22は、予め、工場内で引っ掛け部23をジャッキブラケット7の対向縦壁7bの上端縁に引っ掛けて挟持するとともに、エンボス24を嵌合穴8に嵌め込むことにより、ジャッキハンドルケース22を位置決めした状態でジャッキブラケット7に取付けられている。
【0018】
本発明の実施の形態に係るジャッキハンドル10の格納構造では、ジャッキハンドル10の先端部10a側をジャッキハンドルケース22内に差し込み、把持部10bの基端をクランプ27に押し込んで固定しているため、ジャッキハンドルケース22を介してジャッキハンドル10が、ジャッキブラケット7に固定されたジャッキ6のすぐ近くに配置されることになり、ジャッキ6の使用が便利となる上、ジャッキハンドル10を容易に脱着することができる。しかも、樹脂製ジャッキハンドルケース22の存在によって、ジャッキハンドル10の脱着時や自動車1の走行時におけるジャッキハンドル10とサイドボディアウタパネル4やサイドボディインナパネル5との当たりを防ぐことができる。
仮に、ジャッキハンドルケース22を設置せずに、ジャッキハンドル10の下方位置の先端部10a側をクランプで固定した場合には、次の問題がある。
(1) クランプに対するジャッキハンドル10の先端部10a側の脱着作業性が悪く、ジャッキハンドル10の脱着が困難となる。
(2) ジャッキハンドル10を脱着する際に、誤ってジャッキハンドル10をサイドボディアウタパネル4やサイドボディインナパネル5に当ててしまうおそれがある。
(3) ジャッキハンドル10の固定位置によっては、自動車走行時の振動等でジャッキハンドル10とサイドボディパネルとの当たり音が発生する。
したがって、サイドボディアウタパネル4とサイドボディインナパネル5との間にジャッキハンドル10を格納するようなレイアウトは難しかった。
【0019】
また、本発明の実施の形態における格納構造は、荷室L後端のコーナ部であって、バックピラー2の根元部に形成される膨み部3に位置し、構造上の理由から無駄になっていたスペースSを利用しているため、車内の居住性などを損なうことはない上、クォータトリム11に設けられるリッド15の小型化を図ることができる。
さらに、ジャッキハンドルケース22は、これを工場で組付ける際の作業性を考慮して、上方から引っ掛け部23をジャッキブラケット7の上端縁に引っ掛けて挟み込むだけでジャッキブラケット7に取付けることができるため、工具等は不要となる。
【0020】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。例えば、ジャッキブラケット7の形状は、既述の実施の形態のものに限られず、ジャッキ6をしっかりと固定できるものであれば、他の形状のものでもよい。
【0021】
【発明の効果】
上述の如く、本発明に係るジャッキハンドルの格納構造は、ジャッキハンドルの先端部側が入れられる筒状のジャッキハンドルケースの上部に引っ掛け部を設け、ジャッキが固定されるジャッキブラケットを車体に固着し、前記引っ掛け部を前記ジャッキブラケットに引っ掛けて取付けることにより、前記ジャッキハンドルケースを前記ジャッキブラケットの近傍に配設しているので、ジャッキとジャッキハンドルが同一箇所に設置されることによって使用が便利となるとともに、ジャッキハンドルの脱着を容易かつ迅速に行うことができる。しかも、本発明の格納構造は、ジャッキハンドルの先端部側がジャッキハンドルケース内に入れられるので、サイドボディアウタパネルとサイドボディインナパネルとで形成される狭い空間にジャッキハンドルを格納でき、かつ脱着時や自動車走行時においてジャッキハンドルとサイドボディパネルとが当たるのを防止することができる。
【0022】
また、本発明に係るジャッキハンドルの格納構造は、荷室後端のコーナ部を構成するサイドボディアウタパネルとサイドボディインナパネルとの間に断面略コ字状のジャッキブラケットを固着するとともに、該ジャッキブラケットに筒状ジャッキハンドルケースの引っ掛け部を引っ掛けて取付け、前記ジャッキブラケット内にジャッキを配置して固定する一方、前記ジャッキハンドルケース内にジャッキハンドルの先端部側を差し込んで格納しているので、荷室コーナ部のデッドスペースを有効に利用することが可能となる上、ジャッキハンドルの格納部分を覆うリッドが小さくなり、外観の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るジャッキハンドルの格納構造が適用された自動車の全体を示す斜視図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るジャッキハンドルおよびジャッキハンドルケースとジャッキブラケットとの関係を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るジャッキハンドル等を取付けた荷室後端のコーナ部を車室内側から見た斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るジャッキハンドルケースをジャッキブラケットに取付た状態の図3におけるB−B線断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るジャッキハンドルケースをジャッキブラケットに取付た状態の図3におけるC−C線断面図である。
【図7】従来の格納構造によってジャッキハンドルが内装トリムに格納された状態を示す斜視図である。
【図8】従来における折り畳み式のジャッキハンドルを示す斜視図である。
【図9】従来における分割式のジャッキハンドルを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 自動車
3 膨み部
4 サイドボディアウタパネル
5 サイドボディインナパネル
6 ジャッキ
7 ジャッキブラケット
8 嵌合穴
9 取付穴
10 ジャッキハンドル
11 クォータトリム
12 ジャッキ出入り口
15 リッド
16 ハンドル
22 ジャッキハンドルケース
23 引っ掛け部
24 エンボス
27 クランプ
L 荷室
S スペース
Claims (3)
- ジャッキハンドルの先端部側が入れられる筒状のジャッキハンドルケースの上部に引っ掛け部を設け、ジャッキが固定されるジャッキブラケットを車体に固着し、前記引っ掛け部を前記ジャッキブラケットに引っ掛けて取付けることにより、前記ジャッキハンドルケースを前記ジャッキブラケットの近傍に配設したことを特徴とするジャッキハンドルの格納構造。
- 上記ジャッキハンドルの先端部を含むほぼ半分が上記ジャッキハンドルケース内に入れられるとともに、上記ジャッキハンドルの把持部が車体側のクランプに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のジャッキハンドルの格納構造。
- 荷室後端のコーナ部を構成するサイドボディアウタパネルとサイドボディインナパネルとの間に断面略コ字状のジャッキブラケットを固着するとともに、該ジャッキブラケットに筒状ジャッキハンドルケースの引っ掛け部を引っ掛けて取付け、前記ジャッキブラケット内にジャッキを配置して固定する一方、前記ジャッキハンドルケース内にジャッキハンドルの先端部側を差し込んで格納したことを特徴とするジャッキハンドルの格納構造。
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