JP3556709B2 - サーボモータの同期運転方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はサーボモータの同期運転方法及びその装置に関し、特に比較的小型、コンパクトに、組立てロボット等の各種産業用機器に組み込まれる複数のサーボモータを同期運転する場合に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種産業機器、例えば動きが速くて細かくしかも精度を要する割に大きい出力トルクを要する組立てロボットにサーボモータを組み込む場合には、イナーシャを嫌う上に小型、コンパクト性が要求されることから、1台の大きなサーボモータではなく少なくとも2台のサーボモータを組み込み、これら複数のサーボモータで1つの出力軸を駆動するようにしている。この場合複数のサーボモータを完全に同期運転させて均等に出力を得る必要がある。
【0003】
このように複数のサーボモータを同期運転する技術が、特開昭59−172946号公報や特開平2−290187号公報に開示されている。はじめに特開昭59−172946号公報にて開示された技術を図2,図3及び図4に基づいて説明する。なお図2は同期運転装置及び回転ユニットの構成図、図3は図2に示す回転ユニットを一部断面した側面図、図4は図3のIV−IV線矢視断面図である。
【0004】
図2〜図4において、23(23A,23B)は同一の2つの同期電動機、24(24A,24B)はその永久磁石型回転子、25(25A,25B)は出力軸としての回転子24の軸、22(22A,22B)は電機子巻線である。また図3において31は電機子鉄心、32は減速機構、33はそのケースである。
【0005】
減速機機構32は、最終出力軸27に固定された大スプロケット28と、前記各電動機23A,23Bの出力軸25A,25Bに取り付けた小スプロケット26(26A,26B)と、これら大小スプロケット28,26に掛け回された歯付きベルト29とで形成される。大スプロケット28の歯数は小スプロケット26の歯数の整数倍となっていて、最終出力軸27は各回転子24の回転速度の整数分の1の速度で回転する。30は最終出力軸27に連結された回転センサで、サーボ信号aおよびインバータ信号bを出力するサーボセンサ30Aとインバータセンサ30Bとを内蔵する。このように電動機23、減速機構32及び回転センサ30によって回転ユニットが形成される。
【0006】
サーボ基準信号eと前記サーボ信号aとは、1つのサーボ回路20に入力され、このサーボ回路20はこれら両信号e,aの差を示す制御信号dを出力する。1つのインバータ回路21はこの制御信号dに応じた電機子電流1を、インバータ信号bに同期して巻線22A,22Bへ並列に出力する。電動機23A,23Bは同一のものであるから、各巻線22A,22Bには同一の電流I/2が流れ、出力軸25A,25Bには等しいトルクが発生する。
【0007】
次に特開平2−290187号公報にて開示された技術を図5に基づいて説明する。なお図5は、同期運転装置を備えた対向スピンドル旋盤の一例を示す制御ブロック図である。
【0008】
図5に示すように、第1のサーボモータ41にはエンコーダ40及び第1のスピンドル42が接続されており、第1のスピンドル42にはチャック43が取り付けられている。また第2のサーボモータ49にはエンコーダ50及び第2のスピンドル48が接続されており、第2のスピンドル48にはチャック47が取り付けられている。チャック43とチャック47とは対向するようなっている。切削工具44は刃物台45に固定されている。
【0009】
第1のサーボモータ41の位置及び速度はエンコーダ40を介して位置/速度制御手段52で検出され、第1のサーボモータ41の位置指令P1CM と、エンコーダ40からの位置検出信号P1 とを入力し、トルク指令T1 を演算して出力する。またトルク制御手段51は位置/速度制御手段52からのトルク指令T1 を入力し、電力増幅して第1のサーボモータ41へ供給する。更に、第2のサーボモータ49の位置及び速度はエンコーダ50を介して位置/速度制御手段52で検出され、第2のサーボモータ49の位置指令P2CM とエンコーダ50からの位置検出信号P2 とを入力し、トルク指令T2 を演算して出力する。通常対向スピンドル旋盤の2つのスピンドル42及び48は、このように独立して位置、速度制御されるようになっている。
【0010】
これに対して図5に示すように、ワーク46がチャック43、47に把持された状態でワーク46の受け渡しをする場合や切削工具44でワーク46の切削加工を行う場合には、スピンドル42,48が共に高精度に同期して制御されなければワーク46に大きなねじりトルクが発生して加工精度上及びサーボモータ制御上に不具合が発生するため、次のようにしてスピンドル42,48の同期制御が行われる。
【0011】
即ちトルク推定手段53において、第1のサーボモータ41のトルク指令T1 、位置指令P1CM 、位置検出信号P1 と、第2のサーボモータ49の位置指令P2CM 、位置検出信号P2 及び同期運転信号SYNCとを入力し、第2のサーボモータ49の所望トルクを推定演算し、これを第2のサーボモータ49のトルク指令TCMP として加算手段55へ出力し、加算手段15で加算されたトルク指令T2CMP(このとき同期運転信号SYNCによりトルク指令T2 は零)をトルク制御手段54へ指令するようになっている。これによってスピンドル42と48、即ちサーボモータ41と49とが同期運転される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来技術に係る同期運転装置のうち図2に示す同期運転装置(特開昭59−172946号公報にて開示のもの)では、電動機23Aと23Bの特性が全く同一でなければならない。しかし現実には両電動機23A,23Bの特性を全く同一にすることは不可能であり、従って微視的にみると両電動機23A,23Bを完全に同期させることは難しい。
【0013】
また図5に示す同期運転装置(特開平2−290187号公報にて開示のもの)では、サーボモータ41と49の特性が同一でなくてもこれらを完全に同期させることはできるものの、そのためにはトルク推定手段53を備えなければならず、これによって同期運転装置全体が大規模で高価なものになってしまう。
【0014】
従って本発明は上記従来技術に鑑み、1つの出力軸を駆動する複数のサーボモータを完全に同期運転することができ、しかも装置全体が小型で安価なサーボモータの同期運転方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は、複数のエンコーダ付サーボモータによって1つの出力軸を駆動するに際して、
何れか1台のサーボモータは、位置/速度指令信号と当該サーボモータに備えられたエンコーダからフィードバックした位置/速度検出信号とに基づいて位置/速度制御手段から出力する第1のトルク指令信号と、当該サーボモータに備えたエンコーダからフィードバックする磁極信号とに基づき、トルク制御手段によってトルク制御する一方、
他のサーボモータは、前記1台のサーボモータに流れる電流値から発生トルク算出手段によって前記1台のサーボモータで発生するトルクを算出しこれを第2のトルク指令信号として、この第2トルク指令信号と、当該他のサーボモータに備えたエンコーダからフィードバックする磁極信号とに基づき、他のトルク制御手段によってトルク制御することを特徴とする。
【0016】
また、少なくとも2台のエンコーダ付サーボモータによって1つの出力軸を駆動するに際し、これらのサーボモータを同期運転するサーボモータの同期運転装置であって、
位置/速度指令信号と、何れか1台のサーボモータに備えたエンコーダからフィードバックした位置/速度検出信号とに基づき第1のトルク指令信号を出力する位置/速度制御手段と、
この位置/速度制御手段から出力される第1のトルク指令信号と、前記1台のサーボモータに備えたエンコーダからフィードバックされる磁極信号とに基づき前記1台のサーボモータをトルク制御するトルク制御手段と、
前記1台のサーボモータに流れる電流を検出する電流検出器と、
この電流検出器で検出した電流値から前記1台のサーボモータで発生するトルクを算出する発生トルク算出手段と、
この発生トルク算出手段で算出されたトルク値を表わす信号を第2のトルク指令信号として入力し、この第2のトルク指令信号と、他のサーボモータに備えたエンコーダからフィードバックされる磁極信号とに基づき前記他のサーボモータをトルク制御する他のトルク制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
【作用】
上記構成の本発明によれば、何れか1台のサーボモータに流れる電流から算出したこのサーボモータで発生するトルクを第2のトルク指令信号とし、この第2のトルク指令信号に基づいて他のサーボモータをトルク制御するため、前記1台のサーボモータで発生するトルクと前記他のサーボモータで発生するトルクが等しくなり、これら複数のサーボモータは完全に同期運転される。
【0018】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施例に係るサーボモータの同期運転装置を示すブロック図である。同図において、1,2はエンコーダ、3,4は第1及び第2のサーボモータ、5は出力軸、6はギアボックス、7は位置/速度制御手段、8,11はトルク制御手段、9,12は電流検出器、10,13は発生トルク算出手段である。
【0020】
図1に示すように、第1のサーボモータ3と第2のサーボモータ4は何れもエンコーダ1,2を各々備えたエンコーダ付サーボモータであり、ギヤボックス6を介して1つの出力軸5を駆動する。
【0021】
位置/速度制御手段7では、外部から与えられる位置/速度指令信号Sと、第1のサーボモータ3に備えたエンコーダ1からフィードバックされる位置/速度検出信号Pa と入力し、これらの信号S,Pa に基づいてトルク指令信号TS1をトルク制御手段8へ出力する。トルク制御手段8では、位置/速度制御手段7から出力されるトルク指令信号TS1と、エンコーダ1からフィードバックされる磁極信号Pb と、電流検出器9及び発生トルク算出手段10を介してフィードバックされるトルク信号Ta (詳細後述)とを入力し、これらの信号TS1,Pb ,Ta に基づいて第1のサーボモータ3のトルクを制御する。
【0022】
電流検出器9では、第1のサーボモータ3に流れる電流I1 を検出し、この電流値を表わす電流信号Ia を発生トルク算出手段10へ出力する。発生トルク算出手段10では、電流検出器9から出力される電流信号Ia を入力し、この電流信号Ia から第1のサーボモータ3で発生するトルクを算出して前述の如くトルク制御手段8へフィードバックする(トルク信号Ta )。またこのトルク信号Ta は同時に、トルク指令信号TS2としてトルク制御手段11へも出力される。
【0023】
トルク制御手段11では、発生トルク算出手段10から出力されるトルク指令信号TS2(トルク信号Ta )と、第2のサーボモータ4に備えられたエンコーダ2からフィードバックされる磁極信号PC と、電流検出器12及び発生トルク算出手段13を介してフィードバックされるトルク信号Tb (詳細後述)とを入力し、これらの信号TS2,PC ,Tb に基づいて第2のサーボモータ4のトルクを制御する。
【0024】
電流検出器12では、第2のサーボモータ4に流れる電流I2 を検出し、この電流値を表わす電流信号Ib を発生トルク算出手段13へ出力する。発生トルク算出手段13では、電流検出器12から出力される電流信号Ib を入力し、この電流信号Ib から第2のサーボモータ4で発生するトルクを算出して前述の如くトルク制御手段11へフィードバックする(トルク信号Tb )。
【0025】
従って上記構成のサーボモータの同期運転装置によれば、第1のサーボモータ3は、位置/速度指令信号Sと、エンコーダ1からフィードバックされる位置/速度検出信号Pa とに基づいて位置/速度制御手段7から出力されるトルク指令信号TS1と、エンコーダ1からフィードバックされる磁極信号Pb と、電流検出器9及び発生トルク算出手段10を介してフィードバックされるトルク信号Ta とに基づき、トルク制御手段8によってトルク制御される。一方、第2のサーボモータ4は、発生トルク算出手段10から出力されるトルク指令信号TS2(トルク信号Ta )と、エンコーダ2からフィードバックされる磁極信号PC と、電流検出器12及び発生トルク算出手段13を介してフィードバックされるトルク信号Tb とに基づき、トルク制御手段11によってトルク制御される。
【0026】
このように第1のサーボモータ3で発生するトルク(トルク信号Ta )を第2のサーボモータ4に対するトルク指令信号TS2とし、このトルク指令信号TS2に基づいて第2のサーボモータ4がトルク制御されるため、第1と第2のサーボモータ3,4で発生するトルクが等しい大きさとなる。かくして第1のサーボモータ3と第2のサーボモータ4とが実質完全に同期運転される。
【0027】
【発明の効果】
以上実施例と共に具体的に説明したように本発明によれば、複数のサーボモータの何れか1台で発生するトルクを他のサーボモータに対するトルク指令信号(第2のトルク指令信号)とするため、複数のサーボモータで発生するトルクを等しい大きさにすることができ、複数のサーボモータを完全に同期運転することができる。しかも従来のようなトルク推定手段が不要であるため、小型で安価な同期運転装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るサーボモータの同期運転装置を示すブロック図である。
【図2】従来技術に係る同期運転装置及び回転ユニットの構成図である。
【図3】図2に示す回転ユニットを一部断面した側面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】従来技術に係る同期運転装置を備えた対向スピンドル旋盤の一例を示す制御ブロック図である。
【符号の説明】
1,2 エンコーダ
3 第1のサーボモータ
4 第2のサーボモータ
5 出力軸
6 ギアボックス
7 位置/速度制御手段
8,11 トルク制御手段
9,10 電流検出器
10,13 発生トルク算出手段
I1 ,I2 電流
Ia ,Ib 電流信号
Pa 位置/速度検出信号
Pb ,Pc 磁極信号
S 位置/速度指令信号
TS1,TS2 トルク指令信号
Ta ,Tb トルク信号
【産業上の利用分野】
本発明はサーボモータの同期運転方法及びその装置に関し、特に比較的小型、コンパクトに、組立てロボット等の各種産業用機器に組み込まれる複数のサーボモータを同期運転する場合に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種産業機器、例えば動きが速くて細かくしかも精度を要する割に大きい出力トルクを要する組立てロボットにサーボモータを組み込む場合には、イナーシャを嫌う上に小型、コンパクト性が要求されることから、1台の大きなサーボモータではなく少なくとも2台のサーボモータを組み込み、これら複数のサーボモータで1つの出力軸を駆動するようにしている。この場合複数のサーボモータを完全に同期運転させて均等に出力を得る必要がある。
【0003】
このように複数のサーボモータを同期運転する技術が、特開昭59−172946号公報や特開平2−290187号公報に開示されている。はじめに特開昭59−172946号公報にて開示された技術を図2,図3及び図4に基づいて説明する。なお図2は同期運転装置及び回転ユニットの構成図、図3は図2に示す回転ユニットを一部断面した側面図、図4は図3のIV−IV線矢視断面図である。
【0004】
図2〜図4において、23(23A,23B)は同一の2つの同期電動機、24(24A,24B)はその永久磁石型回転子、25(25A,25B)は出力軸としての回転子24の軸、22(22A,22B)は電機子巻線である。また図3において31は電機子鉄心、32は減速機構、33はそのケースである。
【0005】
減速機機構32は、最終出力軸27に固定された大スプロケット28と、前記各電動機23A,23Bの出力軸25A,25Bに取り付けた小スプロケット26(26A,26B)と、これら大小スプロケット28,26に掛け回された歯付きベルト29とで形成される。大スプロケット28の歯数は小スプロケット26の歯数の整数倍となっていて、最終出力軸27は各回転子24の回転速度の整数分の1の速度で回転する。30は最終出力軸27に連結された回転センサで、サーボ信号aおよびインバータ信号bを出力するサーボセンサ30Aとインバータセンサ30Bとを内蔵する。このように電動機23、減速機構32及び回転センサ30によって回転ユニットが形成される。
【0006】
サーボ基準信号eと前記サーボ信号aとは、1つのサーボ回路20に入力され、このサーボ回路20はこれら両信号e,aの差を示す制御信号dを出力する。1つのインバータ回路21はこの制御信号dに応じた電機子電流1を、インバータ信号bに同期して巻線22A,22Bへ並列に出力する。電動機23A,23Bは同一のものであるから、各巻線22A,22Bには同一の電流I/2が流れ、出力軸25A,25Bには等しいトルクが発生する。
【0007】
次に特開平2−290187号公報にて開示された技術を図5に基づいて説明する。なお図5は、同期運転装置を備えた対向スピンドル旋盤の一例を示す制御ブロック図である。
【0008】
図5に示すように、第1のサーボモータ41にはエンコーダ40及び第1のスピンドル42が接続されており、第1のスピンドル42にはチャック43が取り付けられている。また第2のサーボモータ49にはエンコーダ50及び第2のスピンドル48が接続されており、第2のスピンドル48にはチャック47が取り付けられている。チャック43とチャック47とは対向するようなっている。切削工具44は刃物台45に固定されている。
【0009】
第1のサーボモータ41の位置及び速度はエンコーダ40を介して位置/速度制御手段52で検出され、第1のサーボモータ41の位置指令P1CM と、エンコーダ40からの位置検出信号P1 とを入力し、トルク指令T1 を演算して出力する。またトルク制御手段51は位置/速度制御手段52からのトルク指令T1 を入力し、電力増幅して第1のサーボモータ41へ供給する。更に、第2のサーボモータ49の位置及び速度はエンコーダ50を介して位置/速度制御手段52で検出され、第2のサーボモータ49の位置指令P2CM とエンコーダ50からの位置検出信号P2 とを入力し、トルク指令T2 を演算して出力する。通常対向スピンドル旋盤の2つのスピンドル42及び48は、このように独立して位置、速度制御されるようになっている。
【0010】
これに対して図5に示すように、ワーク46がチャック43、47に把持された状態でワーク46の受け渡しをする場合や切削工具44でワーク46の切削加工を行う場合には、スピンドル42,48が共に高精度に同期して制御されなければワーク46に大きなねじりトルクが発生して加工精度上及びサーボモータ制御上に不具合が発生するため、次のようにしてスピンドル42,48の同期制御が行われる。
【0011】
即ちトルク推定手段53において、第1のサーボモータ41のトルク指令T1 、位置指令P1CM 、位置検出信号P1 と、第2のサーボモータ49の位置指令P2CM 、位置検出信号P2 及び同期運転信号SYNCとを入力し、第2のサーボモータ49の所望トルクを推定演算し、これを第2のサーボモータ49のトルク指令TCMP として加算手段55へ出力し、加算手段15で加算されたトルク指令T2CMP(このとき同期運転信号SYNCによりトルク指令T2 は零)をトルク制御手段54へ指令するようになっている。これによってスピンドル42と48、即ちサーボモータ41と49とが同期運転される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来技術に係る同期運転装置のうち図2に示す同期運転装置(特開昭59−172946号公報にて開示のもの)では、電動機23Aと23Bの特性が全く同一でなければならない。しかし現実には両電動機23A,23Bの特性を全く同一にすることは不可能であり、従って微視的にみると両電動機23A,23Bを完全に同期させることは難しい。
【0013】
また図5に示す同期運転装置(特開平2−290187号公報にて開示のもの)では、サーボモータ41と49の特性が同一でなくてもこれらを完全に同期させることはできるものの、そのためにはトルク推定手段53を備えなければならず、これによって同期運転装置全体が大規模で高価なものになってしまう。
【0014】
従って本発明は上記従来技術に鑑み、1つの出力軸を駆動する複数のサーボモータを完全に同期運転することができ、しかも装置全体が小型で安価なサーボモータの同期運転方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は、複数のエンコーダ付サーボモータによって1つの出力軸を駆動するに際して、
何れか1台のサーボモータは、位置/速度指令信号と当該サーボモータに備えられたエンコーダからフィードバックした位置/速度検出信号とに基づいて位置/速度制御手段から出力する第1のトルク指令信号と、当該サーボモータに備えたエンコーダからフィードバックする磁極信号とに基づき、トルク制御手段によってトルク制御する一方、
他のサーボモータは、前記1台のサーボモータに流れる電流値から発生トルク算出手段によって前記1台のサーボモータで発生するトルクを算出しこれを第2のトルク指令信号として、この第2トルク指令信号と、当該他のサーボモータに備えたエンコーダからフィードバックする磁極信号とに基づき、他のトルク制御手段によってトルク制御することを特徴とする。
【0016】
また、少なくとも2台のエンコーダ付サーボモータによって1つの出力軸を駆動するに際し、これらのサーボモータを同期運転するサーボモータの同期運転装置であって、
位置/速度指令信号と、何れか1台のサーボモータに備えたエンコーダからフィードバックした位置/速度検出信号とに基づき第1のトルク指令信号を出力する位置/速度制御手段と、
この位置/速度制御手段から出力される第1のトルク指令信号と、前記1台のサーボモータに備えたエンコーダからフィードバックされる磁極信号とに基づき前記1台のサーボモータをトルク制御するトルク制御手段と、
前記1台のサーボモータに流れる電流を検出する電流検出器と、
この電流検出器で検出した電流値から前記1台のサーボモータで発生するトルクを算出する発生トルク算出手段と、
この発生トルク算出手段で算出されたトルク値を表わす信号を第2のトルク指令信号として入力し、この第2のトルク指令信号と、他のサーボモータに備えたエンコーダからフィードバックされる磁極信号とに基づき前記他のサーボモータをトルク制御する他のトルク制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
【作用】
上記構成の本発明によれば、何れか1台のサーボモータに流れる電流から算出したこのサーボモータで発生するトルクを第2のトルク指令信号とし、この第2のトルク指令信号に基づいて他のサーボモータをトルク制御するため、前記1台のサーボモータで発生するトルクと前記他のサーボモータで発生するトルクが等しくなり、これら複数のサーボモータは完全に同期運転される。
【0018】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施例に係るサーボモータの同期運転装置を示すブロック図である。同図において、1,2はエンコーダ、3,4は第1及び第2のサーボモータ、5は出力軸、6はギアボックス、7は位置/速度制御手段、8,11はトルク制御手段、9,12は電流検出器、10,13は発生トルク算出手段である。
【0020】
図1に示すように、第1のサーボモータ3と第2のサーボモータ4は何れもエンコーダ1,2を各々備えたエンコーダ付サーボモータであり、ギヤボックス6を介して1つの出力軸5を駆動する。
【0021】
位置/速度制御手段7では、外部から与えられる位置/速度指令信号Sと、第1のサーボモータ3に備えたエンコーダ1からフィードバックされる位置/速度検出信号Pa と入力し、これらの信号S,Pa に基づいてトルク指令信号TS1をトルク制御手段8へ出力する。トルク制御手段8では、位置/速度制御手段7から出力されるトルク指令信号TS1と、エンコーダ1からフィードバックされる磁極信号Pb と、電流検出器9及び発生トルク算出手段10を介してフィードバックされるトルク信号Ta (詳細後述)とを入力し、これらの信号TS1,Pb ,Ta に基づいて第1のサーボモータ3のトルクを制御する。
【0022】
電流検出器9では、第1のサーボモータ3に流れる電流I1 を検出し、この電流値を表わす電流信号Ia を発生トルク算出手段10へ出力する。発生トルク算出手段10では、電流検出器9から出力される電流信号Ia を入力し、この電流信号Ia から第1のサーボモータ3で発生するトルクを算出して前述の如くトルク制御手段8へフィードバックする(トルク信号Ta )。またこのトルク信号Ta は同時に、トルク指令信号TS2としてトルク制御手段11へも出力される。
【0023】
トルク制御手段11では、発生トルク算出手段10から出力されるトルク指令信号TS2(トルク信号Ta )と、第2のサーボモータ4に備えられたエンコーダ2からフィードバックされる磁極信号PC と、電流検出器12及び発生トルク算出手段13を介してフィードバックされるトルク信号Tb (詳細後述)とを入力し、これらの信号TS2,PC ,Tb に基づいて第2のサーボモータ4のトルクを制御する。
【0024】
電流検出器12では、第2のサーボモータ4に流れる電流I2 を検出し、この電流値を表わす電流信号Ib を発生トルク算出手段13へ出力する。発生トルク算出手段13では、電流検出器12から出力される電流信号Ib を入力し、この電流信号Ib から第2のサーボモータ4で発生するトルクを算出して前述の如くトルク制御手段11へフィードバックする(トルク信号Tb )。
【0025】
従って上記構成のサーボモータの同期運転装置によれば、第1のサーボモータ3は、位置/速度指令信号Sと、エンコーダ1からフィードバックされる位置/速度検出信号Pa とに基づいて位置/速度制御手段7から出力されるトルク指令信号TS1と、エンコーダ1からフィードバックされる磁極信号Pb と、電流検出器9及び発生トルク算出手段10を介してフィードバックされるトルク信号Ta とに基づき、トルク制御手段8によってトルク制御される。一方、第2のサーボモータ4は、発生トルク算出手段10から出力されるトルク指令信号TS2(トルク信号Ta )と、エンコーダ2からフィードバックされる磁極信号PC と、電流検出器12及び発生トルク算出手段13を介してフィードバックされるトルク信号Tb とに基づき、トルク制御手段11によってトルク制御される。
【0026】
このように第1のサーボモータ3で発生するトルク(トルク信号Ta )を第2のサーボモータ4に対するトルク指令信号TS2とし、このトルク指令信号TS2に基づいて第2のサーボモータ4がトルク制御されるため、第1と第2のサーボモータ3,4で発生するトルクが等しい大きさとなる。かくして第1のサーボモータ3と第2のサーボモータ4とが実質完全に同期運転される。
【0027】
【発明の効果】
以上実施例と共に具体的に説明したように本発明によれば、複数のサーボモータの何れか1台で発生するトルクを他のサーボモータに対するトルク指令信号(第2のトルク指令信号)とするため、複数のサーボモータで発生するトルクを等しい大きさにすることができ、複数のサーボモータを完全に同期運転することができる。しかも従来のようなトルク推定手段が不要であるため、小型で安価な同期運転装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るサーボモータの同期運転装置を示すブロック図である。
【図2】従来技術に係る同期運転装置及び回転ユニットの構成図である。
【図3】図2に示す回転ユニットを一部断面した側面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】従来技術に係る同期運転装置を備えた対向スピンドル旋盤の一例を示す制御ブロック図である。
【符号の説明】
1,2 エンコーダ
3 第1のサーボモータ
4 第2のサーボモータ
5 出力軸
6 ギアボックス
7 位置/速度制御手段
8,11 トルク制御手段
9,10 電流検出器
10,13 発生トルク算出手段
I1 ,I2 電流
Ia ,Ib 電流信号
Pa 位置/速度検出信号
Pb ,Pc 磁極信号
S 位置/速度指令信号
TS1,TS2 トルク指令信号
Ta ,Tb トルク信号
Claims (2)
- 複数のエンコーダ付サーボモータによって1つの出力軸を駆動するに際して、
何れか1台のサーボモータは、位置/速度指令信号と当該サーボモータに備えられたエンコーダからフィードバックした位置/速度検出信号とに基づいて位置/速度制御手段から出力する第1のトルク指令信号と、当該サーボモータに備えたエンコーダからフィードバックする磁極信号とに基づき、トルク制御手段によってトルク制御する一方、
他のサーボモータは、前記1台のサーボモータに流れる電流値から発生トルク算出手段によって前記1台のサーボモータで発生するトルクを算出しこれを第2のトルク指令信号として、この第2トルク指令信号と、当該他のサーボモータに備えたエンコーダからフィードバックする磁極信号とに基づき、他のトルク制御手段によってトルク制御することを特徴とするサーボモータの同期運転方法。 - 少なくとも2台のエンコーダ付サーボモータによって1つの出力軸を駆動するに際し、これらのサーボモータを同期運転するサーボモータの同期運転装置であって、
位置/速度指令信号と、何れか1台のサーボモータに備えたエンコーダからフィードバックした位置/速度検出信号とに基づき第1のトルク指令信号を出力する位置/速度制御手段と、
この位置/速度制御手段から出力される第1のトルク指令信号と、前記1台のサーボモータに備えたエンコーダからフィードバックされる磁極信号とに基づき前記1台のサーボモータをトルク制御するトルク制御手段と、
前記1台のサーボモータに流れる電流を検出する電流検出器と、
この電流検出器で検出した電流値から前記1台のサーボモータで発生するトルクを算出する発生トルク算出手段と、
この発生トルク算出手段で算出されたトルク値を表わす信号を第2のトルク指令信号として入力し、この第2のトルク指令信号と、他のサーボモータに備えたエンコーダからフィードバックされる磁極信号とに基づき前記他のサーボモータをトルク制御する他のトルク制御手段とを備えたことを特徴とするサーボモータの同期運転装置。
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