JP3554871B2 - 鉄骨柱の建入れ溶接方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、建造物構築時の鉄骨柱の建入れ溶接方法、特に、柱ジョイント部の溶接作業を簡便になし得る鉄骨柱の建入れ溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下部既設及び上部新設鉄骨柱1,2の建入れ作業において用いるエレクションピース(拘束治具)3,3´は、図11〜図13に示すように、前後または左右の対向する2面に夫々互いに離間して、2個づつ設置するものが主流であった。特に溶接ロボットを適用する場合には、図14に示すように最初に、エレクションピースが取り付けられていない面で既設及び新設柱1,2の柱ジョイント部4を溶接する方法が採られてきている。
【0003】
なお、5は上記エレクションピース3,3´の対応するもの同志に固定される板状の拘束治具、6はその取付ボルト、7は溶接トーチである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、このような構成のものでは、図14に示すように柱ジョイント部4の溶接作業において、このエレクションピース3,3´及びこれに接続した拘束治具5が障害物となり、エレクションピースのない部分の溶接作業をある程度完了させた後に溶接作業の障害となるエレクションピースを図15に示すようにガス切断機8によって切断し、図16に示すように残りの部分の溶接作業を再開させる手間が生じていた。そのため、溶接作業が途中で中断し、滑らかな作業ができないだけでなく、溶接工は、ビード継ぎ足し部などに発生しやすい欠陥に細心の注意を払う必要があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の溶接作業中のエレクションピースの切断を不要とし、溶接作業を淀みなく行なうことができ、溶接完了までのエレクションピースなどによる仮接合治具を少なくとも対向する2面において存置させることによる溶接時のゆがみ変形の少ない柱ジョイント部の溶接接合を可能にするものである。
【0006】
本発明の鉄骨柱の建入れ溶接方法は、下部既設鉄骨柱上部と上部新設鉄骨柱下部の左右前後の面に互いに対向する位置でエレクションピースを設ける工程と、上記各鉄骨柱の左右の面における上記エレクションピースの互いに対応するものに主拘束治具を固定すると共に、上記各鉄骨柱の前後の面における上記エレクションピースの互いに対応するものに副拘束治具を固定する工程と、新設鉄骨柱上部の梁材を柱間に固定した後に、上記副拘束治具を撤去する工程と、ジョイント部に沿って溶接トーチを走行させながら溶接し、存置された主拘束治具部分の柱ジョイント部は溶接トーチの差し込みで溶接する工程とより成る。
【0008】
上記溶接トーチは2台用い、存置された主拘束治具部分の一側に接近した部分のジョイント部の溶接を一方の溶接トーチで行ない、他側に接近した部分のジョイント部の溶接を他方の溶接トーチで行ない、上記両溶接トーチの作業に時間差をもたせた。
【0009】
【実施例】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【0010】
本発明においては、図1及び図2に示すように、上記エレクションピース3,3´をこれによって上記柱ジョイント部4を覆わないよう、柱ジョイント部4から夫々下方及び上方に十分離間した位置に設けると共に、溶接作業時に存置させる予定の拘束治具5を接続するためのエレクションピース3,3´を、既設及び新設鉄骨柱1,2の互いに対向する面、例えば左右の面に1個づつ設置し、また、柱建入れ後、上部の梁材接続完了時に撤去することになる補助拘束治具9を受けるエレクションピース3,3´を残りの対向面に1個づつ設置し、夫々鉄骨柱に溶接固定せしめる。
【0011】
次いで、下部既設鉄骨柱1上に上部新設鉄骨柱2を建入れ、この状態で、エレクションピース3,3´に拘束治具5と補助拘束治具9を取り付けて仮拘束を行ない、鉄骨の建て方を進めて上部の梁接続固定が完了した段階で、即ち、上部新設鉄骨柱2の位置が下部既設鉄骨柱1に相対的に変化する心配がなくなった時点で図3及び図4に示すように、補助拘束治具9を撤去し、2台の自動溶接機を対面にセットし、その溶接トーチ7を上記柱ジョイント部4に接近させ、柱ジョイント部4に沿って溶接トーチ7を走行させながら溶接トーチ7でジョイント部4を溶接する。
【0012】
この際各溶接トーチ7が、存置されている拘束治具部分の両側に接近した際には、お互いに時間差をもって、拘束治具5のジョイント側開口に差し込むように溶接トーチ7を動かすことにより、その部分の溶接ビード継ぎを行なうことができる。この場合、拘束治具5まで撤去して、溶接作業を行なうことも考えられるが、その場合上部新設鉄骨柱2は下部既設鉄骨柱1上に重力で載っているだけの状態となり、風や地震による水平力に対して、危険であるので全拘束治具5,9の溶接前の撤去は避けなければならない。
【0013】
この方法は、ボックス柱に限らずに、図5及び図6に示すように円柱や角が曲線状態となる成形コラムの柱溶接においても適用できる。
【0015】
【発明の効果】
上記のように本発明の鉄骨柱の建入れ溶接方法によれば、自動溶接機による柱ジョイント部の自動溶接をスムーズに行なうことができ、従来の自動溶接機では必要であった部分溶接した溶接止端部のエンドタブ設置作業や止端部のはつり作業をなくすことができ、鉄骨建て方時の柱溶接作業の効率化・省人化に寄与する溶接方法を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄骨柱の建入れ溶接方法に用いる拘束治具部分の正面図である。
【図2】本発明の鉄骨柱の建入れ溶接方法に用いる拘束治具部分の横断平面図である。
【図3】図1に示す例の溶接状況説明用正面図である。
【図4】図1に示す例の溶接状況説明用横断平面図である。
【図5】本発明の鉄骨柱の建入れ溶接方法に用いる拘束治具部分の他の例を示す横断平面図である。
【図6】本発明の鉄骨柱の建入れ溶接方法に用いる拘束治具部分の更に他の例を示す横断平面図である。
【図7】従来の鉄骨柱の建入れ溶接方法に用いる拘束治具部分の正面図である。
【図8】図7に示す例の側面図である。
【図9】図7に示す例の横断平面図である。
【図10】図7に示す例の溶接状況説明用横断平面図である。
【図11】図7に示す例の溶接状況説明用横断平面図である。
【図12】図7に示す例の溶接状況説明用横断平面図である。
【符号の説明】
1 下部既設鉄骨柱
2 上部新設鉄骨柱
3 エレクションピース
3´ エレクションピース
4 ジョイント部
5 拘束治具
6 取付ボルト
7 溶接トーチ
8 ガス切断機
9 補助拘束治具
Claims (2)
- 下部既設鉄骨柱上部と上部新設鉄骨柱下部の左右前後の面に互いに対向する位置でエレクションピースを設ける工程と、上記各鉄骨柱の左右の面における上記エレクションピースの互いに対応するものに主拘束治具を固定すると共に、上記各鉄骨柱の前後の面における上記エレクションピースの互いに対応するものに副拘束治具を固定する工程と、新設鉄骨柱上部の梁材を柱間に固定した後に、上記副拘束治具を撤去する工程と、ジョイント部に沿って溶接トーチを走行させながら溶接し、存置された主拘束治具部分の柱ジョイント部は溶接トーチの差し込みで溶接する工程とより成ることを特徴とする鉄骨柱の建入れ溶接方法。
- 上記溶接トーチは2台用い、存置された主拘束治具部分の一側に接近した部分のジョイント部の溶接を一方の溶接トーチで行ない、他側に接近した部分のジョイント部の溶接を他方の溶接トーチで行ない、上記両溶接トーチの作業に時間差をもたせたことを特徴とする請求項1記載の鉄骨柱の建入れ溶接方法。
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP09417995A JP3554871B2 (ja) | 1995-03-29 | 1995-03-29 | 鉄骨柱の建入れ溶接方法 |
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Family Applications (1)
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JP09417995A Expired - Fee Related JP3554871B2 (ja) | 1995-03-29 | 1995-03-29 | 鉄骨柱の建入れ溶接方法 |
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-
1995
- 1995-03-29 JP JP09417995A patent/JP3554871B2/ja not_active Expired - Fee Related
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