JP3554430B2 - 燃焼器具の温度検出回路 - Google Patents

燃焼器具の温度検出回路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、サーミスタを用いて広い範囲の温度を正確に検出し、自動消火温度及びサーミスタの断線等を検出する燃焼器具の温度検出回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃焼器具においては、天ぷら火災防止のため、天ぷら鍋の温度が250℃に達すると自動消火するように設定したり、また、サーミスタが断線すると自動消火するようにし安全性を図っている。サーミスタの断線の検出はサーミスタ温度が冷凍食品が鍋に入れられた場合を考え、冷凍食品の温度でサーミスタが断線したと判断しないように、判断基準を−22℃とし、サーミスタ温度が−22℃に低下するとサーミスタが断線したと判断して自動消火するように設定している。
したがって、サーミスタで検出する温度は250℃〜−22℃の広い範囲に及び、サーミスタの抵抗値は数百Ω〜数百kΩの範囲で変化することになる。それ故、この広い温度範囲において、正確に温度を検出することが困難であった。
【0003】
そこで、従来の燃焼器具の温度検出回路は、図9に示す様に、サーミスタTH′に直列に抵抗R′を接続し電源電圧VDD′を分圧し、その分圧電圧V′を自動消火温度検出用のコンパレータU′に入力すると共に、電源電圧VDD′を抵抗R′と抵抗R′で分圧した分圧電圧V′を設定電圧としてコンパレータU′に入力して、サーミスタ温度が250℃以下ならLo、以上ならHiを出力させ、これにより自動消火温度に達しているか否かを判定できるようにし、また、前記分圧電圧V′を抵抗R′と抵抗R′により分圧し、その分圧電圧V′をサーミスタ断線検出用のコンパレータU′に入力すると共に、電源電圧VDD′を抵抗R′と半固定抵抗VR′からなる直列回路と、抵抗R′とで分圧し、その分圧電圧V′を設定電圧としてコンパレータU′に入力し、サーミスタTH′が正常ならばLo、サーミスタTH′に断線異常があるとHiを出力させ、これによりサーミスタTH′が断線しているか否かを判定できるようにしたものが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術で述べたものは、自動消火温度(250℃)におけるサーミスタと抵抗による分圧電圧V′と、断線判断温度(−22℃)におけるサーミスタと抵抗による分圧電圧が、検出したい温度近辺で大きく変化する様に抵抗R′を決定しているが、抵抗R′の値が一定であり、高温(250℃)におけるサーミスタ抵抗値と、低温(−22℃)におけるサーミスタ抵抗値との両方で必要な精度が得られず、半固定抵抗VR′を設けて設定電圧を調節して一定の精度を得るようにしているが、検出温度の広範囲化、高精度化に充分対応することができないという問題点があった。
【0005】
この発明は従来技術の有するこの様な問題点に鑑み、パルス制御方式の燃焼制御装置に使用する場合において、サーミスタと抵抗とにより分圧電圧を得るために接続する抵抗をパルス信号を利用して切替えできるようにし、
測定しようとする温度近辺で分圧電圧の変化を大きくしサーミスタの分解能を向上させ、広い範囲の温度の検出精度を高くし、また、低温側(サーミスタの断線検出用)と高温側(自動消火温度検出用)の2種類の分圧電圧を得られるようにし、低温側の設定電圧と高温側の設定電圧とをそれぞれ比較することにより温度検出の高精度化を図った燃焼器具の温度検出回路を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃焼器具の温度検出回路は、ガス供給路を開閉する電磁安全弁を駆動する電磁安全弁駆動回路と、パルス信号を発生するパルス発生部と、異常検出回路とを備え、正常時にはパルス発生部から発信されたパルス信号が異常検出回路を経由して電磁安全弁駆動回路に送られ、異常検出時にはパルス信号がストップして燃焼を停止するようにしたパルス制御方式の燃焼器具の温度検出回路において、
サーミスタの両端にそれぞれ抵抗を接続し、上記パルス信号を入力しパルス信号のHi−Loに応じてこれらの抵抗を交互に切替え接続する切替え手段を設け、サーミスタとサーミスタに接続される抵抗で得られる分圧電圧を、高温側と低温側の2種類発生させ、高温側の設定電圧と低温側の設定電圧とそれぞれ比較することにより、検出温度が所定の自動消火温度以上あるいはサーミスタ断線検出温度以下であれば燃焼を停止させるもので、実施形態で使用した符号を用いて示すと、サーミスタTHの両端にそれぞれ抵抗R,Rを接続し、パルス信号のHi−Loに応じてこれらの抵抗R,Rを切替え接続する切替え手段を設け、サーミスタTHとサーミスタTHに接続される抵抗R,Rで得られる分圧電圧V,Vを、高温側(自動消火温度検出用)と低温側(サーミスタの断線検出用)の2種類発生させ、高温側の設定電圧Vと低温側の設定電圧Vとそれぞれ比較し温度を検出する。この場合、パルス信号を利用してパルス電圧VのHi−Loに応じてサーミスタTHに直列に接続されるこれらの抵抗R,Rを切替え、サーミスタTHに抵抗Rが直列に接続された場合は、高温側の温度すなわち自動消火温度に達しているか否かを判断するための分圧電圧Vが得られ、サーミスタTHに抵抗Rが直列に接続された場合は、低温側の温度すなわちサーミスタTHが断線しているか否かを判断するための分圧電圧Vが得られ、高温側の設定電圧と低温側の設定電圧とそれぞれ比較して自動消火温度以上であるか否か、サーミスタが断線しているか否かを判定する。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図1〜図7を参照して説明する。
図1は参考例としての回路を示すもので、THはサーミスタで、これに抵抗Rと第1電界効果トランジスタFETの直列回路と、抵抗Rと第2電界効果トランジスタFETの直列回路と、抵抗Rのみの回路との並列回路が接続され、接続点における電源電圧VDDの分圧電圧VがマイクロコンピュータAに入力できるようにアナログポートANに接続され、上記第1,第2電界効果トランジスタFET,FETのゲートもマイクロコンピュータAに接続されている。マイクロコンピュータAの出力側には電磁安全弁駆動トランジスタTr1のベースが接続され、該トランジスタTr1のコレクターには電磁安全弁のマグネットコイルMgが接続され、エミッターには電源が接続されている。
そして、電源電圧VDDをサーミスタTHと抵抗とで分圧した電圧Vが、マイクロコンピュータAに入力され、電圧レベルの判定がされ温度レベルに応じてFET,FETに指令が出されオン又はオフされ、第1,第2電界効果トランジスタFET,FETがオフされると抵抗RのみがサーミスタTHに直列接続され、低温の温度変化に対応でき、第2電界効果トランジスタFETがオンされサーミスタTHに直列に抵抗Rと抵抗Rの並列回路が接続されると、抵抗値Rのみと比べ抵抗値が小さくなるため、抵抗Rのみが直列接続されている時よりサーミスタ温度が高い温度(中温)になった場合の温度変化に対応でき、また、第1,第2電界効果トランジスタFET,FETの両者がオンされると、サーミスタTHに直列に抵抗R,抵抗R,抵抗Rの並列回路が接続され、サーミスタTHに直列に接続される並列回路の合成抵抗がより小さくなるため更に高温になった場合の温度変化に対応できるように設定される。
この様に、サーミスタTHに直列接続される抵抗が温度レベルに合せて切替えられるので、サーミスタTHと直列接続された抵抗とによる分圧電圧VによりマイクロコンピュータAにおいて高精度のサーミスタ温度が検出され、この温度判定データによりマイクロコンピュータAより電磁安全弁駆動トランジスタTr1に制御信号が出力され、該トランジスタTr1をオン又はオフし、電磁安全弁のマグネットコイルMgへの通電を制御する。
温度範囲が焼物の温度(350℃)、天ぷら鍋温度(250℃)、煮物温度(100℃)、サーミスタ断線判断温度(−22℃)等の様にさらに広い場合や、より高い精度が必要な場合は、切替え数を増加し、サーミスタTHに直列接続できる抵抗値の種類を増やすことで対応することが可能である。
【0008】
図2は、本発明の実施形態であるパルス制御方式の燃焼器具に使用する温度検出回路で、サーミスタTHは調理容器の底に密接するように設置され、該サーミスタTHの一端と電源との間に抵抗Rが、サーミスタTHの他端と電源との間には抵抗Rが接続され、また、2つの第3,第4電界効果トランジスタFET,FETのドレインがサーミスタTHの両端に接続されている。2つのFET,FETのそれぞれのゲートはFETとFETを交互にオン−オフする反転素子DTを介して接続されている。
さらに、サーミスタTHの一端(抵抗R側)は自動消火温度検出用のコンパレータUの+入力端子に接続され、コンパレータUの−入力端子には抵抗Rと抵抗Rの分圧点が接続され、該抵抗R,抵抗Rにより分圧された電源電圧VDDの分圧電圧Vを高温側の設定電圧としてコンパレータUに入力できるようになっている。サーミスタの他端(抵抗R側)は抵抗R5 , 6 , の直列回路の抵抗RとRの接続点に接続され、抵抗RとRの接続点はサーミスタ断線検出用のコンパレータUの−入力端子に接続され、サーミスタTHに直列に抵抗Rが接続されたときの分圧電圧VをコンパレータUの同相入力電圧範囲に入れる必要があるので抵抗Rと抵抗Rによりさらに分圧し、その分圧電圧Vを入力できるようにしている。抵抗R10と抵抗R11は電源電圧VDDを分圧して低温側の設定電圧VをコンパレータUに入力できるように、その分圧点が+入力端子に接続されている。
そして、入力されるパルス電圧Vにより第3電界効果トランジスタFETがオフし第4電界効果トランジスタFETがオンの時は、図3に示す等価回路となり、FETのオンによりサーミスタTHのFET側はGND電位となり、電源電圧VDDはサーミスタ抵抗と抵抗Rにより分圧され分圧電圧Vが得られる。抵抗Rはサーミスタ断線検出(低温側)には全く影響しない抵抗で、自動消火検出温度に合せて決定できる。尚、抵抗値が小さいと消費電流が増加するため、所定の検出精度を満す範囲で抵抗値を決定する。したがって図5に示す通り250℃近辺で最も分圧電圧Vが変化するようにできる。この分圧電圧Vは自動消火温度検出用のコンパレータUに入力され設定電圧と比較され、250℃以上であればパルス信号が出力されず、250℃以下であれば継続してパルス信号が出力される。
次に、FETがオンしFETがオフとなった場合は図4の等価回路となり、FETのオンによりサーミスタのFET側がGND電位となり、FETがオフでサーミスタは抵抗RとRと並列接続となり、抵抗Rとにより電源電圧VDDが分圧され分圧電圧Vが得られる。そして抵抗R,R,Rは自動消火検出温度には全く影響しない抵抗であるから、抵抗R,R,RはサーミスタTHの断線検出に合せて決定でき、抵抗Rを断線検出レベルのサーミスタ抵抗付近の値に設定すると、最も検出精度を高くすることができる。この分圧電圧Vは図6に示す様に−22℃近辺で最も大きく変化するように設定でき、該分圧電圧VはコンパレータUの同相電圧範囲に入る様に抵抗RとRで分圧し、その分圧電圧VをコンパレータUに入力し、設定された設定電圧Vと比較し(図7)サーミスタTHが断線しているか否かを検出する。
【0009】
【実施例】
以下に、この発明の実施例を図8に基づいて説明する。
図8において、1は電磁安全弁Vを駆動しガス供給通路を開閉する電磁安全弁駆動回路で、パルス発生部2も備え、電源回路7に接続されている。パルス発生部2には電池電圧監視回路3、本発明に係る温度検出回路4、熱電対TCを用いた炎検知回路5の順に各異常検出回路が接続され、パルス発生部2から発信されたパルス信号が上記各異常検出回路を経由して再び電磁安全弁駆動回路1及びパルス発生部2にフィードバックされている。6はパルス監視回路で電池電圧監視回路3に接続され、パルス信号が停止したとき電源回路7の出力をオフするもので、また、乾電池EにイグナイタースイッチSWを介してイグナイターIGが接続され、イグナイタースイッチSWをオンするとパルス監視回路6がオンし電源回路7から電磁安全弁駆動回路1に出力するようになっている。そして、上記電池電圧監視回路3、温度検出回路4、炎検知回路5等の各異常検出回路が正常ならばパルス発生部2から発信されたパルス信号が次々に伝達され再び電磁安全弁駆動回路1及びパルス発生部2にフィードバックされパルス発生部2からも継続してパルス信号が発信され、電磁安全弁Vのマグネットコイルを継続して励磁し電磁安全弁を開に保持し燃焼を継続し、異常を検出するとパルス信号がスットプし燃焼を停止しする。
この様なパルス制御方式の燃焼器具に本発明の温度検出回路を組込むと、パルス信号が入力されパルス電圧Vで抵抗の切替えがパルスに同期して行なわれ、常時高温側と低温側の分圧電圧V,Vが得られ、分圧電圧VはコンパレータUに入力され自動消火温度である250℃以上であるか否かが監視され、250℃以上になるとコンパレータUからパルス信号が出力されず、燃焼を停止することができる。このように燃焼器具のフェールセーフ性も向上させることができる。そして、低温側の分圧電圧VはコンパレータUの同相電圧範囲内に入る様にさらに抵抗R,Rにより分圧され、その分圧電圧VがコンパレータUに入力され、サーミスタTHが断線しているか否かを監視する。サーミスタTHが断線するとコンパレータUの出力がLとなり別の回路を介してシステムを停止し燃焼をストップする。
【0010】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0011】
この発明によれば、パルス制御方式の燃焼器具のパルス信号を利用して抵抗値を切替えることができるので、検出したい温度での電圧変化量を大きくでき、かつ低温側と高温側の分圧電圧が得られるので、この分圧電圧と設定電圧とを比較して自動消火温度とサーミスタの断線を監視できる。それ故、検知精度を上げることができ、パルス制御方式の燃焼器具の安全性を向上させることができる。また、従来のように半固定抵抗を用いて設定電圧を調整する必要もなく便利である。そして、パルス信号に同期してサーミスタに接続する抵抗が切替えられるので、常時低温側と高温側の分圧電圧をサーミスタの両端に発生させることができ、同時に低温側と高温側の温度監視ができる。さらに、低温側の分圧電圧を得るときは、高温側の抵抗を無関係にし、反対に、高温側の分圧電圧を得るときは、低温側の抵抗を無関係にすることができるので、抵抗値を検出しようとする温度に合せて最も検出精度を高くする値に設定でき、高温側と低温側とで検出温度に大きな差があっても高精度で温度検出ができ、消費電力も少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電界効果トランジスタを制御してサーミスタに直列接続する抵抗を切替える燃焼器具の温度検出回路の回路図である。
【図2】入力するパルス信号によりサーミスタに接続する抵抗を切替える燃焼器具の温度検出回路の回路図である。
【図3】図2においてFETがオフ、FETがオンした場合の等価回路である。
【図4】図2においてFETがオン、FETがオフした場合の等価回路である。
【図5】サーミスタ温度に対する高温側の分圧電圧Vの変化と、設定電圧の関係を示す図である。
【図6】サーミスタ温度に対する低温側の分圧電圧Vの変化を示す図である。
【図7】サーミスタ温度に対する分圧電圧Vの変化と、設定電圧との関係を示す図である。
【図8】パルス制御方式の燃焼制御回路の説明図である。
【図9】従来例の回路図である。
【符号の説明】
TH…サーミスタ、R,R,R,R,R,R,R…抵抗、FET,FET,FET,FET…電界効果トランジスタ、A…マイクロコンピュータ、DT…反転素子、V,V,V,V…分圧電圧、V…パルス電圧。

Claims (1)

  1. ガス供給路を開閉する電磁安全弁を駆動する電磁安全弁駆動回路と、パルス信号を発生するパルス発生部と、異常検出回路とを備え、正常時にはパルス発生部から発信されたパルス信号が異常検出回路を経由して電磁安全弁駆動回路に送られ、異常検出時にはパルス信号がストップして燃焼を停止するようにしたパルス制御方式の燃焼器具の温度検出回路において、
    サーミスタの両端にそれぞれ抵抗を接続し、上記パルス信号を入力しパルス信号のHi−Loに応じてこれらの抵抗を交互に切替え接続する切替え手段を設け、サーミスタとサーミスタに接続される抵抗で得られる分圧電圧を、高温側と低温側の2種類発生させ、高温側の設定電圧と低温側の設定電圧とそれぞれ
    比較することにより、検出温度が所定の自動消火温度以上あるいはサーミスタ断線検出温度以下であれば燃焼を停止させることを特徴とする燃焼器具の温度検出回路。
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