JP3554149B2 - 液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギーを液体に作用させることで起こる気泡の発生によって所望の液体を吐出する液体吐出ヘッド及びその製造方法に関し、特に、気泡の発生を利用して変位する可動部材を有する液体吐出ヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
なお、本発明における、「記録」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を付与することをも意味するものである。
【0003】
【従来の技術】
熱等のエネルギーをインクに与えることで、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録方法が従来から知られている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置には、特公昭61−59911号公報や特公昭61−59914号公報に開示されているように、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出するためのエネルギー発生手段としての発熱体(電気熱変換体)とが一般的に設けられている。
【0004】
上記のような記録方法によれば、品位の高い画像を高速、低騒音で記録することができるとともに、この記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出口を高密度に配置することができるため、小型の装置で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得ることができる等の多くの優れた点を有している。このため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンター、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムにまで利用されるようになってきている。
【0005】
そこで、本発明者達のうちの一部は、液体吐出の原理に立ち返り、従来では得られなかった気泡を利用した新規な液体吐出方法及びそれに用いられるヘッド等を提供すべく鋭意研究を行い、特願平8−4892号公報等を出願している。
【0006】
特願平8−4892号公報等に開示された発明は、液路中の可動部材の支点と自由端との位置関係を、吐出口側つまり下流側に自由端が位置する関係にすること、また可動部材を発熱体もしくは、気泡発生領域に面して配置することで積極的に気泡を制御する技術である。
【0007】
上述したような、極めて新規な吐出原理に基づく液体吐出ヘッド等によると、発生する気泡とこれによって変位する可動部材との相乗効果を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率良く吐出できるため、従来のバブルジェット方式の吐出方法、ヘッド等に比べて、吐出効率を向上させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上述した液体吐出ヘッドに用いられる可動部材の材料としては、様々なものが考えられるが、気泡の発生による圧力を液体の吐出に効率的に利用するために、弾性に優れたニッケルが一般的に使用されている。
【0009】
しかし、pHの高い液体を使用した場合、可動部材自身がわずかに液体に溶融し、それが液体自身の吐出性能や可動部材の耐久性に悪影響が出る場合があった。また、機械的特性が優れているものの、耐食性の低い材料は可動部材として用いることが困難であった。
【0010】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、液体に対する耐久性に優れ、かつ、弾性に優れた可動部材を有する液体吐出ヘッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、
液体を吐出する吐出口と、
該吐出口に連通し、液体を吐出するために利用される気泡を発生させるための熱エネルギーを発生する発熱体を備える液流路と、
前記吐出口側を自由端として前記発熱体に面した位置に設けられ、前記気泡の発生によって生じる圧力により前記自由端が変位することによって前記気泡の成長を前記吐出口側に導く可動部材と、を有し、
該可動部材の基材である可動部材基材部が該可動部材基材部よりも耐腐食性の高いコーティング部材に被覆されている液体吐出ヘッドの製造方法であって、
前記発熱体を備える基板上に成膜または電鋳により台座を形成する工程と、
前記台座の上に成膜または電鋳により、前記コーティング部材を構成する第1のコーティング部材を形成する工程と、
前記第1のコーティング部材の上に成膜または電鋳により可動部材用基材部を形成する工程と、
前記可動部材用基材部の表面上に第1のレジストを塗布し、該レジストを所定の形状となるようにパターニングする工程と、
前記レジストのパターン形状に合わせて前記可動部材用基材部及び前記第1のコーティング部材のエッチングを行う工程と、
前記可動部材用基材部及び前記第1のコーティング部材の表面上に成形または電鋳により、前記コーティング部材を構成する第2のコーティング部材を形成する工程と、
前記可動部材用基材部の上に位置する部分に第2のレジストを形成する工程と、
前記第2のレジストを用いてエッチングを行い、前記可動部材用基材部の外周が前記第1のコーティング部材及び前記第2のコーティング部材よって囲まれた形状とする工程と、
前記台座をエッチング液で溶かす工程とを順次行うことにより、前記可動部材を作製することを特徴とする。
【0016】
また、前記第1のコーティング部材及び第2のコーティング部材は、前記可動部材用基材部が形成される材料よりも耐電食性の高い材料から構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、前記可動部材用基材部及び前記第1のコーティング部材のエッチングは、エッチバック方法を用いて行うことを特徴とする。
【0018】
また、前記第1のコーティング部材と前記第2のコーティング部材とは、互いに同等の特性を有する材料からなることを特徴とする。
【0019】
また、前記コーティング部材は、タンタルからなることを特徴とする。
【0020】
また、前記可動部材用基材部は、ニッケルからなることを特徴とする。
【0021】
(作用)
上記のように構成された本発明においては、可動部材が、該可動部材が形成される材料よりも耐腐食性の高いコーティング部材によって被覆されている。
【0022】
ここで、液体吐出ヘッドに用いられる可動部材の材料としては、様々なものが考えられるが、気泡発生領域に対面し、そこで発生する気泡を誘導し、液体の吐出に効率的に利用するために、弾性に優れたニッケル等が一般的に使用されている。このように、可動部材の材料としてニッケル等の可動部材として優れた材料を、それよりも耐腐食性の高いコーティング部材によって被覆させておけば、気泡発生領域に対面し、そこで発生する気泡を誘導し、液体の吐出に効率的に利用可能としながらも、液体自身の信頼性や液体に対する可動部材の耐久性の向上を図ることができる。
【0023】
また、それにより、可動部材の材料の選択の幅が広まる。
【0024】
なお、本発明の説明で用いる「上流」「下流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、又はこの構成上の方向に関しての表現として表されている。
【0025】
気泡自体に関する「下流側」とは、主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気泡を意味する。
【0026】
本発明でいう「分離壁」とは、広義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区分するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液体の混合を防止するものを意味する。
【0027】
さらに、本発明でいう「櫛歯」とは、可動部材の支点部が共通部材になっており、自由端の前方が開放されている形状を意味する。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の具体的な実施例を説明する前に、まず、本発明における液体を吐出する際に、気泡に基づく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御して吐出力や吐出効率を向上する最も基本となる構成について説明する。
【0029】
図1は、本発明の液体吐出ヘッドにおける吐出原理を説明するための図であり、液流路方向の断面図である。また、図2は、図1に示した液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。
【0030】
図1に示す例では、液体吐出ヘッドは、液体を吐出するための吐出エネルギー発生素子として、液体に熱エネルギーを作用させる発熱体2(本例においては40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が素子基板1に設けられており、この素子基板上に発熱体2に対応して液流路10が配されている。液流路10は吐出口18に連通していると共に、複数の液流路10に液体を供給するための共通液室13に連通しており、吐出口18から吐出された液体に見合う量の液体をこの共通液室13から受け取る。
【0031】
この液流路10の素子基板上には、前述の発熱体2に対向するように面して、金属等の弾性を有する材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材31が片持梁状に設けられている。この可動部材の一端は液流路10の壁や素子基板1上に感光性樹脂などをパターニングして形成した台座(支持部材)等に固定されている。これによって、可動部材は保持されると共に支点(支点部分)33を構成している。
【0032】
また、可動部材31を櫛歯状にすることにより、簡易にかつ安価に可動部材31を作製することができ、台座に対するアライメントも容易にできる。
【0033】
この可動部材31は、液体の吐出動作によって共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端(自由端部分)32を持つように、発熱体2に面した位置に発熱体2を覆うような状態で発熱体から15μm程度の距離を隔てて配されている。この発熱体2と可動部材31との間が気泡発生領域11となる。
【0034】
発熱体2を発熱させることで可動部材31と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用し、液体にUSP4,723,129に記載されているような膜沸騰現象に基づく気泡を発生させる。気泡の発生に基づく圧力と気泡は可動部材に優先的に作用し、可動部材31は図1(b)、(c)もしくは図2で示されるように示されるように支点33を中心に吐出口18側に大きく開くように変位する。可動部材31の変位若しくは変位した状態によって気泡の発生に基づく圧力の伝搬や気泡自身の成長が吐出口18側に導かれる。またこのとき、自由端32の先端部が幅を有しているため、気泡の発泡パワーを吐出口18側へ導きやすくなり、吐出効率や吐出力また吐出速度等の根本的な向上を図ることができる。
【0035】
以下に、本発明の液体吐出ヘッドの特徴である可動部材を構成する材料及び製造方法について詳しく説明する。
【0036】
図3は、本発明の液体吐出ヘッドに用いられる可動部材の製造方法の実施の一形態を示す図である。
【0037】
まず、基板201上に、成膜や電鋳等により可動部材用台座202を形成し(図3(a))、さらにその上に、成膜や電鋳等により第1のコーティング部材203を形成する(図3(b))。
【0038】
ここで、コーティング部材203の材料としては、記録に用いられるインクや液体の他、本発明の液体吐出ヘッドが吐出する液体に対して耐腐食性の高いもので、かつ、機械的変形に対して柔軟なものが好ましく、例えば、金、タンタル、クロム合金等が考えられる。さらに、電食に対しても、自己防衛性を有する材料であれば、より好ましい。例えばタンタルは、他の金属と導通された状態で電触質中にあると、電食反応の際に陽極側になった場合、液中のOを吸着し、Oとの反応物であるTaを生成する。しかし、この材料自身が不導体であるため、電解質の液体に接触する面にこの材料が生成されていれば可動部材において電食反応が起こることはない。
【0039】
上述したような材料により可動部材が被覆されていれば、可動部材が非常に耐久性に優れる構成になるとともに、可動部材の材料の選択の幅が広まる。例えば、機械的特性であるバネ性や加工性については優れているが耐久性で劣る材料であるリン青銅等の材料も可動部材として用いることができる。
【0040】
コーティング部材203を形成した後、可動部材の基材部204となるニッケルをコーティング部材203上に成膜や電鋳等により形成する(図3(c))。
【0041】
次に、ニッケルからなる基材部204の表面上に第1のレジスト205を塗布し、その後、レジスト205を可動部材の形状とほぼ同一形状となるようにパターニング工程により形成する(図3(d))。
【0042】
次に、レジスト205のパターン形状に合わせて基材部204及びコーティング部材203のエッチングを行うが、ここでエッチングの方法として、レジスト自身も同時にエッチングされていき、結果的にレジスト205の幅方向でも細くなることで、エッチング工程後に残るパターンの端部にテーパ形状が形成されるエッチバック方法を用いる(図3(e))。この方法によれば、図3(e)に示すように、エッチングが進行するにつれてレジスト205のパターン幅が変化し、その変化に応じた部分のエッチング進行度合に差が生じる。これにより、エッチング後の基材部204及びコーティング部材203においては、そのパターン端部にテーパ部206が形成される(図3(f))。
【0043】
次に、端部にテーパ部206が形成された基材部204及びコーティング部材203の表面上に成形や電鋳等により第2のコーティング部材207を形成する(図3(g))。
【0044】
ここで、コーティング部材207の材料としては、コーティング部材203と同じものであっても異なるものであっても良いが、特性としてはコーティング部材203用の材料が有する機械的及び化学的特性を有することが好ましい。
【0045】
次に、第2のレジスト208の塗布及びパターニング工程により、基材部204の上に位置する部分にレジスト208を形成する(図3(h))。
【0046】
次に、形成されたレジスト208を用いてエッチングを行い、基材部204の外周がコーティング部材203,207によって囲まれた形状を完成させる(図3(i))。
【0047】
その後、台座202をエッチング液で溶かし、それにより、可動部材31を基板201から離間させた状態にする(図3(j),図3(k))。
【0048】
なお、図3においては、図1に示した台座34が図示されていないが、A−A断面を反対方向に見れば台座34の存在が確認される。
【0049】
図4は、図3に示した工程によって作製された可動部材の形状を示す上面図である。なお、図4に示すA−A断面が図3において示されている。
【0050】
本形態においては、可動部材が櫛歯状になっており、自由端側の櫛歯状のそれぞれが図4に示すような形状となって各液流路に配されるようになっている。
【0051】
また、本発明の参考形態として、可動部材を、原版にレジストを使わずに電鋳で形成した後原版から離脱させる工程を含む方法を用いて作製する方法ある。
【0052】
可動部材を、原版にレジストを使わずに電鋳で形成した後原版から離脱させる工程を含む方法においては、本願発明者達によって出願された特願平9−178292号公報において、オリフィスプレートを、原版にレジストを使わずに電鋳で形成した後原版から離脱させる工程を含む方法が開示されている。
【0053】
上記公報に開示されたオリフィスプレートの製造方法においては、ガラス原版に電子線描画されたクロムをマスクにしてガラス溝をパターンニングし、そのガラス溝に銀を埋め込んで電鋳することにより、オリフィスプレートが作製される。
【0054】
図5は、液体吐出ヘッドの可動部材を、原版にレジストを使わずに電鋳で形成した後原版から離脱させる工程を含む方法を用いて作製する製造方法の参考形態を説明するための工程図であり、(I)は上面図、(II)は(I)に示したA−A断面図である。また、図6は、図5に示した工程により作製された可動部材に図3に示した工程によって電鋳を施した例を示す図である。
【0055】
まず、フォトマスクを作製する手順と同様に、ガラスにクロムを成膜し、レジストを電子線描画によりパターニングし、さらにクロムをエッチングしてクロムパターンを作製する。そのクロムをマスクにして、ガラスをエッチングし、可動部材のパターン溝302を形成し、それによりガラス原版301を作成する(図5(A))。
【0056】
ガラス原版301を作成した後、全面に銀鏡反応を行い、それにより、銀303を成膜する(図5(B))。
【0057】
次に、スポンジを用いてガラス原版301のパターン溝の中(凹部内)に銀が残るように銀をこすり落とすが、ここで、ガラス原版301においては、パターン溝302が形成されているため、表面の銀をこすり落とした場合、可動部材のパターン溝302のみに銀303が残る(図5(C))。なお、この時、銀303の表面は図に示すように荒れている。
【0058】
次に、電鋳法を用いて、銀303が残っている部分に、可動部材の基材部となるニッケル304を10μm厚成長させ、ニッケル304の電鋳を行う(図5(D))。
【0059】
その後、ニッケル304が電鋳された可動部材310をガラス原版301から剥離し、それにより、可動部材310を完成させる(図1(E))。
【0060】
さらに、その後、図6に示すように、可動部材の外周に金209を被覆すれば、耐腐食性の高い可動部材が完成する。なお、この被覆材料においても前述と同様の材料が好ましい。
【0061】
以下に、液体に熱を与えるための発熱体2が設けられた素子基板1の構成について説明する。
【0062】
図7は、本発明の液体吐出ヘッドが適用された液体吐出装置の一構成例を示す縦断面図であり、(a)は後述する保護膜がある装置を示す図、(b)は保護膜がない装置を示す図である。
【0063】
図7においては、図1に示した液流路10を第1の液流路14とし、また、液体供給路12を第2の液流路16としており、各々に供給される液体を同じ液体としても良いが、異なる液体を使用すれば、第1の液流路14に供給される液体つまり吐出液の選択の範囲を広げることができる。
【0064】
図7に示すように、素子基板1上に、第2の液流路16と、分離壁30と、可動部材31と、第1の液流路14と、第1の液流路14を構成する溝が設けられている溝付部材50とが設けられている。
【0065】
素子基板1には、シリコン等の基体107上に、絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチッ化シリコン膜106が成膜されており、その上に0.01〜0.2μm厚の発熱体を構成するハフニュウムボライド(HfB )、チッ化タンタル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵抗層105と、0.2〜1.0μm厚のアルミニウム等の配線電極104とがパターニングされている。この2つの配線電極104から電気抵抗層105に電圧を印加し、電気抵抗層105に電流を流して発熱させる。配線電極104間の電気抵抗層105上には、酸化シリコンやチッ化シリコン等の保護層103が0.1〜0.2μm厚で形成され、さらにその上に、0.1〜0.6μm厚のタンタル等の耐キャビテーション層102が成膜されており、インク等各種の液体から電気抵抗層105を保護している。
【0066】
特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)等が耐キャビテーション層102として用いられる。
【0067】
また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み合わせにより上述の保護層を必要としない構成でもよく、その例を図7(b)に示す。
【0068】
このような保護層を必要としない抵抗層の材料としては、イリジュウム=タンタル=アルミ合金等が挙げられる。特に、本発明において、発泡のための第2の液流路の液体を第1の液流路の吐出液と分離して発泡に適したものにできるため、このように保護層がない場合に有利である。
【0069】
このように、上述した実施の形態における発熱体2の構成としては、配線電極104間の電気抵抗層105(発熱部)だけででもよく、また電気抵抗層105を保護する保護層を含むものでもよい。
【0070】
本形態においては、発熱体2として、電気信号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有するものを用いたが、本発明は、これに限られることなく、吐出液を吐出させるのに十分な気泡を第2の液流路の発泡液に生じさせるものであればよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受けることで発熱するような光熱変換体や高周波を受けることで発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0071】
なお、前述の素子基板1には、発熱部を構成する電気抵抗層105とこの電気抵抗層105に電気信号を供給するための配線電極104とで構成される電気熱変換体の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込まれていてもよい。
【0072】
また、上述したような素子基板1に設けられている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出するためには、電気抵抗層105に配線電極104を介して矩形パルスを印加し、配線電極104間の電気抵抗層105を急峻に発熱させればよい。
【0073】
図8は、図7に示した電気抵抗層105に印加する電圧波形を示す図である。
【0074】
上述した実施の形態における液体吐出装置においては、それぞれ電圧24V、パルス幅7μsec、電流150mA、電気信号を6kHzで加えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作によって、吐出口から液体であるインクを吐出させた。しかしながら、本発明における駆動信号の条件はこれに限られることなく、発泡液を適正に発泡させることができる駆動信号であればよい。
【0075】
以下に、部品点数の削減を図りながらも、2つの共通液室を有し、各共通液室に異なる液体(第1の液流路に吐出液、第2の液流路に発泡液)を良好に分離して導入することができ、コストダウンを可能とする液体吐出装置の構造例について説明する。
【0076】
ただし、液体の種類によっては、吐出液と発泡液とを同じものとしてもよい。
【0077】
図9は、本発明の液体吐出ヘッドが適用された液体吐出装置の一構成例を示す分解斜視図である。
【0078】
本形態においては、アルミニウム等の金属で形成された支持体70上に、前述のように、発泡液に対して膜沸騰による気泡を発生させるための熱を発生する発熱体2としての電気熱変換素子が複数設けられた素子基板1が設けられている。
【0079】
素子基板1上には、DFドライフィルムにより形成された第2の液流路16を構成する複数の溝と、複数の第2の液流路16に連通し、それぞれの第2の液流路16に発泡液を供給するための第2の共通液室(共通発泡液室)17を構成する凹部と、前述した可動部材31が接着された分離壁30とが設けられている。
【0080】
溝付部材50においては、分離壁30と接合されることで第1の液流路(吐出液流路)14を構成する溝と、この吐出液流路に連通し、それぞれの第1の液流路14に吐出液を供給するための第1の共通液室(共通吐出液室)15を構成するための凹部と、第1の共通液室15に吐出液を供給するための第1の液体供給路(吐出液供給路)20と、第2の共通液室17に発泡液を供給するための第2の液体供給路(発泡液供給路)21とを有している。第2の液体供給路21は、第1の共通液室15の外側に設けられた可動部材31及び分離壁30を貫通して第2の共通液室17に連通する連通路に繁がっており、この連通路によって吐出液と混合することなく発泡液を第2の共通液室17に供給することができる。
【0081】
なお、素子基板1、可動部材31、分離壁30及び溝付部材50の配置関係は、素子基板1の発熱体2に対応して可動部材31が配置されており、この可動部材31に対応して第1の液流路14が設けられている。また、本形態においては、第2の液体供給路21を1つの溝付部材50に設けた例について示したが、液体の供給量に応じて複数個設けてもよい。さらに、第1の液体供給路20と第2の液体供給路21の流路断面積は供給量に比例して決めればよい。このような流路断面積の最適化により、溝付部材50等を構成する部品のより一層の小型化を図ることも可能である。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、可動部材が、該可動部材が形成される材料よりも耐腐食性の高いコーティング部材によって被覆されているため、気泡発生領域に対面し、気泡発生領域で発生する気泡を誘導して液体の吐出に効率的に利用可能な、あらゆる材料を用いて可動部材を形成した場合においても、液体自身の信頼性や液体に対する可動部材の耐久性の向上を図ることができる。
【0083】
すなわち、可動部材の吐出特性的効果と信頼性との両立を実現可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吐出ヘッドにおける吐出原理を説明するための図である。
【図2】図1に示した液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。
【図3】本発明の液体吐出ヘッドに用いられる可動部材の製造方法の実施の一形態を示す図である。
【図4】図3に示した工程によって作製された可動部材の形状を示す上面図である。
【図5】液体吐出ヘッドの可動部材を原版にレジストを使わずに電鋳で形成した後原版から離脱させる工程を含む方法を用いて作製する製造方法の参考形態を説明するための工程図であり、(I)は上面図、(II)は(I)に示したA−A断面図である。
【図6】図5に示した工程により作製された可動部材に図3に示した工程によって電鋳を施した例を示す図である。
【図7】本発明の液体吐出ヘッドが適用された液体吐出装置の一構成例を示す縦断面図であり、(a)は後述する保護膜がある装置を示す図、(b)は保護膜がない装置を示す図である。
【図8】図7に示した電気抵抗層に印加する電圧波形を示す図である。
【図9】本発明の液体吐出ヘッドが適用された液体吐出装置の一構成例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 素子基板
2 発熱体
3 面積中心
10 液流路
11 気泡発生領域
12 液体供給路
13 共通液室
14 第1の液流路
16 第2の液流路
18 吐出口
20 第1液体供給路
21 第2液体供給路
30 分離壁
31 可動部材
32 自由端
33 支点
34 台座
40 気泡
45 液滴
50 溝付部材
70 支持体
102 耐キャビテーション層
103 保護層
104 配線電極
105 抵抗層
106 シリコン層
107 基体
201 基板
202 台座
203,207 コーティング部材
204 基材部
205,208 レジスト
206 テーパ部
209 金
301 ガラス原版
302 パターン溝
303 銀
304 ニッケル

Claims (6)

  1. 液体を吐出する吐出口と、
    該吐出口に連通し、液体を吐出するために利用される気泡を発生させるための熱エネルギーを発生する発熱体を備える液流路と、
    前記吐出口側を自由端として前記発熱体に面した位置に設けられ、前記気泡の発生によって生じる圧力により前記自由端が変位することによって前記気泡の成長を前記吐出口側に導く可動部材と、を有し、
    該可動部材の基材である可動部材基材部が該可動部材基材部よりも耐腐食性の高いコーティング部材に被覆されている液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記発熱体を備える基板上に成膜または電鋳により台座を形成する工程と、
    前記台座の上に成膜または電鋳により、前記コーティング部材を構成する第1のコーティング部材を形成する工程と、
    前記第1のコーティング部材の上に成膜または電鋳により可動部材用基材部を形成する工程と、
    前記可動部材用基材部の表面上に第1のレジストを塗布し、該レジストを所定の形状となるようにパターニングする工程と、
    前記レジストのパターン形状に合わせて前記可動部材用基材部及び前記第1のコーティング部材のエッチングを行う工程と、
    前記可動部材用基材部及び前記第1のコーティング部材の表面上に成形または電鋳により、前記コーティング部材を構成する第2のコーティング部材を形成する工程と、
    前記可動部材用基材部の上に位置する部分に第2のレジストを形成する工程と、
    前記第2のレジストを用いてエッチングを行い、前記可動部材用基材部の外周が前記第1のコーティング部材及び前記第2のコーティング部材よって囲まれた形状とする工程と、
    前記台座をエッチング液で溶かす工程とを順次行うことにより、前記可動部材を作製することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記第1のコーティング部材及び第2のコーティング部材は、前記可動部材用基材部が形成される材料よりも耐電食性の高い材料から構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 請求項または請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法
    において、
    前記可動部材用基材部及び前記第1のコーティング部材のエッチングは、エッチバック方法を用いて行うことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 請求項乃至のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記第1のコーティング部材と前記第2のコーティング部材とは、互いに同等の特性を有する材料からなることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記コーティング部材は、タンタルからなることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 請求項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記可動部材用基材部は、ニッケルからなることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
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