JP3553309B2 - 化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セイロンテツボクの種子油、種子抽出物を有効成分とする化粧料に関するものであり、さらに詳しくは、オトギリソウ科植物のセイロンテツボクの種子油や種子抽出物を有効成分として含有する化粧料であって、皮膚及び毛髪の角質細胞の健常な成熟を促進する効果、エモリエント効果、保湿効果に優れる化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化粧品に配合されるオリーブ油などの植物由来成分で皮膚や毛髪の角質層の成熟を促進する作用を示し、かつ、安全性など配合上の問題のないものはあまり知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、安全性に優れ、特異な悪臭がなく、経時的に色、臭気の変化が少ない天然成分を有効成分として使用し、皮膚や毛髪に対し角質細胞層のターンオーバー時間を促進する作用から、優れた老化防止効果と、日焼けなどに因り皮膚に沈着した色素を排泄する、いわゆる美白効果も認められる、皮膚および毛髪の角質細胞の健常な成熟を促進する効果に優れる化粧料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はかかる問題について鋭意研究した結果、オトギリソウ科植物のセイロンテツボクの種子油や種子抽出物が化粧料における有効成分として有用であることを見出し本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明の請求項1の発明は、頭髪および頭皮用を除く化粧料であって、角質細胞層のターンオーバー促進効果、老化防止効果および美白効果をもたらす有効成分としてオトギリソウ科(Guttiferae)の植物であるセイロンテツボク(ラテン名:Mesua ferrea Linne)の種子から得られる種子油を含有することを特徴とする化粧料である。
【0006】
本発明の請求項2の発明は、頭髪および頭皮用を除く化粧料であって、角質細胞層のターンオーバー促進効果、老化防止効果および美白効果をもたらす有効成分としてオトギリソウ科(Guttiferae)の植物であるセイロンテツボク(ラテン名:Mesua ferrea Linne)の種子から得られる種子抽出物を含有することを特徴とする化粧料である。
【0007】
本発明の請求項3の発明は、請求項1記載の種子油および請求項2記載の種子抽出物を有効成分として含有することを特徴とする化粧料である。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるセイロンテツボクの原植物は、ジャワ島などインドネシア全土、インド、ビルマ、タイ、マライに野生するオトギリソウ科の植物である。葉質はウラジロカシに似ており、花は淡い黄色でサザンカに似ている。材は堅く車軸に用いられ、種子油は灯用にも供されている。
【0009】
本発明に用いるセイロンテツボクは、採集地を特定するものではないが、実施例に於いて用いたセイロンテツボクは、ローカル名でナガサリ(Nagasari)と呼ばれているインドネシア国のロンボック島産の木である。
【0010】
本発明のセイロンテツボク種子油は、セイロンテツボクの種子を圧搾もしくは溶媒を用いて抽出する。その調製法は特に限定されないが、例えば、種々の適当な溶媒、好ましくは、ヘキサン、アセトン、酢酸エチル、エーテルなどの親油性の溶媒を用いて加熱抽出後、得られた油性成分を減圧下で溶媒を留去することにより得られる。
【0011】
また、セイロンテツボク種子抽出物も特にその調製法は限定はないが、例えば、セイロンテツボク種子油を抽出した残分にさらに抽出溶媒を用いて加熱抽出して得られた抽出物から溶媒を留去、加水し合成高分子吸着剤に通液して得られた抽出液を減圧濃縮、凍結乾燥などの方法で乾固させ、乾固した抽出物として得られるか、もしくは種子そのままを抽出溶媒を用いて抽出し、抽出液を濾別することにより得られる。
【0012】
抽出溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコールなどの低級1価アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどの1種または2種以上を用いることができる。
【0013】
本発明の化粧料におけるセイロンテツボク種子油の配合量は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜100重量%(以下、単に「%」で示す)である。
【0014】
また、セイロンテツボク種子抽出物の場合、乾燥固形分に換算して好ましくは0.0001〜10%である。抽出液を使用する場合は、溶質である乾燥固形分の含有量が上記範囲内であれば、その抽出液濃度はなんら限定されるものではない。
【0015】
さらに本発明においては、種子油と種子抽出物は単独で用いても、両者を混合して用いてもよい。
【0016】
こうして得られるセイロンテツボク種子油並びにセイロンテツボク種子抽出物は、特異な悪臭がなく、かつ、経時的に色、臭気の変化が少ない天然成分である。
【0017】
なお、本発明の化粧料には、通常化粧料に用いられる成分、例えば、水;粉体;ラノリン、ミンク油、馬油、アーモンド油、ヒマシ油、ホホバ油、メドフォーム油、オリーブ油等の動・植物油脂類;コレステリン、ラノリンアルコール、フィトステロール等の動・植物由来のステロール類、及びそれらの誘導体;固形パラフィン、セレシン、鯨ロウ、ミツロウ、カルナウバロウ等の鉱物、動・植物由来のワックス類;流動パラフィン、スクアラン等の炭化水素油;ラウリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸類;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セトステアリル、イソステアリン酸アルキルエステル等の合成油;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤類;グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール類;エタノール等の低級アルコール類;ヒアルロン酸塩、ピロリドンカルボン酸塩、加水分解コラーゲン液等の保湿剤;カチオン化デキストラン等のカチオンリンス剤類;海藻エキス、カラギーナン、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー等の増粘剤類;オキシ安息香酸アルキルエステル類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、フェノキシエタノール、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、ジンクピリチオン等の防腐・殺菌剤;胎盤抽出物、鶏冠抽出物、アルニカエキス、アロエエキス、海藻エキス、カモミラエキス、カンゾウエキス、キナエキス、ニンニクエキス、メリッサエキス等の動・植物抽出エキス類;紫外線吸収剤、酸化防止剤、キレート剤、香料、色素等が本発明化粧料の所期の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0018】
また、本発明の化粧料の剤型は、化粧水、ミルクローション、クリーム、パック、洗浄料、ファンデーション、口紅、ヘアローション、ヘアクリーム、シャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント等に許容される。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、下記の説明及び実施例における%表現は特に断わらない限り、重量%を意味するものとする。
【0020】
[種子油および種子抽出物の調製例]
実施例に用いるセイロンテツボクの種子油および種子抽出物は、以下に記載する方法により得た。
調製例1(種子油)
インドネシア国のロンボック島産セイロンテツボクの種子200gを粉砕後、ヘキサン1000mlを加え50〜60℃で1時間抽出する操作を3回繰り返した後、抽出液を減圧下で溶媒を留去し種子油80.7gを得た。
【0021】
[調製例1で得られた種子油の性状、特性値及び脂肪酸組成]
性状:本品は淡赤色透明の粘性の液でわずかに特異なにおいがある。冷所では混濁し固形物の析出をみることがある。
Figure 0003553309
主構成脂肪酸としてはオレイン酸、リノール酸が合わせて60%以上を占めた。
【0022】
調製例2(種子抽出物)
調製例1における種子油の抽出残分に60%アセトン水溶液1000mlを加え50〜60℃で1時間抽出する操作を3回繰り返した後、抽出液を減圧下でアセトンをを留去し水を加え合成高分子吸着剤200mlに通液した。通液後、水400mlで洗浄し非吸着部分と合わせ濃縮し、次いで50%メタノール400mlを通液し分画し有効成分(種子抽出物)1.33gを得た。
【0023】
調製例3(種子抽出物)
インドネシア国のロンボック島産セイロンテツボクの種子200gと70%エタノールを混合粉砕し、15日間抽出を行ったのち濾過し、得られた濾液をさらに冷暗所にて5日間放置したのち濾過して抽出液を得た。
【0024】
(試験例1)
[調製例1の種子油および調製例2の種子抽出物の表皮の角質細胞に対する効果の確認]
健常な表皮の角質細胞層のターンオーバー時間は約14日で、老化した皮膚ではその時間は延長することが知られている。
そこで本試験においては、表皮や毛髪の角質細胞層のターンオーバー時間の測定に用いられるダンシルクロライド標識法により、調製例1の種子油および調製例2の種子抽出物のターンオーバー速度を測定した。
一方、正常な角質細胞では、核が消失しているため、有核細胞が多く発現していることは、不完全角化が起こっていると考えられる。
そこで、本試験においては、角質細胞における有核細胞発現率を求め、角化が正常に行われているかどうかの指標とした。
【0025】
測定試料:
試料1 ワセリン(対照品)
試料2 ワセリンに調製例1で得られたセイロンテツボク種子油を5%分散したもの
試料3 ワセリンに調製例1で得られたセイロンテツボク種子油を10%分散したもの
試料4 調製例1で得られたセイロンテツボク種子油
試料5 ワセリンにサリチル酸を3%分散したもの
試料6 ワセリンにサリチル酸を6%分散したもの
試料7 ワセリンにオリーブ油を10%分散したもの
試料8 ワセリンに調製例2で得られた種子抽出物を10%分散したもの
【0026】
(ターンオーバー時間の測定)
実験動物:
6週齢の体重400g程度のメスのハートレー系クリーンモルモットを8匹1群として用いた。
測定方法:
モルモットの背部を剃毛し、ダンシルクロライド試薬(Sigma Chemical社製)をワセリンに5重量%分散させたものをフインチャンバーにて被験部に24時間閉塞する。
紫外線ランプ下にてダンシルクロライドの蛍光が標識されていることを確認し、同じ部位に試料を塗布する。その後、毎日、ダンシルクロライドの蛍光を観察し、スコアリングと試料の塗布を行なう。
その蛍光が完全に消滅するまでの日数をターンオーバー時間とする。
【0027】
評価方法:
スコアリング
試料の塗布を開始した日を1日目とする。
蛍光の強さにより以下の6段階の評点をつけ、試料ごとのスコアの平均値を求めた。
変化なし 5
やや薄くなった 4
薄くなった 3
かなり薄くなった 2
わずかに残った 1
完全に消えた 0
【0028】
試験結果:
スコアの平均値が2.5になるまでの日数を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003553309
【0030】
表1に示すように、調製例1のセイロンテツボク種子油は角質細胞層のターンオーバーを有意に促進する効果が認められた。
【0031】
[角質細胞の評価]
評価方法:
先の試験終了日にテープストリッピングにより角質細胞を採取する。得られた角質細胞はギムザ染色した後、細胞20個あたりの有核細胞発現率を求めた。
【0032】
試料1、試料3、試料6、試料7、試料8の有核細胞発現率を表2に示す。
【0033】
【表2】
Figure 0003553309
【0034】
表2に示すように、調製例1のセイロンテツボク種子油および調製例2のセイロンテツボク種子抽出物は、有核細胞発現率は低く、角質細胞の健常な成熟が行われていることが認められた。
一方、サリチル酸では、高い有核細胞発現率が示され、形成された角質細胞が不完全であることが認められた。
【0035】
以上、表1および表2から判るように、調製例1のセイロンテツボク種子油および調製例2のセイロンテツボク種子抽出物は、角質細胞層のターンオーバーを促進する効果が認められ、さらに、有核細胞発現率は低いことから、角質細胞の健常な成熟を有意に促進するといえる。
一方、サリチル酸にも角質細胞層のターンオーバー時間を促進する効果が認められたが、高い有核細胞発現率を示したことより、不完全角化が起こっているといえる。
【0036】
Figure 0003553309
【0037】
(調製法)
成分(1)〜(7)を70〜80℃に加温融解し、これに(8)、(9)および(11)〜(13)の成分を80〜90℃に加温溶解したものを撹拌しながら徐々に加えて乳化する。30〜40℃まで冷却した後、成分(10)を加え撹拌を続けながら室温まで冷却する。
本実施例のミルクローションは皮膚に塗布すると、潤いを与え、キメが整い、くすみのない滑らかな肌にする効果が認められた。
【0038】
Figure 0003553309
【0039】
(調製法)
成分(1)〜(7)を70〜80℃に加温融解し、これに(8)〜(11)の成分を80〜90℃に加温溶解したものを撹拌しながら徐々に加えて乳化する。30〜40℃まで冷却した後、成分(12)を加え撹拌を続けながら室温まで冷却する。
本実施例のクリームは皮膚に塗布すると、しっとりとした滑らかでくすみのない肌にする顕著な効果が認められた。
【0040】
Figure 0003553309
【0041】
(調製法)
成分(2)、(3)、(5)及び(8)を混合し、撹拌しながら70℃に加温溶解し、室温まで冷却する。これに(1)および(4)の成分を混合したものを加え混合した後、(6)及び(7)の成分を加え均一に分散する。
本実施例のフェイシャルマスク剤は皮膚にパックし乾いた後剥離すると、肌に潤いとハリを与え滑らかにする顕著な効果が認められた。
【0042】
Figure 0003553309
【0043】
(調製法)
上記の処方の(1)〜(3)の成分を60〜70℃に加温、均一に融解し、撹拌しながら、これに、(4)、(5)の成分を80〜90℃に加温溶解した成分相を徐々に加えて乳化し、室温まで冷却する。次いで(6)、(7)及び(8)の成分を加えて撹拌する。
このようにして得られたヘアローションは頭皮と毛髪に潤いを与え、毛髪は柔軟となり、整髪を容易にする効果が認められた。
【0044】
Figure 0003553309
【0045】
(調製法)
上記の処方の成分の(1)、(4)及び(7)を60〜70℃に加温、均一に融解し撹拌しながら、これに、(2)、(3)、(5)、(6)、(8)及び(10)の成分を80〜90℃に加温溶解した成分相を徐々に加えて乳化し、室温まで冷却する。次いで(9)の成分を加えて撹拌する。
このようにして得られたヘアリンスを用い、洗髪後の髪に適用したところ、しっとりとツヤのある、しなやかな、櫛とおりの良い髪に仕上がった。
【0046】
Figure 0003553309
【0047】
(調製法)
上記の処方の(1)〜(10)の成分を秤取し、撹拌混合、溶解しヘアトリートメントを製造した。
得られたヘアトリートメントを用い、洗髪後の髪に適用したところ、しっとりとツヤのある、しなやかな、櫛とおりの良い髪に仕上がった。
【0048】
Figure 0003553309
上記の処方の(1)、(2)及び(3)の成分を加温融解し、室温まで冷却後(4)を加えて均一な溶液とする。
このようにして得られたヘアーオイルを洗髪後の毛髪に塗布するとき、結髪性に優れた整髪効果が認められ、ツヤのあるしなやかな毛髪となった。
【0049】
Figure 0003553309
【0050】
(調製法)
上記の処方の(1)〜(9)の成分を60〜70℃に加温、均一に融解し、撹拌しながら、これに、80〜90℃に加温溶解した(10)〜(12)及び(14)の成分を徐々に加えて乳化し、室温まで冷却する。次いで(13)の成分を加える。
このようにして得られたアイクリームは塗布すると潤いとハリを与え、くすみのない目元とするものであった。
【0051】
【発明の効果】
本発明のセイロンテツボク種子油並びにセイロンテツボク種子抽出物を有効成分とする化粧料は、皮膚や毛髪に対し角質細胞層のターンオーバー時間を促進する作用から、優れた老化防止効果と、日焼けなどに因り皮膚に沈着した色素を排泄する、いわゆる美白効果を有している。
また、本発明のセイロンテツボク種子油並びにセイロンテツボク種子抽出物は安全性に優れ、特異な悪臭がなく、経時的に色、臭気の変化が少ない天然成分であり、皮膚及び毛髪に対し、優れた保湿効果およびエモリエント効果を有する化粧料用成分としての有用性が高い。

Claims (3)

  1. 頭髪および頭皮用を除く化粧料であって、角質細胞層のターンオーバー促進効果、老化防止効果および美白効果をもたらす有効成分としてオトギリソウ科(Guttiferae)の植物であるセイロンテツボク(ラテン名:Mesua ferrea Linne)の種子から得られる種子油を含有することを特徴とする化粧料。
  2. 頭髪および頭皮用を除く化粧料であって、角質細胞層のターンオーバー促進効果、老化防止効果および美白効果をもたらす有効成分としてオトギリソウ科(Guttiferae)の植物であるセイロンテツボク(ラテン名:Mesua ferrea Linne)の種子から得られる種子抽出物を含有することを特徴とする化粧料。
  3. 請求項1記載の種子油および請求項2記載の種子抽出物を有効成分として含有することを特徴とする化粧料。
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