JPH0611686B2 - 化粧料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「発明の目的」 本発明は美肌効果、養毛効果などに優れた化粧料に関す
るものである。

古来、基礎化粧料は整肌、美肌、美白などの目的で多く
のものが提案されており、それなりの効果が得られるも
のであった。

本発明者は創傷治ゆ作用や細胞賦活作用の観点より、天
然物有効成分について、鋭意研究探索の結果、黄耆の根
から抽出して得られる抽出物に、肌にとって好ましい作
用すなわち創傷治ゆ作用や保湿作用に基づく美肌効果や
養毛効果などがあることを見出し、本発明を完成するに
到った。

すなわち本発明は、黄耆の根から有機溶媒及び／又は水
により抽出された抽出物を、外用基剤中に配合すること
を特徴とする化粧料に関するものである。

「発明の構成」 本発明に適用される黄耆（ とも書く）は、Astragalus membranaceus Bungeまたは
その他同族植物(Leguminosae)であり、具体的にはキバ
ナオウギ(Astragalus membrana-ceus)、ナイモウオウギ
(A.mongholicus B-unge)、普耆(Hedysarum polybotrys)
などである。本発明は上記植物のおもに乾燥根より有機
溶媒及び／又は水で抽出された抽出物（以下オウギエキ
スと略す）を用いるものである。

上記オウギエキスの製造方法は、公知の方法が利用で
き、例えば、まずオウギの乾燥根を裁断機により厚さ２
cm以下の小片とするか又は粗粉砕して粉末状とし、酢酸
エチル、アセトン、ブタノール、プロパノール、エタノ
ール、メタノール等の有機溶媒及び水をそれぞれ単独あ
るいは２種以上混合して得られる抽出溶媒に侵漬して抽
出後、得られた抽出液より抽出溶媒を留去し、有効成分
を分離採取することができる。このようにして得られた
抽出エキスは一般的に黄褐色〜茶色の粘ちょう性液体で
あり（湯で抽出する場合は粉末状エキスが得られる。）
臭いはほとんどないものである。又、上記の抽出エキス
は必要に応じて、カラムクロマトグラフィー、液滴向流
分配クロマトグラフィー、活性炭又は活性白土処理など
の手法によりさらに精製して用いることができる。

尚、前述の黄耆は、他の用途においてはすでに使用され
ているものである。すなわち、生薬として強壮、利尿、
抗腎炎降圧、血管拡張、強心作用の目的で服用されてい
る。

又、前記黄耆エキスに加えて水溶性高分子物質を含有せ
しめた化粧料はさらに好ましい整肌作用を有するもので
ある。これは恐らく、皮膚上に於いて、水溶性高分子物
質がビヒクルとなり、有効成分であるオウギエキスを効
果的に角質層へ移行せしめ、経皮吸収を増大させること
によるものと思われる。

このような水溶性高分子物質としては分子量２０００以
上のものであり、例えば、ポリペプチド、水溶性コラー
ゲン、ムコ多糖類、ヒアルロン酸、ガム質、カゼイン、
デキストリン、ゼラチン、ペクチン糖が挙げられ、これ
らのうち１種又は２種以上が使用される。

次に、本発明により提供される化粧料としては、クリー
ム、乳液、化粧水、リップクリーム、リップカラー、ア
ンダーメークアップ、養毛料など多くのものが挙げら
れ、前記オウギエキスの配合料は化粧料の性質に応じて
任意に選択されるが、通常は全重量に対し凡そ０．０１
〜１０重量％好ましくは０．１〜５重量％である。又、
上記水溶性高分子物質の配合量は全重量に対し凡そ０．
００１〜１重量％である。

次に、配合の方法はオウギエキスをそのまま又は水、ア
ルコール、多価アルコール等に溶解して、従来の薬効成
分等を配合するのと同様の方法により化粧料に配合する
ことができる。

又、本発明に係わる化粧料には前述のオウギエキス及び
水溶性高分子物質の他通常化粧料に用いられる添加剤た
とえば、油脂類、界面活性剤、酸化防止剤、香料、色
素、アルコール類、多価アルコール、防腐剤、サンスク
リーン剤、水、保湿剤等を配合することができる。

「製造例」 製造例−１ キバナオウギの乾燥根５００ｇを裁断機により厚さ２cm
以下の小片とし、これにメタノール２を加え室温にて
１時間混合攪拌抽出し、ろ過する。この操作を２回繰返
し、ろ液を集めて減圧濃縮乾固し、粘ちょう性液体のオ
ウギエキス６５ｇを得た。（収率１３％） 製造例−２ ナイモウオウギの乾燥根２００ｇを裁断機により裁断し
た後、粉砕機により粉砕し、粉末とする。これに５０％
含水メタノール１を加え室温にて１時間混合攪拌抽出
し、ろ過する。この操作を２回繰返し、ろ液を集めて約
０．３となるまで減圧濃縮する。これに水０．３を
加えて攪拌し均一な分散液としたものに毎回ｎ−ブタノ
ール３００mlを用いて３回抽出操作を行ない、抽出液を
集めて減圧濃縮乾固して粘ちょう性液体のオウギエキス
１４ｇを得た。（収率７．０％） 製造例−３ キバナオウギの根５００ｇを厚さ約５mmにスライスし薄
片状とし、これに約６０℃の湯２を加えて３０分間混
合攪拌抽出し、ろ過する。この操作を２回繰返し、ろ液
を集めて凍結乾燥して粉末状のオウギエキス５０ｇを得
た。（収率１０％） 「発明の効果」 次に、本発明において使用されるオウギエキスについ
て、その整肌効果を確認する為、ラットを用いて創傷治
ゆテストを行ない結果を表−２に示す。

試験方法は下記の通りである。

〈試料〉 水中油型クリームとして、オウギエキスを含まないもの
（比較例−１）、１．０％含有するもの（実施例−
１）、３．０％含有するもの（実施例−２）、以上３検
体を下表−１の通り調製する。

創傷治ゆテスト 実験動物として、５週令のＳＤ系ラットを購入後７日間
予備飼育したもの４０匹をＩ〜IV群まで各１０匹づつに
分けて用いた。まず各群のラット背部を電気バリカンを
用いて除毛し、水−エタノール３：７消毒液を脱脂綿に
含侵せしめたもので清浄する。その後円形のたがね（φ
１１mm）を用いて正中線に沿って左右対象の皮膚欠損傷
を４ケ所作成する。次に、Ｉ群を無処理群とし、II群は
毎日１回観察終了後に比較例−１のクリームを塗布し、
III及びIV群は同様にそれぞれ実施例−１のクリーム、
実施例−２のクリームを塗布した。検体の塗布は全て１
日１回各損傷部位当り０．１ｇとした。又、観察は１日
１回創傷面積の測定と肉眼観察について行なった。尚、
各群の創傷面積（mm²）は１０匹の平均値（少数第２位
を四拾五入）であり、治ゆ率は下式により求めた。

治ゆ率＝（０日目の創傷面積−１１日目の創傷面積） ０日目の創傷面積 ×１００（％） 以上の如く、オウギエキスを含有せしめた化粧料は優れ
た創傷治ゆ効果を有しており傷の回復が早く、又、完治
後（２０日目）の皮膚の状態も無処理群や比較例−１群
に比べて美しいものであった。

次に、本発明に適用される化粧料について２０日間連用
による臨床テスト後官能評価を行ない結果を表−３に示
した。このとき本発明品として後記実施例−３のエモリ
エントクリームを用い、対照品としては実施例−３のエ
モリエントクリームよりオウギエキスを除いたものを用
いた。

試験方法は下記の通りである。

臨床テスト： 女子１０名をパネラーとし、左上腕外側部に対照品を右
上腕外側部に本発明品をそれぞれ１日２回通常の使用状
態と同様に塗布し、これを２０日間続けた後、官能評価
項目として肌のはり、つや、なめらかさ、みずみずしさ
の４項目について下記のような基準において評価し、１
０名の平均値（小数第２位を四拾五入）を評価点とし
た。

以上の如く、本発明に適用される化粧料は皮膚に連用す
ることにより、肌のはり、つや、なめらかさ、みずみず
しさなどに好ましい効果を発揮するものである。

又、実施例−５の養毛料については、例数が少ないなが
らも臨床試験において養毛効果が確認された。

「実施例」 次に、本発明の実施例を示す。実施例１〜２について
は、前記表−１に示した通りである。以下、配合量は重
量部である。

実施例−３ エモリエントクリーム 上記処方物Ａを混合加熱して８０℃とする。これに上記
処方物Ｂを同様に混合加熱して８０℃としたものを加
え、ホモミキサーで均一に乳化し、上記Ｃを加えて冷却
し、製品とする。

実施例−４ 乳液 上記処方物Ｂを混合加熱して７０℃とする。これに上記
処方物Ａを同様に混合加熱して７０℃としたものを加
え、ホモミキサーで均一に乳化し、冷却して製品とす
る。

実施例−５ 養毛料 上記処方物Ａを攪拌溶解し、これに上記処方物Ｂを添
加、混合して透明液状の養毛料を得た。

実施例−６ 化粧水 上記処方物Ａ及びＢを加温溶解し、ＢにＡを加え可溶化
して製品とする。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】黄耆の根から有機溶媒及び／又は水により
   抽出された抽出物を、外用基剤中に配合することを特徴
   とする化粧料。
2. 【請求項２】抽出物の配合量が0.01〜１０重量％である
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の化粧料。