JP3190487B2 - フケ防止頭髪用化粧料及び養毛料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は頭髪用化粧料に関し、さ
らに詳しくは、ミカン科植物Zapote Blancoの抽出物を
有効成分として配合したことを特徴とするフケ防止頭髪
用化粧料及び養毛料に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般にフケは皮脂腺や汗腺の分泌物およ
び角質層の一部が剥離したものからなり、フケは皮脂腺
等の分泌昂進や細胞の角質化の促進により発生するが、
さらに頭皮に存在する微生物が繁殖することにより助長
されるといわれている。

【０００３】これらの微生物のうち、特に好脂質性の酵
母であるPityrosporum ovale（以下ＰＯという）の繁殖
がフケの発生に大きく関与するとされていることから、
このため従来より殺菌剤として、特にジンクピリチオ
ン、安息香酸、イルガサン、ヒノキチオール等を添加し
たフケ防止用頭髪化粧料が開発されている。

【０００４】しかしながらこのような従来の技術におい
て、例えばジンクピリチオンは、水不溶性であることか
ら乳化や分散した系の処方にしか用いることができない
という製造上の問題があり、また、その他の殺菌剤にし
ても、充分有効な濃度で使用するには安全性の面から問
題があった。

【０００５】一方、養毛料に関しては、禿げや脱毛につ
いて、毛根における男性ホルモンの活性化、毛包での血
液循環の低下、皮脂の分泌過剰、頭髪の栄養不良など様
々な原因が考えられるが、いまだ決定的な原因が解明さ
れていないのが現状である。

【０００６】また、従来より、各種の化合物、生薬等の
抽出エキス等が使用されているが、これらは、脱毛防止
など、ある程度の予防効果をもつにとどまり、充分満足
な養毛効果を持つものはないというのが現状である。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明においては、Ｐ
Ｏに対する抗菌活性（以下、抗ＰＯ活性という）が高く
てフケ防止効果に優れ、しかも安全性、安定性の高いフ
ケ防止頭髪用化粧料及び発毛・養毛・脱毛予防に優れた
養毛料を得ることを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者等はかかる課題
を解決するために鋭意研究したところ、中米、特にメキ
シコに分布するミカン科植物Zapote Blanco の抽出物が
高い抗ＰＯ活性を有し、しかも安全性の面からも充分に
有効なフケ防止剤であり、さらに該抽出物が養毛作用に
優れていることを見い出し、本発明を提出することがで
きた。

【０００９】すなわち本発明は、ミカン科植物Zapote B
lanco の抽出物を配合したことを特徴とするフケ防止頭
髪用化粧料ならびに同抽出物を配合した養毛料に関する
ものである。

【００１０】

【作用】本発明に用いられる植物Zapote Blanco はミカ
ン科の植物で学名をCasimiroaedulisといい、中米、特
にメキシコに分布するものであり、通常その果実を食用
としている。

【００１１】本発明原料としては、この植物のどの部
分、例えば、果実、葉、枝、茎、根などを抽出原料とし
て用いることができるが、特に乾燥した葉部や小枝を用
いることが好ましい。

【００１２】本発明抽出溶媒としては、例えばメタノー
ル、エタノール等の低級アルコール類、エーテル類、
水、プロピレングリコール、グリセリン、その他の極性
・非極性溶媒等、いわゆる有機溶媒の１種または２種以
上の混合溶媒を用いて抽出することができ、また抽出方
法としては、一般的な方法で良く、例えば前記の葉の乾
燥物に溶媒を加えて温浸したり、攪拌しながら抽出を行
なうなどの方法が用いられる。

【００１３】抽出後、抽出液をろ過あるいは遠心分離等
で分離し、フケ防止頭髪用化粧料ならびに養毛料の有効
成分として用いるが、さらに、これらの抽出液から溶媒
を留去し得られる乾燥物を使用したり、溶媒分配、クロ
マトグラフィーなどの操作で得られる画分もフケ防止頭
髪用化粧料ならびに養毛料の有効成分として使用するこ
とができる。

【００１４】本発明の頭髪用化粧料において、Zapote B
lanco 抽出物使用量は特に制御されないが、フケ防止の
目的では０．０００１〜５％、養毛の目的では、０．０
１〜１０％の範囲で使用することが好ましいことを、試
験で確認している。

【００１５】本発明にかかる頭髪用化粧料としての製品
群は、例えば、シャンプー、リンス、トリートメント、
ヘアトニック、ヘアリキッド、頭皮用乳液、ヘアスプレ
ー、養毛料などであるが、これらの製品はZapote Blanc
o の抽出物を配合し、その強い抗ＰＯ活性によりフケを
防止することができ、また、養毛作用により発毛、育
毛、脱毛予防が発揮できるものである。

【００１６】また、前記製品にはその他の成分として一
般に頭髪用化粧料に配合される界面活性剤、油脂類、ロ
ウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル
類、水溶性高分子化合物などを配合する他、その他の動
・植物エキス、酸化防止剤、アミノ酸類、香料、紫外線
吸収剤、色素、防腐剤等を適宜用いることもできる。

【００１７】さらにZapote Blanco 抽出物以外の合成殺
菌剤等の他のフケ防止用成分や、従来から養毛料組成物
として用いられてきたビタミンＥなどのビタミン類、塩
化カルプロニウム、アミノ酸類、セファランチン、セン
プリやオタネニンジンなどの生薬類抽出物を配合するこ
とも差し支えない。

【００１８】以下、実施例において本発明を詳細に説明
するが、本発明はこれにより限定されるものではない。

【００１９】

【実施例１】本実施例では抽出方法の一例を示す。先ず
Zapote Blanco の乾燥した葉を粉砕して得た粉砕物１kg
に対して、１０リットルの５０％エタノール水溶液を加
えて攪拌後、室温で３日間静置して抽出液を得た。

【００２０】次いで得られた抽出液を濾過して透明な濾
液を得た後、これを減圧して溶媒を留去し、淡緑色の粉
末９８ｇを得た。これを頭髪用化粧料の有効成分とし
た。

【００２１】

【実施例２】本実施例では抽出方法の一例を示す。先ず
Zapote Blanco の乾燥した葉を粉砕して得た粉砕物１kg
に対して、１０リットルの酢酸エチルを加えて攪拌後、
室温で３日間静置して抽出液を得た。

【００２２】次いで得られた抽出液を濾過して透明な濾
液を得た後、これを減圧して溶媒を留去し、淡緑色の粉
末７５ｇを得た。これを頭髪用化粧料の有効成分とし
た。

【００２３】

【実施例３】上記実施例２で得られたZapote Blanco の
酢酸エチル抽出物をＯＤＳカラムに供し、そのアセトニ
トリル溶出画分を得た。これをさらにＨＰＬＣに供して
分画し、抗ＰＯ活性の強い２画分として画分Ａ及び画分
Ｂを得た。これを頭髪用化粧料の有効成分とした。

【００２４】

【実施例４】本発明の頭髪用化粧料に用いるZapote Bla
nco 抽出物のＰＯに対する抗菌活性をペーパーディスク
法により判定した。

【００２５】先ずＰＯを表１に示す１０３Ｔ培地にて、
３０℃で２４時間振とう培養し、前培養液を得た。次い
で、１０３Ｔ培地に寒天を１．５％になるように加えて
オートクレーブ減菌処理を行なった後、前培養液をＰＯ
が１×１０⁵ 個／mlになるように加えてプレートを作成
した。

【００２６】

【表１】 １０３Ｔ培地の組成 次いで上記実施例１、２及び３で得られた各Zapote Bla
nco 抽出物を５０％エタノール水溶液に溶かした後、表
２に示す各濃度に調製し、濾紙ディスク（ワットマン製
ＡＡdisc）に含浸させ、上記プレートに置床させた。

【００２７】このプレートを３０℃で２４時間培養した
後、ディスクの周囲を観察し、明瞭な阻止円の形成され
ているものを「＋」、不明瞭な阻止円が形成されていた
ものを「±」、阻止円の形成されていなかったものを
「−」として抗ＰＯ活性を判定し、その結果を表２に示
した。

【００２８】

【表２】 この結果、Zapote Blanco 抽出物は低濃度で抗ＰＯ活性
を有すると共に、同時に試験した既存のフケ防止剤成分
のジンクピリチオンと比較すると、特に画分Ａ及びＢは
ジンクピリチオンのそれぞれ１６分の１と４分の１とい
う極めて低濃度で抗ＰＯ活性を有していることがわか
り、頭髪用化粧料のフケ防止用成分として極めて有効で
あることがわかった。

【００２９】

【実施例５】本実施例では、マウスを用いた試験により
Zapote Blanco 抽出物の養毛効果を評価した。

【００３０】試験には、１群１０匹からなるＣ３Ｈマウ
ス（雄、８週齢）を用い、これらの背部を剃毛し、剃毛
の１日後から剃毛部分の約２cm×４cmの部位に３０μｌ
の５％Zapote Blanco 抽出物溶液（実施例１で得られた
抽出物を５０％エタノール水溶液で調製した溶液）を毎
日１回塗布した。

【００３１】試験期間は約３週間とし、毎日、剃毛部の
毛再生状態を観察しながら、表３に示す評価規準に従っ
て各マウスにスコア（面積評価点と状態評価点の合計）
値を求めて、さらに、各群の平均値を求めて養毛効果を
評価した。

【００３２】なお、コントロール群として５０％エタノ
ールを用いて、その結果を表４に併せて示したが、Zapo
te Blanco 抽出物を塗布したマウス群は、コントロール
（５０％エタノール水溶液）群に比較して顕著な養毛作
用があることが明白となった。

【００３３】

【表３】 養毛効果の判定基準

【００３４】

【表４】 マウスに対する養毛効果

【００３５】

【実施例６】本実施例では頭髪用化粧料へのZapote Bla
nco 抽出物の配合例を示す。

【００３６】 配合例１ ヘアリキッド ポリオキシプロピレンブチルエーテル ４．０％ ポリアルキレングリコール誘導体 １４．５ アクリル樹脂アルカノールアミン液 １．２ 香料 １．３ エタノール ６４．０ 色素 適量 Zapote Blanco ５０％エタノール抽出物 ０．１ 精製水 残部 合計 １００％

【００３７】 配合例２ ヘアクリーム サラシミツロウ ５．０％ モノステアリン酸グリセリン（自己乳化型） ３．０ モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン ３．０ 還元ラノリン １．５ パラフィン ２．０ 流動パラフィン ２０．０ ツバキ油 １０．０ 酸化防止剤 適量 防腐剤 適量 ホウ砂 ０．５ グリセリン ３．０ カルボキシビニルポリマー ０．２ 香料 適量 Zapote Blanco 酢酸エチル抽出物 ０．１ 精製水 残部 合計 １００％

【００３８】 配合例３ ヘアスプレー原液 アクリル樹脂アルカノールアミン液 ７．０％ セタノール ０．１ メチルポリシロキサン ０．３ Zapote Blanco ５０％エタノール抽出物 ０．０１ 香料 適量 エタノール 残部 合計 １００％

【００３９】 配合例４ シャンプー ポリオキシエチレン ラウリルエーテル硫酸ナトリウム １２．０％ ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン ５．０ １，３−ブチレングリコール ４．０ ラウリン酸ジエタノールアミド ２．０ エデト酸２ナトリウム ０．１ Zapote Blanco ５０％エタノール抽出物 ０．２ 防腐剤 適量 香料 適量 精製水 残部 合計 １００％

【００４０】 配合例５ リンス １，３−ブリレングリコール ３．０％ 塩化ジステアリルジメチルアンモニウム ３．０ セタノール １．５ モノステアリン酸グリセリン（自己乳化型） ２．０ スクワラン １．０ シリコン油 ０．２ Zapote Blanco ５０％エタノール抽出物 ０．２ 防腐剤 適量 香料 適量 精製水 残部 合計 １００％

【００４１】 配合例６ 養毛料 エタノール ６０．０％ ポリオキシエチレンオレイルエーテル ２．０ Zapote Blanco ５０％エタノール抽出物 １．０ 香料 適量 ｌ−メントール 適量 精製水 残部 合計 １００％

【００４２】

【発明の効果】上述のように頭髪用化粧料に配合される
フケ防止剤としては、これまでにも合成抗菌剤、植物抽
出物質が有効成分として使われていたが、安全性の面や
効果の点で問題があった他、養毛料としては、従来より
様々な組成物、例えば生薬類抽出物やビタミン類、女性
ホルモン剤、アミノ酸などが知られているが、効果の面
で問題がある一方、効果を有するものは逆に安全性に問
題があった。

【００４３】本発明品は、フケ防止剤としての効果が高
く、しかも安全性に優れるZapote Blanco 抽出物を配合
することにより、上記の問題点を解決したフケ防止頭髪
用化粧料や養毛化粧料を安価に製造することができるも
のである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61K 7/06 - 7/155 A61K 35/78 ＣＡ（ＳＴＮ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ミカン科植物Zapote Blanco （学名：Ca
   simiroa edulis）の抽出物を配合したことを特徴とする
   フケ防止頭髪用化粧料。
2. 【請求項２】 ミカン科植物Zapote Blanco （学名：Ca
   simiroa edulis）の抽出物を配合したことを特徴とする
   養毛料。