JP3553250B2 - フィルム、シート類の展張支持治具 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は,自立性のないフィルム、シート類を枠体に支持する治具に関し、特に、テレビジョン等のプロジェクションスクリーン用のレンズフィルムを展張支持する治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビジョン等のプロジェクションスクリーン用のフレネルレンズにおいては、従来は、自立性のある比較的厚いシートを用い、同心円状にレンズを形成したサーキュラーフレネルレンズが主体で、熱プレスによる成形や紫外線硬化型樹脂を用いた金型による成形がなされていた。
近年は、レンズの光学的損失などによる画質の低下を少なくためのレンズシートの薄板化と、生産性向上のための連続生産の要望から、薄いフィルム上にレンズを形成したものが製作されるようになってきた。
例えば、レンズを直線状に平行に並列して形成したリニアフレネルレンズは、形状が直線状になっているため、その作製には、グラビア印刷機を応用した機械により、連続した薄いフィルム上に紫外線硬化性の樹脂を所定の形状に転写して、紫外線により硬化させて、リニアフレネルレンズを形成する紫外線硬化法等の方法が採られていた。
このようにして作製される薄くて自立性に乏しいフィルムレンズをプロジェクションスクリーンとして使用する際の展張支持方法としては、剛性のある板、例えばレンチキュラーレンズシートに抱き合わせる第一の方法、フィルム自体を枠体やキャビネット等の支持物に支持しながら張る第二の方法が知られているが、シワ、弛みの発生確率を考慮した生産性の面や一層の薄板化という面からは第二の方法の方が優れている。
しかし、フィルム自体を枠体やキャビネット等の支持物に支持しながら張る第二の方法の場合、確実な固定は難しく、また、フィルムに対してシワを発生させずに、テンション(張力)を掛け続けることは難しく、固定にもかなりコツが必要であった。即ち、この第二の方法おいては、レンズフィルムに常にテンション(張力)を掛け続け、且つ、レンズフィルム全体をシワや弛みが発生しないように、簡単に保持できるようにすることが求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、プロジェクションスクリーン用に連続生産される自立性のない薄いリニアフレネルレンズフィルムに対しては、フィルム自体を枠体やキャビネット等の支持体に支持しながら張る展張の際に、確実な固定ができて、フィルムに対してシワや弛みを発生させずに、テンション(張力)をかけ続けることができ、且つ、固定にはコツを必要としない簡単な、展張支持治具が求められていた。
本発明は、このような状況のもと、プロジェクションスクリーン用のフィルム、シート類に対し、比較的簡単な構造で、且つ、フィルム、シート類に対してシワや弛みを発生させずに、確実な固定ができて、テンション(張力)を掛け続けることができる展張支持治具を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のフィルム、シート類の展張支持治具は、略四角形の自立性のない合成樹脂製のフィルム、シート類を、シワや弛みが発生しないように展張支持するための略四角形の枠体からなる治具であって、枠体の各短辺側には、フィルム、シート類の一方の短辺側を保持固定する保持固定部材をそれぞれ1つ計2つ設け、枠体の2つの長辺側には、少なくとも一方の保持固定部材の両端を保持しながら枠体の長辺方向に移動させるためのガイド部を設け、2つの保持固定部材の間隔を所定幅以上に広げて保持することにより、フィルム、シート類を展張支持するものであり、前記保持固定部材は、枠体の短辺を形成するもので、円柱ないし直方体からなる固定部と、固定部をフィルム、シート類とともに嵌め込む空間部を備えたベッド部を有し、且つ、ベッド部は、枠体の中心側の上面側に、枠体の外側に向かうにしたがい内側に曲がるR形状部を設け、前記上面側からみてR形状部形成領域の内部側に、展張支持するフィルム、シート類の面に略平行な、対向する2平面をもつ空間部を設けており、フィルム、シートの端部をR形状部に沿わせた状態で、前記固定部をフィルム、シート類をとともに前記ベッド部の空間部に嵌め込むものであることを特徴とするものである。
そして、上記において、ガイド部にスプリングを設け、スプリングにより保持固定部材間の間隔を所定幅以上に広げて保持することを特徴とするものである。
そしてまた、上記において、保持固定部材の一方のみが、ガイド部に沿い枠体の長辺方向に移動できることを特徴とするものである。
さらにまた、上記において、固定部がフィルム、シート類を介して空間部(溝)に嵌め込まれた際に、挟まれたフィルム、シート類が外れないように止めるストッパーを有することを特徴とするものであり、固定部はフィルム、シート類の短辺側の一辺にヒートシール法ないし超音波融着法により固定されているものであることを特徴とするものである。 そしてまた、上記のフィルム、シート類がプロジェクションスクリーン用のレンズシートであることを特徴とするものである。
【0005】
【作用】
本発明のフィルム、シート類の展張支持治具は、上記のように構成することにより、フィルム、シート類に対し、比較的簡単な構造で、且つ、フィルム、シート類に対してシワや弛みを発生させずに、確実な固定ができて、テンション(張力)を掛け続けることができる展張部材の提供を可能にしている。
詳しくは、本発明のフィルム、シート類の展張支持治具は、枠体の各短辺側には、フィルム、シート類の一方の短辺側を保持固定する保持固定部材をそれぞれ1つ計2つ設け、枠体の2つの長辺側には、少なくとも一方の保持固定部材の両端を保持しながら枠体の長辺方向に移動させるためのガイド部を設け、2つの保持固定部材の間隔を所定幅以上に広げて保持することにより、フィルム、シート類を展張支持するもので、具体的には、ガイド部にスプリングを設け、スプリングにより保持固定部材間の間隔を所定幅以上に広げて保持することにより、これを簡単な構造で、特別なテクニックも必要とせず展張支持を確実に実現できるものとしている。
また、保持固定部材の一方のみが、ガイド部に沿い枠体の長辺方向に移動できることにより、保持固定部材は、枠体の短辺を形成するものとすることにより、更に構造を簡単なものとしている。
そして、保持固定部材は、円柱ないし直方体からなる固定部と、これをフィルム、シート類を介して嵌め込む空間部(溝)を有するベッド部とを有するものであることより、確実なフィルム、シート類の保持固定を可能としている。
特に、フィルム、シート類がプロジェクションスクリーン用のレンズシートの展張支持には、有効である。
【0006】
【実施例】
本発明のフィルム、シート類の展張支持治具の実施例を図にもとづいて説明する。
図1(a)は、本実施例の枠体からなるフィルム、シート類の展張支持治具を用いて展張支持を完了した後の状態を示した平面図であり、図1(b)は、その正面図を示したものである。図2は、フィルム、シート類の展張支持治具の枠体を示す斜視図で、図3(a)は、フィルム、シートを保持固定した状態の保持固定部材の断面図で図1(a)のA1−A2に相当する位置での断面を示している。図3(b)は、保持固定部材のベッド部だけを示した保持固定部材の断面図で、図1(a)のA1−A2に相当する位置での断面を示している。そして、図4はフィルム、シートに保持固定部材の固定部をヒートシールにて固着させた状態を示している。尚、図1は、分かり易くするためにフィルム、シート下の保持固定部材を一部分だけ透視した状態で示している。
図1、図2、図3、図4中、100は展張支持治具、110はフィルム、シート、120は枠体、121、122長辺方向の枠、124はガイド(溝)、130、131は保持固定部材、134はベッド部、134Aは空間部、134RはR形状部、135は固定部、135Lは直線部、136はスペーサ、140はスプリングである。
本実施例のフィルム、シート類の展張支持治具は、略四角形の自立性のない合成樹脂製のフィルム、シート類を、シワや弛みが発生しないように展張支持するため展張支持治具で、図2に示す枠体120にフィルム、シートを保持固定しながら展張して、図1(a)に示すように展張支持を行うものである。
特に、本実施例の展張支持治具は、テレビ用プロジェクションスクリーンをテレビキャビネット等に枠体を固定して使用する場合に有効なものであるが、用途はこれに限定されない。
【0007】
図2に示すように、枠体120の短辺側には、枠体の短辺を形成し、且つ、フィルム、シート100の一方の短辺側を保持固定する保持固定部材130、131が設けられており、枠体の2つの長辺側には、保持固定部材130、131を保持固定するための枠121、122が設けられている。
そして、2つの長辺側の枠121、122には、保持固定部材131を枠体120の長辺121、122に沿い長辺方向に移動させるためのガイド(溝)124を一対として設けている。保持固定部材131は、両端部がガイド(溝)124に収まりつつ長辺方向に移動するのである。
そして、2つの保持固定部材130、131の間隔を所定幅以上に広げて、フィルム、シート110を展張支持するために、保持固定部材131はガイド(溝)に収まりつつ、図1(b)に示すようにスプリング140により支持されている。スプリング140により、保持固定部材131には常に枠体120の外側に向かい力が掛かり、これにより、フィルム、シート110は展張支持されることとなる。
【0008】
保持固定部材130、131によるフィルム、シートの保持固定を図3に基づいて更に説明する。
本実施例における保持固定部材130、131は、枠体120の短辺を形成するもので、それぞれ、略円柱状の固定部135と、固定部135をフィルム、シート110を介して嵌め込む空間部(溝)134Aを備えたベッド部134とを有するものである。
図3(a)に示すように、固定部135はフイルム、シート110を介してベッド部134の空間部134Aと嵌合して、フィルム、シート110を保持固定部材に保持固定するが、予め、図4に示すようにヒートシールにて固定部135をフィルム、シート110に固着させていてから嵌合した方が均一に図3(a)に示すように嵌合する。
固定部135は図3(a)に示すように、その断面は一部分に直線部をもつ略円形の形状で、直線部を持つことにより、フィルムが空間部134A内に固定し易くしている。
フィルム、シート110を保持固定部材131にて固定する際に、フィルム、シート110にシワが発生しないように、ベッド部134の枠体120の中心側の上面側にR形状部134Rを設けている。 スペーサ136はフィルム、シート110が外れることを防止するストッパーである。
保持固定部材130、132のベット部134の材質としては、ポリピレン、固定部135の材質としてはポリ塩化ビニル、スペーサ136の材質としてはアクリルを用いたが、特にこれに限定されない。
ベッド部134の材質としては他には、ABS樹脂、ポリーセタールなどが挙げられる。固定部135の材質としては硬質ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂等等が挙げられる。
図4に示すヒートシールによる固定部135のフィルム、シート110への固着に代え、超音波融着による固定部135のフィルム、シート110への融着にしても良い。
尚、保持固定部材の構造としては、特に本実施例のものに限定はされない。
【0009】
次に、本実施例の展張治具100にて略四角形状のフィルム、シート110を展張する動作を図5に基づいて簡単に説明しておく。尚、図5は、便宜上、一方の保持固定部材の断面の状態を示している。
先ず、図4に示すように、フィルム、シート110の片面側の両短辺側に固定部135をヒートシールにより固定する。固定は固定部135の断面の直線部135Lで行う。(図5(a))
次いで、固定部135をベッド部134側にして(図5(b))、R形状部134Rにフィルムを沿わせながら、固定部135をベッド部内へ送り、ベッド部134の空間部134Aにフィルム、シート110を介して、固定部135の断面の直線部が空間部134Aの壁面に向かい合うようにフィルム、シート110を折り曲げて嵌め込む。(図5(c))
そして、固定部135をベッド部134の空間部134Aにフィルム、シート110を介して嵌め込んだ後、スペーサ10を嵌め込み固定部135とフィルム、シート110が外れないようにする。(図5(d))
【0010】
【効果】
本発明は、上記のように、簡単な構造で、且つ、確実にフィルム、シート類の展張支持ができる、フィルム、シート類の展張支持治具の提供を可能とするものである。そして、サイズの大きいフィルム、シート類の展張支持や、複数枚フィルム、シートからなるスクリーンの展張支持にも対応できるフィルム、シート類の展張支持治具の提供を可能とするものである。
特に、テレビ用プロジェクションスクリーンに使用される、自立性のない薄いフィルムを展張する際に、展張支持を確実にできる簡単な治具の提供を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のフィルム、シート類の展張治具の図
【図2】実施例のフィルム、シート類の展張治具の斜視図
【図3】実施例のフィルム、シート類の展張治具の保持固定部材断面図
【図4】固定部をフィルム、シートにヒートシールにて固着させた図
【図5】保持固定部材のフィルム、シートを保持固定する動作を説明するための図
【符号の説明】
100 枠体
110 フィルム、シート
120 枠体
121、122 長辺方側の枠
124 ガイド(溝)
130、131 保持固定部材
134 ベッド部
134A 空間部
134R R形状部
135 固定部
135L 直線部
136 スペーサ
140 スプリング

Claims (6)

  1. 略四角形の自立性のない合成樹脂製のフィルム、シート類を、シワや弛みが発生しないように展張支持するための略四角形の枠体からなる治具であって、枠体の各短辺側には、フィルム、シート類の一方の短辺側を保持固定する保持固定部材をそれぞれ1つ計2つ設け、枠体の2つの長辺側には、少なくとも一方の保持固定部材の両端を保持しながら枠体の長辺方向に移動させるためのガイド部を設け、2つの保持固定部材の間隔を所定幅以上に広げて保持することにより、フィルム、シート類を展張支持するものであり、前記保持固定部材は、枠体の短辺を形成するもので、円柱ないし直方体からなる固定部と、固定部をフィルム、シート類とともに嵌め込む空間部を備えたベッド部を有し、且つ、ベッド部は、枠体の中心側の上面側に、枠体の外側に向かうにしたがい内側に曲がるR形状部を設け、前記上面側からみてR形状部形成領域の内部側に、展張支持するフィルム、シート類の面に略平行な、対向する2平面をもつ空間部を設けており、フィルム、シートの端部をR形状部に沿わせた状態で、前記固定部をフィルム、シート類をとともに前記ベッド部の空間部に嵌め込むものであることを特徴とするフィルム、シート類の展張支持治具。
  2. 請求項1において、ガイド部にスプリングを設け、スプリングにより保持固定部材間の間隔を所定幅以上に広げて保持することを特徴とするフィルム、シート類の展張支持治具。
  3. 請求項1ないし2において、保持固定部材の一方のみが、ガイド部に沿い枠体の長辺方向に移動できることを特徴とするフィルム、シート類の展張支持治具。
  4. 請求項1ないし3において、固定部がフィルム、シート類を介して空間部(溝)に嵌め込まれた際に、挟まれたフィルム、シート類が外れないように止めるストッパーを有することを特徴とするフィルム、シート類の展張支持治具。
  5. 請求項1ないし4において、固定部はフィルム、シート類の短辺側の一辺にヒートシール法ないし超音波融着法により固定されているものであることを特徴とするフィルム、シート類の展張支持治具。
  6. 請求項1ないし5記載のフィルム、シート類がプロジェクションスクリーン用のレンズシートであることを特徴とするフィルム、シート類の展張支持治具。
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