JP3552854B2 - インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法、より詳細には、記録を必要とする時だけ記録液滴を吐出して記録紙に記録するインクジェット、特に、静電力を利用した振動板の変形によるインクジェット記録ヘッドの構造およびその製造方法に関し、プリンター,プロッター,複写機等に用いて好適なインクジェット記録ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オンデマンド型インクジェットとしては、加圧室の壁の一部に電気機械変換素子としての圧電材料を配置し、圧電素子への電圧印加に伴う加圧室の圧力変化によりインクを吐出する方式(ピエゾオンデマンド型)や、加圧室内部に発熱体を配置し、発熱体への通電により気泡を発生し、気泡の圧力によりインクを吐出させる方式(バブルジェット方式)が広く知られている。
【0003】
また、これらの方式が有する課題を解決するため、すなわち、装置の小型化、高密度化、高速印字、印字品質の向上、および、信頼性の向上を目的として、加圧室の壁の一部を構成する振動板を静電力により変形させ、この振動板の変形に伴う加圧室の圧力変化によりインクを吐出する静電力型インクジェットが提供されている。
【0004】
静電力型インクジェットの振動板の変位、加圧室容積の変化について考える。四辺が固定された振動板(短辺の長さをa,長辺の長さをb,厚さをhとする)が所定のギャップtをもって基板に対向して配置された状態を考え、この2枚の平行平板に電圧Vを印加すると、平行平板間には力fが働く。その力fは、
f=0.5×ε0×εs×V2/t2
で表わされる。ここで、ε0,εsは、それぞれ真空の誘電率および平行平板間の物質の比誘電率を示す。
【0005】
基板は十分な剛性があるため、変形しないと仮定すると、この力fにより、振動板のみが変形する。その最大変位量δは、
δ=ε0×(a/2)4×(1−ν2)×V2/(4×E×h3×t2)
で表わされる。ここで、ν,Eは、それぞれ振動板のポアソン比およびヤング率を示す。
【0006】
また、この変位により、インク吐出に寄与する振動板の変化に伴う加圧室の容積変化Wが得られる。その容積変化Wは、
W=8×a×b×δ/15
で表わされる。
【0007】
これらの結果から、容積変化Wは、aの5乗、bの1乗、Vの2乗に比例し、hの3乗、tの2乗に反比例することになる。ところで、aは振動板の短辺長であり、これを長くすることは、複数個の加圧室の間隔、すなわち、ノズル集積度を低くし、さらにはヘッド全体の寸法を大きくすることになる。hは振動板の板厚であり、これをあまり小さくすると、振動板の剛性が低くなり、インク加圧時の圧力発生に伴う反力により、振動板の十分な変位が得られない結果となる。
【0008】
オンデマンド型インクジェットとして、例えば、次のようなものが開示されている。
【0009】
(1)特開平5−50601号公報に開示されたものは、シリコンからなる中基板にエッチングにより、ノズル,吐出室,インクキャビティーおよび振動板を形成する凹部を一体的に形成し、インク供給口を有する上基板と、中基板の凹部に対応して電極が設けられた下基板とを接合することにより、ヘッドを構成し、振動板と電極間への電圧印加によりインクを吐出するというものである。
【0010】
(2)特開平6−71882号公報に開示されたものは、低電圧駆動を目的としたもので、振動板と電極の間隔を0.05μm以上2.0μm以下とし、この微小間隔を、中基板の凹部と下基板間、下基板の凹部と中基板間、中基板と下基板に設けられた酸化膜間、および、下基板の感光性樹脂と中基板間等に形成するというものである。
【0011】
(3)特公平4−52214号公報に開示されたものは、高誘電率を有する液体インクを満たし、一方に基板と、反対側に振動板を設け、各々に電極を設けた圧力室と、圧力室に連通するノズルを備え、基板と振動板間の電極に電圧を印加し、圧力室の容積を変化させてインクを吐出するというものである。
【0012】
(4)特開平2−289351号公報に開示されたものは、振動部材となる第一電極と、流路外に第1電極と対向して配置された第2電極を設け、比誘電率の高い物質を充填し、第1,第2電極間への電圧印加でインクを吐出させるというものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開平6−71882号公報に開示されたものは、上述のような微小ギャップの作成として、マイクロマシーニングで知られる微細加工技術を用いれば、技術的には可能であるが、インクジェットヘッドを量産するという観点からは、6または8インチのシリコンウエハーから、複数個のヘッドを得る必要があり、上記ギャップを精度良く、かつ、バラツキを少なく作成することは困難である。
【0014】
また、上記特公平4−52214号公報に開示されたものは、高誘電率を有する液体インクを用いるため、比較的低電圧でインクの吐出が可能であること、ギャップを比較的大きく作成できると言う長所がある反面、インクそのものの比誘電率を高くする必要があり、インク絶縁性,カラー化,乾燥性,価格等の点で実用的とは言えない欠点を有している。
【0015】
さらに、上記特開平2−289351号公報に開示されたものは、第2電極が流路外に配置されるため、上記のインク組成に対する欠点は解決できる。しかし、低電圧での駆動を可能にするには、比誘電率の高い物質を用いても第1,第2電極間のギャップを小さくする必要があり、特に比誘電率の高い物質の粘性が高い場合には、均一に充填するために充填方法に特別な装置等が必要である。
【0016】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、振動板と基板の間に比誘電率の高い物質を容易、かつ、均一に充填することが可能で、しかも低電圧で駆動することが可能なインクジェット記緑ヘッドを提供することを目的としてなされたものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、第1の電極を有する第1の振動板と、該第1の振動板に対して所定のギャップをもって対向して配設された第2の電極を有する基板と、前記ギャップに充填された充填材と、記録液体を充填する加圧室と、該加圧室に連通し前記記録液体を吐出するノズルとを有し、前記第1および第2の電極間の電圧印加によって前記第1の振動板を変位させ、前記電圧印加をオフした時の前記第1の振動板の剛性にともなう復元力により前記加圧室の圧力を上昇させることにより、前記記録液体を前記ノズルから吐出するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記ギャップに連通する充填室を前記基板の一部に設けたことを特徴としたもので、ギャップおよび充填室に比誘電率の高い物質を容易に、かつ、均一に充填することができ、また、比較的容易に製作することができるギャップにより、低電圧によるインク吐出ができるようにしたものである。
【0018】
請求項2の発明は、第1の電極を有する第1の振動板と、該第1の振動板に対して所定のギャップをもって対向して配設された第2の電極を有する基板と、前記ギャップに充填された充填材と、記録液体を充填する加圧室と、該加圧室に連通し前記記録液体を吐出するノズルとを有し、前記第1および第2の電極間の電圧印加による前記第1の振動板の変位に伴って、前記充填材を介して前記加圧室の圧力が上昇することにより、前記記録液体を前記ノズルから吐出するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記ギャップに連通する充填室を前記基板の一部に設け、該充填室を狭んで前記振動板に対向する位置に配設され、かつ、前記充填室と前記加圧室との境界に配設された第2の振動板を有することを特徴としたもので、ギャップおよび充填室に比誘電率の高い物質を密閉することにより、静電引力による振動板変形に伴うインク吐出をすることができ、駆動電圧の立ち上がりおよび立ち下がり時間の調整により、サテライトの少ないインク吐出ができるようにしたものである。
【0019】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記第2の振動板が、前記記録液体とほぼ同等の音響インピーダンスを有することを特徴としたもので、低電圧駆動でサテライトの少ないインク吐出ができるようにしたものである。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1あるいは2の発明において、前記第1の振動板と前記充填室とを、前記基板に一体的に形成したことを特徴としたもので、振動部材と基板間の直接接合時の高温による振動板の変形や、陽極接合時の電極破損等の接合時の問題を避けることができるようにしたものである。
【0021】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記第1の振動板を補強するための補強部材を前記第1の振動板に一体的に形成したことを特徴としたもので、絶縁膜や電極等のスパッタ法等による膜形成において、膜厚を薄くすることにより、製作時間を短縮することができ、接合などの工程を必要としないで、エレクトロフォーミング法により、短時間に所望の膜厚を一体的に得ることができるようにしたものである。
【0022】
請求項6の発明は、第1の電極を有する第1の振動板と、該第1の振動板に対して所定のギャップをもって対向して配設された第2の電極を有する基板と、前記ギャップに充填された充填材と、記録液体を充填する加圧室と、該加圧室に連通し前記記録液体を吐出するノズルとを有し、前記第1および第2の電極間の電圧印加によって前記第1の振動板を変位させ、前記電圧印加をオフした時の前記第1の振動板の剛性にともなう復元力により前記加圧室の圧力を上昇させることにより、前記記録液体を前記ノズルから吐出するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記基板を製作するための基板に、前記ギャップを形成するための犠牲層と、第1の絶縁層と、前記第1の電極と、第2の絶縁層とを順次積層した後、前記犠牲層を除去することにより、前記ギャップを形成することを特徴としたもので、振動部材と基板間の直接接合時の高温による振動板の変形や、陽極接合時の電極破損等の接合時の問題を避けることができるようにしたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によるインクジェット記録ヘッドの一実施例を説明するための図で、図中、1は基板、2は振動部材、3はノズルプレート、3aはノズル、4は蓋部材、5は充填室、6は加圧室、7は第1振動板、8は第1電極、9は第2電極、Gはギャップ、Vは印加電圧である。
【0024】
図1に示した実施例は、KOH等による異方性エッチングにより面方位(100)のSi単結晶からなる振動部材2に加圧室6と第1振動板7を形成し、周知の方法によりNi,Al等の金属からなる第1電極8を第1振動板7の加圧室6に対して対側に膜形成し、他方、エッチングによりパイレックス(R)ガラスからなる基板1にギャップとなる微小間隔を形成し、第2電極9を膜形成した後、基板1の反対側からエッチングで充填室5を形成し、続いて、振動部材2と基板1をSi、ガラスの陽極接合で接合し、ギャップG及び充填室5に比誘電率の高い液体を充填して蓋部材4により密閉したもので、第1電極8と第2電極9の間に電圧Vを印加して第1振動板7を基板1側に変形させ、電圧VをOFFにした時の第1振動板7の剛性にともなう復元力により、加圧室6内のインクを加圧して、ノズル3aよりインク液滴を吐出するようにしたものである。
【0025】
請求項1の発明は、図1に示したように、Siの異方性エッチングにより振動部材2に薄い第1振動板7を形成し、基板1にギャップを形成してその各々を接合することにより、均一なギャップGを得ると共に、Siの異方性エッチングにより、基板1の一部に基板1と第1振動板7の間のギャップに連通する比誘電率の高い物質を充填するための充填室5を形成し、比誘電率の高い物質を均一に充填して、第1振動板7と基板1に設けられた電極8,9間への電圧Vの印加により、第1振動板7の変形の復帰時に第1振動板7に隣接して設けた加圧室6の圧力変化により、インクを吐出するようにしたものである。特に、ギャップGに連通する充填室5を基板1の一部に設けたので、ギャップGおよび充填室5に比誘電率の高い物質を容易に、かつ、均一に充填することができ、比較的容易に製作することができるギャップにより、低電圧によるインク吐出が可能である。
【0026】
図1に示した実施例に基づいて、以下に示すように、インクジェット記録ヘッドを製作し、その能力を確認した。
【0027】
板厚200μmで面方位(100)のSi単結晶から、短辺長さ300μm,長辺長さ3000μm、厚さ15μmの第1振動板7を異方性エッチングで形成し、Niの第1電極8を形成した。他方、板厚1mmのパイレックス(R)ガラス(#7740)から2μmと3μmのギャップGを2種類作成し、充填室5およびNiの第2電極9を形成し、第1振動板7と基板1を温度400℃、電圧500Vの条件で陽極接合した。また、ギャップG及び充填室5には比誘電率が約100のホルムアミドを充填し、ステンレス製の蓋部材4で、微小な大気開口を設けて密閉し、加圧室6には、インク容器(図示せず)より、粘度1.5c.pの水性インクを導くと共に、板厚40μmのエレクトロフォーミングで作成したNiノズルプレート3を接合した。
【0028】
上記2μmと3μmのギャップGに対して、各々47Vと70Vの電圧を第1および第2電極8,9の間に印加することにより、ノズル径30μmのノズル3aから、直径35μmのインク液滴が速度6m/sで吐出することが確認され、これにより、実用的なギャップ間隔で比較的低電圧によるインク吐出が可能であることが確認された。
【0029】
図2は、本発明によりインクジェット記録ヘッドの他の実施例を説明するための図で、図中、10は第2振動板、11は液室部材で、その他、図1と同じ作用をする部分には、図1と同じ符号が付してある。
【0030】
図2の示した実施例は、図1に示した実施例と同様に振動部材2,基板1,充填室5,第1および第2電極8,9を形成し、比誘電率の高い液体を基板1側から充填して、第2振動板10で密閉し、第2振動板10には液室部材11およびノズルプレート3を接合したもので、第1電極8と第2電極9の間に電圧Vを印加し、第1振動板7を基板1側に変形させて、このとき発生する圧力波が第2振動板10に伝播し、加圧室6内のインクを加圧し、ノズル3aよりインク液滴を吐出するようにしたものである。
【0031】
請求項2の発明は、図2に示したように、図1に示した実施例と同様な方法により、第1振動板7,ギャップ,充填室5を形成し、ギャップとは反対側に加圧室6が隣接して設けられた第2振動板10を設け、第1振動板7と基板1に設けられた電極8,9間への電圧印加により、第1振動板7の変形に伴う加圧室6の圧力変化によりインクを吐出するようにしたものである。
【0032】
図2に示した実施例を基づいて、以下に示すように、インクジェット記録ヘッドを製作し、その能力を確認した。
【0033】
図1に示した実施例と同様な方法により、第1振動板7,ギャップ,充填室5,第1および第2電極8,9を形成し、充填室5にホルムアミドを充填後、充填室5の開口部を板厚5μmのエレクトロフォーミングで製作したNi板を接着剤により接合することにより第2振動板10とし、ステンレスからなる液室部材11をエッチングして加圧室6を形成し、ノズルプレート3は図1に示した実施例と同様に形成して、各々の部材を接着剤で接合した。
【0034】
図1に示した実施例と同様に2μmと3μmのギャップGに対して、直径35μmのインク液滴が吐出する電圧を求めたところ、各々、60Vおよび86Vであった。図1に示した実施例の場合に比べ、若干高い駆動電圧を必要としたが、駆動電圧の立ち上げおよび立ち下げ時間を調整することにより、サテライト発生が少ない条件が容易に得られることがわかった。
【0035】
図3は、本発明によるインクジェット記録ヘッドの他の実施例を説明するための図で、図中、12はゴムで、その他、図1あるいは図2と同じ作用をする部分には、図1あるいは図2と同じ符号が付してある。
【0036】
図3に示した実施例は、図2に示した実施例において、第2振動板10により、比誘電率の高い物質を密閉する替わりに、音響インピーダンスがインクに近い材料を充填室5に充填し、インクの反射に伴う損出を防止したもので、この材料として、RTVゴム12を充填したものである。
【0037】
図2に示した実施例と同様な評価を行ったところ、2μmと3μmのギャップGに対して、直径35μmのインク液滴が吐出する電圧を求めたところ、各々、50Vおよび75Vであり、図1に示した実施例に近い結果が得られた。
【0038】
請求項3の発明は、図3に示したように、低電圧駆動を目的として、インクと同等の音響インピーダンスを有するゴム12を充填室5に充填したものである。
【0039】
図4は、本発明によるインクジェット記録ヘッドの他の実施例を説明するための図で、図中、13は熱酸化膜、14は犠牲層、15,17は絶縁膜、16は電極で、その他、図1乃至図3と同じ作用をする部分には、図1乃至図3と同じ符号が付してある。
【0040】
図4に示した実施例は、一枚の基板1に第1振動板7,ギャップG,充填室5,電極16を一体的に構成するようにしたもので、先ず、図4(A)に示したように、熱酸化膜13の付いた、低抵抗で面方位(100)のSi単結晶からなる基板1に金属または酸化膜からなり、エッチングによりプロセスの最後に選択的に除去できる犠牲層14を周知の膜形成法により形成し、続いて、図4(B)に示したように、犠牲層14の上に、SiO2,Si3N4等からなる絶縁膜15と、Ni,Al等の金属からなる電極16と、同じく絶縁膜17を膜形成法により順次形成し、最後に、図4(C)に示したように、基板1の裏側から、Si異方性エッチングにより、充填室5を形成し、さらに、熱酸化膜13をエッチング後に、犠牲層14を選択的にエッチングすることにより、ギャップGを形成し、ステンレスからなる液室部材11と、エレクトロフォーミングで作成したNiノズルプレート3を接着材により接合し、基板1の充填室5に比誘電率の高い物質を充填して、ふた部材4により密閉したものである。
【0041】
請求項4の発明は、図4に示したように、Si基板1上に犠牲層14,絶縁膜15,電極16,絶縁膜17を、順次、膜形成して振動部材を形成し、Si基板1の裏から犠牲層14を除去することにより、ギャップGを形成し、このギャップGに比誘電率の高い物質を充填するようにしたものである。
【0042】
図4に示した実施例に基づいて、以下に示すように、インクジェット記録ヘッドを製作し、その能力を確認した。
【0043】
板厚200μmで熱酸化膜13の付いた面方位(100)のSi基板1に、短辺長さ300μm,長辺長さ3000μm,厚さ3μmのAlを犠牲層14として膜形成し、続いて、犠牲層14の上に、絶縁膜15として3μmのSiO2、電極16として4μmのNi、さらに、絶縁膜17として3μmのSiO2を、順次、膜形成し、Si基板1の裏の熱酸化膜13を除去してKOH異方性エッチングにより充填室5を形成すると共に、熱酸化膜13およびAlの犠牲層14を選択的にエッチングすることにより、第1振動板7と、充填室5を形成し、充填室5に比誘電率が約100のホルムアミドを充填し、ステンレス製の蓋部材4で、微小な大気開口を設けて密閉し、液室部材11はステンレスのエッチングで製作し、ノズルプレート3はエレクトロフォーミングで作成した板厚40μmのNiで作成し、各々の部材を接着剤で接合し、加圧室6に粘度1.5c.pの水性インクをインク容器(図示せず)より充填した。
【0044】
Si基板1と電極16間に54Vの電圧を印加することにより、ノズル径30μmのノズル3aから直径35μmのインク液滴が速度4m/sで吐出することが確認された。また、この実施例では基板1上にギャップG,第1振動板7,電極16,充填室5が低温で一体的に形成することができるため、従来、Siとガラスの陽極接合時に必要であった高温処理による振動板の変形がないこと、また、陽極接合時の電極短絡防止等が不要であること等のメリットがあることがわかった。
【0045】
図5は、本発明によるインクジェット記録ヘッドの他の実施例を説明するための図で、図中、18は補強部材で、その他、図1乃至図4と同じ作用をする部分には、図1乃至図4と同じ符号が付してある。
【0046】
図5に示した実施例は、板厚200μmで熱酸化膜13の付いた面方位(100)のSi基板1に、短辺長さ300μm,長辺長さ3000μm,厚さ3μmのAlを犠牲層14として膜形成し、続いて、犠牲層14の上に、絶縁膜15として0.5μmのSiO2、電極16として0.2μmのNi、さらに、絶縁膜17として0.5μmのSiO2を、順次、膜形成し、続いて、絶縁膜17の上に0.1μmのNiを膜形成し、エレクトロフォーミングにより、このNi上に最終的なNi厚さが15μmとなるように補強部材18を形成したもので、このとき、Ni膜は第1振動板7の一部を除くようにパターニングし、実効的に第1振動板7の周囲の膜厚が薄くなるようにしたものである。
【0047】
Si基板1と電極16間に50Vの電圧を印加することにより、ノズル径30μmのノズル3aから、直径35μmのインク液滴が速度7m/sで吐出することが確認された。
【0048】
なお、図4および図5に示した実施例では、Si基板1と電極16間に電圧Vを印加したが、Si基板1にあらかじめ絶縁膜15,電極16,絶縁膜17を、順次、膜形成しておくことにより、基板1の電極と第1振動板7の電極間へ電圧を印加することにより、インクを吐出することも可能である。
【0049】
請求項5および6の発明は、図5に示したように、第1振動板7の剛性の増加、製作時間の短縮を目的として、第1振動板7に補強部材18を一体的に付加したものである。
【0050】
【発明の効果】
請求項1の発明は、第1の電極を有する第1の振動板と、該第1の振動板に対して所定のギャップをもって対向して配設された第2の電極を有する基板と、前記ギャップに充填された充填材と、記録液体を充填する加圧室と、該加圧室に連通し前記記録液体を吐出するノズルとを有し、前記第1および第2の電極間の電圧印加によって前記第1の振動板を変位させ、前記電圧印加をオフした時の前記第1の振動板の剛性にともなう復元力により前記加圧室の圧力を上昇させることにより、前記記録液体を前記ノズルから吐出するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記ギャップに連通する充填室を前記基板の一部に設けたので、ギャップおよび充填室に比誘電率の高い物質を容易に、かつ、均一に充填することができ、比較的容易に製作することができるギャップにより、低電圧によるインク吐出が可能である。
【0051】
請求項2の発明は、第1の電極を有する第1の振動板と、該第1の振動板に対して所定のギャップをもって対向して配設された第2の電極を有する基板と、前記ギャップに充填された充填材と、記録液体を充填する加圧室と、該加圧室に連通し前記記録液体を吐出するノズルとを有し、前記第1および第2の電極間の電圧印加による前記第1の振動板の変位に伴って、前記充填材を介して前記加圧室の圧力が上昇することにより、前記記録液体を前記ノズルから吐出するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記ギャップに連通する充填室を前記基板の一部に設け、該充填室を狭んで前記振動板に対向する位置に配設され、かつ、前記充填室と前記加圧室との境界に配設された第2の振動板を有するので、ギャップおよび充填室に比誘電率の高い物質を密閉することにより、静電引力による振動板変形に伴うインク吐出が可能となり、駆動電圧の立ち上がりおよび立ち下がり時間の調整により、サテライトの少ないインク吐出が可能である。
【0052】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記第2の振動板が、前記記録液体とほぼ同等の音響インピーダンスを有するので、低電圧駆動でサテライトの少ないインク吐出が可能である。
【0053】
請求項4の発明は、請求項1あるいは2の発明において、前記第1の振動板と前記充填室とを、前記基板に一体的に形成したので、振動部材と基板間のSi同士の直接接合時の高温による振動板の変形や、Siとガラス間の陽極接合時の電極破損等の接合時の問題を避けることができる。
【0054】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記第1の振動板を補強するための補強部材を前記第1の振動板に一体的に形成したので、絶縁膜や電極等のスパッタ法等による膜形成において、膜厚を薄くすることにより、製作時間を短縮することができ、接合などの工程を必要としないで、エレクトロフォーミング法により、短時間に所望の膜厚を一体的に得ることができる。
【0055】
請求項6の発明は、第1の電極を有する第1の振動板と、該第1の振動板に対して所定のギャップをもって対向して配設された第2の電極を有する基板と、前記ギャップに充填された充填材と、記録液体を充填する加圧室と、該加圧室に連通し前記記録液体を吐出するノズルとを有し、前記第1および第2の電極間の電圧印加によって前記第1の振動板を変位させ、前記電圧印加をオフした時の前記第1の振動板の剛性にともなう復元力により前記加圧室の圧力を上昇させることにより、前記記録液体を前記ノズルから吐出するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記基板を製作するための基板に、前記ギャップを形成するための犠牲層と、第1の絶縁層と、前記第1の電極と、第2の絶縁層とを順次積層した後、前記犠牲層を除去することにより、前記ギャップを形成するので、振動部材と基板間のSi同士の直接接合時の高温による振動板の変形や、Siとガラス間の陽極接合時の電極破損等の接電時の問題を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるインクジェット記録ヘッドの一実施例を説明するための図である。
【図2】本発明によりインクジェット記録ヘッドの他の実施例を説明するための図である。
【図3】本発明によるインクジェット記録ヘッドの他の実施例を説明するための図である。
【図4】本発明によるインクジェット記録ヘッドの他の実施例を説明するための図である。
【図5】本発明によるインクジェット記録ヘッドの他の実施例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…基板、2…振動部材、3…ノズルプレート、3a…ノズル、4…蓋部材、5…充填室、6…加圧室、7…第1振動板、8…第1電極、9…第2電極、10…第2振動板、11…液室部材、12…ゴム、13…熱酸化膜、14…犠牲層、15,17…絶縁膜、16…電極、18…補強部材、G…ギャップ、V…印加電圧。
Claims (6)
- 第1の電極を有する第1の振動板と、該第1の振動板に対して所定のギャップをもって対向して配設された第2の電極を有する基板と、前記ギャップに充填された充填材と、記録液体を充填する加圧室と、該加圧室に連通し前記記録液体を吐出するノズルとを有し、前記第1および第2の電極間の電圧印加によって前記第1の振動板を変位させ、前記電圧印加をオフした時の前記第1の振動板の剛性にともなう復元力により前記加圧室の圧力を上昇させることにより、前記記録液体を前記ノズルから吐出するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記ギャップに連通する充填室を前記基板の一部に設けたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
- 第1の電極を有する第1の振動板と、該第1の振動板に対して所定のギャップをもって対向して配設された第2の電極を有する基板と、前記ギャップに充填された充填材と、記録液体を充填する加圧室と、該加圧室に連通し前記記録液体を吐出するノズルとを有し、前記第1および第2の電極間の電圧印加による前記第1の振動板の変位に伴って、前記充填材を介して前記加圧室の圧力が上昇することにより、前記記録液体を前記ノズルから吐出するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記ギャップに連通する充填室を前記基板の一部に設け、該充填室を狭んで前記振動板に対向する位置に配設され、かつ、前記充填室と前記加圧室との境界に配設された第2の振動板を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
- 前記第2の振動板が、前記記録液体とほぼ同等の音響インピーダンスを有することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記第1の振動板と前記充填室とを、前記基板に一体的に形成したことを特徴とする請求項1あるいは2に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記第1の振動板を補強するための補強部材を前記第1の振動板に一体的に形成したことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 第1の電極を有する第1の振動板と、該第1の振動板に対して所定のギャップをもって対向して配設された第2の電極を有する基板と、前記ギャップに充填された充填材と、記録液体を充填する加圧室と、該加圧室に連通し前記記録液体を吐出するノズルとを有し、前記第1および第2の電極間の電圧印加によって前記第1の振動板を変位させ、前記電圧印加をオフした時の前記第1の振動板の剛性にともなう復元力により前記加圧室の圧力を上昇させることにより、前記記録液体を前記ノズルから吐出するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記基板を製作するための基板に、前記ギャップを形成するための犠牲層と、第1の絶縁層と、前記第1の電極と、第2の絶縁層とを順次積層した後、前記犠牲層を除去することにより、前記ギャップを形成することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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