JP3552328B2 - 液晶デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、大面積になし得る液晶デバイスの製造方法に関し、更に詳しくは、視野の遮断、開放及び明かりもしくは照明光の透過制限、遮断、透過を電気的に操作し得るものであって、建物の窓やショーウインドウなどで視野遮断のスクリーンや、採光コントロールのカーテンに利用されると共に、文字や図形を表示し、高速応答性を以って電気的に表示を切り換えることによって、OA機器のディスプレイやプロジェクション用デバイス等のハイインフォーメーション表示体や広告板、案内板、装飾表示板等として利用される液晶デバイスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
偏光板及び配向処理を要さず、明るくコントラストの良い、大型で廉価な液晶デバイスを製造する方法として、特表昭58−501631号公報、米国特許第4,435,047号明細書、特表昭61−501345号公報、特開昭62−48789号公報等には、液晶のカプセル化により、ポリマー中に液晶滴を分散させ、そのポリマーをフィルム化する方法が開示されている。
【0003】
上記の明細書中で開示された技術においては、ポリビニルアルコールによってカプセル化された液晶分子は、それが薄層中で正の誘電率異方性を有するものであれば、電界の存在下でその液晶分子は電界の方向に配列し、液晶の常光屈折率noとポリマーの屈折率npが等しいときには、透明性を発現する。電界が除かれると、液晶分子はランダム配列に戻り、液晶滴の屈折率がnoよりずれるため、液晶滴はその境界面で光を散乱し、光の透過を遮断するので、薄層体は白濁する。
【0004】
このように、カプセル化された液晶を分散包蔵したポリマーを薄膜としている技術は上記以外にもいくつか知られており、例えば、特表昭61−5021208号公報には、液晶がエポキシ樹脂中に分散したもの、特開昭62−2231号公報、特開昭63−278035号公報及び特開昭63−278036号公報には、光硬化性樹脂と液晶の混合液に紫外線を照射することによって、液晶と光硬化性樹脂とを相分離させて、液晶が樹脂中に分散した調光層を形成する方法がそれぞれ開示されている。
【0005】
このような調光層を有する液晶デバイスにおける駆動電圧は約20V以上も必要であり、多くの場合40V以上の高電圧を必要とするものであった。更に、これらの液晶デバイスに必要な光散乱性能、光透過性能を得るためには、液晶材料と樹脂成分の屈折率の一致、不一致を最適化しなければならず、液晶材料と樹脂材料の組合せを選択する上で制限があった。
【0006】
このような問題点から、前述の如き液晶デバイスの実用化に要求される重要な特性である低電圧駆動特性、高コントラスト、時分割駆動を可能にするために、特開平1−198725号公報及び特開平2−85822号公報には、液晶材料が連続層を形成し、この連続層中に、三次元網目状の高分子物質を形成して成る調光層を有する液晶デバイスが開示されている。
【0007】
このような液晶デバイスは、電極層を有する透明な2枚の基板間に、液晶材料、重合性組成物及び光重合開始剤を含有する調光層形成材料を介在させ、調光層形成材料の等方性液体状態において光を照射して前記重合性組成物を重合させることによって、前述のような液晶材料と透明性高分子物質から成る調光層を有する高性能な液晶デバイスを製造することができるものであり、製造工程中において調光層形成材料は等方性液体状態を保持している必要がある。
【0008】
更に、品質管理上、再現性ある特性を有するパネルを製造する為には、活性光線照射時において温度調整を厳密に管理する必要がある。特に、活性光線照射に伴なう赤外領域の光吸収や重合熱の発生による加熱によって、重合反応ないし相分離時の温度が上昇し、これが原因で、液晶デバイスの特性の再現性及び均一正に影響を及ぼしていることが判明しているから、特性的に再現性及び均一性を有する液晶デバイスを製造する上で、発熱や加熱による温度上昇を抑制することが重要であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
活性光線照射に伴う発熱を抑制する方法として、赤外線カットフィルターを具備した紫外線照射装置を用いる方法が考えられるが、多くの熱線は透過してしまい、加熱抑制効果が小さく、基板の温度調整における根本的な問題解決策ではなかった。
【0010】
また、活性光線照射によりパネル基板及びその周辺部分が昇温してしまう為、次のサンプルを照射するまでに、冷却等の操作が必要であり、多数枚順次照射していく上で時間的効率が悪いと言う問題があった。
【0011】
この問題を解決するために、活性光線照射工程において照射スペース全体を加熱保温する方法も考えられるが、この方法では大きな発熱容量を有するヒータや冷却装置を必要とし消費電力が大きく不経済であり、また、熱容量が大きいために温度設定を変更するために多大の時間を要する等の問題があった。また、パネル基板配置面に面状温度調節装置(ヒーター、冷却器)を組み込んで温度調節する方法の場合、パネルが所定の温度になるまで若干の時間を必要とし、生産効率の上で支障があり、この場合大型パネルの場合又面内での歪み反り等が発生し面の平滑度がずれパネルのセル間隔精度が崩れる等の問題があった。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、温度調整(保温加熱冷却)機構を簡略化し、効率の良い基板温度調整(保温加熱冷却加熱)機構を提供し、調光層形成材料の重合性組成物を重合させる活性光線の照射工程の効率を向上させ、もって所望の特性を再現性よく発現できる液晶デバイスの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に至った。
即ち、本発明は、上記課題を解決するために、(1)電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、液晶材料、重合性組成物及び光重合開始剤を含有する調光層形成材料を介在させた後、活性光線を照射することによって前記重合性組成物を重合させることにより、液晶材料及び透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスの製造方法において、活性光線を照射する際に、2枚の基板の少なくとも一方の基板の外側に該基板の2〜10倍以上の熱容量を有し、かつ、該基板面と同等以上の大きさの面を有する透明性板状体を密着配置する液晶デバイスの製造方法、及び(2)電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、液晶材料、重合性組成物及び光重合開始剤を含有する調光層形成材料を介在させた後、活性光線を照射することによって前記重合性組成物を重合させることにより、液晶材料及び透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスの製造方法において、活性光線を照射する際に、該基板の2〜10倍以上の熱容量を有し、かつ、該基板面と同等以上の大きさの面を有する2枚の透明性板状体であって、2枚の透明性板状体のうちの少なくとも一方が活性光線を透過し得る透明性を有し、活性光線を透過し得る透明性板状体が活性光線の入射側となるように配置されている2枚の透明性板状体の間に、前記調光層形成材料を介在した該基板を挟持する液晶デバイスの製造方法を提供する。
【0014】
本発明の製造方法により得られた液晶デバイスの調光層は、液晶材料が連続層を形成し、液晶材料の連続層中に三次元網目状の透明性固体物質が分散した構造を有するものが好ましい。
【0015】
本発明で使用する基板は、堅固な材料、例えば、ガラス、金属等であってもよく、柔軟性を有する材料、例えば、プラスチックフィルムの如きものであっても良い。そして、基板は2枚が対向して適当な間隔を隔て得るものであり、その少なくとも一方は透明性を有し、その2枚の間に挟持される液晶層及び透明性固体物質を有する層から成る調光層を外界から視覚させるものでなければならない。但し、完全な透明性を必須とするものではない。もし、この液晶デバイスが、デバイスの一方の側から他方の側へ通過する光に対して作用させるために使用される場合には、2枚の基板は共に適宜な透明性が与えられる。この基板には、目的に応じて透明、不透明の適宜な電極が、その全面又は部分的に配置されても良い。
尚、2枚の基板間には、液晶材料及び透明性固体物質から成る調光層が介在されるが、この2枚の基板間には、通常、周知の液晶デバイスと同様、間隔保持用のスペーサーを介在させることもできる。
【0016】
スペーサーとしては、例えば、マイラー、アルミナ、ポリマービ−ズ等種々の液晶セル用のものを用いることができる。
【0017】
本発明で使用する液晶材料は、単一の液晶化合物であることを要しないのは勿論であり、2種以上の液晶化合物や液晶化合物以外の物質を含んだ混合物であってもよく、通常この技術分野で液晶材料として認識されるものであればよく、そのうちの正の誘電率異方性を有するものが好ましい。用いる液晶としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶が好ましく、ネマチック液晶が特に好ましい。その性能を改善するために、コレステリック液晶、キラルネマチック液晶、キラルスメクチック液晶やキラル化合物や2色性色素等が適宜含まれていてもよい。
【0018】
本発明で使用する液晶材料は、以下に示した化合物群から選ばれる1種以上の化合物から成る配合組成物が好ましく、液晶材料の特性、即ち、等方性液体と液晶の相転移温度、融点、粘度、屈折率異方性(Δn)、誘電率異方性(Δε)、及び重合性組成物との溶解性等を考慮して、適宜選択、配合して用いることができる。
【0019】
液晶材料としては、例えば、4−置換安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4′−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4′−置換ビフェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4′−置換シクロヘキシルエステル、4−置換4′−置換ビフェニル、4−置換フェニル4′−置換シクロヘキサン、4−置換4″−置換ターフェニル、4−置換ビフェニル4′−置換シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジンなどを挙げることができる。
【0020】
調光層形成材料中の液晶材料、重合性組成物の含有量は、重量比で60:40〜95:5の範囲が好ましく、75:25〜85:15の範囲が特に好ましい。これは液晶材料が多すぎたり少なすぎる場合、液晶材料と透明性固体物質の分散状態が均一にならないので、光散乱による調光機能が発現しなくなり、好ましくない。
【0021】
前記調光層中に形成される透明性固体物質は、ポリマー中に液晶材料が液滴状となって分散するものでもよいが、三次元網目状構造を有するものがより好ましい。透明性固体物質により液晶材料の無秩序な配向状態を形成することにより、光学的境界面を形成し、光の強い散乱を発現させることができる。
【0022】
調光層形成材料を2枚の基板間に介在させるには、注入孔部分を除いた周辺部をシール材で固めた2枚の基板より成る空セルにこの調光層形成材料を注入しても良いが、一方の基板に適当な溶液塗布機やスピンコーター等を用いて均一に塗布し、次いで他方の基板を重ね合わせ、圧着させてもよい。
【0023】
透明性固体物質としては、合成樹脂が好適である。三次元網目状構造を与えるものとしては、高分子形成性モノマー若しくはオリゴマーまたはそれらの配合組成物を重合させて得られる光硬化型樹脂が好適である。
【0024】
基板間に形成される透明性固体物質が三次元網目状構造を形成する方法としては、パネル中に封入された調光層形成材料を等方性液体状態に保持しながら活性光線を照射し、重合性組成物を重合させる方法が挙げられる。
【0025】
透明性固体物質を形成する高分子形成性モノマ−としては、例えば、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン:置換基として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、アルリル、メタリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル等の如き基を有するアクリレート、メタクリレート又はフマレート;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン及びペンタエリスリトール等のモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、酪酸ビニル又は安息香酸ビニル、アクリロニトリル、セチルビニルエーテル、リモネン、シクロヘキセン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、2−、3−又は4−ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド又はN−ヒドロキシエチルメタクリルアミド及びそれらのアルキルエーテル化合物、トリメチロールプロパン、1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに2モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート1モルとフェニルイソシアネート若しくはn−ブチルイソシアネート1モルとの反応生成物、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、トリス−(ヒドロキシエチル)−イソシアヌル酸のポリ(メタ)アクリレート、トリス−(ヒドロキシエチル)−リン酸のポリ(メタ)アクリレート、ジ−(ヒドロキシエチル)−ジシクロペンタジエンのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、ピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、直鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0026】
高分子形成性オリゴマーとしては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0027】
重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製「イルガキュア651」)、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパノン−1(チバ・ガイギー社製「イルガキュア907」)、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュア−EPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワードプレキンソップ社製「カンタキュアITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物等が挙げられる。
【0028】
活性光線としては、紫外線、EB(エレクトロンビーム)、可視光線等が挙げられるが、取り扱いの面から、紫外線を使用することが好ましい。
【0029】
本発明の製造方法により得られる液晶デバイスの調光層の厚さは、5〜100μmの範囲が好ましく、8〜50μmの範囲が特に好ましい。
【0030】
基板に付設具備する透明性板状体としては色々な種類のものが利用できるが、熱容量が大きく、活性光線の熱線波長部分の吸収が小さいものが好ましい。
【0031】
透明性板状体は、一方の基板のみに具備していても良いが、好ましくは両方の基板に具備されパネルを挟持している方が温度制御の精度向上の為に好ましく、その場合は少なくとも活性光線照射面側は活性光線による重合を阻害しない程度に活性光線を透過する透明性を有することが必要である。
【0032】
透明板状体としては、例えば、通常の青板ガラス、白板ガラス、パイレックスガラス等の各種ガラス板;ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂等のプラスチックの透明板が挙げられる。更に好ましくは該透明板状体の吸収限界波長が320nmから長波長域のみに存在し、かつ、370nm以下で光が透過するものであれば白濁性を向上できる。
【0033】
そのような板状体としては、例えば、「UV−34」、「UV−36」(ホヤ社製)、「ソーダ石灰ガラス」、「ソーダカリ鉛ガラス」、「タングステンガラス」、「硬質1級ガラス」、「硬質2級ガラス」の如きガラス;「ポリカーボネート板」等のフィルムなどが挙げられる。そして、これらの透明板状体は、その熱容量が該基板の2倍以上であるように厚さを調整して用いることができる。
【0034】
パネル基板に透明性板状体を付設具備するには、既存のガラス板を粘着剤等で接着貼付させるか、サンドウイッチ状に基板を狭持していてもよい。作業工程的には、脱着容易な方法を採用することが好ましい。
【0035】
透明板状体の熱容量は、調光層形成材料を挟持した基板の熱容量の2倍以上が好ましく、温度安定的に調整するためには3倍以上がより好ましい。それ以下では温度調整が不十分で生産効率が低下する傾向にあり、10倍以上では重量・容積が大きくなり、搬送等において障害となる傾向にあるので好ましくない。
【0036】
好ましい工程上の態様としては、数組の透明性板状体を別途恒温槽で所定の温度に調整しておき、調光層形成材料を挟持した基板パネルに対応して順次取り替えて、繰り返し使用することで、活性光線照射時における昇温を大幅に抑制でき、生産効率は大幅に向上する。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の実施例を用いて、本発明を更に具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
以下の実施例において「部」及び「%」は各々『重量部』及び『重量%』を表わす。また、評価特性の各々は以下の記号及び内容を意味する。
(1)T0 : 白濁度;印加電圧0の時の光透過率(%)
(2)T100 : 透明度;印加電圧を増加させて、光透過率がほとんど増加しなくなった時の光透過率(%)
(3)V10 : しきい値電圧;T0を0%、T100を100%としたとき光透過率が10%となる印加電圧(Vrms)
(4)V90 : 飽和電圧;同上光透過率が90%となる印加電圧(Vrms)
(5)CR : コントラスト=T100/T0
【0039】
また、紫外線の照度は、ウシオ電機社製の受光器UVD−365PD付きユニメータ(UIT−101)を用いて測定した。
【0040】
(実施例1)
<液晶材料> 「PN−001」(ロディック社製) 80.0%
<重合性組成物> 「カヤラッド(KAYARAD) HX−620」12.5%
(日本化薬社製のカプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート)
ラウリルアクリレート(共栄化学社製) 6.9%
<光重合開始剤> 「イルガキュア651」 0.4%
(チバ・ガイギー社製ベンジルジメチルケタール)
【0041】
上記の材料を混合して得た調光層形成材料を、厚さ1.1mm、大きさ200×300mmの2枚のITO電極付ガラス基板の間に、基板間隔が13μとなるように挟持した。次に、調光層形成材料を挟持した基板を、予め恒温槽で37℃に加温した厚さ4mm、大きさ210×310mmの2枚の青板ガラス板(パネル基板の3.6倍の熱容量の透明性板状体)の間に挟持し、調光層形成材料が等方性液体状態となるように保ち、瞬間点灯式の超高圧水銀ランプを用いて、40mW/cm2 の照度で30秒間紫外線を照射して、重合性組成物を硬化させて液晶材料及び透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0042】
更に、同様にして、調光層形成材料を挟持した基板を青板ガラス板の間に挟持したものに、順次、紫外線を照射して液晶デバイスを20枚得た。
【0043】
このようにして得た20枚の液晶デバイスの特性を測定したところ、以下の通りであった。
T0=2.6±0.2%、T100=86.8±0.7%、
CR=33.4±2.6、
V10=3.7±0.2Vrms、V90=5.6±0.4Vrms
【0044】
上記UV照射工程において、所定の温度の設定に要する1回当たりの平均時間時間は2分であり、従来の透明性板状体を用いない方法と比較して液晶デバイスの特性の再現性に優れ、かつ、大幅な時間短縮ができることが明らかである。
【0045】
また、得られた液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡で観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を観察することができた。
【0046】
(比較例1)
透明性板状体として、厚さ4mm、大きさ210×310mmの青板ガラス板に代えて、厚さ1.5mm、大きさ210×310mmの青板ガラスを2枚(パネル基板の1.36倍の熱容量)用いた以外は、実施例1と同様にして、液晶デバイスを得た。同様に順次20枚の液晶デバイスを得た。
【0047】
得られた液晶デバイスの特性を測定したところ以下の通りであった。
T0=3.4±0.5%、T100=86.2±0.8%、
CR=25.3±3.8、
V10=2.8±0.4Vrms、V90=7.5±0.6Vrms
【0048】
上記パネル製作工程において、温度上昇が大きくなり、その結果、冷却時間が必要となり、所定の温度の設定に要する1回当たり平均時間は11分で、実施例1と比較して、特性も悪く、再現性も不十分なものであった。
【0049】
(比較例2)
実施例1において、調光層形成材料を挟持した基板を、予め恒温槽で37℃に加温した2枚の青板ガラス板に挟持する代わりに、37℃に設定した恒温槽中で調光層形成材料を挟持した基板に瞬間点灯式の超高圧水銀ランプを用いて、40mW/cm2 の照度で30秒間紫外線を照射した以外は、実施例1と同様にして、液晶デバイスを得た。同様に順次20枚の液晶デバイスを得た。
【0050】
得られた液晶デバイスの特性を測定したところ以下の通りであった。
T0=2.8±0.6%、T100=86.5±1.1%、
CR=30.9、
V10=3.1±0.5Vrms、V90=6.1±0.7Vrms
【0051】
上記パネル製作工程において、製造枚数が増えるに従って温度上昇が大きくなり、冷却時間が必要となり、その結果、所定の温度の設定に要する一回当たり平均時間は15分で、特性の再現性も不十分なものであった。
【0052】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、調光層形成材料を挟持した基板に熱容量の大きい透明性板状体を付設具備することにより、省力的、効果的、効率的に、基板間に狭持された調光形成材料の温度調整ができるので、紫外線照射により、均一な調光層が形成できる結果、コントラストが高く、しきい値の急峻性に優れ、偏光板が不要で明るい画面を有し、低電圧駆動が可能で、時分割駆動が可能な液晶デバイスを得ることができる。
【0053】
従って、本発明製造方法は、コンピュータ端末の表示器、プロジェクション用の光シャッター等の液晶デバイスの製造方法として有用である。
Claims (3)
- 電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、液晶材料、重合性組成物及び光重合開始剤を含有する調光層形成材料を介在させた後、活性光線を照射することによって前記重合性組成物を重合させることにより、液晶材料及び透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスの製造方法において、
活性光線を照射する際に、該基板の2〜10倍以上の熱容量を有し、かつ、該基板面と同等以上の大きさの面を有する2枚の透明性板状体であって、2枚の透明性板状体のうちの少なくとも一方が活性光線を透過し得る透明性を有し、活性光線を透過し得る透明性板状体が活性光線の入射側となるように配置されている2枚の透明性板状体の間に、前記調光層形成材料を介在した該基板を挟持することを特徴とする液晶デバイスの製造方法。 - 前記調光層が液晶材料の連続層中に三次元網目状の透明性固体物質が分散している構造を有することを特徴とする請求項1の液晶デバイスの製造方法。
- 前記調光層形成材料が等方性液体状態に保ちながら活性光線を照射することを特徴とする請求項1又は2の液晶デバイスの製造方法。
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1995
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