JP3550579B2 - 振動アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、縦振動と捩り振動との合成振動を用いた振動アクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13は、縦−捩り振動型の振動アクチュエータの従来例を示した斜視図である。
【0003】
従来、この種の振動アクチュエータでは、固定子(ステータ)101は、2つの円柱型の振動子102,103間に捩り振動用の圧電素子104が挟まれ、振動子103の上側に縦振動用の圧電素子105が配置される。捩り振動用の圧電素子104は周方向に分極され、縦振動用の圧電素子105は厚み方向に分極される。さらに、相対運動部材(ロータ)106は縦振動用の圧電素子105の上側に配置される。
【0004】
固定子101を構成する振動子102,103及び圧電素子104,105は、シャフト107に固定(シャフト107のねじ部に螺合)されており、ロータ106は、中心部に配置されたボールベアリング108を介して、シャフト107に回転自在に設けられる。シャフト107の先端は、ばね109を介してナット110が螺合しており、ロータ106を固定子101に加圧接触させる。
【0005】
捩り振動用の圧電素子104と縦振動用の圧電素子105とは、発振器111から発振される同一周波数の電圧を、移相器112により位相制御して駆動される。
【0006】
捩り振動用の圧電素子104は、ロータ106が回転するための機械変位を与え、一方、縦振動用の圧電素子105は、固定子101とロータ106との間に働く摩擦力を、圧電素子104による捩り振動の周期に合わせて周期的に変動させることにより同期させて、振動を一方向への運動に変換する役割を果たす。
【0007】
図14は、従来例にかかる振動アクチュエータの固定子を展開して示す斜視図である。
捩り振動用の圧電素子104は、周方向に分極する必要があるため、圧電材料を、図14に示すように、6〜8個程度の扇形の小片に一端分割し、各小片を分極した後に再度環状に組み合わせていた。なお、符号104aは電極である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この図13及び図14により示す従来の振動アクチュエータでは、捩り振動用の圧電素子104を環状に組み合わせる時に、形状精度を出すことが難しかった。そのため、圧電素子104と振動子103,又は圧電素子104同士の密着性が低下し、圧電素子104,105の振動が振動子102,103には充分に伝達されず、振動アクチュエータの性能が低下してしまうという課題があった。
【0009】
また、捩り振動用の圧電素子104は、扇形の小片を接着して組み立てるため、充分な接着強度を得るためには少なくとも数mm程度の厚さが必要である。そのため、圧電素子104の電極間距離が大きくなり、駆動に必要な電界を圧電素子104に与えるためには電極間に高い電圧を印加する必要があった。
【0010】
一方、捩り振動用の圧電素子104及び縦振動用の圧電素子105の面積は、振動子102,103の断面積と略等しいか、又は、振動子102,103の断面積よりも小さかった。また、シャフト107を貫通させるために、捩り振動用の圧電素子104及び縦振動用の圧電素子105の中央部に孔を開ける必要があった。そのため、捩り振動用の圧電素子104及び縦振動用の圧電素子105それぞれの面積はさらに小さくなり、モータの高トルク化及び高回転化を図ることが難しかった。
【0011】
さらに、この従来の振動アクチュエータは、モータの性能向上のため、振動子102,103の長さや材質、又はロータ106の加圧力を変更することにより、縦振動及び捩り振動それぞれの共振周波数を略一致させることとしているが、その調整が難しかった。例えば、振動子102,103の長さや材質により調整を行うと、縦振動の共振周波数,捩り振動の共振周波数がともに変化してしまう。また、ロータ106の加圧力の大きさにより調整すると、ロータ106への負荷変動や加圧ばねの劣化等によりずれてしまう。
【0012】
本発明の目的は、前述の課題を解決して、高トルク及び高回転で駆動することができ、しかも構造及び製造がともに容易であって、縦振動及び捩り振動それぞれの共振周波数を容易に一致させることができる振動アクチュエータを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、棒状の弾性体と,前記弾性体の端面に加圧接触される相対運動部材と,前記弾性体の軸回りに捩り振動を発生する第1電気機械変換素子と,前記弾性体の軸方向に縦振動を発生する第2電気機械変換素子とを含む振動アクチュエータにおいて、前記弾性体は、軸に垂直な断面積が軸に沿って変化する2つの半棒状部材を組み合わせて構成されるとともに、前記第1電気機械変換素子及び前記第2電気機械変換素子は、前記軸の延在方向に並べて配置され2つの前記半棒状部材の間に挟まれて保持される板状部材であることを特徴とする振動アクチュエータである。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載された振動アクチュエータにおいて、前記半棒状部材は、前記弾性体に発生する前記縦振動及び前記捩り振動それぞれの共振周波数を略一致させるために前記縦振動または前記捩り振動前記位置の節を含む位置に形成された1個又は複数個の小径部を備える形状であることを特徴とする振動アクチュエータである。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載された振動アクチュエータにおいて、前記縦振動の次数は1次であって前記捩り振動の次数は2次であるとともに、前記小径部は前記縦振動及び前記捩り振動それぞれの節位置に合計3個設けられることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項2に記載された振動アクチュエータにおいて、前記縦振動の次数は1次であって前記捩り振動の次数は2次であるとともに、前記小径部は前記捩り振動の節位置に合計2個設けられることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施形態について、さらに詳しく説明する。
【0018】
図1は、本発明にかかる振動アクチュエータの第1実施形態を示す断面図である。
本実施形態の振動アクチュエータ10は、固定軸であるシャフト7と,互いに加圧接触するとともにシャフト7により保持される振動子1及び相対運動部材であるロータ6とを備える。
【0019】
シャフト7は、本実施形態では、軸方向と直交する断面形状が円形の円柱状部材であり、一端にはねじ部7aが刻まれているとともに、他端は固定面に適宜手段により固定される。また、シャフト7には、後述するボルト13a〜13dを挿通させるためのボルト挿通孔7b〜7eがシャフト7の長手方向と直交する方向について設けられる。このシャフト7により、振動子1及びロータ6が支持される。
【0020】
振動子1は、本実施形態では、弾性体である半円柱状部材2,3と,これらに挟まれた状態で保持される第1電気機械変換素子である圧電素子4と第2電気機械変換素子である圧電素子5とにより構成される。
【0021】
半円柱状部材2,3は、中空の円柱体を縦に2分割して得られる形状であり、その材質は、振動減衰の少ないステンレス鋼,インバーないしはアルミニウム合金等の金属材料を用いることが望ましいが、樹脂製であってもよい。
【0022】
振動子1の外周面であって、後述する捩り振動及び縦振動それぞれの振動の節となる位置には、くびれである小径部1a,1b及び1cが段差状に形成される。振動子1の小径部1bは中央に形成されており、一方、小径部1a,1cは小径部1bに関して対称な位置に形成される。
【0023】
このようにして、小径部1a〜1cを設けることにより、振動子1には、大径部1A〜1Dが形成される。小径部1a〜1cを形成するには、円柱状の振動子母材に対して切削加工等の機械加工を行うことが簡単かつ確実である。
【0024】
なお、本実施形態では、小径部1a,1b及び1cを段差状にくびれとして設けたが、本発明にかかる振動アクチュエータはこのような形態に限定されるものではなく、振動子1の軸方向に垂直な断面積が軸に沿って変化する形状であればよい。
【0025】
振動子1の各大径部1A〜1Dには、振動子1の中心軸に直交する方向に、ボルト挿通孔1A’〜1D’が形成される。
半円柱状部材2,3は、後述する電気機械変換素子である圧電素子4,5を挟んだ状態で中心部にシャフト7を挿入し、シャフト7に設けられたボルト挿通孔7b〜7eと振動子1に設けられたボルト挿通孔1A’〜1D’とのシャフト軸方向位置を合わせておき、ボルト13a〜13dを挿入して、ナット14a〜14dを締め付けることにより、固定される。半円柱状部材2,3と圧電素子4,5との間に接着剤を塗布した後、ボルト13a〜13d及びナット14a〜14dにより締め付けることにより、さらに強固に固定することができる。
【0026】
なお、振動子1とシャフト7との間には隙間が設けられており、シャフト7が振動子1に発生する振動を妨げないようになっている。また、ボルト13a〜13dとシャフト7との間にも隙間が設けられており、振動子1とともに振動するボルト13a〜13dがシャフト7に接触しないようになっている。
【0027】
さらに、振動子1は、その中心部に設けられたピン挿通孔1Eを貫通するピン12によってシャフト7に固定される。
厚肉円筒状の相対運動部材であるロータ6は、その中心部に設けられたベアリング8を介してシャフト7に回転可能に支持される。ロータ6の材料は、アルミニウム合金,ステンレス鋼等の金属又は樹脂が望ましい。
【0028】
ロータ6の振動子1との摺動面には、PPS又はPTFE含有樹脂等の摺動材15が接着されており、ロータ6と振動子1との摺動抵抗が低減される。本実施形態では、摺動材15はロータ6側に接着されているが、振動子1のロータ6との接触面側に接着してもよい。
【0029】
また、シャフト7には、ロータ6の摺動面の反対側の面に、加圧部材11,ばね9がこの順に挿入されており、シャフト7に設けられたねじ部7aに噛合するナット7fによって締め付けられることにより、ロータ6を振動子1側に向けて適宜圧力で加圧する。
【0030】
図2(A)及び図2(B)は、本実施形態の振動アクチュエータに用いる振動子1の斜視図である。なお、図2において、半円柱状部材2,3を締め付けるためのボルト挿通孔1A’〜1D’は省略している。
【0031】
図2に示すように、本実施形態では、振動子1を構成する半円柱状部材2,3の間に、計12枚の板状の圧電素子4,5が挟まれた状態で保持される。
第1電気機械変換素子である圧電素子4は捩り振動用の素子であり、第2電気機械変換素子である圧電素子5は縦振動用の素子である。各圧電素子は2枚ずつ積層されて配置されており、圧電素子4は、上部に4枚,下部に4枚合計8枚配置され、一方、圧電素子5は、中央部に4枚配置されている。
【0032】
圧電素子4の間には電極4a,4b,4c及び4dが配置され、圧電素子5の間には電極5a,5bが配置される。電極4a,4b,4c,4d,5a及び5bは、ステンレス鋼,銅又はリン青銅等の金属板によって形成され、圧電素子4,5に接着して固定するか、又はボルト13a〜13d及びナット14a〜14dとによって締め付けて固定する。また、半円柱状部材2,3は接地される。
【0033】
図3(A)は本実施形態の振動アクチュエータに用いる振動子の側面図であり、図3(B)〜図3(D)はそれぞれ図3(A)におけるA−A,B−B,及びC−C断面図であって、本実施形態の振動アクチュエータの圧電素子の配置を示すものである。なお、図3(A)においても、図2と同様に、締め付け用のボルト挿通孔1A’〜1D’は省略してある。
【0034】
図3(B),図3(C)及び図3(D)は、いずれも、捩り振動用の圧電素子4及び縦振動用の圧電素子5それぞれの分極方向を示す。捩り振動用の圧電素子4はモータの軸方向に分極され、縦振動用の圧電素子5は素子の厚さ方向に分極される。
【0035】
図4及び図5は、本実施形態にかかる振動アクチュエータに用いる捩り振動用の圧電素子4及び縦振動用の圧電素子5の分極方向と電極配置及び電圧印加時の変形を模式的に示す説明図である。
【0036】
捩り振動用の圧電素子4は、図4(A)に示すように、平板の長さ方向に分極されており、図4(A)の電極を用いて電圧を印加し、板厚方向に電界を発生させると、図4(B)に示すように剪断変形を利用して振動子1を捩り振動させることができる。
【0037】
一方、縦振動用の圧電素子5は、図5(A)に示すように、平板の厚さ方向に分極されており、図5(A)の電極を用いて電圧を印加し、板厚方向に電界を発生させると、図5(B)に示すように伸び変形する。この圧電素子5の変形を利用して振動子1を縦振動させることができる。
【0038】
次に、振動子1に発生する捩り振動及び縦振動それぞれのタイミングについて説明する。
図6は、このような振動子1に発生する縦振動及び捩り振動を組み合わせて振動子1の端面である駆動面に楕円運動を発生させることを示す説明図である。
【0039】
図6に示すように、捩り運動の周期と伸縮運動の周期との間の位相差を1/4周期、すなわちπ/2ずらすと、駆動面上の点では楕円運動が発生する。
t=6/4πの時点では、捩り振動の変位は左側に最大であり、縦振動の変位は零である。
【0040】
この状態から、t=7/4π〜0〜2/4πまでは、捩り振動は左側の最大から右側の最大まで変位し、縦振動はゼロから上側の最大に変位し、再びゼロに戻る。したがって、振動子1の駆動面は、ロータ6(図6においては図示しない。)を押しながら、右方向に回転し、ロータ6は駆動される。
【0041】
次に、t=2/4π〜6/4πまでは、捩り振動は右側の最大から左側の最大まで変位し、縦振動はゼロから下側の最大に変位し再びゼロに戻る。したがって、振動子1の駆動面はロータ6から離れながら左方向に回転するため、ロータ6は駆動されない。このときに、ロータ6は加圧部材11により加圧されていても、加圧部材11の固有振動数が超音波振動域よりも低いため、振動子1の縮みに追従できない。
【0042】
図7は、本実施形態の振動アクチュエータの駆動回路の一例を示すブロック図である。
駆動信号発生装置である発振器31は、所定の周波数の駆動信号を発生するためのものであり、その出力は分岐して、一方は、位相を90度進め(又は遅らせ)る移送器32を介して増幅器33に接続され、他方は、増幅器34に直接接続される。
【0043】
各増幅器33,34は、それぞれ振動子1に保持される電極4a〜4d,5a及び5bに接続される。
なお、移送器32の移相差を調節して最適値を選ぶことによって、振動アクチュエータ10のトルク,回転数及び効率をともに向上させることもできる。
【0044】
図8は、本実施形態にかかる振動アクチュエータの振動子1に発生する縦振動,捩り振動それぞれの振動モードの一例を示す説明図である。
本実施形態では、1次の縦振動及び2次の捩り振動をそれぞれ振動子1に発生させ、これらの振動を利用している。そのため、効率よく振動アクチュエータを駆動するためには、振動アクチュエータの捩り振動の共振周波数と縦振動の共振周波数とを略一致させて、回転変位振幅及び縦変位振幅をともに増大させることが望ましい。これらの共振周波数を略一致させるために、本実施形態では振動子1に小径部(くびれ)1a〜1cを設けている。
【0045】
小径部(くびれ)1a〜1cは、捩り振動の節(振動子1の長手方向の両端側2カ所)と縦振動の節(振動子1の長手方向の略中央)との合計3カ所にそれぞれ設けられる。例えば、縦振動の節に設けられている小径部1bの深さを深くするか、又は幅を広げることによって、振動子1の1次の縦振動の剛性が低下するため、1次の縦振動の共振周波数を下げることができる。
【0046】
このとき、小径部1bは2次の捩り振動の腹に位置するため、2次の捩り振動の共振周波数にはさほど影響を与えない。同様に、2次の捩り振動の節に設けられている小径部1a,1cの形状を変更することによっても、2次の捩り振動の共振周波数を変化させることができる。
【0047】
このように、本実施形態では、小径部1bの形状を変更することにより縦振動の共振周波数を変化させることができるため、小径部1bの形状を調整することにより、縦振動及び捩り振動の共振周波数を略一致させることができ、少ない入力により大きな縦振動振幅及び捩り振動振幅を得ることができる。
【0048】
1次の縦振動の振幅が増大すれば、ロータ6の加圧力を増すことができるため、振動アクチュエータ10のトルクを向上させることができる。また、捩り振動の振幅が増大すれば、ロータ6の回転数が向上する。その結果、トルク,回転数さらには効率等の振動アクチュエータ10の性能を向上させることができる。
【0049】
また、小径部1b及び1a,1cを設けることにより、縦振動及び捩り振動それぞれの節の剛性が低下するため、縦振動振幅及び捩り振動それぞれの振動振幅を増大させることができるため、これによっても振動アクチュエータ10の性能が向上する。
【0050】
さらに、振動アクチュエータ10の性能を向上させるためには、振動子1の材質及び形状、ロータ6の材質及び形状、摺動材15の材質及び形状、加圧力等を変えることにより、最適な条件を求めることが必要である。
【0051】
このように、本実施形態では、振動アクチュエータ10の捩り振動発生用として板状の圧電素子4,5を用いたため、圧電素子4,5の形状精度が向上し、圧電素子4,5の振動が振動子1へ確実に伝わるようになったため、振動アクチュエータ10の性能を向上させることができた。
【0052】
また、本実施形態では、捩り振動発生用の圧電素子4の厚さが薄いため、所定の電界を得るために、必要な印加電圧を低下することができた。
また、本実施形態では、振動子1に設けられた小径部1a〜1cによって、振動子1の縦振動に関する剛性と捩り振動に関する剛性とが低下し、振動変位が増大する。そのため、振動アクチュエータ10の高トルク化,高回転化が可能となる。
【0053】
また、本実施形態では、振動子1の縦振動に関する剛性及び,捩り振動に関する剛性の低下により、縦振動及び捩り振動の共振周波数が低下し、振動アクチュエータ10の効率を向上させることができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、振動子1に設けられた小径部1a〜1cが縦振動の節及び捩り振動の節にそれぞれ独立に設けられているため、それぞれの小径部1a〜1cの外径を調節することにより、縦振動及び捩り振動それぞれの共振周波数を略一致させることができる。
【0055】
このように、本実施形態では、振動子1に設けられた小径部1a〜1cによって、縦振動及び捩り振動それぞれの共振周波数を略一致させることができ、さらには縦振動振幅と捩り振動振幅とをともに増大させることが可能となるため、高トルク及び高回転の振動アクチュエータ10を実現することが可能になった。
また、従来、振動アクチュエータにおいては、電気機械変換素子や弾性体が駆動中に誘電損失や振動による内部摩擦等により発熱・温度上昇し、振動子の共振特性が変化してしまうという問題があった。本実施形態によれば、小径部を設けることにより振動子の表面積が拡大し、放熱効率が向上するため、温度上昇を抑制することが可能になる。これは、小径部を熱の発生し易い節部や電気機械変換素子の近傍に設けるとより効果的である。
【0056】
なお、本実施形態の振動アクチュエータ10は、組み立て後における縦振動及び捩り振動それぞれの共振周波数の微調整(チューニング)が容易である。
【0057】
すなわち、本実施形態の振動アクチュエータ10は、組み立て後における縦振動及び捩り振動それぞれの共振周波数を一致させる位置に小径部を設けるように設計されるが、製作時の加工公差等の影響により、縦振動及び捩り振動それぞれの共振周波数が一致しない場合が考えられる。このような場合に、
【0058】
(1)ボルト13a〜13dを、頭部の長さや材質(すなわちボルト重量)が異なる他のボルト13a’〜13d’に交換すること(特に望ましくは内側のボルト13b及び13cを交換することが振動子1の強度維持の観点から望ましい。)、
(2)ボルト13a〜13dに、ワッシャをかませること、さらには
(3)振動子1の小径部1a〜1cの外径だけでなく、振動子1の大径部1A〜1D、さらには振動子1の軸方向長さを、例えば切削加工等の適宜手段により変更すること
【0059】
等によっても、1次の縦振動の変化率と2次の捩り振動の変化率とが異なるため、縦振動及び捩り振動それぞれの共振周波数を調整して接近又は一致させることができる。なお、このようなチューニングによる共振周波数の調整代は例えば10Hz以下と小さくしておくことがチューニング作業の工数を勘案すると、望ましい。
【0060】
(第2実施形態)
図9は、本発明にかかる振動アクチュエータ10の第2実施形態を示す説明図である。なお、以降の各実施形態の説明では第1実施形態と相違する部分のみを説明し、共通する部分には同一の図中符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0061】
第1実施形態は、3個の小径部1a〜1cを備える振動子1からなる振動アクチュエータ10を例にとって説明したが、小径部の設置数は第1実施形態のように3個でなくてもよく、1個又は2個以上であってもよい。
【0062】
例えば、図9に示すように、振動子1に発生する1次の縦振動の節に一つだけ小径部1bを設けることにより1次の縦振動の共振周波数を変化させ、1次の縦振動及び2次の捩り振動それぞれの共振周波数を略一致させることができる。
【0063】
(第3実施形態)
図10は、本発明にかかる振動アクチュエータ10の第3実施形態を示す説明図である。
【0064】
第3実施形態では、図10に示すように、振動子1の2次の捩り振動の節に小径部1a,1cを2個配置することにより、2次の捩り振動の共振周波数を変化させ、1次の縦振動及び2次の捩り振動それぞれの共振周波数を略一致させることができる。
【0065】
(第4実施形態)
第1実施形態は、1次の縦振動と2次の捩り振動との複合振動を利用した振動アクチュエータ10であるが、これ以外の振動モードの組み合わせであっても、第1実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0066】
図11は、2次の縦振動と3次の捩り振動との複合振動を利用する振動子1の振動モードと,振動子1に形成する小径部の位置との関係について示す説明図である。
【0067】
本実施形態では、2次の縦振動の節の位置に2個の小径部1d,1eと,3次の捩り振動の節の位置に3個の小径部1f,1g及び1hとの合計5個の小径部が設けられる。
【0068】
なお、図11において、符号4a−1,4a−2,4b−1,4b−2,4c−1,4c−2,4d−1,4d−2,5a−1及び5a−2はいずれも電極である。
【0069】
本実施形態においても、前述したように、5個の小径部1d〜1hそれぞれの形状を変化させることにより、縦振動及び捩り振動の共振周波数を略一致させることができる。
【0070】
(第5実施形態)
第1実施形態〜第4実施形態では、振動子1の外面に段差状に小径部を設けたが、小径部は段差状に設ける必要があるものではない。例えば、図12に示すように、断面積が連続的に変化するような形状の小径部1i〜1kであっても、全く同様に、縦振動及び捩り振動の共振周波数を略一致させることができる。
【0071】
(変形形態)
本発明にかかる振動アクチュエータは、以上詳細に説明した各実施形態には限定されず、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明にかかる振動アクチュエータの範囲に含まれる。
【0072】
例えば、第1実施形態〜第5実施形態では、振動アクチュエータに用いる電気機械変換素子として圧電素子を用いたが、電歪素子又は磁歪素子等の電気エネルギーを機械変位に変換することができる素子であってもよい。
【0073】
また、第1実施形態〜第5実施形態では、振動子が円柱状である場合を例にとったが、本発明にかかる振動アクチュエータはこのような形態に限定されるものではなく、棒状であればよい。振動子は、例えば角柱状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる振動アクチュエータの第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図2(A)及び図2(B)は、いずれも、第1実施形態の振動アクチュエータに用いる振動子の斜視図である。
【図3】図3(A)は第1実施形態の振動アクチュエータに用いる振動子の側面図であり、図3(B)〜図3(D)はそれぞれ図3(A)におけるA−A,B−B,及びC−C断面図である。
【図4】図4(A)は第1実施形態にかかる振動アクチュエータに用いる捩り振動用の圧電素子の分極方向と電極配置とを模式的に示す説明図であり、図4(B)は、第1実施形態にかかる振動アクチュエータに用いる捩り振動用の圧電素子の電圧印加時の変形を模式的に示す説明図である。
【図5】図5(A)は第1実施形態にかかる振動アクチュエータに用いる縦振動用の圧電素子の分極方向と電極配置とを模式的に示す説明図であり、図5(B)は、第1実施形態にかかる振動アクチュエータに用いる縦振動用の圧電素子の電圧印加時の変形を模式的に示す説明図である。
【図6】第1実施形態の振動子に発生する縦振動及び捩り振動を組み合わせて振動子の端面である駆動面に楕円運動を発生させることを経時的に示す説明図である。
【図7】第1実施形態の振動アクチュエータに用いる駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図8】第1実施形態にかかる振動アクチュエータの振動子に発生する縦振動,捩り振動それぞれの振動モードの一例を示す説明図である。
【図9】本発明にかかる振動アクチュエータの第2実施形態を示す説明図である。
【図10】本発明にかかる振動アクチュエータの第3実施形態を示す説明図である。
【図11】本発明にかかる振動アクチュエータの第4実施形態を示す説明図である。
【図12】本発明にかかる振動アクチュエータの第5実施形態を示す説明図である。
【図13】縦−捩り振動型の振動アクチュエータの従来例を示した斜視図である。
【図14】従来例にかかる振動アクチュエータの固定子を展開して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 振動子
1a〜1k 小径部
1A〜1D 大径部
1A’〜1D’ ボルト挿通孔
1E ピン挿通孔
2,3 半円柱状部材
4 第1電気機械変換素子(捩り振動用の圧電素子)
4a〜4d,4a−1〜4a−2,4b−1〜4b−2,4c−1〜4c−2
,4d−1〜4d−2,5a−1〜5a−2 電極
5 第2電気機械変換素子(縦振動用の圧電素子)
5a〜5b 電極
6 ロータ
7 シャフト
7a ねじ部
7b〜7e ボルト挿通孔
7f ナット
8 ベアリング
9 ばね
10 振動アクチュエータ
11 加圧部材
12 ピン
13a〜13d ボルト
14a〜14d ナット
15 摺動材
31 発振器
32 移相器
33,34 増幅器
Claims (4)
- 棒状の弾性体と,
前記弾性体の端面に加圧接触される相対運動部材と,
前記弾性体の軸回りに捩り振動を発生する第1電気機械変換素子と,
前記弾性体の軸方向に縦振動を発生する第2電気機械変換素子と
を含む振動アクチュエータにおいて、
前記弾性体は、軸に垂直な断面積が軸に沿って変化する2つの半棒状部材を組み合わせて構成されるとともに、
前記第1電気機械変換素子及び前記第2電気機械変換素子は、前記軸の延在方向に並べて配置され2つの前記半棒状部材の間に挟まれて保持される板状部材であること
を特徴とする振動アクチュエータ。 - 請求項1に記載された振動アクチュエータにおいて、
前記半棒状部材は、前記弾性体に発生する前記縦振動及び前記捩り振動それぞれの共振周波数を略一致させるために前記縦振動または前記捩り振動前記位置の節を含む位置に形成された1個又は複数個の小径部を備える形状であること
を特徴とする振動アクチュエータ。 - 請求項2に記載された振動アクチュエータにおいて、
前記縦振動の次数は1次であって前記捩り振動の次数は2次であるとともに、前記小径部は前記縦振動及び前記捩り振動それぞれの節位置に合計3個設けられること
を特徴とする振動アクチュエータ。 - 請求項2に記載された振動アクチュエータにおいて、
前記縦振動の次数は1次であって前記捩り振動の次数は2次であるとともに、前記小径部は前記捩り振動の節位置に合計2個設けられること
を特徴とする振動アクチュエータ。
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-
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- 1995-09-20 JP JP24162395A patent/JP3550579B2/ja not_active Expired - Lifetime
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