JPH10323062A - 振動アクチュエータ - Google Patents
振動アクチュエータInfo
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- JPH10323062A JPH10323062A JP9130625A JP13062597A JPH10323062A JP H10323062 A JPH10323062 A JP H10323062A JP 9130625 A JP9130625 A JP 9130625A JP 13062597 A JP13062597 A JP 13062597A JP H10323062 A JPH10323062 A JP H10323062A
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- JP
- Japan
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- vibration
- rotation axis
- piezoelectric element
- vibration actuator
- elastic body
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- General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 使用する振動発生源に対する制約が少なく、
製造容易で性能の個体差が小さい振動アクチュエータを
提供する。 【解決手段】 所定の回転軸回りに回転可能な回転部材
(21)と、回転軸方向の縦振動及び回転軸回りの捩り
振動を行うことにより回転軸方向の端面に楕円運動を発
生させる弾性部材(14)と、弾性部材に縦振動を発生
させる縦振動発生源(34、36)と、弾性部材が有す
る回転軸に略平行な作用面に作用することにより、弾性
体に捩り振動を発生させる捩り振動発生源(34、3
6)とを備え、端面の楕円運動の一部を回転部材に伝達
することにより、回転部材を回転させる振動アクチュエ
ータにおいて、捩り振動発生源は、作用面に対し、作用
面に接する方向の力を作用させることにより、弾性体に
捩り振動を発生させる。
製造容易で性能の個体差が小さい振動アクチュエータを
提供する。 【解決手段】 所定の回転軸回りに回転可能な回転部材
(21)と、回転軸方向の縦振動及び回転軸回りの捩り
振動を行うことにより回転軸方向の端面に楕円運動を発
生させる弾性部材(14)と、弾性部材に縦振動を発生
させる縦振動発生源(34、36)と、弾性部材が有す
る回転軸に略平行な作用面に作用することにより、弾性
体に捩り振動を発生させる捩り振動発生源(34、3
6)とを備え、端面の楕円運動の一部を回転部材に伝達
することにより、回転部材を回転させる振動アクチュエ
ータにおいて、捩り振動発生源は、作用面に対し、作用
面に接する方向の力を作用させることにより、弾性体に
捩り振動を発生させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動子に縦振動及
び捩り振動を励起し、その励起された振動運動の一部を
伝達することで回転部材を回転させる振動アクチュエー
タに関するものである。
び捩り振動を励起し、その励起された振動運動の一部を
伝達することで回転部材を回転させる振動アクチュエー
タに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図14は、従来の振動アクチュエータの
一例を示す斜視図である。図14に示す従来の振動アク
チュエータでは、ステータ(固定子)101は、2つの
円柱形の弾性体102及び103と、2つの圧電素子1
04及び105とから構成されている。圧電素子104
は、圧電定数d15を用いる圧電素子であり、ステータ1
01に捩り振動を発生させるための振動発生源である。
圧電素子104は、弾性体102と103との間に配置
されており、弾性体102の周方向に分極されている。
一方、圧電素子105は、圧電定数d31を用いる圧電素
子であり、ステータ101に縦振動を励起するための振
動発生源である。圧電素子105は、振動子103の上
側に配置されており、圧電素子の厚み方向に分極されて
いる。
一例を示す斜視図である。図14に示す従来の振動アク
チュエータでは、ステータ(固定子)101は、2つの
円柱形の弾性体102及び103と、2つの圧電素子1
04及び105とから構成されている。圧電素子104
は、圧電定数d15を用いる圧電素子であり、ステータ1
01に捩り振動を発生させるための振動発生源である。
圧電素子104は、弾性体102と103との間に配置
されており、弾性体102の周方向に分極されている。
一方、圧電素子105は、圧電定数d31を用いる圧電素
子であり、ステータ101に縦振動を励起するための振
動発生源である。圧電素子105は、振動子103の上
側に配置されており、圧電素子の厚み方向に分極されて
いる。
【0003】圧電素子105の上側に配置されているロ
ータ106は、ステータ101より駆動力を得て、所定
の回転軸(A2)の回りに回転運動する部材である。ス
テータ101及びロータ106は、シャフト107に取
り付けられている。具体的には、シャフト107にねじ
が切られており、ステータ101がシャフト107の上
記ねじ部分にねじ結合している。一方、ロータ106
は、ボールベアリング108を介してシャフト107に
回転可能に取り付けられている。
ータ106は、ステータ101より駆動力を得て、所定
の回転軸(A2)の回りに回転運動する部材である。ス
テータ101及びロータ106は、シャフト107に取
り付けられている。具体的には、シャフト107にねじ
が切られており、ステータ101がシャフト107の上
記ねじ部分にねじ結合している。一方、ロータ106
は、ボールベアリング108を介してシャフト107に
回転可能に取り付けられている。
【0004】さらに、ロータ106の上側には、ナット
110がシャフト107にねじ結合されており、ナット
110とロータ106の間にはバネ109が配置されて
いる。バネ109は、ナット110により圧縮されてお
り、このために、ロータ106に対し、ステータ101
の方向への加圧力Fを与えている。この加圧力Fは、ロ
ータ106をステータ101に加圧接触させるための力
である。
110がシャフト107にねじ結合されており、ナット
110とロータ106の間にはバネ109が配置されて
いる。バネ109は、ナット110により圧縮されてお
り、このために、ロータ106に対し、ステータ101
の方向への加圧力Fを与えている。この加圧力Fは、ロ
ータ106をステータ101に加圧接触させるための力
である。
【0005】圧電素子104及び105は、発振器11
1から発振される同一周波数の電圧を印加されて振動す
る。ただし、圧電素子104は、発振器111が出力す
る電圧の位相を制御する移相器112を介して電圧を印
加されるので、その振動は、圧電素子105の振動に対
し所定の位相差を有する。
1から発振される同一周波数の電圧を印加されて振動す
る。ただし、圧電素子104は、発振器111が出力す
る電圧の位相を制御する移相器112を介して電圧を印
加されるので、その振動は、圧電素子105の振動に対
し所定の位相差を有する。
【0006】圧電素子104に発生する捩り振動は、ロ
ータ106を回転させるための機械的変位をステータ1
01に与える役割を果たす。一方、圧電素子105にお
いて発生する縦振動は、ステータ101とロータ106
との間に働く摩擦力を圧電素子104による捩り振動の
周期に同期させて、周期的に変化させる役割を果たす。
これにより、ステータ101に生じている捩り振動の運
動成分のうち、特定の方向に係るもののみがロータ10
6に伝達され、ロータ106が一定の方向に駆動され
る。つまり、圧電素子105が発生する縦振動は、ステ
ータ101からロータ106への捩り振動の伝達をON
−OFFするクラッチ的役割を果たすものである。
ータ106を回転させるための機械的変位をステータ1
01に与える役割を果たす。一方、圧電素子105にお
いて発生する縦振動は、ステータ101とロータ106
との間に働く摩擦力を圧電素子104による捩り振動の
周期に同期させて、周期的に変化させる役割を果たす。
これにより、ステータ101に生じている捩り振動の運
動成分のうち、特定の方向に係るもののみがロータ10
6に伝達され、ロータ106が一定の方向に駆動され
る。つまり、圧電素子105が発生する縦振動は、ステ
ータ101からロータ106への捩り振動の伝達をON
−OFFするクラッチ的役割を果たすものである。
【0007】図15は、図14に示した従来の振動アク
チュエータのステータ101を展開して示す斜視図であ
る。図に見られるように、圧電素子104は、扇形の形
状を有する圧電素子の小片を6〜8個用いて、環状の形
状に組み合わせたものである。このように圧電素子10
4を複数の小片から構成するのは、捩り振動を得るため
には、圧電素子を周方向に分極する必要があるからであ
る。なお、図中において、符号104aを付した部材
は、圧電素子104に、発振器111からの電圧を印加
するための電極である。
チュエータのステータ101を展開して示す斜視図であ
る。図に見られるように、圧電素子104は、扇形の形
状を有する圧電素子の小片を6〜8個用いて、環状の形
状に組み合わせたものである。このように圧電素子10
4を複数の小片から構成するのは、捩り振動を得るため
には、圧電素子を周方向に分極する必要があるからであ
る。なお、図中において、符号104aを付した部材
は、圧電素子104に、発振器111からの電圧を印加
するための電極である。
【0008】一方、本願出願人は、例えば、特開平8−
103089号又は特開平8−140377号に図14
に示すのとは異なる態様の振動アクチュエータを開示し
ている。図16は、特開平8−140377号に開示さ
れた振動アクチュエータ(以下「先に開示された振動ア
クチュエータ」という)を示す断面図、また、図17
は、図16の振動アクチュエータの固定子を示す斜視図
である。
103089号又は特開平8−140377号に図14
に示すのとは異なる態様の振動アクチュエータを開示し
ている。図16は、特開平8−140377号に開示さ
れた振動アクチュエータ(以下「先に開示された振動ア
クチュエータ」という)を示す断面図、また、図17
は、図16の振動アクチュエータの固定子を示す斜視図
である。
【0009】図16に示すように、先に開示された振動
アクチュエータは、シャフト207に固定子(ステー
タ)201と移動子(ロータ)206を取り付け、移動
子206を固定子201に加圧接触させる点で、従来の
振動アクチュエータと共通した構成を有する。しかし、
先に開示された振動アクチュエータは、固定子201
が、厚肉の円筒部材を2分割して得られる弾性体202
及び203と、2種類の板状の圧電素子204及び20
5とからなり、全体としてほぼ円筒状の形状となるよう
に組み立てられ、不図示のボルトとナットで締結される
点で、従来の振動アクチュエータと異なっている。
アクチュエータは、シャフト207に固定子(ステー
タ)201と移動子(ロータ)206を取り付け、移動
子206を固定子201に加圧接触させる点で、従来の
振動アクチュエータと共通した構成を有する。しかし、
先に開示された振動アクチュエータは、固定子201
が、厚肉の円筒部材を2分割して得られる弾性体202
及び203と、2種類の板状の圧電素子204及び20
5とからなり、全体としてほぼ円筒状の形状となるよう
に組み立てられ、不図示のボルトとナットで締結される
点で、従来の振動アクチュエータと異なっている。
【0010】ここで、圧電素子204は、板厚方向に電
圧を印加すると、固定子201の中心軸A3に沿って伸
縮変形を行う素子であり、一方、圧電素子205は、同
じように電圧を印加すると、中心軸A3に沿ってせん断
変形をする素子である。先に開示された振動アクチュエ
ータでは、圧電素子204及び205に所定の周波電圧
を90度の位相差をもって印加し、固定子201に、中
心軸A3に沿う方向の縦振動と、中心軸A3を中心に捩
る方向の捩り振動とを励振する。この結果、固定子20
1の端面(以下「駆動面」という)D3が楕円運動を行
い、さらに、その楕円運動の一部が移動子206に伝達
されて、移動子206が一定の方向に回転する。
圧を印加すると、固定子201の中心軸A3に沿って伸
縮変形を行う素子であり、一方、圧電素子205は、同
じように電圧を印加すると、中心軸A3に沿ってせん断
変形をする素子である。先に開示された振動アクチュエ
ータでは、圧電素子204及び205に所定の周波電圧
を90度の位相差をもって印加し、固定子201に、中
心軸A3に沿う方向の縦振動と、中心軸A3を中心に捩
る方向の捩り振動とを励振する。この結果、固定子20
1の端面(以下「駆動面」という)D3が楕円運動を行
い、さらに、その楕円運動の一部が移動子206に伝達
されて、移動子206が一定の方向に回転する。
【0011】図18は、従来の振動アクチュエータと、
先に開示された振動アクチュエータとのそれぞれについ
て、捩り振動を励振すべき圧電素子から、弾性体に作用
する力の位置及び方向とを示すモデル図である。図18
(a)は従来の振動アクチュエータのモデルを、図18
(b)は先に開示された振動アクチュエータのモデルを
示す。なお、図中の軸A2(A3)は、弾性体103
(203)に励起すべき捩り振動の中心軸であり、ま
た、ロータ106(移動子206)の回転軸と同一の軸
である。
先に開示された振動アクチュエータとのそれぞれについ
て、捩り振動を励振すべき圧電素子から、弾性体に作用
する力の位置及び方向とを示すモデル図である。図18
(a)は従来の振動アクチュエータのモデルを、図18
(b)は先に開示された振動アクチュエータのモデルを
示す。なお、図中の軸A2(A3)は、弾性体103
(203)に励起すべき捩り振動の中心軸であり、ま
た、ロータ106(移動子206)の回転軸と同一の軸
である。
【0012】図18(a)に示されるように、従来の振
動アクチュエータでは、圧電素子が、回転軸A2に対し
垂直に設けられた平面122にその力を作用させること
で、弾性体103に捩り振動を励振していた。これに対
し、先に開示された振動アクチュエータは、図18(b)
に示すように、回転軸A3に平行な平面232を弾性体
202、203に設け、この面に垂直な方向に圧電素子
の力を作用させることにより弾性体に捩り振動を励振す
る。したがって、先に開示された振動アクチュエータで
は、平面232に、回転軸の方向に長い大面積の圧電素
子を配置でき、これにより、従来より高トルクで高回転
数のアクチュエータを実現可能としていた。
動アクチュエータでは、圧電素子が、回転軸A2に対し
垂直に設けられた平面122にその力を作用させること
で、弾性体103に捩り振動を励振していた。これに対
し、先に開示された振動アクチュエータは、図18(b)
に示すように、回転軸A3に平行な平面232を弾性体
202、203に設け、この面に垂直な方向に圧電素子
の力を作用させることにより弾性体に捩り振動を励振す
る。したがって、先に開示された振動アクチュエータで
は、平面232に、回転軸の方向に長い大面積の圧電素
子を配置でき、これにより、従来より高トルクで高回転
数のアクチュエータを実現可能としていた。
【0013】また、先に開示された振動アクチュエータ
では、弾性体202、203に捩り振動を励起するの
に、回転軸A3の方向にせん断変形する圧電素子を用い
ている。このために、圧電素子の分極方向は回転軸A3
に平行であり、閉ループに沿って圧電素子を分極しなけ
ればならない従来の振動アクチュエータと異なり、圧電
素子を複数の小片に分割する必要がない。つまり、先に
開示された振動アクチュエータでは、捩り振動を発生す
るための圧電素子を1枚の板材より構成でき、これよ
り、振動アクチュエータの組立作業は、従来のものと比
較して格段に容易なものとなっていた。
では、弾性体202、203に捩り振動を励起するの
に、回転軸A3の方向にせん断変形する圧電素子を用い
ている。このために、圧電素子の分極方向は回転軸A3
に平行であり、閉ループに沿って圧電素子を分極しなけ
ればならない従来の振動アクチュエータと異なり、圧電
素子を複数の小片に分割する必要がない。つまり、先に
開示された振動アクチュエータでは、捩り振動を発生す
るための圧電素子を1枚の板材より構成でき、これよ
り、振動アクチュエータの組立作業は、従来のものと比
較して格段に容易なものとなっていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、先に開示した
振動アクチュエータには、さらに解決すべき以下のよう
な問題があった。まず、先に開示された振動アクチュエ
ータでは、回転軸A3に平行であって、圧電素子が垂直
に力を作用させることが可能な平面を弾性体に確保する
必要がある。このために、弾性体を回転軸A3に平行な
面について分割することが要求された。しかし、弾性体
をダイシング等で分割すること、また、その後に圧電素
子を挟んで再び弾性体を組み立てるという一連の作業は
大変煩雑であり、製造時間、製造コストを増大させると
いう問題があった。
振動アクチュエータには、さらに解決すべき以下のよう
な問題があった。まず、先に開示された振動アクチュエ
ータでは、回転軸A3に平行であって、圧電素子が垂直
に力を作用させることが可能な平面を弾性体に確保する
必要がある。このために、弾性体を回転軸A3に平行な
面について分割することが要求された。しかし、弾性体
をダイシング等で分割すること、また、その後に圧電素
子を挟んで再び弾性体を組み立てるという一連の作業は
大変煩雑であり、製造時間、製造コストを増大させると
いう問題があった。
【0015】また、先に開示された振動アクチュエータ
では、固定子201の全体の形状をほぼ円筒型に維持す
るために、弾性体の間に配置される圧電素子をあまり肉
厚にすることができない。このために、利用可能な圧電
素子は、回転軸A3の方向にせん断変形するもの、すな
わち、圧電係数d15に係る変形が大きいものに限定され
ていた。なぜならば、圧電係数d31に係る変形が大きい
素子を使用すれば、十分な変形量を得るために、圧電素
子の厚みを相当に厚くしなければならないからである。
なお、一般に圧電係数d15を用いる圧電素子は、d31を
用いるものより分極が困難なため価格が高く、このため
に、振動アクチュエータのコストが増大するという問題
もあった。
では、固定子201の全体の形状をほぼ円筒型に維持す
るために、弾性体の間に配置される圧電素子をあまり肉
厚にすることができない。このために、利用可能な圧電
素子は、回転軸A3の方向にせん断変形するもの、すな
わち、圧電係数d15に係る変形が大きいものに限定され
ていた。なぜならば、圧電係数d31に係る変形が大きい
素子を使用すれば、十分な変形量を得るために、圧電素
子の厚みを相当に厚くしなければならないからである。
なお、一般に圧電係数d15を用いる圧電素子は、d31を
用いるものより分極が困難なため価格が高く、このため
に、振動アクチュエータのコストが増大するという問題
もあった。
【0016】さらに、弾性体を2分割した場合には、移
動子21に動力を伝達する駆動面D3の平面性を確保す
ることも困難となる。駆動面D3の平面性が十分に得ら
れない場合には、分割された2つの弾性体のそれぞれか
ら移動子206に伝わる力の間で差(いわゆる左右差)
が生じ、振動アクチュエータの性能に個体差を生じるこ
ととなる。このために、先に開示された振動アクチュエ
ータでは、駆動面D3の平面性を確保すべく、精度よく
固定子を組み立てることが必要であり、このために、作
業効率の向上、製造コストの削減を図りにくいという問
題があった。
動子21に動力を伝達する駆動面D3の平面性を確保す
ることも困難となる。駆動面D3の平面性が十分に得ら
れない場合には、分割された2つの弾性体のそれぞれか
ら移動子206に伝わる力の間で差(いわゆる左右差)
が生じ、振動アクチュエータの性能に個体差を生じるこ
ととなる。このために、先に開示された振動アクチュエ
ータでは、駆動面D3の平面性を確保すべく、精度よく
固定子を組み立てることが必要であり、このために、作
業効率の向上、製造コストの削減を図りにくいという問
題があった。
【0017】一方、先に開示された振動アクチュエータ
では、分割された弾性体を再度組み立て、ボルトとナッ
トで締結するので、部品点数や作業工程が多いという問
題もあった。また、締結により生じる弾性体のひずみ、
及び圧電素子と弾性体との間の接触不良は、固定子に励
振される振動のQ値、振動アクチュエータの出力トルク
を変化させる。このために、ボルトとナットによる締結
の具合によっても、振動アクチュエータの効率、最大ト
ルク、最大及び最小回転数などにバラツキが生じ、品質
管理が難しいという問題もあった。
では、分割された弾性体を再度組み立て、ボルトとナッ
トで締結するので、部品点数や作業工程が多いという問
題もあった。また、締結により生じる弾性体のひずみ、
及び圧電素子と弾性体との間の接触不良は、固定子に励
振される振動のQ値、振動アクチュエータの出力トルク
を変化させる。このために、ボルトとナットによる締結
の具合によっても、振動アクチュエータの効率、最大ト
ルク、最大及び最小回転数などにバラツキが生じ、品質
管理が難しいという問題もあった。
【0018】本発明は、上記のような問題に鑑みてなさ
れたものであり、使用する振動発生源に対する制約が少
なく、製造が容易で性能の個体差が小さい振動アクチュ
エータの提供を課題とする。
れたものであり、使用する振動発生源に対する制約が少
なく、製造が容易で性能の個体差が小さい振動アクチュ
エータの提供を課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、所定の回転軸回りに回転可
能な回転部材と、前記回転軸方向の縦振動及び前記回転
軸回りの捩り振動を行うことにより前記回転軸方向の端
面に楕円運動を発生させる弾性部材と、前記弾性部材に
前記縦振動を発生させる縦振動発生源と、前記弾性部材
が有する前記回転軸に略平行な作用面に作用することに
より、前記弾性体に前記捩り振動を発生させる捩り振動
発生源とを備え、前記端面の楕円運動の一部を前記回転
部材に伝達することにより、前記回転部材を回転させる
振動アクチュエータにおいて、前記捩り振動発生源は、
前記作用面に対し、前記作用面に接する方向の力を作用
させることにより、前記弾性体に前記捩り振動を発生さ
せることを特徴とする振動アクチュエータである。
に、請求項1に係る発明は、所定の回転軸回りに回転可
能な回転部材と、前記回転軸方向の縦振動及び前記回転
軸回りの捩り振動を行うことにより前記回転軸方向の端
面に楕円運動を発生させる弾性部材と、前記弾性部材に
前記縦振動を発生させる縦振動発生源と、前記弾性部材
が有する前記回転軸に略平行な作用面に作用することに
より、前記弾性体に前記捩り振動を発生させる捩り振動
発生源とを備え、前記端面の楕円運動の一部を前記回転
部材に伝達することにより、前記回転部材を回転させる
振動アクチュエータにおいて、前記捩り振動発生源は、
前記作用面に対し、前記作用面に接する方向の力を作用
させることにより、前記弾性体に前記捩り振動を発生さ
せることを特徴とする振動アクチュエータである。
【0020】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の
振動アクチュエータにおいて、前記捩り振動発生源は、
前記回転軸方向に異なる位置にある前記作用面上の2つ
の領域に、前記回転軸を中心とする回転方向に関し相互
に異なる方向の力を作用させることにより前記弾性体に
前記捩り振動を発生させることを特徴とする振動アクチ
ュエータである。請求項3に係る発明は、請求項2に記
載の振動アクチュエータにおいて、前記2つの領域の各
々は、前記弾性体に発生すべき前記捩り振動の節部を挟
んで前記回転軸方向の異なる側にあることを特徴とする
振動アクチュエータである。
振動アクチュエータにおいて、前記捩り振動発生源は、
前記回転軸方向に異なる位置にある前記作用面上の2つ
の領域に、前記回転軸を中心とする回転方向に関し相互
に異なる方向の力を作用させることにより前記弾性体に
前記捩り振動を発生させることを特徴とする振動アクチ
ュエータである。請求項3に係る発明は、請求項2に記
載の振動アクチュエータにおいて、前記2つの領域の各
々は、前記弾性体に発生すべき前記捩り振動の節部を挟
んで前記回転軸方向の異なる側にあることを特徴とする
振動アクチュエータである。
【0021】請求項4に係る発明は、請求項1から請求
項3までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータの
おいて、前記作用面は前記弾性体の外周面であることを
特徴とする振動アクチュエータである。請求項5に係る
発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記
載の振動アクチュエータにおいて、前記捩り振動発生源
は、前記作用面に接する方向に変位可能な圧電素子であ
ることを特徴とする振動アクチュエータである。
項3までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータの
おいて、前記作用面は前記弾性体の外周面であることを
特徴とする振動アクチュエータである。請求項5に係る
発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記
載の振動アクチュエータにおいて、前記捩り振動発生源
は、前記作用面に接する方向に変位可能な圧電素子であ
ることを特徴とする振動アクチュエータである。
【0022】請求項6に係る発明は、請求項1から請求
項5までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータに
おいて、前記捩り振動発生源は、圧電係数d31に係る変
形を利用して前記作用面に接する方向の振動を発生させ
る圧電素子であることを特徴とする振動アクチュエータ
である。請求項7に係る発明は、請求項6に記載の振動
アクチュエータにおいて、前記圧電素子における前記振
動を発生する領域は、前記作用面に接する方向であって
前記回転軸に垂直な方向に縦長の形状を有することを特
徴とする振動アクチュエータである。
項5までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータに
おいて、前記捩り振動発生源は、圧電係数d31に係る変
形を利用して前記作用面に接する方向の振動を発生させ
る圧電素子であることを特徴とする振動アクチュエータ
である。請求項7に係る発明は、請求項6に記載の振動
アクチュエータにおいて、前記圧電素子における前記振
動を発生する領域は、前記作用面に接する方向であって
前記回転軸に垂直な方向に縦長の形状を有することを特
徴とする振動アクチュエータである。
【0023】請求項8に係る発明は、請求項6又は請求
項7に記載の振動アクチュエータにおいて、前記圧電素
子は、第1の振動領域と、前記第1の振動領域と前記回
転軸方向に隣接し、前記第1の振動領域に対し所定の位
相差で振動する第2の振動領域とを有し、前記第1の振
動領域に生じる変位は、前記弾性体に前記捩り振動を発
生させ、前記第2の振動領域に生じる変位は、前記第1
の振動領域に生じる変位の前記回転軸方向成分を打ち消
すことを特徴としている振動アクチュエータである。
項7に記載の振動アクチュエータにおいて、前記圧電素
子は、第1の振動領域と、前記第1の振動領域と前記回
転軸方向に隣接し、前記第1の振動領域に対し所定の位
相差で振動する第2の振動領域とを有し、前記第1の振
動領域に生じる変位は、前記弾性体に前記捩り振動を発
生させ、前記第2の振動領域に生じる変位は、前記第1
の振動領域に生じる変位の前記回転軸方向成分を打ち消
すことを特徴としている振動アクチュエータである。
【0024】請求項9に係る発明は、請求項6から請求
項8までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータに
おいて、前記捩り振動発生源は、前記回転軸に平行な第
1の基準線と前記回転軸に垂直な第2の基準線とにより
規定される4つの象限の各々に振動領域を有し、第1象
限及び第3象限にある前記振動領域は、第2象限及び第
4象限にある前記振動領域の振動に対し、所定の位相差
をもって振動することを特徴とする振動アクチュエータ
である。
項8までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータに
おいて、前記捩り振動発生源は、前記回転軸に平行な第
1の基準線と前記回転軸に垂直な第2の基準線とにより
規定される4つの象限の各々に振動領域を有し、第1象
限及び第3象限にある前記振動領域は、第2象限及び第
4象限にある前記振動領域の振動に対し、所定の位相差
をもって振動することを特徴とする振動アクチュエータ
である。
【0025】請求項10に係る発明は、請求項6に記載
の振動アクチュエータにおいて、前記捩り振動発生源
は、前記回転軸に平行な第1の基準線と前記回転軸に垂
直な第2の基準線とにより規定される4つの象限の各々
に、前記回転軸方向に縦長形状の振動領域を有し、第1
象限及び第3象限にある前記振動領域は、第2象限及び
第4象限にある前記振動領域の振動に対し、所定の位相
差をもって振動することを特徴とする振動アクチュエー
タである。
の振動アクチュエータにおいて、前記捩り振動発生源
は、前記回転軸に平行な第1の基準線と前記回転軸に垂
直な第2の基準線とにより規定される4つの象限の各々
に、前記回転軸方向に縦長形状の振動領域を有し、第1
象限及び第3象限にある前記振動領域は、第2象限及び
第4象限にある前記振動領域の振動に対し、所定の位相
差をもって振動することを特徴とする振動アクチュエー
タである。
【0026】請求項11に係る発明は、請求項9又は請
求項10に記載の振動アクチュエータにおいて、第1象
限及び第3象限にある前記振動領域は、第2象限及び第
4象限にある前記振動領域の振動に対し、位相差πをも
って振動することを特徴とする振動アクチュエータであ
る。請求項12に係る発明は、請求項6から請求項11
までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおい
て、前記圧電素子は、全体が同一方向に分極された素子
であり、前記圧電素子の前記回転軸方向に異なる位置
に、前記捩り振動発生源となるべき振動領域と、前記縦
振動発生源となるべき縦振動発生源とを設けることによ
り、前記縦振動発生源と前記捩り振動発生源とを一体化
していることを特徴とする振動アクチュエータである。
求項10に記載の振動アクチュエータにおいて、第1象
限及び第3象限にある前記振動領域は、第2象限及び第
4象限にある前記振動領域の振動に対し、位相差πをも
って振動することを特徴とする振動アクチュエータであ
る。請求項12に係る発明は、請求項6から請求項11
までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおい
て、前記圧電素子は、全体が同一方向に分極された素子
であり、前記圧電素子の前記回転軸方向に異なる位置
に、前記捩り振動発生源となるべき振動領域と、前記縦
振動発生源となるべき縦振動発生源とを設けることによ
り、前記縦振動発生源と前記捩り振動発生源とを一体化
していることを特徴とする振動アクチュエータである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面等を参照して、本発明
に係る振動アクチュエータの一実施形態について、さら
に詳しく説明する。なお、以降の説明は、振動アクチュ
エータとして、超音波の振動域を利用する超音波アクチ
ュエータを例にとって行う。
に係る振動アクチュエータの一実施形態について、さら
に詳しく説明する。なお、以降の説明は、振動アクチュ
エータとして、超音波の振動域を利用する超音波アクチ
ュエータを例にとって行う。
【0028】(第1実施形態)はじめに、本発明に係る
振動アクチュエータの第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の振動アクチュエータを示す断面図
である。また、図2は、本実施形態の振動アクチュエー
タの振動子に励振される振動のモードを示す説明図であ
る。
振動アクチュエータの第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の振動アクチュエータを示す断面図
である。また、図2は、本実施形態の振動アクチュエー
タの振動子に励振される振動のモードを示す説明図であ
る。
【0029】図1に示す振動アクチュエータは、振動子
11、移動子21などから構成されている。移動子21
は、振動子11から駆動力を得て固定軸20を回転軸と
して回転する厚肉の円環状部材である。移動子21は、
移動子部材21aと、移動子部材21aの下面に備えら
れた摺動材21bとから構成されている。移動子部材2
1aは、ステンレス鋼、アルミニウム合金等からなる部
材である。また、移動子部材21aは、外周面に、その
回転出力を不図示の被駆動体の歯車に伝達するための歯
車23を有する。一方、摺動材21bは、高分子材料等
を主成分とし、振動子11の駆動面Dと接触し摺動する
ための部材である。
11、移動子21などから構成されている。移動子21
は、振動子11から駆動力を得て固定軸20を回転軸と
して回転する厚肉の円環状部材である。移動子21は、
移動子部材21aと、移動子部材21aの下面に備えら
れた摺動材21bとから構成されている。移動子部材2
1aは、ステンレス鋼、アルミニウム合金等からなる部
材である。また、移動子部材21aは、外周面に、その
回転出力を不図示の被駆動体の歯車に伝達するための歯
車23を有する。一方、摺動材21bは、高分子材料等
を主成分とし、振動子11の駆動面Dと接触し摺動する
ための部材である。
【0030】移動子21は、ベアリング22を介して固
定軸20に取り付けられている。ベアリング22は、移
動子21の固定軸回りの回転を可能とするとともに、移
動子21を固定軸20の所定の位置に位置決めする位置
決め部材としての役割を果たしている。
定軸20に取り付けられている。ベアリング22は、移
動子21の固定軸回りの回転を可能とするとともに、移
動子21を固定軸20の所定の位置に位置決めする位置
決め部材としての役割を果たしている。
【0031】固定軸20は、移動子21が取り付けられ
ている位置より上側にねじ部20aを有し、このねじ部
20aには、ナットなどの調整部材25がねじ止めされ
ている。また、調整部材25と移動子21との間には、
皿バネ、コイルバネ又は板バネ等の加圧部材24が配置
されている。加圧部材24は、移動子21を振動子11
の方向へ加圧するための部材である。移動子21は、こ
の加圧部材24からの加圧力を受け、振動子11の駆動
面Dに加圧接触する。また、調整部材25は、ねじ止め
されている位置を変化させることにより、加圧部材24
を適度に圧縮し、移動子21へ加わる加圧力を調整す
る。
ている位置より上側にねじ部20aを有し、このねじ部
20aには、ナットなどの調整部材25がねじ止めされ
ている。また、調整部材25と移動子21との間には、
皿バネ、コイルバネ又は板バネ等の加圧部材24が配置
されている。加圧部材24は、移動子21を振動子11
の方向へ加圧するための部材である。移動子21は、こ
の加圧部材24からの加圧力を受け、振動子11の駆動
面Dに加圧接触する。また、調整部材25は、ねじ止め
されている位置を変化させることにより、加圧部材24
を適度に圧縮し、移動子21へ加わる加圧力を調整す
る。
【0032】振動子11は、図2に示されるように、1
次の縦振動と、2次の捩り振動を励振されることによ
り、駆動面Dに楕円運動を発生させる部材である。振動
子11は、4つの大径部14A、14B、14C及び1
4Dと、3つの小径部14a、14b及び14cとを有
する厚肉の円筒状部材であり、小径部14a及び14c
は、2次の捩り振動の節部を含む位置に、小径部14b
は、1次の縦振動の節部を含む位置にそれぞれ形成され
ている。このように、振動子11を4つの大径部と3つ
の小径部とを有する形状とするのは、振動子11の剛性
を局部的に変化させることにより、1次の縦振動と2次
の捩り振動の共振周波数をほぼ一致させ、振動子11に
いわゆる縮退を生じさせるためである。
次の縦振動と、2次の捩り振動を励振されることによ
り、駆動面Dに楕円運動を発生させる部材である。振動
子11は、4つの大径部14A、14B、14C及び1
4Dと、3つの小径部14a、14b及び14cとを有
する厚肉の円筒状部材であり、小径部14a及び14c
は、2次の捩り振動の節部を含む位置に、小径部14b
は、1次の縦振動の節部を含む位置にそれぞれ形成され
ている。このように、振動子11を4つの大径部と3つ
の小径部とを有する形状とするのは、振動子11の剛性
を局部的に変化させることにより、1次の縦振動と2次
の捩り振動の共振周波数をほぼ一致させ、振動子11に
いわゆる縮退を生じさせるためである。
【0033】図1に示されるように、振動子11は、小
径部14cの位置において、固定軸20に垂直に交わる
方向へ振動子11を貫く貫通孔30を有する。この貫通
孔30は、ピン32を通すための孔部である。ピン32
は、振動子11の貫通孔30と、固定軸20に設けられ
ている貫通孔20bとを貫通することにより、振動子1
1を固定軸20に固定し、固定軸20の主軸方向に振動
子11を位置決めする。また、振動子11と固定軸20
との間には、大径部14A及び14Dの位置において、
筒状部材33が各々1つずつ配置されている。筒状部材
(カラー)33は、振動子11と固定軸20との間隙を
埋めることにより、振動子11を径方向に位置決めする
部材である。
径部14cの位置において、固定軸20に垂直に交わる
方向へ振動子11を貫く貫通孔30を有する。この貫通
孔30は、ピン32を通すための孔部である。ピン32
は、振動子11の貫通孔30と、固定軸20に設けられ
ている貫通孔20bとを貫通することにより、振動子1
1を固定軸20に固定し、固定軸20の主軸方向に振動
子11を位置決めする。また、振動子11と固定軸20
との間には、大径部14A及び14Dの位置において、
筒状部材33が各々1つずつ配置されている。筒状部材
(カラー)33は、振動子11と固定軸20との間隙を
埋めることにより、振動子11を径方向に位置決めする
部材である。
【0034】次に、振動子11の構成について、さらに
詳しく説明する。図3は、振動子11の分解図である。
また、図4は、振動子11の側面図である。なお、図4
(a)は、図4(b)と90°異なる角度から見た振動
子の側面図であり、圧電素子へ所定の電圧を印加するた
めの電気配線を併せて図示したものである。また、図4
(b)の中で示した矢印は、圧電素子の分極の方向を表
すものである。
詳しく説明する。図3は、振動子11の分解図である。
また、図4は、振動子11の側面図である。なお、図4
(a)は、図4(b)と90°異なる角度から見た振動
子の側面図であり、圧電素子へ所定の電圧を印加するた
めの電気配線を併せて図示したものである。また、図4
(b)の中で示した矢印は、圧電素子の分極の方向を表
すものである。
【0035】図3に示すように、振動子11は、弾性体
14と2つの圧電素子34及び36とから主に構成され
ている。弾性体14は、鉄鋼、ステンレス鋼又はリン青
銅等の金属材料からなる厚肉の円筒状部材である。弾性
体14の外周面には、前述した小径部14a、14b及
び14cが設けられている。また、弾性体14の外周面
には、2つの平面14d及び14eが設けられている。
なお、図3において、平面14eは、弾性体14の背面
側に位置するので、図示はされていない。
14と2つの圧電素子34及び36とから主に構成され
ている。弾性体14は、鉄鋼、ステンレス鋼又はリン青
銅等の金属材料からなる厚肉の円筒状部材である。弾性
体14の外周面には、前述した小径部14a、14b及
び14cが設けられている。また、弾性体14の外周面
には、2つの平面14d及び14eが設けられている。
なお、図3において、平面14eは、弾性体14の背面
側に位置するので、図示はされていない。
【0036】平面14d及び14eは、それぞれ圧電素
子34及び36を接着剤等により接合し、圧電素子3
4、36の振動を弾性体14に伝達するための面であ
る。平面14dは、弾性体14の下端から所定の長さだ
け、弾性体14の中心軸Aに平行に設けられた面であ
る。一方、平面14eは、中心軸Aを中心に平面14d
を180°回転させた位置に設けられた同一形状の面で
ある。なお、中心軸Aは、弾性体14の中心軸であると
ともに、移動子21の回転軸でもある。また、所定の長
さとは、弾性体14の長手方向の長さより短い長さをい
う。
子34及び36を接着剤等により接合し、圧電素子3
4、36の振動を弾性体14に伝達するための面であ
る。平面14dは、弾性体14の下端から所定の長さだ
け、弾性体14の中心軸Aに平行に設けられた面であ
る。一方、平面14eは、中心軸Aを中心に平面14d
を180°回転させた位置に設けられた同一形状の面で
ある。なお、中心軸Aは、弾性体14の中心軸であると
ともに、移動子21の回転軸でもある。また、所定の長
さとは、弾性体14の長手方向の長さより短い長さをい
う。
【0037】上記のように、平面14d、14eの長さ
を弾性体より短く設定するのは、移動子21と摺動し、
これを駆動する弾性体14の駆動面Dを環状の形状とし
て残すためである。駆動面Dを環状形状とするのは、駆
動面Dと移動子21とを中心軸Aを中心とする周方向に
おいて均一に接触させることで、移動子21の回転ムラ
を防止し、また、摺動半径を可能な限り大きくとること
で、振動アクチュエータの出力トルクを大きくするため
である。
を弾性体より短く設定するのは、移動子21と摺動し、
これを駆動する弾性体14の駆動面Dを環状の形状とし
て残すためである。駆動面Dを環状形状とするのは、駆
動面Dと移動子21とを中心軸Aを中心とする周方向に
おいて均一に接触させることで、移動子21の回転ムラ
を防止し、また、摺動半径を可能な限り大きくとること
で、振動アクチュエータの出力トルクを大きくするため
である。
【0038】圧電素子34は、板厚の方向に分極された
一枚の板形状の素子である。したがって、圧電素子34
は、板厚方向の電圧を印加すると板の面方向に大きな伸
縮変形を示す、圧電係数d31を用いる素子である。圧電
素子34の一の面には、4種類の電極(38、40、4
2、44)が設けられている。これらの電極のうち、電
極40及び42は、圧電素子34に所定の周波電圧を印
加することで、これを励振するためのものである。ま
た、電極38及び44は、それぞれ電極40及び42に
起因して圧電素子に発生した振動を圧電効果により検出
するための電極である。
一枚の板形状の素子である。したがって、圧電素子34
は、板厚方向の電圧を印加すると板の面方向に大きな伸
縮変形を示す、圧電係数d31を用いる素子である。圧電
素子34の一の面には、4種類の電極(38、40、4
2、44)が設けられている。これらの電極のうち、電
極40及び42は、圧電素子34に所定の周波電圧を印
加することで、これを励振するためのものである。ま
た、電極38及び44は、それぞれ電極40及び42に
起因して圧電素子に発生した振動を圧電効果により検出
するための電極である。
【0039】電極40は、弾性体14に2次の捩り振動
を励振するためのものであり、弾性体14に生ずべき捩
り振動の節部を跨ぐように配置されている。本実施形態
において、捩り振動の節部の1つは、弾性体14の小径
部14cの位置に生じるので、電極40は、小径部14
cを跨ぐように配置されている。
を励振するためのものであり、弾性体14に生ずべき捩
り振動の節部を跨ぐように配置されている。本実施形態
において、捩り振動の節部の1つは、弾性体14の小径
部14cの位置に生じるので、電極40は、小径部14
cを跨ぐように配置されている。
【0040】電極40は、4つの小電極(40a〜40
d)により構成されている。各小電極(40a〜40
d)は、中心軸Aに垂直な方向(以下「捩り方向」とい
う)にアスペクト比の大きな長方形の形状を有してい
る。また、各小電極(40a〜40d)は、これらが配
置されるべき領域を、中心軸Aに平行な第1の基準線
と、垂直な第2の基準線とで分割することにより規定さ
れる4つの象限に各々1つずつ配置されている。
d)により構成されている。各小電極(40a〜40
d)は、中心軸Aに垂直な方向(以下「捩り方向」とい
う)にアスペクト比の大きな長方形の形状を有してい
る。また、各小電極(40a〜40d)は、これらが配
置されるべき領域を、中心軸Aに平行な第1の基準線
と、垂直な第2の基準線とで分割することにより規定さ
れる4つの象限に各々1つずつ配置されている。
【0041】電極42は、弾性体14に1次の縦振動を
励振するためのものである。電極42は、中心軸Aに平
行な方向(以下「縦方向」という)にアスペクト比の大
きな長方形の形状を有し、弾性体14に生ずべき縦振動
の節部を跨ぐように配置されている。本実施形態では、
縦振動の節部は弾性体14の小径部14bに生じるの
で、電極42は、小径部14bを跨ぐように設けられて
いる。
励振するためのものである。電極42は、中心軸Aに平
行な方向(以下「縦方向」という)にアスペクト比の大
きな長方形の形状を有し、弾性体14に生ずべき縦振動
の節部を跨ぐように配置されている。本実施形態では、
縦振動の節部は弾性体14の小径部14bに生じるの
で、電極42は、小径部14bを跨ぐように設けられて
いる。
【0042】図4(a)に示されるように、電極40及
び42は、所定の周波電圧を発生する発振器50に接続
されている。ただし、電極42は、移相器52を介して
発振器50に接続されている。移相器52は、入力され
た周波電圧に対し、+90°又は−90°の位相差を有
する周波電圧を出力するものである。また、電極40の
うち、第1象限にある小電極40aと第3象限にある小
電極40cは、移相器54を介して発振器50に接続さ
れている。移相器54は、入力された周波電圧に対し、
+180°(π)の位相差を有する周波電圧を出力する
ものである。
び42は、所定の周波電圧を発生する発振器50に接続
されている。ただし、電極42は、移相器52を介して
発振器50に接続されている。移相器52は、入力され
た周波電圧に対し、+90°又は−90°の位相差を有
する周波電圧を出力するものである。また、電極40の
うち、第1象限にある小電極40aと第3象限にある小
電極40cは、移相器54を介して発振器50に接続さ
れている。移相器54は、入力された周波電圧に対し、
+180°(π)の位相差を有する周波電圧を出力する
ものである。
【0043】圧電素子36は、上記に説明した圧電素子
34と同一形状、同一機能を有する素子である。また、
圧電素子36は、圧電素子34と同じ配線方法で、発振
器50等に接続されている。そこで、重複を避けるため
に、ここでは圧電素子50についての説明を省略する。
34と同一形状、同一機能を有する素子である。また、
圧電素子36は、圧電素子34と同じ配線方法で、発振
器50等に接続されている。そこで、重複を避けるため
に、ここでは圧電素子50についての説明を省略する。
【0044】次に、圧電素子34及び36により、捩り
振動と縦振動を励振されたときの振動子11の動作につ
いて説明する。振動子11に縦振動と捩り振動を同時に
励振すると、その駆動面Dには、縦振動と捩り振動とを
合成した運動が現れる。本実施形態の場合には、移相器
52等を利用して所定の位相差を有する周波電圧を電極
40と42に印加するので、振動子11に励起される縦
振動と捩り振動とは90°の位相差を有し、この結果、
駆動面Dに現れるそれら振動の合成は、楕円運動とな
る。
振動と縦振動を励振されたときの振動子11の動作につ
いて説明する。振動子11に縦振動と捩り振動を同時に
励振すると、その駆動面Dには、縦振動と捩り振動とを
合成した運動が現れる。本実施形態の場合には、移相器
52等を利用して所定の位相差を有する周波電圧を電極
40と42に印加するので、振動子11に励起される縦
振動と捩り振動とは90°の位相差を有し、この結果、
駆動面Dに現れるそれら振動の合成は、楕円運動とな
る。
【0045】図5は、振動子11の動作を模式的に示す
説明図である。以下、図5を用いて、上記のように90
°の位相差を有する縦振動と捩り振動を振動子11に励
振した結果、その駆動面Dに楕円運動が生じ、移動子2
1が一方の方向へ回転駆動されることを説明する。な
お、以下において、駆動周波数をfとしたときの角周波
数をω(=2πf)で表示する。
説明図である。以下、図5を用いて、上記のように90
°の位相差を有する縦振動と捩り振動を振動子11に励
振した結果、その駆動面Dに楕円運動が生じ、移動子2
1が一方の方向へ回転駆動されることを説明する。な
お、以下において、駆動周波数をfとしたときの角周波
数をω(=2πf)で表示する。
【0046】図5に示すように、t=(6/4)×(π
/ω)の時点では、捩り振動の変位は、左側に最大であ
り、縦振動の変位は零である。この状態で移動子21
は、加圧部材24によって振動子11の駆動面Dに接触
している。この状態から、t=(7/4)×(π/ω)
〜0〜(2/4)×(π/ω)までは、捩り振動が左側
の最大から右側の最大まで変位する。一方、縦振動は、
零から上側の最大に変位し、再び零に戻る。したがっ
て、振動子11の駆動面Dは、移動子21を押しながら
右方向に回転し、移動子21は駆動される。
/ω)の時点では、捩り振動の変位は、左側に最大であ
り、縦振動の変位は零である。この状態で移動子21
は、加圧部材24によって振動子11の駆動面Dに接触
している。この状態から、t=(7/4)×(π/ω)
〜0〜(2/4)×(π/ω)までは、捩り振動が左側
の最大から右側の最大まで変位する。一方、縦振動は、
零から上側の最大に変位し、再び零に戻る。したがっ
て、振動子11の駆動面Dは、移動子21を押しながら
右方向に回転し、移動子21は駆動される。
【0047】次に、t=(2/4)×(π/ω)〜(6
/4)×(π/ω)までは、捩り振動が右側の最大から
左側の最大まで変位する。一方、縦振動は、零から下側
の最大へ変位し再び零に戻る。したがって、振動子11
の駆動面Dは、移動子21から離れながら左方向に回転
する。よって、移動子21は駆動されない。このとき
に、振動子11の振動数が加圧部材24の固有振動数よ
りも低く設定されていれば、移動子21は、加圧部材2
4により加圧されていても、振動子11の縮みに追従す
ることはない。圧電素子に周波電圧を印加している間、
駆動面Dは、上記の楕円運動を繰り返し、その結果とし
て、移動子21は、一定の方向に駆動されるのである。
/4)×(π/ω)までは、捩り振動が右側の最大から
左側の最大まで変位する。一方、縦振動は、零から下側
の最大へ変位し再び零に戻る。したがって、振動子11
の駆動面Dは、移動子21から離れながら左方向に回転
する。よって、移動子21は駆動されない。このとき
に、振動子11の振動数が加圧部材24の固有振動数よ
りも低く設定されていれば、移動子21は、加圧部材2
4により加圧されていても、振動子11の縮みに追従す
ることはない。圧電素子に周波電圧を印加している間、
駆動面Dは、上記の楕円運動を繰り返し、その結果とし
て、移動子21は、一定の方向に駆動されるのである。
【0048】次に、本実施形態において、弾性体14に
捩り振動を励振する方法について説明する。図6は、圧
電素子34の電極40に発振器50より周波電圧を印加
した場合に、圧電素子に現れる変形を示す模式図であ
る。なお、図6(a)及び(b)は、それぞれ電極40
aに最小又は最大電圧が印加されているところを示す。
捩り振動を励振する方法について説明する。図6は、圧
電素子34の電極40に発振器50より周波電圧を印加
した場合に、圧電素子に現れる変形を示す模式図であ
る。なお、図6(a)及び(b)は、それぞれ電極40
aに最小又は最大電圧が印加されているところを示す。
【0049】前述のように、電極40のうち、小電極4
0aと40cは移相器54を介して発振器50に接続さ
れているため、小電極40aと40cには、小電極40
bと40dに印加されるのとは逆位相の周波電圧が印加
される。したがって、小電極40aと40cは、常に、
小電極40bと40dに対し逆の伸縮変形を行う。つま
り、小電極40b及び40dが圧電素子40の面方向に
伸び変形(縮み変形)をしているとき、小電極40a及
び40cは、同方向に縮み変形(伸び変形)をする。
0aと40cは移相器54を介して発振器50に接続さ
れているため、小電極40aと40cには、小電極40
bと40dに印加されるのとは逆位相の周波電圧が印加
される。したがって、小電極40aと40cは、常に、
小電極40bと40dに対し逆の伸縮変形を行う。つま
り、小電極40b及び40dが圧電素子40の面方向に
伸び変形(縮み変形)をしているとき、小電極40a及
び40cは、同方向に縮み変形(伸び変形)をする。
【0050】ここで、各小電極(40a〜40d)は、
捩り方向にアスペクト比が大きな形状を有することか
ら、各小電極(40a〜40d)の伸縮変形において、
捩り方向への変形量が縦方向への変形量より大きい。さ
らに、小電極40a及び40d(40b及び40c)
は、縦方向に隣接するように配置されている。このため
に、小電極40a(40c)が行う伸び変形のうち縦方
向の成分は、小電極40d(40b)の縮み変形に吸収
される。
捩り方向にアスペクト比が大きな形状を有することか
ら、各小電極(40a〜40d)の伸縮変形において、
捩り方向への変形量が縦方向への変形量より大きい。さ
らに、小電極40a及び40d(40b及び40c)
は、縦方向に隣接するように配置されている。このため
に、小電極40a(40c)が行う伸び変形のうち縦方
向の成分は、小電極40d(40b)の縮み変形に吸収
される。
【0051】上記の結果、電極40が設けられている圧
電素子34の領域は、図4(a)又は(b)に示される
ように、平行四辺形状に変形する。この変形により、圧
電素子34は、弾性体14に、図6(a)及び(b)の
中で矢印p、qで示す力を作用させる。力p、qは、圧
電素子34の面(すなわち、平面14d)に平行であっ
て中心軸Aに垂直な方向をその主たるベクトル成分とす
るものである。しかも、力pとqは、互いに反対の方向
を向いている。したがって、力p及びqを受けた弾性体
14は、中心軸Aの回りに捩られ、小径部14cに節部
を有する捩り振動を励振される。
電素子34の領域は、図4(a)又は(b)に示される
ように、平行四辺形状に変形する。この変形により、圧
電素子34は、弾性体14に、図6(a)及び(b)の
中で矢印p、qで示す力を作用させる。力p、qは、圧
電素子34の面(すなわち、平面14d)に平行であっ
て中心軸Aに垂直な方向をその主たるベクトル成分とす
るものである。しかも、力pとqは、互いに反対の方向
を向いている。したがって、力p及びqを受けた弾性体
14は、中心軸Aの回りに捩られ、小径部14cに節部
を有する捩り振動を励振される。
【0052】図7は、弾性体14と、弾性体14に圧電
素子34から作用する力(p、q)を示すモデル図であ
る。図7と図18(b)とを比較すると、本実施形態の
振動アクチュエータは、外周面、すなわち、弾性体の中
心軸に平行な面(以下「作用面」という)に圧電素子の
力を作用させることにより、弾性体に捩り振動を励振す
る点において、特開平8−140377号に開示した振
動アクチュエータと類似することがわかる。しかし、本
実施形態の振動アクチュエータは、当該圧電素子の力を
作用面に接する方向に作用させている点において、作用
面に垂直な方向に作用させている特開平8−14037
7号に開示した振動アクチュエータと異なっている。
素子34から作用する力(p、q)を示すモデル図であ
る。図7と図18(b)とを比較すると、本実施形態の
振動アクチュエータは、外周面、すなわち、弾性体の中
心軸に平行な面(以下「作用面」という)に圧電素子の
力を作用させることにより、弾性体に捩り振動を励振す
る点において、特開平8−140377号に開示した振
動アクチュエータと類似することがわかる。しかし、本
実施形態の振動アクチュエータは、当該圧電素子の力を
作用面に接する方向に作用させている点において、作用
面に垂直な方向に作用させている特開平8−14037
7号に開示した振動アクチュエータと異なっている。
【0053】上記のように、圧電素子の力を作用面に接
する方向に作用させ、これにより弾性体に捩り振動を励
振することとした結果、本実施形態は、特開平8−14
0377号に開示した振動アクチュエータにおける種々
の課題を解決することを可能としている。例えば、特開
平8−140377号に開示した振動アクチュエータで
は、作用面に垂直な方向に圧電素子の力を作用させて捩
ることから、効率よく捩り振動を励振するためには、作
用面を中心軸A3を含む平面とする必要がある。このこ
とから、特開平8−140377号に開示した振動アク
チュエータでは、弾性体をその中心において2分割する
ことが不可避であった。
する方向に作用させ、これにより弾性体に捩り振動を励
振することとした結果、本実施形態は、特開平8−14
0377号に開示した振動アクチュエータにおける種々
の課題を解決することを可能としている。例えば、特開
平8−140377号に開示した振動アクチュエータで
は、作用面に垂直な方向に圧電素子の力を作用させて捩
ることから、効率よく捩り振動を励振するためには、作
用面を中心軸A3を含む平面とする必要がある。このこ
とから、特開平8−140377号に開示した振動アク
チュエータでは、弾性体をその中心において2分割する
ことが不可避であった。
【0054】これに対し、本実施形態では、最も効率よ
く捩り振動を励振するためには、作用面を中心軸Aを中
心とする円柱面とする必要がある。つまり、本実施形態
では、弾性体14の外周面、内周面又は実質的にこれら
の面に近似するものとして取り扱える平面等を作用面と
すればよく、適切な作用面を取得するために弾性体を2
分割する必要はない。したがって、本実施形態では、弾
性体の分割に伴い生じる問題、すなわち、振動子の部品
数の増大、製造工程の増大、アクチュエータの小型化に
伴う出力トルクの低下、又は、アクチュエータの個体間
における性能のバラツキ等は生じない。
く捩り振動を励振するためには、作用面を中心軸Aを中
心とする円柱面とする必要がある。つまり、本実施形態
では、弾性体14の外周面、内周面又は実質的にこれら
の面に近似するものとして取り扱える平面等を作用面と
すればよく、適切な作用面を取得するために弾性体を2
分割する必要はない。したがって、本実施形態では、弾
性体の分割に伴い生じる問題、すなわち、振動子の部品
数の増大、製造工程の増大、アクチュエータの小型化に
伴う出力トルクの低下、又は、アクチュエータの個体間
における性能のバラツキ等は生じない。
【0055】また、特開平8−140377号に開示し
た振動アクチュエータは、構造上、捩り振動を励振する
ための圧電素子として、圧電定数d15を用いる素子を使
用しなければならなかった。これに対し、本発明に係る
振動アクチュエータでは、そのような制約はなく、上記
実施形態において示したように、圧電定数d31を用いる
素子を利用することも可能である。つまり、本実施形態
は、利用可能な圧電素子の選択の幅を広げるものであ
る。また、圧電定数d31を用いる素子は、d15を用いる
素子より安価であるので、振動アクチュエータの製造コ
スト低減も可能となる。
た振動アクチュエータは、構造上、捩り振動を励振する
ための圧電素子として、圧電定数d15を用いる素子を使
用しなければならなかった。これに対し、本発明に係る
振動アクチュエータでは、そのような制約はなく、上記
実施形態において示したように、圧電定数d31を用いる
素子を利用することも可能である。つまり、本実施形態
は、利用可能な圧電素子の選択の幅を広げるものであ
る。また、圧電定数d31を用いる素子は、d15を用いる
素子より安価であるので、振動アクチュエータの製造コ
スト低減も可能となる。
【0056】また、圧電定数d31を用いる圧電素子は、
縦振動を励振するために用いられる一般的な素子でもあ
る。このことから、本実施形態では、圧電定数d31を用
いる圧電素子の一部領域を縦振動の励振用として、他の
一部領域を捩り振動の励振用として使用することによ
り、従来2部材であったこれらの素子を一体化し、部品
点数を削減することを可能としている。しかも、この一
体化は、圧電素子に適切なアスペクト比を有する電極を
それぞれの領域に設けるという、極めて簡単な手段によ
り実現される。
縦振動を励振するために用いられる一般的な素子でもあ
る。このことから、本実施形態では、圧電定数d31を用
いる圧電素子の一部領域を縦振動の励振用として、他の
一部領域を捩り振動の励振用として使用することによ
り、従来2部材であったこれらの素子を一体化し、部品
点数を削減することを可能としている。しかも、この一
体化は、圧電素子に適切なアスペクト比を有する電極を
それぞれの領域に設けるという、極めて簡単な手段によ
り実現される。
【0057】また、本実施形態では、圧電素子を弾性体
の外周面に配置するので、捩り振動の中心である中心軸
Aから最も離れた位置において弾性体に力を作用させる
こととなる。したがって、圧電素子から作用する力によ
り弾性体に生ずるモーメントは、圧電素子を弾性体の内
部に配置する特開平8−140377号に開示した振動
アクチュエータにおける場合より大きく、この結果、本
実施形態における励振効率は従来より向上されている。
の外周面に配置するので、捩り振動の中心である中心軸
Aから最も離れた位置において弾性体に力を作用させる
こととなる。したがって、圧電素子から作用する力によ
り弾性体に生ずるモーメントは、圧電素子を弾性体の内
部に配置する特開平8−140377号に開示した振動
アクチュエータにおける場合より大きく、この結果、本
実施形態における励振効率は従来より向上されている。
【0058】一方、圧電素子は、変形時に多量の熱を発
生する。例えば、特開平8−140377号に開示した
振動アクチュエータでは、捩り振動用発電素子の振動の
節部において多大な発熱があった。しかし、当該圧電素
子は、弾性体の間に挟み込まれているため、放熱が効率
よく行えないという問題があった。これに対し、本実施
形態では、圧電素子のほとんどが外界に露出しているた
め、放熱効率は極めてよい。したがって、本実施形態で
は、振動子の温度が上昇し、その結果、振動子の共振周
波数が変化する等の不慮の事態が生じることはない。
生する。例えば、特開平8−140377号に開示した
振動アクチュエータでは、捩り振動用発電素子の振動の
節部において多大な発熱があった。しかし、当該圧電素
子は、弾性体の間に挟み込まれているため、放熱が効率
よく行えないという問題があった。これに対し、本実施
形態では、圧電素子のほとんどが外界に露出しているた
め、放熱効率は極めてよい。したがって、本実施形態で
は、振動子の温度が上昇し、その結果、振動子の共振周
波数が変化する等の不慮の事態が生じることはない。
【0059】(第1実施形態の変形例)本発明の第1実
施形態で説明した電極40の構成は、図7のモデル図に
示す力p、qを得るための一例に過ぎず、種々の異なる
構成に変形しても、同様の機能・効果を得ることができ
る。以下、図面を用いて、その変形例を説明する。
施形態で説明した電極40の構成は、図7のモデル図に
示す力p、qを得るための一例に過ぎず、種々の異なる
構成に変形しても、同様の機能・効果を得ることができ
る。以下、図面を用いて、その変形例を説明する。
【0060】変形例1:図8は、電極40の第1の変形
例を示す模式図である。第1実施形態では、電極40を
4つの小電極より構成していたが、これは、図8に示す
ように、捩り方向にアスペクト比の大きな形状を有する
1枚の電極40iとすることであってもよい。ただし、
この場合には、圧電素子34は、その全面を弾性体14
に接合せずに、図中に示すように2つの領域m1、n1
においてのみ接合されている。ここで領域m1、n1と
は、縦方向及び捩り方向の双方に関し、互いに異なる位
置に配置された領域である。本構成の電極において、上
記いずれか一方の方向に関し領域m1とn1とが同一位
置にあると、これらの領域から作用する力によっては、
弾性体14を捩ることにはならないからである。なお、
電極40iの形状を捩り方向にアスペクト比の大きい形
状とするのは、圧電素子の伸縮変形における縦方向成分
を抑制するためである。
例を示す模式図である。第1実施形態では、電極40を
4つの小電極より構成していたが、これは、図8に示す
ように、捩り方向にアスペクト比の大きな形状を有する
1枚の電極40iとすることであってもよい。ただし、
この場合には、圧電素子34は、その全面を弾性体14
に接合せずに、図中に示すように2つの領域m1、n1
においてのみ接合されている。ここで領域m1、n1と
は、縦方向及び捩り方向の双方に関し、互いに異なる位
置に配置された領域である。本構成の電極において、上
記いずれか一方の方向に関し領域m1とn1とが同一位
置にあると、これらの領域から作用する力によっては、
弾性体14を捩ることにはならないからである。なお、
電極40iの形状を捩り方向にアスペクト比の大きい形
状とするのは、圧電素子の伸縮変形における縦方向成分
を抑制するためである。
【0061】変形例2:図9は、電極40の第2の変形
例を示す模式図である。本変形例の電極は、捩り方向に
アスペクト比が大なる2つの小電極40j及び40k
を、縦方向に関し異なる位置に配置して電極40を構成
している点において、第1の変形例と相違するものであ
る。本変形例の構成を採用した場合には、圧電素子34
の伸縮変形のうち縦方向の成分をさらに抑制でき、弾性
体14に効率よく捩り振動を発生させることが可能とな
る。
例を示す模式図である。本変形例の電極は、捩り方向に
アスペクト比が大なる2つの小電極40j及び40k
を、縦方向に関し異なる位置に配置して電極40を構成
している点において、第1の変形例と相違するものであ
る。本変形例の構成を採用した場合には、圧電素子34
の伸縮変形のうち縦方向の成分をさらに抑制でき、弾性
体14に効率よく捩り振動を発生させることが可能とな
る。
【0062】(第2実施形態)次に、本発明に係る振動
アクチュエータの第2実施形態について説明する。図1
0は、本実施形態で用いる振動子60の側面図である。
なお、図10(b)は、図10(a)に対し90°異な
る角度から見た振動子60の側面図である。振動子60
は、第1実施形態の振動子11と比較した場合に、圧電
素子34の電極40を構成する小電極の形状が異なる点
において主に異なっている。そこで、以下の説明では、
振動子11と実質的に同一の機能・効果を果たす振動子
60の部位には、同一の符号を付すことで重複する説明
を適宜省略し、第1実施形態と相違する点について主に
説明することとする。
アクチュエータの第2実施形態について説明する。図1
0は、本実施形態で用いる振動子60の側面図である。
なお、図10(b)は、図10(a)に対し90°異な
る角度から見た振動子60の側面図である。振動子60
は、第1実施形態の振動子11と比較した場合に、圧電
素子34の電極40を構成する小電極の形状が異なる点
において主に異なっている。そこで、以下の説明では、
振動子11と実質的に同一の機能・効果を果たす振動子
60の部位には、同一の符号を付すことで重複する説明
を適宜省略し、第1実施形態と相違する点について主に
説明することとする。
【0063】図10(a)に示されるように、圧電素子
34の電極40は、縦方向にアスペクト比が大きい4つ
の小電極40e、40f、40g及び40hから構成さ
れている。なお、これら4つの小電極の配置位置及び周
波電圧の印加方法は、第1実施形態の小電極40a〜4
0dと同様である。
34の電極40は、縦方向にアスペクト比が大きい4つ
の小電極40e、40f、40g及び40hから構成さ
れている。なお、これら4つの小電極の配置位置及び周
波電圧の印加方法は、第1実施形態の小電極40a〜4
0dと同様である。
【0064】図11は、電極40に発振器50より周波
電圧を印加したときの圧電素子34に現れる変形を示す
模式図である。本実施形態では、電極40を構成する小
電極(40e〜40h)が縦方向にアスペクト比が大な
る形状を有するので、電圧を印加することで生じる圧電
素子の伸縮変形は、縦方向に大きく、捩り方向に小さ
い。一方、第1実施形態と同様に、電極40のうち、小
電極40eと40gは、移相器54を介して、発振器5
0に接続されているため、小電極40eと40gには、
小電極40fと40hに印加されるのと逆位相の周波電
圧が印加される。
電圧を印加したときの圧電素子34に現れる変形を示す
模式図である。本実施形態では、電極40を構成する小
電極(40e〜40h)が縦方向にアスペクト比が大な
る形状を有するので、電圧を印加することで生じる圧電
素子の伸縮変形は、縦方向に大きく、捩り方向に小さ
い。一方、第1実施形態と同様に、電極40のうち、小
電極40eと40gは、移相器54を介して、発振器5
0に接続されているため、小電極40eと40gには、
小電極40fと40hに印加されるのと逆位相の周波電
圧が印加される。
【0065】したがって、図11(a)に示すように、
圧電素子34の小電極40e及び40gに係る部分が縦
方向に縮み変形をするとき、小電極40f及び40hに
係る部分は縦方向に伸び変形をする。この変形により圧
電素子34は、小電極40e及び40fを有する部分
が、小電極40g及び40hを有する部分に対し、図中
左方向へ相対移動するように屈曲する。この結果、圧電
素子34の電極40に係る部分は、図7のモデル図で説
明した2つの力p、qを弾性体14に及ぼし、弾性体1
4に捩り変形を生じさせる。
圧電素子34の小電極40e及び40gに係る部分が縦
方向に縮み変形をするとき、小電極40f及び40hに
係る部分は縦方向に伸び変形をする。この変形により圧
電素子34は、小電極40e及び40fを有する部分
が、小電極40g及び40hを有する部分に対し、図中
左方向へ相対移動するように屈曲する。この結果、圧電
素子34の電極40に係る部分は、図7のモデル図で説
明した2つの力p、qを弾性体14に及ぼし、弾性体1
4に捩り変形を生じさせる。
【0066】以上説明したように、本実施形態では、電
極40を構成する小電極40e〜40hを縦方向にアス
ペクト比が大なる形状とし、圧電素子の伸縮変形のうち
縦方向の成分を積極的に利用して弾性体14を捩るもの
である。この点で、本実施形態は、圧電素子の伸縮変形
のうち捩り方向の成分を利用して弾性体14を捩る第1
実施形態と異なり、第1実施形態におけるように圧電素
子34の幅を広くとる必要がない。つまり、本実施形態
では、図10に示されるように、圧電素子34の幅を抑
制でき、振動アクチュエータの一層の小型化を可能とす
る。
極40を構成する小電極40e〜40hを縦方向にアス
ペクト比が大なる形状とし、圧電素子の伸縮変形のうち
縦方向の成分を積極的に利用して弾性体14を捩るもの
である。この点で、本実施形態は、圧電素子の伸縮変形
のうち捩り方向の成分を利用して弾性体14を捩る第1
実施形態と異なり、第1実施形態におけるように圧電素
子34の幅を広くとる必要がない。つまり、本実施形態
では、図10に示されるように、圧電素子34の幅を抑
制でき、振動アクチュエータの一層の小型化を可能とす
る。
【0067】(その他の実施形態)なお、本発明は、上
記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態
は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された
技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効
果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技
術的範囲に包含される。
記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態
は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された
技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効
果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技
術的範囲に包含される。
【0068】1) 上記の実施形態では、電極40を構
成する4つの小電極のすべてに発振器50からの周波電
圧を印加する場合について説明したが、これは、第1象
限及び第3象限、又は、第2象限及び第4象限に配置さ
れている小電極にのみ電圧を印加することであってもよ
い。
成する4つの小電極のすべてに発振器50からの周波電
圧を印加する場合について説明したが、これは、第1象
限及び第3象限、又は、第2象限及び第4象限に配置さ
れている小電極にのみ電圧を印加することであってもよ
い。
【0069】この場合、第1実施形態では、圧電素子の
伸縮変形のうち、縦方向の成分がそのまま弾性体14に
伝わることになるが、小電極(40a〜40d)の捩り
方向のアスペクト比が十分に大きければ、弾性体14に
捩り振動を発生させるのに何ら問題はない。また、第2
実施形態では、圧電素子の屈曲変位の量が小さくなる場
合もあるが、小電極(14e〜40h)の縦方向のアス
ペクト比が十分に大きければ、やはり、弾性体14に捩
り振動を発生させるのに何ら問題はない。
伸縮変形のうち、縦方向の成分がそのまま弾性体14に
伝わることになるが、小電極(40a〜40d)の捩り
方向のアスペクト比が十分に大きければ、弾性体14に
捩り振動を発生させるのに何ら問題はない。また、第2
実施形態では、圧電素子の屈曲変位の量が小さくなる場
合もあるが、小電極(14e〜40h)の縦方向のアス
ペクト比が十分に大きければ、やはり、弾性体14に捩
り振動を発生させるのに何ら問題はない。
【0070】2) 図7のモデルにおいて説明したよう
に、本発明の第1及び第2実施形態は、弾性体14の作
用面の異なる2点に、2つの力p、qを作用させて、弾
性体14に捩り振動を発生させている。しかし、作用面
に作用させる力の数が2つであることは、必ずしも本発
明の本質を示すものではない。例えば、図12に示すモ
デルのように、例えば弾性体14の底面14mが不動に
固定された場合には、上記力p、qのうち、いずれか一
方のみを作用面に作用させることであっても、弾性体に
捩り振動を与えることが可能である。
に、本発明の第1及び第2実施形態は、弾性体14の作
用面の異なる2点に、2つの力p、qを作用させて、弾
性体14に捩り振動を発生させている。しかし、作用面
に作用させる力の数が2つであることは、必ずしも本発
明の本質を示すものではない。例えば、図12に示すモ
デルのように、例えば弾性体14の底面14mが不動に
固定された場合には、上記力p、qのうち、いずれか一
方のみを作用面に作用させることであっても、弾性体に
捩り振動を与えることが可能である。
【0071】3) 第1及び第2実施形態では、圧電定
数d31を用いる圧電素子を用いて、弾性体14に捩り振
動を励振する場合について説明したが、これは、本発明
において使用可能な振動発生源の種類を何ら制限する意
味のものではない。振動発生源は、図7のモデルにおい
て説明した力p等を弾性体14に作用させ得るものであ
れば、他の種類又は形態の素子であってもよい。つま
り、振動発生源は、例えば熱エネルギー又は磁気エネル
ギーを機械的変位に変換することで弾性体を励振する素
子であってもよく、また、振動発生源が圧電素子である
場合には、圧電定数d15を用いる素子であってもよい。
数d31を用いる圧電素子を用いて、弾性体14に捩り振
動を励振する場合について説明したが、これは、本発明
において使用可能な振動発生源の種類を何ら制限する意
味のものではない。振動発生源は、図7のモデルにおい
て説明した力p等を弾性体14に作用させ得るものであ
れば、他の種類又は形態の素子であってもよい。つま
り、振動発生源は、例えば熱エネルギー又は磁気エネル
ギーを機械的変位に変換することで弾性体を励振する素
子であってもよく、また、振動発生源が圧電素子である
場合には、圧電定数d15を用いる素子であってもよい。
【0072】図13は、圧電定数d15を用いる圧電素子
を用いて弾性体に捩り振動を励振する形態の本発明に係
る振動アクチュエータのモデル図である。図中、振動発
生源70は、板状の弾性体に板状の圧電素子を接合した
ものであり、圧電素子の板厚方向に電圧を印加すると、
圧電素子が板形状の長手方向にせん断変形をするため
に、その一端が厚み方向にたわみ変形するものである。
振動発生源70は、たわみ変形する際に、その先端にお
いて弾性体に捩り変形をするための力、すなわち、図7
において説明した力pに相当するものを作用させる。こ
の結果、弾性体14に捩り振動を励振することが可能と
なる。なお、図13に示したモデルでは、振動発生源の
先端に比較的大きな変位が得られることから、弾性体1
4の捩り振動の振幅を大きくとり、ひいては、移動子2
1の高速回転を図ることが可能となる。
を用いて弾性体に捩り振動を励振する形態の本発明に係
る振動アクチュエータのモデル図である。図中、振動発
生源70は、板状の弾性体に板状の圧電素子を接合した
ものであり、圧電素子の板厚方向に電圧を印加すると、
圧電素子が板形状の長手方向にせん断変形をするため
に、その一端が厚み方向にたわみ変形するものである。
振動発生源70は、たわみ変形する際に、その先端にお
いて弾性体に捩り変形をするための力、すなわち、図7
において説明した力pに相当するものを作用させる。こ
の結果、弾性体14に捩り振動を励振することが可能と
なる。なお、図13に示したモデルでは、振動発生源の
先端に比較的大きな変位が得られることから、弾性体1
4の捩り振動の振幅を大きくとり、ひいては、移動子2
1の高速回転を図ることが可能となる。
【0073】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、請求項1か
ら請求項3の各々に記載した発明によれば、捩り振動発
生源が作用面に対し、作用面に接する方向の力を作用さ
せることにより、弾性体に捩り振動を発生させることと
したので、捩り振動発生源の配置位置の自由度が増し、
弾性体を2分割して作用面を確保する必要がなくなると
ともに、振動発生源として使用する素子の選択の自由度
が拡大されるという効果が取得された。請求項4に記載
した発明によれば、作用面を弾性体の外周面としたの
で、振動発生源の放熱効率を向上させるとともに、高ト
ルクの振動アクチュエータを実現することが可能となっ
た。
ら請求項3の各々に記載した発明によれば、捩り振動発
生源が作用面に対し、作用面に接する方向の力を作用さ
せることにより、弾性体に捩り振動を発生させることと
したので、捩り振動発生源の配置位置の自由度が増し、
弾性体を2分割して作用面を確保する必要がなくなると
ともに、振動発生源として使用する素子の選択の自由度
が拡大されるという効果が取得された。請求項4に記載
した発明によれば、作用面を弾性体の外周面としたの
で、振動発生源の放熱効率を向上させるとともに、高ト
ルクの振動アクチュエータを実現することが可能となっ
た。
【0074】請求項5に記載した発明によれば、捩り振
動発生源を作用面に接する方向に変位可能な圧電素子と
したので、小型、高トルクの振動アクチュエータを実現
することが可能となった。請求項6に記載した発明によ
れば、捩り振動発生源を圧電係数d31に係る変形を利用
して作用面に接する方向の振動を発生させる圧電素子と
したので、捩り振動発生源と縦振動発生源の一体化を図
ることが可能となった。
動発生源を作用面に接する方向に変位可能な圧電素子と
したので、小型、高トルクの振動アクチュエータを実現
することが可能となった。請求項6に記載した発明によ
れば、捩り振動発生源を圧電係数d31に係る変形を利用
して作用面に接する方向の振動を発生させる圧電素子と
したので、捩り振動発生源と縦振動発生源の一体化を図
ることが可能となった。
【0075】請求項7に記載した発明によれば、請求項
6に記載の振動アクチュエータにおいて、圧電素子にお
ける捩り振動を発生する領域を作用面に接する方向であ
って回転軸に垂直な方向に縦長の形状を有するものとし
たので、効率よく弾性体に捩り振動を励振することが可
能となった。請求項8に記載した発明によれば、第2の
振動領域に生じる変位により、第1の振動領域に生じる
変位の回転軸方向成分を打ち消すこととしたので、縦振
動の発生を防止しつつ、弾性体に捩り振動を励振するこ
とが可能となった。
6に記載の振動アクチュエータにおいて、圧電素子にお
ける捩り振動を発生する領域を作用面に接する方向であ
って回転軸に垂直な方向に縦長の形状を有するものとし
たので、効率よく弾性体に捩り振動を励振することが可
能となった。請求項8に記載した発明によれば、第2の
振動領域に生じる変位により、第1の振動領域に生じる
変位の回転軸方向成分を打ち消すこととしたので、縦振
動の発生を防止しつつ、弾性体に捩り振動を励振するこ
とが可能となった。
【0076】請求項9に記載した発明によれば、圧電素
子をほぼ平行四辺形の形状に変形させることで、効率よ
く弾性体に捩り振動を励振することが可能となった。請
求項10に記載した発明によれば、圧電素子の縦方向の
振動を積極的に利用して弾性体に捩り振動を励振するこ
ととしたので、捩り振動発生源の幅を抑制し、振動アク
チュエータの小型化を促進することが可能となった。
子をほぼ平行四辺形の形状に変形させることで、効率よ
く弾性体に捩り振動を励振することが可能となった。請
求項10に記載した発明によれば、圧電素子の縦方向の
振動を積極的に利用して弾性体に捩り振動を励振するこ
ととしたので、捩り振動発生源の幅を抑制し、振動アク
チュエータの小型化を促進することが可能となった。
【0077】請求項11に記載した発明によれば、請求
項9又は請求項10に記載の振動アクチュエータにおい
て、第1象限及び第3象限にある振動領域を第2象限及
び第4象限にある振動領域の振動に対し、位相差πをも
って振動させることとしたので、捩り振動が最も効率よ
く励振されることとなった。請求項12に記載した発明
によれば、簡単な手段により縦振動発生源と捩り振動発
生源とが一体化され、振動アクチュエータの製造が容易
になるとともに、その小型化を促進することが可能とな
った。
項9又は請求項10に記載の振動アクチュエータにおい
て、第1象限及び第3象限にある振動領域を第2象限及
び第4象限にある振動領域の振動に対し、位相差πをも
って振動させることとしたので、捩り振動が最も効率よ
く励振されることとなった。請求項12に記載した発明
によれば、簡単な手段により縦振動発生源と捩り振動発
生源とが一体化され、振動アクチュエータの製造が容易
になるとともに、その小型化を促進することが可能とな
った。
【図1】本発明に係る振動アクチュエータの第1実施形
態を示す断面図である。
態を示す断面図である。
【図2】図1に示した振動アクチュエータの振動子に励
振される振動のモードを示す説明図である。
振される振動のモードを示す説明図である。
【図3】本発明に係る振動アクチュエータの第1実施形
態で用いる振動子の分解図である。
態で用いる振動子の分解図である。
【図4】図3に示した振動子の側面図である。
【図5】図3に示した振動子の動作を模式的に示す説明
図である。
図である。
【図6】本発明に係る振動アクチュエータの第1実施形
態において、圧電素子がする変形を示す模式図である。
態において、圧電素子がする変形を示す模式図である。
【図7】本発明に係る振動アクチュエータにおける弾性
体と、弾性体に圧電素子から作用する力(p、q)を示
すモデル図である。
体と、弾性体に圧電素子から作用する力(p、q)を示
すモデル図である。
【図8】電極40の第1の変形例を示す模式図である。
【図9】電極40の第2の変形例を示す模式図である。
【図10】本発明に係る振動アクチュエータの第2実施
形態で用いる振動子の側面図である。
形態で用いる振動子の側面図である。
【図11】本発明に係る振動アクチュエータの第2実施
形態において、圧電素子34がする変形を示す模式図で
ある。
形態において、圧電素子34がする変形を示す模式図で
ある。
【図12】本発明に係る振動アクチュエータの変形例を
示すモデル図である。
示すモデル図である。
【図13】本発明に係る振動アクチュエータであって、
圧電定数d15を用いる圧電素子を用いて弾性体に捩り振
動を励振する形態のもののモデル図である。
圧電定数d15を用いる圧電素子を用いて弾性体に捩り振
動を励振する形態のもののモデル図である。
【図14】従来の振動アクチュエータの一例を示す斜視
図である。
図である。
【図15】図14に示す従来の振動アクチュエータのス
テータを展開して示す斜視図である。
テータを展開して示す斜視図である。
【図16】特開平8−140377号に開示された振動
アクチュエータを示す断面図である。
アクチュエータを示す断面図である。
【図17】特開平8−140377号に開示された振動
アクチュエータの固定子を示す斜面図である。
アクチュエータの固定子を示す斜面図である。
【図18】従来の振動アクチュエータ及び特開平8−1
40377号に開示された振動アクチュエータの弾性体
等のモデル図である。
40377号に開示された振動アクチュエータの弾性体
等のモデル図である。
10 振動アクチュエータ 11 振動子 14 弾性体 20 固定軸 21 移動子 22 ベアリング 24 加圧部材 25 調整部材 32 ピン 33 筒状部材 34、36 圧電素子 38、40、42、44 電極 40a〜d、40e〜h 電極40を構成する小電極 40i、40j、40k 電極40を構成する電極 50 発振器 52、54 移相器 60 振動子 70 圧電定数d15を用いる圧電素子を用いた振動発生
源 A 弾性体の中心軸(移動子の回転軸)
源 A 弾性体の中心軸(移動子の回転軸)
Claims (12)
- 【請求項1】 所定の回転軸回りに回転可能な回転部材
と、 前記回転軸方向の縦振動及び前記回転軸回りの捩り振動
を行うことにより前記回転軸方向の端面に楕円運動を発
生させる弾性部材と、 前記弾性部材に前記縦振動を発生させる縦振動発生源
と、 前記弾性部材が有する前記回転軸に略平行な作用面に作
用することにより、前記弾性体に前記捩り振動を発生さ
せる捩り振動発生源とを備え、前記端面の楕円運動の一
部を前記回転部材に伝達することにより、前記回転部材
を回転させる振動アクチュエータにおいて、 前記捩り振動発生源は、前記作用面に対し、前記作用面
に接する方向の力を作用させることにより、前記弾性体
に前記捩り振動を発生させることを特徴とする振動アク
チュエータ。 - 【請求項2】 請求項1に記載の振動アクチュエータに
おいて、 前記捩り振動発生源は、前記回転軸方向に異なる位置に
ある前記作用面上の2つの領域に、前記回転軸を中心と
する回転方向に関し相互に異なる方向の力を作用させる
ことにより前記弾性体に前記捩り振動を発生させること
を特徴とする振動アクチュエータ。 - 【請求項3】 請求項2に記載の振動アクチュエータに
おいて、 前記2つの領域の各々は、前記弾性体に発生すべき前記
捩り振動の節部を挟んで前記回転軸方向の異なる側にあ
ることを特徴とする振動アクチュエータ。 - 【請求項4】 請求項1から請求項3までのいずれか1
項に記載の振動アクチュエータのおいて、 前記作用面は、前記弾性体の外周面であることを特徴と
する振動アクチュエータ。 - 【請求項5】 請求項1から請求項4までのいずれか1
項に記載の振動アクチュエータにおいて、 前記捩り振動発生源は、前記作用面に接する方向に変位
可能な圧電素子であることを特徴とする振動アクチュエ
ータ。 - 【請求項6】 請求項1から請求項5までのいずれか1
項に記載の振動アクチュエータにおいて、 前記捩り振動発生源は、圧電係数d31に係る変形を利用
して前記作用面に接する方向の振動を発生させる圧電素
子であることを特徴とする振動アクチュエータ。 - 【請求項7】 請求項6に記載の振動アクチュエータに
おいて、 前記圧電素子における前記振動を発生する領域は、前記
作用面に接する方向であって前記回転軸に垂直な方向に
縦長の形状を有することを特徴とする振動アクチュエー
タ。 - 【請求項8】 請求項6又は請求項7に記載の振動アク
チュエータにおいて、 前記圧電素子は、第1の振動領域と、前記第1の振動領
域と前記回転軸方向に隣接し、前記第1の振動領域に対
し所定の位相差で振動する第2の振動領域とを有し、 前記第1の振動領域に生じる変位は、前記弾性体に前記
捩り振動を発生させ、 前記第2の振動領域に生じる変位は、前記第1の振動領
域に生じる変位の前記回転軸方向成分を打ち消すことを
特徴とする振動アクチュエータ。 - 【請求項9】 請求項6から請求項8までのいずれか1
項に記載の振動アクチュエータにおいて、 前記捩り振動発生源は、前記回転軸に平行な第1の基準
線と前記回転軸に垂直な第2の基準線とにより規定され
る4つの象限の各々に振動領域を有し、 第1象限及び第3象限にある前記振動領域は、第2象限
及び第4象限にある前記振動領域の振動に対し、所定の
位相差をもって振動することを特徴とする振動アクチュ
エータ。 - 【請求項10】 請求項6に記載の振動アクチュエータ
において、 前記捩り振動発生源は、前記回転軸に平行な第1の基準
線と前記回転軸に垂直な第2の基準線とにより規定され
る4つの象限の各々に、前記回転軸方向に縦長形状の振
動領域を有し、 第1象限及び第3象限にある前記振動領域は、第2象限
及び第4象限にある前記振動領域の振動に対し、所定の
位相差をもって振動することを特徴とする振動アクチュ
エータ。 - 【請求項11】 請求項9又は請求項10に記載の振動
アクチュエータにおいて、 第1象限及び第3象限にある前記振動領域は、第2象限
及び第4象限にある前記振動領域の振動に対し、位相差
πをもって振動することを特徴とする振動アクチュエー
タ。 - 【請求項12】 請求項6から請求項11までのいずれ
か1項に記載の振動アクチュエータにおいて、 前記圧電素子は、全体が同一方向に分極された素子であ
り、 前記圧電素子の前記回転軸方向に異なる位置に、前記捩
り振動発生源となるべき振動領域と、前記縦振動発生源
となるべき縦振動発生源とを設けることにより、前記縦
振動発生源と前記捩り振動発生源とを一体化しているこ
とを特徴とする振動アクチュエータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9130625A JPH10323062A (ja) | 1997-05-21 | 1997-05-21 | 振動アクチュエータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9130625A JPH10323062A (ja) | 1997-05-21 | 1997-05-21 | 振動アクチュエータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10323062A true JPH10323062A (ja) | 1998-12-04 |
Family
ID=15038724
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9130625A Pending JPH10323062A (ja) | 1997-05-21 | 1997-05-21 | 振動アクチュエータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10323062A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003009553A (ja) * | 2001-06-26 | 2003-01-10 | Nidec Copal Corp | 超音波モータ装置 |
-
1997
- 1997-05-21 JP JP9130625A patent/JPH10323062A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003009553A (ja) * | 2001-06-26 | 2003-01-10 | Nidec Copal Corp | 超音波モータ装置 |
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