JP3548338B2 - 波形データ記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は波形データ記録装置に関し、さらに詳しく言えば、波形演算部を有し、その演算値をトリガ条件として波形データを取り込むようにした波形データ記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図2には、所定のトリガ条件成立時における波形データをメモリに書き込むようにした波形データ記録装置の一般的な構成例が示されている。これによると、アナログ入力信号は増幅器1を経た後、A/D変換器2でディジタルの波形データに変換されトリガ監視部3に入力される。
【0003】
トリガ監視部3は、その波形データと、操作部4からあらかじめ設定されている所定のトリガ条件とを比較し、トリガ条件が満たされている場合にのみ、後段のストレージコントローラ5に対してトリガ信号(データの書込み制御信号)を出力する。
【0004】
ストレージコントローラ5は、そのトリガ信号を受けて所定の記録長分の波形データをメモリ6に書き込む。なお、その記録長は固定であってもよいが、通常は操作部4にて任意に設定可能となっている。また、ストレージコントローラ5にトリガ信号発生前の波形データの保持機能を持たせることにより、トリガ信号発生時点を境にして、その前後の所定範囲の波形データをメモリ6に記録することもできる(プリトリガ機能)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、操作部4からトリガ監視部3に対してあらかじめトリガ条件を設定しておくことにより、入力信号の中から所望とする現象をピックアップしてメモリ6に取り込むことができる。
【0006】
しかしながら、一般的にそのトリガ条件は電圧もしくは電流の波高値、時間などに限られており、入力信号を例えば高調波解析するような場合、その高調波成分をキーとしてトリガをかけることができなかった。
【0007】
本発明は、このような従来の事情にかんがみなされたもので、その目的は、波形演算部を備え、その演算値を監視してトリガがかけられるようにした波形データ記録装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明においては、アナログ入力信号をディジタルの波形データとして取り込むA/D変換器と、その波形データとあらかじめ操作部により設定された所定のトリガ条件とを比較するトリガ監視部と、同トリガ監視部により制御され、少なくともそのトリガ条件に合致する上記波形データをメモリに書き込むストレージコントローラと、上記A/D変換器にて変換された波形データを高速フーリエ変換するFFT変換回路からなる波形演算部とを備えているとともに、上記操作部から上記トリガ監視部に対して上記波形演算部にて算出される演算値に対応する閾値データが設定可能とされ、上記トリガ監視部は上記波形演算部からの演算値と上記操作部からのそれに対応する閾値データとを比較し、その一致、不一致をもって上記ストレージコントローラを制御する波形データ記録装置において、上記波形演算部は第1および第2の波形演算部を含み、その各波形演算部が上記アナログ入力信号の少なくとも1周期ごとに交替的に所定の演算処理を行なうことを特徴としている。
【0009】
これによれば、従来の波高値や時間などのトリガ条件に加えて、波形演算部により算出される入力信号の例えば各次数における高調波量や位相角、+/−の極性もしくは実効値などを監視してトリガをかけることができる。
【0010】
また、波形演算部として第1および第2の2つの波形演算部を含み、その各波形演算部にて入力信号(周期信号)の少なくとも1周期ごとに交替的に所定の演算処理を行なうようにしているため、波形データの取り零しを防止し、確実にトリガ条件に合致する波形データを取り込むことができる。
【0012】
さらには、ストレージコントローラにプリトリガ機能を持たせてもよい。すなわち、ストレージコントローラにトリガ監視部から制御信号が発せられる前の所定時間範囲内の波形データを保持させ、同トリガ監視部から制御信号を受けて、その前後にわたる所定時間内の波形データをメモリに記憶させることもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の技術的思想をよりよく理解するため図1にその実施例を提示し、これについて説明する。なお、同図において先に説明した従来装置と同一もしくは同一と見做せる部分にはそれと同じ参照符号が付されている。
【0014】
この実施例においても、先に説明した従来装置と同様に、入力増幅器1、A/D変換器2、トリガ監視部3、ストレージコントローラ5および波形メモリ6を備え、操作部4よりトリガ監視部3に対してトリガ条件が、また、ストレージコントローラ5に対してはメモリ6に記憶させるデータの記録長がそれぞれ任意に設定可能とされているが、本発明によると、A/D変換された波形データを所定に演算処理する波形演算部が設けられている。
【0015】
本発明において、波形演算部はFFT(高速フーリエ変換)回路からなり、この実施例では、トリガ監視部3に対して2つの波形演算部11,12がそれぞれ並列的に設けられている。この各波形演算部11,12にて入力信号の波形データからその高調波成分や位相角、+/−の極性もしくは実効値などがそれぞれ算出され、その演算値がトリガ監視部3に与えられる。なお、どの演算値をトリガ条件とするかは操作部4からの指示による。
【0016】
各波形演算部11,12は、操作部4からの指示により入力信号を交替的に演算処理する。例えば、一方の波形演算部11では入力信号(周期信号)の1周期データについて演算処理し、他方の波形演算部12にてその入力信号の次の1周期データを演算処理するようにしてもよいし、もしくは2周期を単位として交替的に演算処理するようにしてもよい。
【0017】
この交替的な演算を例えば1周期ごと、もしくは2周期ごとにするかは演算に要する時間との関係で決められるが、いずれにしてもこのように各波形演算部11,12を交替的に動作させることにより、全波形データについて演算が施されるため、トリガの取り零しを防ぐことができる。
【0018】
上記した構成において、入力信号としての周期信号は増幅器1およびA/D変換器2を介してトリガ監視部3および各波形演算部11,12にそれぞれ入力される。なお、この実施例では従来装置と同様に例えばレベルトリガーや時間トリガーをも行なうことができるようにするため、A/D変換された波形データが直接トリガ監視部3に入力されるようになっている。
【0019】
各波形演算部11,12では、A/D変換器2からの波形データについて操作部4により指定された演算処理、例えば各次数の高調波演算、位相角演算もしくは実効値演算などを行ない、その演算値をトリガ監視部3に与える。トリガ監視部3には操作部4からあらかじめその演算値に対応するトリガ条件としての閾値データが設定されており、その閾値データに基づいて演算値を監視し、トリガ条件が成立した時点でストレージコントローラ5にトリガ信号を出力する。なお、ここでトリガ条件の成立とは、その条件の掛け方に依存し、条件一致の場合と条件不一致の場合の双方を含む。
【0020】
ストレージコントローラ5はこのトリガ信号を受けると、操作部4よりあらかじめ設定されている記録長分の波形データをメモリ6に格納する。この場合、ストレージコントローラ5に常時所定記録長分の波形データをFIFO(データの先入れ先出し)方式的に保持する機能(いわゆるプリトリガ機能)を持たせることにより、トリガ信号発生時点を境として、その前後の波形データをメモリ6に格納することができる。
【0021】
このように、この実施例によれば、従来のレベルトリガーや時間トリガーなどのトリガ機能に加えて、入力信号の波形演算による例えば各次数の高調波量や位相角、また、実効値などの演算値にてトリガをかけることができる。例えば、特定の次数をAND/OR論理の組み合わせで指定し、その高調波レベルなどでトリガをかけることができる。
【0022】
なお、上記実施例では波形演算部を2つ用意して、それらを交替的に動作させるようにしているが、入力信号のサンプリング速度が高速であり、それに対して演算時間が長くかかる場合にはさらに波形演算部を追加して、それらを交替的に動作させることも可能である。他方、1つの波形演算部にて入力信号を演算処理するようにしてもよいことはもちろんである。
ところで、入力信号が周期信号でない場合、FFT演算回路ではその演算が平均値演算などに限られるが、その値をトリガとして活用することができる。この場合、各演算回路は測定器側の所定の時間間隔で交替的に演算することになる。
【0023】
また、従来と同様のレベルトリガーや時間トリガーなどのトリガ機能を持たせるため、波形データをトリガ監視部3に直接的に入力するようにしているが、演算値トリガーのみを実行させるのであれば、A/D変換器2からトリガ監視部3への入力ラインは不要である。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、FFT演算回路からなる波形演算部を少なくとも2つ備え、それにより算出される入力信号の例えば各次数における高調波量や位相角、+/−の極性もしくは実効値などを監視してトリガをかけることができるため、特に高調波解析を行なう上で好適な波形データ記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による波形データ記録装置の一実施例を示したブロック線図。
【図2】従来の波形データ記録装置の一般的な構成例を示したブロック線図。
【符号の説明】
1 増幅器
2 A/D変換器
3 トリガ監視部
4 操作部
5 ストレージコントローラ
6 波形メモリ
11,12 波形演算部

Claims (1)

  1. アナログ入力信号をディジタルの波形データとして取り込むA/D変換器と、その波形データとあらかじめ操作部により設定された所定のトリガ条件とを比較するトリガ監視部と、同トリガ監視部により制御され、少なくともそのトリガ条件に合致する上記波形データをメモリに書き込むストレージコントローラと、上記A/D変換器にて変換された波形データを高速フーリエ変換するFFT変換回路からなる波形演算部とを備えているとともに、上記操作部から上記トリガ監視部に対して上記波形演算部にて算出される演算値に対応する閾値データが設定可能とされ、上記トリガ監視部は上記波形演算部からの演算値と上記操作部からのそれに対応する閾値データとを比較し、その一致、不一致をもって上記ストレージコントローラを制御する波形データ記録装置において、
    上記波形演算部は第1および第2の波形演算部を含み、その各波形演算部が上記アナログ入力信号の少なくとも1周期ごとに交替的に所定の演算処理を行なうことを特徴とする波形データ記録装置。
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