JP3547645B2 - 構成部分を摩擦接続的に結合するための結合エレメント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構成部分を摩擦接続的に結合するための結合エレメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
摩擦接続的な結合は機械製造のあらゆる分野でしばしば、横方向の力またはトルクを伝達のために利用される。その都度に伝達可能な力の大きさは、構造的な状態のほかまず第一に、互いに結合する構成部分表面の静摩擦係数(粘性係数)に依存している。鋼と鋼の結合は0.15の典型的な粘性係数を有しているが、これは機械製造に対する要求が高まると、確実な摩擦接続的な結合のためにはしばしば不十分である。例えば収縮ばめにおいて摩擦を高めるための手段は、機械製造の初期から既に公知である。1860年に既に、軸上の歯車の座着を改善するために接合ギャップに砂を散布することが推奨されている。この場合、収縮力の影響下で、接合させたい構成部分の表面に砂粒が押し込まれ、数1/10mmの進入深さを有した所定の形状接続が形成される。しかし実際には、ルーズな又は、塗布可能な支持媒体に埋め込まれた粒子を均一に接合ギャップに供給することは殆ど不可能である。
【0003】
原則的にはこのような方法は有効ではあるが、接合ギャップ中の比較的粗い粒子のノッチ効果により、極めて高い疲労破壊の危険を伴う。このような危険が、その都度の運転条件により与えられる場合は、力伝達のために必要な、構成部分表面への粒子の押し込みは、先行して行われる処理により得られる粗さよりも特別に深くはできない。
【0004】
硬質の粒子を接合ギャップに均一かつ再現可能に供給するための種々様々な方法が公知である。1975年7月10日付のドイツ連邦共和国特許出願公開第2364275号明細書(GB1483124に対応)には、協動する2つの面の一方に、硬質材料体を有した層を、構成部分表面に外来物を蒸着、溶射、焼結、拡散させることにより取り付けることが記載されている。
【0005】
「アント・アントリーブステヒニーク(ant−Antriebstechnik)」(Peeken他著、1981年1,2月、1〜2号、20)により、摩擦接続的なモーメント伝達のための表面層が紹介されている。この表面層は、電気めっき法で、微細な硬質材料粒子と金属的なバインダ相とを一緒に析出することにより製造される。このような形式の層により、軸・ハブ収縮ばめの静摩擦が2倍以上になる。このような層により、回転曲げ負荷のもとでは、単なる静的な負荷のもとよりも良好な粘性係数が得られる。
【0006】
上記のような、静摩擦を高めるための措置は全て、結合しようとする両構成部分の一方に直接、摩擦を高めるための層が被覆されることを起点としている。しかしながら実際はしばしば、方法に関する理由から、所望のコーティングが両構成成分のどちらにも施与されないことがある。
【0007】
スイス国特許第192197号明細書により、両面に取り付けられる硬質材料粒子を有した層のためのフレキシブルな支持材料としての紙又はクロスが開示されている。粘性を高めるための作用機構として、結合させたい構成部分を相対運動させることにより、楔形の硬質材料粒子を機械的に互いに摺動させることが記載されている。特開平6−147206号明細書によっても、硬質材料粒子のためのフレキシブルな支持材料としての紙またはクロスが開示されている。これらの明細書に記載された結合エレメントは、横方向の高い力を伝達することができない。従ってこれらの公知のものは多くの使用のためには適していない。
【0008】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3149596号明細書により、粗い硬質材料体を使用して行う結合が開示されている。変形可能な材料から成る弾性的な支持シートを使用することが記載されている。この支持シート自体は力伝達を行わない。不都合なことにこのような結合は解離不能であって、接合させたい工作物の可逆的な結合はできない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の課題は、先行技術の欠点を回避し、接合させたい工作物を、高い摩擦で遊びなしに可逆的に結合できるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の構成では、接合させたい工作物の固有強度と少なくとも同様の高さの固有強度を有したばね弾性的な薄いシートから成っており、該ばね弾性的なシートはその表面で、所定の大きさの粒子を支持しており、該粒子が、接合させたい工作物の圧縮強度及び剪断強度を上回る圧縮強度及び剪断強度を有する材料から成っていて、前記粒子がバインダ相によって前記ばね弾性的なシート上に位置固定されており、バインダ相が、接合させたい工作物の面の強度に少なくとも相応する強度を有しているようにした。
【0011】
接合させたい工作物を上回る圧縮強度及び剪断強度を有した材料から成る粒子は以下で硬質の粒子と記載する。薄いシートとは有利には厚さ≦0.2mmのシートと理解される。
【0012】
【発明の効果】
本発明による結合エレメント(以下で摩擦シートとも記載する)は、公知の摩擦接続的な結合に対して次のような利点を有する。
【0013】
(イ)比較的大きな又はかさばる構成部分の部分的なコーティングに伴う困難が生じない。
【0014】
(ロ)直接的にコーティングすることのできない構成部分の可逆的な結合が、大きな横方向の力が生じた場合でも可能である。
【0015】
(ハ)摩擦接続的な結合の粘性係数が少なくとも50%、通常は100〜200%高められる。
【0016】
(ニ)経済的に製造可能である。
【0017】
(ホ)複雑に成形されたまたは非平面的な接合面にも容易に適合可能である。
【0018】
(ヘ)組み付けに特別に付加的な手間を要さない。
【0019】
硬質の粒子は有利には、その都度の条件下で、接合させたい構成部分の材料に対しても周辺媒体に対しても化学的に反応しない材料から成っている。これは、有利には鉱物材料である。
【0020】
特に有利には硬質の粒子は、硬質材料の群から選択されている。硬質材料は例えば、SiC、WC、BCのような炭化物又はSi、立方晶のBNのような窒化物又は硼化物又はSiO又はAl又はダイアモンドである。
【0021】
硬質の粒子の大きさは、粒子の押し込みによる接合面の損傷が、許容できない程度には生じないように選択される。このことは有利には、粒子の直径が、接合面の処理により得られる接合面の粗さの3倍よりも大きくない場合に保証される。0.1mmの最大の直径を有する粒子サイズは、一般にこのような要求を満たす。
【0022】
特に有利には、15μmの最大直径を有する硬質の粒子が使用される。
【0023】
使用される硬質の粒子が全て同じ大きさであるのが理想である。しかしこの有利な粒子サイズの範囲では、このことは技術的には実現不可能である。上記の有利な種々の硬質材料は、粒度に関して極めて狭くまとめられた粒子の形で市販されており入手可能である。この粒子のばらつきは公称直径の±50%以内である。このことは特に、ダイアモンド、立方晶のBNの場合に、限定的にはAl、 SiC、BCの場合に当てはまる。このような粒子は有利には、本発明による構成部分の硬質の粒子として適している。15μmまでの良好に維持される直径範囲から、有利には6μmまたは10μmの平均直径を有した市販の粒子が選択される。
【0024】
接合させたい構成部分の接触面の単位面積当たりの硬質粒子の数は有利には、構成部分の接合のためにかけることのできる垂直力による、対応面への粒子の押し込みを保証するのに十分であるように選択される。一般的には、硬質の粒子によって、摩擦シートが30%を越えては被覆されていない場合に当てはまる。
【0025】
少なすぎる被覆では硬質の粒子は完全に押し込まれてしまい、ひいてはいわゆる嵌合錆の形成の危険を伴う接合面の金属的な接触が行われる。このことは、伝達可能な力の低下を招く恐れがある。摩擦シートが3%よりも少なく粒子によって被覆された場合にこのようなことが生じる。
【0026】
有利には摩擦シートは、摩擦シートの5〜15%が、埋め込まれた粒子によって被覆されるように構成されている。
【0027】
接合させたい工作物の固有強度と少なくとも同程度の高さの固有強度を有した薄いフレキシブルなシートは有利には、金属材料製の帯として、例えば常温圧延により形成されたばね帯として形成されており、この帯にはバインダ相によって硬質の粒子が固定されている。
【0028】
バインダ相は有利には電気めっき法によって、フレキシブルな薄いシート上に被着される。このような多層の摩擦シートは図1に示されている。硬質の粒子は、接合させたい面のそれぞれ一方にしかに接触しておらず、力は十分な固有強度の中間層によって伝達される。
【0029】
高く負荷される摩擦接続的な結合部とは一般的には、大部分は鉄材料から成る金属的な構成部分であり、支持材料の「十分な強度」に対する要求は同様にほぼ鋼によってしか満たされない。被覆可能性、扁平性、平坦平行性、可撓性、弾性などに関するその他の要求は、帯状の鋼、特にばね帯鋼によって十分に満たされる。両面コーティングされた摩擦シートの有利な構成には、従って有利には厚さ0.1mmの市販の非合金のばね帯鋼が使用される。
【0030】
力伝達する粒子の支持材料への固定は、所望の横方向の力を確実に伝達するために十分に安定的でなければならない。このために必要なバインダ相は従って、支持材料と同様に、少なくとも接合させたい面の強度に相応する強度を有していなければならない。
【0031】
硬質の粒子を有するバインダ相を取り付けるために、被覆技術的に公知の様々な方法が考慮される。例えば、必要量の粒子が均一に分散している、例えばラッカのような有機材料が簡単にドクタによって支持材料の表面に塗布され、ここで均一な薄いフィルムが形成され、乾燥後にこのフィルムから粒子が突出する。機械工業的には大体が金属製の構成部分が使用されるので、有機的なバインダ相の強度はたいてい不十分である。従って通常は、硬質の粒子を支持材料の表面に固定するためには金属的なバインダ相が選択されなければならない。
【0032】
硬質材料・金属層はこの場合、有利には電気めっき技術により、例えば外部電源を使用しない(即ち化学的な)ニッケルめっき法によって形成される。このような方法は公知であって、例えば上述の文献に記載されている。ばね弾性的なフレキシブルな材料に取り付けられる化学ニッケル層は、約400℃までの熱処理により硬化される。これによりフレキシブル材料への付着は改良され、さらに層の固有硬度が高められる。
【0033】
基本的には本発明による摩擦シートとしての構成部分は、構造的条件により前置された構成部分表面によって伝達される力が不十分である場合など特に、一般的な機械工業全体におけるいかなる形式の摩擦接続的な結合部においても使用できる。特に潤滑剤を使用するクランプ結合又はプレス結合時が当てはまるが、乾式結合にも該当する。
【0034】
【発明の実施の形態】
実施例1:本発明による結合エレメントの製造
結合エレメント1は両面コーティングされた0.1mmの厚さの鋼シート4から成るリング状のプレートである。摩擦を高めるコーティングは、層厚さ4μmの化学ニッケルから成るバインダ相5中の平均直径6μmのダイアモンド粒子3から成っている。シート表面のダイアモンド粒子3による被覆密度は、単位面積当たり7%である。
【0035】
この結合エレメント1を製造するためにはまず最初にリング状のプレートが、コーティングされていない0.1mmの厚さのばね鋼薄板から所要の寸法に打ち抜かれる。原理的には確かに、このようなプレートを、既に両側に摩擦を高めるためのコーティングが施された薄板から製造することも可能であるが、この場合、誤切断により極めて高価な廃棄物が生じてしまう。通常は多数のプレートが同時に処理される。
【0036】
前製造されたプレートは適当な保持装置に挿入され、通常の電気めっき技術に従って、脱脂、酸洗い、活性化によって前処理される。
【0037】
次いで、このプレートを有した製品支持体が化学ニッケル浴に浸漬される。この化学ニッケル浴内には平均粒子直径6μmのダイアモンド粉末が分散されている。分散されるダイアモンド粉末の量は、コーティング浴中におけるパラメータ(浴運動、析出速度)のもとで、析出される金属層におけるダイアモンドの所要の部分が、ダイアモンド粒子の直径の半分よりも幾分厚い所望の厚さに達するように選択される。通常の方法の条件では浸漬時間は約15分である。
【0038】
次いでこのコーティングされたプレートを有した製品支持体がコーティング浴から取り出され、弱くしか付着していないダイアモンド粒子を取り除くために超音波浴で洗浄される。
【0039】
洗浄されたプレートは製品支持体から取り出され、少なくとも150℃で2時間熱処理される。このような処理は、鋼シートにおける化学ニッケル層の付着を改善するとともに、この層自体における粒子の座着を改善する。
【0040】
実施例2:実施例1の結合エレメントの使用
ねずみ鋳鉄製の慣性体は端面で、熱調質された鋼から成る回転可能な軸に固定される。楔による形状接続的な結合は不可能である。何故ならば精確な位置決めが、組み付け状態で初めて行われるからである。固定は中央のねじを介して行われる。この中央のねじは16000Nの垂直力を加えることができる。接触面には潤滑材を使用しなければならない。所要の保持モーメントは500Nmであるが、350Nm(乾式時)若しくは240Nm(潤滑時)しか得られない。
【0041】
実施例1の結合エレメントを挿入することにより、加えられる垂直力が16000Nである場合に、540Nmの保持モーメントが得られる。所定の構造のもとでシートを挿入することができるようにするために、このシートは弾性的に屈曲されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による結合エレメントを概略的に示す図である。
【符号の説明】
1 結合エレメント、 3 ダイアモンド粒子、 4 鋼シート、 5 バインダ相

Claims (10)

  1. 接合させたい工作物を、高い摩擦で、遊びなしに可逆的に結合するのための結合エレメント(1)であって、
    金属製の材料(4)から成るばね弾性的なシートから成っており、該ばね弾性的なシートはその表面で、所定の大きさの粒子(3)を支持しており、該粒子が、硬質材料の群から選択されている形式のものにおいて、
    前記粒子(3)が金属的なバインダ相(5)によって前記ばね弾性的なシート(4)上に位置固定されており、この場合、金属的なバインダ相(5)が、電気めっき技術によりばね弾性的なシート上に被着されることを特徴とする、構成部分を摩擦接続的に結合するための結合エレメント。
  2. 前記粒子が、その都度の使用条件下で、接合させたい構成部分の材料及び周辺媒体に対して化学的に反応しない材料から成っている、請求項1記載の結合エレメント。
  3. 前記粒子が硬化材料の群から選択されている、請求項1記載の結合エレメント。
  4. 前記粒子が、接合面の処理により得られる接合面の粗さの3倍よりも大きくない直径を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の結合エレメント。
  5. 粒子のばらつきが所定の公称直径の±50%以内である、請求項1から4までのいずれか1項記載の結合エレメント。
  6. 接合させたい構成部分の接触面の単位面積当たりの粒子の数が、構成部分の接合のために加えることのできる垂直力による、対応面への粒子の押し込みを保証するのに十分であるように選択されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の結合エレメント。
  7. 摩擦シートの30%よりも大きくなくかつ3%よりも少なくない面が硬質の粒子によって被覆されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の結合エレメント。
  8. 前記粒子が摩擦シートの5〜15%を被覆している、請求項1から7までのいずれか1項記載の結合エレメント。
  9. ばね弾性的な薄いシートが、十分な強度を有した帯として形成されており、該帯上にバインダ相によって硬質の粒子が位置固定されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の結合エレメント。
  10. 請求項1記載の結合エレメントを製造するための方法において、
    金属製の材料から成るばね弾性的なシートに、硬質材料の群から選択された所定の大きさの粒子を、電気めっき技術により被着することを特徴とする、請求項1記載の結合エレメントを製造するための方法。
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