JP3547510B2 - 自動車用バンパ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、射出成形加工性(流動性)及び成形外観に優れ(フローマーク、フラッシュマーク、ヒケが生じ難い。)、バンパとして実用十分な機械的強度(特に高い剛性)を有すると同時に、塗装工程において事前にトリクロロエタン(TCE)溶剤処理を施すことなく、プライマーと塗料を直接塗布又は水系洗浄や酸乃至アルカリ洗浄後にプライマーと塗料を塗布するだけで良好な塗料付着強度を有するプロピレン系樹脂組成物からなる自動車用バンパに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用バンパとして用いられているプロピレン系樹脂製材料は、多くの場合、全体又は一部が塗装仕上げされてから実用に供されている。しかし、これらのプロピレン系樹脂製材料は、その素材自体の構造に極性基を有していないことから、直接プライマーと塗料を塗布した場合に実用レベルの塗料付着強度を得るのが難しかった。
それ故、該プロピレン系樹脂製材料は多くの場合、予め成形した材料の表面をTCE等の有機ハロゲン系洗浄剤で脱脂処理を行なうと共に、該プロピレン系樹脂製材料組成物中の表面のエチレン・プロピレン共重合エラストマーを溶出することによって、その表面をエッチングし、該プロピレン系樹脂製材料の表面に微細な凹凸を形成させて、該プロピレン系樹脂製材料組成物とプライマーと塗料との結合力を高めて、塗料付着性の高められた自動車用バンパ等として使用されていた。
【0003】
しかしながら、このような塗装方法においては、従来から以下に示すような▲1▼及び▲2▼の問題点があった。
▲1▼ TCEを溶剤処理に用いることはモントリオール議定書により1996年までに禁止になる。
▲2▼ 塗装工程数が多くなることから塗装コストが高くなるとの欠点がある。
従って、このようなプロピレン系樹脂製成形品の塗装におけるTCE処理工程を省略することができれば、塗装工程の簡略化、作業環境の改善、コストの低減化をも図ることが可能となることから、これまでにもこれらの工程を省略しようと多くの研究がなされ、提案されてきた。
例えば、特開昭60−32842号公報には、プロピレン重合体にスチレン系重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン系重合体及びエチレン・プロピレン系共重合エラストマーを配合してなる、塗装性、印刷性並びに密着性を備えた樹脂組成物が開示されている。
また、特開平2−180950号公報には、エチレン・プロピレンブロック共重合体にスチレン・共役ジエン系水添ブロック共重合体、スチレン・共役ジエン系水添ブロック共重合体にカルボン酸基又はその誘導体を含有する分子単位が結合した変性ブロック共重合体及びポリエチレンを配合してなる、剛性の温度依存性が小さく、塗装性の改善された樹脂組成物が開示されている。
更に、特公平4−33814号公報には、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレン二元共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴム及び無機充填剤を混練してなる高剛性、高耐衝撃性で塗装性の改善された樹脂組成物が開示されている。
【0004】
しかしながら、前記特開昭60−32842号公報に記載される樹脂組成物からなる自動車用バンパは、耐熱性に乏しく、高温環境下での変形が生じたり、射出成形における金型からの離型性に難点を有している。
また、特開平2−180950号公報に記載される樹脂組成物は、耐熱性、常温での剛性や、経済性に乏しく、自動車用バンパ材料には不適当であるとの難点を有している。
更に、特公平4−33814号公報に記載される樹脂組成物は、該樹脂組成物を自動車用バンパに用いた場合には、成形流動性、耐受傷性に問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、射出成形加工性(流動性)及び成形外観に優れ(フローマーク、フラッシュマーク、ヒケが生じ難い。)、自動車用バンパとして実用十分な機械的強度(特に高い剛性)を有する素材であると同時に、塗装工程において事前にトリクロロエタン(TCE)溶剤処理を施すことなく、プライマーと塗料を直接塗布又は水系洗浄や酸乃至アルカリ洗浄後にプライマーと塗料を塗布するだけで、良好な塗料付着強度を有し、更に、離型性、耐受傷性及び成形外観にも優れている自動車用バンパを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
[発明の概要 ]
本発明者等は、上記の様な問題点を踏まえて、自動車用バンパに用いるプロピレン系樹脂組成物について鋭意研究を重ねた結果、特定のプロピレン系樹脂組成物を用いることによって、上記目的を達成することができることを見出して本発明を完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明の自動車用バンパは、下記の成分(A)〜(E)からなり、メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg)が30〜45g/10分かつ曲げ弾性率が12,000〜18,000kg/cmであるプロピレン系樹脂組成物の射出成形体であることを特徴とするものである。
成分(A):結晶性ポリプロピレン部(A単位部)とプロピレン・エチレンランダム共重合部(B単位部)を含有するMFR(230℃、2.16kg)が60〜90g/10分かつ重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が7以上のプロピレン・エチレンブロック共重合体であって、A単位部はブロック共重合体の90〜95重量%を占め、その密度が0.9070g/cm以上であり、B単位部はブロック共重合体の5〜10重量%を占め、そのエチレン含量が35〜45重量%であるブロック共重合体 100重量部
成分(B):エチレン含量が70〜80重量%かつMFR(230℃、2.16kg)が40〜50g/10分の成分を少なくとも半重量占めるエチレン・プロピレン系共重合体ゴム 20〜40重量部
成分(C):エチレン含量が60〜70重量%、密度が0.85〜0.87g/cmかつMFR(230℃、2.16kg)が2〜4g/10分のエチレン・ブテン二元共重合体ゴム 10〜20重量部
成分(D):全体の長さが実質上15μm以下、平均粒径が1.5〜6μmかつ平均アスペクト比が5以上のタルク 10〜20重量部
成分(E):炭素数が13〜23の高級脂肪酸アミド0.1〜0.4重量部
【0008】
[発明の具体的説明]
[I] プロピレン系樹脂組成物
(1) 構成成分(必須成分)
(a) 成分(A):プロピレン・エチレンブロック共重合体
本発明の自動車用バンパに用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(A)のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、結晶性ポリプロピレン部(A単位部)とプロピレン・エチレンランダム共重合部(B単位部)を含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体であって、上記A単位部はプロピレンの単独重合によって得られるものであり、また上記B単位部はプロピレンとエチレンとのランダム共重合によって得られるものである。
ここでA単位部は、特に耐熱剛性の観点から該プロピレン・エチレンブロック共重合体中に90〜95重量%、好ましくは90〜94重量%の割合を占め、また、その密度が同じく耐熱剛性の観点から0.9070g/cm以上、好ましくは0.9086g/cm以上であるものが選ばれる。
また、上記B単位部は、特に塗料付着性と耐衝撃性の観点から該プロピレン・エチレンブロック共重合体中に5〜10重量%、好ましくは6〜10重量%を占め、また、そのエチレン含量が同じく塗料付着性と耐衝撃性の点で35〜45重量%、好ましくは37〜42重量%の割合を占めているものが選ばれる。
【0009】
該プロピレン・エチレンブロック共重合体全体のMFRは成形加工性及び成形外観の観点から60〜90g/10分、好ましくは65〜90g/10分のものであり、
また、該プロピレン・エチレンブロック共重合体全体の重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が同じく成形加工性及び成形外観の点から7以上、特に8以上のものが選ばれる。
該プロピレン・エチレンブロック共重合体のB単位部の含量は、2gの試料を沸騰キシレン300g中に20分間浸漬して溶解させた後、室温まで冷却し、それによって析出した固相をガラスフィルターで濾過・乾燥して求めた固相重量から逆算した値である。
更に、上記Mw/Mnはゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したものであり、エチレン含量は赤外スペクトル分析法により測定したもので、また、MFRはJIS−K7210(230℃、2.16kg)に準拠して測定したものである。
【0010】
(b) 成分(B):エチレン・プロピレン系共重合体ゴム
本発明の自動車用バンパに用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(B)のエチレン・プロピレン系共重合体ゴムは、エチレン含量が70〜80重量%、好ましくは72〜78重量%、プロピレン含量が30〜20重量%、好ましくは22〜28重量%、かつMFR(230℃、2.16kg)が40〜50g/10分、好ましくは42〜48g/10分の成分を少なくとも半重量占めるエチレン・プロピレン系共重合体ゴムである。
上記エチレン・プロピレン系共重合体ゴムとしては、エチレン・プロピレン二元共重合体ゴムだけでなく、エチレン及びプロピレン含量が上記範囲内のエチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ブテン三元共重合体ゴム等を含むものである。
エチレン含量が上記範囲外のものは耐衝撃性、寸法安定性に問題があり、MFRが上記範囲外のものは塗料付着性能や成形外観に問題がある。また、上記範囲のエチレン・プロピレン系共重合体ゴム成分を少なくとも半重量、好ましくは51〜75重量%の割合で占めていない場合には、塗料付着性が不良となる以外に、プロピレン系樹脂組成物全体のMFRを適正な領域に調整し難くなる。
【0011】
(c) 成分(C):エチレン・ブテン二元共重合体ゴム
本発明の自動車用バンパに用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(C)のエチレン・ブテン二元共重合体ゴムは、エチレン含量が60〜70重量%、好ましくは62〜69重量%、ブテン含量が40〜30重量%、好ましくは31〜38重量%、密度が0.85〜0.87g/cm、好ましくは0.85〜0.86g/cm、かつMFR(230℃、2.16kg)が2〜4g/10分、好ましくは2.0〜3.5g/10分のエチレン・ブテン二元共重合体ゴムである。
エチレン含量が上記範囲外のものは塗料付着性、耐衝撃性、寸法安定性に問題があり不適当である。
密度が上記範囲外のものは塗料付着性と耐衝撃性に問題があり不適当である。
MFRが上記範囲外のものは塗料付着性に問題があり不適当である。
なお、エチレン及びブテン含量は赤外スペクトル分析法等の常法によって測定される値である。
これらのエラストマーは、ベール状、ペレット状、フレーク状、クラム状等の形状を問わず、また、その製造方法も特に限定されるものではない。
【0012】
(d) 成分(D):タルク
本発明の自動車用バンパに用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(D)のタルクは、全体の長さが実質上15μm以下、好ましくは12μm以下、平均粒径が1.5〜6μm、好ましくは1.5〜4.0μm、かつ平均アスペクト比が5以上、好ましくは5〜9のものが使用される。
ここで「実質上」とは、殆どのタルク粒子がこの範囲にあるものを言い、本発明の効果を奏する点で差支えがない程度の量で、この範囲以外のタルクを含んでいても良いことを言う。
全体の長さが上記範囲を超えたものを使用すると成形外観や衝撃強度が不良で不適当である。
また、平均粒径が上記範囲を超えたものを使用すると成形外観や衝撃強度が不良で不適当である。
更に、平均アスペクト比が上記範囲未満のものは機械的強度バランスが不良で不適当である。
ここで平均粒径はレーザー光散乱方式粒度分布計を用いた値であり、その測定装置としては、例えば、堀場製作所製LA−500型が測定精度に優れているので好ましい。また、直径、長さ及びアスペクト比は顕微鏡等により測定される値である。
タルクは塗料付着性能と機械的強度バランスをより一段と高度化させることができる。
タルクは、界面活性剤、カップリング剤、金属石鹸等で表面処理を施したものでも良い。表面処理したタルクは塗料付着性、機械的強度バランス、成形品外観及び寸法安定性等の更なる向上に有効である。
【0013】
(e) 成分(E):炭素数13〜23の高級脂肪酸アミド
本発明の自動車用バンパに用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(E)の炭素数13〜23の高級脂肪酸アミドは、離型性、耐受傷性及成形品外観(特にフラッシュマーク)の向上を目的として配合される。
炭素数が13未満の高級脂肪酸アミドを使用すると、低分子量のため混練造粒時に該成分(E)がブリードして効果がなくなり、炭素数が23を超える高級脂肪酸アミドを使用すると、高分子量のため成形品表面にブリードせず、効果がない。
ここで、炭素数13〜23、好ましくは16〜23の高級脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等を挙げることができるが、粉ふき現象、ブリード性のバランス等から炭素数18のオレイン酸アミドを用いることが好ましい。
【0014】
(2) その他の配合成分(任意成分)
本発明の自動車用バンパに用いられるプロピレン系樹脂組成物中に、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、或いは、更に性能の向上を図るために、以下に示す任意の添加剤や配合材成分等を配合することができる。
具体的には、着色するための顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、光安定剤、核剤、上記成分(A)以外の樹脂や、成分(B)及び成分(C)以外のゴム、或いは、成分(D)以外の各種フィラー等の配合材を挙げることができる。
【0015】
(3) 配合割合
(a) 本発明の自動車用バンパに用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(A)〜(E)の各成分は、成分(A)のプロピレン・エチレンブロック共重合体100重量部を基準として配合される。
(b) 本発明の自動車用バンパに用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(B)のエチレン・プロピレン系共重合体ゴムの配合割合は、上記成分(A)のプロピレン・エチレンブロック共重合体100重量部に対して、20〜40重量部、好ましくは20〜35重量部で配合される。
配合割合が上記未満では塗料付着性能や衝撃強度が劣り、また、上記範囲を超えると成形品外観、耐熱剛性や寸法安定性が劣る様になり実用性がない。
(c) 本発明の自動車用バンパに用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(C)のエチレン・ブテン二元共重合体ゴムの配合割合は、上記成分(A)のプロピレン・エチレンブロック共重合体100重量部に対して、10〜20重量部、好ましくは14〜20重量部で配合される。
配合割合が上記未満では塗料付着性や衝撃強度が劣り、また、上記範囲を超えると成形品外観、耐熱剛性や寸法安定性が劣る様になり実用性がない。
【0016】
(d) 本発明の自動車用バンパに用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(D)のタルクの配合割合は、上記成分(A)のプロピレン・エチレンブロック共重合体100重量部に対して、10〜20重量部、好ましくは12〜18重量部で配合される。
配合割合が上記未満では耐熱剛性や寸法安定性が劣り、また、上記範囲を超えると成形品外観や衝撃強度が劣る様になり実用性がなくなる。
(e) 本発明の自動車用バンパに用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(E)の炭素数が13〜23の高級脂肪酸アミドの配合割合は、上記成分(A)のプロピレン・エチレンブロック共重合体100重量部に対して、0.1〜0.4重量部、好ましくは0.2〜0.4重量部で配合される。
配合割合が上記未満では離型性、耐受傷性及成形品外観(特にフラッシュマーク)を向上させる効果がなく、上記範囲を超えると成形品への粉ふき現象、塗装不良或いは金型汚染が生じるので実用性がなくなる。
【0017】
[II] プロピレン系樹脂組成物の製造
(1) 混練・造粒
上記成分(A)〜成分(E)、場合により成分(F)を上記配合割合で配合して、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブレンダー等の通常の混練機を用いて混練・造粒することによって本発明の自動車用バンパを形成するためのプロピレン系樹脂組成物が得られる。
この場合、各成分の分散を良好にすることができる混練・造粒方法を選択することが好ましく、通常は二軸押出機を用いて混練・造粒が行なわれる。
この混練・造粒の際には、上記成分(A)〜成分(E)及び場合により成分(F)の配合物を同時に混練しても良く、また性能向上を図るべく各成分を分割して、例えば、先ず成分(A)と成分(B)の一部又は全部を配合して混練し、その後に残りの成分を配合して混練・造粒することもできる。
【0018】
[III] 成 形
このようにして得られたプロピレン系樹脂組成物を用いて、射出成形(ガス射出成形、射出圧縮成形も含む)によって自動車用バンパを成形する。成形条件は特に限定されない。
【0019】
[IV] 自動車用バンパ
得られた自動車用バンパは、MFRが30〜45g/10分、好ましくは32〜40g/10分で、かつ曲げ弾性率が12,000〜18,000kg/cm、好ましくは14,000〜18,000kg/cmの物性を備えたプロピレン系樹脂組成物の射出成形体である。
上記曲げ弾性率の測定は、厚さ3mmの平板から90mm×25mmの試験片を打ち抜き、支点間距離を厚み×16、試験速度を10mm/分、測定温度23℃にて測定される。また、MFRの測定はJIS−K7210(230℃、2.16kg)に準拠して測定される。
【0020】
【実施例】
以下に示す実験例によって、本発明の自動車用バンパについて更に具体的に説明する。なお、実験例において用いた原材料及び得られた製品の評価方法は下記の原材料及び評価方法を採用した。
[I] 原材料
(1) 成分(A):ペレット状
A−1:密度が0.9089g/cmの結晶性ポリプロピレン部(A単位部)93重量%、エチレン含量が39重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合部(B単位部)7重量%を各々含有し、全体のMFRが80g/10分、全体のMw/Mnが8.1であるプロピレン・エチレンブロック共重合体
A−2:密度が0.9078g/cmの結晶性ポリプロピレン部(A単位部)95重量%、エチレン含量が37重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合部(B単位部)5重量%を各々含有し、全体のMFRが30g/10分、全体のMw/Mnが6.8であるプロピレン・エチレンブロック共重合体
【0021】
(2) 成分(B):ペレット状
B−1:下記2種類の材料をドライブレンドさせたエチレン・プロピレン系共重合ゴム
▲1▼ エチレン含量が73重量%、MFR(230℃、2.16kg)=45g/10分のエチレン・プロピレン共重合ゴム:60重量部
▲2▼ エチレン含量が75重量%、MFR(230℃、2.16kg)=3.5g/10分のエチレン・プロピレン共重合ゴム:40重量部
B−2:下記2種類の材料をドライブレンドさせたエチレン・プロピレン共重合ゴム
▲1▼ エチレン含量が73重量%、MFR(230℃、2.16kg)=45g/10分のエチレン・プロピレン共重合ゴム:40重量部
▲2▼ エチレン含量が75重量%、MFR(230℃、2.16kg)=3.5g/10分のエチレン・プロピレン共重合ゴム:60重量部
B−3:エチレン含量が75重量%、MFR(230℃、2.16kg)=3.5g/10分のエチレン・プロピレン共重合ゴム
【0022】
(3) 成分(C):ペレット状
C−1:エチレン含量が65重量%、MFR(230℃、2.16kg)=3.0g/10分、密度が0.86g/cmのエチレン・ブテン二元共重合ゴム
【0023】
(4) 成分(D):パウダー状
D−1:実質上全体の長さが10μm以下であって、平均粒径が2.5μmで、平均アスペクト比が6のタルク
【0024】
(5) 成分(E):パウダー状
E−1:オレイン酸アミド
E−2:ステアリン酸アミド
【0025】
[II] 評価方法
(1) 物性評価
(a) MFR:成形加工性(射出成形性)の目安としてMFRをJIS−K7210(230℃、2.16kg)に準拠して測定した。
(b) 曲げ弾性率:表1にて示す成形条件Aにて調製された厚さ3mmの平板から90mm×25mmの試験片を打ち抜き、支点間距離を厚み×16、試験速度を10mm/分で測定した。測定温度は23℃である。
(c) ベンジュラム衝撃試験:表1にて示す成形条件Bにて調製されたバンパ射出成形体を実際の使用に合わせて内側にポリプロピレン発泡体の衝撃吸収体を入れて所定の治具に取り付けた後、米国自動車安全基準(FMVSS)−Part581に基づいて衝撃試験を実施した。
その結果を下記の基準で評価した。
×:割れ、亀裂が生じたもの
○:割れ、亀裂が発生しなかったもの
【0026】
(d) 射出成形体外観:表1にて示す成形条件Bにて調製されたバンパ射出成形体を用い、目視にてフローマーク、フラッシュマーク、ヒケの有無を確認した。
その結果を下記の基準で評価した。
○:フローマーク、フラッシュマーク、ヒケのいずれもが実用範囲内にあるもの
×:フローマーク、フラッシュマーク、ヒケのいずれかが実用範囲内でないもの
(e) 離型性:表1にて示す成形条件Bにて調製されたバンパ射出成形において、離型性が問題ないものは○とし、型開き又は脱型時に成形品がキャビティー側に取られる場合、又は、コア側から成形品が突き出しピンでスムーズに突き出せない場合は×として判定した。
(f) 耐受傷性:表1にて示す成形条件Bにて調製されたバンパ射出成形体を用い、100円硬貨側面の凹凸で傷を付け目視にて傷の目立ち易さを評価した。
その結果を下記の基準で評価した。
○:実用可能なレベルと判断したもの
×:実用に不適と判断されたもの
【0027】
(2) 塗装性評価
(a) 塗料
樹脂成分がアクリル系、ポリエステル系であり、架橋成分がウレタン系(イソシアネート架橋型)の大日本塗料(株)製塗料(商品名「プラニットS」)を用いた。
(b) 塗装方法
成形した平板に、有機ハロゲン系溶剤での蒸気洗浄や脱脂の工程を施さず、エアースプレーガンを用いて、三井石油化学工業(株)製プライマー(商品名「Q228」)を約10μm厚にて塗布した後、塗膜厚さが約50μmとなるように塗料をスプレー塗布した。
【0028】
(c) 焼付処理
塗装した平板を100℃の温度で30分間焼付乾燥した。その後48時間室温で放置した。
(d) 塗料付着性評価
先ず、焼付処理した塗装済み試験片の塗膜を幅10mmで短冊状に切断し、その一端から一部分の塗膜を強引に剥離した後、プラスチックの引張試験等で用いられている引張試験機を用いて引張速度50mm/分、剥離角度180度及び25℃の温度の条件下で塗膜を剥離して、その時の塗膜の剥離強度を測定した。
その結果、以下に示す基準で塗料付着性のランク付けした。
◎:ピール強度1,200g/cm以上
○:ピール強度800〜1,200g/cm未満
△:ピール強度500〜800g/cm未満
×:ピール強度500g/cm未満
【0029】
[III] 実験例
実施例1〜5及び比較例1〜7
上記の成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)および成分(E)を表2〜3に示す割合で配合し、神戸製鋼製KCM型押出機を用い、210℃の温度条件下で混練・造粒し、得られたペレットを射出成形機へ供給し、塗装用シート試験片及び物性試験片は表1の成形条件Aで、バンパ射出成形体は表1の成形条件Bで成形し、評価した。
その評価結果を表2〜3に示す。
【0030】
【表1】
Figure 0003547510
【0031】
【表2】
Figure 0003547510
【0032】
【表3】
Figure 0003547510
【0033】
【発明の効果】
この様な本発明の自動車用バンパは、射出成形加工性(流動性)と成形外観に優れ(フローマーク、フラッシュマーク、ヒケが生じ難い。)、バンパとして実用十分な機械的強度(特に高い剛性)と耐受傷性を有すると同時に、塗装工程において事前にトリクロロエタン(TCE)溶剤処理を施すことなく、プライマーと塗料を直接塗布又は水系洗浄や酸乃至アルカリ洗浄後に塗料を塗布するだけで良好な塗料付着強度を有している。

Claims (1)

  1. 下記の成分(A)〜(E)からなり、メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg)が30〜45g/10分かつ曲げ弾性率が12,000〜18,000kg/cmであるプロピレン系樹脂組成物の射出成形体であることを特徴とする、自動車用バンパ。
    成分(A):結晶性ポリプロピレン部(A単位部)とプロピレン・エチレンランダム共重合部(B単位部)を含有するMFR(230℃、2.16kg)が60〜90g/10分かつ重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が7以上のプロピレン・エチレンブロック共重合体であって、A単位部はブロック共重合体の90〜95重量%を占め、その密度が0.9070g/cm以上であり、B単位部はブロック共重合体の5〜10重量%を占め、そのエチレン含量が35〜45重量%であるブロック共重合体 100重量部
    成分(B):エチレン含量が70〜80重量%かつMFR(230℃、2.16kg)が40〜50g/10分の成分を少なくとも半重量占めるエチレン・プロピレン系共重合体ゴム 20〜40重量部
    成分(C):エチレン含量が60〜70重量%、密度が0.85〜0.87g/cmかつMFR(230℃、2.16kg)が2〜4g/10分のエチレン・ブテン二元共重合体ゴム 10〜20重量部
    成分(D):全体の長さが実質上15μm以下、平均粒径が1.5〜6μmかつ平均アスペクト比が5以上のタルク 10〜20重量部
    成分(E):炭素数が13〜23の高級脂肪酸アミド0.1〜0.4重量部
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