JP2004211001A - 塗装成形体 - Google Patents

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Takeshi Ogasawara
剛 小笠原
Izumi Ishii
泉 石井
Hiroshi Inenami
宏志 稲浪
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】塗装性、ウェルド特性に優れ成形時のデラミ現象を発生させないプロピレン系樹脂組成物からの塗装成形体の提供。
【解決手段】(a)プロピレン・エチレンブロック共重合体(MFR20〜40g/10分、極限粘度([η]CXS)1.5〜2.8dl/g、エチレン含量が40〜60重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合部分を10〜20重量%含有)55〜81重量%、(b)エチレン・プロピレンランダム共重合体(密度0.85〜0.87g/cm、DSCの融解ピーク温度30℃以下)7〜15重量%、(c)エチレン・オクテンランダム共重合体(密度0.86〜0.88g/cm、低引張破断点強度のEOR1と高引張破断点強度EOR2を含有し、EOR1/EOR2(重量比)=1/3〜3/1)7〜15重量%、及び(d)タルク(平均粒径1.5〜10μm)5〜15重量%からなるプロピレン系樹脂組成物の射出成形体であって、塗装処理を施したことを特徴とする塗装成形体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装成形体に関し、特に塗装性、ウェルド特性、低温衝撃特性に優れ、成形時のデラミ現象を発生させない塗装成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンは、低価格、低密度でありながら耐熱性、剛性、成形性が良好であることから各種の分野に広く利用されている。また、タルクやゴム成分等をポリプロピレンに配合することにより様々な物性調節が容易であるため、ポリプロレン複合材料は、自動車部品、家電分野を始め、幅広い領域で使用されている。
自動車分野では、比較的大きな部品を用いることが多く、それらの部品の製造に当たっては、開口部を有する設計を有する部品が多く、大きな部品の成形においては、ウェルド外観が問題になってくる場合が多い。また、バンパー用途等に用いる製品では、塗装性に優れることが求められている。
これらのウェルド外観及び塗装性の両特性を満足させるために、ポリプロピレン複合材料として、材料中に含まれるゴム成分の粘度を低下させる方法がある。しかしながら、この方法を用いた場合、射出成形時にゴム成分が成形品において表面配向をしやすくなり、成形品の表面層が成形時に剥離するデラミ現象が発生してしまう。このデラミ現象は、製品の商品価値を失わせてしまうという問題を有している。
このようなデラミ現象は、高強度のゴム(例えばエチレン−オクテン系ゴム)等を併用することで、ある程度改善される(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。しかしながら、このようなゴムを単独で使用すると、塗装性又は低温衝撃性が損なわれてしまう。
よって、塗装性、ウェルド特性、デラミ特性、低温衝撃特性等を同時に満足する材料からなる塗装成形体は、今まで存在しなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−152597号公報
【特許文献2】
特開平9−40821号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、塗装性、ウェルド特性、デラミ特性、低温衝撃特性を同時に満足するポリプロピレン系樹脂組成物材料からなる塗装成形体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定のポリプロピレン・エチレンブロック共重合体に特定のエチレン・プロピレン共重合ゴム、特定の2種類のエチレン・オクテン共重合ゴム、及びタルクを配合したポリプロピレン系樹脂組成物の成形体が、塗装性、ウェルド特性、デラミ特性、低温衝撃特性を同時に満足することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明によれば、下記の成分(a)〜成分(d)からなるプロピレン系樹脂組成物の射出成形体であって、塗装処理を施したことを特徴とする塗装成形体が提供される。
成分(a):エチレン含量が40〜60重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合部分を10〜20重量%含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体であって、この成分(a)全体のMFR(230℃、21.18N荷重)が20〜40g/10分であり、23℃におけるキシレン可溶成分の極限粘度([η]CXS)が1.5〜2.8dl/gであるプロピレン・エチレンブロック共重合体 55〜81重量%
成分(b):密度が0.85〜0.87g/cm、DSCにより求めた融解ピーク温度が30℃以下であるエチレン・プロピレンランダム共重合体 7〜15重量%
成分(c):密度が0.86〜0.88g/cmであるエチレン・オクテンランダム共重合体であって、引張破断点強度が5MPa以上10MPa未満であるものをEOR1、引張破断点強度が10MPa以上20MPa未満であるものをEOR2とし、これらの重量比EOR1/EOR2=1/3〜3/1であるEOR1とEOR2の混合物 7〜15重量%
成分(d):平均粒径が1.5〜10μmのタルク 5〜15重量%
【0007】
【発明の実施の形態】
1.プロピレン系樹脂組成物
本発明の塗装成形体に用いるプロピレン系樹脂組成物は、成分(a)プロピレン・エチレンブロック共重合体、成分(b)エチレン・プロピレンランダム共重合体、成分(c)エチレン・オクテンランダム共重合体、及び成分(d)タルクを含有組成物である。各成分について以下詳細に説明する。
【0008】
(1)成分(a)プロピレン・エチレン−ブロック共重合体
本発明の塗装成形体に用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(a)は、プロピレン・エチレンブロック共重合体である。成分(a)のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、プロピレンの単独重合によって得られる結晶性プロピレン単独重合部分を80〜90重量%、好ましくは80〜87重量%と、エチレンとプロピレンとの共重合によって得られるエチレン含量が40〜60重量%、好ましくは40〜55重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合部分を10〜20重量%、好ましくは13〜20重量%含有し、この成分(a)全体のMFR(230℃、21.18N荷重)が20〜40g/10分、好ましくは20〜35g/10分であり、さらに、23℃におけるキシレン可溶成分の極限粘度([η]CXS)が1.5〜2.8dl/g、好ましくは1.6〜2.7dl/gであるプロピレン・エチレンブロック共重合体である。
【0009】
上記結晶性プロピレン単独重合部分の含有割合が上記範囲より少な過ぎると、プロピレン系樹脂組成物の耐熱剛性が不足し、一方、上記範囲より多過ぎると、プロピレン系樹脂組成物の衝撃強度や塗装性が不良となる。
また、上記エチレン・プロピレンランダム共重合部分のエチレン含量が上記範囲より少な過ぎると、プロピレン系樹脂組成物の衝撃強度が不足し、一方、多すぎると、プロピレン系樹脂組成物の耐熱剛性が不良となる。
さらに、上記成分(a)全体のMFRが上記範囲より小さ過ぎると、プロピレン系樹脂組成物の成形加工性が不良となり、一方、上記範囲より大き過ぎると、プロピレン系樹脂組成物の衝撃強度が不満足となる。
さらにまた、23℃におけるキシレン可溶分の極限粘度が上記範囲より小さすぎると、プロピレン系樹脂組成物のデラミ特性が悪くなり、一方、上記範囲より大き過ぎると、プロピレン系樹脂組成物のウェルド外観が損なわれる。
【0010】
ここで、MFRは、JIS−K7210 (230℃、21.18N)に準拠して測定する値である。
また、プロピレン・エチレンブロック共重合体中のエチレン・プロピレンランダム共重合部分のエチレン含量は、2gのプロピレン・エチレンブロック共重合体試料を沸騰キシレン300g中に20分間浸漬して溶解させた後、室温まで冷却を行い、析出した固相をガラスフィルターで濾過して取除き、室温析出物を濾過した濾液を蒸発乾固し、得られた固体物を赤外スペクトル分析法を用いてエチレン含量を測定する値である。
さらに、キシレン可溶分の極限粘度([η]CXS)は、2gのプロピレン・エチレンブロック共重合体試料を沸騰キシレン300g中に20分間浸漬して溶解させた後、室温まで冷却を行ない、析出した固相をガラスフィルターで濾過して取除き、23℃における析出物を濾過した濾液を蒸発乾固し、キシレン可溶分を得、得られた固体物を粘度計(測定温度:135℃ 使用溶媒:デカリン)を用いて固有粘度を測定する値である。
【0011】
成分(a)のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、高立体規則性触媒を用いて、スラリー重合法、気相重合法或いは液相塊状重合法により製造されるものであるが、どちらかと言えば、塗装性やコストの点から気相重合法により製造することが好ましい。なお、重合方式としてはバッチ重合、連続重合のどちらの方式をも採用することができるが、連続重合により製造することが好ましい。
このプロピレン・エチレンブロック共重合体を製造するに際しては、最初にプロピレンの単独重合によって結晶性プロピレン単独重合部分を形成し、次にプロピレンとエチレンとのランダム共重合によってエチレン・プロピレンランダム共重合部分を形成したものが品質上から好ましい。
具体的な製造方法としては、塩化マグネシウムに四塩化チタン、有機ハライド及び有機珪素化合物を接触させて形成した固体成分に、有機アルミニウム化合物成分を組み合わせた触媒を用いてプロピレンの単独重合を行ない、次いで、プロピレンとエチレンとのランダム共重合を行なうことによって製造することができる。また、このプロピレン・エチレンブロック共重合体は、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で他の不飽和化合物、例えば、1−ブテン等のα−オレフィン、酢酸ビニルの如きビニルエステル、無水マレイン酸等の不飽和有機酸又はその誘導体等を含有する三元以上の共重合体であっても、これらの混合物であっても良い。
【0012】
本発明で用いるプロピレン系樹脂組成物における成分(a)プロピレン・エチレンブロック共重合体の配合割合は、55〜81重量%、好ましくは60〜75重量%である。成分(a)の量が55重量%未満では、プロピレン系樹脂組成物の剛性、耐熱性が低下しやすく、一方、81重量%を超えるとプロピレン系樹脂組成物の耐衝撃性が低下する。
【0013】
(2)成分(b)エチレン・プロピレンランダム共重合体
本発明の塗装成形体に用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(b)は、エチレン・プロピレンランダム共重合体である。
成分(b)エチレン・プロピレンランダム共重合体の密度は、0.85〜0.87g/cm、好ましくは0.853〜0.867g/cmである。密度が0.85g/cm未満であると、表面硬度が不十分なプロピレン系樹脂組成物しか得られず、密度が0.87g/cmを超えると、耐衝撃性が不十分なプロピレン系樹脂組成物しか得られない。
また、成分(b)のDSCにより求めた融解ピーク温度は、30℃以下、好ましくは0〜27℃である。DSCにより求めた融解ピーク温度が30℃を超えると、低温衝撃が発現されない。
ここで、密度は、JIS−K7112に準拠して測定する値である。
また、DSCにより求めた融解ピーク温度は、JIS−K7121に準拠して測定する値である。
【0014】
成分(b)エチレン・プロピレンランダム共重合体の製造は、公知のチタン系触媒またはメタロセン触媒を用いて重合して得ることができる。
【0015】
本発明のプロピレン系樹脂組成物における成分(b)エチレン・プロピレンランダム共重合体の配合割合は、7〜15重量%、好ましくは9〜15重量%である。成分(b)の量が7重量%未満では、プロピレン系樹脂組成物の衝撃性の改良効果がなく、一方、15重量%を超えるとプロピレン系樹脂組成物の剛性、耐熱性が低下する。
【0016】
(3)成分(c)エチレン・オクテンランダム共重合体
本発明の塗装成形体に用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(c)は、引張破断点強度の異なる2種類のエチレン・オクテンランダム共重合体の混合物である。
第1のエチレン・オクテンランダム共重合体(EOR1)は、引張破断点強度が5MPa以上、10MPa以下であり、第2のエチレン・オクテンランダム共重合体(EOR2)は、引張破断点強度が15MPa以上、20MPa以下である。
EOR1とEOR2の混合比率(EOR1/EOR2)は、1/3〜3/1、好ましくは1/3〜5/2である。EOR1/EOR2の比が3を超えると、プロピレン系樹脂組成物の低温衝撃特性が損なわれ、EOR1/EOR2が0.3より少ないと、プロピレン系樹脂組成物の塗装性が損なわれる。
ここで、引張破断点強度は、エチレン・オクテンランダム共重合体を200℃でプレス成形して得られた2mmtシートから引張ダンベル(標点間長=10mm、標点間幅=5mm)を打ち抜き、温度23℃の条件下で50mm/分の引張速度で測定したときの、破断時の強度である。
【0017】
また、EOR1及びEOR2の両エチレン・オクテンランダム共重合体の密度は、0.86〜0.88g/cm、好ましくは0.863〜0.877g/cmである。密度が0.86g/cm未満のエチレン・オクテンランダム共重合体からは表面硬度が不十分なプロピレン系樹脂組成物しか得られず、密度が0.88g/cmを超えるエチレン・オクテンランダム共重合体からは耐衝撃性が不十分なプロピレン系樹脂組成物しか得られない。
ここで、密度は、JIS−K7112に準拠して測定する値である。
【0018】
成分(c)エチレン・オクテンランダム共重合体は、公知のチタン系触媒またはメタロセン系触媒を用いて重合して得ることができる。
【0019】
本発明のプロピレン系樹脂組成物における成分(c)エチレン・オクテンランダム共重合体の配合割合は、7〜15重量%、好ましくは9〜15重量%である。成分(c)の量が7重量%未満では、プロピレン系樹脂組成物の衝撃性の改良効果がなく、一方、15重量%を超えるとプロピレン系樹脂組成物の剛性、耐熱性が低下する。
【0020】
(4)成分(d)タルク
本発明の塗装成形体に用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(d)は、タルクである。本発明において使用するタルクは、その平均粒径が通常1.5μm以上、10μm以下、またアスペクト比(縦または横のいずれかの長さと厚みの比)の平均値が通常4以上、好ましくは5以上のものが用いられる。
なお、タルクの平均粒径は、レーザー回折散乱法によって、アスペクト比は、顕微鏡等により測定される。
タルクの平均粒径やアスペクト比は、粉砕と分級により行うことができる。例えば、タルク原石を衝撃式粉砕機やミクロンミル型粉砕機で粉砕して製造したり、更にミクロンミル、ジェットミルなどで微粉砕した後、サイクロンやミクロンセパレーター等で分級調整する等の方法で製造する。
【0021】
上記で製造されたタルクは、無処理でそのまま使用することができるが、予め表面処理してから樹脂組成物に配合しても良い。表面処理は、組成物の剛性や耐熱性を向上させることができるので好ましい。表面処理の具体例としては、シランカップリング剤、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、不飽和有機酸、有機チタネートなどの処理剤を用いる化学的または物理的処理が挙げられる。
金属塩を用いるタルクの表面処理方法は特に限定されないが、例えば予め粉砕分級されたタルク粉と、所定量の金属塩を高速ミキサーにて混合する手法が挙げられる他、本発明樹脂組成物を混練造粒する際に、該金属塩とタルク粉を他のポリプロピレンなどと共に配合・混合して造粒機に供する方法も用いても良い。また、上記のような無機充填剤は単独で用いても数種類ブレンドしても良い。
【0022】
本発明のプロピレン系樹脂組成物における成分(d)タルクの配合割合は、5〜15重量%、好ましくは7〜15重量%である。成分(d)の量が5重量%未満では、プロピレン系樹脂組成物の衝撃性の剛性が不充分であり、一方、15重量%を超えるとプロピレン系樹脂組成物の耐衝撃性に劣る。
【0023】
(5)成分(e)その他の成分
本発明の塗装成形体に用いられるプロピレン系樹脂組成物には、例えば、自動車の外装材などその用途によっては、その改質を目的として、他の添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、造核剤、可塑剤、帯電防止剤、銅害防止剤、離型剤、発泡剤、色剤、顔料およびその分散剤を含有することができる。
前記の各種添加剤や顔料は、各成分の混合時に添加するのが一般的であるが、高濃度のマスターバッチを予め作成しておき、射出成形あるいは押出成形時に後ブレンドしても良い。
【0024】
2.プロピレン系樹脂組成物の製造
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物は、上記成分(a)〜(d)、必要に応じて成分(e)を上記配合割合で配合して、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて混練することによって得ることができる。
この場合、各成分をより均一に分散できる混練方法が好ましく、通常は二軸押出機を用いて混練が行われる。この混練の際には、上記各成分の配合物を同時に混練しても、また逐次的に混練しても良い。
【0025】
3.プロピレン系樹脂組成物の成形
本発明の塗装成形体の塗装前の成形体は、上記のようにして得られたプロピレン系樹脂組成物から、公知の射出成形法(ガス射出成形も含む)にて各種成形体が製造される。得られた成形体は、ウェルド特性、デラミ特性、低温耐衝撃性に優れている。さらに、本成形体は、刷毛塗り、エアースプレー、静電塗装、カーテンフローコーター等による塗装が可能であり、いずれの塗装方法によっても塗装性の優れた塗装成形体を得ることができる。
特に、上記方法によって得られる本発明で用いるプロピレン系樹脂組成物は、優れた塗装性を維持しつつ、高度な物性バランス(耐熱性と低温衝撃強度)と、より一段と優れた射出成形加工性(ウエルドマーク、デラミ現象の生じない)を有しているため、各種の工業部品の分野の塗装成形体、例えば、バンパー、サイドモール等の自動車外装部品として実用に十分な特性を有している。
【0026】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例で用いた試験方法、評価方法、原材料は、以下の通りである。
1.試験・評価方法
(1)MFR:JIS−K7210(230℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)エチレン含量:前述の方法に準じて測定した。
(3)極限粘度:前述の方法に準じて測定した。
(4)密度:JIS−K7112に準拠して測定した。
(5)引張破断点強度:前述の方法に準じて、JIS−K7113(1981)に準拠して測定した。
(6)ウェルド外観:開口部を設けた肉厚4mmの平板モデル成形品を220℃で射出成形して、ウェルド発生場所のウェルドラインの目立ちやすさを、下記の基準で評価した。比較した。
○:殆ど目立たない
△:やや目立つ
×:かなり目立つ
(7)ピール強度(塗装性):
(i)プライマー及び塗料
塩素化ポリプロピレン含有のプライマーと二液型ウレタン塗料を用いた。
(ii)塗装方法
成形した平板に、前処理を施さず、エアースプレーガンを用いて、先ずプライマーを塗膜厚さが約10μmとなるように塗布し、その後、塗料を約30μmとなるようにそれぞれ塗布した。
(iii)焼付け処理
塗装した平板を、90℃で30分間、焼き付け乾燥した。その後、48時間室温で放置した。
(iv)ピール強度試験
焼き付け処理した塗装済試験片の表面に、片刃剃刀を用い、10mm幅で直線カットを施し、その塗膜の帯状部分を引張試験機にて20mm/分の速度で180度裏返す形で引張り、その剥離荷重を読み取った。
(8)デラミ特性:3.5mmと2.0mmの肉厚の段差を設けた平板モデル成形品を220℃で射出成形して、肉厚段差部分でのデラミの発生程度を下記の基準で評価した。
○:デラミが全く発生しない。
△:デラミが僅かに確認される。
×:デラミが発生。
(9)低温衝撃特性:JIS−K7110(ノッチ付き)に準拠して測定した。測定温度は−30℃である。
【0027】
2.原材料
(1)プロピレン・エチレン−ブロック共重合体(ICP):表1に示すICP1〜3のプロピレン・エチレンブロック共重合体を用いた。
【0028】
【表1】
Figure 2004211001
【0029】
(2)エチレン・プロピレンランダム共重合体:EPR(エチレン・プロピレンゴム:JSR社製);密度 0.859g/cm、融点 22℃
(3)エチレン・オクテンランダム共重合体:
(i)EOR1(エチレン・オクテンゴム:デュポン・ダウ社製);密度 0.872g/cm、引張破断点強度 8.1MPa
(ii)EOR2(エチレン・オクテンゴム:デュポン・ダウ社製);密度 0.871g/cm、引張破断点強度 18.5MPa
(4)タルク:微粉タルク(富士タルク社製);平均粒径 5.9μm、アスペクト比 6
【0030】
実施例1〜4
各成分(1)〜(4)を表2に示す割合で配合し、スーパーミキサーを用いてドライブレンドした後、ホッパーより原料を供給し、神戸製鋼所社製の高速二軸押出機(KCM)を用い溶融混練し、押出してペレットを得た。得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度210℃および金型温度30℃で射出成形して物性試験片を製造し、評価を行った。評価結果を表2に示す。表2に示す様に実施例1〜4に示す組成を持ったプロピレン系樹脂組成物は、何れも良好な物性バランスを示すことがわかる。
【0031】
比較例1〜5
各成分(1)〜(4)を表2に示す割合で配合し、以下、実施例と同様に評価を行なった。評価結果を表2に示す。表2に示す様に、成分(c)として、低引張破断点強度のEOR1のみを用いた組成物は、低温耐衝撃性に劣り(比較例1)、高引張破断点強度のEOR2のみを用いた組成物は、ピール強度に劣り(比較例2)、23℃におけるキシレン可溶分の極限粘度が大きいエチレン・プロピレンブロック共重合体を用いた組成物は、ウェルド外観、ピール強度に劣り(比較例3)、23℃におけるキシレン可溶分の極限粘度が小さいエチレン・プロピレンブロック共重合体を用いた組成物は、デラミ特性に劣り(比較例4)、低引張破断点強度のEOR1と高引張破断点強度のEOR2の混合比が大きすぎる組成物は、低温耐衝撃性に劣り(比較例5)、何れも物性バランスが不良であった。
【0032】
【表2】
Figure 2004211001
【0033】
【発明の効果】
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、塗装性、ウェルド特性に優れ成形時のデラミ現象を発生させない。従って、本材料を用いて得られた成形体は自動車外装用途に好適に利用することが出来る。

Claims (1)

  1. 下記の成分(a)〜成分(d)からなるプロピレン系樹脂組成物の射出成形体であって、塗装処理を施したことを特徴とする塗装成形体。
    成分(a):エチレン含量が40〜60重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合部分を10〜20重量%含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体であって、この成分(a)全体のMFR(230℃、21.18N荷重)が20〜40g/10分であり、23℃におけるキシレン可溶成分の極限粘度([η]CXS)が1.5〜2.8dl/gであるプロピレン・エチレンブロック共重合体 55〜81重量%
    成分(b):密度が0.85〜0.87g/cm、DSCにより求めた融解ピーク温度が30℃以下であるエチレン・プロピレンランダム共重合体 7〜15重量%
    成分(c):密度が0.86〜0.88g/cmであるエチレン・オクテンランダム共重合体であって、引張破断点強度が5MPa以上10MPa未満であるものをEOR1、引張破断点強度が10MPa以上20MPa未満であるものをEOR2とし、これらの重量比EOR1/EOR2=1/3〜3/1であるEOR1とEOR2の混合物 7〜15重量%
    成分(d):平均粒径が1.5〜10μmのタルク 5〜15重量%
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011074130A (ja) * 2009-09-29 2011-04-14 Japan Polypropylene Corp タルク粉末を含む樹脂組成物
JP2011074131A (ja) * 2009-09-29 2011-04-14 Japan Polypropylene Corp タルク粉末を含む樹脂組成物
JP2015113363A (ja) * 2013-12-09 2015-06-22 サンアロマー株式会社 ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体、自動車外装部材
WO2024066972A1 (zh) * 2022-09-30 2024-04-04 金发科技股份有限公司 一种高底漆上漆率聚丙烯材料及其制备方法和应用

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